音盤狂日録


10月31日(土): 中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんが、御自分のWebpageアストル・ピアソラのページを開設された。
 いずれのコンテンツも、工藤さんならではの洞察に満ちた寸評が、暖かくて説得力のある語り口から次々と繰り出されて、応接にいとまないほどだ。
 中でも「ピアソラを聴く(我流音盤探検道)」は、これからピアソラを聴いてみようという人必見。「クラシック愛好家向けベスト10」と題して、クラシック・ファンをピアソラ・フリークに変えてしまう「洗脳コース」(^^)が用意されている。

 通販業者から荷物が届いた(3件)。

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)トリノ・イタリア放送響ほか、マーラー;交響曲第1番ほか(Stradivarius)
マルケヴィッチの未架蔵盤を購入。
彼の「巨人」は先日もフランス国立管を振ったORIGINALS盤を手に入れたところだが、今回のは1967年3月10日、イタリア・トリノでのライヴ録音とされる。
マルケヴィッチのことでよくメールをくださるK氏から「まるでフルトヴェングラーを思わせるようなたたみかける第4楽章が最高」とのコメントを頂戴しており、ぜひ聴いてみたいと思っていたもの。
なお、ユージェニー・ザレスカ(M-S)カール・シューリヒト(指揮)フランス国立管、マーラー;「さまよう若人の歌」(1958年2月20日、パリでのライヴ録音)をカプリング。
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、マーラー;交響曲第1番(Stradivarius)
ロスバウトは、どんどん購入(^^;
これは1961年9月13日、バーデン・バーデンで南西ドイツ放送響を振ったものと表記されているが、エヴァンスのディスコグラフィでは16日ないし11〜16日に録音したものとなっている。
ハンス・ロスバウト(指揮)ローマ・イタリア放送響ほか、ラヴェル;高雅で感傷的なワルツほか(Stradivarius)
ロスバウトの珍しいライヴ録音を集めた盤なので購入。
内容は
ラヴェル;高雅で感傷的なワルツ(1959年3月24日)
ヒンデミット;Fl、Ob、Cl、Fg&Hrpと管弦楽のための協奏曲(1959年3月28日)
カスティリオーニ;管弦楽のためのセクエンツェ(1959年3月28日世界初演)
シェーンベルク;歌劇「モーゼとアロン」から「金の子牛の踊り」(1954年3月12日世界初演、下記のLPと同じ音源)
といったところ。
シベリウス・アカデミー弦楽四重奏団、ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第3・4番(FINLANDIA)
チェロにアルト・ノラスが参加している四重奏団。前に同じ作曲家の第2・6番を買ったが、先日、Music Boulevardで検索したら、この盤が出てきたのでオーダーしたもの。
LPには第14番の録音もあり、あるいは全集録音があるとも言われるが、詳細の情報を得ていない。
とにかくノラスの録音、買わざるべからず。
リンゼイ四重奏団、ブリテン;弦楽四重奏曲第3番&ティペット;弦楽四重奏曲第4番(ASV)
ブリテンの曲を、前にアマデウス四重奏団のLPで聴いた際、もう少し他の演奏で聴いてみたいと検索してみたところ、熱演で鳴る(^^;リンゼイ四重奏団の録音が出てきたのでオーダーしたもの。
アウロラ・ナタラ・ヒナステラ(Vc)アルベルト・ポルトゥゲイス(P)ヒナステラ;Pソナタ第1番、Vcソナタほか(ASV)
ASVのヒナステラ;ピアノ曲・室内楽曲全集の第1巻。前に第4巻(弦楽四重奏曲全集)を買っている。第2・3巻も、そのうち買ってしまうんだろうなぁ…
