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2006年04月29日(祝)

アマディンダのケージ第4巻 [2006年4月]

アマディンダ・パーカッション・グループ ほか
ケージ;打楽器のための作品全集 第4巻(Hungaroton)
ハンガリーの人気打楽器集団、アマディンダによるケージの打楽器作品集の新譜。
2000年に第1巻、翌年に第2・3巻が出て以来、久しぶりに続巻が発売されたので、HMVにオーダーしていたもの。
1940年の「アカデミーでのファドとファンシー」、1942〜43年の「4つのダンス」、そして1956年の大作「パーカッションのための27'10.554”」を収録。
前2者ではゾルタン・コチシュ(P)が共演している。
2004・2005年、フンガロトン・スタジオで録音された。ぞっとするほどリアルな音がしているので、オーディオファイル的にも興味深い1枚ではなかろうか。

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ルングレンの新譜 [2006年4月]

ヤン・ルングレン(P) ほか
「イン・ニューヨーク」(Marshmallow)
リーダー作が出れば買うことにしている唯一のジャズ・ピアニスト、ルングレンの新譜。手近な音盤店には並んでいなかったので、HMVにオーダーしていたもの。
2005年5月31日・6月1日に、ニューヨークのスタジオで録音されたもので、ベースにピーター・ワシントン、ドラムスにケニー・ワシントンを迎えている…といっても、正直申して、どのような値うちの人々かは知らないのだが(汗)。
なお、ルングレンは今年11月に来日予定があるほか、リシャール・ガリアーノ(アコーディオン)ほかとのトリオでレコーディングを予定しているという。これは楽しみだ。

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2006年04月28日(金)

谷村由美子さんのブーランジェ歌唱 [注目情報]

リヨン国立歌劇場管のチェロ奏者津留崎直紀氏のblogによれば、ソプラノの谷村由美子さんが国際リヨン室内楽コンクールで第1位を獲得し、受賞者コンサートでリリー・ブーランジェの歌曲を歌われたとのこと。
ミシェル・コルボとの共演などで知られる谷村さんは、2003年にナディア & リリー・ブーランジェ国際コンクールで優勝しておられ、2004年12月に京都などで開いたリサイタルでも、ブーランジェの歌曲を演奏している。
上記京都での演奏会に行き損ねたのは非常に残念。ぜひ彼女のブーランジェ歌唱を聴いてみたいものだ。

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2006年04月25日(火)

古楽器によるレヴィン版K.297 [2006年4月]

ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(指揮) フライブルク・バロック管
モーツァルト;協奏交響曲K.297b・交響曲第31番「パリ」 ほか(HMF)
ニコレホリガーらが独奏したマリナー盤(Philips)以来、レヴィン復元版の協奏交響曲K.297bは見かけたら購入するようにしている。
当盤のリリースには気付いていなかったのだが、いつも拝読しているメメンとモリ@New Yorkさんで知り、捜していたところ某オークションに安価で出品されたので落札したもの。
モーツァルトの1778年パリ滞在をテーマにしたCDで、標記2曲以外にFl & Hp協 K.299をカプリングしている。
Flのシュザンヌ・カイザーはじめ独奏者はオーケストラのメンバー、指揮のゴルツについては "direction" と表記されているが、メンバー表に第1Vnとして記載されているので、あるいはコンサートマスター席からの弾き振りか。
2005年4月、フライブルクのパウルスザールでの録音。

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2006年04月24日(月)

サロネンとスウェーデン放送響のステーンハンマル [注目情報]

今年8月末に開催される第4回 バルト海音楽祭で、エサ・ペッカ・サロネンスウェーデン放送響を指揮して、ステーンハンマル;セレナードを演奏する。
プログラム参照。
昨年12月のロス・フィル以上の名演が予想できるだけに、ぜひ行って聴きたいのだが、本業との関係で厳しそうである(嘆)。
ネットラジオでの中継は期待できると思うが、ぜひDGGあたりでCD化してもらいたいと念願している。

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ブフビンダーとコルトのモーツァルト [2006年4月]

ルドルフ・ブフビンダー(P) カジミシュ・コルト(指揮) バーデン・バーデン南西ドイツ放送響 ほか
モーツァルト;P協第12・27番(ALLEGRIA)
コルトのモーツァルト録音が某オークションに安価で出品されていたので落札したもの。
独奏は昨年ウィーン響との弾き振り全集(Profil)を購入したブフビンダー。
演奏(客席?)ノイズが聞こえる感じなので、放送用のライヴ録音であろうか。
コルトの指揮は第12番のみで、第27番ではウリ・セガルが振っている。
録音データは明記されていないが、マルPは2003年。

