音盤狂日録


9月29日(月):どこのCD屋でもエルトン・ジョンが歌っているような気がします。

 先日の@500円セールの延長戦を演じてしまった。

ブライデン・トムソン(指揮)ロンドン響、ヴォーン・ウィリアムズ;交響曲第4番ほか(CHANDOS)
この全集はバーゲン又は中古でのみ、買っている。これで6枚目。カプリングはケネス・シリトーのソロでVn協。
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)レオポルト・ハーガー(指揮)モーツァルト;Vn協第1・2番(DENON)
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)レオポルト・ハーガー(指揮)モーツァルト;Vn協第3・5番(DENON)
この全集はなんとなく買いそびれていたが、今日は躊躇しない。残りもバーゲンか中古で探しつくしたいもの。
山田一雄(指揮)新日本フィル、ブラームス;交響曲第2番(東芝・山野楽器)
山田一雄の実演に接することが少なかったのは痛惜の限りである。幸いなるかな、ヤマカズが舞台から転げ落ちる現場に立ち会った人々よ! この盤、ライナーノートは宇野功芳氏が執筆、「テンポの絶えざる流動、大見得の切り方、嵐のクライマックスと終結の乾坤一擲の決め方、本当に聴き手をわくわくさせる第4楽章である。」とのこと。なお、ここからはバーゲン品以外。
モニカ・ハジェット(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(Virgin)
この曲集も、もう何セット目か…。とはいえ買わずにはいられない。この人と寺神戸亮、アンドルー・マンツェが、私の見るところ古楽器派のVn奏者三羽烏。

9月28日(日):真空管アンプを使っていても汗だくにならない気候になってきた。季節の変り目、風邪などお召しにならぬよう、御自愛ください。

 

レナード・バーンスタイン(指揮)ニューヨーク・フィル、ベートーヴェン;交響曲第7番(1960年録音盤)(CBSソニー)
いや面白かった。これがCDになっていないらしいのは勿体ない。とにかく元気のよい演奏で、トランペットやホルンの強奏等、やりたいことがいっぱいあって、楽しくってしようがない様子。60年頃なら異端視されたのも無理からぬことと思われる。終楽章の基本テンポが意外に遅いが、当時のNYPの技量に合わせたものか? オケは全体に粗いし、録音はドルビー以前でヒス・ノイズの嵐、ステレオ初期のこととてヴァイオリンとチェロが左右に分かれてピンポン状態、すぐ再録音したのはそのせいかも。とはいえ、フルート・ソロの音と節回しあたりに50年代のアメリカのオーケストラの雰囲気が良く出ているディスクだ。
カレル・アンチェル(指揮)ベルリン放響、ドヴォルザーク;スラヴ舞曲(全曲)(TAHRA)
この曲集、実はよく知らないのだ。ディスクとしてはライナー&ウィーン・フィルの抜粋くらいしか架蔵していないと思う。しかし、この演奏は素晴らしい。モノラルだが1960年の放送用で、ひょっとしたらスタジオできっちり録音したのかもしれないと思わせる完成度の高さがある。民族色に頼らない端正な音楽性もアンチェルらしい。
イヴァン・フィッシャー(指揮)ブダペスト祝祭管、バルトーク;舞踏組曲(Philips)
これも良かった。音色なり節回しなりに地元の強みと意気込みをひしひしと感じる。録音も上乗。こういうディスクを製作してくれるあたり、Philipsはまだまだ偉い。なお、マルケヴィッチ&フィルハーモニア盤(TESTAMENT)と比較試聴したが、こちらは民俗色を捨象した路線での名演。
18世紀カメラータ、バッハ;ブランデンブルグ協奏曲(全曲)(MD+G)
さすが演奏者が皆、滅法上手く、全6曲に「外れ」の無い演奏。ただし、「大当たり」が無いことも否定できない。1つ取れるのは第6番か。低弦の動きとブンとした響きが心地好い。独奏者の中ではライナー・クスマウル(Vn)の音色が佳い。古楽器によくある甲高い、軽快だが落ち着かない音ではなく、中低音の充実した渋い音で、斉諧生の好みだ。彼の音が満喫できる点で第4番も薦められるが、第5番はトラヴェルソとチェンバロが冴えないので失望されると思う。なお、第3番の1楽章と2楽章の間ではチェンバロが短いが派手めのカデンツァを弾いている。
和波孝禧(Vn)北川暁子(P)邦人バイオリン作品集(TRIO)
三善晃、入野義朗、武満徹、小倉朗、中村太郎、團伊玖磨、原博、石井真木、別宮貞雄のVnとPのための作品集。名作揃い(中村と原が少し落ちるか?)で、CD復刻を望みたい。武満の”HIKA”のディスクは多いが、あとは三善と別宮が浦川宜也盤(FONTEC)、團が小林武史盤(EPSON)で手に入るだけだ。
アストル・ピアソラ・ベスト・セレクション(BMGビクター)
録音データ等がはっきりしないし、一部歪みっぽい音も見られるのは残念だが、故国アルゼンチンでの録音が多いようで、ウィーンやニューヨークでのセッションとは違った「熱さ」を感じさせる。大通・野々村さんお薦めの1970年ライヴは、5人が緊密な盛り上がりを見せるところが凄まじい。

9月27日(土)ギドン・クレーメル著『琴線の触れ合い』(カールステン・井口俊子訳、音楽之友社)を読む。率直に言って、あまり面白くない。ユーモアのつもりで書いているみたいなところも、ほとんど愚痴に聞こえるのである。あまり筆の立つ人でないことも確かだが、本質的に陰性の人だと思う(注:人格にマイナス評価を与えているのではありません。)。一つ面白かったのは次の話。

オイストラフ(クレーメルの師匠)がシェリングを評していわく、
「ラジオ放送で誰かとても上手にヴァイオリンを演奏しているのだが、それが誰だか分らないときは決まってシェリングなのさ。」

 Music BoulevardからCDが届いた。

イェスタ・オーリン声楽アンサンブル(INTIM MUSIK)
ライナーノートがスウェーデン語だけなので、アルバムのタイトルすら意味が分からないのだが、要するにイェスタ・オーリンという合唱指揮者が組織している合唱団(たぶんイェーテボリで活動しているのだと思う)が、20世紀のスウェーデンの合唱曲のアンソロジーを録音したもの。斉諧生のお目当ては、ステンハンマルが4曲入っているところ。

 

トン・コープマン(指揮)アムステルダム・バロック管、バッハ;管弦楽組曲第2・3番(ERATO)
コープマンのバッハとしては、平凡な出来。逆に言えば、古楽器によるカンクミの標準盤、全4曲が1枚に収まっていてお買い得、という薦め方もできるかもしれない。
トレヴァー・ピノック(指揮)イングリッシュ・コンソート、モーツァルト;交響曲第34番(ARCHIV)
上手だし過不足ない好演と言えるが、モーツァルトもこの頃の作品になれば、プラスアルファが欲しいのも事実。この曲はセル(指揮)コンセルトヘボウ管(Philips)ですよ、何といっても。
朝比奈隆(指揮)大阪フィル、50周年記念アルバム(大阪フィル自主製作)
すべて海外演奏旅行等でのライヴ録音のせいもあるが、どうにも粗い演奏で興醒め。大栗裕;「大阪俗謡による幻想曲」の管弦楽版が聴けるという資料的価値に留まろう。
池宮正信(P)ニューヨーク・ラグタイム・オーケストラ、ガーシュウィン;ラプソディ・イン・ブルーほか(BMGジャパン)
池宮が解説で述べているとおり、グローフェ編曲版とは細部のリズムに相違が見られ、こちらの方が適切だと感じられる。オーケストレーションは、ほぼグローフェ版に近いが、中間部のホルンのリリカルなメロディがサキソフォンで代用されるのは辛い。オールドタイム・ジャズ的な面白さは確かにあるが。グローフェの再編曲版(フル・オーケストラ用)は論外としても、初演版(ホワイトマン楽団用)の独奏パートをガーシュウィン自筆譜で校訂するのが、可能な範囲で最もオーセンティックな方法ではなかろうか。ピアノ独奏曲(「パリのアメリカ人」の編曲版も聴ける)の味わいは上乗。

