音盤狂日録


2月28日(土): 朝日新聞の夕刊には、ときどきクラシックの演奏会の広告がまとめて掲載される(大阪版)。
 昨日出た中に、かねて鍾愛の若手邦人女性弦楽器奏者の一人、村治佳織のリサイタルが、7月にいずみホールで開かれる旨の告知あり。
 今日、ふと思い立ってネットで検索してみたら、ファンのWebpage等がヒットした。

ELLE ONLINE 現在パリ留学中の村治嬢が、雑誌"ELLE"に連載している「パリ食べ歩き」(!)を掲載。
村治佳織PASTORAL FANTASY ファンのページだが、所属事務所等から情報を仕入れているとのこと。夏のリサイタルも、曲目を含む詳しい情報あり。
村治佳織 UNOFFICIAL PAGE これもファンのページ。

 家人と街へ出たついでにCD屋を覗く。

鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパン、バッハ;カンタータ全集第6巻(BIS)
鈴木師のバッハは全部買うことにしているので、第6巻もさっそく購入。今回は第21番・第31番を収録。
もっとも、最近出たのは、いわゆる「積ん読」状態だが。

 音盤聴取にまとまった時間を割けない週末が続いているが、隙間を見つけて懸案の比較試聴。

カーメン・ドラゴン(指揮)ハリウッド・ボウル管、ショパン(グラズノフ編);軍隊ポロネーズ(EMI)
オンドレイ・レナルト(指揮)チェコスロヴァキア放送ブラティスラヴァ響、ショパン(グラズノフ編);軍隊ポロネーズ(NAXOS)
アルトゥール・ルービンシュタイン(P)、ショパン;軍隊ポロネーズ(BMG、r.1964)
先日から何度か書いている軍隊ポロネーズの管弦楽編曲、「愛惜佳曲書」掲載の推薦盤を入れ替えるかどうかの検討を行った。
結論としては、ドラゴン盤が推薦盤の地位防衛に成功。録音は古ぼけているが、演奏は一段優っている。
主部では金管・打楽器を極力抑え(レナルトとは違う楽譜を使っているのではないかと思ったほど)、中間部の金管を鮮烈に際立たせる。しかも、その金管を支える弦合奏の扱いが素晴らしい。レナルト盤では単なるブンチャッチャだが、ドラゴンはアクセントとクレッシェンドをつけて見事な生命感を表出している。これには感服。
もっともスタジオFROHLA(レナルト&新星日響のマーラーをリリース)の山崎さんからの情報では、NAXOS盤はレナルト自身にも知らされぬままのリリースとか。計画中というスロヴァキア・フィルとの新録音に期待したい。

2月27日(金): 産経新聞の毎月最終金曜夕刊にはクラシックのディスク情報が掲載される。今日の紙面では広上淳一(指揮)日本フィル、ベートーヴェン;交響曲第7番(日本フィル自主製作盤)が紹介されていた。
 この盤、斉諧生も架蔵しているが、なかなか、熱の出そうな演奏である。第3楽章のテンポ設定など、実に大胆というか、破天荒と言いたいほど。
 オーソドックスでない演奏が好き、という向きには是非お薦めしたい盤である。入手については日本フィルのWebpageからメールを送って問い合わせると良いと思う。

 

ギュンター・ノイホルト(指揮)ロイヤル・フランダース・フィル、ブルックナー;交響曲第4番(NAXOS)
BBS"ナニワ音盤道"を覗いたときに、どなたかが「ノイホルトの4番は是非盤」と褒めておられたので気になっていた。CD屋で手に取ると、オーケストラが「電網四方八通路」で紹介しているロイヤル・フランダース・フィル、これは面白いと購入。
なお、ノイホルトは現在ブレーメン・フィルの音楽監督だが、1986〜91年の間、フランダース・フィルのシェフだったそうだ。
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ロサンゼルス・フィル、ブルックナー;交響曲第4番(Sony Classical)
BBS"ナニワ音盤道"には「サロネンの部屋」というのもあるそうだが、先日聴いて良かったラトルの7番同様、若手指揮者がどんなブルックナーを振るのか、興味津々で買ってみた。
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)BBCフィル、デュカ;交響曲ほか(CHANDOS)
ラヴェルを聴いて以来、注目しているトルトゥリエ。ふとCD屋の棚にデュカを見つけたので購入。
この曲、録音が不当に少ないと思う。マルティノン(EMI)とフルネ(DENON)くらいしかないんじゃないか。しかも、DENON盤など、フィルアップの「魔法使いの弟子」がメインみたいな帯だった。
スティーヴン・イッサーリス(Vc)ロジャー・ノリントン(指揮)ハイドン;Vc協・協奏交響曲ほか(BMG)
注目のチェリストの一人、イッサーリスの新録音を購入。ノリントンが振っているのは、珍しくヨーロッパ室内管。協奏交響曲の他のソリストは、ダグラス・ボイド(Ob)、マシュー・ウィルキー(Fg)ら、オケのメンバーである。このあたりは昔、ASVにシャーンドル・ヴェーグやアレクサンダー・シュナイダーの棒でモーツァルトの協奏曲等を録音していた名手。
ピーター・ウィスペルウェイ(Vc、指揮)パオロ・ジャコメッティ(P)ほか、シューマン;Vc協&ヒンデミット;VcとPのための3つの曲ほか(CHANNEL CLASSICS)
これも注目のチェリストの一人、ウィスペルウェイの新録音を購入。協奏曲の付けはオーストラリア室内管とネーデルラント管楽アンサンブルの合同チームという妙な録音。

2月26日(木): 雑誌「ぱそ」@朝日新聞社の最近号に、斉諧生御贔屓のヴァイオリニストの1人、和波孝禧さんが紹介されているのを書店で立読み。目の不自由な方ゆえ、パソコンを利用されているのは不思議ではないが、ホームページもお持ちとか。
 URLは http://www.music.co.jp/~wanami/

 退勤後、大あわてで1軒だけCD屋を覗いた。

ファビオ・ビオンディ(Vn)オルガ・トヴェルスカヤ(Fp)モーツァルト;VnソナタK.306・380・454(OPUS111)
ビオンディは、斉諧生にとってまだ謎のヴァイオリニスト。一般には評判になったヴィヴァルディ(「四季」他)は騒々しいだけでちっとも良いと思わなかったが、"The Poet Violinist"と題された無伴奏曲集などは、しっとりとした滋味あふれる演奏で、誠に素晴らしかった。とても同じ人とは思えないくらい。
この、初のモーツァルト・アルバム、果たしてどちらのビオンディ?