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2006年04月20日(木)

さそうあきら『神童』映画化 [注目情報]

1999年の手塚治虫文化賞優秀賞に輝く、さそうあきらの名作『神童』の映画化が発表された。
この漫画については、音盤狂昔録2004年3月(12日の項)を参照されたい。
主人公「うた」に成海璃子、音大生・和音に松山ケンイチ
…と書いてはみたが、両方とも知らない人だ(汗)。
更に手塚理美柄本明というキャスティングも。
手塚は主人公の母親だろう。柄本は…飲んだくれの御子柴教授か?
製作プロダクションのWebpageには、「ボランティア・エキストラ800人募集」の告知も掲載されている。
クライマックスシーンのモーツァルト;P協第20番が演奏されるコンサートの聴衆らしい。
「20代〜60代の男女」とのこと、東京・埼玉方面の愛好家の方、いかがでしょうか?
(山尾敦史氏も「うまくスケジュールが空いていたら、僕も混じってきます。」と書いておられる。)
9月完成・来年春公開というから1年ほども先のことだが、スクリーンで観る日が来るのが楽しみでならない。
 
ちょっと心配なのは、原作でモーツァルトが演奏されるのは主人公が華々しいデビューを飾るシーンであること(分量で言えば4分の3くらいか)。
そこが「クライマックスシーン」になるのであれば、肝心の、この傑作を傑作たらしめている残り4分の1は、どう扱われるのだろう…?

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2006年04月19日(木)

ゴレンシテインのブルックナー [2006年4月]

マルク・ゴレンシテイン(指揮) ロシア国立響
ブルックナー;交響曲第7番(MELODYA)
アリアCDさんにオーダーしていたCDが数枚届いた。
ゴレンシテインはスヴェトラーノフの跡を襲ってロシア国立響の芸術監督・首席指揮者に就任した人。
音盤はもちろん実演も聴いたことがないが、ブルックナーの「一分の隙もない正統派演奏」(アリアCDのWebpageから)であれば、ぜひ聴いてみたいとオーダーしたもの。
2004年4月9日、モスクワ音楽院大ホールでのライヴ録音。

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スダーンと東京響のブルックナー [2006年4月]

ユベール・スダーン(指揮) 東京響
ブルックナー;交響曲第8番(自主製作)
スダーンのブルックナーは、ザルツブルク・モーツァルテウム管などとの録音もあり、注目しているところ。
手兵・東京響との8番がリリースされるとあっては聴き逃すべからずと、アリアCDさんにオーダーしていたもの。
2005年11月12日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
なお、明日(4月21日)には、NHK衛星第2で当日の録画が放送される予定だ。

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マタチッチのワーグナー [2006年4月]

ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) ザグレブ・フィル
ワーグナー;管弦楽曲集(ORFEJ)
マタチッチのワーグナー・ライヴとあらば買わざるべからず。しかも「ジークフリートの葬送行進曲」入り!
1977年11月11日にザグレブで収録、「リエンツィ」序曲「トリスタンとイゾルデ」前奏曲とイゾルデの死「ジークフリートのラインへの旅」「ブリュンヒルデの自己犠牲」が演奏されている。
(「トリスタン」と「ブリュンヒルデ」はロベルタ・クニー(Sop)の歌唱入り)
クロアチア放送局の音源で「リエンツィ」を聴きながら記事を書いているが、冒頭のチェロ合奏の暖かい響きからして素晴らしい。
これは店頭で。しばらく前から並んでいたが、買いそびれていたもの。

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アウリンQのシューベルト [2006年4月]

アウリン四重奏団 ほか
シューベルト;弦楽五重奏曲(TACET)
cpoレーベルのフォーレやACCORDレーベルのバルトークなどで贔屓の団体になったアウリン四重奏団のシューベルト。
録音は2001年。当盤には明記されていないが、真空管機材を用いてアナログ録音されたもの。最初はLPで発売された音源で、そちらは架蔵済み。
その後、CDでも発売されたのを知り、いずれ入手をと思っていたところ、今回アリアCDさんのセールで安くなっていたのでオーダーしたもの。
客演チェリストはクリスチャン・ポルテラという人である。