チェロはヒナステラ夫人、Vcソナタは1979年に彼女のために作曲されたもの。
その他「パンペアーナ第2番」、フルニエ編曲の「トリステ」といったチェロのための佳曲も収められており、ぜひ聴いてみたいと購入。
パンペアーナは長谷川陽子さんとの聴き比べが楽しみ。
キリル・コンドラシン(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、シベリウス;交響曲第5番&ニールセン;交響曲第5番(蘭Philips、LP)
コンドラシンの死後フィリップスからまとまって出たコンセルトヘボウとのライヴ・シリーズから、未架蔵盤を購入。
シベリウスが1976年11月21日、ニールセンが1980年11月20日のライヴ録音。コンドラシンが急逝したのが1981年3月7日だから、ニールセンは最晩年の演奏である。
CDにもなっていたが、前にGLOBEからCDが出たモスクワ・フィルとのシベリウス;第3・5番の印象が良くなく、買いそびれていた。
せっかくLPで買ったのだが、残念なことにデジタル・リマスターだった。アナログ録音はアナログのまま出してほしいもの。
パウル・ヒンデミット(指揮)ベルリン・フィル、ヒンデミット;交響曲「画家マティス」ほか(独DGG、LP)
ヒンデミットの創作力の絶頂期の作品、歌劇「画家マティス」からの交響曲、好きな曲なので集めているのだが、未架蔵であった自演盤を購入。
ウィーン・フィルの初来日に帯同したことでも知られるように、あるいはクレンペラーが入院時にベートーヴェン;第9交響曲の代役に指名した皮肉な逸話(^^;で知られるように、ヒンデミットは指揮も活発にしていた。
SP期にも録音があるが、これは1955年の録音、ただしLP末期に再発された廉価盤。「ウェーバーの主題による交響的変容」をカプリング。
ポール・パレー(指揮)デトロイト響、「マーチ万歳!」(米Mercury、LP)
ベルリオーズ;ラコッツィ行進曲シャブリエ;楽しい行進曲グノー;あやつり人形の葬送行進曲から「ラ・マルセイユーズ」までフランスのマーチ8曲を収めたLP。
あるいはパレーの最もポピュラーな録音かも知れない。国内盤LPでも最後まで現役で残っていた。
CDではバラバラになっているが、これがオリジナル。ただし、これはプレスがかなり後期、しかもカットアウト盤のため、格安で購入。
ハンス・ロスバウト(指揮&Cem)パリ音楽院管ほか、ラモー;歌劇「プラテー」(仏EMI、LP)
1956年、エクス・アン・プロヴァンス音楽祭でのライヴ録音。
ラモーには30曲ほどもオペラがあるそうだが、これもギリシャ神話に題材を得たもの、タイトルロールをミシェル・セネシャル(T)が歌うほか、ニコライ・ゲッダ(T)ジャック・ジャンセン(Br)ジャニーヌ・ミショー(Sop)らが名を連ねている。
なお、これは1970年代後半に出た再発盤。
ハンス・ロスバウト(指揮)北ドイツ放送響ほか、シェーンベルク;歌劇「モーゼとアロン」(米CBS、LP)
シェーンベルクの未完のオペラの、作曲者の死後になった世界初演(1954年3月12日、ただし演奏会形式)のライヴという、まさに歴史的録音。
上記のラモーと並べると、ほとんどオペラの歴史の*両端*。(^^;
ところで、なぜ北ドイツ放送響なのか不思議だったが、エヴァンスの著書によると、ハンス・シュミット・イッセルシュテットが突然の事故で指揮できなくなったらしい(逃げたのかな? でも作曲科出身で、ヘンツェあたりも振っている人だし…)。
ところが、シェーンベルクの遺族等も招待済みで今更中止もできず、深夜にロスバウトのところに電話を掛けてきて、「あと1週間しかないんや! あんたが来るしかない! わしらを見捨てられへんやろ!」と懇請。
鬼神の如き勢いで総譜の勉強とリハーサルをこなして、初演は大成功、シェーンベルク夫人から作曲家の遺品の指揮棒を贈られた…のだそうな。