2月25日(水): ようやく小林淳(著)井上誠(共編)『伊福部昭の映画音楽』(ワイズ出版)を読了。通勤電車で読むには少々かさばる本だった。
 誤植ないし初歩的な誤りも散見され(例:「特殊奏法に、ヴァイオリンが奏でるスブポンティチェリというのがある」193頁。正しくは「スル・ポンティチェロ」)、音楽美学的な視点もあまり感心しない。伊福部の談話が満載されていること、フィルモグラフィ、「総譜情報一覧」等、資料的に貴重な価値がある、というにとどまろう。
 中で面白かったのは、『ゴジラ』(1954年)の中心的なテーマ、あの「ドシラ、ドシラ、ドシラソラシドシラ、…」は、「本来は人類がゴジラに立ち向かっていく英知を謳う主題だった」のだそうな。
 斉諧生は、ずっと、あれは怪獣ゴジラのテーマで、「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラが出たゴジラ、…」という歌詞が裏にあるものだと思い込んでいたのだ。
 そういえば、1954年版『ゴジラ』では、あの音楽が怪獣ゴジラの動きに付けられていた場面はなく、むしろゴジラ迎撃の準備を進めるシーンに付いていたような気がする。
 で、読み進めると、『メカゴジラの逆襲』(1975年)で初めて「ドシラ、…」のテーマが怪獣ゴジラのライト・モチーフとして使われ、『ゴジラ対キングギドラ』(1991年)以降『ゴジラ対デストロイア』(1995年)までの、いわゆる「平成ゴジラ」シリーズでそれが定着した、とある。(このあたりになると映画は見ていないのだが、CM等でインプリントされたのだろうか?)
 なお、ラヴェル;ピアノ協奏曲の第3楽章第2主題が、このテーマに酷似している。(^^)

 早めに退勤してCD屋を覗いて帰宅すると通販業者からLPが大量に届いた。

クルト・ザンデルリンク(指揮)フィルハーモニア管、ベートーヴェン;交響曲全集(EMI、LP8枚組)
たしか「デジタル録音による初のベートーヴェン全集」で(録音は1981年)、輸入盤が入ってきたときには多少の話題になったが、国内盤では1982年にバラで3、6、8・9番が出たまま、あまり評判にならずに消えてしまっていた。その後も、輸入盤でさえ全部はCD化されていない。ザンデルリンクの冷遇かくのごとし。
実は斉諧生も発売当時は無視してしまったのだが、最近のザンデルリンクの芸境の高さからして、これも聴かねばと気にしていたところ、バーゲン価格でカタログに出たので購入したもの。
斉諧生は、デジタル録音はCDで聴くことを原則にしてきたが、これは上記のとおり全部は出ていない。それに、最近、CD登場以前のデジタル初期録音はLPの方がいいかもしれない、と思っている。
エリック・トゥグセン(指揮)デンマーク国立放送響、シベリウス;交響曲第5番ほか(DECCA、LP)
ニールセンのスペシャリスト、トゥグセンによるシベリウス。トーマス・イェンセンによる組曲「カレリア」をカプリング。
シベリウスの交響曲は(特に3番以降)、できるだけ集めるようにしており、初期の再発盤がバーゲン価格でカタログに出たので購入したもの。
トーマス・イェンセン(指揮)デンマーク国立放送響、シベリウス;4つの伝説曲(DECCA、LP)
ニールセンのスペシャリスト、イェンセンによる、いわゆる「レミンカイネン」組曲。
イェンセンはニールセン;交響曲第5番(DUTTON)「愛惜佳曲書」に掲載している指揮者なので、シベリウスも聴いておきたく、バーゲン価格でカタログに出た初期の再発盤を購入したもの。
レジナルド・グッドール(指揮)ENO、ワーグナー;楽劇「神々の黄昏」(EMI、LP6枚組)
ENO(イングリッシュ・ナショナル・オペラ)製作のライヴ録音で、ENOらしく英語歌唱。このため、ずっと下手物扱いされてきた盤である。
以前HMVで配布していた「はんぶる」にグッドールのバイオが紹介されたことがある。なんでも、カルロス・クライバーがコヴェントガーデン客演のおりにグッドールを訪ねて、彼の『指環』を愛聴していることを情熱的に語っていった、とか。それ以来、グッドールのワーグナーが気になっている。
CHANDOSからCDが出ている1972年録音の『黄昏』抜粋は、オーケストラも非力で、あまり良くない。一方、DECCAから出た『トリスタンとイゾルデ』(1980〜81年録音、CD化)はなかなか良く、EMIの『指環』も−特に斉諧生が最も好む「黄昏」を−聴きたく思っていた。
CDでも出ているが、フル・プライスで手が出づらかったところ、LPがバーゲン価格でカタログに出たので購入したもの。
なお、1977年録音ながら、昔流行ったSQ(4チャンネル)エンコード盤。あまり好きではないが、やむを得ない。
ミヒャエル・イェルデン(Vn)ファビアナ・ビアシーニ(P)、ブラームス;Vaソナタ第1・2番(Vn編)&シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ(Vn編)(HERA)
ここからはCD。
Va曲のVn編という珍品だが(編曲者等の詳細は不明)、アルペジオーネなら聴いてみたいと思い購入。
ヴァイオリニストは知らない名前だが、ライナーによれば1971年シュトゥットガルト生れ、リカルド・オドノポソフやワレリー・クリモフに学んだとか。
レーベルも初耳だが、これもシュトゥットガルト所在。
武久源造(Org等)バッハ;インヴェンションとシンフォニアほか(ALM)
「シフォーチの別れ」(AEOLIAN)以来愛聴している武久氏の新盤。
いわゆる「2声と3声のインヴェンションとシンフォニア」(BWV772〜801)に前奏曲(BWV924〜942あたり)を加え、同じ調性のものをグループにして、ハ長調からイ短調まで調号の少ない方から配列し、オルガン、チェンバロ、クラヴィコードで弾き分けたというもの。
ジャケット等、いつもながらの丁寧な造りに感心する。

2月23日(月): 楽譜売場でニールセン;交響曲第5番(SKANDINAVISK MUSIKFORLAG)のミニチュア・スコアとショパン;ピアノ曲選集(ヘンレ原典版、音楽之友社)を購入。
 ニールセンは「愛惜佳曲書」に取り上げた曲、ぜひスコアを使って主要な録音をチェックしたく、値段も、この手のマイナーな近代曲としては、そう高くなかったので、購入。
 ショパンは、先日から取り上げている「軍隊ポロネーズ」を検討する材料として。もちろんグラズノフの譜面がほしいが、ちょっと入手は困難か。

 

タピオラ室内合唱団ほか、シベリウス;混声・女声・童声合唱曲全集(FINLANDIA)
「愛惜佳曲書」に掲げた「恋する人」の混声合唱版や、有名な「フィンランディア讃歌」(これは決定稿と異版を収録)を含んでおり、入手せざるべからず、と購入。

2月22日(日): 18日に書いた「レ・シルフィード」について、ネット等で調べてみた。
 結論は、「レ・シルフィード」には様々な異版があり、現在一般に行われているヴァージョンには「軍隊ポロネーズ」は含まれていない、ということである。
 ディアギレフのロシア・バレエ団初期の振付師ミハイル・フォーキンが最初に手掛けたのは、グラズノフが編曲した4曲による「ショッピニアーナ」で、フォーキンの依頼によりグラズノフはワルツ(嬰ハ短調、作品64-2)を追加した。
 ディアギレフのアイデアで「レ・シルフィード」と改題し、人気の演し物となってからは、様々な作曲家に次々と新しい編曲を委嘱した。ケーラーリャードフタネーエフチェレプニンストラヴィンスキーラヴェル等々。
 このため、上演のつど異版が発生するといってもいいような状態となり、その過程で「軍隊ポロネーズ」は演奏されなくなっていった。現在のバレエ界の慣行としては、これを含む版は「レ・シルフィード」とは呼ばず、「ショッピニアーナ」とするようになっているとのことである。

