音盤狂日録


5月30日(土): 『Yahoo! Internet Guide』7月号で見つけた「ウルトラセブンの部屋」からデスクトップ・テーマをダウンロード、Windowsの起動ロゴ等をセブンのタイトル・バックに入れ替えてみる。
 斉諧生は幼稚園の時に初代ウルトラマンの放送を見始めたウルトラマン世代、なんとも懐かしい。
 色の変わり方などぎこちないが、「青空とWindows」よりは気持ちがよい。

 

茂木大輔(Ob)ほか、モーツァルト;Obと弦楽のための作品集(FONTEC)
茂木@N響の録音なので買ってみる。
25日の項に書いた『オケのなかの蛙、大海に挑む』@中央公論社に、この録音の顛末が記されており、なかなか面白い。
オーボエ四重奏曲K.370以外に「グラン・パルティータ」K.361「ナハトムジーク」K.406のオーボエ五重奏編曲版を収録。
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパン、バッハ;カンタータ全集第7巻(BIS)
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパン、ブクステフーデ;カンタータ「キリストの御体」(BIS)
BCJの新録音2点を購入。
バッハは、しばらく前に発売されていたが、タワーレコードが安いだろうと見当をつけて入荷を待っていたのだが、他店よりわずかに安い程度だったのでがっかり。

5月25日(月): 茂木大輔@N響『オケのなかの蛙、大海に挑む』@中央公論社を購入、一気に読了。
 妙なタイトルだが、中心となるのは1994〜1997年のN響演奏旅行やリサイタル、レコーディング前後の日記スタイルのエッセイ。
 前作までの筒井康隆山下洋輔*風*スラップスティックのお遊びが後退し、職業演奏家の厳しさや孤独感が浮かび上がってくる章が多い。
 DECCA録音(プロコフィエフ;交響曲第6番)を控えたヨーロッパ演奏旅行でデュトワにシゴき抜かれる話漆原啓子豊嶋泰嗣向山佳絵子という面々との共演で(モーツァルト;Ob四重奏曲ほか)ソリストとオーケストラ・プレイヤーとの落差に冷汗を流す話(これが書名につながる)、等々。
 「スーパー・ライヴ」(FONTEC)としてCDになっている初リサイタルの準備段階には

「定期預金を解約して会場費の前納分を支払い…動員80パーセントで、赤字150万以内、という計算をし…」

などという話が出てきて、貧乏書生の斉諧生など震え上がってしまうのである。

 

ダニエル・バレンボイム(P、指揮)ベルリン・フィル、モーツァルト;P協第14・15・16番(TELDEC)
バレンボイムのモーツァルト再録音シリーズの続きが出たので購入。
ゲオルク・クーレンカンプフ(Vn)ハンシュ・シュミット・イッセルシュテット(指揮)ベートーヴェン;Vn協&シューマン;Vn協(DUTTON)
イッセルシュテットはSP期から独テレフンケンの中堅どころとして活躍、ベルリン・フィルとも多くの録音を行っていたが、現代に生き残っているのはクーレンカンプフの伴奏盤だけになってしまった。
特にシューマンは、初演を託されたヨアヒムが「作曲者の死後100年を経るまで上演を許さず」と遺言したため長く忘れられていたところ、1937年に封印が解かれることとなった際、メニューインらと初演を争ったいわくつきの録音。
以前にTELDECからも復刻されていたが、DUTTONの音に期待して、再度購入。
一聴してみたが、やはりDUTTON盤がSPの音を生かした美音。
浦川宜也(Vn)岡本美智子(P)ルクー;Vnソナタ&フランク;Vnソナタ(FONTEC)
ルクーの新録音なので、まず購入。
浦川さんは、バンベルク響のコンサートマスターを務めたこともあり、ドイツ物が得意にしてきた人だが、どんなルクーを聴かせてくれるか、楽しみ。
フランク・ヤールシュフェルト(Vn)ヨハンネス・ソー・ハンセン(P)ニールセン;Vnソナタ&ランゲ・ミュラー;VnとPの幻想小曲集(CLASSICO)
24日の項に書いたランゲ・ミュラーの室内楽の代表作を収めた盤を見つけたので購入。
ロマネスカ、「ファンタスティクス」(HMF)
御贔屓の古楽系ヴァイオリニスト、アンドルー・マンツェの新録音、買わざるべからず。
副題は「17世紀イタリアのヴァイオリン音楽」、パンドルフィやフレスコバルディらの曲を収録。
ジェラール・プーレ(Vn)アルト・ノラス(Vc)ほか、フロレンツ;無伴奏Vcのための「タマリスクの天使」ほか(ARION)
FINLANDIAの専属と思っていたノラスの録音が、何と仏ARIONから出ていたので、迷わず購入。
クルターク、リゲティ、ペッソンといった現代曲を収録。

5月24日(日): クラシック音楽とテレビCMについては21日の項にも書いたが、今日は今日で、「アリナミンEX」チャイコフスキー;交響曲第5番(第4楽章のコーダ)が使われていた。
 その直後にサッカーのキリン・カップ中継を見たのだが、タイトル・バックがオルフ;「カルミナ・ブラーナ」(第1曲)だった。
 少しづつではあっても、クラシック音楽が根付いてきていると思ってよいのだろうか?
 今日も昔話を少し。
 上記の「カルミナ・ブラーナ」、どこの会社だったか、トラックのCMの音楽に使っていた。しかも、マイク・タイソン(それも全盛期の)をキャラクターに据えて! で、その直後にタイソン初来日、さあ、という段になったのだが、東京ドームでタイソンが負けてしまい、CMも*すぐさま*お蔵入り。(^^)
 昔話その2。
 三菱自工という会社は、なぜかエンジンをメインに広告を打つ伝統がある。

近頃では「GDIエンジン」。普通は車種の広告しかしないもの、トヨタだって「ハイブリッド・エンジン」ではなくて「プリウス」を宣伝しているのだ。

 1980年代半ばと記憶するが、「サイクロン・エンジン」というのを開発、そのCMがTVで流れると、台所仕事をしていた母がわざわざ「えらい派手な音楽やなぁ」と言いにきた。
 その音楽とは…ブルックナー;交響曲第8番第4楽章冒頭

 