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ペラシーの新譜! [2006年4月]

フレデリック・ペラシー(Vn) ヘルガ・シャウアーテ(Org) ほか
J.C.バッハ;Org協 ほか(Syrius)
いつもバッハでお世話になっているT.S.さんのWebpageで、偏愛のVn奏者ペラシーの新譜情報が掲載されていた。
フランスの通販サイトあたりへオーダーせねばと思って果たさずにいるうちにアリアCDさんのカタログに出たのでオーダーしていたもの。
2本のVnとVcでOrgを伴奏するという趣の編成で、J.C.バッハのOrg協を3曲、ハイドン;Org協 ハ長調ブリクシ;Org協第3番 ニ長調ドヴォルザーク;バガテル op.47アルビノーニ;アダージョが収められている。
特にアルビノーニ作品(Org奏者による編曲)では美しいVnソロを聴くことができ、耳の法悦である。
2005年6月、フランス・ドルドーニュ(ペリゴール)の聖シプリアン修道院での録音。

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VnとOrgによるフランク [2006年4月]

ジャン・ミシェル・アレクサンドル(Vn) 国分桃代(Org)
フランク;Vnソナタ ほか(MeloPhone)
フランクの名作をヴァイオリンとオルガンで演奏したCDである。
もともとオルガン奏者として活躍したフランクであるから、Vnソナタのピアノ・パートにもオルガン的発想が浸透しているのではないか、という発想であろうか。
ブックレット(実に美しい出来栄え)によれば、
まず低音をペダルでひろう事にした。そうする事で、和声をひきたたせることの他に、左手の跳躍を最小限におさえることができた。レジストレーションは、ヴァイオリニストと合わせを行いながら、バランスとニュアンスを求めながら決めて行ったが、それぞれの声部の聴こえ方を大事にするために、両手を別々の鍵盤に振り分けることが多かった。
とのことである。
Vn奏者はフランス・ルーアン生れ、ブリュッセル音楽院でローラ・ボベスコに学んだ人。
Org奏者は大阪生れ、現在ブリュッセルで教会オルガニストや教職、演奏活動を行っている。
使用楽器は1856年に建造されたもので、いったん大改築されたが教会のそばで火事があった際に冠水して使用不能になってしまった。修復に当たって建造当時の姿を再現することとし、2000年に完成したばかりとのこと。
カプリングはオルガン独奏で前奏曲、フーガと変奏 op.18幻想曲 イ長調
2004年8月、ブリュッセルのノートルダム・ド・フィニステール教会における録音。Org奏者夫妻(夫君もOrg奏者)の個人レーベルらしい。

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ジョン・ルイスの平均律第1巻 [2006年4月]

ジョン・ルイス(P) ほか
バッハ(ジョン・ルイス編);プレリュードとフーガ vol.1(Philips)
ジョン・ルイスのバッハ傾倒は、MJQで活躍していた時代から有名だったが、1985年のバッハ生誕300年を期して、日本フォノグラムの企画により、彼の編曲と演奏で平均律クラヴィーア曲集 第1巻が録音された。
全24曲を4枚のCDに収録しており、当第1巻では第1・2・6・7・21・22番が採り上げられている。
新譜で出たときには、斉諧生の知るかぎり評判も芳しくなく(たしか「クラシックとしてもジャズとしても中途半端、巨匠の思い入れが空回りした企画」的な批評だった)、MJQ好きの斉諧生ながら無視していたもの。
爾来20年、顧みなかった音盤であったが、先だってギタリストの鈴木大介のブログ「ジョン・ルイスの平均率を熱く語る」(ママ)と題して絶賛されていた。
これ、体調とかに関わらず、いつ聴いてもすごいんです。(略)
 プレリュードは原曲通りピアノ独奏で始まって、いつの間にか、即興演奏になっていて、いつの間にか、原曲に戻って終わるんです。
 フーガは、ピアノ、ギター、ベース(あと、ヴァイオリン、ヴィオラ)が1声部ずつ受け持って進行して、またいつともなく、それは美しい即興パートに入ってゆきます。そして、また原曲に戻ったり、即興になったり…(略)
 即興パートのコード進行の、優美さとブルース感のこれほどまで見事な調和。さすが長年MJQで、バッハライク(対位法的)な表現を追求してきた巨匠ジョン・ルイスなだけに、 バッハとともに生きようとするひたむきさ、真にバッハを愛する者たちの、敬虔な、バッハに対する「畏れ」を感じさせるんです。
 このジョン・ルイスのバージョンは、リヒテルやグールドと並べて聴けます、と断言しておきましょう。
ここまでの賛辞を聞いては当盤聴かざるべからずと捜していたところ某オークションに安価な出品があり、落札したもの。
1984年1・9月、ニューヨーク、ラトガーズ教会での録音。