 Compact Disc CollectionからCDが届く。

ナサニエル・ローゼン(Vc)エミール・タバコフ(指揮)ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番ほか(John Marks)
ナサニエル・ローゼン(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(John Marks)
ローゼンの名前は、カザルスが振ったマールボロ音楽祭管の楽員名簿でよく見ていた。バッハが良いらしいとの情報に接し、ネットで検索してみたらJohn Marks Recordsのサイトを発見、ショスタコーヴィッチの1番を録音しているとあっては買わざるべからずと注文していたもの。
オーケストラはブルガリアのソフィア・フィル、カプリングはロココ変奏曲ほかのチャイコフスキー;Vc曲集。
協奏曲のディスクはブルガリアの現地録音のようだが、バッハの方は20ビット・オーバーサンプリングで、録音機材等の詳細な説明もあり、オーディオファイルも狙った盤のようだ。
ローゼンの師匠はピアティゴルスキーだそうな。1978年のチャイコフスキー・コンクールで優勝したというから、カザルスの録音に参加していた頃は学生だったのだろう。

 愛惜佳曲書の「軍隊ポロネーズ」の項を再度訂正する。


2月21日(土): 京都の新星堂は輸入盤がほとんど無いので、普段は行かないのだが、今日はそこが主目的。
 販促誌に長谷川陽子さんのインタビューが掲載されているとチェリスト長谷川陽子の部屋で教わったので、それを取りに行くためである。
 「企業秘密(笑)」とのことで詳細は不明だが、どうやらバッハ;無伴奏Vc組曲が録音の日程に上っているらしい
 楽しみ楽しみ。

 

アリシア・デ・ラローチャ(P)モンポウ;「歌と踊り」ほか(BMG)
「愛惜佳曲書」に掲げた「歌と踊り」、デ・ラローチャの新盤(といっても発売は3年以上前だが)を、ようやく購入。

2月20日(金): 『レコード芸術』誌3月号の特集は「クラシック21世紀−次代のトップを読む」、チェリストの項に長谷川陽子さんの名前が挙がっていて、とりあえず嬉しい。

 

ユッタ・ツォフ(Hp)ジークフリート・クルツ(指揮)ボワエルデュー;Hp協&ヒナステラ;Hp協(Berlin Classics)
2月15日の項にデュセック;Hpソナタの聴き比べで触れたツォフについて、ヒナステラも面白いと浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人から御推薦いただいたので、購入。
マルティン・パールマン(指揮)ボストン・バロック、モンテヴェルディ;聖母マリアの晩課(Teralc)
バッハ以前の音楽史上の最高峰、モンテヴェルディの「晩課」。LP時代と違って毎年のように新録音が出るが、買い揃えざるべからず。

2月18日(水): 京都新聞本日付け夕刊に井上道義氏が先月23日のウーヴェ・ムント(指揮)京都市響、ブルックナー;交響曲第8番の演奏について書いていた。

実に自然体の指揮、テンポも心地よく無理がない。何よりオーケストラが最近の実力の高まりを最大限に発揮した最高の出来。うれしいです。ホント。ゴタゴタしていた「解任劇」も、終わりよければすべてよしになりそう。

 探求盤を手に取れば思わずアレッと…

オンドレイ・レナルト(指揮)チェコスロヴァキア放送ブラティスラヴァ響、グラズノフ;バレエ音楽「レ・シルフィード」ほか(NAXOS)
いや、顔から火が出る思いです。恥ずかしい。
2月12日の項に次のように書きました。
『「愛惜佳曲書」に掲載したショパン(グラズノフ編);軍隊ポロネーズ。(中略)グラズノフ;組曲「ショピニアーナ」の第1曲こそ、その曲である。』と。
で、MusicBoulevardで検索したら、NAXOSの「胡桃割り人形」(全曲)に「ショピニアーナ」がカプリングされているというので、今日、それを店頭で見つけたのです。
ところが、こう表記されているではありませんか。『GLAZUNOV:Les Sylphides(Chopiniana)』と。
ちょっと待て、「レ・シルフィード」ならそこそこ有名な曲じゃないか、しかも、ディアギレフのロシア・バレエ団得意の演目として、マルケヴィッチ(指揮)「ディアギレフへのオマージュ」に「マズルカ」が収録されているのである!
いや、お恥ずかしい。「レ・シルフィード」を聴いたこともないというのが明々白々。それを何やら珍しい曲のような顔をして痴れ痴れと書いていたとは、穴があったら入りたい…。m(__)m
ヘンリク・シェリング(Vn)チャールズ・ライナー(P)「リサイタル」(PALEXA)
初めて名前を聞くレーベルだが、シェリングの1979年12月6日ピッツバーグでのライヴ録音とのこと。
ライナーノートにはピアニスト自身がヴァイオリニスト追憶の文章を寄せており、正規のリリースと判断できる。
ベートーヴェン;Vnソナタ第7番バッハ;無伴奏Vnパルティータ第3番といったシェリングの表芸というべきレパートリーの他、ポンセ;短いソナタシマノフスキ;夜想曲とタランテラミヨー;春といった、やや珍しい小品を含んでいる。
これは楽しみ。

 上記のとおり、誤りが判明したので愛惜佳曲書の「軍隊ポロネーズ」の項を訂正する。


2月17日(火): 

 ザ・シンフォニー・ホールでの関西フィルハーモニー管弦楽団;第125回定期演奏会を聴いてきた。
 お目当ては長谷川陽子さん独奏のショスタコーヴィッチ;チェロ協奏曲第1番
 今宵の長谷川さんは、曲趣に合わせた黒のドレス。白い肩が眩しいが、二の腕にかけてのたくましさは、さすがにプロのチェリスト。
 プロと言えば、普段の長谷川さんは、「ひまわり」ホームページでも知ることができるとおり、温厚柔和、誠実なお人柄で親しみ深いが、今日の演奏では、まさにプロフェッショナルの凄さ・怖さというものを、まざまざと見ることができた。
 この曲の第3楽章はまるまる独奏チェロのカデンツァ。静かなモノローグで始まるが、ロストロポーヴィッチにはめて書いただけあって、後半では超絶技巧の連続となる。ここでの長谷川さんは鬼神の如き集中を見せ、表情もまるで別人。途中、客席で携帯電話が鳴るハプニングもあったが、彼女は気がつかなかったのではないか。
 第4楽章コーダでも、弓の持ち方を、何というのか、ダンゴ握りにして、猛然とラストスパート。凄まじいテンションで押し切った。
 いや、すごい人です。ますますファンになりました。
 もちろん物凄いばかりではない。第2楽章でのショスタコーヴィッチ独特の深くて屈折した抒情的旋律、終結近くでのハーモニクス奏法の完璧さとこの世のものとも思えぬ幻想味。第3楽章カデンツァ冒頭の深々としたモノローグ。いずれも聴く人の心をうたずにはいないものがあった。
 惜しむらくは、両端楽章、特に第1楽章ではホールの響きと曲趣がマッチせず、ショスタコーヴィッチ一流の音の運動性が十全に発揮されなかったこと。これはホルンの技術的限界も災いした模様(この曲の編成は、金管はホルン1本のみ。)。

 今日の関西フィルを演奏会出没表に追加する。


2月16日(月): 

 

