音盤狂日録


3月31日(水): 

 

フランソワ・ユイブレクト(指揮) フランダース・フィル
ベルギー管弦楽名曲集(RENE GAILLY)
某オークションルクー;アダージョの未架蔵盤を見つけ、落札したもの。
その他に5曲を収録しているが、知っている名前はグレトリーくらい(とはいえ作品は未知)。
中ではモルテルマンス;「イン・メモリアム」の、しみじみとした悲歌に心うたれた。
1868年生れ・1952年没の作曲家だが、記念財団のWebpageがあるようだ。
録音データは明記されていないが、マルP1983年、マルC1996年とあり、前者が録音・後者がCD化の時期であろうか。
 
デーネシュ・コヴァーチュ(Vn) ミクローシュ・エルデーイ(指揮) ブダペシュト・フィル
ブラームス;Vn協(洪Hungaroton、LP)
このところ蒐集しているハンガリーの名ヴァイオリニスト、コヴァーチュ。
昨日もバッハが届いたところだが、今日はブラームスの協奏曲が手に入った。
以前、何度か海外の通販サイトに注文しては売切という憂き目に遭っていた。
先だって国内の通販業者のカタログに再発盤が掲載されており、メールで問い合わせたところ、初出盤の在庫があるというので、勇躍オーダーしたもの。
録音データは明記されていない。カデンツァはヨアヒムのものを使用しているとのこと。
 

3月30日(火): 

 

ルドルフ・コーリッシュ(Vn) ルネ・レイボヴィッツ(指揮) ウィスコンシン音楽祭管 ほか
シェーンベルク;Vn協 ほか(M & A)
この6枚組セットは、前に音盤屋の新譜棚で見かけていたが、レイボヴィッツの演奏が含まれているとは気づかず、見過ごしていた。
Webを検索していて、ふと情報を発見。大あわてでレーベルの公式Webpageからオーダーしたもの。到着まで10日を要しなかったのは、アメリカとの取引では早い方だ。
標記のVn協は1967年5月7日の収録。レイボヴィッツの同曲初めての音源である上、日付が判明している中では最も遅い時期の録音ということになる。
その他、シェーンベルクの盟友・義兄であったコーリッシュの面目躍如たる曲目が並んでいる。
1936年末から翌年初にかけてロサンジェルスで録音されたシェーンベルク;弦楽四重奏曲第1〜4番が、その雄たるもの。
また、1950年代に活動したdialレーベルのLPからの覆刻を含んでいるのも面白い。録音から50年を経たということで、初期LPも著作権の所在にこだわらないCD化が行われるようになってきたのだろう。
シェーンベルク;弦楽四重奏曲第3番(dial #4)
ベルク;抒情組曲(dial #5)
ウェーベルン;弦楽四重奏のための5楽章(dial #7)
ウェーベルン;弦楽四重奏のための6つのバガテル(dial #7)
更にシューベルト;八重奏曲バルトーク;弦楽四重奏曲第5番・無伴奏Vnソナタといった曲目も興味深い。
 
エマニュエル・クリヴィヌ(Vn) クリスチャン・イヴァルディ(P)
フランク;Vnソナタ & ドビュッシー;Vnソナタ(L'ESCARGOT)
以前、このCDを買い逃したことを悔やんでいる…と書いた。
それを憶えていてくださった読者の方が、わざわざお譲りくださったもの。同じものが2枚、お手許にあったとのこと。
マルPが1979年・マルCが1986年とあるので、前者が録音、後者がCD化の時期であろう。
御厚意に、あらためて謝意を表したい。<(_ _)>
 
オリヴァー・リペイジ・ディーン(B-S) クリストファー・ウィットン(Org) ほか
「夕べの讃歌」(NAXOS)
イギリス・アマゾンで音盤を捜していて、ふと思い立ってリリー・ブーランジェで検索してみると、このCDがヒットした。「ピエ・イェズ」が収録されているのである。
NAXOSレーベルだが、国内盤はまだ出ていない模様なので直ちにオーダー、5日ほどで到着した。
ボーイ・ソプラノが、この曲を録音するのは、おそらくマルケヴィッチ盤以来、約45年ぶりのことだろう。
オリヴァー君はケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ聖歌隊のメンバーで、ロイヤル・アルバート・ホールでホセ・カレーラスと共演したり、日本やアメリカへ演奏旅行をしたこともあるという。
録音は2002年1・2月にケンブリッジで行われたが、その数週間後に声変わりが始まったとか。(現在も声楽の勉強は続けているとのこと。)
ブーランジェ作品のほか、パーセル;夕べの讃歌デュリュフレ;ピエ・イェズなど25曲を収録している。
おおよそは宗教的な作品だが、最後にガーシュウィン;歩み入る恋が歌われているのが面白い。アンコールのような意味だろう。
標記オルガニストに加え、曲によりピアノやセント・ジョンズ・カレッジ聖歌隊等が加わる。
なお、ジャケットに、当録音をジョージ・ゲストの追憶に捧げる旨、明記されている。
ゲストは、1951〜91年の間、セント・ジョンズ・カレッジ聖歌隊のオルガニスト兼指揮者で、DECCAレーベルを中心に、多くの録音を残している。フォーレデュリュフレのレクイエムなど、すぐれた演奏だったと記憶している。
 
デーネシュ・コヴァーチュ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(洪Hungaroton、LP)
ハンガリーの名ヴァイオリニスト(リスト音楽院教授)、コヴァーチュのバッハは、ぜひ聴いてみたいと思い、何度も内外の通販業者にオーダーしては売切で涙を呑んできた。
ようやく某オークションに出品されたものを落札。
録音データが詳細を欠いているが、マルPは1981年とあるので、アナログ末期のものであろう。
 

 昨日・今日に入手したCDの情報をリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに掲載。


3月29日(月): アカデミアに注文していたルクー;弦楽のためのアダージョのスコアが届いた。
 ドイツ・ミュンヘンのヘフリッヒ社によるレペルトワール・エクスプローラー・シリーズ中の1巻である。このシリーズには、アリアーガ;歌劇「幸せな奴隷たち」序曲ブルッフ;スコットランド幻想曲フォーレ;P五重奏曲第2番シマノフスキ;交響曲第2番等、気になる曲が多く含まれているのだが、値段も結構な額なので、とりあえずルクー作品のみをオーダーしたもの。
 折悪しく在庫が無く、海外発注になったため、約2カ月を要した。

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送響 ほか
ラヴェル;ボレロ・組曲「ダフニスとクロエ」第2番 ほか(WETBLICK)
ケーゲルのライヴ、聴かざるべからず。
収録曲と録音年月日は、
組曲「ダフニスとクロエ」第2番 (1965年9月20日、モノラル)
P協 (セシル・ウーセ、1974年3月27・28日)
ボレロ (1985年5月9・10日)
録音からちょうど30年を経るP協も音質に遜色なく、十二分に楽しめる水準である。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮) コンセール・パドルー管 ほか
オッフェンバック;喜歌劇「ジェロルスティン大公妃」(PREISER)
このところPREISERレーベルからレイボヴィッツのオペレッタ録音が、次々とCD覆刻されて嬉しい限り。
しかも、当盤はステレオ収録。架蔵しているLPはモノラルだけに、二重の嬉しさである。もっとも音質的には古めかしさを隠せないが…(特に弦合奏。独唱や木管の音色は実に生々しい。)。
録音年も1958年と明記されており、未詳データが一つ埋まったことになる。
さて、今度はステレオのLPを捜さねば(笑)。
 

3月28日(日): 

 この間入手したCDの情報をカザルス・ディスコグラフィシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィに掲載。


3月27日(土): 

 

パブロ・カザルス(指揮) プラド音楽祭管
「プラド・バッハ音楽祭 1950」(Pearl)
 
パブロ・カザルス(指揮) プラド音楽祭管
「プラド・バッハ音楽祭 1950 II」(Pearl)
 
パブロ・カザルス(指揮) プラド音楽祭管
「プラド・バッハ音楽祭 1950 III」(Pearl)
カザルスのモノラル録音が各CD2枚組・3巻が一挙にリリースされた。以前から英国系通販サイトで売り出されていたが、ついでの折にまとめてオーダーしようと思っていたところ、店頭に並んだのを見ると辛抱できなくなってしまい(苦笑)、レジへ持参。
1950年の音楽祭の実況録音は、当時、米Columbiaから、開発から間もないLPで発売された。昨年春にCASCAVELLEレーベルからCD5枚組で覆刻されていたが、同じ板起こしながら、今回の方の音質が若干上回る。CASCAVELLE盤で耳についた歪みがほとんど無く、楽音の力強さが優っている。
とはいえ、音が少々硬めで、周波数レンジが狭いのか古めかしさは否めない。まあ、これはLP草創期の技術的制約であろう。
オリジナルのLPを捜しても、状態の良いものは、まず、得られないだろうから、ここまでの音質で覆刻してもらえたことを諒とせねば。
 
各巻の収録曲は次のとおり。
第1巻
ブランデンブルク協(全曲)
第5番の独奏Vnはヨーゼフ・シゲティ
音楽の捧げ物(抜粋)
3声のリチェルカーレトリオ・ソナタ6声のリチェルカーレ
 
第2巻
管弦楽組曲第1・2番
Vcソナタ第1〜3番
カザルス(Vc) パウル・バウムガルトナー(P)
半音階的幻想曲とフーガ・イタリア協奏曲
ルドルフ・ゼルキン(P)
イギリス組曲第5番
ミエチスラフ・ホルショフスキ(P)
前奏曲とフーガ第8番 変ホ短調
イヴォンヌ・ルフェーブル(P)
 
第3巻
Vn協 BWV1041
アイザック・スターン(Vn)
2Vn協 BWV1043
アイザック・スターン & アレクサンダー・シュナイダー(Vn)
P、Vn & Fl協 BWV1044
ミエチスラフ・ホルショフスキ(P) アレクサンダー・シュナイダー(Vn) ジョン・ウンマー(Fl)
Vn協 BWV1052a
ヨーゼフ・シゲティ(Vn)
P協 BWV1056
クララ・ハスキル(P)
Vn & Ob協 BWV1060a
アイザック・スターン(Vn) マルセル・タビュトー(Ob)
トリオ・ソナタ BWV1038
アイザック・スターン(Vn) ユージン・イストミン(P) ジョン・ウンマー(Fl)
Flソナタ BWV1030
ジョン・ウンマー(Fl) レオポルト・マンネス(P)
 
