音盤狂日録


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4月30日(金): 今日は休みを貰っており、昨日から5月5日まで、7連休。
 これを機会に、少しはまとまった更新をしたいと考えている。

 通販サイトからCDが届いた。
 今回、初めて使ったCD-Choice。発注から5週間程度かかっている。新譜が混じっていたようだ。

マリアンネ・ベッチャー(Vn)ウルズラ・トレデ・ベッチャー(P)「女性作曲家によるVnとPのための室内楽曲集」(BAYER)
これをオーダーしたのはリリー・ブーランジェ;「春の朝」を収録しているため。
彼女の作品は、全録音蒐集を心願としている。
届いたものを見ると、どうも見覚えがあるので、またダブり買いをしたかと青くなったが、探してみても同じものは出てこない。不思議だ…
ブーランジェ以外に名前を知っているのはファニー・ヘンゼル・メンデルスゾーンくらいで、残り5人は聞いたことのない人ばかり。
ヴァイオリニストはベルリンの人、ミシェル・シュヴァルベやヘンリク・シェリングに学んだという。
しかし5分の曲のために1枚のCDを買う、これも音盤道か。
 
トリオ・アペルト、「フランス女性作曲家による室内楽曲集」(Talent)
これもリリー・ブーランジェの作品が…と思ってオーダーしたのだが、演奏されているのは姉ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品であった。
ちょっとガッカリ。これは通販サイトのデータベースが弱いせいではないか。
その他はルイーズ・ファランクセシル・シャミナード(この2人は知っている)、マルセル・ド・マンツィアリー(1899〜1989)の作品を収める。
トリオ・アペルトはFl(ダグマール・ベッカー)、Vc(マルティン・オステルターク)、P(ヴェルナー・ゲヌイト)の編成。
 
ニーナ・フライヤー(Vc)チフン・リー(P)ほか、ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品ほか(KOCH)
これも上記ディスクと同様、リリーのディスクと思ってオーダーしたもの。(T_T)
この曲は1915年の作品、ナディア28歳の時のものということになるが、これがほとんど最後の作品であるという。
なぜなら、彼女は、この後、夭折の妹リリーの作品を世に出すために作曲の筆を折り、指揮と教育に打ち込んだから。
この他には、シュラミット・ラン(1949〜)の3つの幻想的な楽章弦楽四重奏曲第1番を収める。
 
マルギット・メルクヴェ(Sop)ペール・アルネ・フランツェン(P)ステンハンマル;歌曲集ほか(Pro Musica)
ステンハンマルも、リリー・ブーランジェ同様、全録音蒐集を心願とする作曲家。
これも喜んでオーダーしたのだが、実は、ノルディックサウンド広島から新譜の案内をいただいて注文したのと同じディスク。(T_T)
通販サイトのデータベースではSIMAXレーベルと表示されていたので、気がつかなかったらしい。
ステンハンマルの作品は、「森の中で」「逢い引きから帰ってきた女の子」「夏至祭前夜にリボンを結ぶ女の子」「月の光」「窓辺にブロンド嬢とブルネット嬢」6曲を収録。
残りは、トゥーレ・ラングストレムペーター・ハイセの作品。

 長い間、懸案だったリンク集「電網四方八通路」を、大幅に拡充。
 これまで、「オーケストラ」、「レコード会社」、「音盤批評のWebpage(中古音盤堂奥座敷)」だけだったが、個人ページを中心に、大量にリンクを追加した。

追加
「音盤批評のWebpage」に「いつもお伺いしているWebpage」を追加。
新設
「北欧音楽関連のWebpage」
「演奏家関連のWebpage」
「作曲家関連のWebpage」
「BBSサイト」
 また、オーケストラも、いくつか新発見の団体を追加。
 個人ページについては、今回、手が回らずに掲載できなかったものも多いので、いずれ、追加を計画している。

4月26日(月): 東京出張、残念ながら日帰りである。夜行バスを利用してでも聴きたいコンサートもなく、用務の前後の時間を利用してCD屋を覗く。

  結果としては、あまり収穫は多くなかった。

テルイェ・ミッケルセン(指揮)ラトヴィア国立響、スヴェンセン;交響曲第1・2番(LA VERGNE)
19世紀ノルウェーの作曲家スヴェンセンの交響曲の未架蔵盤を発見。
指揮者・オーケストラとも未知ながら、北欧音楽ファンとしてはチェックしておきたいと購入。
ミッケルセンは1957年ノルウェー生まれ、シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに学び、マリス・ヤンソンスの弟子とか。
 
アンソニー・コリンズ(指揮)ロイヤル・フィル、シベリウス;組曲「カレリア」・交響詩「フィンランディア」ほか(BEULAH)
コリンズのシベリウスを見落としていたのは不覚だった。
同じレーベルから出ている、ロンドン響を指揮した交響曲全集は早くから揃えていたし、LPでも架蔵していたのだが。
上記2曲の他、「トゥオネラの白鳥」・「エン・サガ」・ロマンスを収録。
交響曲はDECCA原盤だが、こちらはEMI原盤。1957年の録音である。
 
ペーター・ツァバ(指揮)ヴィルトゥオージ・ディ・クフモ、バルトーク;ディヴェルティメント&ロージャ;弦楽合奏のための協奏曲ほか(ONDINE)
バルトークは、見つけたら買うようにしている好きな曲なので購入。
ツァバはハンガリー人のヴァイオリニスト・指揮者で、Hungarotonからヴァイオリンの録音も出たりしている。
フランス・リヨンでキャリアを積んだとは知らなかったが、最近は北欧で活動している。
『ベン・ハー』等の映画音楽で有名なロージャもハンガリー人、この作品は1943年、渡米後のもので、翌年ロサンジェルス・フィルで初演したとか。
バルトーク;ルーマニア民俗舞曲をフィルアップ。ハンガリーづくしの1枚だ。
 
デヴィッド・ディ・フィオーレ(Org)スチュワート・カーショー(指揮)オーバーン響ほか、プーランク;Org協ほか(Ambassador)
スチュワート・カーショーとは、なんと懐かしい!
このイギリス人指揮者は、1978〜80年に京都市響の首席指揮者だったのだ(ライナーノートの略歴にもちゃんと書いてある)。
当時斉諧生は大学生@東京、この人のことでドイツ語の教官と喧嘩したことがある。(ちょっと大袈裟か(^^;)
教科書に、日本人と西ドイツ(当時)人の会話があって、曰く、
ド「ドイツには多くの町にオーケストラがあります。」
日「すべてが東京にある日本とは、全く違いますね。」云々。
ここからは教室での会話。
教官「ほんとにそのとおりだねえ。」
斉諧生「先生、京都にはオーケストラがあります。」
教「…でも、指揮者は東京から来るだろ?」
斉「いえ、イギリスから呼んでいます。」
教「ウゥ…、飛行機で東京に来てから京都に行くんだろ!」
 
それはともかく、京都市響を離れてからアメリカに渡り、シアトルやその近辺で活動しているらしい。オーバーン響もシアトル近くの町で最近結成されたオーケストラで、そこの音楽監督をしているとか。
 
収録曲は、プーランクの他、
フランク;天使の糧(Ten、Org、Hrp、Vc)
ヴィエルヌ;勝利行進曲(Org、3Trp、3Trb、Timp)
グノー;贖い(Ten、SQ、Org)
ギルマン;交響曲(Org、Orchestra)
 
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)マルギット・アンナ・ジュス(Hp)クラウス・シュトール(Cb)、バッハ;Obソナタほか(CAMPANELLA)
シェレンベルガーが個人レーベルから出したCDのうち、未架蔵だったのが、このバッハ。
ここで演奏しているのは、いずれもフルート曲で、大バッハ;BWV1020・1031・1033は三重奏、CPEバッハ;Wq132は無伴奏。
また、有名なCPEバッハ;ハープ・ソナタWq139も収録。
今月末には国内盤仕様で出るのだが、それよりも安い輸入盤を発見したので購入。
 
ベルナール・ツィンク(Vn)デヴィド・ゼーリク(P)シマノフスキ;Vn作品集(Ligia)
シマノフスキの小品(「アレトゥーザの泉」とか)を収録したCDは多いが、こういう1枚全部を彼のVn作品で埋めたCDを見ると、どうしても買ってしまう。
Vnソナタ、「神話」、夜想曲とタランテラ、ロマンス、子守歌を収録。
ヴァイオリニストは、パリ音楽院でジェラール・プーレに、のちジュリアード音楽院で学んだ人。生年は不詳だが、ジャケット写真では、まだ若い感じである(録音は1997年)。
 
ガスパール・カサド(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(VOX)
カサドの名前は、カザルスの弟子の1人として、また、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタを管弦楽伴奏に編曲した人として、また長谷川陽子さん愛奏の無伴奏Vc組曲の作曲者として、承知していた。
最近、カサドのページができたこともあり、気になっていたところ、バッハのCDを見かけた。
VOXからは、このほか上記シューベルト編曲等も出ているのだが、最近、店頭であまり見なくなっているので、好機逃すまじと購入。
1957年の録音。

4月25日(日): 

 今日のメインは、中古音盤堂奥座敷合評会、次回の課題盤からフォーレ;P四重奏曲第1番の比較試聴。

ジャン・ユボー(P)レイモン・ガロワ・モンブラン(Vn)コレット・ルキアン(Va)アンドレ・ナヴァラ(Vc)(ERATO、r.1969)
ジャン・フィリップ・コラール(P)オーギュスタン・デュメイ(Vn)ブルーノ・パスキエ(Va)フレデリク・ロデオン(Vc)(EMI、r.1977)
アンサンブル・アリス・アデル(Accord、r.1996)
詳細は、いずれ合評会のログとしてアップされるので、それまで御勘弁を。
 