10月29日(木): 昼休みに職場の売店をうろうろしていると、ふと目についた、「音楽空間を愉しむ」という特集に惹かれて、『男の隠れ家 12月号』@あいであ・らいふ社を手に取った。
 ピーター・バラカン林家こぶ平といったところのリスニング・ルーム自慢…とパラパラ見ていたら、なんと、我らが長谷川陽子さんが登場しておられるではないか! 
公式Webpageの「日記」等でお見かけする音楽室の全貌、御両親・姉上(長谷川弥生さん)との合奏風景等、とても興味深く拝見した。
 約20畳という広さ、平面をピアノ型として追求した音響効果、夢のような話である。
 まぁプロの練習室を羨んでも仕方がないが、棚を天井まで造り付けにしたCD・LPの収蔵スペースには、もう憧れてしまう。斉諧生など、本棚に前後二重にCDを詰め込んだあげく、ダブリ買いをしてしまうのだから…

しかし、どうして「男の隠れ家」に長谷川さんが?? 編集部にファンが潜んでいるに違いない…。

10月28日(水): 

 

ベルナール・テテュ(指揮)リヨン・ベルナール・テテュ・ソロイスツほか、フォーレ;合唱曲・歌曲集(EMI)
指揮者の名をどこかで見かけたような気がするのだが、思い出せない。
南仏の合唱団によるフォーレの曲集、「売り」は「ヴィーナスの誕生」op.29「ラシーヌの雅歌」op.11のオリジナル版世界初録音。
前者は未知の曲だが、後者は愛惜佳曲書掲載の曲。斉諧生が馴染んでいるのは、少年合唱(女声合唱)とオルガンの組合せだが、原曲は混声合唱と弦楽五重奏、オルガンという構成だそうな。
秘かに愛する「マドリガル」op.35も収められており、買わざるべからず。
「夢のあとに」op.7-1等の歌曲も入っている。

 

ペトリ・サカリ(指揮)アイスランド響、シベリウス;交響曲第3番(NAXOS)
井戸端のI氏から去る23日の演奏会の件でメールをいただき、レプライを書こうとして、ふと思い立って聴き始めた。
第1楽章の基本テンポがやや速いのに、最初こそ違和感を感じたが、慣れてくると、これがなかなか良いシベリウス。
やや編成を小さめにした弦合奏は、響き・アンサンブルとも良好、木管とりわけフルートの清澄な音色はシベリウスにピッタリ
金管がやや薄くて強奏に圧倒感がないのは残念だが、とにかく嫌なところが全くない。
第2楽章では、真ん中あたり(練習番号Gの手前)、木管が主題を吹く下で弦がユニゾンでピツィカートを続けるところで、アクセント記号をくっきり活かす効果が面白い。
第3楽章では、テーマが出ても力まず、しなやかに歌い抜く。
その後、ホルンにテーマが移るところで、木管の反復音型を強調する効果も初めて耳にするものだ。
アイスランド響の公式ページを見ると、やはりNAXOSに交響曲全集等を録音する予定らしい。特に第6番での名演を期待したい。

10月27日(火): 『J−CLASSIC主義!』@音楽之友社を読む。
 「新世代日本人アーティスト・ガイド」と題された、若手中心に有名指揮者・演奏家41人のインタビューがメイン。
 並べてみると、光り輝いているのはやはり村治佳織嬢。(^^)
 ついではクマのぬいぐるみに抱きついた表情の可愛い長谷川陽子さんか。(^^)(^^)
 ハハ、なんのことはない、個人的思い入れの順。(^^)(^^)(^^)

 

トーマス・ビーチャム(指揮)ロイヤル・フィルほか、シベリウス;交響曲第2番&交響詩「タピオラ」ほか(Biddulph)
シベリウスを得意にしたビーチャムのSP録音、シベリウス・ファンとしては買わざるべからず。
交響曲第2番・「タピオラ」RPO(1946・47年)、「テンペスト」組曲抜粋(4曲)=LPO(1934年)、「カレリア」組曲抜粋(2曲)=BBC響(1945年) という内容。
斉諧生案ずるに、シベリウスを得意にする指揮者とディーリアスを得意にする指揮者は重なる例が多い。ビーチャムはもちろん、コリンズバルビローリマッケラス…。何か感性に共通するものがあるのではないだろうか。
(もっとも、イギリスの指揮者に限られている気もするが…)
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響ほか、シェーンベルク;5つの管弦楽曲・「ナポレオン・ボナパルトへの頌歌」・「ピエロ・リュネール」(WERGO)
25日の項に書いたとおり、ロスバウトが盛んに演奏したシェーンベルクの放送用録音(すべて1950年代)。
声は「ナポレオン〜」がデリック・オルセン、「ピエロ〜」はジャンヌ・エリカールと読むのだろうか、いずれも未知の人。
これでWERGOの"HANS ROSBAUD EDITION"が6枚すべて揃ったことになる。