パブロ・カザルス(指揮) マールボロ音楽祭管
バッハ;ブランデンブルク協(全曲)(Sony Classical)
奇しくも上記プラド音楽祭盤(もちろんモノラル)と同時に、ブランデンブルク協のステレオ盤が、英Sony Classicalから再発された。
CD2枚組に全6曲とリハーサル風景(各曲数分ずつ)を収録している。
音質的には国内盤CDの方が自然で聴きやすい。英盤はリマスタリングでシェイプしすぎた感じ。
リハーサル風景は初出LPに特典盤として添付されていたもので、国内盤CD箱物(SRCR9367〜75)にも同様に特典盤として添付されていた。ただし、曲によっては当盤の方が長く収録されており、その点では貴重なリリースということになる。
 
ルノー・カプソン(Vn) ゴーティエ・カプソン(Vc) ニコラ・アンゲリッシュ(P)
ブラームス;P三重奏曲第1〜3番(Virgin)
このところ贔屓にしているヴァイオリニスト、カプソンの新譜が出ていた。
Virginレーベルの輸入盤がCCCD規格になってしまい、彼の前作動物の謝肉祭 ほかは、CDで出ているはずのイギリスの通販サイトにオーダーして、到着を待っている。
ところが、今回のブラームスはCDに戻っているようで、やれ嬉しやとレジへ持参した。
CD2枚組で、2枚目は第3番だけ22分半ほどの収録。
2003年12月、南仏シャンベリーでの録音。
 

3月25日(木): 

 

ガリー・ベルティーニ(指揮) 東京都響 ほか
マーラー;交響曲第4番 ほか(fontec)
ベルティーニ & 都響のマーラー・チクルス、リリースは進んでいるのだが、購入が追いついていなかった。国内盤新譜は値段も高いし、当分は廃盤にもならないだろうから、後回しになるのである。
ところが先日、某オークションで安く出品されていたので落札したもの。
第4番の独唱は森麻季(Sop)、またクラウス・メルテンス(Bs)による亡き子をしのぶ歌をカプリングしている。
2002年11月24日、横浜みなとみらいホールでのライヴ録音。
 
オッコ・カム(指揮) 日本フィル ほか
サン・サーンス;交響曲第3番 ほか(日本フィル自主製作)
指揮者は北欧、しかも自主製作盤ということで、本来ならばオーケストラ事務局に注文してでも買わざるべからずなのだが、メインが「オルガン付き」というので、ちょっと食指が動かなかった。
これも某オークションで安く出品されていたので落札したもの。
ニルセン;雄鶏のダンス(歌劇「仮面舞踏会」より)ヤルネフェルト;前奏曲と子守歌シベリウス;行進曲風に(組曲「カレリア」より)と、北欧の小品4曲が含まれている。
このうちシベリウスは1998年10月22日、サントリー・ホールにおけるライヴ録音。偶々この翌日、本業の出張で東京へ行くことがあり、定期演奏会の2日目を聴いているので、多少の感慨がある。
サン・サーンスは2002年10月12日の横浜みなとみらいホール、ニルセンとヤルネフェルトは翌13日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
 
庄司紗矢香(Vn) ズビン・メータ(指揮) イスラエル・フィル
パガニーニ;Vn協第1番 ほか(DGG)
新譜のプロコフィエフ;Vnソナタ集の評判が良いようなので、ちょっと気になっていたところ、デビュー盤が安価で某オークションに出品されていたので落札してみた。
カプリングがショーソン;詩曲ワックスマン;カルメン幻想曲ミルシテイン;パガニーニアーナ
このラインナップの中では、ショーソン作品が浮いているように思う。サラサーテなりヴィニャフスキなり、コンポーザー・ヴァイオリニストの技巧的な曲を持ってきた方が、統一感が出たのではないか。
2000年7月、テルアヴィヴでの録音。
そういえば、五嶋みどりもレコーディング・キャリアの初期にはメータとの共演が多かったことを思い出す。
 
ヴァレリー・アファナシエフ(P)
ベートーヴェン;Pソナタ第30〜32番(若林工房)
資金面及び架蔵スペース面の限界を考慮して、ピアノ独奏作品は購入しないことを原則にしているのだが、アファナシエフがベートーヴェンの後期ソナタを録音したとあっては、聴き逃すことはできない。
発売元にメールでオーダーし、代金振込後に送付されてきたもの。
例によって演奏時間が長く、この3曲にCD2枚を要している。
また、ブックレットにピアニスト自身のエッセイが掲載されているのも、いつもどおり。
2003年10月27日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
(附記) 直販だけかと思っていたが、タワーレコードで販売されていた(3月27日)。
 

3月24日(水): 

 

ゾルターン・コチシュ(指揮) ハンガリー国立フィル
バルトーク;管弦楽のための協奏曲・舞踏組曲 ほか(Hungaroton)
愛読しているケイコのねむぜてぃ日記では、いつもハンガリー国立フィルの練習風景や演奏旅行の内幕に爆笑させてもらっている。
彼らと音楽監督コチシュの録音は、昨年夏にドビュッシーラヴェルが出ていたが、新譜で「お国もの」バルトークがリリースされていたので購入。
2002年9月のブダペシュト録音で、SACDハイブリッド・ディスク。
 
マリオ・ベルナルディ(指揮) CBCヴァンクーヴァー管
北欧管弦楽曲集(CBC)
このコンビの北欧管弦楽曲集は、先日、シベリウス;組曲「恋する人」ほかの1枚を購入したが、更に音盤があると、やはり北欧音楽MLで御教示いただいた。
グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」を含んでいるからには買わざるべからず、レーベルの直販Webpageにオーダーしたもの。バーゲン価格(4米ドル弱)になっていたのも有り難い。
その他に、シベリウス;悲しきワルツニルセン;小組曲グリーグ;二つの悲しい旋律を収録している。
録音年月が明記されていないがマルPは1987年、録音場所はヴァンクーヴァー市内の教会とのこと。
オーダーから到着まで、2週間強。
 
ジェームズ・エーネス(Vn) マリオ・ベルナルディ(指揮) モントリオール響
ブルッフ;Vn協第2番・スコットランド幻想曲(CBC)
前から気になっていた、贔屓のヴァイオリニストの新録音を、上記ベルナルディ盤と併せてオーダーした。
同じ作曲家の第1・3番は、既にデュトワの指揮でリリースされている。
2002年5月、ケベックでの録音。
なお、エーネスは今年来日の予定があり、京都市響の7月定期に出演してグラズノフ;Vn協を弾く予定になっている。
 
デスモンド・ヘービク(Vc) アンドルー・チュニス(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ & ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(CBC)
更にCBCの直販Webpageを捜していると、ラフマニノフとショスタコーヴィッチをカプリングした盤がバーゲン価格で出ており、これは聴きたいとオーダーしたもの。
チェリストはカナダの人で、ミュンヘン国際コンクールやチャイコフスキー・コンクールで入賞、モントリオール響シンシナティ響のポストを歴任して、現在はヒューストン響の首席奏者の地位にある。
ショスタコーヴィッチに関しては工藤さんのコメントがあり、
少しチェロのバランスが弱いようにも感じるが、非常に美しく仕上げられた演奏。決して力任せに絶叫することのない、格調高い音楽は評価に値する。ただ、第3楽章だけはあまりに淡白に過ぎる。もう少し深い歌が欲しかった。
とのこと。
録音は1993年2月。
 
伶楽舎 ほか
「陰陽師」(VICTOR)
一昨年、武満徹;秋庭歌一具の名盤を出した伶楽舎の公式Webpageを見ていると、けっこうCDを出しておられる様子。
中に、このところブームになっている陰陽師のイメージ音楽集というのがある。
夢枕獏の原作や岡野玲子の漫画を読んだことはないが、野村萬斎主演の映画は観てきている。
いちど聴いてみたいと興味を惹かれていたところ、某オークションで安価なものを落札できた。
演奏されているのは古典ばかりだが、プロデュースした岡野氏の趣味なのか、雷の音などがダビングされているのは蛇足だろう。
ブライアン・イーノ等による音楽と併せての2枚組。
 

3月23日(火): ステーンハンマルの歌曲30曲の楽譜が入手できた。Leyerle Publicationsというアメリカの出版社から出ているもの。彼の歌曲は65曲あるので、ほぼ半分が収録されているということになる。
 出版されている形態にこだわらず、個々の曲を作曲年代順に配列している。そのため、同一の歌曲集、例えば作品26の歌曲集「歌と印象」でも全10曲のうち8曲しか入っていないなど、網羅性には欠けるが、それでもとにかく大助かりである。
 実は、斉諧生は歌曲全般に疎く、ステーンハンマルの作品中でも、この分野は最も馴染みが薄い。先だって御紹介した『音楽現代』誌4月号の原稿でも彼の歌曲にはまったく触れることができなかった。この楽譜を入手できたことで、その弱点が少しは補えると思う。
 なお、Annette Johansson という人(ハワイ大の声楽教授とのこと)が、国際音声記号でスウェーデン語の発音を表記し、若干の解説を付している。
 入手に当たっては、TIS Music CatalogというWebサイトにオーダーした。売価18ドル、送料の方が少し高くつくが、それでも5,000円程度で購入できた。
 
 この情報、どこで把握したのか、すっかり忘れてしまった。偶々ネットサーフで辿り着いたのか、どこかのWebpageで御教示いただいたのか…。
 もし後者等であれば、特記して謝辞を申し述べるべきところ。欠礼を御寛恕くださるようお願い申し上げます。

 

カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮) ウィーン・フィル ほか
フランク;交響曲 ほか(Sony Classical)
某オークションに当盤が出品されていた。新譜の時は見過ごしていたものだが、ジュリーニとウィーン・フィルの顔合わせは興味深いし、そもそもこのオーケストラがこの曲を演奏しているのは珍しい。フルトヴェングラーとのモノラル録音(DECCA)があるくらいではないか。
これは聴いてみたいと思い、落札したもの。
ポール・クロスリー(P)を独奏に迎えた交響的変奏曲をカプリングしている。
1993年6月、楽友協会大ホールでの録音、交響曲はライヴとのこと。
 
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮) パリ管
ブルックナー;交響曲第4番(Ondine)
ムストネンセーゲルスタムシベリウスなど、このところ目覚ましい活動をしているOndineレーベルから、エッシェンバッハとパリ管の録音、しかもブルックナーが出るという。
もう北欧ローカルのレーベルではないということであろうか。
この指揮者のブルックナー録音にはヒューストン響との第6番等があったが、第4番といったポピュラーな曲は初めての筈。
オーケストラがフランスという点も含め、不安がないこともないが、とにかく聴いてみなければ始まらない。
最近このレーベルは公式Webpageへ直接オーダーしていたが、当盤は早めに入荷しそうだったので、店頭に並ぶのを待って購入。
2003年2月、パリでのライヴ録音。
 