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響、ベルワルド;交響曲第3・4番(MUSICA SVECIAE)
第3番は1990年3月、ストックホルム・ベルワルド・ホールでの録音、第4番は1987年8月、エジンバラ・アッシャー・ホールでのライヴ録音。
長らく買ったままになっていたが、ようやく手を着けることができた。
ベルワルドの交響曲の演奏は難しいと思う。造型的にはかなり「緩い」曲だけに、情に流されてしまうと、水で薄めたメンデルスゾーンになりかねないし、締め上げると抒情が飛んでしまう。
その点、サロネンの演奏は良い。
特に第3番が素晴らしい。あるいは同曲CD中のベストではないか。
テンポ・リズムは引き締まっているが、弦・管とも音色には詩情が溢れ、北欧の抒情があちこちに花咲いているのだ。
第1楽章49小節のフルートのトリルや103小節のオーボエの一節に、堪えられないものがある。
アダージョでの清澄な弦合奏も美しさの極み。
スケルツォのリズムも軽やか、fpも決まりまくって、誠にメンデルスゾーン的な、妖精的といっていい音楽。
もっとも同じリズム・パターンを執拗に反復するあたりはブルックナーのスケルツォを思い出させる。
フィナーレ冒頭の力感的なフレーズの格好いいこと! キリリとした若武者振りが楽章全体を貫いている。
ベルワルド・ホールの響きも美しく、耳の悦楽の30分間であった。
ライヴの第4番は、演奏上の傷もあり、ホールの響きも聴き劣りがする。
もちろん第2楽章の弦合奏など、美しいものだ。
北欧音楽ファン必聴の名演といえよう。サロネンにはシベリウスやステンハンマルの交響曲など、もっともっと北欧音楽を録音してほしいものだ。
 
ヨルマ・パヌラ(指揮)ヘルシンキ・フィル、シベリウス;交響詩「フィンランディア」(芬FINLANDIA、LP)
冒頭は速めのテンポであまり粘らず、金管の響きを効かしながら、力感十分の音楽である。
ただ、当時のヘルシンキ・フィルは実力未だしの感がある。
 
フレデリク・プラッシー(Vn)ジャック・フランシス・マンゾーネ(指揮)プラハ弦楽アンサンブル、ハイドン;Vn協集(BNL)
プラッシーの美音に惹かれる。
清々しく、仄かに甘い
メカニカルな面での難点がないわけではない人なのだが、弱点が目立たずに、音の美しさ、音楽のフレッシュさが生きている。
これは聴いていて楽しい1枚だ。
付けも独奏にピッタリ、実に新鮮な音楽である。
 
加藤知子(Vn)江口玲(P)エルガー;Vn作品集(DENON)
これもしばらく積んでおいたディスクだが、サロ様城で知り合った方から強く薦められたこともあって聴いてみた。
加藤さんのヴァイオリンを聴くのは久しぶりだが、感服した。
音の出し方、音程の取り方、右手・左手の使い方など、典型的なジュリアード・タイプで、実を言うとあまり好みではないのだが、数多いる同系のヴァイオリニスト中、まさに抜群の人である。
音に厚み・深みがあり、スケールの大きな音楽には崩しや媚態がなく、感情表現が曲にぴったりで、実に説得力が強い。
ダブル・ストップの和音も美しく、リズムやボウイングの切れがよい。
Vnソナタのアンダンテの盛り上がりは感動的だし、「夜の歌」などでの息の長い歌、各種小品での味の濃い表情など、誠に素晴らしい。
もっと大きな曲でも聴いてみたい人だ。
 
ヤコブ・モスコヴィッツ(G)ステンハンマル;3つの幻想曲・3つのP小曲集ほか(瑞Caprice、LP)
ちょっと暖色系の音楽で、斉諧生的にはステンハンマルのイメージではない。
もっともステンハンマルにはドイツ音楽の影響も強いので、これはこれであり得るアプローチかもしれないが…。
3つの幻想曲の第3曲の主題など、憂愁味を帯びた素晴らしいものなので、ぜひ聴いていただきたいと思う。NAXOS盤が入手しやすいだろう。

 トップページの画像を鯉のスケッチに取り替える。
 上記のモスコヴィッツ盤のデータをステンハンマル「作品表とディスコグラフィ」に追加。


4月24日(土): 修理に出していたCDプレーヤーが、ようやく戻ってきた。先月の30日に送ったので、ほとんど1月ぶりということになる。

 「世界最高齢の現役指揮者」、95歳のイリヤ・ムーシン京都市響を指揮する演奏会を聴きに行く(京都コンサートホール大ホール)。
 今日の曲目は、

ベートーヴェン;交響曲第1番
チャイコフスキー;ロココ変奏曲(Vc ドミトリー・フェイギン)
リムスキー・コルサコフ;スペイン奇想曲
というもの。
正味1時間くらいの曲目だが、休憩時間を長くとって、終演は9時頃になっていた。(^^;
チラシにはデカデカと「巨匠」の文字が踊っているが、果たして彼の音楽はどのようなものか? 興味津々。
舞台姿はなかなかしっかりしたもの、75歳といってもとおるかもしれない。
袖から登場した足取りは静かでゆっくりしていたが、おぼつかないような様子は全くなく、指揮台から降りるとき以外には手を取って貰うことはなかった。
さすがに椅子は使っていたが、指揮振りはシャンとしたもの。
スペイン奇想曲あたりでは、けっこう両手を振り回していた。
譜面台は置いてあったが、全曲暗譜で指揮。
もちろん、音楽はしっかり統率しており、進行をオーケストラに任せるような場面はなかった。
録音でも時々「?」が感じられる、ベートーヴェンのメヌエットのトリオに入 るところも、テンポはすっぱり決めていた。
フィナーレのアレグロの入りでは足をトンと踏みならしていたくらい。
リズム・テンポともしっかりしたもので、年寄りくさい弛みは全くない。
ベートーヴェンの1楽章の序奏こそ遅めだったが、リズムがいいので、もたれる感じは一切なく、むしろ典雅さを感じさせた。
主部のテンポはキビキビしたアレグロ、最近主流のテンポといっていい程度。
第1・2楽章の提示部の反復も実行。
バランスもちゃんとしていて、弦楽合奏の立体感などは立派なものだった。
しかしながら、「巨匠」風の音楽かというと、少し疑問。
クナッパーツブッシュないしクレンペラー的な巨大さとか、シューリヒト的な鋭さを発揮する場面はない。
暖かくて、端正な音楽という印象であった。
R・コルサコフも迫力は必要十分程度、終結のアッチェランドは老人のものではないにせよ、猛然たる…というものではない。
緩徐部分に滲む哀感には感じ入るものがあったが…。
立派な職人芸の持ち主であり、年齢を思えば畏敬すべきだろうが、「巨匠」の音楽とは言えないだろう、と思う。
聴衆の反応は極めて暖かく、各曲が終わるごとに、熱烈な拍手やブラヴォーがかかっていた。
アンコールは、無し。
なお、会場にはNHKの中継車が入っていた。いずれ放送されると思われる。

 通販業者からLPが届く。また、コンサートの前にCD屋へ。

ヨルマ・パヌラ(指揮)ヘルシンキ・フィル、シベリウス;交響詩「レミンカイネンとサーリの乙女」・「フィンランディア」ほか(芬FINLANDIA、LP)
エサ・ペッカ・サロネンはじめ、最近躍進中のフィンランドの指揮者達の師匠が、このパヌラ。
彼のシベリウス録音、ぜひ聴いてみたいと購入。
1968年録音、DECCA原盤の音源を、1980年頃にFINLANDIAレーベルがプレスしたもの。
エリク・ベルイマンという人(1911〜)の「オーバード」という作品をカプリング。
 
フレデリク・プラッシー(Vn)ジャック・フランシス・マンゾーネ(指揮)プラハ弦楽アンサンブル、ハイドン;Vn協集(BNL)
中古音盤堂奥座敷同人、佐々木@CD三昧日記さんが今年1月3日の記事で、いつもの美しい文章で高く評価しておられた盤。
ずっと気になっていたが、BNLレーベルは最近、あまり店頭で見かけなかった。
演奏会前に立ち寄った店の中古盤コーナーで偶々発見、購入したもの。
なおプラッシーは1972年生まれ、録音当時20歳。ジャケット写真も、まだ紅顔の美少年風である。
 
ライナー・クスマウル(Vn)ソーニャ・プリュンバウアー(G)ジュリアーニ;VnとGのための作品集(MDG)
1993〜1998年の間、ベルリン・フィルのコンサートマスターを勤めていたライナー・クスマウル。
この人のヴァイオリンは、なかなか佳い。前に、OLYMPIAレーベルから出たハイドン;Vn協集を聴いて感心したことから、独奏盤は見つければ買うようにしている。
バロック系のアンサンブルでの活動が長かった人で、ジュリアーニ(1781〜1829)の演奏も期待できよう。
ギタリストは未知の人だが、ハンブルク生まれ、フライブルクで教職にあるほか、演奏活動を盛んに行っているという。
 
