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2005年01月08日
吉田真『ワーグナー』
- 吉田真『ワーグナー』(音楽之友社)
- 音楽之友社の「作曲家◎人と作品シリーズ」の新刊。
- 全書判(新書判とB6判の間)、約280頁というコンパクトなスペースに、ワーグナーの伝記、没後から現在に至るバイロイト音楽祭の歩み、作品解説、年譜等を収めており、非常に上出来な書籍である。文章も簡素明快、流れがよい。
- 伝記部分では作家論を大胆に省筆し、ワーグナーと他の19世紀文化人との出会いや交友、訣別について丁寧に書き込んでいるのが大きな特長ではないだろうか。
- メンデルスゾーンやヴォルフといった音楽家に限らず、ニーチェやルノアールといった人々も登場し、特にニーチェは詳しく描出されている。
- 借金や女出入りについて抑制した書きぶりになっていることにも好感が持てた(沈黙しているわけではない)。そのあたりをしつこく書かれると、読んでいて嫌になってしまうものである。
- 斉諧生はワーグナーに詳しいわけではないが、例えば、ロンドンを訪問した作曲家が「ここではアルベリヒの野望が実現している」という感想を漏らしたことを紹介し、『指環』四部作の根底に資本主義批判があることを指摘した部分など、ハッとさせられた。
- なお、最近の同社の出版物としては珍しく人名索引を備えていることも評価したい。
- 全書判(新書判とB6判の間)、約280頁というコンパクトなスペースに、ワーグナーの伝記、没後から現在に至るバイロイト音楽祭の歩み、作品解説、年譜等を収めており、非常に上出来な書籍である。文章も簡素明快、流れがよい。
投稿者 seikaisei : 2005年01月08日 18:04
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