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2006年02月28日(火)

マルケヴィッチのCD未架蔵盤 [2006年2月]

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管 ほか
R・コルサコフ;序曲「ロシアの復活祭」 ほか(Philips)
某オークションを見ていたら、マルケヴィッチのロシア音楽を集めたCDが出品されていた。
詳細をチェックしてみると、まだCDを架蔵していない表記コルサコフ作品が収録されているので落札。
そのほかマルケヴィッチでチャイコフスキー;序曲「1812年」ボロディン;韃靼人の踊りジャン・フルネ(指揮)ボロディン;中央アジアの草原にてムソルグスキー;禿山の一夜を収める。
ジャケット装画が、ちょっとかわいい。

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ヴェーグ翁の指揮映像 [2006年2月]

シャーンドル・ヴェーグ(指揮) ザルツブルグ・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ ほか
「ザルツブルク・セレナード・コンサート」(日本フォノグラム、LD)
1991年、前のモーツァルト・イヤー(没後200年)にリリースされたレーザー・ディスク3枚組。
当時から欲しかったものだが、3枚組18,000円という値段に怯んで買いそびれ、ずっと悔やんでいたセットである。
ようやく某オークションへの出品を発見、勇躍落札したもの。
1987〜89年のザルツブルク音楽祭にあたって録画されたもので、モーツァルト;ディヴェルティメント K.136同 第10番 K.247 & 第17番 K.334セレナード第3番 K.185のほか、シューベルト;交響曲第1番などを演奏している。
また、ペーター・ルーカス・グラーフ(Fl)とのグルック;Fl協 & M.ハイドン;Fl協ミラン・トゥルコヴィッチ(Fg)とのモーツァルト;Fg協には随喜の涙。

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ステーンハンマルのSP盤 [2006年2月]

フランチェスコ・アスティ(Vn) トゥール・マン(指揮) ヨェーテボリ響
ステーンハンマル;センチメンタル・ロマンス第1番(英HMV、SP)
先だってWebを検索していて、SPと蓄音機の専門店ジャパン・オーディオ・コレクションの在庫にステーンハンマルのSP盤を発見。
音源としては、LPで覆刻されたものを架蔵しているが、やはりSPでも持っておきたい。
斉諧生の(ささやかな)夢としては、交響曲第2番やP協第2番を含め、SP音源の覆刻CDを作成・頒布してみたいのである。
かつて「憧れのデニス・ブレイン」のWebmasterが「蘇るデニス・ブレイン」を製作されたように…。

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2006年02月27日(月)

ハイドシェックのベートーヴェン後期3曲 [2006年2月]

エリック・ハイドシェック(P)
ベートーヴェン;Pソナタ第30〜32番(ogam)
もう日本でしかCDが出ないのではと思っていたハイドシェックが、フランスのレーベルに録音したので(申し訳ないけれど)少し驚いた盤(2000年11月録音)。
日本語の帯を巻いて流通していたこともあり、いつでも買えるだろうと放っておいたら、レーベルが消滅したらしく入手できなくなり、最近某オークションあたりでは落札額が高騰している様子。
幸いeBayで安く入手できた(送料含め800円強)。
録音場所はパリ・IRCAMのスタジオだが、楽器はヤマハCF-III-Sを使用している。ジャケットに日本人調律師2人の名前も明記されているのは、好ましい製作姿勢だ。

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武満徹の夫婦善哉 [求書読書録]

武満浅香『作曲家・武満徹との日々を語る』(小学館)
作曲家の没後10年にあたり、各社から出版が相次いでいる。音楽之友社から邦訳が出たイギリス人研究者の著作が重要そうだが、それは未入手。
これは、先に小学館が刊行した『武満徹全集』(全5巻)の編集長(大原哲夫氏)による浅香夫人のインタビュー。
2002〜05年にかけ6回にわたって行われ、当初は全集の月報に掲載された。その際、紙幅の都合で大幅にカットすることになったため、ぜひ「完全版」を世に出したいと出版されたのが本書。
帯に谷川俊太郎氏が書いているように、「ある幸せな夫婦の物語」。
極端に言えば全編ことごとく惚気話といっていいほどで(もちろん口論などはしょっちゅうあったようだが)、幸せな人生が羨ましい。
それでも、経済的に安定したのは晩年の10年間ほどで、それまではずっと「来月は大丈夫だけど、あと二、三か月したらお金ないわよ」と言うような状態だったという。
う〜ん、既に世界的な作曲家の令名高かった「鳥は星形の庭に降りる」(1977年初演)、「遠い呼び声の彼方へ!」(1980年初演)の頃でも、そんなだったのか…と少々驚いた。
挟み込みの小学館のチラシによると、6月には谷川俊太郎の対談集(浅利慶太、小澤征爾、高橋悠治、湯浅譲二ら)、10月には大原氏によるインタビュー集(今井信子・岩城宏之・小泉浩らの演奏家や、録音技師・奥山重之助、マネージャー・宇野一朗ら12人)の刊行が予定されている。
あとは、立花隆氏が『文学界』に連載した武満本人のインタビューが、早く単行本にまとまることを期待したい。

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2006年02月25日(土)

「芸文」に響くステーンハンマル [演奏会出没録]

昨年秋にオープンした兵庫県立芸術文化センターで、合唱団 Basta Basta第9回演奏会を聴く。
合唱団の方から、ステーンハンマル;「後宮の庭園に」(3つの無伴奏合唱曲より)を演奏するのでよろしければどうぞ、とお招きをいただいたのである。この場を借りて、あらためて感謝申し上げたい。
なお、合唱団の公式Webpageがある。
 
今日の会場は小ホール、定員417人とのことだが、ステージを囲むように客席が配されているので、演奏者との距離を非常に近く感じる。
また天井が高く、響きが美しい。一方で、透明な反響板が吊されており、音が上に抜けてしまわないような配慮もなされている。
阪急「西宮北口」駅から通路で直結されており、斉諧生宅から1時間もかからない近さ。また聴きに行きたいホールである。
 
今日の曲目は、無伴奏合唱の小品を17曲、すべて違う国の歌を集めているとのこと。詳細は、合唱団のWebpageでごらんいただきたい。
知っている名前は、ステーンハンマル以外では、ブルックナー、ペルト、マンテュヤルヴィくらいか。
1曲目のラッスス;やまびこは、団員がステージと客席後方通路に分かれて呼び交わし、そのまま2曲目のSiyahambaに入り "We are marching in the light of god" の歌詞を活かして通路に位置していた団員がステージに進んでいくという趣向。センスの良さにしびれた。
とてもアマチュアとは思えないほど美しいハーモニーで、どの曲も、作品そのものの美しさを堪能できた。
合唱団のコンサートはあまり足を運ばないので、正確な技術批評はできないが…。
目当てのステーンハンマル作品でも、たゆたうような曲想が美しく再現された。
女声の高音域もまずまずクリアされていたし(できれば更に精確さを求めたいが)、終結近くで思い切った強弱が付けられたのが新鮮だった。
 
南アフリカとかサモアとか非ヨーロッパ圏の歌といっても、その土地の素材を曲に仕上げているのはヨーロッパ系の作曲家なので、よく言えば聴きやすいし、悪く言えば変わり映えがしない音楽になっている。
もちろん、みな美しい作品で、それぞれ楽しませていただいたことは言うまでもない。
そんな中で異彩を放ったのが、前にスヴァンホルム・シンガーズの演奏会でも客席に受けていたマンテュヤルヴィ;シュード・ヨイク。足踏み付きで、音の動きも激しい。何度聴いても楽しい曲だ。
またブルックナー;エサイの枝からはゲネラル・パウゼでの残響が効果的だったし、トムソン;アレルヤのドラマティックな動きと消え入るような終結、ペルト;「…は…の子」(…which was the son of…)の意味深い音の動きなどが印象に残った。
アンコールは日本の歌をということで、文部省唱歌;「ふるさと」の美しい編曲。
 