シクステン・エールリンク(指揮)イェーテボリ響ほか、ローセンベリ;交響曲第4番「ヨハネ黙示録」(CAPRICE)
下記の更新作業の「ながら」聴きだったので、ちょっと申しわけないのだが、こういう絶叫調の音楽はあまり好むところではない。
もとより「北欧らしさ」を求める曲ではないにせよ、もっと凝集した緊張感がほしいものだ。
ただし、合唱はとても美しい。終曲など、ちょっと聴き惚れてしまう。シンバルやタイコを鳴らさず、ア・カペラで終わらせれば良かったのに。
ロリン・マゼール(指揮)ベルリン・フィル、ワーグナー;管弦楽曲集(BMG)
以前、TELARCに入れた『指環』ハイライトの記憶と異なり、比較的重心の高い音造り、ちょっとベルリン・フィルとは思えない。いや、ドイツのオーケストラと思えないくらいだ。
だから、最も上出来なのは「ローエングリン」第1幕前奏曲
「タンホイザー」序曲は、パリ版に基づいてバッカナールへ接続するため、聴きたいところが聴けないもどかしさ。あの、コーダのトロンボーン・ソロ、ベルリン・フィルの金管で聴きたかったのに。
「ジークフリートの葬送行進曲」は、結尾が珍しい版、ピアニッシモのまま弾き伸ばされて終わる形。とはいえ、この演奏から特別な聴体験をすることは出来なかった。
やはりマゼールに「ワーグナー・サウンド」を求めるのは、こちらの間違いなのだろうか。それとも、ベルリン・フィルの無国籍化が行き着くところまで行ってしまったのだろうか。
ミヒャエル・シェーンヴァント(指揮)デンマーク国立放送管ほか、ランゲ・ミュラー;劇音楽「昔むかし」(MARCOPOLO/dacapo)
上記のローセンベリとは正反対に、こちらは、いとも平明、グリーグ;「ペール・ギュント」みたいな音楽世界である。
*これぞ*というナンバーはないが、実に楽しく、気持ちよく聴けた。
この人の作品、もっと聴いてみたいものだ。
ワディム・レーピン(Vn)イェフディ・メニューイン(指揮)モーツァルト;Vn協第2・3・5番(ERATO)
こういう豊麗なモーツァルトを聴くのは久しぶりだ。ふと、LP時代に聴いたオイストラフを思い出した。
古楽器派のスタイルへの顧慮などカケラもなく、それどころか、古典派とか何とかすら頭にないような、ひたすらヴァイオリンを美しく鳴らしてゆく。ここまで徹底すれば、かえって割り切って、こちらも気持ちよく聴けるというもの。
メニューインの棒も、そうしたアプローチにふさわしく、暖かくオーケストラを鳴らした、実に気持ちのよい音楽。
ユリウス・ベルガー(Vc)アントニ・ヴィット(指揮)ブロッホ;「シェロモ」ほか(ebs)
たしか、この曲をまともに聴くのは初めてだったと思う。
ちょっと映画音楽に似た(「ベン・ハー」みたいな)調子で、どうも…。
ベルガーのチェロは立派な出来、これはさすが。
アルト・ノラス(Vc)アリ・ラシライネン(指揮)ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(FINLANDIA)
これは大いに推薦したい盤
第1楽章冒頭は"p"指定に則って軽く始めるが、次第に熱を帯び、力感十分に展開してゆく。
要所要所でのティンパニの打ち込みも鋭く、快感。
ホルンもよく吹いているが、高音域で音色が崩れるのが惜しい。中低音域では北欧の金管らしい寂声(さびごえ)が素晴らしいのだが…。
第2楽章でのノラスの訴求力を何と書けばよいのだろう?
第3楽章は、全部がチェロのカデンツァだが、ピツィカートのニュアンスが奥深い一方、後半の追込みの迫力も凄まじい。
第4楽章は、「息をもつかせぬ…」という音楽で、迫力、スピード感に圧倒され茫然とするほかはない。
オーケストラの表現力と録音の冴えに今一つの感はあるが、ただただ、独奏の素晴らしさを聴いていただきたい。
アンナー・ビルスマ(Vc)ウェルナー・ゲヌイト(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ(独MPS、LP)
1970年代初頭、まだ頭の上に髪の毛があった頃のビルスマ(^^;
ライナーノートには楽器についてのコメントが何もないが、音から判断するに、チェロはすべてガット弦を使用、ピアノもスタインウェイやベーゼンドルファーではない(さすがにフォルテピアノではないと思うが)。
何よりガット弦の響きが楽しい。もう少し音色が磨かれておればとも思うが(再録音してほしいもの)、音程も良く、音を聴いているだけで陶然となる。
しかのみならず、節回しのセンスの良さ
第1楽章、独奏チェロ冒頭の一節のあと、ちょっと音を切って上行音型へ入るところ(11小節)、ちょっと小節を利かせてみたり(14小節)、スラーを無視してスタカートを利かせたり(137小節)、すばらしい表現力である。
第2楽章にはもう少し深みがほしい気もするが、第3楽章の優雅なテンポで不満が解消する。少しゆっくり目、まさにアレグレットというテンポなのだ。
冒頭、チェロが付点四分音符と八分音符の音型を繰り返すが、付点四分音符に付されたアクセント記号を無視、軽く<>をつける感じで奏することによって、ちょっと舞曲風の音楽が生み出されている。
この時期のビルスマの録音、CD化されないものか。
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)コダーイ;無伴奏Vcソナタ(洪HUNGAROTON、LP)
この曲も、まともに聴くのは初めてだったか。これほど巨大な曲とは思わなかった。
文字どおり、チェロ1本がオーケストラに匹敵する音楽をつくるのだ。協奏曲、いや交響曲のごとき世界である。
ある意味で、バッハ;無伴奏組曲の塁を摩するといっていいのではないか。
第2楽章の民俗的な旋律も懐かしく、第3楽章ではバルトークあたりでお馴染みのリズムが冴え渡る。
恐るべき難曲のはずなのに、ペレーニは楽々と弾きこなし、技術上の困難さの向こうにある*音楽*を奏でてやまない。
LP時代からの定評ある演奏に、今ごろ気付いて恥ずかしいくらいだが、これは良かった。CDも出ているので、愛聴をお薦めしたい。

 そろそろ季節なので、特別企画としてトップページに山本紅雲(1896〜1993)描くところの「群れる鮎」を掲載。

 ステンハンマル作品表とディスコグラフィにピアノ曲と合唱曲・歌曲を追加、これで一応の完成とする。


5月23日(土): 新聞報道によれば、ポリグラムがシーグラムに買収されたらしい。これでDGG、DECCA、PHILIPSの3大レーベルの没落に拍車がかかるのではなかろうか。
 とはいえ栄枯盛衰は世の習い、もっと意欲的なレーベルが育った方が面白くなるとも思う。

 通販業者からLPが、Compact Disc ConnectionからCDが届く。

ピエール・アモイヤル(Vn)ジェラール・コセ(Va)アルミン・ジョルダン(指揮)ほか、モーツァルト;協奏交響曲K.364ほか(仏ERATO、LP)
アモイヤル得意のモーツァルト、コセとのK.364も美演中の美演。国内盤LPでは架蔵しているが、オリジナルのエラート盤を通販業者のカタログで発見、是非にと購入したもの。
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)イェネ・ヤンドー(P)コダーイ;無伴奏Vcソナタ・Vcソナタ(洪HUNGAROTON、LP)
TELDECから出たアルペジオーネ・ソナタに感激して以来、注目のチェリスト、ペレーニの代表盤。
CDでも架蔵しているが、1976年のアナログ録音ゆえ、ぜひフンガロトンのオリジナルLPがほしいと思っていたところ、通販業者のカタログで発見。東欧盤のせいか、格安で購入。
「往年のスウェーデンの名弦楽四重奏団」(CAPRICE)
ムリョ5枚組の大物、ちょっと負担だが、ステンハンマルの弦楽四重奏曲の録音を含んでいるとあっては外せない。
第3番バルシェル四重奏団(1951年5月27日録音)
第4番グリュンファルブ四重奏団(1964年6月6日録音)
第5番ガラグリ四重奏団(1944年5月26日録音)
第5番を演奏しているガラグリ四重奏団のリーダーこそ、後年、指揮者としてETERNAにシベリウスの名盤を遺したカール・フォン・ガラグリである。
この人は、いつか「逸匠列伝」に立伝したいと考えている。その資料にもなるだろう。
ペール・エノクスン(Vn)アンデルス・キルストレム(P)アウリン;Vnソナタほか(Musica Sveciae)
アウリンはスウェーデンのヴァイオリニストで作曲家(1866〜1914)、上記ステンハンマルの盟友、弦楽四重奏曲第1〜4番の初演者であった。
この盤は、クラシック井戸端会議「CD立体批評室」を見ているときに強く薦める人があったので、北欧音楽ファンとしては聴かざるべからず、とオーダーしたもの。
ミヒャエル・シェーンヴァント(指揮)デンマーク国立放送管ほか、ランゲ・ミュラー;劇音楽「昔むかし」(MARCOPOLO/dacapo)
ランゲ・ミュラーはデンマーク近代の作曲家(1850〜1926)。
『レコード芸術』誌5月号「海外盤試聴記」で谷戸基岩氏が
「自分の結婚式でこの作品中の何曲かをBGMで使ったほど」
と絶讃していたので、北欧音楽ファンとしては聴かざるべからず、とオーダーしたもの。

 ステンハンマル作品表とディスコグラフィに上記の弦楽四重奏曲の情報を追加する。


5月22日(金): 演奏会の後で、友人と呑みに行っての会話。

 「で、**、誰やと思う?」

前振りなしに、こういう発問をするのが、彼の癖。

 ラトルとちゃうか。」

「アバドの**のベルリン・フィルの常任」と読んでの返し。

 「やっぱりなぁ。皆そう思うのかなぁ。」

と残念そう。彼はバレンボイムのファンで、「」を期待しているのである。

 「今時分、ああいう重心の低い響きを作る指揮者は珍しい」

と力説するのだが、

 「棒は下手やからなぁ。3回のリハーサルで何でもこなす、忙しいオーケストラには、向かんやろなぁ。」

と悲観的。

 「政治力には問題ないさかい…アバドとは『禅譲』の話がついとるかもしれんで。」

 