9月26日(金)「チェリスト長谷川陽子の部屋」中「おしゃべり広場」に今日付けで掲載された長谷川さん御本人のメールによると、当「斉諧生音盤志」を御訪問いただいたとのことである。慶祝慶祝。奉迎奉送。

 

レナード・バーンスタイン(指揮)ニューヨーク・フィル、ベートーヴェン;交響曲第7番(1960年録音盤)(CBSソニー)
国内盤LPである。これは確かCD化されていないはず(全集等になっているのは64年の再録音)。あまりのノリのよさに大方の評論家からは無視されたが、一方で熱心なレニー・ファンを生んだという録音だという話だ。

9月25日(木):『In Tune』10月号を読む。ずいぶん薄くなり、CD評も少なくなってしまって残念。とはいえ、ヤン・パスカル・トルトゥリエに加え、長谷川陽子さんのインタビューが掲載されていたので、満足々々。

 CD屋のバーゲン、3枚以上なら@500円。買っちゃうよなぁ。

カレル・アンチェル(指揮)ベルリン放響、ドヴォルザーク;スラヴ舞曲(全曲)(TAHRA)
アンチェル再評価のきっかけとなったTAHRAのアンチェル・エディション初回発売3枚のうち、未購入だったもの。曲が曲だけにフル・プライスでは割高感があったが、今日は躊躇しない。
ヤン-パスカル・トルトゥリエ(指揮)アルスター管、ドビュッシー;海・夜想曲・春・牧神の午後への前奏曲(CHANDOS)
ヤン-パスカル・トルトゥリエ(指揮)アルスター管、ラヴェル;スペイン狂詩曲・道化師の朝の歌・亡き王女のためのパヴァーヌ・ボレロほか(CHANDOS)
ヤン-パスカル・トルトゥリエ(指揮)BBCフィル、プーランク;グローリア・スターバトマーテル(CHANDOS)
進境著しいという評判のトルトゥリエ(息子)の指揮をちゃんと聴いてみたい。ドビュッシーとラヴェルはカプリング替え再発のようだが、曲目としては好都合。プーランクは中古音盤堂奥座敷の選定盤候補に登っていた。最終的には選外になったが、聴いてみたかったもの。
ネーメ・ヤルヴィ(指揮)イェーテボリ響、シベリウス;「白鳥」組曲ほか(BIS)
ネーメ・ヤルヴィ(指揮)イェーテボリ響、シベリウス;「テンペスト」組曲ほか(BIS)
まだ皆がヤルヴィのことを北欧物のスペシャリストと思っていた頃のディスク。シベリウス・ファンとして恥ずかしいが、買いそびれていたもの。
エディット・パイネマン(Vn)ヴォルフ・ディーター・ハウシルト(指揮)レーガー;Vn協(AMATI)
比較的珍しい曲なので、新譜の時も買おうかどうしようか迷ったもの。パイネマンの健在ぶりは先日確認できたので、今日は躊躇しない。
尾高忠明(指揮)BBCウェールズ響、フランク;プシシェ(全曲)ほか(CHANDOS)
浮月斎大人に御教示いただいた、「プシシェ」の貴重な合唱入り全曲盤。
”BIS”(ERMITAGE)
無慮22人の演奏家のアンコールを集めたディスク。お目当てはシェリング(ブラームス;Vnソナタ第3番のアンダンテ)、ミルシテイン(バッハ;無伴奏Vnパルティータ第3番のプレリュード)、メニューイン(同曲のガボットとロンドー)、フランチェスカッティ(クライスラー;レシタティーヴォとスケルツォ)あたり。
池宮正信(P)ニューヨーク・ラグタイム・オーケストラ、ガーシュウィン;ラプソディ・イン・ブルーほか(BMGジャパン)
ラプソディ・イン・ブルーは少し集めているのだが、これは「ラグタイム・オーケストラ版」と銘打ったディスク。池宮(彼は京都出身)の解説によれば、グローフェの編曲が気に入らないので、2台ピアノ用のガーシュウィン自筆譜からラグタイム・バンド(10人編成)用の演奏譜を新たに用意した、ということらしい。カプリングはガーシュウィンのソロ・ピアノ曲集(スクエア・ピアノによる。)で、これのみバーゲン品ではなく、国内盤新譜。

9月24日(水):今日発売のテレビ番組誌によれば、10月5日(日)夜、NHK教育TVでダヴィード・オイストラフの映像(チャイコフスキー、ラロ等)が放映されるとのこと。

 

サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響、ブルックナー;交響曲第7番(EMI)
リリース情報を見たときは吃驚した。アーノンクールの時も驚いたが、今回はそれ以上。聴く前からなんだが、「名マーラー指揮者は名ブルックナー指揮者ならず」なる金言があり、それからすると…。いやいや、新境地を期待したい。
ハインリヒ・シフ(Vc)ベルナルト・ハイティンク(指揮)シューマン;Vc協ほか(Philips)
シフがチェロを弾いているディスクを買うのは初めてではなかろうか。これは「チェリスト長谷川陽子の部屋」中「おしゃべり広場」で、長谷川さん御自身が「私はこの曲に関しては勿論ヨーヨー・マ、そしてシフがお気に入りです。」とおっしゃっていたので。
アストル・ピアソラ・ベスト・セレクション(BMGビクター)
クラシック以外のディスクを続けざまに買うことはしないようにしているのだが、これは、1970年のレジーナ劇場ライヴ録音が凄い、と中古音盤堂奥座敷で野々村さんに御教示いただいたので。珍しく国内盤。

9月23日(祝):4連休も最終日。次に4日以上休めるのは年末年始かと思うと…

 昨日に引き続き、中古音盤堂奥座敷試聴会に向けて、選定盤や同曲異盤の聴き比べ。

マルティン・ジークハルト(指揮)エディット・パイネマン(Vn)、J・M・クラウス;Vn協(orfeo)
パイネマンは1937年生れだから録音(1991年)当時54歳、味わいのあるしっかりした音を出している。第2楽章アダージョの情趣溢れる歌はまことに魅力的、もう少し演奏されてもよい曲だ。
ジェイムズ・オドンネル(指揮)ウェストミンスター大聖堂聖歌隊、ヴィエルネ;ミサ・ソレムニス&ヴィドール;2つの合唱と2台のオルガンのミサ(hyperion)
ヴィエルネのミサは嬰ハ短調という調性に見合った劇的な趣を持つ。同じ作曲家のP五重奏曲やVnソナタと同様、心をうつ真実味がある。サンクトゥスの無垢な心の感謝の讃歌、アニュス・デイの平和な祈りも傾聴に値する。ヴィドールの曲は、やや霊感に欠けるようだが、立派な曲。不思議なことに、どちらもクレドが作曲されていない。何か教会の慣習でもあったのか?