アレクサンダー・ギブソン(指揮)スコットランド国立管ほか、マーラー;「大地の歌」(EMI)
ギブソンは逸匠列伝で取り上げるリストに入れている人なので、買おうかどうしようか迷っていたが、浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人から御推薦いただいたので、購入。
シベリウス指揮者のマーラーは面白いのかもしれない。両方よく振った・振る人としてはバルビローリ、ザンデルリンク、デイヴィス、マゼール、ラトルあたりがいる。
ナージャ・サレルノ・ゾネンバーグ(Vn)「ユモレスク」(Nonsuch)
ピアノ伴奏の小品集と思っていたら、よく見るとアンドリュー・リットン(指揮)ロンドン響が付けている曲がほとんどで、歌も混じっている。フランツ・ワックスマンが音楽を担当した「ユモレスク」という映画のサントラを再現したような盤らしい。もとの映画の音楽でVnソロを弾いたのが若き日のアイザック・スターンだったとか。
アルモ・サキソフォン・カルテット、「ブリティッシュ・ウィンズ」(マイスター・ミュージック)
なんとブリテン;シンプル・シンフォニーをSax四重奏に編曲。店頭の試聴機で第2楽章「プレイフル・ピツィカート」を一聴したが、なかなか面白そうで、録音も特製マイクのワン・ポイント録音&ハード・ディスクによるダイレクト・カッティングと面白そうなので、買ってみた。

2月15日(日): 京都市交響楽団の来年度の主催公演の予定が、ようやく発表になったようだ。

 http://www.sm.rim.or.jp/~horin/orchestra1.html

 昨14日の京都新聞夕刊に新・音楽監督ウーヴェ・ムントのインタビュー記事が掲載されていた。それによれば

 「京響は例えてみれば、F1カーの能力はある。でも、レースに出場するにはタイヤが2本足りない」と指摘し、
 ・楽員の増員(現在の定員87名→最低限97名)
 ・楽員の待遇改善
 ・良質の楽器を増やす
 ・コンサートホールでの練習回数の増加
と多くの課題を挙げた。

とのこと。

 うーん、危ないなぁ。
  やる気→行政要求→市当局と衝突→短期間で辞任
というパターンが見えてくる。

 

サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響ほか、マーラー;交響曲第4番(EMI)
珍しく(^^;、買ったばかりの大曲を聴く。
第1楽章から各楽器が明快に鳴っており、実に元気なマーラー。ティンパニのアクセントなど面白い(11分過ぎあたり)。
第2楽章も独奏ヴァイオリンの大柄な表情、木管のソロの絡み合いをくっきり表出して音彩がカラフル。
第3楽章は一転して、表情を抑制してしかも情趣の深い音楽。ブルックナーの緩徐楽章につながる世界を築いている。そしてフィナーレの予告の部分では大きく解放して世界を一変させる。(第4楽章は、まぁ、だれが振っても、…ね。)
前のブルックナー;交響曲第7番同様、Vnを両翼に配置。
いわゆるマーラー・ファンは嫌がるかもしれないが、無類に面白い。いよいよラトルからは目が離せなくなってきた。
サイモン・ラトル(指揮)フィルハーモニア管、シベリウス;交響曲第5番(EMI)
ラトルはバーミンガム市響とシベリウスの全集を録音しているが、EMIデビュー直後にフィルハーモニアと第5番だけを録音していた(フィルアップに「夜の騎行と日の出」)。CDではニールセン;交響曲第4番とのカプリングで出ているが、久し振りに聴き、バーミンガム盤と比較してみた。
オーケストラの技量はフィルハーモニアが上だが、ラトルの棒や録音では明らかに新盤が優れている、というのが結論。
録音は各々1981年10月と1987年2月、5年ちょっとしか経っていないので、基本的な解釈は同じだが、自信というか積極性というか、新盤の方が伝わってくるものがある。
旧盤も、決してシベリウスの音楽を損なうようなことはないが、まぁ、大人しいだけで魅力には乏しい。録音も音像が遠く、音の鮮度も低い感じ。LPで出たときは「おっ、さすがデジタル。鮮烈な録音。」と思った記憶があるが、今となっては…(バーンスタイン&NYPのショスタコーヴィチ;交響曲第5番の東京文化会館ライヴも、LPで初めて聴いたときと今のCDで聴くのと、印象が全然違う。どうしてだろう?)
オスモ・ヴァンスカ(指揮)ラハティ響、シベリウス;劇音楽「ベルシャザールの饗宴」(BIS)
2曲目の「ノットゥルノ」がFlソロの美しい佳曲。
BISではヤルヴィが組曲版を録音していたが、ヴァンスカは全曲版の世界初録音とのこと。「ノットゥルノ」を比べてみたが、一長一短。
奏者の技量はヤルヴィ盤が上、シベリウス独特の清冽さはヴァンスカ盤がより良く表現している。まず、どちらを聴いても間違いはない。
ヴァンスカ盤のフィルアップに「伯爵夫人の肖像」という3分半ほどの弦楽合奏曲が入っており、これも美しい旋律と高雅な感傷の佳曲であった。こういう曲があるからシベリウス・ファンはやめられない。
アルテュール・グリュミオー(Vn)モーツァルト;Vn協第5番(Philips)
グリュミオーの美音の洪水と言いたいところだが、CD化で解像度が上ったのはよいが、ややメタリック、またところによっては音が揺れる。マスター・テープが劣化していたのかもしれない。
昔買った国内廉価盤LPをかけてみたが、こちらの方がむしろ自然。まだまだ手放せないようだ。
ピエール・アモイヤル(Vn)ほか、「ヴァイオリンの歴史的名器」(ERATO)
アマティ、ストラディヴァリ(4挺)、グヮルネリ・デル・ジェス、いずれも特徴ある美音に聴き惚れる。アマティの渋さ、ストラッドの華麗、グヮルネリの陰影ある表現力。もちろんアモイヤルの音が美しいということもあろう。
ところで、この盤とは反対に、「1挺のヴァイオリンを何人かのヴァイオリニストが弾き分ける」という企画があっても面白いと思うのだが。
レジ・パスキエ(Vn)カトリーヌ・ミッシェル(Hp)ボッケリーニ;ソナタop.5(ARION)
パスキエの音も美しい。中音域の落ち着いた感じが良く、重音奏法での和音も決まっている。曲も佳い。
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)ほか、ヴィヴァルディ;ソナタ集「忠実な羊飼」(BMG)
シェレンベルガーの音に陶酔。麻薬的な美しさ。
曲はヴィヴァルディ的ワンパターン。
エリザベト・フォンタン(Hp)「京都リサイタル」(ファウエム)
ユッタ・ツォフ(Hrp)「ヴィルトゥオーゾ・ハープ音楽」(Berlin Classics)
エリカ・グッドマン(Hp)「ザ・ヴィルトゥオーゾ・ハープ」(BIS)
マリサ・ロブレス(Hp)「子供のころの小品」(ARGO、LP)
4つ並べたのは、いずれも「愛惜佳曲書」に掲げたデュセック;ハープ・ソナタ(ハ短調)を収録している盤。
フォンタン盤しか架蔵していなかったところ、最近、他の3つを入手したので聴き比べ。
結果としては、旧蔵のフォンタン盤が、やはり図抜けている。第1楽章の愁色、第2楽章の無為の滋味、第3楽章の玲瓏玉の如きロンド主題。
次いではツォフ盤か。落ち着いたテンポ・リズムで、この曲がボヘミア産であることが、わかるような気がする演奏。
グッドマン盤は第1楽章が快速過ぎて情緒を損ない、ロブレス盤は第2楽章での作為が煩わしい。
いずれの盤であれ、とにかくこの曲は、いい。第3楽章のロンド主題など、黙って聴かせれば皆がモーツァルトと間違うと思う。