ウラディーミル・アシュケナージ(P) ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ロンドン響 ほか
モーツァルト;P協第20番 ほか(DECCA)
某オークションを見ていたら、イッセルシュテットの指揮盤が出品されていて吃驚。
LPは架蔵しているが、CDになっていたとは気づいていなかった。慌てて落札したもの。
カプリングはオリジナルの第6番ではなく、ピアニスト弾き振りの第24番
これまで「1967年頃」としてきた録音年月が1968年1月、不明だった録音場所がキングズウェイ・ホールと判ったのも収穫だった。
 
シャロン・ベザリー(Fl) ジャン・ジャック・カントロフ(指揮) タピオラ・シンフォニエッタ
「フランスFl曲集」(BIS)
『レコード芸術』4月号にベザリーのインタビューが掲載されており、シャーンドル・ヴェーグカメラータ・アカデミカ・ザルツブルクに在籍して教えを受けていたというので、俄然、興味を起こした。
折から某オークションにカントロフとの共演盤が安価で出品されており、指揮者の方の蒐集を兼ねて落札したもの。
ドヴィエンヌグノーサン・サーンスフォーレの作品を収めているが、いずれもかなりマイナーな曲ばかりのようだ。
2002年5月、フィンランドでの録音。
 

3月22日(月): 

 

レジ・パスキエ(Vn) ジャン・クロード・ペネティエ(P) ほか
ショーソン;Vn、Pと弦楽四重奏のための協奏曲 ほか(HMF)
見れば買う曲の一つ、ショーソンの協奏曲のCDが某オークションに出品されていた。
LPでは架蔵しているアナログ録音盤だが、安価でもあり落札したもの。
弦楽四重奏にはローラン・ドガレイユブルーノ・パスキエ等、フランスの有名奏者が参加している。
協奏曲でもVcを弾いていたローラン・ピドゥーとペネティエの組合せによる小品 op.39をフィルアップ。
1983年11月の録音。
 

3月21日(日): 

 この間入手したLPの情報をマルケヴィッチ・ディスコグラフィに掲載。


3月18日(木): 

 

アルマン・ジョルダン(指揮) フランス放送新フィル ほか
デュカス;歌劇「アリアーヌと青髭」(ERATO)
デュカスの作品には、交響曲Pソナタなど、好きなものが多い。
この寡作家(気に染まぬ作品は惜しまず破棄したとか)の代表作の一つが、歌劇「アリアーヌと青髭」。
あまり録音は多くなく、一般的にはこのジョルダン盤くらいではないか(マルチェロ・ヴィオッティ盤があるらしいが未確認)。
架蔵済みと思っていたら、ショーソン;「アルチュス王」と混同していたらしく、手元にない。
EasySeekに出品されたのを機に購入。
1983年1月、パリ・フランス放送局でのスタジオ録音。
 
アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド・ナショナル管 ほか
モーツァルト;歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(抜粋) & R・シュトラウス;歌劇「薔薇の騎士」(抜粋)(CFP)
ギブソンは好きな指揮者で、いずれ「逸匠列伝」で取り上げたいと思っているが、いつになることやら。
もっともANJING音楽館の情報が充実しているので、そちらを御参照いただければと思う。
斉諧生にとってギブソンとは、まずシベリウス指揮者として重要なのだが、彼が心血を注いだのは、むしろオペラであったろう。例えばワーグナー;「指環」四部作全曲のイギリス初演は、1971年にギブソンがスコットランド歌劇場で達成している。
当盤は、そのスコットランド歌劇場のプロダクションから録音されたものを集めたCD2枚組(モーツァルトは1975年、シュトラウスが1974年)。
ドン・ジョヴァンニジョン・シャーリー・カーク元帥夫人ヘルガ・デルネシュが歌っている。
上記同様、EasySeekで購入。
 

3月17日(水): 

 

ファビオ・ルイジ(指揮) MDR響
マーラー;交響曲第6番(querstand)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんで話題になっていた盤を店頭で見つけたので購入。
ルイジは気になっている指揮者の一人だし、曲もなるべく架蔵しておきたいもの。
これは名演というより怪演なのでは(笑)。確かに面白いのですが、?なところが多数。
というコメントがついていたが、さてはて、いかなる演奏になっておりますか、聴いてのお楽しみ。
1998年2月、ライヴ録音とのこと。
初めて見るレーベルだが、公式Webpageによれば、オルガンや古楽を中心にリリースしているようだ。
 
ティボール・ヴァルガ(指揮) ティボール・ヴァルガ音楽祭管
モーツァルト;交響曲第40番 & ドヴォルザーク;弦楽セレナード(瑞ティボール・ヴァルガ音楽祭協会、LP)
以下のLPはMikrokosmosから届いたもの。
ティボール・ヴァルガの指揮盤はかねて蒐集しているところ、未架蔵の音源がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
モーツァルトはCD(Tibor Varga Collection No.9)に収録されているが、ドヴォルザークは斉諧生の知るかぎりCD化されていない筈。
なお、演奏者名の表記が、
モーツァルト→「ティボール・ヴァルガ(指揮) ティボール・ヴァルガ音楽祭管」
ドヴォルザーク→「ティボール・ヴァルガ室内管」
と書き分けられているが、詳細は不明。後者では、おそらくコンサートマスター席に座っているのだろうが…。
また、残念ながら、録音データは明記されていない。
 
イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
シューベルト;交響曲第3・8番(洪Hungaroton、LP)
かねてその実力を評価し、音盤を蒐集しているフィッシャーとブダペシュト祝祭管の未架蔵盤がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
1984年頃のデジタル録音で、CDを見たような気もするが、まあ仕方ない。
なお、先日、同時期に録音された第9番「グレート」のLPを入手している。
 
アレクサンダー・ギブソン(指揮) ロンドン響
シベリウス;交響曲第5番・組曲「カレリア」(米RCA(?)、LP)
スコットランドの名指揮者、ギブソンのシベリウス演奏は、かねて高く評価しているところ。
この第5番ほかの音盤は、1959年に録音されたもので、先だってDECCAからCD化された。
ケネス・ウィルキンソンによる名録音としても知られており、オリジナルのLPは高価で取引されるのが常。
ずいぶん安くMikrokosmosのカタログに出ていたので、おそらく傷だらけだろうが、それでもよかろうと思ってオーダーしてみた。
届いた現品は意外な美品、むしろ新品同様だが、レーベルに「犬と蓄音器」のマークもなく、察するに近年になって覆刻されたLPであろう。残念。
 
ラザール・ゴスマン(指揮) レニングラード室内管 ほか
ショスタコーヴィッチ;交響曲第14番「死者の歌」(蘇MELODYA、LP)
ゴスマンという指揮者は、かつてショスタコーヴィッチの室内交響曲op.110aのCDにおいて(OLYMPIA)、凄惨なまでの名演を聴かせてくれたことがある。
その人の「死者の歌」がMikrokosmosのカタログに出ており、同様の凄演を期待してオーダーしたもの。
例によって工藤さんのコメントを参照。
深くじっくりと作品の響きを引き出した佳演。鋭さはあまり感じられない代わりに、切ないまでの抒情性が際立つ。
独唱はザラ・ドルハーノヴァエフゲニー・ネステレンコ
当盤にはデータの記載がないが、工藤さんのディスコグラフィによれば1976年の録音とのこと。
 
アレクサンダー・ギブソン(指揮) ロイヤル・フィル
RVW;交響曲第5番・序曲「雀蜂」(独EMI、LP)
上記シベリウスで記したギブソンの、比較的珍しいヴォーン・ウィリアムズ録音がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーした。
特に第5番は、この作曲家の9つの交響曲の中で、最も高く評価している曲なので、ぜひ聴いてみたい。
1983年頃のデジタル録音だが、CDになっていただろうか? 残念なことにANJING音楽館のディスコグラフィにも記載がない。
番号はイギリスEMIのものでジャケットは英文だが、プレス等はドイツで行われている、妙な盤。
 
ペルッティ・ペッカネン(指揮) クレメッティ音楽院響
ラウタヴァーラ;「極北への頌歌 Cantus Arcticus」 ほか(芬FINLANDIA、LP)
鳥の啼き声の録音をオーケストラ演奏に重ね合わせる、ラウタヴァーラ作品。
趣向だけ聞けば珍曲の部類に属するが、管弦楽の澄明な響きは実に美しく、岡田節人博士が「北欧の大自然からの人間の心への素晴らしいメッセージ」と絶讃されるのも、肯けなくはない。
既に数種のCDがあるが、未架蔵の音源がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしてみた。
ペッカネンは左手に指揮棒を持つ、これまた珍しいことをする人。オーケストラは1980年夏の音楽講習(Music Camp)で臨時に編成された団体で、平均18歳の若い音楽家たちからなるとのこと。もちろん録音も、その年6月末に行われている。
1972年に作曲されたものなので、まだまだ新作に近い頃に収録されたといえよう。
なお、Webを検索してみると、FINLANDIAレーベルから何度かCD化されている模様である。斉諧生が気づいていなかっただけらしい(汗)。
チャイコフスキー;交響曲第2番「小ロシア」をカプリング。
 
チャールズ・グローヴズ(指揮) ロイヤル・リヴァプール・フィル
シベリウス;組曲「レミンカイネン」(英EMI、LP)
イギリスの名指揮者グローヴズのシベリウス、「四つの伝説曲」とも呼ばれる作品である。
昨年秋にCD化されたものを架蔵しているが、LPがMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
1970年代中頃、EMIがグローヴズやドラティで録音したシベリウスのシリーズは、それぞれジャケット装画も美しく、手元に置いておきたい盤の一つである。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ロンドン響
ストラヴィンスキー;バレエ音楽「ミューズを導くアポロ」 ほか(蘭Philips、LP)
マルケヴィッチの未架蔵LPがMikrokosmosに安く出ていたのでオーダー。
1963年10月にロンドンで録音されたもので、CDでは架蔵済みだが、やはりLPで聴きたい。
標記作品をA面に、B面には組曲第1・2番ノルウェーの情景サーカス・ポルカをカプリング。
なお、「ミューズ〜」のVn独奏はエーリヒ・グリューエンベルク
 
ルドルフ・バルシャイ(指揮) 室内管
バッハ;ブランデンブルク協第3・4番(英ODEON、LP)
バルシャイのバッハ、しかもブランデンブルクがMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
第4番の独奏Vnはダヴィード・オイストラフという豪華さである。
1958年頃にイギリスで発売された10インチ盤。音質の感じからすると、録音年代はもう少し遡るかもしれない。モノラル。
 