なお、4つのステージを2人の指揮者(団員)が振り分けており、曲の違いもあるのかもしれないが、生まれてくる音楽の性格の違いが興味深かった。
片方の指揮者はハーモニーが美しいがリズムがややのっぺりする傾向があり、もう少し音楽に生命感(弾みや呼吸)がほしいと思った。
もう一人の指揮者では、音楽に活気があらわれる一方でハーモニーの肌理が粗くなる傾向がある。
両立の難しさを拝察する次第。

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奧座敷同人2005年の5盤 [斉諧生敬白]

中古音盤堂奥座敷 同人 2005年の 5盤 が公開されました。
斉諧生は、諸般の事情で執筆が遅れており(汗)、後日追加掲載をお願いする予定です。
今しばらくお待ちくださいませ。<(_ _)>

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2006年02月20日(月)

『レコード芸術』3月号 [斉諧生敬白]

『レコード芸術』3月号に、バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Hungaroton、DVD)(独奏ミクローシュ・ペレーニ)のレビューを執筆いたしました。
拙文ではございますが、よろしければどうぞ書店で手に取っていただければと存じます。
「NEW DISC & ARTISTS」というコーナー、168〜169頁に掲載されております。

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バーンスタイン晩年のシベリウス [2006年2月]

レナード・バーンスタイン(指揮) ウィーン・フィル
シベリウス;交響曲第1番(DGG)
CBS時代に全集を完成したバーンスタインが、DGGに録音しなおしたシベリウスは第1・2・5・7番の4曲3枚。
第5・7番は早くから架蔵していたが、シベリウスの音楽としては少し「勘違い」的な趣があるのと、WPhがシベリウスに向いているとは思えないのとで、ずっと買わずに来た・
ところが、北欧音楽ファンの中には彼の第1・2番を愛聴される方も少なからずおられることを知り、これは聴いてみないと…と思い、かねて入手を心がけていた。
3枚組の箱物にもなっているのだが、初発時の輸入盤1枚ものを捜していたところ、当盤が某オークションに安価で出品されたので落札したもの。
第2番は昨年1月に入手しているので、これで3枚が揃ったことになる。
1990年2月、ウィーン楽友協会大ホールでのライヴ録音。

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コーガンのライヴ盤 [2006年2月]

レオニド・コーガン(Vn) アンドレ・ムイトニク(P) ほか
R・シュトラウス;Vnソナタ & プロコフィエフ;Vnソナタ第2番 ほか(Vogue)
コーガンのライヴ盤が某オークションに出品されていた。
INA音源だというので音質的には問題なかろうと思って調べてみると、収録曲のうちショスタコーヴィッチ;24の前奏曲 op.34(24曲中、第10・15・16・24番の4曲をツィガノフによるVn用編曲で演奏)について、工藤さんの評があり、
いつもながらの鮮やかな技巧に加え、ライヴ録音ということもあってより一層自由な演奏が繰り広げられている。ロマンティックな節回しも効果的で、この曲独特の雰囲気を魅力的なものにしている。
と、星5つの最高点が与えられている。これは聴かざるべからずと落札したもの。
シュトラウスとショスタコーヴィッチがムイトニクの伴奏で、1959年11月26日の収録。
プロコフィエフとファリャ;スペイン民謡組曲ナオウム・ヴァルター(P)と、1964年5月25日にボルドー五月音楽祭で収録されたもの。

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ツァハリアスのモーツァルトその1 [2006年2月]

クリスティアン・ツァハリアス(P & 指揮) ローザンヌ室内管
モーツァルト;P協第22・27番(MDG)
このところ蒐集しているピアニスト、ツァハリアスの再録音・弾き振りモーツァルトの第1巻(ただし第25番は「プラハ」交響曲等と録音済み)。
eBayに安く出ていたので落札したもの。
両曲とも好きな作品なので楽しみである。
2003年1月、ローザンヌでの録音。

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ツァハリアスのモーツァルトその2 [2006年2月]

クリスティアン・ツァハリアス(P)
モーツァルト;P作品集(MDG)
↑の協奏曲集と同じくeBayで安く落札したツァハリアスのモーツァルト。
ピアノ・ソナタと変奏曲以外の独奏曲から、幻想曲 K.397・K.475ロンド K.511アダージョ K.540ジーグ K.574など10曲を集成したもの。
1999年7月、バート・アロルセンで録音された。

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シマノフスキVn作品集 [2006年2月]

ピオトル・プワフネル(Vn) ヴァルデマル・マリツキ(P)
シマノフスキ;Vn曲集(DUX)
シマノフスキのヴァイオリン曲の音盤には目がない。
「アレトゥーザの泉」1曲だけくらいだとさすがに手を出さないが、協奏曲録音や、当盤のようにVnソナタ「神話」夜想曲とタランテラを集めたCDは、ついつい買ってしまう。
プワフネルは1974年、ポーランド第2の都市ウッジに生まれた。9歳でオーケストラと共演、ベルンでイゴール・オジムに学び、1991年(17歳か)にヴィニャフスキ国際コンクール、1995年にはミュンヘン国際コンクールで優勝。その後はヨーロッパを中心に活躍しているとのこと。
1997年2月、ビドゴシチのポメラニア・フィルハーモニック・コンサート・ホールでの録音。

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柴田南雄先生のココシュカ解説 [求書読書録]

『ファブリ世界名画集 95 ココシュカ』(平凡社)
用があって日本の古本屋で捜しものをしたついでに「柴田南雄」で検索してみると、これがヒットした。
ココシュカの解説ならば柴田先生が執筆しておられてもおかしくない。値段も安かったので、オーダーしてみた。
届いてみると、文章自体は手持ちの『楽のない話』(全音楽譜出版社)に収録されているのと同一。
ただし、文中で触れられているものを中心に17枚の画がB4判ほどの原色刷で掲載されているのがメリットか。
1972年2月、画家存命中の出版。

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2006年02月19日(日)

ペレーニ・リサイタル [演奏会出没録]

札幌に遠征してミクローシュ・ペレーニのリサイタル(札幌コンサート・ホールkitara小ホール)を聴く。
ペレーニは、このホールを運営する札幌市芸術文化財団が開催する「第9回リスト音楽院セミナー」の講師として3年ぶりに来日し、セミナーの講師による特別コンサートとしてリサイタルを行うのである。
風の便りに耳にしたところでは、東京でコンサートを開催する計画もあったのだが、採算割れのリスクを引き受けるところがなくて流れたという。
前回のトッパン・ホールも前々回のカザルス・ホールも完売満席だったから、ペレーニのコンサートに赤字の懸念はあるまいに…と思うのだが、そうもいかないらしい。
今日も早くからホールのWebpageには全席完売の印が付いていた(もっとも実際には多少の空席があったが)。
ホールに着くと、札幌在住の知人はもとより、東京や神戸からペレーニを聴くために来た知人に会い、話がはずむ。
評判どおりの美しいホールで、響きも豊か。
次の機会には、ぜひ大ホールのコンサートを楽しみたいものである。
 