 23日の演奏会を演奏会出没表に追加する。


10月25日(日): 夏に注文していた洋書が、ようやく届いた。

"Hans Rosbaud - A Bio-Bibliography" By Joan Evans
Music, Bio-Bibliographies in, No. 43 (ISSN: 0742-6968)
Greenwood Press. Westport, Conn. 1992. 328 pages
LC 91-34620. ISBN 0-313-27413-4. EHR/ $69.50 (Reference Book)

というもの。ざっと目を通した内容は、次のようなもの。

序文;ブーレーズ(5頁)
バイオグラフィ;50頁
初演記録;世界初演173曲、その他(ドイツ初演、スイス初演等)112曲
の曲名、場所、日付、演奏者のリスト。(28頁)
ディスコグラフィ;95件(16頁)
初版が1992年なので、その頃までのものに限られるが、SPを含む正規録音、放送音源のディスク化等を網羅。
ベートーヴェン;カサドシュス&コンセルトヘボウ管とのP協第5番(Philips、1961年録音)がある。
モーツァルト;バイエルン放送響との交響曲第39・41番(Mercury)。
ストラヴィンスキー;ペトルーシュカコンセルトヘボウ管との正規録音(Philips、1962年録音)。
ベルク、シェーンベルク、ウェーベルンは寥々たるもの。そういう時代だったのだ。
現代音楽では、DGGから5枚組でドナウエッシンゲン音楽祭の記録レコード(?)が出ていた模様。
これにはブーレーズ、ダラピッコラ、ハルトマン、リーバーマン、メシアン、ノーノ、ツィンマーマンを収録。
その他の録音;南西ドイツ放送局等に残されている録音の記録が759件(92頁)。
これが圧巻。
ベートーヴェンの交響曲は第1・2・3・5・6・7・8番
ブラームスは交響曲全集完成。
ブルックナーは第2〜9番まで揃う。
なぜかガーシュウィン「サマータイム」の伴奏がある。
ハイドン;初期の数曲と第45・83・87・88・90・93・95・96・97・99・100・102・104番。
マーラー;第1・4・5・6・7・9番と「大地の歌」
モーツァルト;交響曲は第28・31・36・38・40・41番がある他、グルダとのP協やデニス・ブレインとのHrn協も。
シベリウス;交響曲は第2・4・5・6番
もちろん、ストラヴィンスキーやシェーンベルクの録音も数多い。
このうち幾つかは、その後CD化されているが、もっともっと…。
書誌;評論、演奏評、ディスク評、インタビュー等の203件(50頁)
付録1;年譜(4頁)
付録2;ロスバウトの作曲(9曲の作品リスト)(4頁)
付録3;ドナウエッシンゲン音楽祭での演奏記録(約100曲、8頁)

 なお、版元のオンライン・カタログはこちら


10月24日(土): 朝10時から夜8時まで、つまりレコード屋が開く時間から最終の新幹線に間に合う時間まで、食事もとらずに買物に励む。
その時は一所懸命だったが、こうして書きつけてみると、さすがに少々恥ずかしくもある。(^^;;;

 昨日の分と合わせて、LP15枚・CD45枚・本4冊。(^^;;;;;