 京都市交響楽団第404回定期演奏会(指揮:ウーヴェ・ムント)@京都コンサート・ホールを聴く。
 今日はムントの常任指揮者の任期に入って初めての定期演奏会に当たり、オール・ベートーヴェン・プロが用意されている。
 例によって当日券を購入したのだが、ポディウム席(ステージの向こう側)最前列を選択。ムントという指揮者を、しっかり見てやろうと思ったのである。
 演奏が始まってみると、しばらく音的に違和感を感じた。左右が逆というよりも、前後がひっくり返っているのが気になる。
 ところが慣れてみると、管楽器のニュアンスが豊かに、ティンパニやコントラバスの低音が高い解像度で聴こえてくるのが実に気持ちいい。
 協奏曲では少々具合悪いが、病みつきになりそうである。京響では1,500円と格安でもあるし…

さて、今日の曲目は
序曲「プロメテウスの創造物」
ピアノ協第3番(P:伊藤恵
交響曲第3番「英雄」
というもの。
聴き終わって、「やっと京響が、『当たり前のことを当たり前にできるオーケストラ』になった!」という喜びを感じた。
ムントの下で、オーケストラの士気は一層の向上を見せているようだ。
弦合奏は、以前から悪くなかったが、音程・音色とも更にレベルアップした。第2楽章でオーボエのソロが歌ったあと、小節以降に出るヴァイオリン群の深いヴィブラートを掛けた暖かい音色には感心。
木管楽器も、昔は一人気を吐いていたオーボエの呉山平煥氏が、逆に見劣りするくらいに周囲のレベルが上った(彼は今日は不調だったのかもしれない)。
ホルンなど、10年ほど前はミスをするのが普通だったが、「英雄」第3楽章のトリオでも危なげなく吹いてしまうようになった。
ムントのベートーヴェンは、モダンでコンパクトな音楽づくり、ベームにリズムの弾力性を持たせたような感じだ。
木管を倍にし、第1楽章コーダのトランペットも慣習譜で吹かせるなど、新味はないが安定したアプローチ。
基本テンポは少し早目、まったくダレたところのない「英雄」。とりわけ、アタッカで入った第4楽章では、かなり早目のテンポ設定が見事だった。
贅沢をいえば、あるいは「踏み外しも辞さない巨大さ」か、あるいは「凝集した峻厳さ」を追求して、聴き手に安心感よりも感動を与えてほしい。
とはいえ、彼は60歳にもなっていないのだから(1941年生れ)、今後の大成に期待しよう。

 今日の演奏会を演奏会出没表に追加する。


5月21日(木): ヨーヨー・マがサントリーのウィスキーのCMに出演しているそうだ。
 昔、アルバン・ベルク四重奏団を起用していたのもサントリーだったか。
 サントリーといえば、古い話になるが、黛敏郎を出演させた「メルツェン」というビールのCMで、「モルダウ」を一般大衆にメジャーな曲にしたのを思い出す。
 
 CDの企画で「映画に使われたクラシック」・「CMに使われたクラシック」というのが時々あるが、「映画に出演したクラシック音楽家」・「CMに出演したクラシック音楽家」というのはどうだろう? 

この場合において、『オーケストラの少女』『カーネギー・ホール』、あるいは『炎の第5楽章』(この映画を見た人、実はけっこう多いのでは?)といった「クラシック音楽をテーマにした映画」は除く。

 斉諧生の近所では、滋賀銀行が千住真理子をイメージ・キャラクターにしていた時期があったのを思い出す。
 女性ヴァイオリニストというのは画になるのだろう、前橋汀子も映画に出たことがあったな。最近も何かあるようだし。
 

山本直純の「大きいことはいいことだ」を知らない世代も多いんだろうなぁ。
年をとったなぁ。

 

 

ヘンリク・ハニスダル(Vn)テルエ・ミッケルセン(指揮)ニールセン;Vn協ほか(FINLANDIA)
この不遇の名曲の新録音とあらば買わないわけにはいかない。
ソリストは1955年生れ、23歳でノルウェー放送響のコンサートマスターに就任した逸材とか。
アリ・ラシライネン(指揮)のニールセン;交響曲第1番を併録。
エルマー・オリヴェイラ(Vn)「アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリ」(Biddulph)
知名度には欠けるがアメリカの実力派、オリヴェイラが米議会図書館所蔵の銘器5種(うちストラディヴァリが3種)を弾き分けるという企画。
ハードカバー仕立て、約30頁の使用銘器の解説と美麗写真附きの豪華版、ついでに値段も約4枚組分…とは泣けるなぁ(T_T)。
ヴェルナー・トーマス・ミフネ(Vc)カルメン・ピアッツィーニ(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタほか(CALIG)
アルペジオーネ蒐集も随分になっているので、これ以上、とも思ったが、ワゴン・セールのバーゲン・プライス、ついついレジへ…。
シューマン;幻想小曲集・アダージョとアレグロ・ロマンスをカプリング。

 

ヴェルナー・トーマス・ミフネ(Vc)カルメン・ピアッツィーニ(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ(CALIG)
小品集等で聴くトーマス・ミフネの傾向からして、おそらく嫋々たるシューベルトならん、と想像していたが、これほどとは思わなかった。
第1楽章冒頭のピアノからテンポの揺れを伴う漸強弱、チェロが出てくればもう愁嘆場。この味を好む人もいるかもしれないが…。
第2楽章は曲想が曲想だけに違和感はなく、むしろ心に染みるものがあるが、第3楽章は第1楽章と同じで、まったく音楽が流れないのに閉口。
ちょっとこの低徊趣味にはついて行きにくい。やはり小品の人か。

5月20日(水): ステンハンマルのページを思い立ったときにスウェーデン語の入門書とスウェーデン語日本語小辞典を買い込んだのだが、調子に乗って、フィンランド語の入門書を買ってきた(松村一登『エクスプレス フィンランド語』@白水社)。著者曰く

フィンランド語は、綴りと発音がほぼ完全に一致することばですから、ローマ字を知っている人ならだれでも学ぶことができます

コレコレ、ほんまかいな。(^^;
 
 ステンハンマルの次はシベリウス、というわけでもないのだが…

 

ヤシャ・ハイフェッツ(Vn)シャルル・ミュンシュ(指揮)ベートーヴェン;Vn協&メンデルスゾーン;Vn協(BMG)
リヴィング・ステレオ・シリーズで20-bitリマスタリングされたものが出たので、買い直し。
ユリウス・ベルガー(Vc)アントニ・ヴィット(指揮)ブロッホ;「シェロモ」ほか(ebs)
1989年録音の旧譜だが、ふと棚に発見したので購入。
ソリスト、指揮者とも知名度イマイチながら実力十分の人、期待したい。
ピエール・ブーレーズ(指揮)BBC響、ブーレーズ;プリ・スロン・プリ(ERATO)
中古音盤堂奥座敷同人・野々村さんが、クラシック井戸端会議の「クラシック掲示板」で、この曲集の第4曲「マラルメによる即興曲V」のことを「ますます『旋律っぽ』くはないんだろうけど、美しいことは確かです。」と言及しておられた。
御推奨盤を中古屋で発見したので購入したもの。

 

ピエール・ブーレーズ(指揮)BBC響、ブーレーズ;プリ・スロン・プリ(ERATO)
第4曲「マラルメによる即興曲V」のみ聴いてみる。
なるほど、まことに美しい響き。
ゲンダイオンガクがこんなに甘美でいいのか?!