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2006年04月16日(日)

レイボヴィッツのdial録音 [2006年4月]

ルネ・レイボヴィッツ(指揮) パリ室内管 ほか
ベルク;Vn、Pと13管楽器の室内協 & シェーンベルク;「月に憑かれたピエロ」(グリーンドア)
最近のグリーンドアからの覆刻盤は、結構な割合で斉諧生の「ツボ」を衝いてくる。税込2,520円という値付けでなければ、もっと買いたいのだが…。
これはその中でも是非々々の1枚、レイボヴィッツの新ウィーン楽派録音を初期LPから板起こししたもの。
ブックレットによると、dialレーベルは、伝説のアルトサックス奏者チャーリー・パーカーを録音するために設立された小レーベルで、パーカーとの関係が終わったのち、短期間、現代音楽を製作した。
リリースされたLPは19枚、レイボヴィッツはそのうち6枚に登場し、7曲を指揮している(詳細はディスコグラフィ参照)。
当盤は、そのうち比較的有名な標記の2曲を収録しており、稀代のランパル・コレクター、Fl奏者の高桑英世氏の所蔵盤が使用されているとのこと。
強奏で歪みを生じる箇所もあるが、斉諧生架蔵盤より優れた生々しい音質であり(ステレオと聴き紛うくらい分離がよい)、初期LPの覆刻としては非常に満足すべき水準だ。

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アンゲルブレシュトのラロ [2006年4月]

ドゥヴィ・エルリ(Vn) デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) ロンドン・フィル
ラロ;スペイン交響曲・ノルウェー狂詩曲(グリーンドア)
グリーンドアに衝かれた「ツボ」の2つめ。アンゲルブレシュトの未架蔵音源である!
珍しくイギリスのオーケストラを振っているが、音楽に隙は見られない。
これも優れた音質で、独奏Vnなど実に生々しく録れており、「向かうところ敵無し」とでも形容したいような、エルリの勢いを十全に再現している。

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デュメイのショーソン [2006年4月]

オーギュスタン・デュメイ(Vn & 指揮) ワロン室内管 ほか
ショーソン;Vn、Pと弦楽四重奏のための協奏曲 ほか(CASCAVELLE)
新譜の棚を眺めていたら、デュメイの新譜が出ていたので吃驚。しかもCASCAVELLEレーベルとは!
オーケストラ(弦楽アンサンブル編成)の組合せも意外だったが、2004年から首席指揮者を務めているとのこと。
標記ショーソン作品の独奏ピアノに盟友ジャン・フィリップ・コラールを迎え、弦楽四重奏を弦楽合奏に拡大して演奏している。
また、カプリングのラヴェル;ツィガーヌショーソン;詩曲でも、管弦楽パートを弦楽合奏に編曲している(デヴィッド・ワルターによるとクレジット)。
2005年7月、ベルギー・モンスのサン・ドニ教会での録音。

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「大人の時間」? [2006年4月]

スティーブ・キューン・トリオ
「亡き王女のためのパヴァーヌ」(VENUS)
京都出身のスポーツジャーナリスト・玉木正之氏の公式Webpageタマキのナンヤラカンヤラで紹介されていたCD。
愛惜佳曲書で何枚か紹介しているように、クラシックとジャズの領域侵犯の、出来の良いものは大好きである。
新たな愛聴盤になってくれるのではないかと期待して購入してみた。
採り上げられているのは収録順にショパン;幻想即興曲ラヴェル;亡き王女のためのパヴァーヌチャイコフスキー;交響曲第5番第2楽章グリーグ;君を愛すチャイコフスキー;バレエ音楽「白鳥の湖」ショパン;夜想曲 変ホ長調 op.9-2ドビュッシー;夢ショパン;前奏曲 ホ短調 op.28-4ラフマニノフ;P協第2番第3楽章フォーレ;パヴァーヌブラームス;子守歌の11曲。
玉木氏は「チャイコフスキー『交響曲5番2楽章』のジャズ版が好き。」と書いているが、元がワルツだからジャズ化に良く適合している。
「大人の時間」という見出しの意味するところがよくわからないけれども、たしかに上品なピアノ・トリオには違いない。
2005年8月、ニューヨークでのスタジオ録音。