9月22日(月):休みを貰って4連休。こういう日はNHK教育TVを見るのが面白い。『トゥトゥ・アンサンブル』という妙な音楽番組があって、どうも小学生相手の「笛のおけいこ」の時間みたいなのだが、チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバを通奏低音にリコーダー・ソナタを演奏していたりするから油断ならない。今日は林英哲が出演して、むしろ太鼓が主役(笛方のお名前は失念。)。

 中古音盤堂奥座敷試聴会に向けて、選定盤や同曲異盤の聴き比べ。以下はその合間に。

アストル・ピアソラ(バンドネオン)キンテート・タンゴ・ヌエヴォ、ウィーン・コンサート(messidor)
おなじレーベルからでている”Tristezas de un Double A"という、やはりウィーンでのライヴ録音が、もう鬼気迫るような演奏なので、期待したのだが、これはピアソラは控え目で、むしろ5人のアンサンブルを聴かせるような盤だった。
リシャール・ガリアーノ(バンドネオンとアコーディオン)ピアソラ;バレエ・タンゴ(Miran)
これも期待とは少し違い、あまり面白くない。「多重録音に名盤なし」の金言が、またしても実証されたか。

9月21日(日):溜っているディスクを聴く。

 聴き比べなどしていると、それはそれで楽しいのだが、全然捗らない。

NHK大河ドラマ主題曲集(NHK)
やっぱり『国盗り物語』と『勝海舟』は感涙もの。もっとも音楽とは関係ないが。音楽的には、どうもパターンが同じ。ゲンダイオンガク風序奏にバスを強調したマーチ風の部分とリリカルなメロディの部分の二部構成の主部、というのが典型。うーん、みんな伊福部門下だったのか?! わりと独自色を出してたのが三善晃(『春の坂道』、昭46)。武満徹(『源義経』、昭41)は、メロディに味がある。ちゃんと変拍子してるし。後半、イングリッシュ・ホルンに出るところなんか、ちょっと「大地の歌」フィナーレのオーボエ・ソロを連想させる。
田中信昭(指揮)東京混声合唱団、柴田南雄;初期合唱曲集(VICTOR)
御本人も解説しておられるとおり、「よくハモる合唱曲」。
カーメン・ドラゴン(指揮)ハリウッド・ボウル響、「ノクターン」(EMI)
グリーグ;夜想曲は、北欧的な香気は乏しいものの、第一級の立派な演奏。それ以外ではマスネ;タイスの瞑想曲がドラゴンのスタイルにぴったりで、聴かせる。
TASHIほか、モーツァルト;Cl五重奏曲・Pと木管のための五重奏曲(RCA)
1977年の録音のはずだが、このころのアメリカ盤の通弊で、あまり音が良くないのは残念。Cl五重奏は、予想に反して、非常にウェットな演奏。ストルツマンもカヴァフィアンも、弱音(というか軽い音)で、綿々と歌う。いわゆる「ウィーン風」の一部だけ拡大したような感じもするが、この連中がそんな単純なことするわけないだろうとも考えられる。評価に困るが、あまり気に入らなかった、というのが正直なところ。(この曲で最近のお薦めはデイヴィッド・オッペンハイム&ブダペストQ(SonyClassical)。過不足のない名演です。)Pと木管の五重奏は、ピーター・ゼルキンの清潔で(ノン・レガート傾向)、しかも香気匂うピアノが聴きもの。木管は、あまり取れない。
ケーゲル(指揮)モーツァルト;ミサ・ソレムニスK337(Philips)
これは強烈な演奏。ケーゲル・ファン必聴。グロリアとクレドは、猛烈に速いテンポをとり、ティンパニやトランペットを強奏させて、彫りの深い音楽をつくる。他のディスクと比べてみると、グロリア+クレドの演奏時間は、ケーゲル7分35秒、アーノンクール(TELDEC)9分12秒、クレオバリー(DECCA)9分41秒。ソプラノが白井光子で、美声かつ端正な歌唱が素晴らしい。ベネディクトゥスの構築力、アニュス・デイの抒情(Obの古雅な音色が佳い)も聴きもの。残念なのは残響過多な録音に埋もれて合唱がぼやけてしまっていること。
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)アンドラーシュ・シフ(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ(TELDEC)
期待を上回る名演奏。ペレーニ独特の塩辛い中低音、高音は音程のよい美音が快い。テンポ・節回しに間然とするところがなく、シフのピアノも出過ぎず引っ込み過ぎずの呼吸が見事。1楽章の展開部の終り、シフの左手がデモーニッシュに響くのも凄いが、そのあとペレーニが引き伸ばす哀切な弱音は鳥肌もの。2楽章終結へ向けてどんどんテンポが遅くなっていくのも肯ける。トルトゥリエ(新)、アルト・ノラス、ヨーヨー・マ、鈴木秀美など特徴ある盤を抑えて、この曲のベスト・ワンに推す。
リチャード・ヒコックス(指揮)シンフォニア21、レスピーギ;古代舞曲とアリア(第3組曲)(CHANDOS)
中くらいの編成の弦楽合奏の質感が心地よい。パッサカリア(第4楽章)に、ある種の切迫感が感じられる力強さを持たしたところが新味で、面白い。

  愛惜佳曲書・室内楽の部のアルペジオーネ・ソナタの推薦盤を、上記のペレーニ&シフ盤に更新。


9月20日(土):『レコード芸術』10月号が発売されたが、特集記事に間違いを発見した。磯田健一郎氏がサキソフォンを取り上げ、「現代クラシック・サックス奏法の父」としてマルセル・ミュールを大きく紹介しているのだが、こう書かれている。

ちなみに、もしもお手元にパブロ・カザルスマールボロ音楽祭での《ブランデンブルグ協奏曲》のディスクがあったなら、注意して聴いてみていただきたい。トランペットのかわりに、ミュールがソプラノ・サックスを演奏している盤が存在するのだ!

えへん、斉諧生音盤志の指揮列伝 名匠列伝 パブロ・カザルス・ディスコグラフィを御覧の方は、ミュールが参加していたのはプラド音楽祭での録音だということに御承知であろう! (マールボロ音楽祭盤ではトランペットで演奏している。)

  電網四方八通路掲載のオーケストラのうち、スイス・ロマンド管が『CLASSICA』のリンク集更新で採用された。そこで、新たに3つのオーケストラを追加。

 

