後期の交響曲の中で、ひょっとしたら最も取り上げられる曲かもしれない。20分程度と短く、演奏会の1曲目あたりに持って来やすい部分がある。 交響曲としては珍しい単一楽章構成で、初演からしばらくは「交響幻想曲」と名付けられていたほど。しかし、構造的には「幻想曲」の不定型さはなく、むしろ、凝縮された緊密な音楽となっている。 弱音のティンパニ連打から弦の音階上昇モチーフへという特異な始まり方から、弦の緩徐主題が出て、それが盛り上がると、この曲において最も印象深いトロンボーンの主題が吹奏される。これを「精神的境地に等しい深々とした幽久の核主題」と表現する人もいるほどだ。 この主題は三たび出現するが、最後に雄々しく演奏された後、ヴァイオリンが高音域で感慨深く歌う。こうした手法はマーラーの交響曲第9番あたりにも見られるものの、音楽の趣はまったく異なる。 最後の部分で、冒頭のモチーフが少し変形されてフルートに回帰するのも構造的な特徴の一つ。そして、終結は、古典派交響曲のような大団円ではなく、まるで放り出されるような不安定なもの。ここの表現方法が指揮者の解釈のポイントになると思う。 なお、『作曲家別名曲解説ライブラリー 北欧の巨匠』(音楽之友社)では、ベルグルンドが400箇所に及ぶ出版譜(初版1925年)の誤りを修正した校訂版を1980年に Wilhelm Hansen社から出した…とされているが、手許にある同社のミニチュア・スコア"Revised Edition (1980) "は、校訂者を"Julia A. Burt"と表記している。何か事情があるのだろうか。 |
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ボーンマス響 | |||
録音;1972年5月 | HR 703862 (Disky) | 21分55秒 | |
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