今日の曲目は
バッハ;無伴奏Vc組曲第6番
ブリテン;無伴奏Vc組曲第2番
プロコフィエフ;Vcソナタ
ドビュッシー;Vcソナタ
というもの。
ブリテンとプロコフィエフは録音がなく、その点でも聴き逃せない演奏会だ。
後半でのピアニストはイシュトヴァン・ラントシュ(P)、同じくリスト音楽院の教授で、学長も務めたことがある人。
パンフレットには「世界でも珍しい初見能力を持ち、驚嘆に値するエピソードは多数。」と特筆されている。
見た感じは、とても内気そうな人なのだが。
ペレーニとは、リストの室内楽曲のCDで共演していることに、帰宅してから調べていて気がついた。
 
午後5時開演、3年ぶりに見るペレーニ師は、相変わらず飄々と舞台に現れる。
1曲目のバッハは、近年の実演や先日発売されたDVD(収録1996年)から類推して、現在のペレーニ師は枯淡の極みのような音楽を奏でられるのではないか、と予想していた。
だが、今日の演奏は、文字どおり渾身の演奏。
やはり、通常の4弦のチェロでは技巧至難を極める大曲第6番ゆえの意気込みであろうか。
とはいえ一般のチェリストとは次元が違い、プレリュードあたりは技術上の問題などは微塵も感じさせず、聴き手を音楽だけに惹きつけたまま、演奏してゆく。
以前、他のチェリストが難行苦行するのを聴いたこともあるアルマンドでも、ただただバッハの音楽だけを感じさせる演奏。
チェロの響きから立ちのぼる愁いの気配に耳を傾けていると、それが人間存在の根源に遡る哀しみであるという思いが胸に迫る。
一方、ガヴォット主部や最終曲ジーグの躍動感は、まさに太陽の輝きを放っていた。
 
彼の完璧な技術は、舞台上のチェリストが熱演しているなとか、技術的に音程がどうだ指遣いがどうだとかいったことを、聴き手にまったく意識させることがない。
バッハの音楽の至純さと、ペレーニの誠実な音楽性、彼のヒューマニティを、あますところなく聴き手に開示してゆく。
 
続くブリテンは、親交のあったショスタコーヴィッチを思わせる作品。
そもそも第1楽章の冒頭の音型は、後者の交響曲第5番の緩徐楽章の引用であるといわれているほど。
その第1楽章 デクラマートでは、透明な訴えかけが心を打つ。
並のチェリストならば力演や熱っぽさが前面に出るところだ。
ちょっと不安定な音の動きが特徴的な第2楽章 フーガ第3楽章 スケルツォは、鮮やかに駆け抜け、第4楽章 レントで多用されるピツィカートは、ときにハープのような愁いを響かせる。
終曲第5楽章 シャコンヌは速めのテンポで力強く、クレッシェンドでぐいぐい引っ張って切迫感を醸し出す。
多くのチェリストがプレストの指定通りに放り出す終結を、ぐっと踏みしめて完結感を打ち出したのも印象に残った。
 
休憩後はピアノとの二重奏。
ラントシュのスタイルは、弾くべきところは弾いた上で、ペレーニのチェロを立ててくれる感じ。
両者が「合わすぞ合わすぞ」といった様子は見せずに、それでいて要所々々で互いの呼吸がぴたりと合う。
斉諧生はピアノの演奏に不案内なのだが、これまでの来日公演で感じたピアニストへの不満〜ペレーニの音楽を置き去りにして突出する奏者や、逆にチェロとピアノがぶつかり合うべきところで抑制している奏者など〜を、今日はまったく感じなかった。
いつもこの人と来日してくれればよいのに(笑)。
 
さて、プロコフィエフの冒頭では、ペレーニ独特の「塩辛い音」が、存分に低弦のモノローグを歌い抜いた。そうそう、この音を聴きたかった!と内心快哉を叫ぶ。
この曲の明快な旋律はいわゆる「社会主義リアリズム」の反映なのだろうが、その影に潜む苦い想念を、ペレーニの音はきっちりと描き出す。
楽章終結の最弱音は、霞のようにあえかに、しかも美しく奏でられた。陶酔。
そして終楽章では、音楽への信頼を歌い上げたのだ。
 
最後のドビュッシーでは、ピアニストともに楽想の転変を描き尽くして間然とするところがない出来栄え。
明るい音色や剽げたような表情などを随所に見せ、「これがフランスのチェリストだったら」などということを考えずにすむ、稀有の名演だった。
ラントシュのピアノも、繊細で軽やかなピアニッシモを駆使して、ドビュッシーの音楽を具現化していた。
 
拍手喝采に応えてアンコール。
ここで曲目のアナウンスをピアニストに押しつけたのもペレーニ師らしい(笑)。
録音もあるドホナーニ;ルラリア・フンガリカ、CDに聴くよりも更に雄弁な、民族の共感をこめた熱い歌いこみが、札幌のステージにハンガリーの大平原を浮かび上がらせたのである。
 
アンコールは1曲だけで終わる予定だったようだが、鳴りやまぬ拍手とスタンディング・オーヴェイションに応えて、2曲目はバッハ;無伴奏Vc組曲第1番のアルマンド
1人で出てこられたので、曲目のアナウンスをどうされるかと思ったら、何も言わずに弾き始めた(爆)。
これは竹林を風が吹き抜けるような、速いテンポとあっさりした表情の中に、バッハの音楽の至純さを響かせた名演となった。
やっぱり6曲全部を聴きたくなる、そんな演奏だった。
 
今回のリサイタルは、これまで聴いたペレーニ師の演奏会と少し違って、気合というか熱っぽさが印象に残った。
コダーイ;無伴奏Vcソナタを演奏されたときのような、テンションの高さが全曲目に通底していたのである。(アンコール2曲目のバッハだけは少し違ったが。)
1曲目のバッハが第6番であったことが影響しているのか、それとも何かほかに要因があったのか…?
 
終演後にサイン会があり、↓のCDと一緒に買い求めた『レコード芸術』3月号を持って並ぶ。バッハのDVDの記事を見せながら、
斉「このレビューは、私が書きました。」
ペレーニ師「これねえ、モノラルなんだよ。テレビ用の収録だったので、ステレオじゃないんだ。」
これにはちょっと驚いた。DVDにはステレオと表示されているのだから…。
DVD化の交渉に5年を要したというのも、もしかしたら、このことが影響していたのだろうか?
斉「では、ぜひぜひ新しい録音をお願いします。バッハだけじゃなくて、ラフマニノフやショスタコーヴィッチも…」
拙い英語が通じたのか通じなかったのかわからないが、ペレーニ師は頷くような身振りで、『レコード芸術』の空欄にサインをしてくださった。
 
以下は余談。
今回、札幌には日帰りで…と思ったのだが、真冬の北海道に当日入りは危険(気象条件により飛行機がどうなるかわからない)ということで、前日に着いて札幌で1泊。
また開演が午後5時と日曜の演奏会としては遅かったため、大阪空港(伊丹)なり関西国際空港行きの最終便に間に合わないため、羽田行きの最終便に乗って東京で1泊して翌朝の新幹線で出勤。
金銭的には高くついたが(泣)、演奏内容はそれをまかなって余りある素晴らしいものだったので、良しとしよう。
もっとも、当分の間、音盤購入を抑制せねば…(苦笑)。

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チェクナヴォリアンのシベリウス第1 [2006年2月]