 パチンコ屋の新装ならぬCD屋のバーゲンセールに開店時間から駆けつける。通常の割引品のほか、中古盤が400〜900円と格安、大量購入。

マルティン・ジークハルト(指揮)エディット・パイネマン(Vn)、J・M・クラウス;交響曲・Vn協(Orfeo)
御健在でしたか、パイネマン。ジークハルトはカメラータに録音したブルックナーはもう一つだったが、トルコヴィッチに付けたモーツァルト;Fg協ほかのOrfeo盤が良く、ドイツの若手では注目株だと評価している。クラウスは1756年生・1792年没だからモーツァルトと没年が1年違うだけの同時代人。
シクステン・エールリンク(指揮)スウェーデン放響、ベルワルド;交響曲第1番ほか(Bluebell)
北欧音楽ファンとして、ベルワルドの交響曲は買わないわけにいかない。エールリンクはロンドン響と第3・4番を録音していた。
リチャード・ヒコックス(指揮)シンフォニア21、レスピーギ;古代舞曲とアリア(全曲)(CHANDOS)
これも好きな曲。第3組曲のシチリアーナが、昔、NHK-FMのクラシック番組の後テーマだった。ヒコックスはエルガーやディーリアスの小品(EMI)もよかったので、中古格安の機会に購入。
カーメン・ドラゴン(指揮)ハリウッド・ボウル響、「ノクターン」(EMI)
モートン・グールドやカーメン・ドラゴンのアレンジは面白い。というと出谷啓の影響を受けているのが明々白々になるが…。これはグリーグの夜想曲(『抒情組曲』)のほか、弦楽中心のリリックな音楽を集めたアルバム。前から探していたのだが、こんなところで見つかった。中古格安で購入。
ヴラド・ペルルミュテール(P)ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)ラヴェル;P協・左手P協(Accord)
ラヴェルのP協の定盤の一つだが、まだ聴いていないので、中古格安の機会に購入。
ヘレヴェーヘ(指揮)ヴァイル;ベルリン・レクイエム、Vn協ほか(HMF)
ヴァイルのVn協は伴奏が管楽オーケストラという変り種。なぜかヘレヴェーヘが指揮したこの盤、中古格安の機会に購入。
エマヌエレ・バルディーニ(Vn)マニャール;Vnソナタ&フランク;Vnソナタ(AGORA)
マニャールのソナタはデュメイ盤(EMI)で知ったが、フランクやルクーに次ぐ、なかなかの名曲。中古格安の機会に購入。バルディーニはイタリアの若手。
アニク・ルーサン(Vn)シマノフスキ;VnとPのための作品集(Accord)
シマノフスキは好きな作曲家なので、なるべく買うようにしている。新譜の時にはなんとなく手が出なかったが、バーゲン・プライスの機会に購入。
小泉和裕(指揮)京都市響、柴田南雄;ディアフォニアほか(DENON)
京都市は、1973年以来、「京都市文化事業基金」の運用益で毎年新作を委嘱して京都市響の12月定期で『合唱』の前座に初演してきた。ところが、低金利のあおりで今年は実施しないらしい。この曲は1979年の委嘱作品(初演の指揮は山田一雄)。柴田さんの管弦楽作品ゆえ気になっていたが、中古格安の機会に購入。
田中信昭(指揮)東京混声合唱団、柴田南雄;初期合唱曲集(VICTOR)
戦後間もなく、柴田さんが本格的に作曲活動を始めた頃の作品を中心に収録。初期作品ゆえフル・プライスで買うのを躊躇していたが、中古格安の機会に購入。
NHK大河ドラマ主題曲集(NHK)
知る人ぞ知る現代日本管弦楽曲集、というのは冗談だが、富田勲、芥川也寸志、入野義朗、武満徹、佐藤勝、間宮芳生、三善晃、林光、湯浅譲二、池辺晋一郎、一柳慧らの作曲、指揮は外山雄三、森正、岩城宏之、若杉弘、山田一雄、尾高忠明、秋山和慶、高関健、大友直人ら。毎年出直すアルバムだが、この盤は平成3年の『太平記』(三枝成彰)までを収録。斉諧生は『国盗り物語』(昭48、林光。松坂慶子が光り輝いていた。)『勝海舟』(昭49、富田勲。仁科明子が可憐だったが、松方弘樹(渡哲也が病気降板したため途中から海舟役)とデキてしまった。)あたりに愛着があるので、前から欲しかったのだが、中古格安の機会に購入。
アストル・ピアソラ(バンドネオン)キンテート・タンゴ・ヌエヴォ、ウィーン・コンサート(messidor)
ピアソラ晩年の必殺ライヴ盤の一つ。
リシャール・ガリアーノ(バンドネオンとアコーディオン)ピアソラ;バレエ・タンゴ(Miran)
「ニューヨーク・タンゴ」のヒットで急に有名になったガリアーノだが、これは1991年録音、すべてピアソラの作品で、表題作はガリアーノに献呈されたもの。

9月18日(木)中古音盤堂奥座敷で次に取り上げるCDが決まった。

ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラ、メンデルスゾーン;交響曲第3・4・5番(Philips)
マルク・アンドレ・アムラン(P)ロスラヴェツ;ピアノ曲集(hyperion)

の2枚である。アムランは、かなりマニアックな選曲で話題のピアニスト、ロスラヴェツ(1881〜1944)はロシア/ソ連の作曲家で社会主義リアリズム路線に粛清覚悟で背を向け、なんとか辺境の軍楽隊のトレーナーで生涯を終えた人とのこと。ピアノを苦手としてきた斉諧生にとって、ちょっとチャレンジングなセレクションである。なお、ブリュッヘン盤は既に購入済み。

 

アンチェル(指揮)トロント響、マーラー;交響曲第5番(TAHRA)
TAHRAレーベルの功績の一つはアンチェルを再評価させたことではないか。特に印象深いのが最初に出たハイドン;交響曲第93番とシューベルト;交響曲第9番(TAH117)。実に正統的で、かつ、生き生きとした音楽を生み出していた。今回の1969年11月4日録音のマーラー、非常に楽しみである。
朝比奈隆(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団、創立50周年記念アルバム(?)
レーベル名がはっきりとは書いてないので、たぶん自主製作盤かと思うが、よくわからない。JASRACのシールが貼付されているので正規盤には間違いないが。曲目はチャイコフスキー;幻想序曲「ロメオとジュリエット」、レスピーギ;「ローマの噴水」、ブラームス;ハンガリー舞曲第1番、ベルリオーズ;「ローマの謝肉祭」序曲と超名曲集だが、貴重なのは大栗裕;「大阪俗謡による幻想曲」の管弦楽版が聴けること(これまで吹奏楽版のCDしかなかった)。大栗は大フィルのホルン奏者出身の作曲家、この曲と木下順二の戯曲に付けたオペラ「赤い陣羽織」が代表作、「大阪のバルトーク」と異名を取る(箱根から東側の人は知らないかもしれないが、大阪には「浪花のモーツァルト」も実在する!)。この曲は、朝比奈隆が1956年にベルリン・フィルに初客演するとき、「何か日本の曲を持ってきてくれ。それも、非常にローカル・カラーの強いものがほしい。」と指定されて、新たに作曲させたもの。朝比奈によれば、「一遍だけ通そうといっても、そんなに難しい曲じゃありませんから、ベルリン・フィルほどのオーケストラなら初見で通るわけです。済んだら、みんな立ち上がって 『ブラボー!』と言いましたからね。」(中公新書『朝比奈隆わが回想』より)。曲はベルリン・フィルに献呈され、原譜はベルリン・フィルのアルヒーフに保存されている、とか。
マルク・アンドレ・アムラン(P)ロスラヴェツ;ピアノ曲集(hyperion)
上記のとおり、中古音盤堂奥座敷選定盤を入手。

9月17日(水):マルケヴィッチ略年譜(2)指揮者時代の「主な録音」欄に、「青少年のための管弦楽入門」のステレオ再録音を掲載するのを忘れていた。国内盤LPでは栗原小巻のナレーション入り、プレートル指揮の「動物の謝肉祭」とのカプリングで何度も再発されていたもの。録音年月がはっきりしないようだが、パリ管とだから、1970年代初めくらいの収録のはずで、数少ない70年代のスタジオ録音の一つということになる。

 

マルケヴィッチ(指揮)ゲザ・アンダ&ベラ・シキ(P)サンサーンス;動物の謝肉祭(TESTAMENT)
TESTAMENTからマルケヴィッチのCDが他にも出ていることを浮月斎大人に御教示いただき、早速購入。LPで出たときのカプリングはマルケヴィッチ指揮の「青少年のための管弦楽入門」(ナレーションはピーター・ピアース)だったが、このCDではアンダがメインなので、カプリングはアッカーマンの付けのリストの協奏曲。
ジェイムズ・オドンネル(指揮)ウェストミンスター大聖堂聖歌隊、ヴィエルネ;ミサ・ソレムニスほか(hyperion)
これも浮月斎大人のpseudo-POSEIDONIOSで教わった曲。カプリングのヴィドール;2つの合唱と2台のオルガンのミサも名作とのこと、楽しみである。なお、ちょっと知ったかぶりをしておくと、ここで歌っているのはWestminster Cathedral Choirで、これはローマ・カトリック。先日ダイアナさんの葬儀があったのはWestminster Abbeyで、こちらはイギリス国教会。

