ボックス・ジャケット

「ディアギレフへのオマージュ」


― 最も美しいアルバム ―

 

 1954年、ディアギレフの没後25年を記念して製作されたアルバム。発案したのはドール・ソリアだったという。
ドール・ソリアは当時米EMI社長だったダリオ・ソリアの夫人。のちソリア夫妻はRCAに移り、ステレオ初期にソリア・シリーズと銘打った豪華盤を企画し、ビーチャムの『メサイア』、カラヤンの『カルメン』、ライナーのヴェルディ;『レクイエム』、プレートルのプーランク;『人間の声』等の名盤を発売。

 ボックス・ジャケットの絵は、ロシア・バレエ団の舞台美術を手掛けていたナターリャ・ゴンチャローヴァのオリジナル(タイトルの左肩に彼女の署名が見える)。

 ライナーノートは36ページに及ぶ豪華冊子、指揮者マルケヴィッチのほか、ディアギレフの秘書ボリス・コフノの文章や、ロシア・バレエ団の舞台写真や衣裳デザイン画、関係者のポートレート等を多数掲載した、まことに充実したもの。

ライナー表紙    ライナー、イラスト    ライナー・イラスト

 

 そして演奏は、オーケストラとしての全盛期にあったフィルハーモニア管を、働き盛りのマルケヴィッチが入魂の指揮でリードした、すこぶるつきの名演。

60年代、クレンペラーの名盤を録音した頃のフィルハーモニア管は、オーケストラの機能面では下り坂にあったと思う。
マルケヴィッチも、ステレオ期に実力を十全に発揮できたディスクは、さして多くないと考えている。

 この名アルバムは、最近、すべてCD復刻された。ただし、1セットとバラ3枚に分散しているので、以下に対照表を示す。


「ディアギレフへのオマージュ」 LP・CD対照表

作曲者 曲 名 L P C D 備 考
番 号 マトリクス レーベル 番 号
サティ 「パラード」 ANG.35151 XAX568 TESTAMENT SBT1060  
ウェーバー 「舞踏への勧誘」 XAX568 TESTAMENT SBT1105 ベルリオーズ編、バレエとしては「薔薇の精」というタイトル。
ドビュッシー 「牧神の午後への前奏曲」 XAX569 TESTAMENT SBT1105  
ラヴェル 「ダフニスとクロエ」第2組曲 XAX569 TESTAMENT SBT1105  
チャイコフスキー 「白鳥の湖」組曲 ANG.35152 XAX570 TESTAMENT SBT1107  
ショパン 「レ・シルフィード」よりマズルカ XAX571 TESTAMENT SBT1105 ダグラス編
スカルラッティ 「上機嫌な貴婦人」 XAX571 TESTAMENT SBT1105 トマシーニ編
ファリャ 「三角帽子」より粉屋の踊り XAX571 TESTAMENT SBT1105 CDでは「隣人の踊り」「最後の踊り」も収録。
プロコフィエフ 「鋼鉄の歩み」 ANG.35153 XAX572 EMI France CZS 7 62647 2 ”Stravinsky・Prokofiev”という2枚組のセット物
リャードフ 「キキモラ」 XAX573 TESTAMENT SBT1060  
ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」より3つの踊り XAX573 EMI France CZS 7 62647 2  
アルバム「ディアギレフへのオマージュ」の初出は米エンジェルのANG.35151〜53の3枚組で、セットとしての番号は「ANGEL 3518 C」。イギリスでは33CX1197・98・99のバラ3枚で出たのではなかろうか。「三角帽子」は「ディアギレフ〜」が初出ではなく、以前に組曲で収録したものを流用した模様。【以前、メールで情報もらっている】

 


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