ロリス・チェクナヴォリアン(指揮) ロイヤル・フィル ほか
シベリウス;交響曲第1番 ほか(BMG)
今回の札幌旅行は、↑の演奏会のためのものなので、特別な観光や食べ歩きは計画しなかった。
唯一、必ず立ち寄りたかったのがタワーレコード・札幌ピヴォ店。担当者F氏の尽力で、北欧音楽の品揃えには凄まじいものがあるという。
実見してみれば成る程、偉なるかな。
例えばステーンハンマルでも、BISの諸盤がずらりと揃い、更にサロネン(指揮)のステーンハンマル;管弦楽のセレナード(Musica Sveciae)も並んでいる。
先ごろ長逝された伊福部昭も、北海道出身という関係で(こじつけて?)大きく展開されているし、札幌響が取り上げる曲目や、来演する演奏家の音盤も専用コーナーに置かれている。
もちろんペレーニの音盤、特に新譜のバッハ;無伴奏Vc組曲のDVDには、「買わざるべからず!」と大書したポップが付されている。
どこかで聞いたような台詞だなと思うと、横に括弧書きで「マルC斉諧生」とあるではないか(笑)。
(↑の画像ではぼやけていて見づらい。携帯電話の撮影機能で解像度の設定が低いままになっていたのが残念)
閑話休題、北欧ものに限らず品揃えは充実しており、欲しいものだらけだったが、資金も足りないし荷物が増えるのも困るしで、タワーレコードのオリジナル企画CDからシベリウス関連の3点を購入。
 
当盤は、一部でいわゆる「爆演」系指揮者として著名なチェクナヴォリアンのシベリウスで、世界初CD化とのこと。
1980年3月、ロンドンのワットホード・シティ・ホールでの録音。
カプリングは、アルメニアつながりということだろう、ハチャトゥリアン;交響曲第3番
こちらの演奏者はレオポルト・ストコフスキー(指揮) シカゴ響、録音は1968年2月、シカゴのメダイナ・テンプルにて。

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チェクナヴォリアンのシベリウス第4第5 [2006年2月]

ロリス・チェクナヴォリアン(指揮) ロイヤル・フィル ほか
シベリウス;交響曲第4・5番 ほか(BMG)
↑の続き。
およそチェクナヴォリアンのイメージには合わない曲だが(苦笑)、シベリウスの3番以降の交響曲ならば買わざるべからず。
1976年7月、ロンドンのバーキング・タウン・ホールでの録音。
フィルアップにトゥオネラの白鳥が収められており、ロンドン・フィルと1980年3月に録音したとクレジットされている。
しかしながら、録音の日付と場所が↑の交響曲第1番と同一で、おそらく初出時には両者が組み合わされていたと思われる。
ならばオーケストラが交響曲がロイヤル・フィル、「トゥオネラ〜」がロンドン・フィルというのは不審。
他のデータとも勘案すると、交響曲第1番はロンドン・フィルの演奏とするのが正しいように思われる。

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プレートルのシベリウス [2006年2月]

ジョルジュ・プレートル(指揮) ニュー・フィルハーモニア管 ほか
シベリウス;交響詩「夜の騎行と日の出」 ほか(BMG)
フランス人指揮者によるシベリウスは珍しいが、プレートルには交響曲第4・5番の録音があり、同じ企画でCD化されていた。
「夜の騎行〜」は、初出時に第5番と組み合わされていた音源で、1967年の録音。
なお当盤のメインはR・シュトラウス;交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」(フィルハーモニア管、1983年6月録音)だが、こちらは輸入盤CDを架蔵済み。

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今さらながらシェリングのバッハ [2006年2月]

ヘンリク・シェリング(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(DGG)
実は、国内盤LPで聴いていたものの、CDでは未架蔵だったシェリングの大名盤。
輸入盤CDのOIBP(Original Image Bit Processing)マスタリングで買いたいと思いつつ、安いものを捜しているうちにどんどん月日が経ってしまった。
今日立ち寄ったタワーレコード・札幌ピヴォ店に、値下げされた盤が置いてあり(ということはタワーレコード全店で値引き中?)、そろそろ潮時と購入に踏み切った。
1967年7月、スイスのヴヴェイでの録音。

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2006年02月18日(土)

トルトゥリエのプロコフィエフ [2006年2月]

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) ナショナル・ユース管 ほか
プロコフィエフ;交響曲第5番 ほか(Warner)
先日も東京都響に客演し、Web上の評は揃って高く評価していたトルトゥリエ。CHANDOSのラヴェル;道化師の朝の歌に感銘を受けて以来、蒐集している。
このプロムスのライヴ盤は、たしか店頭でも見かけたが、苦手な曲なのとユース・オーケストラということで買いそびれていた。
今回、eBayで安い出品を見つけたので、↓とまとめて落札したもの。
2003年8月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの録音。
カプリングは同じ作曲家のP協第1番で、演奏者はニコライ・ルガンスキー(P) アレクサンドル・ラザレフ(指揮) スコットランド・ナショナル管
こちらは同年9月、同じホールでの収録である。

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トルトゥリエのシベリウス [2006年2月]

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) アルスター・ユース管
シベリウス;交響詩「ポヒョラの娘」 & ヒンデミット;ウェーバーの主題による変奏曲 ほか(自主製作)
↑同様、eBayでトルトゥリエの珍しい盤を見つけたので落札したもの。
特に彼のシベリウス録音は珍しく、どのような響きを生み出しているのか、興味津々。
アルスター・ユース管は1993年創立、当盤は2003年8月に行われた創立10周年記念演奏会のライヴ録音で、BBC北アイルランド放送局によって録音・放送された音源とのこと。
更に(というか所要時間ではメインになっている)バリー・ダグラス(P)を迎えてのチャイコフスキー;P協第1番を収録。

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COEの弦楽合奏曲集 [2006年2月]

ヨーロッパ室内管 ほか
弦楽合奏曲集(Warner)
ひところアーノンクールベートーヴェンベリルンド(ベルグルンド)シベリウスの各交響曲全集を録音するなど、活発に活動していたヨーロッパ室内管(COE)だが、最近はあまり新譜を見かけなくなった。
このCDも、店頭に並んでいたろうか?
冒頭にパーセル(ブリテン編);シャコンヌを置き(この曲は愛惜佳曲書に掲載した)、更にブリテン;ラクリメペルト;ベンジャミン・ブリテン追悼歌と続け、パーセル(ストコフスキー編);ディドの嘆きで前半を締めくくる。渋い選曲だ。
後半はRVW;タリス幻想曲ウォルトン;「ヘンリー5世」より「ファルスタッフの死」と「やさしき唇に触れなん」ティペット;コレッリ幻想曲と、これも佳曲の揃い踏み。
↑2枚同様、eBayで落札したもの。いい盤が安く手に入って、とても嬉しい。
2003年3月、ロンドンのセント・ジョンズ・スミス・スクエアでの録音。

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フレットワークのバッハ [2006年2月]

フレットワーク
バッハ;"Alio modo"(HMF)
バッハの鍵盤作品から18曲をヴィオール合奏に編曲したCDで、有名な作品では、パッサカリア ハ短調 BWV582「音楽の捧げ物」6声のリチェルカーレなど。
たしかこちらのWebpageを拝読して気になっていたCDが、浮月斎さんのblogでも取り上げられた。
より甘美な歌謠性と暖かな内聲に支へられた數々のコラールも樂しく、また、熱つぽい鼓動でぐいぐい聽き手を手繰り寄せる BWV582 は聽きもの。
微細なフレージングと息の合つた音の重疉案配により、明快で深々としたペダル聲部をドライブしてゐる。
これはやはり聴かざるべからずと意を決して、HMVにオーダーしたもの。

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マンゼのモーツァルト [2006年2月]