9月16日(火):CD屋の店頭でクリスマスCDの新譜を見かけた。早いものだ。LP時代には、カラヤン(指揮)レオンティーン・プライス(S)のデッカ録音(とビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」)が定番で、ブリテンの「キャロルの祭典」が知る人ぞ知る秘曲だったのに(合唱関係者は御承知だったろうけれど)。

バーンスタイン(指揮)ニールセン;交響曲第3・5番、第2・4番(SonyClassical)
昔から気になっていた録音だが、買いそびれているうちに店頭で見なくなっていた。先日のハイドン「パリ・セット」同様、チャールズ皇太子画ジャケットのシリーズをバーゲン・プライスで再発見、迷わず購入。録音年が一番早いのが「5番」で1962年、これに最も期待している。思うに、NYPを手に入れたバーンスタインは、興味のある曲から録音していって、後の方はディスコグラフィの穴埋めをしていたのではなかろうか。録音年が早いほど、表現意欲が感じられる(平たくいえば、ノっている)演奏の率が高いようだ。なお、3番は珍しいことに王立デンマーク管との録音。
ケーゲル(指揮)モーツァルト;ミサ・ソレムニスK337ほか(Philips)
ケーゲル晩年、1990年1月の録音。昨日のリタニア・ヴェスペレ集同様、浮月斎大人に御教示いただいたディスク。

9月15日(祝):第2回の本格更新は、イーゴリ・マルケヴィッチ。作業しながらマルケヴィッチの録音や、マルケヴィッチの作品のCDを聴いていたが、この間購入した新譜は、ほとんど聴けなかった。次の週末までお預けか。

 「指揮列伝」中、「畸匠列伝」に、マルケヴィッチの略年譜(1)作曲家時代(2)指揮者時代、アルバム「ディアギレフへのオマージュ」「モンテ・カルロのディアギレフ」の紹介、マルケヴィッチとディアギレフの関係 を掲載。

 

 Music BoulevardからCDが届いた。

ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響ほか、モーツァルト;教会音楽集(リタニア・ヴェスペレ等)(Philips)
1991年のモーツァルト大全集の第20巻。K339・K618・K165といった有名曲をC・デイヴィスが入れている以外、CD5枚中4枚がケーゲルの指揮。古いものは1974年の録音だが、1990年5月のものも多く含まれており、ケーゲル最晩年の境地をたずねてみたい。これらの録音の存在は、浮月斎大人のpseudo-POSEIDONIOSのケーゲル・ディスコグラフィで知ったので謝辞を申し上げたい。
カロリーネ・ヴァイヒェルト(P)ショスタコーヴィッチ;24の前奏曲とフーガ(Accord)
ショスタコーヴィッチがバッハの平均律クラヴィーア曲集にインスパイアされて、それに倣って作曲したもの。これまでニコライエワのHyperion盤で聴いていたが、中古音盤堂奥座敷で工藤さんに薦められ、佐々木@CD三昧日記さんもHPで評価しておられるヴァイヒェルト盤を購入。

9月14日(日):13日から15日まで、東京のハンターが京都で店を開いているので行ってみた。時々LPの掘出し物があるが、今日は大したものなし。やはり初日に行くべきだったか? その代わり、新譜CDで大きな収穫があった。

パレー(指揮)デトロイト響、ショーソン;交響曲&ラロ;序曲「イスの王」・組曲「ナムーナ」&バロー「影への供物」(Mercury)
新譜の棚に見つけたときは一瞬目を疑って(「パリー」なんて書かないでほしいな)、次いで狂喜した。これで、パレーのフランスもののステレオ録音が、ほとんどCDで揃うことになる。バローの「影への供物」はステレオ初出となる。
C・デイヴィス(指揮)ロンドン響、シベリウス;交響曲第7番・「クッレルヴォ」・「ラカスタヴァ」・「エン・サガ」(BMG)
デイヴィスの2回目の全集が、これで完結、しかも「クッレルヴォ」付き! この曲の新譜が1日置きに出るとは、シベリウス・ファンは狂喜。この全集、エンジニアがトニー・フォークナーなので、ワン・ポイント・マイクの優秀録音が期待できる。
コープマン(指揮)J・S・バッハ;管弦楽組曲全曲(ERATO)
恐ろしいことにCD1枚に全4曲を収めている。果たしてどのような結果やら。Vn9人、Va・Vc2人、Cb1人という小さめの編成。Flはハーゼルツェット。
イヴァン・フィッシャー(指揮)ブダペスト祝祭管、バルトーク;「かかし王子」・舞踏組曲(Philips)
このコンビのバルトークは、コチシュのP協全集のカプリングの「弦チェレ」以来、注目している。
ピノック(指揮)イングリッシュ・コンサート、モーツァルト;後期交響曲集(31〜41番)(Archiv)
これはハンターで新品を格安で見つけたため、ダメモトで買ってみたもの。
若杉弘(指揮)ケルン放送響、ブラームス(シェーンベルク編);ピアノ四重奏曲(schwann)
以下はLP。この曲については浮月斎大人のpseudo-POSEIDONIOSに詳しいが、現在リニューアル中のため、記事が読めなくなっているかも。
TASHIほか、モーツァルト;Cl五重奏曲・Pと木管のための五重奏曲(RCA)
R・ストルツマンのCl、アイダ・カヴァフィアンのVn、やはり聴いてみたい。
D・ウィルコックス(指揮)ケンブリッジキングズカレッジ合唱団、ブリテン;キャロルの祭典ほか(EMI)
おなじみの演奏だが、英盤LPを見つけたので。

 上記のパレーのCDのデータを指揮列伝中、パレー・ディスコグラフィに反映。


9月13日(土):注文していたCDラックが届いた。10段で340枚収納のものを2個購入したのだが、床に積み上げたCDが全部は解消されない。とはいえ、部屋のスペースはもう限界で、これ以上棚を置くことはできない。東京近郊と違って地震の心配はあまり無いとはいえ、万一の場合は落ちてきたCDに埋もれて死ぬのではないか。そしたら行く先は「音盤地獄」だろうか。


9月12日(金):アーノンクールのブラームス交響曲全集、ムター&マズアのブラームスVn協は、買わずに帰ってきました(ずいぶん迷いましたけど)。逸早くお聴きの方、御感想をお聞かせください。

ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラ、シューベルト;交響曲第1・4番(Philips)
ブリュッヘンなら買うしかないのだが、これでハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン・メンデルスゾーン・シューベルトと、ひととおり録音し終えたわけだが、この後はどうするのだろう。ブラームスなんかには手を出さずに、古典派初期あたりの隠れた名曲の発掘などでもしてほしいものだ。(このコンビのCD、ライナーノートに全員の集合写真が入っていたのが、最近ではブリュッヘン独りの写真になっている。精神的な結び付きの変質を表現しているのでなければよいのだが。)
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ストックホルム・フィル、シベリウス;「クッレルヴォ」(Virgin)
この曲の新録なら買うしかないのだが(LP時代にはベルグルンド盤しかなかったものだが)、この息子、いきなり親父のレパートリーを後追いしだすとは・・・ カズシゲかカツノリか、いや、よほど自信があるのかもしれない、あとは聴いてのお楽しみ。
トンコ・ニニッチ(指揮)ザグレブ・ソロイスツ、バルトーク;ディヴェルティメント他&ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a他(IMP Classics)
マルP1992年のバジェット・プライスだが、初発売を見た記憶がない盤。上の2曲なら買うしかないのだが、昔でいう「ザグレブ・ゾリステン」なのかな? 収録は1991年6月、ユーゴスラヴィア内戦の犠牲者に捧げられた録音とのことだが、場所がザグレブの「聖フランシスコ・ザビエル」教会とか。ザビエルの足跡が東欧に残っているのだろうか。ちょっと歴史的興味を感じる。
ゲルハルト・タシュナー(Vn)、協奏曲録音集(EMI)
うっすら聞き覚えがある名前という程度なので買おうかどうしようか迷ったが、珍しめの曲目に惹かれて買ってしまった。ライナーノートによると、タシュナーは1922年ポーランド生れ、フバイとフーベルマンに学び、1941年、19歳でベルリン・フィルのコンサートマスターに招かれた(もちろんフルトヴェングラーの人事)。1950年以降はベルリン高等音楽院の教授を勤め、1976年に死去。収録曲はフォルトナー;Vn協(G・L・ヨッフム)、プフィッツナー;Vn協(グスタフ・ケーニヒ)、ヒンデミット;室内音楽第4番(ケンペ)、ブルッフ;Vn協(G・L・ヨッフム)、メンデルスゾーン;Vn協(レーマン)、サラサーテ;カルメン幻想曲(レーマン)、いずれも1950年代前半のライヴで、大半は放送曲の音源。
ペーター・ブルーンス(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(Opus111)
2枚組で1,690円というので、つい買ってしまった。これも聞いたような気もする名前だったが、ライナーノートによると、ブルーンスは1963年生れ、1988年以来ドレスデン・シュターツカペレの首席で、バイロイトでトップを弾いたこともあるとか。
ヤン・ラタム=ケーニヒ(指揮)クルト・ヴァイル;「三文オペラ」全曲(Capriccio)
「三文オペラ」はソニー・ロリンズの傑作アルバム「サキソフォン・コロッサス」(ジャズ・マニアは「サキコロ」と略称するそうな)以来の愛好曲。学校勤めをしていた頃、無理矢理30分に縮小した台本を作って、文化祭の職員劇で上演したこともある(歌は「メッキー・メッサー(マック・ザ・ナイフ)」だけ)。全曲盤は見つけたら買うようにしている曲だ。

9月9日(火):CD屋に立ち寄ったら、外から問合せの電話がかかってきていて、店員さんの応対を耳にはさんだ。

問合せの趣旨は、
「6日のダイアナさんの葬儀の際、ホルストの『惑星』の「木星」を合唱でやっていた。CDはあるか。」
というもの。店の人も困っていたが「調べないとわからない」で終わった様子。

実は斉諧生も半ばミーハー、半ば音楽への関心から中継をずっと見ていたのだが(ヒリアード・アンサンブルにいたリン・ドーソンがヴェルディのレクイエムを歌っていた)、*ホルストが曲をつけた讃美歌*が歌われたと記憶している。参列者も唱和していたので、イギリスではよく歌われるものなのだろう。たしか「木星」の旋律(詞をつけて歌うなら中間部の民謡風の旋律だろう)ではなかったと思うが・・・。
9月10日附記:これは私の記憶違い。今晩NHKで再放送(!)してまして、やはり「木星」の中間部の旋律に歌詞をのせた曲でした。でも実況録音のCDも出るそうですし、あのお客さんも満足でしょう。)

マルケヴィッチ(指揮)フィルハーモニア管、「ディアギレフへのオマージュ」(TESTAMENT)
9月4日の項に記したマルケヴィッチとフィルハーモニアのディスクが、もう1枚発売された。ウェーバーの「舞踏への勧誘」、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲等、ディアギレフのロシア・バレエ団のレパートリーであった音楽が収録されているので、ぜひ御一聴を。

これで、前回に触れた3枚組LP「ディアギレフへのオマージュ」の全収録曲が、CD復刻されたことになる。1セットとバラ3枚に分散してしまったので、LPとCDの対照表を作ってみた。→ここを御覧ください。

なお、マルケヴィッチとディアギレフについては、近日中に詳細を掲載するつもりです。


9月8日(月):今日で公開から1月経過、望外の御愛顧をいただいておりますことに、感謝申し上げます。今後とも内容の充実に心を砕いてまいりますので、どうぞ御贔屓に願います。<m(__)m>

18世紀カメラータ、J・S・バッハ;ブランデンブルグ協奏曲(MD+G)
ブランデンブルグ協の全曲盤は、これで何組目になるのだろう? 30セットくらいあるんじゃなかろうか。もういいんじゃないかと思っても、やっぱり買ってしまう。このグループは、コンラート・ヒュンテラー(Fl)やク・エビネ(Ob)ら18世紀オーケストラの参加メンバーが中心で、前にテレマンの「ターフェル・ムジーク」も素晴らしかったので、とても見送れない。ヴァイオリンにライナー・クスマウルが参加している(今はベルリン・フィルのコンサートマイスターだが、オランダの古楽連中とは昔から付合いのある人だ。)。なおチェンバロはジャック・オッグ。*短髪のよく似合う*山縣さゆりさんも、ヴィオラで参加している。
クレーメル(Vn)ハーゲン(Vc)アーノンクール(指揮)コンセルトヘボウ管、ブラームス;Vn協&二重協(Teldec)
あまりクレーメルを追っかけるのはやめようとか、アーノンクールもそろそろ見放す時期だとか、考えないではないのだが、やっぱり買ってしまう(前のバーンスタインとの録音が良かったしね。)。今回、クレーメルのカデンツァはジョルジュ・エネスコの作とか。珍しいことは珍しいが、前回はレーガーの小曲をまるまる嵌め込むという離れ業だったのと比較するに、クレーメルが退歩しているのでなければよいのだが、と思う。
ベニィ・シュルーチン(Trb)P・L・アイマール(P)「同時代のトロンボーン」(Adda)
アンサンブル・アンテルコンテンポランのメンバーによるトロンボーンの現代曲集。デュティユ、シェルシ、ベリオ、デニソフ、クセナキス等が名前を連ねているが、それだけなら手にも取らない。でも、ルネ・レイボヴィッツが収録されているのを見れば、3分29秒の1曲だけじゃないかと思っても、やっぱり買ってしまう。この人、レイボヴィッツに作曲を学んだヴィンコ・グロボカールにトロンボーンを習ったらしい。師弟相伝の演奏と思えば、聴く前から有難や、そういえば去る8月28日はレイボヴィッツ没後25年の祥月命日、合掌。