ピンカス・ズーカーマン(Vn) アンタル・ドラティ(指揮) ロンドン響 ほか
チャイコフスキー;Vn協 ほか(米COLUMBIA、LP)
ズーカーマンのデビュー盤。ジャケットに "The Phenomenal PINCHAS ZUCKERMAN (驚異的な〜)" と銘打ってある。
1968年12月、20歳になったばかりでの録音だったらしい。
渡辺和彦 『ヴァイオリニスト33』に曰く、
終楽章の快刀乱麻を断つスピッカートに、かけがえのない輝きを感じた。(略)コンチェルト演奏だけに限れば、彼はその後これ以上の録音を残していない。
これは聴いてみなければと思ったのだが、いざ捜し始めると見つからない。昔は実にありふれたレコードだったのに…。
ようやくMikrokosmosのカタログに出てきたところを捕獲したもの。
カプリングは言わずと知れたメンデルスゾーン;Vn協、こちらの付けはレナード・バーンスタイン(指揮) ニューヨーク・フィル
 
ルシー・ファン・デール(Vn) アラン・カーティス(Cem)
バッハ;Vnソナタ第1〜6番(独EMI、LP)
最近ではNAXOSから同曲集をリリースしているファン・デールの初期録音(1978年頃)。
当時、古楽演奏というと、なにやら特殊な(偏った)学説に基づく、癖のあるもので、一般に聴かれるべきものではない、という雰囲気の評論が広く行われていた。
この曲集でも、シェリングスークコーガンといったあたりが推奨されていたと記憶している。
では当時、実際にどういう演奏が行われていたのか、今の耳で確認してみたいと思い、Mikrokosmosのカタログに出ていたものをオーダー。
 
ジョルジ・パウク(Vn) ほか
ヘンデル;Vnソナタ集(洪Hungaroton、LP)
ハンガリー出身の名ヴァイオリニスト、パウクの暖かい音色が斉諧生は好きで、あれこれ音盤を蒐集している。
未架蔵のヘンデルがMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
1986年頃のデジタル録音だが、CDは見かけたことがない。また、デジタル初期のものはCDになると貧弱な音色に変わってしまうこともあり、LPでも十分かと思う。
ニ長調 HWV371(最も有名なもの)を冒頭に据え、LP2枚4面にト長調 HWV358ニ短調 HWV359bイ長調 HWV361ト短調 HWV364ト短調 HWV368ヘ長調 HWV370イ長調 HWV372 ホ長調 HWV373の9曲を収録
通奏低音は、マーリア・フランク(Vc)・ヤーノシュ・シェベシュティエーン(Cem)による。
 
オーギュスタン・デュメイ(Vn) ジャン・フィリップ・コラール(P)
フランク;Vnソナタ ほか(仏EMI、LP)
デュメイの旧録音がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
1976年7月及び77年2月にパリで録音されたもの。
フランクの小品アンダンティーノ・クイエトーソダレイラクの「ギュリスタン」による二重奏曲をフィルアップ。
なお、当時のEMIに多かったクオドラフォニック(4ch)エンコード盤。これは悪くすると音が籠もって曇ってしまうが、当盤はその弊を免れている。
 
ツァバ・オンツァイ(Vc) ロラーント・スーチ(P
グリーグ;Vcソナタ & コダーイ;無伴奏Vcソナタ(洪Radioton、LP)
リスト音楽院の弦楽器科で教鞭を執るオンツァイ教授の録音は、例えばNAXOSにバッハベートーヴェンがあり、中欧の渋い音色と質朴な音楽に好感が持てる。
ハンガリーのチェリストとして、採り上げざるべからざるコダーイの無伴奏がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダー。
カプリングがグリーグというのは珍しい。民族楽派という共通項に着目したものだろう。
マルP1989年とあるので、その頃の録音か。
 

3月16日(火): 

 

高関健(指揮) 東京都響 ほか
細川俊夫;「バビロンの流れのほとりにて」 ほか(fontec)
未架蔵の高関健指揮盤が某オークションに出品されていたので落札。
標記作品のタイトルを見て、斉諧生世代が直ちに想起するのが森有正のエッセイ。この人には(も)、受験生時代に悩まされた。
そう考えながらブックレットを開くと、中村雄二郎が師・森の追想などを書いていたので、さてこそと思う(中村の文章も模擬試験等で頻出していたものだ)。
閑話休題、当盤には表題作(1995年)のほか、「ランドスケープ」III(1993年、Vn独奏漆原朝子)、「遠景」III(1996年)、「テネブレ」(1993年)を収める。
最後の作品のみ、児童合唱のための作品で、長谷川冴子(指揮) 東京少年少女合唱隊の演奏による。
オーケストラ作品は1997年1月27日の東京文化会館、児童合唱作品は1994年1月6日サン・ジェルマン・デ・プレ教会での、ともにライヴ録音。
 

3月15日(月): 本日発売の『音楽現代』 4月号は特集に「北欧音楽の魅力」を掲げ、グリーグシベリウスニルセンステーンハンマルペルトトゥビン等を取り上げている。また、フィンランドに留学経験のある長谷川陽子さんが、その国民性について一文を寄せておられる。
 このうちステーンハンマルの記事は、斉諧生が執筆した。拙文ではあるが、お目を止めていただければ幸甚である。
 北欧音楽の大先達、尊敬する大束省三先生と名を並べたのは光栄のかぎり、一生の盛事に数えられよう。

 

ナイジェル・ケネディ(Vn) クラウス・テンシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
ベートーヴェン;Vn協 ほか(EMI)
転居のあと、音盤棚の整理を進めていて(まだまだ時間がかかる)、ふと、意外にケネディのCDを架蔵していないことに気がついた。
折から某オークションに当盤が格安で出品されていたので落札したもの。
短命に終わったテンシュテットとNDR響の協働関係の成果という点でも聴き逃せない。
もっとも入札してから音盤屋のワゴンセールで見つけ、送料振込手数料を含めれば、たいして違わないことがわかったが…(汗)。
1992年6月11・12日、キールの古城でのライヴ録音。会場の性格からか、残響感の強い音質である。
ブックレットに "The new, 'real live' recording..." と銘打ってある。最初のトラックがオーケストラの調弦と拍手を収めているのは、そういうコンセプトのあらわれかもしれない。
両日のアンコール、バッハ;無伴奏Vnパルティータ第3番前奏曲無伴奏Vnソナタ第3番第4楽章をフィルアップ。
 

3月13日(土): 

 

パトリス・フォンタナローザ(Vn) エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) リヨン国立管
「オペラのヴァイオリン」(EMI)
某オークションでクリヴィヌの未架蔵盤を見つけ、落札したもの。
1993年7月リヨンでの録音ということは10年近く前。新譜として見かけていたが、ヴァイオリニストにも指揮者にも、まだ関心が薄かったので、買わずにいた。
マスネ;タイスの瞑想曲サラサーテ;カルメン幻想曲といった定番から、ヴィニャフスキ;「ファウスト」の動機による華麗な幻想曲デュパン;「椿姫」のアリアに基づく幻想曲サラサーテ;「ロメオとジュリエット」によるパラフレーズヴュータン;「十字軍のロンバルディア人」によるパラフレーズといった比較的録音が珍しい作品まで、6曲を演奏している。
紙ジャケットの表紙がヴァイオリンを模した形になっており、f字孔まで開いているという凝った造り。もっとも保存上は扱いづらいが…。
 
平澤仁(Vn) 長尾洋史(P)
ブラームス;Vnソナタ第1番 & ドヴォルザーク;4つのロマンティックな小品 ほか(LIVE NOTES)
東京フィルのコンサートマスターの一人を独奏に立てたリサイタル盤が某オークションに出品されていた。
標記2作品に加え、ヒナステラ;パンペアーナ第1番スヴェンセン;ロマンスを収めている。斉諧生的には、こちらの方に関心があり、落札したもの。
2000年3月、三鷹市芸術文化センターでのセッション録音。
なお、Webを少し検索してみると、熱烈なリコメンドが見つかった。ちょっと特殊な(というか別な観点からの)コメントだが、面白い。
 

3月12日(金): 外で食事をすませたあと自宅近くの書店に立ち寄り、買うとも買わぬともなく漫画の棚を眺めていると さそうあきら 『神童』(双葉文庫) が目についたので、思い立ってレジへ持っていった。
 あまり期待せずに頁を繰り始めたのだが、これがどうして面白く、巻を擱く能わざるまま全3巻を一気に読み切った。
 1999年の手塚治虫文化賞優秀賞を受けた名作ゆえ今さら…という気もしないではないが、やはり是非、御紹介しておきたい。
 
 主人公は天才美少女ピアニスト(登場時は小学校5年生)。
 早世した父親がブザンソン指揮者コンクールで優勝した伝説の名指揮者、その形見のハンブルク・スタインウェイで英才教育を施され、ピアノを弾けば音大教授も顔色無い名演奏。
 来日した巨匠ピアニスト(=ホロヴィッツ)とタメを張って代演に指名され(ホロヴィッツだからキャンセルするのである)、開演20分前に初めて楽譜を見たモーツァルト;P協第20番をリハーサル無しで演奏してセンセーショナルなデビューを飾り、世界中の有名オーケストラから引っ張りだこのスターに上りつめる。
 …と骨組みだけ書くと馬鹿馬鹿しいシンデレラ譚になってしまうが、話の組立が滑稽で、かつ滑稽ゆえに感動的。
 
 母親はいささか異常な教育ママ・ステージママ、娘を売り込むためには大物俗物指揮者に色仕掛けも辞さない。第1巻で主人公は母親の監視を誤魔化して野球に熱中しているし(ピッチャーマウンドからエラーした野手を罵倒する勝気な少女だ)、第2巻では豪邸を差し押さえられて安アパートに引っ越すことになる。
 彼女が恋する副主人公は、八百屋の2階で草臥れたアップライトを弾いている冴えない音大浪人生。いつもエリート連中に馬鹿にされ、受験生仲間の美女には手ひどく振られてしまう。
 道ばたで出会って師事する(というより友達になる)音大教授は神童ピアニストだったのが祟って漢字を勉強できず平仮名しか書けないという噂。腱鞘炎を患ってからはアル中同様になっている。
 
 読み始めた当初は、青木雄二@『ナニワ金融伝』の描線を細くしたような、きわめて殺風景な、およそ色気のない画が多少、気にならないではない。
 しかしながら、この線・この画であればこそ、この、ストーリーだけ文章で書けば嘘臭い漫画が、絵空事・奇麗事にならずに漫画として成立しているのである。
 