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2006年04月15日(土)

DACの真空管を交換 [斉諧生敬白]

先月25日に導入した、ソフトン(サンバレー) Model2 で使用している真空管・6DJ8(2本)を、Mullard製のECC88に交換。
この真空管も、サンバレー・キット屋から購入。注文は本体と同時にしたのだが、海外からの調達のため、入荷時期が遅くなっていた。
普通なら本体と真空管を同送してもらって送料を節約すべきところだが、組立のような時間と労力の必要なことは3月中に済ませておきたかったので、本体を先に納品してもらったのだ。
朝一番に、本体からケーブル類を外し、蓋を取る。
標準装備の真空管は、ロシア製electro-harmonixだった。
差し換える前に、接点復活剤を使ってMullardのピンを磨く。表面が酸化しており、綿棒がけっこう黒くなった。
故・五味康祐氏は真空管のソケットの内側も磨いたそうだが(歯科医の器具を使ったという)、それは省略。
電源を入れただけで動作させず、簡単なバーンインを行うこと数時間ののち、音出し。
一聴しただけで、再生音のグレードが3段階くらい上がったと思われた。
音の肌理が繊細になり、表面の質感がしっとりと判別できる感じ。交換前は、何でもツルツルピカピカになっていたような様子だ。楽音の余韻の表現も美しい。
今後、エージングが進めば、更に美しい音を奏でてくれるのではないかと期待している。

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2006年04月07日(金)

リヒテルの平均律(インスブルック) [2006年4月]

スヴィヤトスラフ・リヒテル(P)
バッハ;平均律クラヴィーア曲集(第1・2巻)(POLOARTS)
「何を今さら」と言われそうだが、一昨年だったか、突如登場した中国製CD4枚組。
1973年7〜8月、インスブルックのシュティフツ・ヴィルテン教会でライヴ録音された音源で、1997年に日本ビクターから発売された際、権利関係の問題から数日後に廃盤措置となり店頭から回収されたという。
リヒテルの平均律といえば、同時期に録音された正規盤(現在はBMG系から発売)が名演として知られている。グールドを別とすれば、ピアノで弾いた同曲の音盤中、第一に挙げるべき演奏として語られてきたといっていいだろう。
ところが、このインスブルック・ライヴは、演奏内容としてBMG盤を凌ぐという。ピアノ独奏曲に手を広げることは極力、避けようとしている斉諧生ではあるが、バッハは少し別。ぜひ聴いてみたいと思っていた。
できることならビクター盤を入手したいのだが、さすがに困難。この中国盤も品切れと聞いていて、出自の「怪しさ」もあり、購入に至らなかった。
ところが先日、フェインベルクの平均律を聴いていたときに、不意に、この演奏が聴きたくてたまらなくなった。
この盤を知るきっかけであったアリアCDさんに問い合わせてみたところ、まだ在庫があるというので是非にとオーダーしたもの。
当然ながらビクター盤との音質比較は不可能だが、1970年代初めのライヴとしては非常に高い水準。こもった音がワンワン響いている感のあるBMG盤よりも、ずっと良い。
なおブックレットは90頁ほどの分厚いもの、ほぼ全部が中文だが、リヒテルの写真がたくさん掲載されており、中に「床几に腰掛けて煙管で一服つけている」スナップがあって微笑を誘う(どこかの料亭の庭先か? 後ろに二宮金次郎の石像まで据えられている)。

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2006年04月04日(火)

お詫びを申し上げます [斉諧生敬白]

3月30日付けの記事で御報告申し上げた、RSSの導入の際、一つ設定ミスをしておりました。
そのため、リンク先(このファイル)のURLが "http://www.seikaisei.com/new.html/" となっており、クリックしたときに表示が崩れる等の問題が発生しておりました。
お知らせいただいた某Webmasterには、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。
RSSファイルは既に" http://www.seikaisei.com/new.html" と修正しておりますが、間違っていた時点で Blog List 等に登録していただいた方には、たいへんお手数をおかけいたしますけれども、ぜひ御修正いただきますよう、伏してお願い申し上げます。<(_ _)>
DrecomRSS等の場合は、いったん削除して再登録ということになるのかもしれません。。。