9月7日(日):溜っているディスクを一所懸命に聴く。

 今日はヴァイオリン曲大会になった。

シュナイダーハン(Vn)シュミット・イッセルシュテット(指揮)モーツァルト;Vn協第4・5番(DGG)
シュナイダーハンの特徴ある美音が楽しめた。5番の第3楽章の中間部、「トルコ風」の部分でテンポを上げたのが見事に決まっている。テンポを変えないのがオーセンティックなのかもしれないが、もともと軍楽なのだから、これくらい勢いがある方が音楽として自然だ。
ヴァッサ・プシホダ(Vn)チャイコフスキー;Vn協(Podium)
Podiumの第4集から。これはすばらしい演奏だ。勢いのある第1楽章、すすり泣く第2楽章(特に主部の再現(69小節以降)の弱音が凄い)、鬼神のような弓捌きを見せる第3楽章。第3楽章の慣習的なカットをしていないのは、最近でこそ珍しくないが、1949年に実行していたのは見識だ。
黒沼ユリ子(Vn)若杉弘(指揮)諸井誠;ヴァイオリンとオーケストラのための協奏組曲(DENON)
アモイヤル(Vn)デュトワ(指揮)デュティユ;Vn協「夢の木」(DECCA)
シャルリエ(Vn)トルトゥリエ(指揮)デュティユ;Vn協「夢の木」(Chandos)
ガヴリーロフ(Vn)ブーレーズ(指揮)リゲティ;Vn協(DGG)
C・フルニエ(Vn)ヴィッテンバッハ(指揮)シェルシ;アナイ(Accord)
現代のVn協を一気に聴く。正直いって、やはり音感覚がついていかない。一番面白かったのはシェルシ。他の3曲とは、もう音感覚が全く別世界のもので、コスミックな感じで面白い。あとは諸井の第4楽章のデリケートな音色美か(もっとも独奏Vnは休んでいる楽章だが)。デュティユの2枚ではシャルリエ盤の方が良いように思った。
M・リッツィ(Vn)A・マッフェイ(P)ロータ、C・テデスコ&ピツェッティ;Vnソナタ(Sarx)
これは面白い1枚。ニーノ・ロータ1937年(26歳)作のVnソナタが、まず聴きもの。ライナーノートがイタリア語なので作曲の事情等はわからないが、ドビュッシーの学生時代の習作ですよというのが嘘臭ければ、ヴァンサン・ダンディあたりの遺作と言って聴かせたら、きっと騙される人が出ると思われるような、じつにフランス20世紀初め風の曲。作曲家としては一番知名度が低いだろうが、ピツェッティの曲が最も秀作。SP時代にメニューインが録音しており、BiddulphからCD復刻されているが、メニューインによれば、師匠エネスコの所にいくつか現代曲を持っていったら、迷わずにピツェッティを選んだそうな。第2楽章の情感、第3楽章のイタリア情緒、他の2曲とは格が違う。ぜひ御一聴あれ。
J・パウル(指揮)スコットランド国立管、パレー;交響曲第1番(ReferenceRecordings)
指揮者のジェイムズ・パウルはオレゴン出身、小さい頃からパレー&デトロイト響のレコードに親しみ、長じて実演に接するに及んですっかり傾倒するようになったとか(ベートーヴェンの第9交響曲、ブラームスの第4交響曲を聴いたそうな。羨ましい。)。解説では「マーラーやラフマニノフも生前は指揮者だった云々」とあるが、正直いって、パレーの第1交響曲は、まぁヴォーン・ウィリアムズの余り演奏されない交響曲くらいには評価されてよいかもしれない、という曲だろう。
ケーゲル(指揮)モーツァルト;ミサK66、K49(Philips)
いわゆる「孤児院ミサ」と同時期、つまりモーツァルト12、3歳の曲。確かに子供の作品とは思えないが、やはり楽想は幼い。しかし、大きめの編成のオーケストラ・合唱を使って、ケーゲルが彫りの深い演奏を見せており、なかなか聴かせる。さすがケーゲル、と唸らせる1枚。
ウルザーマー・コレギウム、ルネサンス舞曲集(Archiv)
CDと比べても、このLPの方が良い音で聴ける。管楽器の生々しさ、ブロックフレーテの柔らかい音、ヴィオラ・ダ・ガンバの合奏の質感。

9月6日(土): 昼のニュースでショルティ死去の報せを聞く。

 通販業者からLPが届く。

シュナイダーハン(Vn)シュミット・イッセルシュテット(指揮)モーツァルト;Vn協第4・5番(DGG)
シュナイダーハンのモーツァルトはベルリン・フィル弾き振りの全集が有名だが、これはそれ以前の録音。国内廉価盤で架蔵していたが、独DGGのチューリップ・ラベルで購入したもの。CD化を望みたい。
パールマン(Vn)プレヴィン(指揮)ゴルトマルク;Vn協&サラサーテ;チゴイネルワイゼン(EMI)
愛惜佳曲書の協奏曲で紹介したように、ゴルトマルクは好きな曲。アナログ最末期の録音なので、英盤のLPを探していたもの。EMIの悪い癖でSQエンコードされているのが、ちょっと残念。(注:SQ=ステレオと互換性のある4チャンネル方式。EMIは拡がり感があるとして4チャンネル滅亡後も愛用したが、音場が後ろに引っ込んで響きがもやつく傾向があるので、オーディオ・ファンには不評だった。)

パールマン(Vn)プレヴィン(指揮)ゴルトマルク;Vn協&サラサーテ;チゴイネルワイゼン(EMI)
パールマンはこの頃が心技体そろって最も充実していたのではなかったか。最近の弛緩ぶりが残念。
ロバート・ファーノン(指揮)ガーシュウィン;「ポーギーとベス」管弦楽組曲(DECCA)
ファーノン編曲によるものだが、ドラムスの強調や派手な金管の動きなど、アメリカのポップス・プログラム向きになっていて、原曲の味わいを損なってしまった。私には、ラッセル・ベネット版が好ましい。
『洋楽事始』(東芝)
これを聴き出したが、すぐ次へ。
当間修一(指揮)大阪ハインリヒ・シュッツ合唱団、柴田南雄「宇宙について」(大阪コレギウム・ムジクム)
上のレコードからこれに来るのは、5日の項を見てもらえれば理解いただけると思う。上手だが小粒な演奏。もっと拡がりが出てほしい曲なのだが。京都府民ホール「アルティ」でのライヴ収録だが、あそこは500人程度のキャパシティだし、録音もそういう印象を助長する。「だんじく様の歌」で終わらないのも、少し残念(田中信昭の構成を意識的に避けている?)。
ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)シューベルト;VnとPのための幻想曲(Arion)
ドイツ系のヴァイオリニストとは、やはり、ずいぶん弾き方が異なる。あまり嫋々と歌ったりせず、折り目正しく、かっちりとした演奏。音も綺麗だし、これはこれで面白いが、もうちょっとファンタジーの羽ばたきがほしい。
ヴァッサ・プシホダ(Vn)パガニーニ;Vn協第1番、ヴィニャフスキ;Vn協第2番(Biddulph)
プシホダは良いのだが、さすがに音が貧しいのと(1924年)、SPの制約からかカットだらけなのとで、気持ちが乗り切らない。

昨日の京響定期を演奏会出没表に追加する。


9月5日(金)

 京都市交響楽団第396回定期演奏会(指揮:秋山和慶)に行く。

ハイドン;協奏交響曲HobT-105(Vn:工藤千博、Vc:ピーター・バラン、Ob:呉山平煥、Fg:山本一宏)
独奏はいずれもオーケストラの首席奏者。最近、京響は首席が何人か入れ替わり、その中で、チェロとクラリネットが外国人奏者になった。演奏は手堅いものだったが、一歩突き抜けた愉悦感は出なかった。今年の京響定期は意識的にハイドンを取り上げているのだが、未だし、というところか。
スクリャービン;ピアノ協奏曲(P:伊藤恵
いきなりピアノが、えらく健康的な音色を叩き出し始めたので、おやおやスクリャービンらしからぬ、と思ったが、何のことはない、若書きの曲で、ちょっと肥大したチャイコフスキーかあまり粘らないラフマニノフか、という曲だった。したがって伊藤さんによく合い、馴染みのない曲の紹介としては好適な演奏となった。2楽章のセンチメンタルな歌など、もう少し演奏されてもよい曲ではないかと思う。伊藤さんのアンコールはショパンのマズルカ(作品47)。
スクリャービン;交響曲第4番「法悦の詩」
やはり出てくる音はP協とは全く異なる妖しいもの。とはいえ、聴き進むうちに、ラヴェル(ラ・ヴァルスあたり)かドビュッシー(海あたり)を連想させる書きぶりに気づく。能書ほどには前衛的でないものと思われる。秋山さんにしては粘っこい演奏で、京響も破綻無く熱演し、満足のいく演奏会となった。