 主人公の天衣無縫の強い輝きに、周囲の人々が美しい共鳴を響かせてゆくエピソードの積み重ねが、この漫画の感動の一つ。
 副主人公は、主人公に導かれながらピアニストとしてどんどん進歩し、音大にも首席。インスピレーションの乏しさは如何ともしがたいが、生来の鋭敏な耳を最大限に生かせる伴奏ピアニストとしての道を見出し、同時に歌手の恋人と出会う。
 酒浸りの音大教授も、10年ぶりの演奏会を開き、母校・パリ音楽院の教授に招聘されるまでの復活を遂げる。
 
 主人公と副主人公の恋の成り行きが、第2の柱。
 前述のように副主人公は、受験生仲間への失恋・歌手の恋人との出会いという経過をたどるので、もちろん2人の関係は成就しない。
 彼が弾くワーグナー(リスト編);「トリスタンとイゾルデ」より「愛の死」を聴いて恋心に目覚め、それが片思いであることに気づいたとき、彼女はプロコフィエフ;戦争ソナタを冷え冷えと弾いてピアノの弦を切ってしまう。
 全編のほぼ真中に位置する、このエピソードは本当に素晴らしい。
 
 取り上げられる曲目もなかなか凝っているし、クラシック・ファン好みのディテールにも事欠かない。
 第1話で主人公が弾くのはドビュッシー;金色の魚、その他、メシアン;鳥のカタログショスタコーヴィッチ;24の前奏曲とフーガバルトーク;P協第3番などが重要な役割を果たす。唯一登場するVn曲が、斉諧生偏愛のシューベルト;幻想曲なのも、嬉しいところ(あまり芳しい場面ではないのだが)。
 ウィーン・フィルらしいオーケストラが、若い指揮者がしたり顔で出す指示にウンザリする場面や、教授がピアノのキャスターの向き・椅子の材質にこだわる場面もある。
 斉諧生はピアノ演奏や音大教育には門外漢なので、詳しい人から見れば噴飯物の描写があっても気がついていないおそれがあるが、その点はお許し願いたいと思う。
 
 パリやウィーン、ザルツブルクで次々と成功してゆく彼女を待つ運命と、その後の感動的な終結は、どうぞ実際にお読みいただきたい。
 
 作者の言葉がカバーに記されている。

この漫画は[音]が主人公の作品です。大好きな音楽を音で表現するのではなく、エピソードとして表現していく漫画を目指しました。

 

ピエール・デルヴォー(指揮) コンセール・コロンヌ管 ほか
「ロシア音楽・フランス音楽名演集」(EMI)
仏EMIから2枚組で出たシリーズのうち、興味を惹かれながら買い漏らしていたものを店頭で見つけたので、購入。
1枚目のロシア音楽集は1957年1〜3月の録音で、演奏はパリ音楽院管
ムソルグスキー;禿山の一夜ボロディン;韃靼人の踊りチャイコフスキー;花のワルツラフマニノフ;ヴォカリーズハチャトゥリアン;剣の舞ショスタコーヴィッチ;「黄金時代」のポルカなど15曲を収める。
2枚目のフランス音楽集は、1960〜61年にコロンヌ管と録音したもの。
デュカス;魔法使いの弟子シャブリエ;スペインドビュッシー;牧神の午後への前奏曲ラヴェル;ボレロサン・サーンス;死の舞踏ベルリオーズ;「ラコッツィ行進曲」「精霊の踊り」「鬼火のメヌエット」(ファウストの劫罰から)、「マブ王のスケルツォ」(ロミオとジュリエットから)を収録。
名匠デルヴォーの棒もさることながら、往年のフランスのオーケストラの味わいを愉しんでみたい。
 
イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
「ブダペシュト・ライヴ」(Philips)
某オークションに、フィッシャーとブダペシュト祝祭管の未架蔵盤が出品されていたので落札。SACDのデモ用非売品らしい。
1999年6月26日、ブダペシュトのイタリアン・インスティチュートでのライヴ録音。
ガラ・コンサートか何かだったらしく、
ドヴォルザーク;スラヴ舞曲第10番
バルトーク;ルーマニア民俗舞曲
コダーイ;「マニフィカト」ほか合唱曲3曲(エルケル・フェレンツ小中学校児童合唱団)
リスト;ハンガリー狂詩曲第4番
サラサーテ;ツィゴイネルワイゼン(ヨーゼフ・レンドヴァイ(Vn))
バッハとリストの旋律によるツィンバロン即興演奏(オスカール・エケレシュ独奏)
ハンガリー民謡(ラースロ・キシュ(タロガトー))
ラヴェル;ボレロ
J・シュトラウス;ポルカ「ハンガリー万歳」・田園ポルカ
といった盛りだくさんのプログラム。
 
カメラータ・ベルン
ドヴォルザーク;弦楽セレナード ほか(NOVALIS)
米Amazonの "Marketplace" は、何故かDENONの国内廃盤が見つかるので、時々チェックしている。
DENON製作のCDでは、クリヴィヌカントロフシェレンベルガー等と並んで、カメラータ・ベルンの録音も要注目。この団体の爽やかな弦合奏は斉諧生の好むところ。
それで検索していたら、別なレーベルながら未架蔵盤がヒットした。標記作品は、これまた好きな曲なので、オーダーしたもの。
弦楽六重奏曲 op.48をカプリング、1986年録音。
 
クリスティアン・ツァハリアス(P) ロジャー・ノリントン(指揮) バンベルク響
ベートーヴェン;P協全集(バイエル製薬文化部)
某オークションでは、非売品や自主製作盤など、よくこういうものを持っておられる…と感心したくなるような、妙なものが見つかることがある(だから渉猟を止められない)。
この1997年10月21・22日、フォーラム・レバークーゼンでの演奏会をライヴ録音したという3枚組も、そうした収穫の一つ。
レバークーゼンという街はバイエル製薬の企業城下町で、ドイツのブンデスリーガに属するプロ・サッカーチームも、ヨーロッパでは非常に珍しいことに企業名を冠して「バイヤー・レバークーゼン」と名乗る。
スポーツのみならず文化への支援活動も行っているようで(というより本来は「スポーツも音楽も含む文化」というべきなのだろうが)、この盤には "KULTURABTEILUNG BAYER" というロゴが入り(標記のように仮訳してみた)、ブックレット冒頭には部長氏の写真・署名入りの文章が掲載されている。
ノリントンのベートーヴェンは、シュトゥットガルト放送響との交響曲録音が注目されていることもあり、聴いてみたいと落札したもの。
オーケストラは違うが、斉諧生的には、このバンベルク響の方に興味を惹かれる。
現代音楽を盛んに演奏し機動性の高い放送局所属の団体よりも、このドイツの演奏伝統に忠誠を誓うイメージの強いオーケストラが、ノリントンの古楽系アプローチに、どう対応しているのだろう?
 

3月11日(木): 

 久しぶりに京都市交響楽団第462回定期演奏会@京都コンサートホール大ホールを聴く。ウーヴェ・ムントの離任演奏会以来、3年ぶりである。
 今日は、後継常任指揮者の大友直人ブルックナーを振る。これまで彼に対しては低い評価しかしていないのだが(ずっと京響定期に行かなかったのもそのため)、この作曲家への適性を確認しておきたいと思い、腰を上げた。

今日の曲目は、
ブルッフ;Vn協第1番
ブルックナー;交響曲第7番
というもの。
 
ブルッフの独奏は、岩谷祐之
1977年奈良県生れ、高校卒業後はアメリカで学び、1999年の日本音楽コンクールで第1位を獲得した。一昨年からフランスで研鑽を積んでいるとのこと。
第1楽章冒頭、フォルテ指定のG音を、おおかたの独奏者は思いっきり唸らせ強面に登場するが、岩谷はピアニッシモで入りゆっくりとクレッシェンドしていった。彼の新機軸だろうか。
この部分が象徴するように、全体にじっくりしたテンポで、丁寧に音楽を形作ってゆく姿勢には好感が持てる。
 
ただ、どうにも「鳴り」が悪い。発音が鈍く、音が客席まで飛んでこない感じ。弓の毛が弦を上滑りしているような箇所も散見された。
しきりに上体をねじるように動かす熱演ぶりだが、どこか、音を絞り出すための動きであるかのような印象を受ける。力んでいるためか、細かい音符やフレージングにキレがない。
 
この曲には、ヴァイオリンが音楽をどんどんどんどん高揚させていき、もうこれ以上は…というところでオーケストラの総奏が爆発するといった運びが多い。
ところが独奏の音に伸び・ふくらみが足りないので、音楽が高揚しない状態で管弦楽が入ってくる感じ。
ロマンチックの限りを尽くす第2楽章も、今ひとつ盛り上がりきらない。
また、第3楽章など、丁寧に弾いているが、スピード感に欠け、リズムが重くなってしまった。
 
曲が曲だし、演奏者の想いは見ていてよく伝わってくるだけに、聴いていてもどかしかった。
技術的なことには門外漢だが、楽器のせいではなかろうか。良い楽器を持たれるなどして、もっともっと伸びてほしい人材である。
 
とはいえ、曲が終わるやいなや大喝采。ひょっとしたら客席よりも舞台上の拍手の方が早かったかと思えるほど楽員の反応も良かったから、上記のような印象は斉諧生だけのものかもしれない。
 
管弦楽は、内声、特にHrnを強めに鳴らした立体的な響きを楽しめた。いくぶん粗い気味は拭えなかったが…。
 
協奏曲では12-10-8-6-4という編成だった弦合奏を、ブルックナーでは16-14-12-10-8に増強。管楽器群を挟んで、下手にHrn、上手にワーグナーチューバという配置も興味深い。
 
第1楽章、やや速めのテンポで冒頭主題が奏される。
このチェロ合奏が鳴ると、いつもは清冷澄爽な空気がホールに広がるのだが、今日は様子が違う。どこか生暖かく、崇高さに欠ける。
楽器間のバランスで、ちょっとチェロが弱く、刻みの音量が大きめだからかと思ったが、よく聴いているとそうでもない。
響きに透明感・緊張感が薄いのである。
ムント治下の弦合奏から、こういう音が出てくることはなかった。
 
ffの総奏も、音程が悪いというわけではないのだが、どこか薄く濁っている。
以前、何度も名吹奏を耳にしたFlやHrnの首席奏者のソロにしても、まるで凛としたところがなく、音の縁が滲んだようにぼやけているのだ。
 