お知らせ:サーバーのスペースがいよいよ窮屈になってきました。とりあえず、パレー・ディスコグラフィのジャケット画像を外します。誠に申し訳ありませんが、しばらく御了解ください。
来月中をめどに、スペース問題を解決して、より美しい画像をアップする予定です。 (2月15日)


2月14日(土): ポール・パレーのディスコグラフィは独自の企画と思っていたが、アメリカにもっと凄いページがあった。
 Brendan Wehrung氏の"HISTORIC CONDUCTORS ON COMPACT DISC"中のページ。
 テキストだけの簡素な作りながら、SP録音の情報もちゃんとしてるし、斉諧生未架蔵(というか、あることすら知らなかった)晩年のライヴのLPが載ってるしで、もう完全に脱帽である

 Compact Disc CollectionからCDが届いた。注文したときには気づかなかったが、ことごとく浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人のHPで見たか、御教示いただいたディスクである。多謝。

ラヨシュ・レンセシュ(Ob)ウリ・セガル(指揮)ほか、フランセ;「花時計」ほか(cpo)
近頃、Ob盤をよく買っている。カプリングのオネゲル;コンチェルト・ダ・カメラも佳曲だそうだ。
なお、独奏者氏名の日本語表記には自信なし。原綴はLajos Lensces、ハンガリー出身とか。
トッド・ウィルソン(Org)デュルフレ;オルガン曲全集(DELOS)
本当はオリヴィエ・ラトリー盤(BNL)が一番だそうだが、どうも見つからないので、次席のウィルソン盤を注文したもの。
ユッタ・ツォフ(Hrp)「ヴィルトゥオーゾ・ハープ音楽」(Berlin Classics)
「愛惜佳曲書」で取り上げ、最近、グッドマン盤(BIS)やロブレス盤(DECCA)を買っているデュセック;ハープ・ソナタ(ハ短調)が収録されているのを、浮月斎大人から御教示いただいて注文したもの。
なお、近日中に各盤を聴き比べる予定。
マシュー・ベスト(指揮)コリドン・シンガーズほか、フィンジ;カンタータ「生誕の日」ほか(hyperion)
原題は"Dies Natalis"、クリスマスを祝う詩に付曲したもの。

 長野五輪の中継を見たりして、あまり聴けない日だった。

ユハ・カンガス(指揮)オストロボスニア室内管、「アダージェット」(FINLANDIA)
グリーグ;「2つの悲しい旋律」を除いて、まず無名の曲ばかりだが、中ではニールセンの2曲(「ボヘミア・デンマークの民謡」、「若い芸術家の棺架に」)が充実した書法で聴き応えがある。
指揮者ロベルト・カヤヌスの2曲も、なかなか優れた曲だった。
シプリアン・カツァリス(P)グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」ほか(TELDEC)
感傷に溺れず、それでいて抒情にも欠けない。ガボットやフィナーレには独特のアイデアも見られ、聴いていて飽きない。
風土感は薄いが、ひとつのスタイルとして完成度の高い演奏だと感じた。

2月13日(金): 面白そうな本を買ってきた。
 小林淳(著)井上誠(共編)『伊福部昭の映画音楽』(ワイズ出版)。本文2段組み280頁、資料編30頁の大著である。
 著者あとがきに曰く、「伊福部昭の映画音楽に関しての本を書く。これは私の映画・映画音楽研究という面だけにとどまらず、自分の人生においての大きな目標の一つであり、夢でもあった。」
 人生を賭けた一冊。これは読まねば。

 通販業者にえらく高価なLPのオーダーを出してしまった。清水の舞台から跳び下りる気になったからには、もちろん喉から手が出る盤なのだが、うーん、他の人に売れてしまっていてほしいような、そんな気もする。(^^;;;

サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響ほか、マーラー;交響曲第4番(EMI)
正月に聴いたブルックナー;第7交響曲が良かったラトル。金言「ブルックナーとマーラー、両方よくする指揮者はいない」に挑むかのように、マーラーをリリース。楽しみ楽しみ。
独唱はアマンダ・ルークロフトという人。
ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮)ロシア国立響ほか、シュニトケ;交響曲第2番「聖フロリアン」(CHANDOS)
最近ロシアから出てきた指揮者の中で最も注目しているポリャンスキー。シュニトケも第2番、第4番あたりを聴いてみたかったところ、ワゴン・セールでバーゲン・プライス、シメシメと購入。
ヴァッサ・プシホダ(Vn)第1集(PODIUM、LP)
CDで出た第2集以後は架蔵済み。LPのみで出た第1集が再プレスされたらしく入荷していたので、少々高い値付けには目を瞑って購入。
ヴィニャフスキ;Vn協第2番と小品を収録。

2月12日(木): 「愛惜佳曲書」に掲載したショパン(グラズノフ編);軍隊ポロネーズ。あそこではドラゴン盤を挙げ、「最新録音が欲しいところだ。」と記したが、それが現れた。
 店頭に国内盤が並び始めたアシュケナージ(P)ショパン;P協第1番のフィルアップ、グラズノフ;組曲「ショピニアーナ」の第1曲こそ、その曲である。
 備え付けの試聴機で少し聴いてみたが、うーん…。
 とはいえ稀少な録音ゆえ、輸入盤が出回ったら買うだろう、きっと。(^^;

 

シャルル・ミュンシュ(指揮)ボストン響、ベルリオーズ;幻想交響曲(BMG)
待望のミュンシュ&ボストンの「幻想」が、LIVING STEREOシリーズで復刻された。これは買うしかない。
同コンビの「幻想」は2種あり、これは古い方の54年録音盤(新しい方は62年録音)。ステレオLPの初発売は1958年初めとされるから、それ以前の録音である。
ステレオの先鞭は映画界がつけた。1953年以降のシネマスコープ映画が、ワイドスクリーンの迫力を更に効果的にするために、マルチチャンネル・ステレオフォニック・サウンドを導入したのである。
これと並行して商品化が進んでいたのが録音テープである。いわゆるミュージック・テープが発売されたのが1950年、1954年にはそれがステレオになり、1956年にはRCA社がステレオのミュージック・テープを発売する。
カタログの第1番は1954年3月録音のライナー(指揮)R・シュトラウス;「ツァラトゥストラはかく語りき」。54年11月録音の「幻想」は、第6番だった。
以上、岡俊雄;『マイクログルーヴからデジタルへ(下)』(1981年、ラジオ技術社)がネタ本でした。
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn、指揮)サン・サーンス;Vn協第1番ほか(BIS)
カントロフ弾き振りのサン・サーンスVn曲集。珍しい第1番(昔チョン・キョンファがラロ;スペイン交響曲のフィルアップに録音したことがある)の他、「序奏とロンド・カプリチオーソ」・「ハバネラ」等の有名曲も収録。
御贔屓のヴァイオリニスト、カントロフの新録音ゆえ、迷わず購入。
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)ほか、ヴィヴァルディ;ソナタ集「忠実な羊飼」(BMG)
シェレンベルガーの録音としてはかなり早い時期、1981年のヴィヴァルディ。オイロディスク原盤で、LP末期にはデンオンから発売されていた。
この曲集、通常はフルートかリコーダーで演奏されるが、ヴァイオリン、オーボエ等でも可とされている。
ペーター・マーク(指揮)パドヴァ室内管ほか、モーツァルト;ミサ曲ハ短調K.427(ARTSA)
中古音盤堂奥座敷試聴会第2回で論じたマークのモーツァルト、今回は「ハ短調ミサ」。これも買うしかない盤である。
斉諧生の好みとしては「戴冠式ミサ」か「レクイエム」から録音してほしかったところだが、まぁ、これはこれで楽しみ。