5月18日(月): 寺島靖国『JAZZオーディオ「快楽地獄」ガイド』@講談社を買い、さっそく帰りの電車で読み始める。
 いやー、面白いというか、怖いというか…
 カバーにあるとおり、「400万円のスピーカー、1メートル10万円のケーブル」という調子なのだ。
 こんな危ない本を大出版社から出して、書店に平積みしたりしていいのか?
 でも、この稿料と印税で、著者は、またグレードアップに励むんだろうなぁ。

 

ベルリン・フィル金管アンサンブル(DGG)
いったん見送ったディスクだったのだが、バッハ;ブランデンブルグ協第3番の編曲を収録しているのに、今日、店頭で気がついた。
斉諧生が、曲集中、最も愛好するのが、この第3番。これは買わざるべからず。
残りはガブリエリシャイトパーセルラッススヘンデルといったバロックとヘンツェジーベルトという現代作曲家の作品。
パーセル「アブデラザール」組曲、例のブリテン;青少年のための管弦楽入門の原曲を含む組曲である。

 これも、さっそく家で聴いてみる。STAXのヘッドフォンが役に立つ。

ベルリン・フィル金管アンサンブル、バッハ;ブランデンブルグ協第3番(DGG)
バッハの偉大さは、どんな編曲でも−JAZZであっても−バッハの音楽として鳴り響くこと、と言ったのは誰だったか?
ここでも、何の違和感もなく、彼の音楽が成立している(編曲はクリストファー・モヴァートという人、詳細不明)。2楽章ではトランペットとトロンボーンが各々ソロで短いカデンツァを吹いている。
斉諧生の好みとしては、もっと低音楽器にゴリゴリモリモリ出てきてほしいのだが(特に第1楽章、これはリヒター盤の影響か)、まぁ贅沢は言うまい。
3番の次に好きなのが第6番。ホルンとトロンボーンとチューバへの編曲など、ないものかしらん??

5月17日(日): 斉諧生が末席を汚している(本当に!)日本シベリウス協会から届いた最新の会報を読む。
今回の特集は「シベリウス幻の第8交響曲」、フィンランドの音楽学者カリ・キルペライネンの論考の翻訳と吉松隆・同協会理事の文章の2本立て。
同協会に興味のある方は、次にお問い合わせください。

108-0072 東京都港区白金2-1-1-302 岸田様方
     日本シベリウス協会事務局

 通販業者からLPが届く。

ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグ・モーツァルテウム、モーツァルト;交響曲第28・31番(米EPIC、LP)
この人、一般には音楽学者とかカラヤンの先生として知られ、もっと一般にはルドルフ・バウムガルトナーと混同されているのだが、モーツァルト振りとして注目して良い指揮者だと思う。
きっかけはグリュミオーの伴奏をしたVn協で、けっこう彫りの深いモーツァルトに感心して以来、なるべく集めるようにしている。
現在、40番・アイネクライネ(BASF)、41番(EURODISK)を入手しており、未架蔵のものでは38番がある。
ピエール・モントゥー(指揮)サン・フランシスコ響、ベートーヴェン;交響曲第8番ほか(米RCA、LP)
あるいは最後期のSPが初出だったかもしれない、1950年の録音。
カプリングはバッハ(レスピーギ編);パッサカリアとフーガ・ハ短調(1949年)、ベルリオーズ;ベンヴェヌート・チェッリーニ序曲(1952年)。
数年前にBMGから出たモントゥー・エディションでCD化されているが、なるべくLPで所持したく、購入したもの。
ネル・ゴトコフスキー(Vn)イヴァール・ゴトコフスキー(P)シューベルト;VnとPのための音楽全集(仏RCA、LP)
シューベルト;VnとPの幻想曲蒐集の一環として購入したもの。
1977年録音、1980年頃に国内盤LPで発売されたことがある。
当時の『レコード芸術』誌に「新譜鼎談」(と言ったか)のコーナーがあり、柴田南雄・三浦淳史・村上陽一郎という顔触れで注目の新譜を3点ほど議論しておられた。
この盤も、どういう次第か、同コーナーで取り上げられ、大要「今時分珍しく古風なヴァイオリンで好感が持てる」との評であったと記憶している。
長年気になっていたのだが、偶々、通販業者のカタログに発見したので注文、購入したもの。

 キリン杯サッカー中継を見始めたら、結局最後まで付き合ってしまった。同点シーンが見られたから良しとするか、凡戦に時間を潰して損をしたとするか、むつかしいところだ…

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム室内管、ハイドン;交響曲第22番(Sony Classical)
サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響、ハイドン;交響曲第22番(EMI)
なぜかレコーディング・レパートリーの重なるサロネンとラトル、両者ともハイドンでは「時計」「軍隊」「ロンドン」といった有名曲は避けているのに、どうしたことか22番「哲学者」で鉢合わせ。
両者とも、チェンバロを加え、両翼配置の弦楽器はヴィブラートを抑制するなど、古楽器派の影響を感じさせる。
軽快なリズムと明快な響きのサロネンに対し、ウィーン古典派的しっとり感で迫るラトル。
第1楽章(アダージョ)ではラトルの情感が勝り、第2楽章(プレスト)ではサロネンの運動性に軍配が上る。
第3楽章、メヌエットが持つ古典舞曲の側面を重んじればラトル盤、思い切りのよい刻みに現代的魅力を感じればサロネン盤。
第4楽章では両者の音楽づくりが最も接近しており、いやはや誠に甲乙つけ難い出来栄え。
判は「持」、引き分けといたそう。(^^;
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、マーラー;交響曲第4番(徳間)
実に緻密な演奏である。
特に、楽譜上の強弱指定に、きわめて敏感に反応している。派手な変化はつけないので目立ちはしないが…
ジャケットのデータによれば、録音は足掛け3年、3回のべ7日間のセッションを組んでいるが、さもありなん。
木管をけたたましく鳴らすこともなく、弦合奏のグリッサンドも控え目な方、楽器の絡み合いを丁寧に再現していて、好感の持てる演奏である。
第3楽章は、10日の項に書いたように、静謐な中に暖かい弦の響きがすばらしい。
終楽章はソプラノ中心のバランスで多少残念だが、比較的ヴィブラートの少ない真っ直ぐな声なので、悪くはない。
本来ならベスト盤を争う…と書きたいところなのだが、残念なのは、オーケストラの音が、時に(特に強奏で)貧弱なこと。第3楽章でも終結のヴァイオリンのフラジョレットなど、気の毒なくらいである。
とりわけ、全曲を通じて、トランペットが、あまり品のない音で突出するのが耳障り。この減点は大きい。
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)北ドイツ放送響、レーガー;「アルノルト・ベックリンによる4つの音詩」(ACANTA)
以前から架蔵している盤だが、薦める人があって、聴き直してみた。
1972年の録音というが、オーケストラが遠く、音が拡がらない。モノラルかと思ったくらいである。あるいは、放送用のライヴかもしれない。
第1楽章「ヴァイオリンを弾く隠者」は、美しい弦合奏の序奏に始まり、独奏ヴァイオリンが嫋々とロマンティックな旋律をいつまでも鳴らし続ける。ワーグナー的な無限旋律というやつかしらん? 楽章終結に至って、ようやく和音が解決する心地である。
第2楽章「波の戯れ」、メンデルスゾーンの子孫だな、と思わせるスケルツォ風の音楽。もっとも子孫はずいぶん屈折しているが。
第3楽章「死の島」が、たぶんメイン。ラフマニノフも同じ絵で1曲ものしていた。ティンパニの禍々しい連打が印象的である。音楽はやや晦渋の気味があり、これではポピュラーな曲目にならないなぁと嘆息させられる。
第4楽章「バッカナール」。分厚い和音で書かれた屈折したバッカナールである。それなりに激しい音楽ではあるのだが…
埋もれるのが惜しい音楽であるには違いなく、鬱勃たるドイツ後期ロマン派としてではなく、新しい感覚で振ってもらえば、また魅力的だろう。
サロネンに、という声もあったが、うーん、彼が振りそうな音楽ではないな。インゴ・メッツマッハーあたり、どうだろう?
ピーター・ゼルキン(P)アレクサンダー・シュナイダー(指揮)モーツァルト;P協第15・18番(米RCA、LP)
青白いくらい繊細なモーツァルトを想像して針を下ろしたが、割と健康的なタッチで、もちろん繊細には違いないが、時に強く、時に太くピアノを鳴らす。
録音当時(1970年代初め)の感覚では、清潔で新鮮なピアノだったかもしれないが、古楽スタイルを経過した現在となっては、ちょっと存在意義に乏しいだろう。
シュナイダーの指揮も、良くいえば骨太、悪くいえば大味。
ボイド・ニール(指揮)ボイド・ニール管、バッハ;ブランデンブルグ協第1・2番(米Unicorn、LP)
几帳面にリズムを刻む質朴なバッハ。
2番のトランペットは少々御愛嬌だが、他の独奏楽器はいずれも秀逸、とりわけレオン・グーセンスのオーボエはさすがに情感深い。