ヤコブ・モスコヴィッツ(G)ステンハンマル;3つの幻想曲・3つのP小曲集ほか(瑞Caprice、LP)
ステンハンマルの「作品表とディスコグラフィ」に記載していたが未架蔵だった音盤が、通販業者のカタログに載っていたので、直ちにオーダー、確保したもの。
グリーグ;Pソナタニールセン;シャコンヌをカプリング。
モスコヴィッツは1949年ポーランド生まれ、オーストリアやイタリアで学んだ後、20歳の時からストックホルムに住んで演奏活動を行っているとのこと。
 
ベンジャミン・ブリテン(指揮)ロンドン響ほか、ブリテン;戦争レクイエム(DECCA)
名盤中の名盤である。
今回は96kHz、24ビットでリマスタリングしたとの触れ込み、しかもリハーサル風景のボーナストラック付き。
もちろんLPでは持っていた。とっくにCD化もされていたのだが、買いそびれていてラッキーだったといえよう。(^^;
この曲のCDはケーゲル盤などもあるので、この作曲者自演盤も神棚に祀らずにちゃんと聴き比べなどしたいものである。
なお、リハーサル風景は約50分に及び、指揮台脇のマイクやミキサー・ルームのマイクでブリテンや歌手達の音声が明確に収録されている(モノラル)。
何を言っているのか、なかなか全部はわからないが、
ブリテン「今日はこのへんで切り上げて、残りは明日!」
オーケストラ「わ〜い!」
なんてやっているのだろうと思う。

4月22日(木): 

 

寺神戸亮(Vn)上村かおり(Gamb)シーベ・ヘンストラ(Cem)セルジュ・サイタ(Fl)マレ;「音階その他の器楽曲集」(DENON)
寺神戸さんのCDは(も)、出れば買うことにしている。
今回は、フランス物。マレが1723年に出版した曲集である。
初顔のサイタはクリスティ、ミンコフスキ、クイケン、サヴァールのアンサンブルで活動してきたトラヴェルソ奏者とのこと。

4月21日(水): 10月にオスモ・ヴァンスカ(指揮)ラハティ響が来日し、東京・すみだトリフォニーホールでシベリウス交響曲全曲演奏会を行う。
 関西方面では、大阪で第2・5番の公演が1回あるだけなので、これは東京遠征するつもり。
 4回セット券は、一般には24日の発売だが、日本シベリウス協会会員を対象とした優先・割引予約が今日から。
 10時に電話をしてみたが全く繋がらず、あらためて11時にかけ直して、1階前方中央の席が確保できた。


4月20日(火): 

 

安永徹(Vn)市野あゆみ(P)、ベートーヴェン;Vnソナタ第9・10番(CANYON)
ベルリン・フィルのコンサートマスターの1人、安永のベートーヴェン全集も、いよいよ名作「クロイツェル」が出た。直ちに購入。
最近、店頭で見ないが、LIVENOTESから出たリサイタル盤が非常に良く、それ以来、この人のCDは必ず買うことにしている。
当録音でもプロデューサー兼エンジニアの江崎友淑氏のWebpageによれば、残る第1・2・3番のリリースもそう遠くないようだ。

4月18日(日): 

 今日のメインは、中古音盤堂奥座敷合評会、次回の課題盤フォーレ;P五重奏曲第2番の比較試聴。

ジェルメーヌ・ティッサン・ヴァランタン(P)ORTF四重奏団(Charlin、r.1963)
ヴラド・ペルルミュテール(P)パレナン四重奏団(INA、r.1966)
ジャン・ユボー(P)ヴィア・ノヴァ四重奏団(ERATO、r.1970)
ジャン・フィリップ・コラール(P)パレナン四重奏団(EMI、r.1975)
ドムスほか(Hyperion、r.1994)
ピーター・オルト(P)アウリン四重奏団(cpo、r.1995)
アンサンブル・アデル(Accord、r.1996)
30分強の曲だが、7種を連続して聴くと、さすがに少々参った。(^^;;
詳細は、いずれ合評会のログとしてアップされるので、それまで御勘弁を。
一言だけ述べておくと、こうしたフォーレ晩年の室内楽曲というと、すぐ「枯淡」という形容詞が付くが、これは非常に疑問である。
たしかに、メロディがくっきりした主題や、描き分けのはっきりした楽想に彩られているわけではない。
しかし、「枯淡」という言葉から連想されるような、起伏のない、味気ない音楽とは、まったく異なるのだ。
非常に陶酔的な、官能的といっていい音楽であり、演奏によっては、「萌え立つ春」をイメージさせるくらいである。
とりあえず、ERATO盤をお薦めしておきたい。最近、紙ジャケット入りの廉価盤として再発されており(国内盤)、入手も容易だ。
 
一昨日買ってきたものなどを、少しづつ聴く。
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)バンベルク響、モーツァルト;交響曲第31・35番(独ACANTA、LP)
誠に堂々たるモーツァルト。古楽器派全盛の今では、モダン楽器のオーケストラでもこういう演奏を聴くことはできないだろう。
よく言えばキビキビ、悪く言えばセカセカしたものが多い最近のモーツァルト演奏だが、実にゆったりと、たおやかな弦合奏である。
金管は抑えられ、木管を補強しているかのようなバランスだが、ティンパニは少し目立たせられて、祝祭的な雰囲気を醸し出す。
「ハフナー」の第3楽章、トリオの前半を反復するときにエコーと解釈してピアノに落とすのが美しく、またトリオ後半の練り絹のような弦の旋律には陶然となる。
 
カルロス・クライバー(指揮)ウィーン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第5番(DGG)
第1楽章34小節でホルンの和音がクレッシェンドするのを聴くと、本当に懐かしい。カルロスのベートーヴェン、久しぶりだ。
この楽章はかなり速めのテンポ。古楽器派の録音で、こうしたテンポも聴き慣れたが、当時は度肝を抜かれたものだ。
金管やティンパニのアクセントを効かせたカロリーの高い演奏は、今なお色褪せぬ素晴らしさだ。
長めに取られる57・58小節の休符にも、猛烈なエネルギーの充溢を感じる。198・99小節のテヌートも鮮烈の極み。
第2楽章205小節、ピウ・モッソのリズムには、カルロスの個性が刻印されていると言うべきだろう。
第3楽章以降は、ウィンナ・ホルンのコクのある音色が、威力を発揮している。19小節からを強奏させるのは常道だが、27〜37小節では強烈な印象を与える。
またトリオが速い! オーケストラにも緊張感が漲る感じだ。
第4楽章も単純な爆演ではない。72小節のフォルテは柔らかく出て、80小節で全開に持っていく懐の深さを見せる。
提示部を反復するのも嬉しい。1番カッコの踏み込みはもう少しテヌートしてもらえると斉諧生的には更に嬉しかったのだが。(^^)
112〜121小節の金管群の咆哮も素晴らしいし、232小節のホルンも壮絶。
ウィーン・フィルの「運命」というと、昨年話題になったセルとの凄絶なライヴ録音が記憶に新しい。
それには一歩を譲るものの、スタジオでこれだけ燃焼度の高い演奏が出来るのも、カルロスだけであろう(今では、もう「あった」と言うべきか。残念ながら)。
 
ウェイン・マーシャル(Org)マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル、サンサーンス;交響曲第3番(EMI)
気持ちのいい音楽である。特に、金管のスカッとした響きが快感。
オルガンはアフレコ(フランス・ルーアンの教会のもの)だが、壮麗な響きである。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org)コンスタンティン・オーベリアン(指揮)モスクワ室内管、プーランク;Org協(FINLANDIA)
「オルガンの魔術師」というキャッチ・コピーとは裏腹に、実に真っ当な音楽。虚仮威しや、えぐさ・あざとさは感じられない。
フィンランド・ラハティの聖十字架教会のオルガンの響きも美しく、プーランクの書いた音楽が実によくわかる。
弦楽やティンパニもよくやっている。ただ、やや小人数なのだろう、オルガンに対して非力な響きに感じられる部分もある。
この曲の最初の1枚としてお薦めできるものだと思う。カプリングがメシアンやデュプレの独奏曲で、少々取っつきにくいのは難だが。
 
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)ブリギット・エンゲラー(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第8番(HMF)
フランスの名手、シャルリエ。パリ音楽院で教職にあり、CDはあまり多くないが、いずれも名演揃い。
やはり美音。暖かい中音、高音は銀線のように輝く。音程もいいし、ダブル・ストップでの和音も美しい。
すこし軽めながら、過不足のないベートーヴェン。ピアノもヴァイオリンとバランスのとれた、いい付けをしている。

4月17日(土): 

 通販業者からLPが届いた。

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)バンベルク響、モーツァルト;交響曲第31・35番(独ACANTA、LP)
モーツァルトを得意にしたイッセルシュテットが最晩年に録音したLP。
オリジナルは独BASFなのだが、すぐにACANTAに移行した。このへんはケンペ&ミュンヘン・フィルのブラームスなどと同じ。
学生時代、新宿のコタニだったかムトウだったかで見かけながら買いそびれ、ずっと悔しい思いをしてきた。
数年前に、ようやく米廉価盤で音源としては手に入れたが、独盤を求め続けていたもの。
しかし…これでBASF盤が見つかったら、また買ってしまうに違いにない…。

 

