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5月5日(祝): ウィーン旅行第4日。かなり涼しくなっている。
 

 今日は開演が午前11時なので、ゆっくり準備をしてコンツェルトハウスへ。

 

(コンツェルトハウス外観) (2階席を見上げる) (挨拶するフェドセーエフ)

 

今日の演奏者は、
ウラディミール・フェドセーエフ(指揮)
ウィーン交響楽団
曲目は、
ブラームス;ハイドン変奏曲
マーラー;交響曲第5番
というもの。
 
今日の座席は、1階下手寄り、前から4列目。
チケットの表記は"Parterre Links"の2列目だが、前に"Cercle"という区分で2列あるので、実際には4列目に当たる。
 
プログラムを見ていると、Vcに"Kentaro Yoshii"という日本人名を発見…と思っていたら、その人がトップサイドに座っておられた。
舞台に近すぎて楽員がよく見えないのだが、Cbは6本ではなかったか。それ以外は数えられず。
楽員の間にチラッとHrnが見える。吹き口の近くにクルクル丸まっている管があるので、やはりウィンナか?
 
ハイドン変奏曲は、至極柔らかい感じの音楽。
第4変奏では、弦合奏が特にひそやかに奏された。
金管と弦の縦の線がずれている感じがしたが、これは自席から楽器までの距離が倍ほど違うことからくるタイムラグだろうか?
 
ウィーン響は、もちろん下手ではないのだが、やはりウィーン・フィルとは差を感じる。
特にウィーン・フィルの弦合奏の渋い美しさは、ちょっと特別としか言いようがない。楽器の問題もあるのか。
また、ウィーン・フィルは普段から楽友協会ホールで演奏していることからくる違いもあろう。互いの音を聞き合うこと、和音を作る感覚の錬磨という点では、コンツェルトハウスでは苦しいと思う。
 
コンサートマスターはかなり上手いが、キュッヒル、ホーネックには少しだけ及ばないかも。
また、今日のオーケストラは、第1Vnの後ろの方の奏者が、あまりやる気なさそう。
これは、フェドセーエフが偉いと言っても、そこまで燃え立たせるだけのカリスマがないせいなのか。今期限りで退任することが決まったあとだからか(→ここを押して)。
 
最終変奏は、なかなかいい感じで始まり、盛り上がって終わる。
今日の席だと音のエネルギー十分。ここは京都のホールよりずっと良い。一昨日もこの席だったら…と残念。
 
マーラーでは、舞台上の人数が一気に増加。
Cbが8名に増えたようだ。やはりHrnがチラッと見えたが、ダブル・ホルンである。持ち替えたのか、もともと非ウィンナなのか?
 
第1楽章冒頭、独奏Trpは柔らかい音でしかも高音までバッチリ決まる。感心。
終演後、楽器別に起立したとき、彼に大喚声が浴びせられたが、なるほどの出来栄え。
 
シンバルが一打ちしたあと、最初の総奏が、それはそれは素晴らしい音響の「爆発」で溜飲が下がる。こういう音楽が聴きたかった!
同時に、今日の演奏全体が素晴らしい出来になることを予感。
弦だけになっての葬送主題は、ppの柔らかい音で、これまた素晴らしい。
 
こういう音を引き出せるフェドセーエフがウィーン・フィルを指揮したら、どうなるのだろう? ぜひ聴いてみたいのだが、メジャー・レーベルとの関係もない彼について期待できることではなかろう…(残念)。
 
続く第2楽章も通じて、オーケストラの充実度は非常に高い。
管弦楽の機能性を十分に発揮し、音響に陶酔したようなマーラー。
実は苦手な曲なのだが、まったく長いと感じなかった。
 
最も苦手な第3楽章は、やはり長さが辛い(汗)。
音楽に乗りきれず、コンサートマスターと後席の奏者の間に、わずかな音のずれ(発音のタイミングだけでなく表情についても)があることに気がいったりしてしまう。
 
第4楽章、いつもの美しいレガートのppで始まる。
期待どおりの美しい演奏だが、思いの丈を吐露するような、陶酔の極み、逸脱、耽美の趣は、やはり無し。
楽章のクライマックスも、盛り上がることは盛り上がるが、コントロールの範囲内。
 
第3・4楽章でフェドセーエフは指揮棒を使わなかった。これは前々日の第6番でも同様。
 
第5楽章は、再び第1・2楽章のような、管弦楽の機能性を発揮した痛快なもの。
ともかく大満足の演奏会だった。
 
後で家人とも話し合ったが、フェドセーエフのマーラーは、ある意味、テンシュテットバーンスタインの対極に近いものである。
激情性・エモーショナルなものを排し、構築性・秩序だったものを志向する。
指揮姿を見ている上では、かなり力も入っていたし唸り声も聞こえていたが、フェドセーエフの中にマーラーへの共感はないだろう。
むしろ、「自分ならこういう音楽にする」という強い意志、挑戦の意志があるのではないか。

 

(フィガロハウス案内板) (フィガロハウスの前で) (エーリヒ・クライバーの銘板)

 

 今日からザルツブルクで2泊する同行者2人を見送りにウィーン西駅へ行く。ブダペシュト行きの特急「ベラ・バルトーク」号というのを見つけて苦笑。
 
 市街地中心部へ引き返して、モーツァルト旧居・フィガロハウスを訪問する。
 ずいぶん貧相な建物の2階で、内部もガランとしたもの。少々感慨にふける。
 土産物を少し売っており、家人は小冊子を購入。CDはありきたりのもののみ。
 
 このあたりの街路面に、著名な音楽家の肖像と生没地と年月日が入った銘板がはめ込まれている。指揮者ではブルーノ・ワルターエーリヒ・クライバーユーディ・メニューインを見つけた。
 クラウディオ・アバドのものもあり、もちろん生年・生地しか入っていないが、「万一」の折りには作り直すのだろうか?
 