5月16日(土): 本日、BBSサイトナニワ音盤道のオフ・ミーティングを京都・堺町通錦上る「銀河高原ビール」で開催、約10名の参加者で賑わった。
 京都在住のメンバーで幹事を担当、斉諧生もその端くれにて、1日、楽しいときを過ごさせていただいた。
 また、それに先立って京都・CD屋巡りを挙行、これには8名が参加、「跡には雑草も生えない」とある参加者が嘯いたほどの買いっぷりを示す。(^^;
 ま、お店の人が妙な目で見ていたのは確かだったなぁ。

 上記のCD屋巡りでの成果物。

レオポルト・ストコフスキー(指揮)フィラデルフィア管ほか、シベリウス;交響曲第4番ほか(Biddulph)
同行者の中にストコフスキーの大権威がおられたせいか、ストコフスキーのCD復刻盤を落手。
1932年4月、同曲の世界初録音。ストコフスキーの同時代音楽への理解と熱意を示す好例とされるものである。
柴田南雄氏の著書によく出てくるのだが、何でも、「長時間SP」(33・1/3回転)として2枚4面で発売されたのだとか。
SP時代の同曲録音には、北欧勢では翌々1934年6月にゲオルク・シュネーフォイクト(指揮)フィンランド国立管のロンドン録音があるが、これはLPで初めて発売されたもの。一般には1937年12月のトーマス・ビーチャム(指揮)ロンドン・フィル(EMI)を待たねばならない。
1941年10月録音のユージン・オーマンディ(指揮);交響曲第1番ほかをカプリング。
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム・シンフォニエッタ、「スウェーデンのセレナード」(BIS)
同じく参加者中のAYAサロ様と彩ちゃんの部屋さんに敬意を表して、サロネンの初期録音(1984年9月)を購入。彼女によれば、これは彼の2作目(1作目はPhilipsのロシア名曲集)に当たるとのこと。
ヴィレン、ラーション、ゼーダールンド、リドホルムの作品を収録。
オーギュスタン・デュメイ(Vn・指揮)カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグ、モーツァルト;Vn協奏曲第3・4・5番(DGG)
デュメイのモーツァルトは、前にEMIからクリヴィヌの伴奏で上記3曲とK.364が出ていた。それらは大層良かったので、今回の再録音も、入荷を待ちかねていたもの。
チョン・キョンファ(Vn)チョン・ミュンファ(Vc)チョン・ミュンフン(P、指揮)ほか、ベートーヴェン;三重協、Vnのためロマンスほか(DGG)
チョン・キョンファの新録音、しかもロマンスを録音とあらば、買わざるべからず。
オーケストラはフィルハーモニア管。
アルフレート・ブレンデル(P)クルト・ザンデルリンク(指揮)シューマン;P協ほか(Philips)
ブレンデルは必ずしも心惹かれるピアニストではないが、ザンデルリンクとあらば、買わざるべからず。
オーケストラは、これもフィルハーモニア管。なお、録音会場は、上記ベートーヴェンもそうなのだが、ワトフォードのザ・コロセウムというところ。斉諧生には初耳なので、少々気になる。

5月15日(金): 次のような葉書が届いた。

宇野功芳
アンサンブルSakura

衝撃の凄演がCD化!
'98.7月発売決定!

運 命

ベートーヴェン
序曲「コリオラン」作品62
交響曲第5番ハ長調(*)作品67「運命」

[指揮]宇野功芳[管弦楽]アンサンブルSakura

'98.1.18.石橋メモリアルホール
における実況録音

(*)原文ママ

 「あんさんぶるSakura」とは、日大オケOBを中心としたアマチュア・オーケストラ、1996年7月の「エロイカ」もCD化されており、その時に購入したことから、今回もDMが届いたもの。
 組合せから察せられるとおり、合奏精度は恐るべきものだが、(^^; 話のネタにでもと思われる方は、次へお問い合わせを。

アンサンブルSakura事務局CD担当「尾藤正孝」様
FAX:03-3449-0129(御勤務先ゆえ、必ず「尾藤」様あてとしてください。)

 

レオポルト・ストコフスキー(指揮)ロイヤル・フィル、「ストコフスキー・ストリング・サウンド」(EMI)
昨日、ラフマニノフ;交響曲第3番を買ったDESMAR録音のCD復刻、もう1点を落手。
これも1975年の録音。実はLPも架蔵しているのだが、製盤のせいか音的には貧弱だった記憶、良好なCD復刻を期待して購入。一聴してみたが、まずまず良さそう。
ヴォーン・ウィリアムズ;タリス幻想曲パーセル(ストコフスキー編);ディドの嘆きドヴォルザーク;弦楽セレナードを収録。
イダ・ヘンデル(Vn)エイドリアン・ボールト(指揮)エルガー;Vn協ほか(TESTAMENT)
近頃再評価の女流ヴァイオリニスト、ヘンデルのエルガー。ボールトの指揮も楽しみ。
TESTAMENTには珍しい1977・78年のステレオ録音。
アンドレ・クリュイタンス(指揮)フランス国立放送管ほか、ストラヴィンスキー;「夜鴬の歌」ほか(TESTAMENT)
クリュイタンスのストラヴィンスキー、これは聴きたい。
1956年のモノラル録音。
ピエール・アモイヤル(Vn)マルク・フォスター(指揮)シャイン;Vn協「回復された時間」ほか(MFA)
シャイン(でいいのかな? 原綴はChaynes)は1925年トゥールーズ生れ、パリ音楽院でミヨーに作曲を学んだとのこと。
御贔屓のヴァイオリニスト、アモイヤルの新録なので食指が動いた。
更に、カプリングの管弦楽曲「ミケーネ人の顔」の演奏は井上道義(指揮)フランス国立管、これは買わざるべからず。
パレナン四重奏団に献呈された弦楽四重奏曲を併録。

5月14日(木): 月曜日に書いた長木誠司『第三帝国と音楽家たち』@音楽之友社を読了。残りの部分も面白く、お薦めしたい本である。
 しかし、こういう本で索引がついていないのは、あまりといえばあまりな編集。音楽之友社の見識を問いたい。

見識と言えば、「占領下のパリ・オペラ座にアーヘン市立歌劇場やベルリン州立歌劇場を率いて*凱旋*し(中略)たのは、(フルトヴェングラーの)ほかならぬライヴァル、カラヤンであった。」(140頁。*印、括弧書きは斉諧生)などという文章を放置する者は編集者の名に値しないだろう。

 シューリヒトがベルリン・フィルで初演して成功させ、ボリス・ブラッハーを一躍有名にしたという「オーケストラのための協奏音楽」を、ぜひ聴いてみたい。(111頁。アシュケナージのONDINE盤に入っていたかもしれないが、それは、パス。(^^;)

 

レオポルト・ストコフスキー(指揮)ナショナル・フィル、ラフマニノフ;交響曲第3番ほか(EMI)
まさかのCD復刻である。
これは1975年、ストコフスキー最晩年の録音なのだが、EMIの音源ではなく、LP期にDESMARというアメリカのマイナー・レーベルから発売されていたもの。
しかも、ライナー・ノートによれば、同時期に録音された「ストコフスキー・ストリング・サウンド」(RVW;タリス幻想曲、ドヴォルザーク;弦楽セレナードほか)も発売される模様。
オトマール・スウィトナー(指揮)シュターツカペレ・ベルリン、デッサウ;「モーツァルトの弦楽五重奏曲による交響的変態」ほか(BERLIN Classics)
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、デッサウ;オーケストラ音楽第4番「嵐の海」ほか(BERLIN Classics)
デッサウを2点購入。
前者は、中古音盤堂奥座敷同人、工藤Yosuke Kudo Home Pageさん所属のかぶとやま交響楽団が、先日、日本初演された曲。
それを聴きに行かれた佐々木@CD三昧日記さんが、今週の更新で、この盤を取り上げておられた。
詳細は上記を参照されたいが、「おもちゃ箱をひっくり返したようなこの曲のトーンを見事に描いて」とのこと、ぜひ聴いてみたいと購入。
後者はその隣に並んでいて、ケーゲルの録音が入っているので、否も応もなく購入。

