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2005年03月21日

北欧の森を想起させる美演

レイフ・セーゲルスタム(指揮) ヘルシンキ・フィル ほか
シベリウス;交響曲第4番・交響詩「フィンランディア」(Ondine)
これだけ美しい響きのする第4番の音盤も珍しいだろう。
もう第1楽章冒頭の低弦のffの美しい和音を聴いただけで、それが予見できる。
全曲を一貫して弦合奏の音色は渋く温かい。これだけ金属臭のない弦の録音は稀有ではないか。
ベリルンドとの全集では弱点だったObなど管楽器も、奏者が入れ替わったのだろう、ひとつひとつが珠玉のように美しい。
全曲の頂点となる第3楽章は、鬱蒼と寂しい北欧の森に足を踏み入れ、迷路に分け入る感がある。
後期シベリウスの幽玄美への導きとして、多くの人に聴いていただきたい録音である。
ただ、脳裡に焼き付いているケーゲルの壮絶な演奏などと比較すると、厳しさに欠ける面がある。
第1楽章冒頭の有名なチェロのソロは音色が甘めで(これを好む人もいるだろうが)、少々物足りない。
諧謔味を帯びて始まる第2楽章の空気を一変させる(筈の)ObとClの不吉な叫びも、柔らかさを拭い切れていない。
全曲のあちこちで奏される弱音器付きのHrnも、音量が常に抑制され、意味深さを失ってしまった。
 
カプリングのうち「フィンランディア」も、素晴らしい美演。「フィンランディア讃歌」を歌う男声合唱も、胸の熱くなる響きだ。
惜しむらくは、讃歌を最初に歌い出す清冽な木管合奏が、その合唱の陰に隠れてしまったこと。

投稿者 seikaisei : 2005年03月21日 21:59

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コメント

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投稿者 jacob johnson : 2005年12月12日 23:44

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