アンドルー・マンゼ(Vn & 指揮) イングリッシュ・コンサート
モーツァルト;Vn協第3〜5番(HMF)
マンゼの新譜もあれこれ出ているのだが、なかなかフォローし切れていない(汗)。
今回HMVへのオーダーに当たり、おやぢの部屋を拝読して気に懸かっていたモーツァルトの協奏曲(「これはすごいですよ。オリジナル楽器のバルトーク・ピチカート」)だけは押さえておこうと、カートに放り込んだもの。
2005年3月、ロンドンのリンドハースト・ホールでの録音。

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セルシルのビートルズ集 [2006年2月]

ヨーラン・セルシル(イェラン・セルシェル)(G)
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」(DGG)
昨年、バロック・アルバムやルネサンス・アルバムを聴いて夢中になった、セルシルの音盤をあれこれ集めているが、中でも気になっていたビートルズ集の第1巻をHMVにオーダー。
ブックレットのセルシルの文章によれば、なんでも日本公演のアンコールで何曲かを取り上げたところ、DGGの日本人担当者から「ビートルズだけのCDが作れないか」という提案があったのだという。
私はビートルズの音楽とともに育った。」と書くセルシルは、「イエスタデイ」のイントロでポール・マッカートニーのコピーをしようと必死で努力したり、学校に「デイ・トリッパー」を持って行って友達に「これまでに作曲された音楽の中で最も偉大なものだ」と布教を試みたりしたのだそうな。
5年間をかけて、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」「ヘイ・ジュード」「ミッシェル」「イエスタデイ」「フール・オン・ザ・ヒル」「イエロー・サブマリン」「デイ・トリッパー」など17曲を仕上げ、1994年11月に録音したCD。

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2006年02月17日(金)

クーシスト兄の新譜 [2006年2月]

イーロ・ランタラ(P) ヤーッコ・クーシスト(Vn & 指揮) タピオラ・シンフォニエッタ
ランタラ;P協 ほか(Ondine)
ヤーッコ・クーシストは、1999年にラハティ響のコンサートマスターとして来日して以来ファンになっている(大きな声では言いづらいが、ペッカ・クーシストよりも好きだ)。
彼の新譜が出たと、いつもお世話になっているat the end of the dayさんで御教示いただき、即座にOndineの公式Websiteにオーダーした。
いつもながら早いこと疾いこと風の如し、僅か6日で到着。
ランタラはフィンランドのジャズ・ピアニスト、トリオ・トユケアットのメンバーである(公式Webpageあり)。
収録曲は標記作品のほか、「アストラーレ」(P独奏)、「タンゴネイター」(Vn・P)、「ファイナル・ファンタジー」(Pと管弦楽)。
P協と「ファイナル・ファンタジー」のオーケストレーションはヤーッコが行った。彼はランタラの義弟でもあるとのこと。
2005年5月、エスポーのタピオラ・ホールでの録音。

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2006年02月16日(木)

グッドオール一世一代のブルックナー [2006年2月]

レジナルド・グッドオール(指揮) BBC響
ブルックナー;交響曲第9番(BBC LEGENDS)
山崎浩太郎氏の名著『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』で一躍知られるようになったイギリスのワーグナー指揮者、グッドオールの数少ない交響曲レパートリーがCD化されたので購入。
ひたすらワーグナーの楽劇を指揮した人なので、上記山崎著巻末の公演記録によれば、1968年1月に「復活」して以降、ステージにかけた交響曲はブルックナーの第7・8・9番の3曲のみ。それも7番と8番は2回・9番は1回だけなのである。
既に7番は1971年11月3日、8番は1969年9月3日の演奏がこのシリーズで出ているが、残っていた9番が今回CD化された。唯一の上演となった1974年5月4日の演奏である。
ジャケットに記された断り書きによれば、プライヴェート・ソースからのCD化で、音質的にはこの時期の録音水準に達していないとのこと。
聴いてみると、なるほどステレオといいつつ音場の拡がりに乏しく、レンジも狭いし、音色も少しガサガサしており、1950〜60年代前半くらいのライヴ録音のような感じがする。
もう少しましなテープは残っていなかったのかと嘆きたくなるが、ともあれ文字どおり「一世一代」の記録ゆえ、心して聴きたい。

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モントゥーのライヴ [2006年2月]

ピエール・モントゥー(指揮) ロンドン響 ほか
ペイペル;交響曲第3番 & エルガー;「エニグマ」変奏曲 ほか(BBC LEGENDS)
BBC LEGENDSのシリーズの新譜は魅力的なものばかりなのだが、全部買うわけにもいかず、泣く泣く、↑のグッドオールと、是非盤のモントゥーのみを購入。
1961〜63年のライヴ音源で、
 ペイペル;交響曲第3番
 ラヴェル;クープランの墓(以上BBC響、1961年10月11日、BBCスタジオ)
 シャブリエ;「ポーランドの祭」(1961年12月14日、キングズウェイ・ホール)
 エルガー;「エニグマ」変奏曲(1962年3月4日、キングズウェイ・ホール)
 ウェーバー;序曲「歓呼」(以上ロンドン響、1963年9月24日、ロイヤル・フェスティバル・ホール)
という内容。
すべてモノラル音源だが、音質的にはきわめて良好。

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2006年02月15日(水)

メディチQのフランク [2006年2月]

ジョン・ビンガム(P) メディチ四重奏団
フランク;P五重奏曲 & フォーレ;弦楽四重奏曲(Nimbus)
某オークションで、見れば買う曲・フランクの五重奏の未架蔵盤を発見、落札したもの。
↓でも買ったばかりだが、この曲の架蔵CDもずいぶん増えた(汗)。
LP期にはリヒテルのモノラル盤とカーゾンのDECCA盤くらいしか国内盤では手に入らず、ようやく輸入盤でフランソワ(P) ベルネードQを見つけて喜んだことが印象深い。
1988年1月、ニンバス社スタジオ(?)での録音。

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2006年02月13日(月)

シューベルト・アンサンブルのフランク [2006年2月]

シューベルト・アンサンブル
フランク;P五重奏曲・Vnソナタ(ASV)
eBayで、見れば買う曲・フランクの五重奏の未架蔵盤を発見、落札したもの。
演奏団体には公式Websiteによれば、本来の構成はP、Vn、Va、Vc、Cbの5名のようで、フランク作品では第2Vnにジャン・ピーター・シュモルクを加えている。
ソナタで独奏しているヴァイオリンのサイモン・ブレンディスは、しばしばイギリス室内管などのゲスト・コンサートマスターを務めている人で、日本でもオーケストラ・アンサンブル金沢に招かれている。
またピアノはアンサンブルの創設者でもあるウィリアム・ハワード
五重奏は2001年10月、ソナタは2003年11月に、サセックス州プルバラで録音された。

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2006年02月12日(日)

ルーディンのバッハ多重録音 [2006年2月]

アレクサンドル・ルーディン(Vc & P)
バッハ;Vcソナタ第1〜3番(MELODYA)
贔屓のチェリスト、ルーディンの未架蔵盤が楽天フリマに出品されていたので落札したもの。
1989年の録音で、ピアノも自分で弾いているというから、多重録音だろう。一般的にはあまり感心しないことなのだが。
ブックレットは最近製作されたものらしく、2004年11月に行われたという彼のインタビューが掲載されており、その中でこのCDの製作事情を語っている。
私はいつも、ニュアンスについて議論せずにすむ音楽家との共演を望んできました。」というのが多重録音を思い立った理由らしい。
まずピアノ・パートを録音し、ヘッドフォンでプレイバックしながらチェロ・パートを録音したようだが、プロデューサーともども、ずいぶん苦労したそうだ。
それでも、もっと苦痛を覚える録音作業も少なくありませんでしたから。
とのこと。
レーベルの公式Webpageも公開されているが、日本への正式な出口は未整備らしい。