 ポール・パレー・ディスコグラフィ中、ベルリオーズ;幻想交響曲の録音年を誤っておりましたので、訂正しました(誤:1958年→正:1959年)。m(__)m
 で、気がついたのですが、この年の秋のセッションは、
    11月27日 フランク;交響曲
    11月28日 ベルリオーズ;幻想交響曲
    11月29日 スッペ;序曲集
と、3日間で名盤を量産したことになります。
 うーん、凄い。


5月12日(火): CD屋を覗いたときに(結局何も買わなかったのだが)BISのカタログを貰った。
 帰りがけに、あちこち眺めていると、ステンハンマルの録音を1点見落としているのに気がついた。
 「ストックホルム・フィルの75年」(BIS CD421/424)に、「フローレスとブランセフロール」op.3が含まれているのである。このセットは架蔵済みで、ドラティのセレナード(一部)やトール・マンの交響曲第2番(リハーサル)についてはディスコグラフィに掲載している。
 それなのに、全曲録音であるop.3を見落としていたのだ。恥ずかしい。m(__)m

 ステンハンマル作品表とディスコグラフィのうち、op.3に上記の情報を追加。


5月11日(月): 通勤電車で長木誠司『第三帝国と音楽家たち』@音楽之友社を読み始めた。
 あまり期待していなかったのだが、(^^; なかなかどうして、面白い。
 この類のテーマの本は、えてして権力側を「悪」一色に塗り潰された巨大な怪獣に、被害者側を善意の化身のお地蔵様のように描きがちなので、常々閉口するのだが、この著者は、ナチス部内の勢力抗争に起因する政策の混乱や迫害された作曲家の著作権収入等をめぐる経済的思惑まで、きっちり書き込んでいる。

 日本ではドイツ歌曲の神様のように言われるゲルハルト・ヒュッシュだが、この本によると、隠れもないナチス・シンパで、軍国歌謡の録音でも有名だったそうな。
 戦後の活動に見るべきものがないのは不思議だったが、これで納得。

 

ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)バイエルン国立管、シューベルト;交響曲第8(7)番「未完成」ほか(Orfeo)
発売の情報が流れてから店頭に並ぶまで、長かったこと!
クナの「未完成」が*まともな音源で*出るのは初めてでは? カプリングは十八番のコムツァーク;「バーデン娘」ほかのワルツ・ポルカ集。いずれも楽しみである。
シューベルトは1958年2月10日、他は1955年3月20日の録音。音の状態は非常に良好
アルト・ノラス(Vc)アリ・ラシライネン(指揮)ショスタコーヴィッチ;Vc協第1・2番(FINLANDIA)
これもリリースを待ちかねたディスク。ノラスのショスタコーヴィッチはLP期にソナタの録音があり、作曲者が感激してファン・レターを寄越したという程の出来、今でも同曲のベストを争う。
そのノラスが協奏曲を録音したのだから、もう買わずにはいられない。

5月10日(日): 中古音盤堂奥座敷での試聴会、今回はラトル(指揮)マーラー;第4交響曲
 これに備えて(?)渡辺裕『文化史のなかのマーラー』@筑摩書房の第13章「ワルター神話を超えて−《第4》演奏史の分析−」を読み返す。
 氏の論旨は、大要、次のとおり(文責:斉諧生)。

  マーラーは個々の音の微細な表情や局所的なテンポ変化によって織り成される新しい音楽の世界を目論んでいた。彼のそうした意図は十分に理解されることなく、奇矯なものとして退けられた。
  彼の死後、ワルターらの努力によってその作品はようやく評価されるに至ったものの、人々に理解されるために、一貫したトーンで楽章全体をまとめ、伝統的な形式(ソナタとかロンドとか)の枠におさめるような演奏(「モダニスト」的マーラー演奏)が行われることになった。
  1980年代以降、微妙な強弱やテヌート、グリッサンドといった一つ一つの音の表情を引き出そうとする、「ポストモダン」的な演奏が出現し始め、われわれは一見伝統的な形式の装いに包まれたマーラーの音楽の中のいたるところに思いもよらぬ現代的な響きが隠されていることを知り、それを探し出す快楽を手にいれた。

 成る程そんなものかな、と思うと同時に、本当にそう割り切れるのかな、とも思う。まぁ、そのあたりも奥座敷で議論になるかもしれない。 
 渡辺氏のこの本、元はN響の『フィルハーモニー』に連載されたものなので、読み易く、マーラーをめぐる時代の状況をとりあえず知るには好適な読み物かと思う。柴田南雄『グスタフ・マーラー』@岩波新書と併せて、お薦めしておきたい。

 で、マーラー;交響曲第4番の比較試聴。今回の課題盤であるサイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響(EMI)盤については、試聴会終了後に中古音盤堂奥座敷で公開されるので、今回は省略します。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ロスアンジェルス・フィル(Sony Classical)
1992年2月録音。このコンビの近年の充実振りは先日のブルックナー;第4やマーラー;第3で確認したところだが、これは首席指揮者就任直前の録音なので、どうかなと思っていたのは、購入時に書いたとおり。
で、聴いてみると、あにはからんや、完全にサロネン・ペースの音楽になっているので、感心した。
第1楽章冒頭、鈴のリズムからヴァイオリンの旋律が出るところ、リタルダンドの処理は譜読みが別れるところだが、サロネンは実に巧妙。このところ、同じコンセプト−鈴はリタルダンドしない−でやっているラトルはややわざとらしいし、同じく広上はいくら何でもそりゃ安直、という仕上げ。
何よりも美しい響きに魅力を感じる。マーラー演奏によくある、木管や金管に力みの入った吹奏をさせて道化じみた味を出させる、ということを*絶対*しないのだ。
32・33小節のクラリネットや125小節でのフルート、更には展開部のクライマックスや再現部冒頭でのトランペット(212小節〜、253小節〜)が典型的な例。
このあたりが「スリムな現代性示すが、やや表面的」(吉井亜彦『名盤鑑定百科 交響曲編』@春秋社)などと評される所以で、マーラー・マニアには、きっと評判が悪いだろうが、斉諧生は大いに評価する。
微温的な演奏でない証拠には、54小節でのホルンのアクセントの煌めき(「fp<f>」の鮮かに見事な処理!)を挙げておく。
また、横軸というか、テンポの動かし方は比較的強く、提示部の終り(91小節〜、"Wieder sehr ruhig〜"指定)やコーダの終り(340小節〜、"Sehr zurueckhaltend"指定)では相当に減速する。
第2楽章では、全曲を通じて木管・ホルンの音彩が強調され、変則調弦のヴァイオリン・ソロは比較的抑えめの印象になるのが新鮮。
だが、それ以上に驚かされるのが、トリオの大胆な表現(特に1回目、68小節後半〜)である。
まず69・70小節のクラリネットの四分音符についた<>指定を十分に生かすので、ここでルバートしたような効果があらわれる。
続く71小節では思い切ってリタルダンド、一気にスケルツォ主部とは違った世界を現前させる。この効果は絶讃したい。
リタルダンドは77小節、90小節、93小節でも顕著、また83小節ではヴァイオリンに楽譜に指定のないグリッサンドをさせるなど、なかなか*濃い*味わいである。
それでも、前述したとおり楽器の響きに*えぐみ*がないので、抵抗感はなく、実に気持ちよい。
第3楽章は静かに始まり、スケルツォとの対比が鮮か。
弦合奏はヴィブラートを抑制した清潔な響き。31〜36小節の第1ヴァイオリンの高いC音の静かな美しさ!
控えめなグリッサンドもよく揃っていて、美しい出来。
特筆したいのは、212・213小節の第1ヴァイオリンの音型の繊細なppとその下の第1チェロのカンタービレな美しさ。
また、第1楽章と同様、変に煽ったり燥いだりしないのは斉諧生好み、263小節以降も軽躁に陥らないのは感心。
283小節からは浄化された世界を描き出し、303〜306小節の響きは永遠に続いてほしいくらい。ここでは低弦をオルガン的に響かせているのも、佳い。
4楽章を予告するところへ入る314小節では、16分音符を短めに切り、その後のルフトパウゼをくっきり出すのが小気味よい。
そしてまた、浄福のうちに第4楽章へ連結してゆくのである。
第4楽章ではソプラノ独唱のバランスが面白い。
通常の演奏だと管弦楽伴奏の歌曲と同じなのだが、ここでは歌と他の楽器が、同等に扱われている。
言い換えれば、ソプラノも楽器の一つであるかのような、バランスなのだ。
どう考えても馬鹿馬鹿しい歌詞を聴かせるのはどうかと常々思っているので、この処理には大賛成したい。
 