 シュターツオーパーの一郭にあるアルカディアに入る。CDでは、場所柄、PREISERレーベルの歴史的声楽録音のシリーズが大量にある。器楽はごくわずかで、ありきたりのメジャー・レーベルのものが多い。

ミヒャエル・レッシュキー(指揮)ウィーン・ユンゲ・フィル ほか
マーラー;交響曲第4番(UNIQA)
とにかく日本では買えないものを…と思うが、ORFレーベルのウィンナ・ワルツ珍品集くらいしか見あたらない。
ようやくメジャーなシンフォニック・レパートリーを見つけてホッとし、フラフラと買ってしまう。これを京都の音盤屋で見つけても買わないかもしれないが…(苦笑)。
ソプラノは Akiko Nakajima と日本人、独奏Vnは Wang-Yu Ko と(おそらく)韓国人というのが何とも現在的である。
2001年7月のライヴ録音。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)南西ドイツ放送響
ワーグナー;管弦楽曲集&シェーンベルク;室内交響曲第1番(haウムラウトnssler)
"faszination musik"シリーズだが、この2枚組は日本に入ってきていただろうか? マルPは2001年だが見た覚えがないので購入。
ワーグナーは、次のようなもの。
『ニーベルングの指環』(管弦楽抜粋)(1984年11月27日〜12月1日)
「ワルキューレの騎行」「ヴォータンの告別」「ジークフリートのラインへの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」など9曲(約48分)。
『パルジファル』(管弦楽抜粋)(1989年5月26日)
第1幕前奏曲第1幕終曲第3幕前奏曲聖金曜日の音楽ティトゥレルの葬送行進曲など6曲(約41分)。
レーベルの公式Webpageにも、まだ掲載されていないようだ。
 
また、書籍を1冊購入。
Harrietta Krips
"Josef Krips 53 Jahre am Dirigentenpult"(Harrietta Krips)
一昨日、回想録を買ったヨーゼフ・クリップスの全指揮データ。
コピー(? 片面印刷)を螺旋綴じしただけの造本だが、貴重な記録であろうと購入。
今年が生誕100年に当たることの記念として、クリップス夫人が自費出版したもののようだ。

 

(スターバックス・カフェ) (マーラーの帽子) (クナッパーツブッシュの指揮棒)

 

 家人の提案により、シュターツオーパー裏のザッハー・ホテルのカフェで、本家のザッハー・トルテを食す(笑)。
 
 ホテル近くのハウス・デア・ムジークへ行ってみる。
 まず2階のウィーン・フィル資料館。マーラーの帽子、クナッパーツブッシュ等の指揮棒など貴重なものが収蔵されている。「ブルックナーが持っていた、ワーグナーの写真入りのマッチ箱」なるものもあり。
 
 続いてウィーンゆかりの作曲家コーナーや、音づくり・音遊びのコーナーがある。後者の仕掛けは面白そうだが、説明書きがわからないので、何をどうしたらどう遊べるのかわかりづらく、疲れる。
 
 更に有名なバーチャル指揮者コーナーに。アンネン・ポルカを振るが、テンポが定まらず、ウィーン・フィルに叱られて終わる(苦笑)。
 家人もラデツキー行進曲に挑戦、最初の小太鼓あたりは調子良かったが、やはりブーイングを受けてしまう。
 ひょっとしたら、1小節を幾つで振るか既に設定されており、その設定が曲の進行につれて変化するとおりに、1つ振り、3つ振り等と、振り分けていかないといけなかったのかもしれない。それを我々は、ずっと同じペースで振ろうとするので失敗したのではなかろうか。

 最上階がミュージアム・ショップになっており、かなり広いが、あまり面白いものはなかった。CD1枚のみ購入。

レオポルト・ハーガー(指揮)ウィーン放送響
ワルツ集(ORF&BAYER)
日本では見かけない盤といっても、ありきたりのウィンナ・ワルツ集では買う気になれないが、これは収録曲が多様なので購入。
演奏順に、
ヨハン・シュトラウス(父);ワルツ「チボリ・ルーチュ」
ランナー;シュタイヤー舞曲
ヨハン・シュトラウス2世;ワルツ「ウィーンの森の物語」
ヨーゼフ・シュトラウス;ワルツ「うわごと」
チャイコフスキー;花のワルツ
シベリウス;悲しきワルツ
R・シュトラウス;「薔薇の騎士」より第1ワルツ集
ラヴェル;ラ・ヴァルス
ショスタコーヴィッチ;「ジャズ組曲第2番」より第2ワルツ
を収めている。
1999年、オーストリア放送とバイエル製薬の共同製作らしい。

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