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)ルクセンブルク放送響ほか、リスト;交響詩「前奏曲」・「死の舞踏」ほか(FORLANE)
いつもの国立リル管ではないが、何の何の、立派なオーケストラである。
やはりカサドシュス・サウンドは健在。ふっくらした豊かな響き、ハーモニーである。
この曲には「人生は死の前奏曲である」とかいう標題が付いているそうだが、この演奏はあくまで美しい。
ふと、マーラーのむせ返るような緩徐楽章を思い浮かべたりしていた。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)ボストン響、スメタナ;「わが祖国」(DGG)
「モルダウ」冒頭の木管の絡みからして抜群に緻密で美しいし、そのあとの弦や金管の音もノーブルで素晴らしい。
モルダウ主題の終わりには美しいルバートとアクセントが付されて、耳を奪う。とりわけ、「聖ヨハネの急流」の直前のところは印象的。
全曲を通じて、クーベリックの音楽は緻密でしかも熱く、ボストン響も見事な出来。
長くこの曲集のベスト盤に挙げられていたのがよくわかる。あるいは、いまもって凌駕されていないかもしれない。

4月16日(金): 今日は東京出張。金曜日なので、自費で一泊して…ということも出来るのだが、急に決まったため、演奏会のチケットが取れず、日帰り。
 フルネ(指揮)東京都響、ドビュッシー&フォーレという、おあつらえ向きのプログラムがあったのだが、とっくに全席売り切れていたのだ。
 夜行バスで帰るのはしんどいし、「のぞみ」は高くつく。京都まで行く最終の「ひかり」は午後8時49分東京駅発、おおよそ8時までが利用可能な時間。

 渋谷のHMVとタワーレコードで時間を使い果たしてしまった。

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管ほか、ベートーヴェン;交響曲第1・5・8番ほか(DUTTON)
 
チャールズ・マッケラス(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィル、ベートーヴェン;交響曲第1・3番(EMI)
 
チャールズ・マッケラス(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィル、ベートーヴェン;交響曲第2・8番(EMI)
 
ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)ルクセンブルク放送響ほか、リスト;交響詩「前奏曲」・「死の舞踏」ほか(FORLANE)
 
ミヒャエル・ギーレン(指揮)シュトゥットガルト放送響、ラヴェル;「優雅で感傷的なワルツ」ほか(MEDIAPHON)
 
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)フィルハーモニア管ほか、アルベニス;「イベリア」&ファリャ;「三角帽子」(CHANDOS)
 
ローラン・メリア(指揮)ダルガート弦楽合奏団、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110aほか(NAXOS)
 
クライスラー弦楽合奏団、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110aほか(DOLPHIN)
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)アンドラーシュ・コーロディ(指揮)ハンガリー国立管ほか、ベートーヴェン;三重協ほか(HUNGAROTON)
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org)コンスタンティン・オバーリン(指揮)モスクワ室内管、プーランク;Org協ほか(FINLANDIA)
 
ペーター・ティボリス(指揮)ボフスラフ・マルティヌー・フィルほか、マルティヌー;P、Timpと弦楽のための二重協奏曲ほか(ERI)
 
エルンスト・テイス(指揮)オーストリア室内響ほか、マルティヌー;コンチェルト・ダ・カメラほか(Musicaphon)
 
ミハイル・ペチュコフ(P)ユーリ・シモノフ(指揮)ボリショイ劇場室内管ほか、ショスタコーヴィッチ;P協第1番ほか(Great Hall)
 
カッレ・ランダウ(P)マンデルリング四重奏団、フランク;P五重奏曲&ブラームス;P五重奏曲(ANTES)
 
ペーター・オルト(P)アウリン四重奏団、フォーレ;P五重奏曲第1・2番(cpo)
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)イムレ・ローマン(P)ほか、リスト;VcとPのための作品集ほか(HUNGAROTON)
 
ラファエル・ソマー(Vc)ダニエル・アドニ(P)ラフマニノフ;Vcソナタ&ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ(LYRINX)
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)アンテア・ギフォード(G)タルティーニ;Vnソナタ「見捨てられたディド」ほか(National Trust)
 
ジャック・イスラエリヴィッチ(Vn)ステファニー・セバスチャン(P)リリー・ブーランジェ;「夜想曲」・「行列」ほか(FLEUR DE SON)
 
ブルーノ・カニーノ(P)バッハ;ゴルトベルク変奏曲(ERMITAGE)

4月14日(水): 「クラシック招き猫」から飛んだ神原音楽事務所のページで、最近、入れ込んでいるトルルス・メルク(Vc)の来日情報を発見!
 それによると、来日は平成12(2000)年11月26日〜12月10日
 紹介記事に曰く

ノルウェーが誇るカサド国際チェロ・コンクール優勝の屈指のチェリスト、待望の初来日公演が実現!今回は特にデュトワ/NHK交響楽団との共演が決定しており、大いに話題となる事でしょう。CDもヴァージン・クラシックスから多数リリース。

これは、大いに楽しみである。期待して待ちたい。
 デュトワ&N響との共演曲目は何だろう?

 

ティボール・ヴァルガ(Vn)ロベルト・シドン(P)フレイタス・ブランコ;Vnソナタ第1・2番(PORTUGALSOM)
とんでもないところにティボール・ヴァルガを発見。
フレイタス・ブランコは、レーベル名から察せられるとおり、ポルトガルの作曲家(1890〜1955)。ラヴェルとの親交で知られる指揮者とは別人である。
第1番は1907年、第2番は1928年の作品である。
録音は1986年。スタッフはポルトガルだが、スタジオはスイス、製盤はイギリス。
ヴァルガのディスクは集めることにしているので、とにかく購入。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)イェネ・ヤンドー(P)ほか、フレイタス・ブランコ;Vcソナタほか(PORTUGALSOM)
↑に驚いたのも束の間、これまた集めているチェリスト、ペレーニを見つけてしまった。もちろん買うしかない。
Vcソナタの作曲は1913年頃、同時期に作曲された弦楽四重奏曲をカプリング。こちらの演奏はタカーチ四重奏団
四重奏曲は1979年2月のリスボンでの録音、ソナタは1980年2月のブダペシュト録音。こちらも製盤はイギリス・ニンバスが担当。
 
ユッシ・ビョルリンク(Ten)ほか、名唱集(NIMBUS)
"PRIMA VOCE"という声楽の復刻シリーズが、ワゴン・セールで並んでいたのをパラパラめくっていると、ビョルリンクの1枚が目についた。
ひょっとしてステンハンマルの録音が入っていないかと、ひっくり返してみれば、あったあった。
カンタータ「ひとつの民族」op.22中、第2曲「スヴァーリエ」。伴奏は、ニルス・グレヴィリウス(指揮)の管弦楽団。
音源としては、以前にPearl盤で買っているが、ステンハンマルは全録音蒐集が目標なので、迷わず購入。
復刻の状態は、両盤、甲乙つけがたいが、どちらか1枚と問われれば、音に力のあるPearl盤か。
なお、ビョルリンクは「スヴァーリエ」を2回録音しており、これは、最初の方。1937年1月26日、彼の最初期のレコードの一つである。
ちなみに、2回目は、その20年後、1957年の録音である。

4月12日(月): 

 

ハンス・ロスバウト(指揮)パリ音楽院管ほか、ラモー;歌劇「プラテー」(EMI)
これは前にLP(再発盤)を架蔵しているが、CDが出たからには、買わざるべからず。
1956年、エクス・アン・プロヴァンス音楽祭でのライヴ録音。
ラモーには30曲ほどもオペラがあるそうだが、これもギリシャ神話に題材を得たもの、タイトルロールをミシェル・セネシャル(T)が歌うほか、ニコライ・ゲッダ(T)ジャック・ジャンセン(Br)ジャニーヌ・ミショー(Sop)らが名を連ねている。
 
ダン・ラウリン(Rec)鈴木雅明(Cem・Org)鈴木秀美(Vc)ヘンデル;リコーダー・ソナタ集(BIS)
リコーダーは名手といえども往々、音程が怪しくて聴きづらいものだが、ラウリンは大丈夫。
そこで彼がBISから出したCDは、ほとんど架蔵しているが、今回のヘンデルは通奏低音に鈴木兄弟を擁した強力メンバー、買わざるべからず。
1998年5月、松蔭女子大チャペルでの録音。

4月11日(日): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、モーツァルト;交響曲第41番(Orfeo)
第1楽章冒頭のゆったりしたテンポとリズムに、一瞬驚くが、すぐに程良い速さに安定する。
ズッシリした弦合奏が主体となって堂々と鳴り響くモーツァルトを聴いていると、とても懐かしい気分になる。(悪く言えば)せかせかしたテンポ・リズムで、木管がやたら目立つモーツァルトが、はびこっているのだ。
演奏は、とてもライヴとは思えない完成度の高い美しいもの、しかも、音楽に込められた生命感は、ただものではない。
「切れば血が出るような…」とか「音楽がたった今ここで生まれているような…」といった形容があるが、そうした言葉がピッタリ。
何も変わったことはしていないのだが、本当に音楽で豊かに満たされる、そんな演奏である。「平凡の非凡」と讃えられるべきであろう。
唯一、あっと思ったのは、第4楽章再現部の終わり、357〜59小節でリタルダンドを掛ける場面。このスタイルの中では効果的なテンポの揺れだが、おそらく、本番での即興的な動きだったのではないか。オーケストラの反応振りが、実にスリリングだ。
なお、新全集に準拠した反復を行っている。
 