ラトル盤以外で全曲を聴いたのは、今日はサロネン盤のみ。以下は、第3楽章3分の1くらいの比較試聴。
ウィレム・メンゲルベルク(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管(Philips)
1939年11月、ライヴ録音。
弦合奏のグリッサンド、ポルタメントが頻発、慣れないうちは気持ち悪いくらいだが、はまり出すと抜けられない世界。
しかし、全員のグリッサンドが揃っていて、けっして汚くならないのだから感心する。
ブルーノ・ワルター(指揮)ウィーン・フィル(DGG)
1955年11月6日ムジークフェライン・ライヴ。
ウィーン・フィルの個性的な音に感心しつつ聴く。
グリッサンドの処理も非常にスマートかつ美しい。次の音に入る直前だけ軽く滑らせるのであるが、これも全員が綺麗に決めている。
全員同窓生みたいな純粋培養オーケストラだ(った)からできるのだろう。
レナード・バーンスタイン(指揮)ニューヨーク・フィル(Sony Classical)
1960年2月録音。
濃厚系の演奏という記憶だったが、この部分を聴く限りでは、そんなこともないようだ。
ロリン・マゼール(指揮)ベルリン放送響(Fnac)
1969年頃の録音。
やや早目のテンポ、個性的な処理も目立つ。
ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)ロンドン・フィル(EMI)
1969年頃の録音。
ややあっさりめの表情付けで好感の持てる演奏。もっと知られて良い盤だと思う。
グリッサンドは、かなり抑制しているものの、やると汚くなるのはオーケストラの問題だろう。
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響(徳間)
1976年12月、1977年11月1978年1月録音。
これはいずれ全曲を聴いてみたい。他の録音とはまったく違った雰囲気がある。
第3楽章冒頭の指定は"Ruhevoll"、この盤では「静けさに満たされて」と訳出しているが、まさにそれがぴったりの音が出ているのだ。
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ハレ管(IMP)
1991年5月録音。
グリッサンドはほとんど無視しているのが硬派ミスターSらしい。
クリストフ・フォン・ドホナーニ(指揮)クリーヴランド管(DECCA)
1992年5月録音。
柔らかい音色で雰囲気を出している。全曲だと果たしてどうか、という気はするが、この部分を聴く限りでは悪くない。録音も上乗。
広上淳一(指揮)ロイヤル・フィル(DENON)
1995年4月録音。
余談だが、スタジオ録音で、これだけ指揮者の*存在感*が聴こえてくる録音も珍しいのでは? (^^;

5月9日(土): 昨日紹介した"Mostly Classic"5月号@産経新聞「インターネット大世界」で取り上げられていたインターネット・チェロ・ソサエティのページを久しぶりに訪ねたところ、国連本部でのカザルスのQuick Time映像がアップされていた。ショート・ヴァージョンでも2.2MB、ロング・ヴァージョンは11MB! 
 とはいえ、カザルスとあらば、あに怯まざらんや、ロング・ヴァージョンをダウン・ロード。映像は約2分、国連本部会議場の舞台上の指揮台から巨匠が語りかけている場面で、晩年のカザルスのしわがれ声が堪能できる(通訳?のような声が少々邪魔だが)。なお、演奏シーンは含まれていない。
 最後にカザルスと抱き合っているのは誰かな? ウ・タント国連事務総長(当時)かな? なお、最後のカットで指揮台の向こう側、コンサートマスター席から立ち上がるのは、アレクサンダー・シュナイダー。
 ま、ショート・ヴァージョンでもよろしいので、御覧ください。

 

ニコラウス・アーノンクール(指揮)ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、モーツァルト;交響曲第13・14・20番(TELDEC)
アーノンクールのモーツァルトは第一弾のハフナー&34番以来のおつき合いだが(もう15年になる!)、ずいぶん自然な演奏に感じるようになってきたのは、こちらの耳が慣れたのか、彼の音楽が円くなってきたのか?
合奏体としてのウィーン・コンチェントゥス・ムジクスには少々粗いところも見受けられるので、モーツァルトの初期交響曲の録音としてはマッケラス;プラハ室内管が現代のスタンダードであろうが、ま、そう何通りもディスクを持つような曲でもないので、この盤で十分だろう。
レオポルト・ストコフスキー(指揮)ロスアンジェルス・フィルほか、ホルスト;「惑星」ほか(EMI)
ややデッドながら、音が実に良いのに驚く。とても1956年ステレオ最初期のものとは思えない。「火星」冒頭のコル・レーニョなど、最新録音顔負けの解像力。
続いて驚かされるのは、木管が完全に*右チャンネル*から聴こえてくること!
これは単にステレオ効果を狙ったデモンストレーションではなく、ストコフスキー一流のオーケストラ配置のはず。うーん、音として残っているとは思わなかった…
いや、木管のよく聴こえること! (当たり前か) 木管をことのほか重視したクレンペラーだったら、この配置をどう思ったろう?
演奏も実に立派、水星あたりでもう少し神韻縹渺たる軽やかさがあればと思ったが(LP時代に愛聴したオーマンディが上手かったと記憶)、最近の録音にひけをとらない出来だと思う。
小林研一郎(指揮)新響ほか、伊福部昭;管弦楽のための「日本組曲」ほか(東芝)
でもやっぱり印象に残るのは『SF交響ファンタジー第1番』だなァ。「伊福部マーチ」が鳴り出すと、心が浮き立ってしまう。(^^)
オケは玄人はだしの上手さ、ライヴ的な傷はあるものの、十分鑑賞に堪える。

5月8日(金): "Mostly Classic"5月号@産経新聞「インターネット大世界」のページに長谷川陽子さん登場!
 なんか感じが違うなぁ、新聞の写真はそういうときが多いから…と思ったら、おおっ、なんと!
 髪を短くされたのだ!
 うーむ。 斉諧生は、基本的には短髪系なのだが、彼女の場合には元の方が似合っておられると思うのでございます。

 

ジェイムズ・レヴァイン(指揮)ベルリン・フィルほか、マーラー;大地の歌(DGG)
歌がジェシー・ノーマンジークフリート・イェルザレムでは、いまさら期待もしにくいが、それでも買ったのは、第6楽章「告別」でソロを吹いているはずのOb;シェレンベルガーのプレイを聴きたい一心。
ワディム・レーピン(Vn)イェフディ・メニューイン(指揮)モーツァルト;Vn協第2・3・5番(ERATO)
先日、MUZA盤でメニューインの指揮に感心したところ、井上@メニューイン&ミルシテインのページさんから、この盤での指揮もよろしいとのお薦めをいただいたので、購入。
しかし、この曲を指揮者で買うかなぁ…
ローランド・ペンティネン(P)「雨の日の音楽」(BIS)
ホーカン・ハーゲゴール(Br)ワレン・ジョーンズ(P)ブラームス、シベリウス、ステンハンマルの歌(BMG)
ユッシ・ビョルリンク(T)ほか、スカンジナヴィアの歌とドイツの歌曲(Pearl)
ステンハンマルの落ち穂拾い、一度に3枚も集まった。
 
ペンティネン盤は、ピアノのオムニバスのコーナーで、「BISならば、ひょっとして…」と手に取ったところ、勘が的中したもの。
北欧物以外はショパン;「雨だれ」エチュードなど超有名ピースばかり。ショパン;嬰ハ短調ノクターンシューマン;トロイメライの間にステンハンマル;幻想曲op.11-1が挿まっているのは壮観と謂うべきか奇観と称すべきか?
 