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2006年04月02日(土)

アイノラ響演奏会 [演奏会出没録]

3月26日付けの記事に掲載した、アイノラ響の演奏会を聴きに東京へ。
残念ながら日帰り。明3日は新年度最初の勤務日なので、とても休めない。
会場の大田区民ホールアプリコは、京浜東北線蒲田駅から徒歩すぐなので、助かった。
木質の内装等が美しく、音響も優れており、こういう会場が自分の身近にあれば、と羨ましくなる。
最近、こういう足の便の良い会場が増えてきた。近畿圏でも兵庫県立芸術文化センターは交通至便を誇る。
 
今日の曲目は、先に記したとおり、新田ユリさんの指揮で、
シベリウス;交響詩「春の歌」 op.16
シベリウス;交響詩「夜の騎行と日の出」 op.55
ステーンハンマル;交響カンタータ「歌」 op.44より間奏曲
シベリウス;交響曲第6番 op.104
というもの。
なお、オーケストラは第1・第2Vnを左右に分け、Vcが内側左手・Vaが内側右手・Cbは最後部に横一列という凝りよう。
(註、新田さんの日記に関連記事あり)
 
シベリウスの音楽を愛する演奏者たちの集まりを新田さんが指揮されるからには悪い結果になりようもなく、そこかしこから「シベリウスの響き」が聴こえる、素晴らしい演奏会になった。
例えば「春の歌」で、弦合奏が主題を歌い上げるところの温かい音色とずっしりした響き。
あるいは「夜の騎行と日の出」で、太陽の主題をHrn群が最高の荘厳さで吹き上げ、そこに木管が絡んできたときの、胸をうつ北欧の強い抒情。
そして圧巻はやはり交響曲
トロンボーンのズバッと切り落とすようなフレーズや、ティンパニの響き具合など、「これぞシベリウス!」という瞬間が相次いだ。
もちろんアマチュアゆえの音程の甘さ、ライヴゆえの傷などは別にして。
唯一、斉諧生の勝手な希望をいうなら、第3楽章から第4楽章へアタッカでつないでおられたのだが、他の楽章間も同様であれば…。
次の第7交響曲では単一楽章になったのだが、この曲でも楽章間の性格分けが曖昧になっている(というより、作曲者が古典派以来の枠組みを超越しつつある)。
 
最大の目標ステーンハンマル;間奏曲も、少し速めのテンポで、しかし愛情をもって演奏していただき、まことに欣快これにすぐるものなし。
 
またアンコールが凄かった。
なんと「春の歌」(1895年版)
本プロで演奏された現行版は1903年改訂版で、この初稿(厳密には二稿)版は出版もされておらず、特に許可を得て今日のコンサートに掛けたとのこと。
現行版よりも「花がある」感じで、こちらの方が面白いと感じた。
もちろん徹底的に推敲された分、現行版は凝縮された音楽で、この作曲家らしい響きになっているのだが、それならばシベリウスの他の作品にもっと優れたものがあるという気がしないでもないからだ。
 
更にアンダンテ・フェスティーヴォ
これまで何度か演奏されているからか、オーケストラの手の内に入った感じで、のびのび・生き生きとした弦合奏が素晴らしかった。
 
来年には、4月の定期演奏会と秋に「クッレルヴォ」全曲演奏を予定しておられるとのこと。
本業多忙な時期ゆえ多少心配だが、また聴きに来させていただきたいものである。

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ロスバウトのCD覆刻盤 [2006年4月]

ハンス・ロスバウト(指揮) バイエルン放送響 ほか
ハイドン;交響曲第82番 & モーツァルト;交響曲第39・41番 ほか(Monograph)
演奏会終了後、渋谷の大型音盤店に赴く。購入量は極力抑えるつもりだったが、結果は以下のとおり(苦笑)。とはいえ、これでも最初にカゴに入れた分からは半減しているのだ(滅)。
 