ミヒャエル・ギーレン(指揮)南西ドイツ放送響、ラヴェル;「ダフニスとクロエ」(全曲)(ARTE NOVA)
ギーレンの「ダフニス」? もしかしたら骨と皮だけでは? と思って聴き始めたのだが、開曲早々、フルートが「ニンフの主題」を吹く美しい表情に驚かされた。
「骨と皮」どころか、ヴァイオリン・ソロの媚態など、なかなか濃厚な表現を示したりする(練習番号16)。
バーデンバーデンという町がフランス国境に近いからというわけでもあるまいが、見事に美しいラヴェルであった。
もちろんギーレンらしく、トゥッティのバランスの良さは特筆もので、とりわけ終結近く、昔の録音だとダンゴになったり音が飽和したりしてしまったものだが、混濁させない手腕はみごとなものだ。
合唱も上乗の出来で、特に第2部冒頭のア・カペラの美しさには腰を抜かした。
値段も考えれば「ダフニス」のファースト・チョイスに挙げてもよい、名盤だと思う。
あら探しをすれば、一部の管楽器(コール・アングレ、ホルンあたり)のソロが今一つであること、いくらか演奏ノイズが聞こえること(「朝」でページをめくったのは誰だ!)、全曲を1トラックにしていること(考えあってのことだろうが、やはり不便だ)。
 
トルルス・メルク(Vc)アイオナ・ブラウン(指揮)ノルウェー室内管、ハイドン;Vc協第1番(Virgin)
先週の第2番に続き、メルクのハイドンを聴く。
やはり音程が良く、端正な音楽。汚い音は一切出さない。
第2楽章では情感の深まりに欠けないし、第3楽章では速めのテンポでも全く綻びを見せない技巧の冴え。
本当にいい音楽を聴いたという気持になる、素晴らしい演奏だ。この人、もっと聴かれてほしい。
 
エドウィン・フィッシャー(P)ジョン・バルビローリ(指揮)室内管、モーツァルト;P協第22番(Pearl)
第1楽章の歯切れ良い主題提示と、その後の進行での推進力あるリズムには、新古典主義の精華を聴く思いがする。フィッシャーのタッチの柔らかく美しいこと!
うって変わって憂愁に沈む第2楽章、密やかなモノローグが実に深い。その中に抒情美や心の嵐が交錯する。終結の深沈たるさま!
これだけの深さは、今の演奏に聴くことができないのではないか。
 
アルヴェ・テレフセン(Vn)パーヴォ・ベルグルンド(指揮)ロイヤル・フィル、シベリウス;Vn協(SIMAX)
これも期待どおりの名演、ソロ・オーケストラとも、間然とするところがない。
とりわけベルグルンドの指揮は、ロイヤル・フィルから北欧の響きを取り出して素晴らしい。弦合奏の鬱然たる音色、トロンボーンの咆哮。
テレフセンのソロに、もう少しキレがあれば…と思わせる技術的な翳りは感じられるが。
 
フィリップ・ルフェーブル(Org)ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管ほか、プーランク;Org協ほか(NAXOS)
Org協は、パリ・ノートルダム大聖堂でのライヴ録音、収録日は1997年4月11日だから、ちょうど2年前ということになる。
弦合奏のふっくらした響き、アレグロの緊迫感やアレグロ再現(トラック6)でのリズムの強調など、カサドシュスの棒が冴えている
足を引っ張っているのがオルガンで、強奏の刺々しい響きは困ったもの。
田園奏楽曲は、チェンバロの音はそれなりに美しいが、逆にオーケストラの音が痩せている。そのせいか、第3楽章では、音楽の持つ生気を、まだまだ表出しきれていないのではないかと思われる。
この曲、第2楽章の主題の美しさは、もっと知られて良いだろう。
フランス組曲はルネサンス舞曲をベースにした美しく、愉しい音楽。金管の和音やオーボエのソロが極めて美しい。
 
パメラ・フランク(Vn)クロード・フランク(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第5番(Music Masters)
想像どおりの美しい音。甲高くならない、中域の充実した、暖かい美音である。
アクセントやフレージングに、ヨーロッパ系のヴァイオリニストにない、癖のようなものが聴かれるが、全体としては、いい音楽に満たされた佳演だといえよう。
父のピアノも、ヴァイオリンと調和した音が美しい。良い合奏だ。
 
ルネ・コロ(Ten)オトマール・スウィトナー(指揮)ベルリン・シュターツカペレ、ワーグナー;「ジークフリートの死」(楽劇「神々の黄昏」より)(Berlin Classics)
コロの声が美しく弾力もある。あまり悲劇味は強くないが…。
後半は葬送行進曲、やはりオーケストラが少々非力か。ノートゥングの動機を吹くトランペットは実によい音だが、最後のクレッシェンドが弱いのは疑問。

4月10日(土): 昨日、真空管パワーアンプのキットを買ったことを書いたが、今日まで待てず、昨晩のうちに作り始めた。
 2時間くらいで出来るかと思っていたが、やり始めるといろいろ手を取られるもので、結局、完成までに4時間ほどかかり、音出しまで済ませて休んだのは午前4時頃(^^;;
 スピーカーの能率が高いのだろう、定格出力2Wとはいえ、ボリュームは10時くらいの位置で、やかましいくらいに鳴ってくれる。音も内蔵SPより遙かに良好、買った甲斐があったというものだ。
 製作はさほど難しくない。回路はプリント基板になっているし、基板には部品の名称が印刷されているので、回路図とにらめっこする必要もない。説明書に実体図が掲載されているので、配線も、そのとおりにすればよい。
 ハンダ付けさえできれば、誰にでも作れると思われる。真空管というものに興味がある人には、最初の一歩としてお勧めしたい製品だ。
 なお、ハンダ付けに関する丁寧な手引きが付属しているので、これを見て練習すれば、初心者でも大丈夫かも。
 ところでキットに付いている真空管はEI社というユーゴスラヴィアのメーカー。最近、真空管は旧・共産圏で生産され、西側諸国で選別の上、出荷されるというパターンが多い。
 最近、NATO軍がユーゴスラヴィアを空爆しているが、世界中の球マニアは、ユーゴスラヴィアの真空管工場の心配をしている。

 CD−MAILから荷物が届いた。ここは初めて利用する通販サイト。
 いつもはMusic Boulevardあたりを利用しているのだが、アメリカ系サイトでは、ヨーロッパのマイナー・レーベルはほとんど取れない。
 CD−MAILは、この間、見つけたのだが、フランスのサイトなので、検索してみるとフランス系のマイナー・レーベルが、たくさん出てくる
 検索エンジンが少し弱いのと、Music Boulevard等のようなメールがこまめに届いたりすることがなく、注文の処理がどうなっているのか全然わからないのが難点だが、とにかく珍しいレーベルが取れるのは貴重なので、これからも利用することになるだろう。

マーク・ストリンジャー(指揮)ルクセンブルク・フィルほか、リリー・ブーランジェ;詩篇第130番「深き淵より」ほか(timpani)
全点蒐集を心願としているリリー・ブーランジェ、その名前を入れて検索してみたところ、未架蔵盤が1つ出てきたので、オーダーしたもの。
timpaniレーベルは最近、輸入盤屋の店頭でも見かけるが、これは見たことがない。録音が1998年9月となっており、新譜に近いもの故だろう。
指揮者は未知の人だが、1964年アメリカ生まれ、バーンスタインに育てられた人らしい。1991〜96年の間、ベルン・オペラの指揮者をしていたというのが主なキャリア。ヨーロッパで活発に客演活動をしているらしい。
収録曲は、
詩篇第24番、詩篇第129番、「ある兵士の葬儀のために」、「悲しい夕暮れに」、「春の朝に」、「仏教徒の古い祈り」
と、彼女の名作合唱曲や、珍しい管弦楽曲を網羅。大いに期待したい。
 
フィリップ・ヒルシュホルン(Vn)ほか、ベートーヴェン;Vn協&ベルク;Vn協&パガニーニ;Vn協第1番(Cypres)
ヒルシュホルンは、前にルクー全集(RICERCAR)にVnソナタを録音していたが、正直、すっかり失念していたヴァイオリニスト。癌のため1996年に50歳の若さで亡くなったそうだ。
先だって、BBSサイト「クラシック井戸端会議」(現・クラシック招き猫)へ、この人に学んだ日本人ヴァイオリニストが投稿しておられ、それによれば
すべての分野にわたる教養を駆使した教育、それにも増してそのカリスマ性、人間としての尊さに少しでも触れられたことは私の一生のたからです。
とのこと、また合わせて、彼の追悼盤が2種出ていることも書いておられた。聴いてみたいと思っていたが、ベルギーのマイナー・レーベルなので諦めていたところ、CD-MAILで出てきたのでオーダーしたもの。
ベートーヴェンは
ロナルド・ゾルマン(指揮)ベルギー国立管(1990年1月30日)
ベルクは
ピエール・バルトロメー(指揮)リェージュ・フィル(1985年9月6日)
パガニーニは、彼が1位になったエリザベート・コンクール本選のライヴ、
ルネ・デュフォセ(指揮)ベルギー国立管(1967年5月27日)
 
フィリップ・ヒルシュホルン(Vn)リディア・ペチェルスカヤ(P)、バッハ;無伴奏Vnソナタ第2番&ラヴェル;ツィガーヌほか(Cypres)
ヒルシュホルン追悼盤の2枚目。
1967年6月7日、エリザベート・コンクールで第1位となった直後、受賞記念リサイタルのライヴ録音。当時20歳。
先ほどのお弟子さんによれば、
異常なテンションの高さ,格調高いスタイルで自信を持ってお勧めできます。
とのこと、期待したいところだ。
曲目は、
バッハ;無伴奏Vnソナタ第2番
ジェミニアーニ;Vnソナタ第4番
バルトーク;無伴奏Vnソナタより「シャコンヌのテンポで」
ヒンデミット;Vnソナタ第1番
サン・サーンス;ワルツの形式による練習曲
ラヴェル;ツィガーヌ
ミヨー;「屋根の上の牡牛」より「ワルツ」
というもの。