2月11日(祝): 本棚の奥から手塚治虫『ルードウィヒ.B』(潮ヴィジュアル文庫版)を*発掘*して再読。

 珍しいことにピアノ・ソロをいっぱい聴いた。

ミハイル・プレトニョフ(P)ベートーヴェン;変奏曲・バガテル集(DGG)
中古音盤堂奥座敷試聴会の次回盤。これとの聴き比べで、つぎの3盤も。
ヴァレリー・アファナシェフ(P)ベートーヴェン;バガテル集(DENON)
エリック・ハイドシェック(P)ベートーヴェン;自作の主題による6つの変奏曲(テイチク)
宮沢明子(P)ベートーヴェン;11の新しいバガテル集ほか(Venus)
ギュンター・パッシン(Ob)ヘルムート・ミューラー・ブリュール(指揮)ディッタースドルフ;Ob協ほか(schwann)
茂木大輔の著書によれば、パッシンはライプツィヒ出身だが、ベルリン封鎖の頃に旧西独に亡命したとか。1968年録音のこのLPからは、なるほどゲヴァントハウスあたりに近い音色が聴ける。
収録された4曲の中ではプラッティのト短調の曲が、調性にふさわしい悲劇的音彩を帯びていて、聴き応えがあった。
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)エゴン・モルビッツァー(Vn)ハルトマン;Vnと弦楽オーケストラのための葬送協奏曲(ETERNA、LP)
カレル・アンチェル(指揮)アンドレ・ジェルトレル(Vn)ハルトマン;Vnと弦楽オーケストラのための葬送協奏曲(Supraphon、CD)
葬送協奏曲のことを、ずっと戦後の作品(第2次大戦を反映した曲)と思い込んでいたが、1939年の作曲とのこと(1959年改訂)。もちろん反ナチズムの表明だ。
まともに聴くのはたぶん初めてなので、2つの盤を続けてかける。演奏自体はモルビッツァー盤の方が、独奏・オーケストラとも曲への共感度や緊張感の点で上回る。
ただし、期待に反して、あまり優れた作品とは思えない曲だった。前に聴いた第4交響曲(1947年)より技法的にもかなり保守的、音楽の凝集度も(題材にしては)低いと思われる。
インゴ・メッツマッハー(指揮)バンベルク響、シェーンベルク;ワルシャワの生き残り(EMI)
この録音には正直申して落胆。男の語りと管弦楽と男声合唱のバランスが、完全に逆だと思う。
斉諧生のイメージでは、このわずか7分足らずの曲の眼目は、終結近く、「シェマー・イスラエル」というユダヤ教の祈りを詠う男声合唱(=ユダヤ人強制収容所の囚人たち)が感動的に湧き上がるところであるはずだが、この録音ではオーケストラに隠れ気味、しかも歌唱にまるで感動がないのである。
一方、語りはドイツ兵に殴られて意識朦朧としていた男(=生き残り)の証言だから、ひっそりと、しかし緊張感に満ちたものであるはずだが、この録音ではオーケストラを圧倒する声(!)が絶叫している。
管弦楽は十二音音楽の点描風の音色の明滅と緊張感を十全に表出しており(たぶん。なにせ語りの声が大きすぎる)、メッツマッハーの手腕を窺わせるに足る。
この曲、イスラエル・フィルの録音が出ないものか
荘村清志(G)「ギターのための12の歌」(武満徹編曲)(東芝)
「ロンドンデリー・エア」から「インターナショナル」まで、和声づけがいかにも武満で、なかなかに美しい。
アンドレ・プレヴィン(P)デヴィッド・フィンク(Db)「ガーシュウィン・ソングブック」(DGG)
ピアノとダブル・ベースのデュオということは(ジャズの)ピアノ・トリオからドラムスを抜いた編成だが、その分、地味ながらインティメイトなサウンドである。
プレヴィン・フィンクとも迫力はないが結構ファンキーなプレイで、楽しめるディスクだった。
これで自分が原曲のソングを知っていれば、もっと面白いのだろうが…。

2月10日(火): レイボヴィッツのLP類を片付けるついでにLP棚の整理を少々。ダブって買っているものを見つけたり、忘れていたものを再発見したり、やや情けない気分です。

 アンゲルブレシュト(指揮)フォーレ;歌劇「ペネローペ」のLPは、前にディスコグラフィをアップしたときに「架蔵しているはずだが、手許に見当たらない。」としていました。今日、整理中に発掘(!)しましたので、データを追加しました。


2月9日(月): 昨夜、レイボヴィッツをアップした時に、プロバイダから割り当てられたスペースを一杯にしてしまいました。パレーカザルスアンゲルブレシュトレイボヴィッツのディスコグラフィに載せたJPEGファイルの圧縮率を上げて何とかしのいでいます。見た目にはほとんど影響ないと思いますので、御容赦ください。

 週末は更新作業にかかり切りだったので、先週に買った盤が全然聴けていない上に、また買ってきました。

アルテュール・グリュミオー(Vn)モーツァルト;Vn協全集(Philips)
@1,000円で大量発売されたグリュミオーの名盤のうち、宿題になっていたモーツァルト;Vn協全集を購入。第1〜5番に加え、第7番を収録。付けは第3・4番がルドルフ・モラルト、あとはベルンハルト・パウムガルトナー。オーケストラはウィーン響。
LP時代に@1,300円で出たのを買い揃えておりましたが、グリュミオーの美音もさることながら、パウムガルトナーの彫りの深い指揮にも感心いたしました。
この人は、ルドルフ・バウムガルトナーと混同(というか誤植)されることが多く、また、ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院長だったことから学究的もしくは微温的というイメージがあるようで、損をしていると思います。
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響ほか、ハイドン;オラトリオ「四季」(BMG)
浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人のケーゲル・ディスコグラフィによればForlaneからCD化されていたそうですが、未架蔵であったもの。
テオ・アダム、アデーレ・シュトルテ、ペーター・シュライヤーと、当時の東独の代表的な歌手を揃えています。
ハンス・ツェンダー(指揮)アンサンブル・アンテルコンタンポランほか、ダラピッコラ;「囚われ人の歌」ほか(ERATO)
標記の曲は20世紀の名作合唱曲として知られ、マルケヴィッチが名盤を残しているそうですが、いまだに未聴。そのせいか、他の指揮者の録音でもいいから聴きたいという気持になって、前にサロネン盤(SonyClassical)を購入しておりましたが、先日、浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOS大人からツェンダー盤の存在を御教示いただき、早速CD屋で探したもの。
合唱はジェイムズ・ウッド(指揮)の新ロンドン室内合唱団。「囚われ〜」のほか「サッフォーによる5つの断章」などダラピッコラの合唱曲を収録。
アンドレ・プレヴィン(P)デヴィッド・フィンク(Db)「ガーシュウィン・ソングブック」(DGG)
アンドレ・プレヴィンについては、斉諧生の中では指揮者として以上にジャズ・ピアニストとしての位置づけが高いのです。その新録なので、飛びつきました。
「アイ・ゴット・リズム」、「エンブレイサブル・ユー」、「歩み入る恋」、「ス・ワンダフル」等、ガーシュウィンの名作歌曲をピアノとダブル・ベースのデュオ(珍しい編成ですよね)で演奏したもの。