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シャフランのラフマニノフ再録音 [2006年2月]

ダニール・シャフラン(Vc) アントン・ギンズブルク(P)
ショパン;Vcソナタ & ラフマニノフ;Vcソナタ(MELODYA)
以前、聴き比べフリエールとの共演盤を高く評価したシャフランのラフマニノフ。
1979年に再録音しており、最高の名演と評価する向きもあるというので捜していた。
楽天フリマに出品されていた当盤を見つけ、これこれと落札したもの。
現品が届いてから勘違いに気づいた。前記の再録音盤でのピアニストはフェリックス・ゴットリープ、こちらはギンズブルク。
当盤の録音年代は「1979年」と表記されており、同時期の別音源であろうか。
ゴットリープとの録音は1983年に国内盤LPが発売されており(1曲だけで1枚!)、それを入手して聴き比べてみれば、はっきりするのだが。
なお、カプリングのショパンは1985年の録音とのことである。

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アベルのブラームス [2006年2月]

ジェニー・アベル(Vn) レナード・ホカンソン(P)
ブラームス;Vnソナタ全集(独DHM、LP)
少しずつ蒐集しているドイツの女性奏者アベルのブラームス。2枚組で、ソナタ3曲にスケルツォ(F.A.E.ソナタ)をフィルアップしている。
時々見かける盤だが、けっこういい値が付いていたりして入手しそびれていたところ、某オークションで安価な出品があり、幸い落札できた。
録音年月は明記されていないがマルPは1971年、バーデンバーデンのブラームス・ハウスでの収録とのこと。

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2006年02月10日(金)

イッセルシュテットのCD覆刻 [2006年2月]

ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn) ほか
「1950年代協奏曲録音集成」(DGG)
先日ふと思いついてDGG ORIGINAL MASTERSのカタログをチェックしてみたら、案の定、シュナイダーハンのセットにハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ベルリン・フィルとの共演によるモーツァルト;Vn協第4番が含まれていた。
さっそく通販サイトをチェックして、安かったタワー・レコードにオーダー。2日で届いた。
現品を見て驚いたのは録音データで、「1960年12月5日」となっている。手元の資料では1969年5月となっているので、ディスコグラフィにもそう記載していた。訂正が必要だ。
また、オーケストラを北ドイツ放送響に換えてVn協第5番も録音しているのだが、このセットは、同じ曲をフェルディナント・ライトナー(指揮) ウィーン響とのモノラル録音(1952年)で収録している。
5枚組の箱物で、
ヴィヴァルディ;Vn協「四季」 (ルドルフ・バウムガルトナー(指揮) ルツェルン祝祭弦楽合奏団、1959年10月)
バッハ;Vn協第1・2番 & 2Vn協 (ルドルフ・バウムガルトナー(指揮) ルツェルン祝祭弦楽合奏団、1956年12月)
ベートーヴェン;Vn協 (パウル・ファン・ケンペン(指揮) ベルリン・フィル、1953年5月)
メンデルスゾーン;Vn協 (フェレンツ・フリッチャイ(指揮) ベルリン放送響、1956年9月)
ブルッフ;Vn協第1番 (フェルディナント・ライトナー(指揮) バンベルク響、1952年4月)
ブラームス;Vn協 (パウル・ファン・ケンペン(指揮) ベルリン・フィル、1953年5月)
マルタン;Vn協 (エルネスト・アンセルメ(指揮) スイス・ロマンド管、1955年5月)
これらの中では、ケンペンの振るベルリン・フィルが奏でているだろう剛直な音楽に期待している。

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2006年02月09日(木)

アフィニス文化財団のCD [2006年2月]

高関健(指揮) オーケストラ ほか
オネゲル;交響曲第2番 ほか(アフィニス文化財団)
帰宅すると、いつも申し込んでいるアフィニス文化財団の「アフィニス・サウンド・レポート No.31」が届いていた。
2005年8月に開かれた「第17回 アフィニス 夏の音楽祭」の特集号で、メインは標記のオネゲル、そのほかシュルホフ;ディヴェルティスマン(Ob、Cl、Fg)、サン・サーンス;七重奏曲(弦5部、Trp、P)など。
オネゲルのオーケストラは講師のダニエル・ゲーデ四方恭子カール・ズスケなどを含む、豪華な顔ぶれ。

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フェドセーエフのショスタコーヴィッチ新譜 [2006年2月]

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1・3番「五月一日」(RELIEF)
昨日からようやく出勤できるようになり、今日の退勤時、久しぶりに音盤屋で買物。
フェドセーエフの新譜が並んでいた。ロシアの現代作品は少し辛抱するとしても、ショスタコーヴィッチは聴き逃せないので購入。
第1番は3回目の録音になるようだが、第3番は初録音の模様。前者は2004年8月、後者は2003年5月、ともにモスクワ音楽院大ホールでのライヴである。
注目すべきはジャケットで、右端に下から上まで、1から15の数字を並べて、1と3が四角で囲われている。
ということは、全集を目指して製作される計画があるのだ。これは楽しみ!

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テツラフのベートーヴェン [2006年2月]

クリスティアン・テツラフ(Vn) デヴィッド・ジンマン(指揮) チューリヒ・トーンハレ管
ベートーヴェン;Vn協・ロマンス第1・2番(ARTE NOVA)
注目する若手の一人、テツラフの新譜が出ていたので購入。
ベートーヴェンは、前にギーレンと共演したCDが出回っていたが、たしか本人が何かのインタビューで「あれは無断で売られているもの」と憤っていたと記憶する。今回が初の正規録音ということになろう。
作曲者がP編曲版用に書いたカデンツァを、演奏者がVn向けにアレンジし直したものを使用(したがってTimpのオブリガートがつく)。
ブックレットの記事によれば、テツラフいわく
一般に演奏されるクライスラーのカデンツァは、あまりにも異質だと考えています。和声の語法の上でも、それらの背後にあるコンセプトとアイデアの上でも。
ベートーヴェンがピアノ用のカデンツァで書いたティンパニ独奏は、軍隊を連想させますが、それが第1楽章全体の中心的な様相なのです。
2005年5月、チューリヒ・トーンハレでの録音。

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パパヴラミのバッハ再録音 [2006年2月]

テディ・パパヴラミ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(aeon)
パパヴラミのバッハが出るというので、以前自主製作で出た2000年10月17日のライヴ録音の再発かと思ったが、店頭で見ると別録音なので、これは買わねばとレジへ持参。
当盤の録音は2004年8〜9月、この曲集を5年と経たないうちに再録音したヴァイオリニストは初めてではなかろうか?
今回はスタジオ録音なので、演奏・録音とも完成度は遥かに高い。
なお、録音場所はスイス・Grimisuatのティボール・ヴァルガ・スタジオというから、たぶんここ高木綾子の録音が行われたこともあるらしい。

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チッコリーニの抒情組曲 [2006年2月]

アルド・チッコリーニ(P)
グリーグ;抒情組曲(CASCAVELLE)
北欧音楽愛好家を中心に高い評価が聞こえてきているチッコリーニのグリーグをようやく購入。
3枚組に第1巻 op.12から第10巻 op.71まで66曲を収録している。
2004年にパリで録音されたもので、ファツィオーリのピアノを使用しているとのこと。