 演奏会前の空き時間にレコード屋を覗いたら、珍しいLPを見つけた。

『洋楽事始』(東芝)
江戸時代初期のキリシタンにちなんだ企画物。1枚目は当時長崎で出版された「サカラメンタ提要」という祈祷書に掲載されたグレゴリオ聖歌を、長崎の合唱団が大浦天主堂で録音したもの。2枚目は生月島の隠れキリシタンのオラショ(祈りoratio)と歌オラショを昭和28年と昭和50年の録音で対比し、また原曲と想定されるグレゴリオ聖歌を併録したもの。学生時代に既に入手不可能になっており、公立図書館所蔵品を借り出してテープにコピーし、後に学校勤めをしていた時に「鎖国」の授業に使った記憶がある。なお、これらの歌オラショのいくつかは柴田南雄のシアターピース「宇宙について」に引用されており、殉教者を悼む「だんじく様の歌(あ〜、しばた山ぁ)」で全曲を締めくくる演奏例もあった。
和波孝禧(Vn)北川暁子(P)邦人バイオリン作品集(トリオ)
昭和53年度芸術祭参加と銘打った2枚組LP。三善晃、入野義朗、武満徹、小倉朗、中村太郎、團伊玖磨、原博、石井真木、別宮貞雄によるヴァイオリンとピアノのための作品を収録した貴重なレコードだったが、長く手に入らなかったもの。「芸術祭参加」は、すぐ廃盤になる代名詞だった(上の『洋楽事始』も昭和51年度芸術祭参加レコード)。
ウルザーマー・コレギウム、ルネサンス舞曲集(Archiv)
愛惜佳曲書の音楽史で紹介したCDの独盤LP。

9月4日(木):今日はもう買うものもないだろうと思ったが、CD屋に寄ってみると、やっぱりあるのだった。

マルケヴィッチ(指揮)フィルハーモニア管、プロコフィエフ;交響曲第1番「古典」、チャイコフスキー;「白鳥の湖」組曲ほか(TESTAMENT)
1950年代前半、マルケヴィッチとフィルハーモニア管ともに最盛期にあり、彼らの録音には駄演がないと思う。上記のほか「胡桃割人形」組曲・「ロメオとジュリエット」序曲、ストラヴィンスキーの小品を含む。なお、「白鳥の湖」は伝説の名盤『ディアギレフへのオマージュ』(LP3枚組)に含まれていた演奏。

9月3日(水):音楽之友社から出た『矢代秋雄 音楽の世界』(対談集)を読了。エッセイ集『オルフェオの死』に比べ、構えないで喋っているせいか、興味深い見解が頻出する。例えば、

(ブルックナーの)8番のさ、アダージオの楽章なんてね、全然「トリスタン」だと思わない? 「トリスタン」よ、あれ。(遠山一行と)

私はそれ(自作の交響曲の第1楽章)をオスカー・ワイルドの「サロメ」の序曲のつもりで書いていたのです。なんというかな、ああいう一種のけだるい雰囲気ね、ああいうものを描いてみたかったの。あの1楽章が終わったとこで幕が上がって、だれのセリフだっけ、若いシリアの親衛隊だったかな、「今夜のサロメ王女はなんてお美しいのだろう」ってやつね。あのセリフが始まるつもりで書いたの。(富樫康と)

あれ(「牧神の午後への前奏曲」)の下じきは、ぼくは、ワーグナーの「マイスタージンガー序曲」だと思う。もってきかたがよく似てますよ。ただ、「マイスタージンガー」は昼間の音楽で、「牧神」は夜の音楽かもしれませんけどね。(船山隆と)

 また、「ロマン派ピアノソナタの特質(柳川守と)」、「ショパンの作品におけるフォルムとイデー(小林仁と)」などは、ピアノ曲愛好者には興味深いのではなかろうか。
 御一読をお勧めしたい。

Music BoulevardからCDが届く。

J・パウル(指揮)パレー;交響曲第1番、ジャンヌ・ダルク没後500年記念のミサ曲(ReferenceRecordings)
同社のWebサイトで見て以来半年間、待ちに待った1枚! これまで自作自演しか無かったパレーの代表作に、ついに他人による演奏が登場、これでクレンペラーやドラティを超えた(この2人の交響曲には自演盤しかない)?
ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)シューベルト;VnとPのための作品全集(Arion)
ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)フォーレ;VnとPのための作品全集(Arion)
ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)ストラヴィンスキー;VnとPのための作品集(Arion)
前にドビュッシーが良かったプーレのCDをまとめて頼んだところ、全部入荷。
I・ヴィクセル(Br)J・アーネル(指揮)「スウェーデンのバラード」(MUSICA SVECIAE)
お目当てはステンハンマルの管弦楽伴奏歌曲5曲。
ヴァッサ・プシホダ(Vn)パガニーニ、ヴュータン、ヴィニャフスキ(Biddulph)
これは通販ではなくCD屋で発見、購入したもの。1920年代のSP録音の復刻。ヴィニャフスキのVn協第2番を聴けるのが楽しみ。

9月2日(火):斉諧生は、「読書とは、次に読む本を決めるためのものである。」という金言を愛好しておりますが、CDも同様、1枚買えば、その1枚が次の1枚を導入します。
家人いわく「CDは繁殖する」。

O・シャルリエ(Vn)Y・P・トルトゥリエ(指揮)デュティユ;Vn協「夢の木」(Chandos)
デュティユはアモイヤル&デュトワ盤を買ったばかりだが、浮月斎大人お薦めのトルトゥリエ盤の独奏者が、かねて注目のシャルリエだったので、もう1枚。
T・テデーン(Vc)F・グレスベック(P)シベリウス;チェロ曲集(BIS)
シベリウスなら次から次へと、もう1枚。
ケーゲル(指揮)モーツァルト;ミサK66、K49(Philips)
ケーゲル(指揮)モーツァルト;ミサK258、K262(Philips)
迂濶なことにこのシリーズがケーゲル晩年のものということを知らなかった(昔、LitanyやVesperが出ていたのと混同していたのだ。)。これも浮月斎大人から御教示いただいて、今日、買いに走ったもの。K337が1990年の録音だそうだが、それは見つからなかった。K258と262はモーツァルトのザルツブルグ時代の作で、問題なく購入。で、普通ならケッヘルの2桁番台の曲など買わないが、ケーゲルが録音したからには何かあるのだろう、と、もう1枚。

9月1日(月):輸入盤中心なので、「見つけたときに買ってしまう」戦術を取らざるを得ない。

ヴァッサ・プシホダ(Vn)第2集(Podium)
モーツァルトの協奏曲第3番とドヴォルザークの協奏曲、いずれも1950年代のシュトゥットガルト放響との録音。あまり見かけないレーベルだけに見逃せない。
M・リッツィ(Vn)A・マッフェイ(P)ロータ、C・テデスコ&ピツェッティ;Vnソナタ(Sarx)
演奏者は未知の人だが、20世紀イタリアの佳曲、ピツェッティのソナタの新録は見逃せない。ニーノ・ロータも面白いかも。

8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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