以前、ブルックナーの名演奏の条件をまとめたことがある。
(1) 合奏体としての音程がよいこと(和音がきれいなこと)。特に金管は、フルパワーで強奏したときになお、透明感のある和音が出ないといけない。
(2) オーケストラの響きを殺さないこと。猛然と(しかし綺麗な和音で)咆哮する金管や、ズバリと打ち込まれるティンパニに、生理的といっていいかもしれない快感を感じるのがブルックナーの醍醐味。
(3) テンポの緩急を心得ていること。「緩」は「緩めるところでは緩めること」をいい、「急」は「決して急がないこと」いう。アッチェランドやストリンジェンドが指定されていても、この2つだけは無視すべき。
(4) ブルックナーがあちこちにちりばめた、ちょっとした対位法や装飾句、強弱の指定を大事に演奏すること。旋律を轟々と鳴らすだけがブルックナーの音楽ではない。
 
今日の演奏の場合、まず第1の条件が決定的に損なわれていたといえよう。
 
第2の条件については、悪くはない。各パートとも伸び伸びと音を鳴らしている感じである。きっと楽員サイドでは、気持ちよく演奏できる指揮者なのだろう。
問題は、その「気持ちよさ」が緊張感の不足として聴こえてくる点である。
 
3番目も、悪くはない。ブルックナーに適性のない指揮者が陥りやすい、この曲の第1楽章終結でアッチェランドをかける悪癖も、ちゃんと免れている。
ただ、大友氏がブルックナーの音楽に愛情を感じているかどうか、疑問無しとしない。
緩徐楽章におけるppの旋律など、ブルックナー好きが「ここのVnは、美しい上にも美しいピアニッシモで…」と思うようなところを、なおざりな弱音と素っ気ない歌わせ方で通り過ぎたのである。
 
最後の条件、対位法についても、まずまず出ていた。
上記のようにオーケストラの各パートがしっかり音を出していたので、「あ、ここにこんな旋律が」「ここでこの楽器がこう鳴っているのか」と思わされるところが多かった。
ところが、一つ一つの線(パート)がぼやけて(滲んで)いるから、全体として対位旋律の絡み合いが美しく響いてくるということがない。
 
全体として、ブルックナーの音楽の澄明さ、崇高さを味わうことのできない演奏だった。
例えば第2楽章で、打楽器が鳴ったあと(今日はノヴァーク版)、ホルンとワーグナー・チューバのみになる部分。良い演奏では思わず落涙するような気高さ、この曲がワーグナーの追悼に捧げられたからというわけではないが、天国の門が開くような感動を覚える。
ところが、今日の演奏では、まったく高揚しないまま、通過してしまった。
 
これで大友氏には、シベリウス(平成11年2月)に続いてブルックナーでも疑問符、いや罰点を付けざるを得なくなった。大味になってしまった京都市響の演奏力も案じられる。
とはいえ、新年度の予定(リンク先はPDFファイル)には、オッコ・カムシベリウス広上淳一ショスタコーヴィッチフランク・ペーター・ツィンマーマンの来演等、ぜひ聴きに行きたいものが多い。それらの機会には、面目を一新してもらいたいものである。

 Ars Antiquaからの荷物が届く。前回同様、オーダーから1週間と経っていない。以前は1カ月近くかかるのが常だったから、何らかのシステム改善が行われたのだろうか。

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル
モーツァルト;交響曲第34・38番(英DGG、LP)
マルケヴィッチはあまりモーツァルトを録音しなかった。交響曲は、この2曲と第35番「ハフナー」程度。
音源としては架蔵しているが、いずれも廉価盤・再発盤だったので、今回、Ars Antiquaのカタログに、初発の番号の盤が比較的安価で掲載されていたのでオーダーした。
届いてみるとイギリス・プレスだったのがちょっと残念(ここのカタログは原則としてプレスを表記しない)。
1954年2月の録音というから、まだフルトヴェングラー存命中のことになる(同年11月逝去)。
 
ハンス・ロスバウト(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管
ストラヴィンスキー;バレエ音楽「ペトルーシュカ」(蘭Philips、LP)
ロスバウト最後のスタジオ録音に当たる「ペトルーシュカ」。
数年前に国内廉価盤CDが出ており音源としては架蔵済みだが、オリジナルとおぼしい10インチ盤LPがArs Antiquaのカタログに掲載されていたのでオーダーした。
エヴァンスのディスコグラフィ(Joan Evans "Hans Rosbaud A Bio-Bibliography"、Greenwood)には当盤の記載が無く、12インチ盤らしい番号から始まっている。
1947年版による演奏で、ピアニストは盤にクレジットされていないが、上記ディスコグラフィでは Luctor Ponse とされている。
録音は1962年7月4〜5日、同年12月29日に指揮者逝去。
 
カジミシュ・コルト(指揮) ワルシャワ・フィル ほか
ヴェルディ;レクイエム(波MUZA、LP)
先日、中古音盤堂奥座敷同人 2003年の5盤では、この指揮者のベートーヴェン;交響曲全集を第3席に推した。
彼の音盤も蒐集を心懸けているところArs Antiquaのカタログに掲載されていたのでオーダー。
合唱はワルシャワ・フィル合唱団、独唱はテレサ・ツィリス・ガラ(Sop)、クリスティナ・ソステク・ラドコワ(A)、ヴィエスラフ・オフマン(Ten)、レオナルド・ムロツ(Bs)。
録音年代等は不詳。ライナーノートも何もない、簡素な造りである。
 

3月10日(水): 

 

クリストフ・エッシェンバッハ(指揮) チューリヒ・トーンハレ管
ブラームス;交響曲第1番 ほか(Sony Classical)
エッシェンバッハの指揮者としてのデビュー録音に当たるCD。1984年9月、チューリヒ・トーンハレで日本のスタッフによって収録された。
彼については、局所的に強い思い入れを聴かせるのが面白い指揮者として注目してきた。最近の活動を聴くと多少のイメージ修正が必要かもしれないが(例えば昨年5月の北ドイツ放送響との来日公演)、当盤は初期のものなので、前記のような面白さを期待したいところである。
再発盤のジャケットが非常に安っぽく敬遠していたところ、初出時の盤が某オークションに安価で出品されており、落札したもの。
 
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮) レニングラード・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第12番「1917年」 ほか(VICTOR)
当盤は1984年4月30日、指揮者最後の録音となったものという。
まず、いつもながら工藤さんの評を引用すると、
初演から歳月を経て最晩年に至ったムラヴィーンスキイの至高の境地が示されている。快速なテンポは相変わらずだが、そこに漂う余裕と風格が音楽をとてつもなくスケールの大きなものにしている。曲の内容を演奏がはるかに上回った、凄い演奏である。
とのこと。
これは聴いてみたいと気に懸けていたのだが、ムラヴィンスキーには同曲異演が多く、店頭ではいつも迷って買わずじまいになっていた。
その点、某オークションだと調べながら落札できるので便利…というのはマニアの我田引水か(苦笑)。
ムソルグスキー;モスクワ河の夜明け(1983年3月19日)
グリンカ;序曲「ルスランとリュドミラ」(1981年11月29日)
をフィルアップしている。
 
ニキータ・ストロイェフ(Bs) オッコ・カム(指揮) バーミンガム市響 ほか
ショスタコーヴィッチ;交響曲第13番(CHANDOS)
某オークションで見つけて驚いた盤。カムがCHANDOSレーベルに録音しているのは珍しい。オーケストラも意外な組合せ。
工藤さんによると
丁寧な演奏で好感は持てるのだが、全体に生ぬるい。特に中途半端に甘い独唱には違和感がある。演奏者が皆健闘している割には、クライマックスでのエネルギー感にも乏しい。どこか空回りしているのだろう。惜しい。
との評。
ずっと応札を躊躇していたが、超廉価で再出品されたのを機に落札したもの。
1987年1月、バーミンガム大学・大ホールでの録音。もしかしたら、その前後に定期演奏会等、実演の機会があったのかもしれない。
 
ウート・ウーギ(Vn) サンタ・チェチリア室内管
モーツァルト;Vn協第6・7番 ほか(RCA)
先月第1〜3番を入手したウーギのモーツァルト、偽作とされる第6・7番も録音していたとは、知らなかった。
某オークションで見つけて吃驚、慌てて落札したもの。
1984年2月(第7番)と1986年1月(第6番)、ローマでの録音。
アダージョ K.261ロンド K.373をフィルアップしている。
 
藤原浜雄(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(東芝EMI)
昨年、LPを某オークションで落札した音源だが、CDが出品されると、やはり手元に置きたくなって(苦笑)、落札したもの。
1985年6月5日、東京・イイノ・ホールでのライヴ収録。
演奏・録音評はT.S.さんのページを参照されたい。斉諧生自身、ここを読んでから藤原さんのバッハを聴きたくなったのである。
 

3月8日(月): 

 

セミヨン・ビシュコフ(指揮) ケルン西ドイツ放送響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第7番「レニングラード」(AVIE)
中古音盤堂奥座敷同人 2003年の5盤で、工藤さんが次のようにコメントしておられた。
2003年はなぜか交響曲第7番の新譜が多かった。ゲールギエフ/キーロフ O 盤(Philips : 470 845-2)は期待はずれだったが、ビシュコフ/ケルン WDR SO 盤(Avie : AV 0020)は出色の出来。バランスのよくとれたオーケストラの響きと、端正で奇を衒うことのないオーソドックスな音楽作り。ただそれだけなのに、この長大な作品を退屈させることなく聴き通させてしまうのが凄い。
また、御自分のWebpageでは、
譜面に盛り込まれた内容を丹念に描き出しているのが立派。勢いに任せなくても十分に聴き手に満足を与えることができるという、優れた見本。
との評。
この指揮者にはいい印象がなかったので(平成7年のパリ管との来日公演など)、すぐには食指が動かなかったのだが、某オークションに安価で出品されていたので落札してみたもの。
2003年2月、ケルン・フィルハーモニーでの録音。
 
ニコラウス・アーノンクール(指揮) ヨーロッパ室内管
バルトーク;弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽 & ディヴェルティメント(BMG)
ついにアーノンクールがバルトークに進出。この分では、そのうちベルクあたりも聴けるようになるのかもしれない。
ともあれ、この2曲とあらば買わざるべからず。
2000年6月(ディヴェルティメント)と2001年6月(弦チェレ)に、オーストリア・グラーツで録音された。
ボーナスCDが附属しており、ハイドン;天地創造モーツァルト;レクイエム等、新譜の一部が聴ける。
 