ハーゲゴール盤を忘れていたのは痛惜。去年の新譜だったが、店頭に並んだのがアメリカ・プレスだったので、ヨーロッパ・プレスが出回ったときに買おうと思って、そのまま失念してしまっていたのである。今日、ふと棚で見掛けて思い出し、直ちに購入。
「フローレスとブランセフロール」op.3のほか、歌曲の代表的なもの3曲を収録。
 
ビョルリンク盤は、今回、ネット上で種々検索しているときに発見した「スヴァーリエ」op.22-2の録音。その情報とは違う盤だが、SP復刻ものなので、Pearで買えたのは上々吉。

 ステンハンマル作品表とディスコグラフィのうち、op.3op.22-2に上記のCDの情報を追加。


5月7日(木): 

斉諧生 書店ヲ過グ
『文學界』@文藝春秋ヲ見ル
「武満徹」@立花隆ハ畢リタリト云ヘドモ
「トーマス・マンとフルトヴェングラー」@福田和也ノ連載始ル
一瞥シテ採ラズ
『TV大語解』@夏目房之介的新著ヲ購フテ去ル

 今日はそのつもりではなかったのだが、蒸し暑さに堪えかね冷房を慕って足を止めた中古CD屋で…

新響、「伊福部昭 傘寿記念シリーズ」(東芝)
一にも二にも、我等がコバケン、小林研一郎(指揮);「管弦楽のための『日本組曲』」が収録されているため。

5月6日(水): 更新から一夜明けて (^^; 、いくつかメールをいただきました。ありがとうございました。
 で、早速、誤りを訂正しました。m(__)m
 「斉諧生お薦めの3曲」中、「3」の「2つのセンチメンタル・ロマンス」の推薦盤の番号が間違っておりました。(「1」のサロネン盤の番号になっていたのです。)
 AYAさん、ありがとうございました。<_o_>

 久しぶりにCD屋を回ったが、意外に(?)新入荷が少なかった。

リチャード・グード(P)オルフェウス管、モーツァルト;P協第9・25番(NONSUCH)
NONSUCHからのグードのモーツァルトも3枚目、9番と25番という好きな曲同士のカプリングが嬉しい。
カデンツァは9番がモーツァルト作りつけのもの、25番はグード自作(この曲のカデンツァはアンドラーシュ・シフ(DECCA)が面白かった)。
ズザナ・ルージチコヴァー(Hpsi)クルト・ザンデルリンク(指揮)プーランク;田園の合奏ほか(DENON)
これは浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人の更新で紹介されていたもの。
マルティヌー;Hpsi協をカプリング。
アーロン・ロザンド(Vn)ヒュー・スン(P)「ロマンティック・バロック・ヴァイオリン」(Biddulph)
VOX録音が多く「廉価盤のハイフェッツ」的イメージで損をしている実力者ロザンドが、昨今の古楽器ブームを逆手にとって、ヴィターリ;シャコンヌコレッリ;ラ・フォリアタルティーニ;悪魔のトリル等、バロック期のヴァイオリン音楽を*あえて*近代のアレンジで録音したディスク。
初発の時から気になっていたが(本当のヴァイオリン好きの人は疾うに持っているだろう)、今日、中古屋で見つけたので購入。
早速ヴィターリを聴いてみたが、しっかりした技術と端正な弾きぶりで、誠に好感の持てる演奏であった。残りの曲にも大いに期待したい。
ヴィヴァルディ;Vnソナタ・ニ長調レスピーギの編曲、これも面白そう。

5月5日(祝): 4連休は、結局、更新作業にほぼすべてを費やすことになってしまった。まあ、御覧ください。
 入手できる限りの情報は集めたつもりですが、もし、他の作品、他の演奏など御存知でしたら、ぜひお知らせくださるようお願いします。
 また、スウェーデン語は一夜漬け以下ですので (^^; 、誤り等ございましたら遠慮なく御叱責ください。
 北欧音楽を愛する皆さん、よろしければ御感想など、お寄せくださりませ。<_o_>

 「作曲世家」初のコンテンツ、近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルのページを、とりあえず公開。
 「作品表とディスコグラフィ」のうち、ピアノ曲と歌曲がまだ工事中ですが、おいおい仕上げることとします。m(__)m 


5月3日(祝): 作業中の更新は、近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルのページです。
 バイオと作品・ディスコグラフィを準備中、材料は揃っているので、あとは書くのとレイアウトを決めるのとが残っています。予定より時間を食っているので、アップは5日の夜になるかも…。できれば4日のうちに済ませて、5日は溜っているディスクを幾つかでも聴きたいものですが。
 更新確率75%。

 作業の合間に、前に買っていたビデオを見ておりました。

「指揮者が明かすシンフォニーの裏側 オーケストラの鼓動」(ベネッセ)
「見聞塾」というビデオ(79分)+テキストの複合メディアのシリーズの1巻、佐渡裕新星日響ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番を振ったときの映像で、
 「本番前2日間のリハーサル映像」
 「指揮者自らがビデオ室でリハーサルを解説」
 「指揮者とスコアとの関係」
 「首席演奏者たちへのインタビュー」(Vn,Cb,Fl,Hrn,Trp,Timp)
 「サントリーホールでのコンサート映像」(第3・4楽章のみ、カットあり)
という内容。
 
曲が曲だけに、佐渡さんの熱い音楽づくりに拍車がかかる。一例を挙げれば、第4楽章11小節(練習番号98)で、弦の八分音符を全部ダウン・ボウで弾かせるところ、視覚的にも効果抜群。
更に本番ではオーケストラも熱くなってしまい、特にセカンド・ヴァイオリンの首席など、弓の毛を駒に引っ掛けて熱演するものだから、切れる切れる…
 
話の中味は、皆、そう目新しいものではなく、概して差し障りのないものだが、佐渡さんは関西人らしく一言多めに喋ってしまう。
「悲しいときも(オーケストラの)先頭に立って悲しむ。『演技じゃないか』と言われるときもあるけれど、思っていることがちゃんと音になって出てくれば、それは演技じゃない。
(ここからが一言多い)練習したのに出来てないときは、演技になっちゃいますねぇ。それでもやるんですけど、やってて、ものすごく虚しいですね。(^^;;;
 
それにしても驚いた(で、嬉しくなった)のは、第3楽章のリハーサル。
33小節(練習番号79)で、フルートの首席が「その4小節、ブレスなしで吹いてください。ヴィブラートも付けないように」などと絞られている(佐渡さんはフルート出身だから奏者も従わざるを得ない)。
で、その後ろの席で、あと20小節以上出番のないクラリネットの首席が、ちゃっかり文庫本を読んでいるのである!

5月2日(土): お約束の更新、現在も作業中です。5日までにアップできるとよいのですが…。更新確率65%。

 というわけで、あまり聴けておりません。

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)シュターツカペレ・ドレスデンほか、プロコフィエフ;「ピーターと狼」&ブリテン「青少年の管弦楽入門」(独ETERNA、LP)
プロコフィエフの冒頭、ピーターの主題が弦合奏に出るところで嘆息。誠によく練れた音色、さすがケーゲル。
指揮者の睨みが効いているのか、シュターツカペレの首席連中も気合いの入ったソロを聴かせ、これが子供向きとはもったいない出来。CD化されて広く聴かれることを望みたい。
両曲とも、ナレーション付き、もちろんドイツ語による。

5月1日(金): (すみません、風邪気味で臥せっておりまして、話のネタがないのです。m(__)m)

 臥せっているところに通販業者からLPが届いた。

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)シュターツカペレ・ドレスデンほか、プロコフィエフ;「ピーターと狼」&ブリテン「青少年の管弦楽入門」(独ETERNA、LP)
ケーゲルのレパートリーの広さに驚くというか、便利屋的になんでも録音させられたのだなあと嘆じずにはおれない。
ドレスデン・フィルの常任だったから、シュターツカペレとの録音は珍しい。でも、この曲目では…。

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