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2005年07月03日
「W.ステーンハンマルの音楽」
- 今日は東京へ。
- 待ちに待ったステーンハンマル友の会による、オール・ステーンハンマル・コンサートの当日である。
- 同会は、2004年10月以来、「サロンコンサート・シリーズ」として、北欧の佳曲を取り上げる演奏会を継続してきたが、今日はその集大成として、ステーンハンマルの作品だけのプログラムで実施されるもの。
- この企画については構想段階から伺ってきたので、いよいよ実現するとなると、感無量である。
- 本業が忙しくなっている時期ではあるが、この日を逃すわけにはいかない。
- この企画については構想段階から伺ってきたので、いよいよ実現するとなると、感無量である。
- 会場は東京オペラシティ・リサイタルホール。
- 心配していた客の入りも、空席はあまり見られない様子で、嬉しい限り。
- もっとも見たところ大半は演奏者の力によるもので、ステーンハンマルの音楽が聴きたくて来たという雰囲気の人は、う~ん、10人もいたかどうか…(激汗)。
- まあ、逆に言えば、それだけ多くの人に、これまで御存知なかったステーンハンマルの名前と音楽を"布教"できたということになる。(^^;
- もっとも見たところ大半は演奏者の力によるもので、ステーンハンマルの音楽が聴きたくて来たという雰囲気の人は、う~ん、10人もいたかどうか…(激汗)。
- さて、以下は演奏順に。
- (1) スヴァーリエ(独唱版)
- 向野由美子(M-S) 和田記代(P)
- これまでのサロンと違ってホールの容積が桁違いに大きい。向野さんの歌声が美しく伸びて、空間を一杯に満たすのが本当に快い。
- この人はサロンでも聴いているが、これほどの声とは(実は)認識していなかった(恥)。<(_ _)>
- ややオペラ寄りの、朗々としたスケールの大きい歌唱で、この曲の美しさにあらためて胸が熱くなる思いがした。
- この人はサロンでも聴いているが、これほどの声とは(実は)認識していなかった(恥)。<(_ _)>
- (2) 3つの無伴奏合唱曲
- 大束省三(指揮) 北欧合唱団
- 大束先生は傘寿も間近でいらっしゃるはずだが、それを思わせない、表情豊かな指揮。
- 合唱団は16人ほど、大束先生に一生懸命ついて行かれるひたむきな様子に感銘を受けた。
- 合唱団は16人ほど、大束先生に一生懸命ついて行かれるひたむきな様子に感銘を受けた。
- (3) ルーネベリの「牧歌と警句」による5つの歌曲
- 向野由美子(M-S) 和田記代(P)
- 作曲者が妻との婚約中に彼女に捧げた第2曲は、高らかに誇らしく愛を歌い上げる曲。その後半、ややテンポを上げて実に輝かしく歌い抜かれた、素晴らしい歌唱!
- 静かな悲しみを歌う第3曲の翳りや、ドラマティックな振幅を持つ第4曲での表現も見事。
- 1895年というステーンハンマルの創作の比較的初期に書かれた作品だが、それゆえに、音符の端々からこぼれ落ちるような瑞々しい情感がある。
- 向野さんの素晴らしい声が、それを間然とすることなく明らかにしていたと思う。
- 静かな悲しみを歌う第3曲の翳りや、ドラマティックな振幅を持つ第4曲での表現も見事。
- (4) ヴァイオリン・ソナタ
- 青木調(Vn) 和田記代(P)
- この曲もサロンで聴いているが、その時と同様の見事な演奏。
- 青木さんのヴァイオリンは、第1楽章冒頭こそやや硬さを感じたが、ホールの大きな空間を得た高音の美しい伸びや、第3楽章での音楽の自在な躍動感は前回以上と思われた。
- ピアノの濃やかなサポートも素晴らしく、2人の名演にあらためて感激させられた。
- ここで休憩、前半は1曲目を除いてステーンハンマルの創作活動の初期(前半)に属する作品、後半は盛期(後半)の作品から。