4月9日(金): 帰りがけに京都・寺町の電気店街で、真空管パワーアンプのキットを買ってきた。
 エレキットTU870というモデルである。このイーケイジャパン社のWebpageには掲載されていないが、ディーラーのWebpageには紹介されている(→ここを押して)。
 「6BM8」という、三極管と五極管が組み込まれている真空管を2本使用し、片チャンネル1本で電圧増幅と電力増幅を行い、2Wの出力を得る、というものである。ごらんのとおり、コンパクトで、なかなか格好良くて、しかも19,800円という廉価。真空管マニアの間で、ちょっとしたブームを起こした製品である。
 
 どうしてまた、こういうものを買ったかというと、実はテレビが壊れたことに原因がある。
 斉諧生が使っていたTVはソニーの21型で、十数年間、修理をしながら使っていた。今回の故障で、もうそろそろ潮時と、同じソニーの21型に買い換えたところ、安かったのは良いのだが、音が貧弱なのには参った。
 前のTVには、当時ソニーの独自技術だった平面駆動型スピーカーが、外付けで装備されていた。今回は、内蔵スピーカー、しかもブラウン管の枠に当たる狭いところに収められている。デザイン的にはスマートだが、出てくる音はポータブル・ラジオ並み。これでは音楽番組が見る(聴く)に堪えない。
 
 元のTVは、新しい方の納品時に引き取ってもらったが(廃棄手数料を払ったのだ)、何かの時のためにと、スピーカーは外して取って置いた。これを別アンプで鳴らして、少しはましな音を聴こうという算段。
 で、そのアンプをどうしようかということで思い出したのが、上記のTU−870。
 値段も気楽だし、やはり真空管アンプ・ファンとしては、TVも真空管アンプというのは気持ちがいい。出力が小さいのは気がかりだが、平面駆動型スピーカーは能率が高いから、たぶん大丈夫なはず。

 

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ベルリン・フィル、プロコフィエフ;「ロメオとジュリエット」抜粋(Sony Classical)
サロネンの未架蔵盤を中古屋で発見したので、購入。
今のところ、ベルリン・フィルとの唯一の共演盤である(演奏会は別として)。
バレエとしては1、2を争うくらい上演頻度の高い曲だが、音盤的には、全曲盤が少ない。このような抜粋盤がほとんど。ここでは19曲を収めている。
 
フィリップ・ルフェーブル(Org)ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管ほか、プーランク;Org協ほか(NAXOS)
JCCの新譜が出たので、さっそく購入。
プーランクのOrg協は好きな曲。もっとも、彼の作品の中であまり出来が良くない方だとの評価もあるようだが…。
チェンバロと管弦楽のための「田園奏楽曲」「フランス組曲」をカプリング。独奏はエリザベス・チョイナッカ(原綴:Chojnacka)。
後者は、エル『フランシス・プーランク』
「この組曲の本質的な面白さは、小編成のオーケストラのオーケストレーションと、大変に個性的なその楽器編成にある。」
と書かれていて、ぜひ聴きたかったもの。
大歓迎の1枚である。
 
ジェルメーヌ・ティッサン・ヴァランタン(P)ORTF四重奏団、フォーレ;P五重奏曲第2番ほか(Charlin)
中古音盤堂奥座敷合評会、次回はフォーレ;P五重奏曲第2番を取り上げることになっており、比較試聴盤をいろいろ探している。
一般に手に入りやすいのは、EMIとERATOから出ている室内楽曲全集盤で、特に後者は、最近、紙ジャケットで再発されたものが、店頭を賑わしている。
しかし、以前に、奥座敷MLで話題になったのは、このティッサン・ヴァランタン盤。特にピアノの出来が、冠絶しているらしい。
Charlinは、名録音技師として知られたアンドレ・シャルランが興したレーベル。LP時代に有名で、繰り返し再発されている。
シャルランがデジタル録音を嫌っていたためか、本格的なCD化が行われていないレーベルだが、なぜか一時期、日本の会社が大量に廉価盤で発売した。今は店頭から消えているが…。
これは、そのVenus社のCDを、中古屋で見つけて、即、購入したもの。
 
タチアナ・グリンデンコ(Vn)アレクサンダー・マルクス(P)ほか、バルトーク;Vnソナタ第1番&シュニトケ;ソナタのようにほか(WRA)
タチアナ・グリンデンコはクレーメルとの共演で名前を覚えているヴァイオリニスト。
LP時代に、バッハのドッペル・コンチェルトで付き合っていたし、最近では、「クレメラータ・バルチカ」にも参加しているそうだ。
後者の演奏会では素晴らしい出来だったそうで、気に掛けていたところ、中古屋で妙な盤を見つけたので、購入。
WRAというのは"Women of Russia in Art"の略、1995年に、そのフェスティヴァルがロンドンで開かれ、グリンデンコは「ロシア古楽アカデミー」というアンサンブルを率いて参加、その折りのライヴ録音盤である。
その他、ウラディミール・マルティノフ;「秋の妖精の舞踏会」なる曲を収録。

4月7日(水): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮)ボストン響ほか、スメタナ;「わが祖国」ほか(DGG)
クーベリックは前後5回だったか、「わが祖国」全曲録音を果たしているが、これは3回目のもの。
LP時代には決定盤との評価も高く、前から中古音盤堂奥座敷の同人から薦められていた。
「世界で2番目に回転が速い」といわれる某掲示板で、この盤でクーベリックが「モルダウ」主題の終わりや「村の結婚式」のポルカの入りに付けているルバートが話題になっていたので、思い立って、買ってきた。
バジェット・プライスの1枚物もあるのだが、CD化を丁寧にやっているらしい2枚組を購入。
クーベリックの序曲集ジェイムズ・レヴァイン(指揮)ウィーン・フィル;「略奪された花嫁」抜粋をカプリングした1枚が付いている。
 
「新チューリヒ・トーンハレの100年」(BMG)
デヴィッド・ジンマンのベートーヴェン;交響曲全集(これはあまり買うつもりがない)がトーンハレ管ということで、それと並べて置いてあった。
1995年(もちろんこの年が創立100年)に出たもので、その時にも見かけていたが、初出の放送録音のCD化ながら、あまり魅力的に思わず、買わずにいた。
今日、ふと手に取ったところ、
ハンス・ロスバウト(指揮)アンネリーゼ・クッパー(Sop)、シェック;「解き放たれた憧れ」(原題;Befreite Sehnsucht、アイヒェンドルフのソネットによる歌曲集op.66より)
が収められていることに気づき、ロスバウトなら買わねばとレジへ持っていったもの。
ロスバウトは1957〜62年の間、首席指揮者を勤めており、これは1958年2月25日のライヴ録音。
その他には、
ワルター・ギーゼキング(P)フォルクマール・アンドレーエ(指揮)モーツァルト;序曲「皇帝ティトゥスの慈悲」・P協第23番(1949年6月14日)
ルドルフ・ケンペ(指揮)レスピーギ;「ローマの松」(1973年12月11日)
デヴィッド・ジンマン(指揮)アイヴズ;「戦没将兵記念日」(1993年3月17日)
を収録。いずれも当時の首席指揮者。
 
エドウィン・フィッシャー(P)ジョン・バルビローリ(指揮)ほか、モーツァルト;P協第17・20・22・24番ほか(Pearl)
フィッシャーのモーツァルトは前にEMIから復刻が出ていたのだが、買いそびれたままになって悔しい思いをしていたところ、Pearlが出してくれたので、さっそく購入。
たしか、石井宏氏が推奨していたのを覚えていたのだと思う。
第17・20番がフィッシャーの弾き振り、22番がバルビローリ、24番はローレンス・コリングウッドという人。
協奏曲以外に、ロンドK.382、Pソナタ第10番、ロマンスKAhn.205(擬作)を収める。
ジャケットに「第1巻」とあるので、続編が期待できるわけだ。

4月5日(月): 

 

プーランク・エディション「歌劇&声楽曲作品集」(EMI)
アンリ・エル『フランシス・プーランク』(村田健司訳、春秋社)を読んで、プーランクのオペラが聴きたくなり、「カルメル会修道女の対話」(デルヴォー盤)「ティレジアスの乳房」(クリュイタンス盤)「人間の声」(プレートル盤)がまとまっているボックスを買ってきた。
その他、「小象ババールの物語」「仮面舞踏会」「人間の顔」など、世俗的な声楽曲が収められている。
中でも斉諧生的に興味があるのはカンタータ「枯渇」。初演がさんざんで、プーランクは会場の出口でオーリックに「これは失敗作だ、破り捨てることにするよ」と語りかけたそうだが、その指揮を執ったのが他ならぬポール・パレー
この5枚組、対訳付きの国内盤か安い輸入盤か迷ったあげく、英語で辛抱しようと輸入盤を買ったのだが、開封してみると、ブックレットに台本は掲載されているものの、フランス語の原詞だけで、英訳が載っていない。(T_T)
斉諧生は、フランス語が駄目なのだ…。
 