ビャーテ・エンゲセット(指揮) アイスランド響
ノルウェー管弦楽曲集(NAXOS)
北欧音楽MLでお薦めがあったCDを買ってみた。
グリーグ;朝(「ペール・ギュント」より)に始まり、同じ作曲家の過ぎ去りし春に終わる、16曲のアンソロジー。
シンディング;春のさざめきハルヴォルセン;ロシア貴族の入場行進曲といった、北欧音楽ファンなら馴染みの曲目もあるが、多くは恥ずかしながら作曲者の名前も知らなかった。
中ではイスランスモーエン;森の明かりという曲の抒情美に心惹かれるものがあった。
2002年6月、レイキャビクでの録音。
 
アルフレート・プリンツ(Cl) ブルクハルト・クロイトラー(Cb) ウィーン室内合奏団
モーツァルト;Cl五重奏曲・セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(Eurodisc)
中古音盤屋の棚を眺めていて目についた盤。ゲルハルト・ヘッツェルが第1Vnに座っており、彼の参加した録音ならば是非にと購入。
1979年9月、ウィーンのスタジオで収録されたもの。
あまり印象がないCDなので、少しWebで検索してみたところ、国内盤も出ており、あまつさえCl五重奏曲の本命盤だというコメントまで付いている。
そんな名盤を記憶に留めていなかったのは恥ずかしいと調べてみると、国内盤が初めて発売されたのは1981年5月、当時の『レコード芸術』では無印だったようだ。
『名曲名盤何とか』の類(よく音楽之友社がムックで出しているもの)を見ても、80年代前半はウラッハ盤が王座に君臨している。
ところがその後、徐々に当盤の順位が上がっており、いつしか本命盤と目されるようになっていったようだ。
思うに、80年代後半すなわちCD時代に入って、古いモノラル録音のウラッハ盤を挙げづらくなり、代わって当盤が推奨されるようになっていったのではあるまいか。
やはりモーツァルト演奏はウィーンが本流という意識があり、ベルリンのライスターやアメリカのストルツマンがウラッハに取って代わるわけにもいかなかったのであろう。
 

3月7日(日): 

 奈良フィルハーモニー管弦楽団第14回定期演奏会@奈良県文化会館国際ホールを聴く。
 あまり知られていないが、プロフェッショナルのオーケストラである。公式Webpageも公開されている。

今日の曲目は、
ウェーバー;歌劇「オベロン」序曲
ショパン;P協第2番
ドヴォルザーク;交響曲第8番
というもの。
指揮は阪哲朗、一度聴いてみたかった人である。
所用あって演奏会前半のみで中座、ドヴォルザークは聴けなかった。
 
「オベロン」序曲は活気のある演奏で楽しめたが、序奏の神秘的な雰囲気や緩徐主題のロマンティックな味わいを、もっと浮かび上がらせてほしかったところ。
冒頭のHrnソロが不安定でひやっとしたが、ほとんどの奏者の力量は高そうだ。
とはいえアンサンブルには不揃いな部分も見られ、オーケストラとしての熟成はまだまだのようだ。年2回の定期演奏会では厳しいのかもしれない。
 
ショパンの独奏は大江章子
桐朋出身で井口基成門下。
井上道義尾高忠明あたりと同年輩で、科は違うものの斎藤秀雄からは西洋古典音楽の骨法について直接に教えを受けたと聞く。
 
少々恥ずかしいことだが、斉諧生はショパンに非常に疎く、第1協奏曲以外、ほとんど聴いたことがない。
それでも、今日の演奏からは、この曲の持つ美しさを強く印象づけられた。派手さ・華麗さこそ第1番に及ばないにせよ、何気ないパッセージから湧き上がるファンタジーの豊かさという点では、こちらが上ではなかろうか。
もちろん演奏が良いから、そう感じるのである。
 
特に作曲者の成就しない恋情が籠められたという第2楽章は、(同道させていただいた知人の表現を借りれば)「ウルウル」度が高く、堪能した。
平成11年に同じホールで第1協奏曲を聴いているが(オーケストラはポーランド室内管)、その時よりも演奏の質は高かったように思う。
ピアノの音の美しさ、自在なテンポの扱いなど、練達の奏者である。
 
ソリストのアンコールがなかったのは、ちょっと残念。

3月6日(土): 

 

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮) 国立リル管
マーラー;交響曲第5番(FORLANE)
贔屓の指揮者、JCCの未架蔵盤を某オークションで落札。
最近、彼のマーラー録音がまとまって再発されたが、既に一部を架蔵しているので、そちらの箱物は見送り。ぼつぼつと残りを集める予定にしている。
1989年7月の録音。
 

 この間入手したCD・LPの情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィルクー 作品表とディスコグラフィシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに掲載。

 音盤狂昔録平成16年2月分を追加。


3月5日(金): 

 

ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ローラント・スーチ(P) ほか
ショパン;Vcソナタ & フォーレ;Vcソナタ第1・2番(Hungaroton)
ペレーニの未架蔵CDが某オークションに出品されていて吃驚、慌てて落札したもの(もちろんLPでは架蔵済)。
ショパンは十代の録音(1965年、ピアノはティボル・ヴェーネル)、フォーレ(1973年録音)は彼に不向きな音楽で、CD化されていないし今後もないだろうと思いこんでいた。昨年の『レコード芸術』でも、そのように語ったばかりである(恥)。
Hungarotonの廉価シリーズ "WHITE LABEL" で、マルPは1990年。当時はペレーニをほとんど認識していなかった頃だから、買い損ねていたのもやむを得ないが…。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
シベリウス;交響曲第2番(独ODEON、LP)
シュミット・イッセルシュテットの珍しいレパートリー。
ずっと米CAPITOL盤で架蔵してきたが、オリジナルの独盤があるはずと、ずっと捜してきた。
ようやくそれらしい品が某オークションで見つかり、落札したもの。
面白いのは、米盤には「北西ドイツ放送響 N.W.D.R. Symphony Orchestra」と表記されているが、こちらは「Sinfonie-Orchester des NDR Hamburg」となっていること。
当盤の録音は1955年4月、放送局の改称が1956年だから、あるいは改称の前後、若干の混乱もしくは情報の遅れがあったものか。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) フランス国立放送管
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1番 & プロコフィエフ;組曲「スキタイ」(英COLUMBIA、LP)
マルケヴィッチの未架蔵盤LP(CDでは架蔵済)を某オークションで落札したもの。
1955年1月(交響曲)・5月(組曲)の録音。
 
ジャン・フルネ(指揮) チェコ・フィル
フランク;交響詩集(チェコSupraphon、LP)
フルネのフランス音楽、特にフランク作品ゆえ聴かざるべからず。
「呪われた狩人」「アイオリスの人々」「贖罪」「ジン」の4曲を収める。
繰り返し発売されてきた音源なのだが(先だっても箱物CDが出た)、なぜか今まで買いそびれていた。某オークションに出品されたのを機に落札したもの。
1967年1月、プラハでの録音。
 
メタ・ブールゴニエン(M-S) ルー・ヴァン・ヘッセン(P)
「女性作曲家歌曲集」(蘭自主製作、LP)
某オークションで見つけた、リリー・ブーランジェ作品の未架蔵音源。
歌曲集「空のひらけたところ」から第5曲 「ベッドの裾の壁に」第7曲 「こんど会うとき」を収録している。
演奏者名の読みは当てずっぽう、原綴は "Meta Bourgonjen" と "Ro van Hessen" 。
その他、ファニー・ヘンゼル・メンデルスゾーンクララ・シューマンシャミナードといった定番作曲家と、オランダはじめ各国のあまり知られていない(と思われる)人々の作品を収めている。
解説が読めないので(汗)、企画の来歴などがわからないのだが、1979年の録音であろうか。
 

3月4日(木): 

 

堂阪清高(Fg) 鈴木秀美(指揮) オーケストラ・リベラ・クラシカ
ハイドン;交響曲第26・55番 & モーツァルト;Fg協(TDK)
オーケストラ・リベラ・クラシカの第7回のコンサートがCDになった。
交響曲は両方ともニックネームが付いた作品で、26番は「ラメンタツィオーネ」、55番は「校長先生」(当盤では「学校の先生」と表記されている)。
いつもライヴとは思えないくらいの美しい響きと、生動する音楽が素晴らしい。またモーツァルト作品は好きな曲でもあり、今回も期待して購入。
2003年10月3日、浜離宮朝日ホールでのライヴ。モーツァルト作品はオリジナル楽器による日本初演であったそうな。
 
オイゲン・ヨッフム(指揮) バンベルク響
ベートーヴェン;交響曲第6番「田園」・序曲「エグモント」(TDK)
 
オイゲン・ヨッフム(指揮) バンベルク響
ベートーヴェン;交響曲第7番 ほか(TDK)
ヨッフムとバンベルク響による1982年の来日公演では、NHKホールで開かれたブルックナー;交響曲第8番の演奏会が注目を集めた。当時、斉諧生も嚢中を空にして聴きに行ったし、数年前にはCD・DVDが発売されている。
その時のもうひとつのプログラムが、今回、2枚に分けてCD化された。
ブルックナー公演の翌日、1982年9月16日に会場を東京文化会館に移して開かれたコンサートで、「エグモント」・「田園」・第七という曲順。
第7番のフィルアップには、序曲と第6番のリハーサル風景から4トラック計30分程度を収録している(ブックレットに邦訳掲載)。
余談だが、たしか、この日のステージ写真が『FOCUS』だか『FRIDAY』だかに掲載されたと記憶している。記事本文では、第1Vnのトップサイドに座っていた名倉淑子さんを紹介していたように思う。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) ウラディミール・メンデルスゾーン(Va) 藤原真理(Vc) アンシア・ギフォード(G)
パガニーニ;G四重奏曲第1・7番 ほか(DENON)
いったいカントロフはDENONレーベルにどれだけの録音があるのだろう?
これは「モーツァルト・トリオ」名義のものだが、更に「パガニーニ・アンサンブル」で登場したりもする。
パガニーニの作品中、あまり録音されないギターを含む室内楽曲から、標記2曲と三重奏曲 ニ長調(Vn・Vc・G)の計3曲を収めたもの。
先だって当盤が某オークションに出品された際には落札し損ねたものの、米Amazonの "Marketplace" で見つけることができた。送料込み2,000円強と、まずまずの値段だったのも幸運。
1989年6月の録音。
 

3月3日(水): 

 

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮) 国立リル管
六人組合作;劇音楽「エッフェル塔の花嫁花婿」 ほか(HMF)
贔屓の指揮者、JCCの未架蔵盤を某オークションで落札。
「六人組合作」と言われるものの、実際に曲を寄せたのはオーリックミヨープーランクタイユフェールオネゲルの5人。デュレは既に脱退を表明していた。
コクトーの手になる台本は、俳優ダニエル・メズギッシュエルヴェ・フュリク、そして指揮者自身によって語られる。
ミヨー;屋根の上の牡牛をカプリング。
1993年4月15・16日のライヴ録音。
 
