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5月7日(火): ウィーン旅行第6日。
 
 いよいよ明日朝には出発なので、今日が事実上のウィーン最終日。まだまだ見たいところも多いのだが、次の機会を期すことにして、行き先を美術史博物館に絞る。
 

 途中、再度アルカディアに寄り、一昨日から気になっていたCDを購入。

アンヌ・ガスティネル(Vc)ピエール・ローラン・エマール(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ&R・シュトラウス;Vcソナタ(VALOIS)
先だってシューマン;Vc協 ほかのCDを買ったガスティネルにラフマニノフの録音があり、しかもピアノが現代音楽の名手エマールというので気になっていたもの。
一部の通販サイトでは買えるようなので5日には見送ったのだが、やはり見たときに買っておかないと、万一入手できない場合に、後悔先に立たなくなるので、購入。
1993年の録音である。

 美術史博物館の収蔵品の量と質は驚異的。カラヴァッジョ、デューラー、クラナッハ、ルーベンス、ベラスケス、フェルメール等々、どの部屋一つとっても、日本へ持ってくればそれだけで大きな展覧会になるのではないか。
 ブリューゲルの「農民の婚宴」「雪中の狩人」、アルチンボルドの「夏」といった、よく教科書とか音盤のジャケット等で見る絵が当たり前のように並んでいる。
 
 斉諧生的には、イタリア・ルネサンスのラファエロティツィアーノあたりの明るい美しさが好みである。
 また、ベルリオーズの歌劇の主人公にもなったイタリア・ルネサンスの風雲児、ベンヴェヌート・チェッリーニの代表作である美麗な塩入れの実物を目にすることができたのは嬉しかった。この作品のことは彼の自叙伝(岩波文庫)にも出てくる。
 
 とても2、3時間くらいでは足りず、更に再訪を期す。
 もちろんミュージアム・ショップを見過ごすことはできず(笑)、親戚の子供用に上記アルチンボルド作品のジグソー・パズルを購入。また当館所蔵の古楽器の音を収録したCDも並んでいたが、これは見送り。
 
 別行動をしていた同行者2人と落ち合うためにシュターツオーパーに向かう途中、スタインウェイ・ウィーン支店の店先を通る。とても中に入ってピアノを触る勇気はなかったが、ウィンドウにオリジナルのCDが飾ってあるのを見つけ、つい入店。
 訊ねてみるとCD-ROMだという。それでもよいと言う家人が購入。
 
 同行者がウィーンでガイドに聞いた情報では、毎日、午後1・2・3時にシュターツオーパーの内部見学ツアーがあるというので、3時前に集合することにしたのだが、どうやら間違いらしく、それらしい様子はなかった。自分たちが見たシュターツオーパーの張り紙では、決められた日に1、2度、不定期に催される様子だったが、やはりそれが正しかったのである。
 シュターツオーパーは外から眺めるだけになった。これまた次の機会までお預け。
 

(美術史博物館の前で) (カフェ・デーメル) (ミネラルウォーター)

 

 次に再度、EMIオーストリアへ。前回は時間が十分になかったので、今日はじっくり見るつもり。

トーマス・クリスティアン(Vn)シュテファン・ブルニエ(指揮)ケルン放送管
ラロ;Vn協第1番 ほか(Sony Classical)
メジャー・レーベルのものだが見たことのないものなので購入。オーストリア・ソニーの国内製作盤であろうか。
ヴァイオリニストは1951年リンツ生れ、ハイフェッツに学んだこともあるという。現在はウィーン市立音楽院やデトモルト音楽院で教職にあるとのこと。
標記のほか、ロマンス・セレナードバレエ幻想曲ノルウェー幻想曲など、ラロの珍しい作品が収録されているのも嬉しい。
2001年8〜9月、ケルン・西ドイツ放送局での収録。
 
トーマス・フューリ(Vn)ジェラルド・ヴィス(P)
クライスラー;Vn作品集(Novalis)
カメラータ・ベルンのリーダー、フューリの独奏盤があったので購入。このアンサンブルは清冽な響きが美しいので、彼の独奏にも期待できるのではないか。
全20曲を収録、「美しきロスマリン」「愛の喜び」「愛の悲しみ」などポピュラーなものから、あまり名前を聞かないものまで幅広い作品を収めている。
2001年7月の録音。

 

 4人揃ってフォルクスオーパーへ。斉諧生にとっては久しぶりのオペラ鑑賞になる。
 1階ロビーにアルカディアが店を出しているが、めぼしいものはない。

今日の演目は、
ブリテン;真夏の夜の夢
というもの。
指揮はハンス・ドレヴァンツ、N響にちょくちょく客演していた人である。
オベロン王ヨッヘン・コヴァルスキーが歌っており、意外なビッグネームに吃驚(失礼)。
なお、ドイツ語による歌唱であった。
 
3階の後ろ寄りの席だが、舞台はちゃんと見える上に、音も非常に近く聴こえ、音響的には問題なし。お買い得の場所といえよう。
もっともオーケストラボックスは、身を乗り出して、やっと舞台に近い席が見える程度。指揮者は全く見えない。
 
夢幻的な雰囲気の短い序曲で幕が開くと、悪戯者パックが妖精の女王タイタニアの侍女たちにからかわれているシーン。
なんだかモーツァルト;魔笛ワーグナー;ラインの黄金のようだが、もちろん音楽は全く異なる。
パックは衣装、身のこなしも道化師のような趣。野田秀樹を連想した。
パック以外の妖精たちの衣装は、三宅一生を思わせる、縦皺の加工がされた生地を用いた、花瓶のようなシルエットのドレス。
 
名前しか知らない曲なので、演奏・演出の良否は云々できないが、ブリテンの才気あふれる音楽に感心し、奇抜すぎず退嬰すぎず、受け入れやすい演出を愉しんだ。
二重の回転舞台で、外側に螺旋状にせり上がっていく通路のようなものを建てて森をあらわし、その隙間が木立のイメージで、妖精や森の住人が出入りする。よく考えられた演出プランに感心した。
内側の舞台には、時にタイタニアの住む繭のようなものが、セリを使って姿を現す。
 
歌手・オーケストラとも破綻はないが、さほど上手くもない感じ。
管弦楽のドイツ風の音色感はブリテン本来のものではないが、不思議なものでドイツ語歌唱にはしっくりしていた。
 
ともあれ、内容の良い公演で少しも飽きることがなく、一同、大いに満足した。
なお、第1幕途中で、少し向こうの席の人が倒れて担ぎ出される騒ぎがあり、驚いた。

 


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