ロスバウトがLP初期(1950年)にMercuryレーベルに録音した音源が、ようやくCDに覆刻された。怪しげなイタリア盤ではあるが、彼の古典派演奏は漏らしたくないので購入。
架蔵しているLPは盤の状態があまり良くないので、音質に期待した面もあったのだが、残念ながらさほど良好とは言えない板起こしで、音がかなり硬い。
2枚組で、もう1枚はマーラー;交響曲第7番(ベルリン放送響)。こちらはVOXからCD化済み。

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ダウスゴーのエロイカ [2006年4月]

トマス・ダウスゴー(指揮) スウェーデン室内管 ほか
ベートーヴェン;交響曲第3番 ほか(SIMAX)
ダウスゴーのベートーヴェン;管弦楽曲全集の第8巻が店頭に並んでいた。
第7巻(P協第4番 ほか)が昨年末だったから、けっこう早く続きが出たことになる。
SIMAXは入ってきたときに買わないと、しばらく入荷が途絶えることがあるので、優先して購入。
カプリングは交響曲に何らかのつながりのある曲ばかりで、12のコントルダンス(エロイカ主題が現れるナンバーがある)、劇音楽「レオノーレ・プロハスカ」より葬送行進曲(もちろん「葬送」つながり)、ロマンス第1・2番(作曲/出版時期が近い)。
最後の曲の独奏はスウェーデン室内管のコンサート・ミストレス、カタリーナ・アンドレアソンが担当している。
録音は少し前で2002年5・10月、オーケストラのホーム、エレブロ・コンサート・ホール。
このシリーズ、主要な作品で残っているのは交響曲第8・9番、P協第5番、Vn協あたり。続巻と完結が待たれてならない。

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スクリデのショスタコーヴィッチ [2006年4月]

バイバ・スクリデ(Vn) ミッコ・フランク(指揮) ミュンヘン・フィル ほか
ショスタコーヴィッチ;Vn協第1番 & ヤナーチェク;Vn協(Sony Classical)
バイバ・スクリデといえば、数年前までは「スクリデ三姉妹」(バイバは二女)というくくりで北海道東川町との交流という、非常に限られた部分でのみ知られていた。
2001年のエリザベート王妃国際音楽コンクールでの優勝以来、Sony ClassicalからCDが出るなど、国際的なキャリアを拓いている。
これまでの無伴奏アルバムやモーツァルトの協奏曲録音には今ひとつ食指が動かなかったが、ショスタコーヴィッチの録音が出るというので興味を惹かれていた。
ようやく現物を見つけたので購入。もしかしたらドイツSonyのローカルリリースだったのかもしれない。
もちろん工藤さんは既にレビューしておられ、
切々と歌い込みながらも派手に切れ味を見せ付ける、甘口路線の演奏。華やかで効果満点の演奏ではあるが、この作品はこんなに軟派な曲ではない。
と、辛口の評。
あちゃ〜、手を出すべきではなかった…と思いつつ、ミッコ・フランクの指揮盤だからと自分に言いきかせてみる(苦笑)。
ただしカプリングのヤナーチェクは、マレク・ヤノフスキ(指揮) ベルリン放送響の付け。
ショスタコーヴィッチは2004年4月、ミュンヘンでのライヴ録音。ヤナーチェクの収録は同年8月、ベルリンにて(放送用録音か)。

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ガッティのモーツァルト [2006年4月]

エンリコ・ガッティ(Vn) ラウラ・アルヴィーニ(P)
モーツァルト;Vnソナタ・変奏曲集(ARCANA)
ガッティの独奏盤は聴いたことがなかったが(アンサンブルではあったと思う)、彼の音盤が昨日読んだ福島章恭氏の『モーツァルト百科全書』で賞賛されていた。
ホ短調K304の沈み込むようなメランコリー、春の訪れを予感させるト長調K301、早くも彼岸への親しみすら感じさせるハ長調K303など、作品の美しさをきわめて自然に歌い上げる感性と力量は素晴らしい。
とのこと、ぜひ聴いてみたいがARCANAレーベルは見つかりにくいし…と思っていたところ、今日立ち寄った店頭にあったので直ちに購入。
CD2枚にK301〜306のソナタとK359・360の変奏曲を収めている。ソナタ6曲は1778年のパリ旅行で書かれたものとされており、1組にまとめられることには意義がある。
福島氏が「デジタル録音の極限にまで達するレヴェル」と言う音質にも期待したい。
1997年10・11月、イタリア北部のブリオスコ市にあるジュリーニ・メディチ荘での録音。

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テレフセン待望の新録音 [2006年4月]