トマス・ツェートマイヤー(指揮 & Vn) フィルハーモニア管
モーツァルト;Vn協第1〜5・7番(TELDEC)
退勤時、乗換駅そばの音盤屋に立ち寄った際、ワゴンを覗いてみると少し商品が入れ替えてあり、めぼしいものを何点か購入。
ツェートマイヤーはあまり人気がある演奏家とはいえないだろうが、けっこう曲者というか、意図的な音楽づくりをする人で、もっと注目されてもよいように思う。
弾き振りのモーツァルトは1990〜91年に録音されているが、当盤は2000年頃に2枚組廉価盤でリリースされたもの。
カデンツァはすべて自作とのこと。
偽作とされるK.271aを収録しているのが曲者らしいところだ。ジャケットには「第6番」とカッコ書きされているが、この曲は第7番に数えるのが普通だろう(第6番はK.268)。
 
アレクサンドル・ブルシロフスキー(Vn) ビョン・ツァン(Vc)
コダーイ;Vn & Vcソナタ・無伴奏Vcソナタ ほか(suoni e colori)
上記モーツァルト同様、ワゴン・セールでの掘り出し物。
このメニューイン門下のヴァイオリニストは、誠実な音楽と中欧風の音色が好きで、音盤を見れば買うようにしている。
もっとも、曲目からして当盤ではチェリストが主役かもしれない。
ビョン・ツァンは、中国系アメリカ人(ミシガン生れ)、ジュリアード音楽院に学び、11歳でメータ(指揮) ニューヨーク・フィルと共演してデビューしたという。
1990年のチャイコフスキー・コンクールで第3位を受けている。
無伴奏Vcのための奇想曲をフィルアップ。
1999年12月の録音。
 
ポール・コレッティ(Va) フィリップ・ブッシュ(P)
シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ & ショスタコーヴィッチ;Vaソナタ ほか(Ars Produktion)
これもワゴン・セールから。
曲目的にも、斉諧生の好きなヴィオラ作品が集まっている上、コレッティはメニューイン門下にして古澤巌(Vn)グループの常連。興味を惹かれずにはいられない。
ショスタコーヴィッチ作品について、いつもながら工藤さんのページを拝見すると、
「しっかりとした音で丁寧に演奏しているのが好ましい。(略)作品が持つ微妙で複雑なニュアンスが捉えきれてないので、コーダの感銘が薄い。
とのこと。
ブルッフ;ロマンツェをフィルアップ。
録音データの記載がないが、マルPは1991年とされている。
 

3月1日(月): 

 久々にBerkshire Record Outletに発注した音盤が届く。

イーゴリ・ストラヴィンスキー(指揮 & P) ほか
「ストラヴィンスキー 自作自演集 第2巻」(andante)
高級かつ高額なイメージが植え付けられていたandanteレーベルが、最近ではBerkshire Record Outletに出ているというので、ちょっと吃驚。
3枚組の曲目と演奏者の詳細は公式Webpageを見ていただこう。
盟友サミュエル・ドゥシュキンを独奏に迎えたVn協その他のVn作品なども興味深いが、斉諧生にとっては
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ハンブルク室内管
協奏曲「ダンバートン・オークス」(1939年6月26日、ハンブルク)
が、何より重要。
おそらく初めてのCD化、LPには覆刻されていなかったのではなかろうか。
イッセルシュテットは、1930年代(ナチス時代!)からストラヴィンスキー作品を好んで指揮しており(個人的にも親交があった)、当時の演奏ぶりを確認できる重要な資料でもある。
覆刻の音質は優秀、サーフェス・ノイズは多いが、楽音はボディがしっかりしており、十分に鑑賞することができる。
 
チャールズ・グローヴズ(指揮) イングリッシュ・シンフォニア
モーツァルト;交響曲第29・32・33番(IMP)
 
チャールズ・グローヴズ(指揮) イングリッシュ・シンフォニア
モーツァルト;交響曲第27・28・34番(IMP)
先週第25番ほかを入手したチャールズ卿のモーツァルトが2点、Berkshire Record Outletのカタログにあったのでオーダー。
地味な曲目揃いだが、それもグローヴズらしいということかもしれぬ。
オーケストラの公式Webpageによれば、あと31・38番が存在しているようだ。
1987年10月から1989年4月にかけての録音。
 
ネーメ・ヤルヴィ(指揮) スコットランド・ナショナル管 ほか
マーラー;交響曲第3番・亡き子を偲ぶ歌(CHANDOS)
 
ネーメ・ヤルヴィ(指揮) スコットランド・ナショナル管
マーラー;交響曲第6番(CHANDOS)
ヤルヴィのマーラーも、ずっと気に懸かっていた音盤の一つ。今回、Berkshire Record Outletで安く買うことができて喜んでいる。
指揮者の公式Webpageによれば、CHANDOSレーベルへは第1・3・4・5・6番しか録音しなかったようである。
となると、斉諧生的には今回の2曲で足りる。
第3番は1991年10月、第6番は1992年11月の録音。
なお、第6番のディスクには、交響的前奏曲 Symphonisches Praeludium という7分弱の曲がフィルアップされている。
来歴不詳ながらマーラーの習作という推測も成り立ちうる作品なのだそうである(ピアノ譜のみが現存、オーケストレーションはギュルシングによる)。
ついでながら、第6番には日本フィルとのライヴ録音もあった。
 
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) アルスター管
ドビュッシー;管弦楽曲集 第4巻(CHANDOS)
トルトゥリエのドビュッシー録音はCD4枚分ある。
初出時はラヴェルの作品とカプリングされていたりして、架蔵未架蔵の整理がややこしかったのだが、これで全音源が揃うことになるはず。
P幻想曲(独奏はアンヌ・ケフェレック)、Cl狂詩曲サキソフォン狂詩曲神聖な踊りと世俗的な踊りといった独奏楽器を持つ作品と、他者の編曲による小品(サラバンド喜びの島月の光など)を収める。
1990年8月から1992年6月にかけての録音。
 
アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド・ナショナル管
ホルスト;惑星(CHANDOS)
1979年7月、同曲初のデジタル録音として喧伝され、翌年末には国内盤LPも発売された。
世間的には、それ以上の話題にはならなかったが、英国音楽ファンの間では「最も英国的な惑星」として知られていた。この指揮者の代表盤の一つ。
疾うに架蔵していてもおかしくないCDなのだが、ずっと買いそびれてきた。
これは斉諧生の謬見かもしれないが、「展覧会の絵」と違い、「惑星」には聴き比べの妙味が薄いように感じる。それだけ曲がよく書けているということかもしれないが。
あまり同曲異盤を集めようという気になれず、刷り込みのオーマンディ盤があれば…という気分だった。
今回、Berkshire Record Outletのカタログで見つけたのを期に購入。
けっして平原綾香嬢の歌声に触発されたわけではない、と断言できないのが恥ずかしいところ。先日も深夜の「なか卯」店内に流れているのを耳にしたばかりだ…(汗)。
 
ミシャ・ラフレフスキー(指揮) クレムリン室内管
「弦楽合奏のためのラメント」(CLAVES)
今年1月にルクー・作品表とディスコグラフィを公開するに当たり、唯一、存在を知っていながら架蔵していなかった音源。
正直申して、どうもロシア製のルクーというのに抵抗があり(ロシア人ヴァイオリニストによるVnソナタは平気で買うのだから矛盾しているのだが)、これまで買わずにいた。
喰わず嫌いも失礼な話だし、それ以上に資料として備えざるべからずと思い、機を窺っていたところ、Berkshire Record Outletのカタログに発見、オーダーしたもの。
初出の盤ではなく、アルバム・タイトルにもなっているシュニトケ作品の録音と抱き合わせの2枚組。
残りの収録曲は、ショスタコーヴィッチ(ラフレフスキー編);弦楽のためのレクイエム(弦楽四重奏曲第15番より)R・シュトラウス;メタモルフォーゼン
1994年12月録音とあるが、4曲すべてがその月に録音されたものかどうか、確認を要す。
 
マリオ・ベルナルディ(指揮) CBCヴァンクーヴァー管
北欧管弦楽曲集(CBC)
これは北欧音楽MLで御教示いただいたCD。
まことに共感あふれる、素晴らしい演奏というのでオーダーしてみた。
収録曲は、
シベリウス;組曲「恋する人」
グリーグ;2つの抒情的小品
ラーション;田園組曲・冬物語
ヴィレン;行進曲
フルメリ田園組曲
など。
この記事を書きながら聴いているが、なるほどイタリア系の指揮者にカナダの楽団というだけで敬遠しては、勿体ないほどの音楽。
1992年3・5月の録音。
 
ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn)コンバッティメント・コンソート・アムステルダム
ヴィヴァルディ;Vn協集(INPOGRAM)
このところ蒐集しているツヴェーデンの未架蔵盤がBerkshire Record Outletのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
ニックネームの付いた6曲を演奏している。RV番号順に、
「疑い(Il sospetto)」「海の嵐(La Tempesta di mare)」「恋人(L'Amoroso)」「お気に入り(Il Favorito)」「かっこう(Il Cucu)」「狩り(La Caccia)」
録音データは明記されていない。
 
ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn) ワルター・プルースト(指揮) フランドル室内管
バーバー;Vn協 & バーンスタイン;セレナード ほか(INPOGRAM)
これもツヴェーデンの未架蔵盤、Berkshire Record Outletから。
アメリカの音楽ばかりで1枚のCDを構成しており、標記2曲のほかはバーンスタインの管弦楽曲で、序曲「キャンディード」「オン・ザ・タウン」より3つのダンス・エピソードを収録している。
1992年3月の録音。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) ウラディミール・メンデルスゾーン(Va) 藤原真理(Vc)
モーツァルト;ディヴェルティメント K.563(DENON)
カントロフの未架蔵盤。
藤原真理が加わったモーツァルト・トリオとして、最初期の録音に当たる。
1983年3月、東京の石橋エオリアン・ホールで収録されたもの。カントロフのDENON録音はオランダでのセッションが多いから、これはちょっと珍しいかもしれない。
実は、斉諧生が某オークションで落札し損ねたのを御覧になったWeb上の知人が、わざわざ御恵贈くださったもの。あらためて心から感謝申し上げたい。<(_ _)>
 

平成16年1月4日(日): 「作曲世家」にルクー・ディスコグラフィを追加。
平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。
平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。
平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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