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2005年08月09日

ノラス、ヴァユリネンの新譜

ラルフ・ゴトーニ(指揮 & P) アンサンブル
サッリネン;「バラバの対話」(cpo)
新譜の棚から北欧ものということで手に取ってみると、アルト・ノラス(Vc)とミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)が参加しているので、買わざるべからず。
調べてみると、既にノルディックサウンド広島のニューズレターには掲載されている。すっかり失念していたようだ。
バラバはキリスト受難の際、身代わりに釈放された極悪人。
祭の時には、総督群衆の望にまかせて、囚人一人を之に赦す例あり。
ここにバラバといふ隠れなき囚人あり。されば人々の集まれる時、ピラト言ふ
『なんぢら我が誰を赦さんことを願ふか。バラバなるか、キリストと称ふるイエスなるか』(略)
祭司長・長老ら、群衆にバラバの赦されん事を請はしめ、イエスを亡さんことを勧む。
総督こたへて彼らに言ふ『二人の中いづれを我が赦さんことを願ふか』
彼らいふ『バラバなり』
ピラト言ふ『さらばキリストと称ふるイエスを我いかにすべきか』
皆いふ『十字架につくべし』
ピラト言ふ『かれ何の悪事をなしたるか』
彼ら烈しく叫びていふ『十字架につくべし』」(マタイ傳福音書第二十七章)
このくだりはバッハ;マタイ受難曲でも非常に劇的な場面であり、群衆(合唱)の「バラバを!」の叫びは肺腑をえぐる。
聖書にバラバはそれ以上登場しないが、彼がその後どう生きたか?というテーマは人々の関心を呼ばずにはいないだろう。
早くから「バラバは改心し、熱心にキリストの教えを述べ伝えて殉教した」という伝説が発生し、下っては20世紀スウェーデンの文学者ラーゲルクヴィスト『バラバ』を著してノーベル文学賞を受け、更にそれが映画化されたこともある。
本作は、ナーンタリ音楽祭の委嘱に基づき、ラッシ・ヌンミと作曲家がテキストを書き下ろし(フィンランド語)、2002~2003年に作曲された。
「夜想曲」「復活祭 I」「復活祭 II」「復活祭 III」「パ・ド・ドゥ」「パッサカリア」「終曲」の7つの「対話」からなるオラトリオ的な構成。
5人の歌手と1人の語り、アコーディオン、Vn、Vc、Fl、Cl、Perc、Pのアンサンブルによって演奏される。
2004年6月12日、ナーンタリ音楽祭での録音。

投稿者 seikaisei : 2005年08月09日 18:31

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