2月8日(日): 当「斉諧生音盤志」は平成9年8月8日公開開始以来、半年となりました。アクセスカウンタは順調に数字を刻み続け、近日中に5,000に達するものと思われます。これもひとえに皆様方の御愛顧の賜、ひらに感謝申し上げる次第です。<_o_>

 半年記念に、ひさびさに「列伝」系を更新
 今回は、「逸匠列伝」ルネ・レイボヴィッツを立伝いたしました。「逸」は忘れられたの意、レイボヴィッツの名を知らぬクラシック・ファンも多かろうと思います。ぜひ、彼の事績を御一読ください。
 そして、できれば米CHESKY社の復刻CDを聴いてくだされば、誠に幸いでございます。


2月7日(土): "Internet Ninja"(アスキー・サムシンググッド社)のVer.2アップデート・キットが到着。
 お約束の「列伝」系の更新、明晩にアップする予定です。

 長野五輪もものかは、数寄屋橋ハンターの京都巡業・中古音盤セールに馳せ参じておりました。ヴァイオリン関係のLPを大量に購入。

ピエール・アモイヤル(Vn)ほか、「ヴァイオリンの歴史的名器」(ERATO)
パリ音楽院楽器博物館所蔵のアマティ、ストラディヴァリ、グヮルネリ・デル・ジェスの名器6挺をアモイヤルが弾き分けた盤。
アマティはリュシアン・カペーの旧蔵品、ストラディヴァリ(3挺)のうち1つはサラサーテが所有していたもの。
曲目はタルティーニ、バッハ、ヴィヴァルディ、パガニーニ。
ルシー・ファン・デール(Vn)ほか、コレッリ;Vnソナタop.5(全曲)(EMI)
18世紀オーケストラのコンサートミストレス、デールが1980年代初めに録音したもの。
レジ・パスキエ(Vn)カトリーヌ・ミッシェル(Hp)ボッケリーニ;ソナタop.5(ARION)
ありそうでなかなかないヴァイオリンとハープのデュオ。1977年録音。
ルイス・カウフマン(Vn)フレデリック・ハモンド(Cem)テレマン;Vnソナタ(1715)(Orion)
いちど聴いてみたいと思っていたカウフマン。彼には現代音楽のスペシャリストのイメージが強かったが、こういうレパートリーで実力を確認してみたい。
堀米ゆず子(Vn)ジャン・ミシェル・タンギー(Fl)ジャック・ヴィレマンス(Cem)バッハ;トリオ・ソナタ(Pavane)
堀米さんが1980年のエリーザベト・コンクールに優勝してから、まもなくの録音。「音楽の捧げ物」第8曲、BWV525等。
ライナー・キュッヒル、エーリヒ・ビンダー(Vn)レオポルト・ハーガー(指揮)モーツァルト;コンチェルトーネK.190ほか(TELEFUNKEN)
キュッヒル&ビンダーのウィーン・フィル・コンサートマスター・コンビの音楽が楽しみ。A面はエディット・フォルケルトらのK.364だが、ちょっと注目度低し。
ウルフ・ヘルシャー(Vn)カール・エンゲル(P)シューベルト;VnとPのための音楽全集(EMI、2枚組)
ヘルシャーは国内盤があまり出なかったので、こういう録音があるとは知らなかったので、欣喜雀躍して購入。
お目当てはもちろん「幻想曲」。1978年の没後150年記念盤。
ミクローシュ・センテーイ(Vn)アンドラーシュ・シフ(P)シューマン;Vnソナタ第2番&ブラームス;Vnソナタ第2番(Hungaroton)
偏愛するシューマンの第2ソナタとあらば買わずにはいられない。1970年代半ば、シフ20歳代前半の録音である。
ワンダ・ウィウコミルスカ(Vn)デヴィッド・ガーヴェイ(P)ディーリアス;Vnソナタ全集(Connoisseur Society)
先日リトルやホームズの録音を聴いたディーリアスのVnソナタ、浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOSさんも言及しておられたウィウコミルスカのコニサー・ソサエティ盤を買う。
斉諧生はクォドラフォニック盤を好まないのだが、この演奏を見逃すわけにはいかない。
ギドン・クレーメル(Vn)クラウス・オガーマン(指揮)オガーマン;前奏曲と聖歌ほか(EMI)
クレーメルの珍しい盤を見かけたので購入。オガーマンは「ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ」(Verve)でアレンジと指揮をしていた人なので、あまりいい印象のない名前だが、ま、この時期(1980年代初め)のクレーメルは見逃すわけにいかない。
ヴィクトル・マルタン(Vn)ミゲル・ザネッティ(P)「Vnに編曲されたスペインの音楽」(Ensayo)
クライスラーが編曲したアルベニス;「マラゲーニャ」・「タンゴ」、ファリャ;「はかない人生」の踊り、グラナドス;「スペイン舞曲」と、コハンスキが編曲したファリャ;「スペイン民謡組曲」、ニン;「スペインの歌」といったラインナップ。
知らないヴァイオリニストだが、Ensayoは渋いレーベルなので買ってみたもの。
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、ブルックナー;交響曲第7番(英Turnabout)
柴田南雄先生が『私のレコード談話室』(朝日新聞社、1979年)の中で「少しも粘りすぎたり、煽り立てたりせず、あるがままにブルックナーに語らしている。」と褒めておられた演奏である。
英TurnaboutはDECCAプレスなので盤質も良いはず。
ギュンター・パッシン(Ob)ヘルムート・ミューラー・ブリュール(指揮)ディッタースドルフ;Ob協ほか(schwann)
茂木大輔@N響の師匠、パッシンのソロ・アルバム。
標記のほかファッシュ、プラッティ、シュテェルツェルといったあたり、18世紀の協奏曲を収録。1968年録音。
ブルーノ・ジュランナ(Va)岩崎淑(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタほか(DENON)
ヴィオラによるアルペジオーネ・ソナタ。1978年、最初期のデンオンPCM録音。
ウェルナー・ベルチ(P)ベルンQ、フローラン・シュミット;P五重奏曲ほか(Accord)
P五重奏の名曲、フローラン・シュミット。CDは既に架蔵しているが、オリジナルのLPを見つけたので随喜して購入。
館野泉(P)ノルドグレン;「怪談」(東芝)
知日派のフィンランドの知日派作曲家ノルドグレンが館野泉のために書き下ろした「耳なし芳一」ほか4曲の「小泉八雲の『怪談』によるバラード」。1977年に「プロユース・シリーズ」としてオーディオファイル向けに録音されたもの。館野さんはFINLANDIAあたりに再録音していたと思う。
この盤、クラシックのコーナーではなく、邦楽や浪曲のコーナーに放り込まれていた。
荘村清志(G)「ギターのための12の歌」(武満徹編曲)(東芝)
「ロンドンデリー・エア」、「オーバー・ザ・レインボー」、「サマータイム」「早春賦」、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」、「ヘイ・ジュード」、「イエスタデイ」ついでに「インターナショナル」といった世界の愛唱曲を武満徹が荘村のためにギター編曲したもの。
荘村が最初に新作を頼みに来たとき、忙しい武満は断るつもりだった。ところが、「村山が大好き。江夏もいいですね。」などと阪神タイガースの話がはずむうちに『じゃ、何か書こうかな』ということになって出来たのが『フォリオス』。そのあとに「いたずら半分」で書いたのが、この編曲集だそうだ。
ところが荘村、実はジャイアンツ・ファン。阪神の話を持ち出したのは、武満徹が熱心なタイガース・ファンなのを知っての作戦だった。
なお、このLPのジャケット・デザインは和田誠が担当している。
マリサ・ロブレス(Hp)「子供のころの小品」(ARGO)
ひところDECCAによく録音していたが、最近音沙汰のないロブレス。これは7歳で初めて公開の演奏会に出た頃から12歳頃までに愛奏した曲を集めたLP。ジャケット裏には芳紀11歳の写真も掲載。
バッハ、ヘンデル、ブラームスの編曲ものやハーピストの作品が並んでいるが、お目当ては前にも取り上げたデュセックのソナタ。

