ピアノに向かうステーンハンマル           作曲世家
         

ヴィルヘルム・ステーンハンマル

Wilhelm Stenhammar

(1871-1927)


 近代北欧諸国の有名作曲家として、ノルウェーにグリーグあり、フィンランドにシベリウスあり、デンマークにニルセンありとして、さてスウェーデンには…?
 ここで声を大にして名前を挙げたいのが、ヴィルヘルム・ステーンハンマルである。

 

ヴィルヘルム・ステーンハンマルは、1871年ストックホルムに生まれ、ベルリンで学び、作曲家としてのみならず、ピアニストとして、あるいはヨェーテボリ交響楽団やストックホルム歌劇場の指揮者としても活躍、1927年56歳で没した。

 

 スウェーデン音楽史上、ステーンハンマルは、アルヴェーンと並んで、近・現代音楽への扉を開いたといえよう。演奏活動においても、作曲活動においても。

アルヴェーンにスウェーデン狂詩曲「夏至祭」があれば、ステーンハンマルには「冬至祭」がある!

 また、故国スウェーデンにおいては「第2の国歌」とされる曲「スヴァーリエ」の作者であり、作風からしても、「スウェーデンのシベリウス」ないし「北欧のエルガー」といっていい存在である。

今回、年譜を作っていて思ったのだが、シベリウスがクッレルヴォ交響曲から出発して交響曲第7番の世界にまで到達した間に、ステーンハンマルは、シューマンかブラームス擬きの作風から、シベリウスで言えば交響曲第3番くらいのところで終始したのではないか。
だから、シベリウスよりエルガーに譬える方が適切かもしれない。
シベリウスもエルガーも、「第2の国歌」の作者だし。

 ステーンハンマルの音楽世界は、ロマン派から初期の印象派あたりに留まり、シベリウスのような汎世界的な音楽を形成するには至らなかった。その意味では、マイナー・ポエットにすぎないかもしれない。

 しかし、その抒情には、捨てがたい素晴らしさがある。民俗的素材によりかからない端正な美しさと、心にしみる深くて清澄な北欧の情感に、隠れファンも(隠れないファンも)多い。

BIS(スウェーデンの会社だ)からは主なジャンルの録音がCD10枚分出ているし、DGGから交響曲全集(所縁のヨェーテボリ響だ)が出たのも記憶に新しいところだ。

 斉諧生も、1985年に彼の「管弦楽のためのセレナード」を聴いて以来、ステーンハンマルに魅せられ、全録音収集を心願としている。
 この抒情作家のファンを1人でも増やすべく、今回、「作曲世家」の初公開に当たって取り上げたものである。


このページの作成に当たり、スウェーデン音楽情報センター(SMIC)のデータベースを大いに利用しました。記して謝辞といたします。


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