アルヴェ・テレフセン(Vn) アイヴィン・オードラン(指揮) トロンヘイム響 ほか
ブル;Vn作品集(SIMAX)
「北欧のオイストラフ」の異名で知られる名奏者テレフセンの新譜が出る、しかもノルウェーの伝説的ヴァイオリニスト兼作曲家、オーレ・ブルのVn作品を網羅したアルバムというので、待ち焦がれていた。
なぜか地元の音盤店では手に入らず、今日の最大の目標にしていたCDである。さすが渋谷で、平積みになっていた。
全17曲が収められており、半分ほどは標記の管弦楽伴奏、残りは弦楽アンサンブル又はホーヴァル・ギムゼ(P)との共演。
2004年6月にトロンヘイム、同年11月にオスロで録音された。
ノルウェー独立(1905年)100周年記念盤とのことである。

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宇田川杰子とベレゾフスキー [2006年4月]

宇田川杰子(Vn) ボリス・ベレゾフスキー(P)
ハチャトゥリアン;Vn作品集(KOCH)
ミルシテインの愛弟子として知られている宇田川杰子の最新録音。
といっても収録は2000年7月(ニューヨーク、パーチェス・カレッジ)、発売も2年ほど前だったか。
新譜当時は国内盤扱い3,000円ほどで出回ったので、折りを見て安い輸入盤で入手しようと思っていたところ、なんだかんだで買いそびれていたもの。
世界初録音というVnソナタ(1932年)のほか小品11曲を収めている。
エンハンストCD仕様で、PC上では「剣の舞」の演奏映像などを見ることができる。

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アラウのモーツァルト [2006年4月]

クラウディオ・アラウ(P)
モーツァルト;Pソナタ全集(Philips)
これも昨日福島章恭『モーツァルト百科全書』での推奨盤。
ベートーヴェン演奏で発揮された長所である、スマートでない無骨な弾き方が、ちょうど、バックハウスの演奏がそうであったように、モーツァルトでも独特の魅力を醸し出している。」とのこと。
バックハウスのモーツァルト演奏は、協奏曲もソナタも、LP時代から愛聴しているので、ああいうモーツァルトを新しい録音で(といっても1980年代後半のものだが)聴けるのであれば、ぜひ入手したいと考えていた。
福島著には入手が難しいと書かれていたが、この2003年に出た「アラウ・ヘリテージ」という7枚組は、まだ現役盤のようだ。ちょうど行われていたユニバーサル系箱物のセールの中で、何セットかが並べられていた。

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2006年04月01日(土)

福島章恭氏のモーツァルト本 [求書読書録]

新刊福島章恭 『モーツァルト百科全書』(毎日新聞社)を読了。
モーツァルトの生涯を追いながら名曲の名演奏(名盤)を紹介するという、生誕250年を当て込む類書の多いスタイル。本来なら生誕日1月26日に発売すべきところ、執筆が遅れて3月末になったらしい。
当初、福島氏が指揮する「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をCDで添付することが計画されていたが、この遅延のためセールス上の観点から中止されたという。これは非常に残念。
 
福島氏には既に『モーツァルトをCDで究める』及び『交響曲CD絶対の名盤』があり、かなりの曲・音盤は、それらで論じられている。
本書では、先行著作での評価を変える演奏や、採り上げていない演奏を紹介するように努めたとのことであるが、そのためにセレクションが、かなりマニアックになったことは否めない。
著者がオリジナルLP(又はオリジナルに近い盤)を追求しはじめたことが、それに輪をかけた。
斉諧生のようなマニアには寧ろその方が好ましいけれども(汗)、「一般の音楽ファンに、モーツァルトを身近に感じてもらう」(「はじめに」より要約)には、ちょっとふさわしくないかもしれない。
「ステレオ初期の録音に関しては、モノラル盤LPの方が音が良い場合がある」とか、英プレスと米プレスの音の違いとか、普通の人は「引いて」しまうだろう…。
 
ともあれ上記『モーツァルトをCDで究める』の補巻として、是非お目とおしいただきたい著作である。
オペラについてベームのモノラル盤を挙げたり、ピアノ・ソナタでアラウの全集を推すなど、「次の購入リスト」のためには非常に興味深い。
交響曲第35番「ハフナー」パレー盤を賞賛しCD化を要望しておられる点は、まさに同感。

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