- 青木さんのヴァイオリンは、第1楽章冒頭こそやや硬さを感じたが、ホールの大きな空間を得た高音の美しい伸びや、第3楽章での音楽の自在な躍動感は前回以上と思われた。
- (5) 歌曲集「歌と印象」より5曲
- 向野由美子(M-S) 和田記代(P)
- 「牧歌と警句」~より書法が練達を加えているのが聴いていてよく判る。
- 詩人の創作の苦闘を謳う「星」の力強さや、船乗りの歌である「船は行く」・「幸福の国への旅」での闊達さなどが、向野さんの表現力を得て十全に歌い抜かれた。
- 詩人の創作の苦闘を謳う「星」の力強さや、船乗りの歌である「船は行く」・「幸福の国への旅」での闊達さなどが、向野さんの表現力を得て十全に歌い抜かれた。
- (6) 「晩夏の夜」
- 松尾優子(P)
- 松尾さんによるこの曲の演奏も、前にサロンで聴いている。
- その時同様、彼女のほの暗く暖かい音色は曲趣にふさわしく、また、更に練り上げられている印象を受けた。
- 5曲からなる小曲集だが、曲間を空けずに弾かれたことも風情があった。
- その時同様、彼女のほの暗く暖かい音色は曲趣にふさわしく、また、更に練り上げられている印象を受けた。
- (7) 2つのセンチメンタル・ロマンス
- 青木調(Vn) 和田記代(P)
- 第1曲が、ややゆっくり目のテンポで弾きはじめられたとき、胸がいっぱいになった。これこそ理想のテンポ! 休憩前のソナタ同様、高域の美しい伸びは感涙もの!!
- ただただ、「酔わせて」いただいた。心から感謝したい。
- ただただ、「酔わせて」いただいた。心から感謝したい。
- (8) スウェーデン狂詩曲「冬至祭」(室内楽版)
- 青木調(Vn) 向野由美子(M-S) 松尾優子・和田記代(P)
- もとはオーケストラと合唱のための曲だが、演奏者による編曲で。
- 小編成のわりに聴き映えがするのはヴァイオリンが入っているからだろう。民俗音楽の調べには、やはりヴァイオリンがふさわしい。
- 終結の高揚感も素晴らしかった。
- 小編成のわりに聴き映えがするのはヴァイオリンが入っているからだろう。民俗音楽の調べには、やはりヴァイオリンがふさわしい。
- とにもかくにも、これだけの高水準の演奏で、ステーンハンマルの代表的な作品を聴かせていただければ、もう言うことはない。
- 今年秋から、またサロンコンサート・シリーズが始まり、来年9月に、今日のホールで再び「スウェーデン音楽の調べ」が予定されている。
- 各回の演奏者は若手の実力者揃いとのこと、大いに期待したい。
- それにしても、今日の演奏者を、ぜひ管弦楽付きで聴いてみたい…というのが参集した北欧音楽好きの一致した意見。
- 宝くじで3億円当てて、指揮者とオーケストラと合唱団を雇って(できれば指揮者は北欧から招聘したい)、3日連続でステーンハンマル・フェスティヴァルだ!と、妙な盛り上がり方をしてしまった(汗)。
- ちょっとプログラムを想定してみると、
- 1日目
- 2つのセンチメンタル・ロマンス
- P協第1番
- 交響曲第2番
- (アンコール)交響曲第3番(断章)
- 2日目
- セレナード
- P協第2番
- (アンコール)「歌」間奏曲
- 3日目
- 序曲「エクセルシオール!」
- スウェーデン狂詩曲「冬至祭」
- カンタータ「歌」
- (アンコール)スヴァーリエ(合唱版)
- といった感じか。
- これでも、交響曲第1番や劇音楽「チトラ」が漏れている…
- 2曲のオペラ、「ティルフィング」や「ソルハウグの宴」の演奏会形式上演も…
- と、夢は果てしない。
- 宝くじで3億円当てて、指揮者とオーケストラと合唱団を雇って(できれば指揮者は北欧から招聘したい)、3日連続でステーンハンマル・フェスティヴァルだ!と、妙な盛り上がり方をしてしまった(汗)。
投稿者 seikaisei : 2005年07月03日 22:54
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