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三谷礼二氏の遺稿集 [求書読書録]

三谷礼二『オペラとシネマの誘惑』(清流出版)
オペラ演出の鬼才と知られた三谷氏(1934〜91年)には、また数々の評論があり、生前から『音楽現代』などで愛読していた。
既に逝去の翌年に『オペラのように』(筑摩書房)という文集が出版された。これは、『音楽現代』連載の「私的演奏家論」、『レコード芸術』連載の「演出家の観たオペラ・レコード」など、オペラや演奏家をめぐる文章ものを中心に編纂されたものである。
今回は、『ディスク・リポート』『CDジャーナル』への連載が中心になっており、クラシック音楽だけでなく、三谷氏が学生時代から情熱を注いだ映画に大きな紙幅が割かれている。
巻頭に蓮實重彦(高校の後輩に当たるという)インタビュー、あるいは三谷氏と鈴木清順・吉村公三郎との対談が掲載されるなど、むしろ映画評論の面が重視されているのかもしれない。
通販サイトbk1で購入。

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菅野氏のシベリウス評伝 [求書読書録]

菅野浩和『シベリウス 生涯と作品』(音楽之友社)
知人からのメールで、ふとこの本のことを思い出した。
学生時代、シベリウスの音楽に関心を持った頃に図書館から借りて読み、そのうち買おうと思っているうちに絶版になってしまったのである。
数年前に出版されたランピラ(稲垣訳)『シベリウスの生涯』(筑摩書房)フットゥネン(菅野訳)『シベリウス − 写真でたどる生涯』(音楽之友社)も絶版になっており、どうもシベリウスに関する書籍は安定して入手できないのが悲しい。
で、日本の古本屋で検索してみたところ、在庫を持つ書店があったので、注文したもの。
1967年の発行、現品は1976年の第2刷だが本文用紙はけっこう変色している(汗)。

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2006年02月08日(水)

ステーンハンマル演奏会のライヴ [2006年2月]

「W.ステーンハンマルの音楽 ライヴ 2005」(ステーンハンマル友の会)
昨年7月3日に開催された、ステーンハンマル友の会によるオール・ステーンハンマル・コンサートの記録が同会から頒布されている(CD-R仕様)。
当日の演奏曲目のほとんどが、次のように収められている。
 スヴァーリエ(独唱版) (向野由美子(M-S) 和田記代(P))
 ルーネベリの「牧歌と警句」による5つの歌曲 (向野由美子(M-S) 和田記代(P))
 ヴァイオリン・ソナタ (青木調(Vn) 和田記代(P))
 歌曲集「歌と印象」より3曲 (向野由美子(M-S) 和田記代(P))
 「晩夏の夜」 (松尾優子(P))
 2つのセンチメンタル・ロマンス (青木調(Vn) 和田記代(P))
ステーンハンマルの代表的な作品が極めて高い水準の演奏で収録されており、ぜひぜひ耳にしていただきたい記録である。
頒布については、同会のWebpageをごらんいただきたい。

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セントルイス響コンサートマスターの小品集 [2006年2月]

デイヴィッド・ヘイレン(Vn) ピーター・ヘンダーソン(P)
「愛の挨拶」(AAM)
アメリカのオーケストラが新しい自主製作盤を出していないかと、Webをうろうろしていて、セントルイス響のWebsiteで見つけたCD。
ヘイレンは1959年オハイオの音楽一家に生まれ(両親ともVn奏者)、6歳から演奏を始め、フルブライト奨学生としてドイツに渡り、ヴォルフガング・マルシュナーに師事した。
ヒューストン響のアシスタント・コンサートマスターを経て、1991年にセントルイス響に採用され、1995年9月にコンサートマスターに就任したとのこと。
標記のエルガー作品をはじめ、同じ作曲者の朝の歌マスネ;タイスの瞑想曲チャイコフスキー;憂鬱なセレナードといった有名小品から、エイミー・ビーチ;ロマンスタイユフェール;パストラールコルンゴルト;「庭園の情景」(劇音楽『空騒ぎ』より)など珍しい作品まで15曲を収録している。
曲目の渋さに惹かれてレーベルにオーダーしてみた(PayPalのシステムを利用)。送料含め約2,300円、到着まで1か月ほどかかった。
2004年6月及び11月、セントルイス響のホーム、パウエル・シンフォニー・ホールでの録音。

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2006年02月07日(火)

モーツァルトのチェロソナタ [2006年2月]

アレクサンドル・クニャーゼフ(Vc) エドゥアルド・オガネシアン(P)
モーツァルト;Vnソナタ集(Vc版)(TOCCATA)
チェリストにとって演奏会用の(つまり比較的有名な)レパートリーの狭さは悩みの種、特にモーツァルトの独奏曲が存在しないのは痛いところなのだそうである。
無いなら編曲してしまえということなのか(笑)、以前カサドHrn協からこしらえたものを聴いたことがある。
これはヴァイオリン・ソナタをクニャーゼフがチェロ用に編んだもの。この人はバッハ;パルティータベートーヴェン;Vnソナタ第5番もチェロで演奏していた。
当盤に収められているのはト長調 K.301ヘ長調 K.376ト長調 K.379の3曲。
カサドの編曲はヴィルトゥオーゾふうの変形が加えられていて抵抗があったが、こちらは聴いていて違和感がない。
モーツァルトのこの曲種では、既にフルート用編曲が通用しているから、チェロの分も普及すればよいと思うのだがどうだろうか。
1997年11月、モスクワのチャイコフスキー音楽院小ホールでの録音。
レーベルのWebsiteから購入したもの(PayPal利用)。約3,000円弱、10日間ほどで到着。

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ひろがりの交響曲 [2006年2月]

フランソワ・ユイブレシュト(指揮) ロンドン響
ニルセン;交響曲第3番(英DECCA、LP)
ニルセン作品のうち、第2楽章でヴォカリーズが響く抒情美が有名な交響曲第3番、「ひろがりの交響曲」。
珍しく単独で(全集録音の一環ではなく)録音されたDECCA盤がeBayに安く出ていたので落札したもの。
ユイブレシュトはベルギー出身の指揮者、1946年生れということと、ルクー;弦楽のためのアダージョの録音があることくらいしか知らない人である(汗)。
ヴォカリーズはフェリシティ・パーマー(Sop)、トーマス・アレン(Ten)と、そこそこ知名度のある歌手が歌っているのだが。
1974年4月、ロンドンのキングズウェイ・ホールでの録音。

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2006年02月06日(月)

フェドセーエフの「春の祭典」 [2006年2月]

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」(Victor)
フェドセーエフの過去の録音、ずっと買い集めているのだが、見落としているものも多い。このストラヴィンスキーもそうで、あるあると思いこんでいた(汗)。
某オークションでの出品に目が止まり、念のためにと確認してみて、架蔵していないことに気がついた。安価で落札できてホッとしたもの。
1981年6月モスクワ放送局大ホール、日本ビクターによるデジタル初期の録音。日本から600kgに及ぶ機材を輸送したというから隔世の感がある。

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2006年02月05日(日)

ペレーニのバッハ届く! [2006年2月]