2月5日(木): 斉諧生、実は本日が誕生日に当たります。<_o_>

 で、記念に大物をと思ったものの、さしたる収穫はなし。

ルドルフ・ケンペ(指揮)ミュンヘン・フィル、ブルックナー;交響曲第4・5番(ACANTA/PILZ)
懐かしい! ケンペのブルックナー、LPの頃、八方手を尽くして輸入盤を探し回ったのを思い出します。4番は2枚3面にカットしてあって第4面がツルツルだったと思います。
TUDORから出ていたチューリヒ・トーンハレ管との第8番も早くCD化してほしいですね。日本フォノグラム(当時)から国内盤も出たことがあり、これも2枚3面にカット、第4面はベートーヴェン;交響曲第5番でした。
ユハ・カンガス(指揮)オストロボスニア室内管、「アダージェット」(FINLANDIA)
「北欧のロマンティックな緩徐小品集」との副題。グリーグ;2つの悲しい旋律、シベリウス;カンツォネッタという定番(というほどメジャーな曲ではないか)の他、マデトヤ、スヴェンセン、オーレ・ブル等々と、北欧音楽ファンには堪えられない名前が並びます。中でも、指揮者として知られるロベルト・カヤヌスの自作が2曲聴けるのが楽しみです。
アルテュール・グリュミオー(Vn)メンデルスゾーン;Vn協&チャイコフスキー;Vn協(Philips)
グリュミオーの名盤が@1,000円で大量発売になりました。今日買ってきたのは、モノラル時代の「メン・チャイ」。付けはメンデルスゾーンがルドルフ・モラルト、チャイコフスキーはボーゴ・レスコヴィッチ(初めて聞く名前です)指揮の、いずれもウィーン響。
「音が美しい」という点では、グリュミオーはモノラル時代が最盛期だったと思います。モーツァルト;Vn協全集(これはいずれ買うつもり)、バロック名曲集など、ぜひ御一聴を。

2月4日(水): 唐沢俊一『古本マニア雑学ノート[2冊目]』(ダイヤモンド社)を読了。唐沢氏と古書蒐集家との対話。

「なんでこう、本が買いたくなるんでしょうね。」
「病気ですよ、そりゃ」
「病気ですか」
「そうです、病気なんです、われわれは。病気になると、生活が苦しくてもなんでも、おクスリを買ってのまなきゃいけないでしょ。われわれにとって、本はおクスリなんです。買わないと、いけないんです」

 斉諧生も、氏に倣って、音盤=薬、レコード屋=薬局と心得るようにしようかと思う。

 で、薬を3点購入。

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ザールブリュッケン放送響、ブルックナー;交響曲第6番(ARTE NOVA)
スクロヴァチェフスキーのブルックナーは、ARTE NOVAから既に5・7・8番が出ており、4番がIMPから、9番がREFERENCE RECORDINGから出ている。
6番はブルックナーの9曲の中では最も不出来な曲に入ると思うが(それなのに6番から録音を始める指揮者が少なからずいる。いつも不思議に思う。)、でもスクロヴァチェフスキーが録音したからには買わざるべからず。
インゴ・メッツマッハー(指揮)バンベルク響、シェーンベルク;ワルシャワの生き残りほか(EMI)
メッツマッハーは前に聴いたハルトマン;交響曲第4番がなかなか良かったので、ドイツの若手指揮者では最も期待している人である。ふと、CD屋の棚にこの盤を見出し、「ワルシャワの生き残り」の名演が期待できるのではないかと、購入したもの。
標記のほか、ハルトマン;交響曲第1番「レクイエムの試み」、マルティヌー;「リディチェ追悼」等、第2次大戦の惨禍を題材とした曲で統一されたCDである。
「懐かしの人形劇テーマ大全」(東芝)
宗庵@白龍亭先生同様、斉諧生も少年時代にNHK製作『新八犬伝』に夢中になったクチである。「デン、デン…ベンべンベンベン」のテーマ音楽、坂本九が唄う「夕焼けの空」(”ひとりぼっちじゃないんだ…”)と「仁義礼智忠信孝悌」(”いざとなったら珠を出せ…”)が収録されたこのCD、前から欲しかったのだが、ついに購入。
30歳代前半以下と40歳代以上の人には、わかってもらえないだろうな、きっと。

2月3日(火): まもなく当「斉諧生音盤志」公開から半年となる。この節目に「列伝」系の更新を準備中。
 飯尾@CLASSICAさん風にいえば、更新確率60%か。

 

リカルド・オドノポソフ(Vn)「ルートヴィヒスブルグ音楽祭のオドノポソフ」(BAYER)
オドノポソフは1914年生れ、クレメンス・クラウスに抜擢されて1934〜37年にウィーン・フィルのコンサートマスターを務めていた。カール・フレッシュの弟子で、同じく教育者としても活動した。この盤のライナーノートでも、ヴァイオリン奏法についての彼の文章が掲載されている(譜例付き)。
このCD2枚組は1952・1961・1974年のルートヴィヒスブルグ音楽祭での演奏会の録音。曲目はバッハ;パルティータ第3番からヒンデミット;無伴奏Vnソナタまで多岐にわたるが、注目しているのはシューマン;Vnソナタ第2番とブラームス;Vnソナタ第3番。
愛惜佳曲書」中、シューベルト;幻想曲の推薦盤がこの人の演奏であるように、斉諧生注目のヴァイオリニストの1人。ずっと気になっていた盤だが、結構高い値付けだったので買いそびれていたところ、ワゴン・セールのバーゲン・プライスになっていたのでシメシメと購入。
スコット・ロス(Cem)バッハ;ゴルトベルク変奏曲(ERATO)
鍵盤音楽は原則的には買わないので、ロスに対する世評の高さは重々承知しつつも手を出さずにいたところ、浮月斎@Pseudo-POSEIDONIOSさんが2月1日付けの更新で「チェンバロによるゴルトベルクの筆頭」と褒めておられたので、ここはひとつと購入。

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