フランシス・バルド(指揮)パリ国立オペラ座少年合唱団ほか、ヴィエルヌ;荘厳ミサほか(FORLANE)
このミサ曲は、前にhyperionから出たオドンネル盤を聴いたことがある。
「嬰ハ短調という調性に見合った劇的な趣を持つ。同じ作曲家のP五重奏曲やVnソナタと同様、心をうつ真実味がある。サンクトゥスの無垢な心の感謝の讃歌、アニュス・デイの平和な祈りも傾聴に値する。」
と、当時「音盤狂日録」に書き付けた。
ふと新譜の棚に新録音を見つけたので、購入。
フィルアップは、ヴィエルヌの、オルガンと金管合奏のための「ナポレオン百年忌の勝利行進曲」、オルガンのための「カテドラル」「即興曲」「ウェストミンスターのカリヨン」と、「ルイ・ヴィエルヌ讃」(即興演奏)
オルガン独奏は、フィリップ・パンスメイユ(原綴"Pincemaille"、例によって仏語は自信なし)。

4月4日(日): 常用のCDプレイヤーは修理に出したのだが、ようやく代替の機械を手配。少々安物で、音もどこかスカスカした感じ。
 奏者の音色に関しては常用の機械で聴いたときと同じには評価できないが、考えてみれば、それとて中級機にすぎない。「音色がイマイチ」と書いたCDをハイエンド機で聴いたらどうなることか、わからないのだ。そのあたりがディスク評の怖いところだが。
ともあれ、なんとかCDが聴けるようになったのは有り難い。

 通販業者からLPが届いた。

グレトリー四重奏団ほか、ルクー;P四重奏曲(未完成)ほか(白Alpha、LP)
長年の探求盤が手に入った。
ルクーの絶筆となった曲だが、LP時代までに録音は僅かに3つしかなかったという。SP、モノラル、ステレオ各1つづつ。
これは、そのモノラル録音。1950年代の録音で、エマニュエル・コック(Vn)ほかベルギーの演奏家からなるグレトリー四重奏団によるものである。
LP時代の末期(CDが発売されて間もない頃)、音楽之友社から『レコード芸術別冊 名盤コレクション』というムックが出版された。「私の愛聴盤ベスト10」という副題付き、レコード評論家等が各10枚を挙げる企画である。
その中で濱田滋郎氏がこの盤を取り上げ、
哀切なほど深い夢想を湛えた楽曲である。子守歌とも、挽歌とも聞こえる長い溜息のような第二楽章とともに、曲は星の彼方へ見えなくなってしまう。(中略)ベルギー人たちの演奏に―たとえ演奏はより古くとも―より深くルクーの夢の奥へ分け入った感がある」
その後、ステレオ盤が国内盤で復刻されたものを入手、更にCD時代に入ってルクー全集(RICERCAR)をはじめ次々と8種ほども発売されたが、いつも頭の片隅にあったのは、この盤だった。
東京の某店が『レコード芸術』に掲載した広告に発見、たぶん売れたと言われるだろうと思ってオーダーしてみたら、奇蹟的に残っていた。まあ、結構なお値段であったが、これはもう買うしかない。
ルクーはB面に、A面にはLoeillet(1688〜1730)、グレトリー(1741〜1813)の四重奏曲を収録。

 どうもショスタコーヴィッチばかり聴いているような…。

ギュンター・コーツ(P)ロルフ・クライネルト(指揮)ベルリン放送響、ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(CORONA)
前に「ピアノ独奏が大人しく、トランペットと同等に、弦合奏に対しては助奏のようなバランスに聴こえ、斉諧生的には少々物足りない。」
と書いたが、聴き直してみた。
今の機械だと、少しピアノが浮き上がって聴こえることから、印象が好転した。
ずっしりした弦合奏の上に、がっちりしたピアノ独奏が展開、模範的な演奏との工藤さんの評も頷ける。
 
ダグマル・バロゴーヴァ(P)イルジー・コウト(指揮)プラハ放送響、ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(PANTON)
録音年代は古いが、各楽器はオン・マイクで綺麗に録れており、最近のものより明確に聞こえるくらいだ。
このためピアノの音は力強く、聴き映えがするが、切れやパワーは今一つ。第4楽章も、やや遅めのテンポだが、460〜478小節で弛めないのは評価したい。
弦合奏も上手くはないが、表現意欲は強烈、第1楽章53〜55小節の開放弦の音色など、よく効いている(下品なくらいだ)。
録音データは1975年12月22日、プラハ・芸術家の家とあり、あるいはライヴ録音かもしれない。
ミロスラフ・ケイマールのトランペットが、実にいい音を出してはいるが、少々不安定なのは、そのせいかも。
 
ミハイル・ペチュコフ(P)ウラジミール・コジュハー(指揮)USSR響、ショスタコーヴィッチ;P協第1番(CONSONANCE)
第1楽章冒頭でテンポを揺らすのには驚かされたが、オーケストラが入ってきてからは安定するようだ。
ただ、ここぞというところではやってくれる人で(^^;、第4楽章247小節でピアノがfffで一撃を加えるところの尖り方、カデンツァの入りのフォルテの凄さは特筆しておきたい。
弦合奏は雄弁、トランペットも野性的で、第2楽章101小節以下で弱音器をつけた音色の品の無さは他の演奏を圧している(^^;
 
ウラディミール・オフチニコフ(P)マキシム・ショスタコーヴィッチ(指揮)フィルハーモニア管、ショスタコーヴィッチ;P協奏曲第1番(Collins)
このピアニストは譜読みが個性的なのか、ときどきアレッと思うような音が聴こえてくる。もっとも音楽全体としては、特段の個性味はないが。
作曲者の息子の指揮も、意外と(世評どおり?)微温的。
ただ、トランペットは上手い。第1楽章79小節で三連符を吹きながらクレッシェンドするところの切れのある勢いは、他の盤と段違いに素晴らしい。独奏はジョン・ウォレス、ソリストとしての録音も多い人である。
 
ナターリャ・シャホスカヤ(Vc)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)モスクワ放送響、ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(BBC Classics)
1966年8月18日、ロイヤル・アルバート・ホールでのプロムス・ライヴ、録音は一応ステレオらしいが、あまりよろしくない。
独奏が遙か彼方に引っ込んで聴こえるのである。SP復刻くらいのクオリティだ。
あまり細かなことは言えないが、第2楽章の優しい表情、第3楽章(カデンツァ)の緊張感と後半の猛烈な速さなど、間近に聴けば相当な名演だったはずだ。
ロジェストヴェンスキーの指揮もよく、木管の音色の雄弁な活かし方、雷鳴のように轟くティンパニ、野趣溢れるホルンの吹奏等、録音さえよければベスト盤になったはず。
 
トルルス・メルク(Vc)アイオナ・ブラウン(指揮)ノルウェー室内管、ハイドン;Vc協第2番(Virgin)
メルクについて、東京のS氏からメールをいただいたこともあり、今日は彼の録音をいろいろ聴いてみた。
白眉はこのハイドン。
メルクの音は、CDによって違いが多少あるが、おおむね、極めてnobleなものだ。音程がぴたりと決まり、ヴィブラートも音の振幅が比較的小さく、汚い音を出さない。
また音楽の作り方も極めて端正、それらが曲とマッチして、理想的な演奏になっている。
細かいことをアレコレ言う気にならない、本当に美しい曲、美しい音楽だということだけが心に浮かぶ、名演である。
S氏によれば、英Gramophone誌がベストCDに推したとか、それも十分納得できる。
 
トルルス・メルク(Vc)マリス・ヤンソンス(指揮)ロンドン・フィル、ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(Virgin)
これも、いわば模範的な演奏、過不足なく、音楽の意味が伝わってくる。
ヤンソンスの指揮もよく、ティンパニの打ち込みなど快哉を叫びたくなるものだ。
 
トルルス・メルク(Vc)パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)バーミンガム市響、ミヤスコフスキー;Vc協(Virgin)
この曲は初めて聴くのだが、ほの暗いロシア情緒、郷愁を綿々と歌ったような趣。
アレグロやフォルテがほとんどないし、オーケストレーションも単純というか薄いというか。
こういう曲はあまりメルクに向かないようだ。
 
ミシャ・マイスキー(Vc)ミハイル・プレトニョフ(指揮)ロシア・ナショナル管、ミヤスコフスキー;Vc協(DGG)
逆に、マイスキーにはピッタリの曲だ。
ハイ・テンションで駆け抜けるような箇所はなく、得意の「泣き節」で歌い抜けるのである。
最後の超高音は少し危なそうだが…。
 
トルルス・メルク(Vc)ジャン・イヴ・ティボーデ(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(第3楽章)・ヴォカリーズ(Virgin)
ミヤスコフスキー同様、こういった情念をこめて歌い上げるような音楽はメルクには向かないのかもしれない。
ヴォカリーズなど、通常5分強のところを6分ほどかけているにも関わらず、なんともアッサリした音楽に聴こえてしまうのである。
ティボーデのピアノも悪くないが、高音でキャンつくのが品を下げている。
 
トゥルス・メルク(Vc)ラルス・フォクト(P)ストラヴィンスキー;イタリア組曲(Virgin)
こういう音楽はメルク向き。
特に第2曲の速めのテンポが気に入った。
 
イツァーク・パールマン(Vn)ローレンス・フォスター(指揮)ジュリアード管、ヴィオッティ;Vn協第22番(EMI)
全盛期に比べると、技術的な衰えは隠せない。音色が痩せてきたし、指や弓のコントロールもヒヤッとする場面がないではない。
彼の武器であったグリッサンドの媚態も、どうも上手くない。
もちろん、凡庸なヴァイオリニストに比べれば、ずっと上のレベルなのだが…。
音楽的にも、ちょっと首を傾げる出来。
この曲の持ち味であるロココ的な品の良い情緒が出ていないのは残念。第3楽章など、速過ぎるというか、少々乱暴だ。もう少し音楽を慈しむ趣がほしい。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)ベルリン・フィル、ハイドン;交響曲第92番(独DGG、LP)
なるほど、いい音がしている。特に外側(第1・2楽章)。
CDも悪くはないのだが、比較すると月とスッポンになってしまう。
 
ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ、モーツァルト;セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」(蘭fontana、LP)
インティメイトなモーツァルト、最近の演奏と比べても、ちっとも古くない感じ。
 
クリスティーナ・オルティーズ(P)メディチ四重奏団、フランク;P五重奏曲(第2楽章)(英EMI、LP)
極めてムーディな演奏、この曲でこういう演奏も可能だったのかと、驚いてしまった。
これなら、昨日の記事で引用したような、某女への恋愛感情云々も頷けてしまう。
この曲には、精神の奥底で光るものとか、何か天上的なものを期待したいのだが。
 
グレトリー四重奏団、ルクー;P四重奏曲(未完成)(白Alpha、LP)
期待どおりの素晴らしい演奏。これぞルクーの世界だ。
とりわけ、一昨日のコンサートでも聴けたような、フランス的な(正確にはフランコ・ベルギー派だが)音色が活きている。
いちど、CDも含めて、このあたりの聴き比べでもしたいもの。

4月3日(土): 

 通販業者からLPが届いた。

ハンス・ロスバウト(指揮)ベルリン・フィル、ハイドン;交響曲第92・104番(独DGG、LP)
以前にCDを買って非常に感銘を受けた演奏。なかんずく、1956〜57年当時のベルリン・フィルの音が素晴らしかった。
ところが通販業者のカタログでは、LPの音はCDとは比較にならないくらい上質という。ついついオーダーしてしまった。
実は、同時にルネ・レイボヴィッツ(指揮)シェーンベルク;ピエロ・リュネール(dial)もオーダーをかけたのだが、これは振られてしまった。まさか競争相手がいるとは思わなかったが、あるいはランパルが参加していたためだろうか。
 
ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)ウィーン響ほか、モーツァルト;「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ほか(蘭fontana、LP)
パウムガルトナーはカラヤンの指揮法の先生だが、ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院の院長を勤めたりしていたため、研究者のイメージが強く、指揮者としてはあまり意識されていない。
でも、この人のモーツァルトは彫りの深い、なかなかの優れた演奏である。斉諧生はアルトゥール・グリュミオー(Vn)モーツァルト;Vn協のモノラル盤で初めて接し、それ以来、見つければ買うようにしている。
この盤には、K.525のほか、モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカを振った、ディヴェルティメント第6番KV.188セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」KV.239ディヴェルティメントKV.252を収めている。
これはたぶん再編集盤で、オリジナルは別にあるのだろうが…。
 
クリスティーナ・オルティーズ(P)メディチ四重奏団、フランク;P五重奏曲(英EMI、LP)
この曲の未架蔵盤を見つけたからには、オーダーしないわけにはいかない。
1978年頃の発売、クオドラフォニック・エンコードなのは気に入らないが…。
先日読んだ『女性作曲家列伝』(平凡社)には、フランクにこの曲を書かしめたというオギュスタ・オルメス(1847〜1903)の伝も立てられている。
「《ピアノ五重奏曲ヘ短調》を満たしている露骨なまでの性的な陶酔感は、この一門の女性(斉諧生注、オルメスのこと)に対する叶わぬ愛に起因するという説があり、フランク夫人をはじめ、フランクの信奉者達の顰蹙を買ったという。」云々。

 先日のパレー(指揮)シューマン;交響曲全集のデータをディスコグラフィに追加。
 また、レイボヴィッツ(指揮)シェーンベルク;ピエロ・リュネールのdial盤のデータをディスコグラフィに追加。
 「斉諧生自序」の記事に昨年度のCD・LPの購入枚数を記載。ああ、恥ずかしい。


4月2日(金): 

 開設10周年を迎えた京都フランス音楽アカデミーの講師連中によるコンサート、コンセルヴァトワールの巨匠たち@京都コンサートホール(小)を聴きに行く。
 曲目、出演者とも盛り沢山、18時30分に開演して終演は21時10分頃となった。

ベートーヴェン;セレナード ニ長調op.25
フィリップ・ベルノルド(Fl)、ジェラール・ジャリ(Vn)、ブルーノ・パスキエ(Va)
黄金のフルートを吹くベルノルドの音が素晴らしい。円やかで、ヴィブラートを抑えた、斉諧生好みの音である。HMF等から録音も出ているので、また買ってみたいところだ。
パスキエ(兄)のヴィオラも誠に豊麗な音で、うっとりさせる。
問題はジャリのヴァイオリン。
往年、パイヤール室内管のソリストとして鳴らした人ではあるが、既に老境に入り(プログラムには1936年生まれとあるが、見た感じは古稀を超えていそうなくらいだ)、音量はないし、低音の音程は怪しくなる。
細身の音色が必ずしも美しくないわけではないが、ベルノルドやパスキエの音との調和を欠き、音楽が豊かにならない憾みを遺した。
 
ベルク;室内協奏曲よりアダージョ
レジス・パスキエ(Vn)、ジャック・ディドナト(Cl)、クリスチャン・イヴァルディ(P)
新ウィーン楽派は、どうにも苦手なままで、こういう取り上げ方をされてもピンとこない。
パスキエ(弟)のヴァイオリンは見事なもの、指板の端から駒までの幅を上手に使って音色を創造していく。
クラリネットは柔らかい音で美しいが、やや一本調子で訴求力に欠けはしないか?
ピアノは美音! 最も聴き応えがあった。
 
フォーレ;P三重奏曲
レジス・パスキエ(Vn)、フィリップ・ミュレール(Vc)、ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)
当夜の白眉。
何より、音がフォーレなのである!
パスキエにせよミュレールにせよ、ちょっと低域が薄く高域にも霞がかかったような、いわゆる「フランス的」な音とはこのこと。
いくら熱くなっても音は全く汚くならず、2人が同質の、実によく調和する音を奏で続ける。大袈裟に言えば、一つの楽器に8本の弦が備わっている趣。
とりわけ第2楽章アンダンテの陶酔が素晴らしかった。作品120、死の前年の作だが枯淡どころか、きわめて官能的な音楽であった。
プリュデルマシェのピアノの音も両弦にふさわしく、アンサンブルを支えて立派な音楽を作っていた。
 
デュパルク;5つの歌曲
アニェス・メロン(Sop)、クリスチャン・イヴァルディ(P)
「戦いのある国へ」「悲しい歌」「前世」「ミニョンのロマンス」「旅への誘い」が演奏された。
メロンはヘレヴェッヘやクリスティのアンサンブルで活躍しているとプログラムの演奏者紹介にあるが、喉の調子でも悪いのか、ざらざらした声調。
むしろ、イヴァルディの美音に圧倒される結果となった。「旅への誘い」の後奏!
 
ヴィエルヌ;P五重奏曲
ジェラール・ジャリ(Vn)、森悠子(Vn)、ブルーノ・パスキエ(Va)、フィリップ・ミュレール(Vc)、オリヴィエ・ガルドン(P)
今日は、この曲が聴きたくて足を運んだのである。同編成の曲ではフランクが有名だが、この曲には更に奥深い情趣がある。あるいは当夜が日本初演ともいう。
ベートーヴェンで不安に思ったジャリのヴァイオリンが、やはり凹んでしまっていた。一度は弓のコントロールを失う場面まであり、驚かされた。そのあと、毛の張りを調節したりしていたが…。
第1ヴァイオリンが鳴らないので、結局、弦楽に厚みが出ない。パスキエのヴィオラだけが豊かに響いている。
ピアニストも3人のうちでは最もこの曲に不向きな人ではないか。大味な音色でガンガン叩く感じがある。
やや残念な結果だったが、まぁ、この曲を実演で聴けただけでも良しとしよう。
 
アンコール等は、なし。
 
なお、ほぼ満席に近い入り。もっともアカデミー受講の学生が多かったようだが…。
このプログラムで東京・浜松・大阪と巡演するようである。大いにお薦めしておきたい。

4月1日(木): いよいよ新年度、職場の人事異動もあり(斉諧生は無関係)、さっそく催された歓送迎会に出席。
 帰宅すると、郵便が届いていた。音楽批評紙『Breeze』の創刊号である。
 丘山万里子氏が編集長、創刊の辞に曰く、

クラシックの意味を問う、とは、同時にまた、世界における人間の精神のありようを問うことでもある。
(略) 
21世紀の新たな精神の展望と、音楽文化の真の成熟への手がかりとなるようなクリエイティブな言論の場となることを念願する。
 タブロイド判4頁建て、第1面はピエール・アンタイ等の演奏会評。主な書き手に谷戸基岩氏らがいるが、斉諧生的には奥座敷同人、野々村さんが参加しておられることが重要。
 演奏会評のほか、第4面の『脱帽!! このディスク』というCD評を担当しておられ、ヴェデルニコフ(P)バッハ;パルティータ全曲(DENON)、近藤譲作品集(HAT HUT)、ローレン・マザケン・コナーズ;『薄明の中で』(alien8)を取り上げておられる。
 このボリュームが年間20回発行予定で6,000円(送料含む)はチト高い気もするが、なるべく多くの人に購読していただいて、もう少し安くなればと願って、問い合わせ先を書いておく。
 169-0075 新宿区高田馬場4-18-15 第2中村ビル301
 (株)アルヒーフ内 「ブリーズ」編集部
 Webpageは準備中とのことだが、電子メールは送信可能→こちらへ

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」に近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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