ミクローシュ・ペレーニ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Hungaroton、DVD)
今日は斉諧生の誕生日なのだが、一昨日からの病臥が続いている。
それを神様が憐れんでくださったのか、待望のDVDがHMVから届いた。
1996年にハンガリー放送が収録したという映像で、実演で見たペレーニ師より若い(というか壮年に近い)姿である。
映像としては多少殺風景で、テレビ局のスタジオに山台や椅子を並べた中央にペレーニ師が座し、もの静かにバッハを奏でている。
椅子にはチェロが立てかけてあったりするので、「無人になったレッスン室」といった設定なのだろうか。
チェロの音はマイクに近く、きわめてデッドな響きなのだが、カメラにはマイクが映らない。
かなり引いたアングルでも、カメラが演奏者の背後に回り込んでも、何も映らないので、もしかしたら音と映像は別録りなのかもしれない。
演奏内容は、近年の実演をまざまざと思い出させる素晴らしいもの。いずれまとまったレビューを掲載したい。

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Mr.Sのブルックナー映像 [2006年2月]

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮) 読売日響
ベートーヴェン;交響曲第1番 & ブルックナー;交響曲第7番(vap、DVD)
上記ペレーニと同様、HMVにオーダーしていた(2枚以上だと割引になったから)、Mr.Sの映像が到着。
彼のブルックナーは聴き逃せない。
2005年4月17日(奇しくも↓のシュナイトの翌日に当たる)、サントリー・ホールでのライヴ収録。12分ほどのインタビューが特典映像として付いている。

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2006年02月03日(金)

シュナイトと神奈川フィルのブラームス [2006年2月]

ハンス・マルティン・シュナイト(指揮) 神奈川フィル
ブラームス;交響曲第1番(MusicScape)
朝から少し身体を重く感じていたのだが、午前中の仕事をしている間にどんどん体調が下り坂、更に悪寒を感じ始めたので、職場の近くの医院で受診したところ「インフルエンザの初期」とのこと。
午後から休ませてもらうことにして、ふらふらの態で帰宅したところ(体温は39度に上っていた)、郵便受けに音盤が配送されていた。
これは、昨年発売された「田園」に続いてシュナイトの交響曲録音が出ると聞き、レーベルの公式Websiteに申し込んでいたもの。
2005年4月16日、神奈川県民ホールでのライヴ録音(上記「田園」の翌月に当たる)。
なお、シュナイトを高く評価しておられるあいざーまんさんのWebpageに、当日の感想などが掲載されているので御参照をお薦めしたい。
新鮮な弦の響きとうってもたたいてもびくともしない安定感にのっとった、内面に質実剛健な趣をたたえたブラームス」とのことである。

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ラウテンバッハーのブランデンブルク [2006年2月]

マルセル・クーロー(指揮) シュトゥットガルト・バロック・アンサンブル
バッハ;ブランデンブルク協(全曲)(米COLUMBIA、LP)
LP期には、VOXあたりでマイナーな曲ばかり録音している便利屋さん、みたいな印象のあったラウテンバッハー。プフィッツナーとか、ハルトマン、ヴァイルなどのVn協は彼女の演奏でしか入手できなかったものだ。
相当な実力派と知ったのは最近のことで、少しずつ集めることにしている。
その腕を買われてか、あちこちに録音があるようで、ブランデンブルク協も複数の指揮者と共演している。
これはその一つで、フランスの現代音楽指揮者としても知られたクーローが、シュトゥットガルトの合奏団を指揮したもの。
ラウテンバッハーのほか、アドルフ・シェアバウム(Trp)、マルティン・ガリング(Cem)ら、2世代ほど前にドイツのバロック演奏を担った面々が名を連ねている。
録音データは記載がなく(マルPも明記されていない)、米COLUMBIAのオリジナル音源か他所から買ってきた音源かも不明。
実は先ほど、数年前に蘭FONTANAの廉価盤LPで買って持っていることに気づいて愕然としているところである(苦笑)。

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2006年02月02日(木)

 [2006年2月]

マーティン・ロスコー(P) ヴァシリー・シナイスキー(指揮) BBCフィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第15番・P協第2番 ほか(BBC music magazine)
このところ注目したい音源が続くBBC music magazineの附録CD、最新2月号は生誕100年のショスタコーヴィッチ。
見れば買う最後の交響曲だから、入手せざるべからず…とeBayで網を張っていたところ、案の定出品されたので落札。送料を含めて950円ほど。
交響曲・P協ともに2005年6月30日〜7月1日にマンチェスターの新放送会館第7スタジオで録音された。
フィルアップに組曲「馬あぶ」より序曲・ロマンス・ギャロップ

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2006年02月01日(水)

ピアティゴルスキー弾くブーランジェ [2006年2月]

(various artists)
日本SP名盤復刻選集 II(ロームミュージックファンデーション)
京都に本社を置く半導体等電子部品メーカーロームが設立した財団法人ロームミュージックファンデーションが発行している日本SP名盤復刻選集の第2集がアリアCDさんから届いた。
曲目等の詳細は公式Webpageに掲載されている。
斉諧生的に最重要なのは、リリー・ブーランジェ;夜想曲。演奏はグレゴール・ピアティゴルスキー(Vc) ヴァレンティン・パヴロフスキー(P)
1936年の来日時に日本ヴィクターが録音したもので、SP盤は知人から恵贈いただいて架蔵しているが、CD化されたとなれば買わざるべからず。
これまで同様、覆刻作業は新忠篤の手になり、非常に生々しい音質に仕上がっている(ただし針音も盛大)。
ジャケット装画に上村松園の美人画を用いているのも、京都人的には嬉しいところ。
 
ブーランジェ作品以外にも貴重な音源が目白押しだが、中でも
東伏見邦英伯爵(P) 近衛秀麿子爵(指揮) 新響によるハイドン;P協 ニ長調(華族どうしの録音。1932年)
信時潔;交声曲「海道東征」の初録音(木下保(指揮) 東京音楽学校管 ほか、1941年)
といったあたりが注目か。
 
解説書も非常に充実しており、特にクリストファ・N・野澤片山杜秀両氏による演奏者・楽曲解説は素晴らしい。

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アリス・アデルのフランク [2006年2月]

アリス・アデル(P) アンサンブル・アデル
フランク;P五重奏曲 ほか(FUGA LIBERA)
見れば買うことにしている標記作品に、愛惜佳曲書にも掲載した前奏曲、フーガと変奏 op.18が組み合わされており、これを買わずしてなんとするというべきCD。
アデルとそのアンサンブルは、中古音盤堂奥座敷でとりあげたフォーレ;P五重奏曲第2番や、偏愛の曲ルクー;P四重奏曲(未完)でも優れた演奏を聴かせてくれており、大いに期待したい。
さらに前奏曲、コラールとフーガをフィルアップ、録音は2002年2月、パリ・IRCAMにて。
これもアリアCDから。

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高嶋ちさ子のディーリアス録音 [2006年2月]

チョコレート・ファッション
「イングリッシュマフィン」(東芝)
昨年末、山尾敦史さんのblogを拝読していて気になったCD。
斉諧生は、こうした半ポップス・アルバムは基本的に好かないのだが、この盤にはディーリアス;ラ・カリンダのアレンジが含まれているという。
詳細は上記リンク先を参照されたいが、ウォルトン;「やさしき唇に触れなん」ホルスト;「木星」も顔を出すという。(^^)
ディーリアスとあっては捨て置けず(苦笑)、現在は廃盤というので某オークションで捜していたところ、出品があったので落札したもの。
ブックレット裏面の細かな活字を追っていると、"CELLO⁄NOBUO FURUKAWA"という記載が。
おそらく現・都響の古川展生氏だろう。当盤は1996年初の発売だから録音はおそらく前年、氏が桐朋在学中のことではなかろうか。
なお、主な参加者の公式Webpageは、高嶋ちさ子フェビアン・レザ・パネ(編曲、P)など。

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