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2005年08月06日

『圓生の録音室』

京須偕充『圓生の録音室』(青蛙房)
毎回更新を楽しみにしている唐沢俊一氏の裏モノ日記7月11日の項で「私の青春の愛読書のひとつ」と紹介されていた書籍。
 落語界に残る大業績のひとつ『圓生百席』のレコードを製作したCBSソニーのプロデューサー(当時)の製作記録である。自分が惚れ込み、入れ込んだ芸を、レコードという商品のカタチにしていく手順を、最初の交渉の段階から製作の作業、商品化に至るまでの(トラブルをも含めての)一切を克明に、冷静に、しかし興奮を秘めて記した一書。
(略)およそものを製品に作り上げるという行為に関わっている全ての人必読の書であるが、これを十数回読み直しながら、『いつか自分もこういう仕事がしたい』と思っていた。
音盤製作に関わる傑作ドキュメンタリーということならば読まざるべからず、と日本の古本屋で捜してオーダーしたところ、あっという間に届いたもの。
さっき調べていて、中公文庫に入っている(品切れ?)ことを知った。
巻を披くや擱く能わず、一気に読了。実に面白かった。
自ら編集に立ち会い、ちょっとした「間」のタイミングにもこだわり抜いた圓生が、いつもと違う録音技師に対して見せた反応、
出囃子に唄が入るときには自分が唄うと言いはって、それじゃ辻褄が合わないと反対するプロデューサー(著者)に「どうも今の方てえものは理が勝ちすぎていけませんね。お囃子は愛嬌なんですから、まァ遊びてえことで……。唄は下手くそでも、本人がやってるんだから言いじゃァありませんか」と押し切るところ、
「百席」30巻の構成を、手作りのノートに定規で線を引き、暇があればノートを見つめて想を練り、検討を重ねてはノートを作りかえした、その几帳面さ。 等々
たしかに「いつか自分もこういう仕事がしたい」という気持ちになるのが、実によくわかる(もちろん落語ではないけれど)。
あ、でも『三遊亭圓生人情噺集成』、欲しいかも…(自滅)。

投稿者 seikaisei : 2005年08月06日 18:24

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