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管、ヴォーン・ウィリアムズ;交響曲第8番&バターワース;狂詩曲「シュロップシャーの若者」ほか(米Mercury、LP)
ヴォーン・ウィリアムズは初演者による世界初録音だが、斉諧生的には、バターワースがより重要なので購入。
愛惜佳曲書掲載の、壊れそうに繊細な曲。
こういう曲をサー・ジョンが、どう奏でてくれるか、大いに期待したい。
バックス;「ファンドの園」をフィルアップ。
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)シャンゼリゼ劇場管ほか、ラヴェル;バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(英LONDON-DUCRETET-THOMSON、LP)
今回、最大の収穫。
全録音蒐集を目標にしているアンゲルブレシュトの「ダフニス」。長年、聴きたかったのだが、いかんせん財布の都合で(^^;、見送ってきた。
オリジナルの仏DUCRETET-THOMSONでなく英プレス、しかもプレス・ミスの凸凹が幾つかあるということで、相場の3分の1くらいで購入できた。
1枚物だが箱入りの丁寧な造り。店頭でオリジナルと聴き比べたが、さすがに英DECCAのプレスで、一長一短、遜色のない音質(凸凹を除けば)。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ムソルグスキー;展覧会の絵・禿山の一夜(東独ETERNA、LP)
スタジオ録音に乏しいマルケヴィッチ晩年の代表盤とされるもの。顔合せが意表に出るというだけでなく、演奏上でも異色の表現の1枚。
国内盤LP、CD等で持ってきたが、ようやくETERNA盤を入手。
音盤屋の開店1周年記念セール、4割引で購入。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ベルリンRIAS放送響、ストラヴィンスキー;春の祭典(伊I Grandi Concerti、LP)
マルケヴィッチの未架蔵盤を見つけたので購入。このシリーズは何点か持っているが、この演奏には気づいていなかった。
曲は、もちろんマルケヴィッチの十八番、スタジオ・ライヴ合わせて数種類の同曲異演が遺されているが、これは1952年のライヴ録音と表記されている。
おそらくマルケヴィッチの最盛期であった1950年代前半のライヴ、大いに期待したい。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ウィーン国立歌劇場管、ウェーバー;「舞踏への勧誘」ほか(米WESTMINSTER、LP)
レイボヴィッツの未架蔵盤を見つけたので購入。
アルバム・タイトルも「舞踏への勧誘」、表記の曲以外に
チャイコフスキー;ワルツ(弦楽セレナードより)
ベルリオーズ;舞踏会(幻想交響曲より)
シベリウス;悲しきワルツ
ヨハン・シュトラウス2世;「ウィーン気質」
ヨーゼフ・シュトラウス;「我が人生は愛と喜び」
を収録。シベリウスが、ちょっと異質な気もするが…(^^;
レイボヴィッツのこと、何かやってくれるかもしれないと、秘かに期待。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)コンセール・ラムルー管、ハイドン;協奏交響曲(米HELIODOR、LP)
マルケヴィッチの未架蔵盤、米盤ゆえ盤質はあまり高いものを期待できないが、見かけたからには買わないわけにはいかない。
ソロは、おそらくオーケストラの首席連中と思われる。
ルートヴィヒ・ヘルシャー(Vc)オットー・マッツェラート(指揮)ボッケリーニ;Vc協をカプリング。
 
ヴァルター・ギーゼキング(P)ハンス・ロスバウト(指揮)フィルハーモニア管、モーツァルト;P協第20・25番(英EMI、LP)
ロスバウトの古典派録音は、ぜひ聴きたいとCDを探していたが、LPが見つかったので購入。
ジャケットの状態が悪いので超格安だったが、音の方は初期盤としては極上の部類。
プレスはオランダということもあるが、音的には聴き比べたイギリス・プレスよりも暖かみがあって好みだった。
(追記)その後、EMIのReferenceシリーズで出た2枚組に収められているのを架蔵していたことに気が付いた。(^^;;;
 
コンスタンティン・クルカ(Vn)イェルジ・マルチウィンスキ(P)バルトーク;無伴奏Vnソナタ、ドビュッシー;Vnソナタ&ラヴェル;ツィガーヌ(波MUZA、LP)
秘かに集めているクルカを見つけたので購入。
一時はポーランド期待の星だったクルカだが、今はどうしているのやら。
彼の長所が出そうなバルトークとラヴェルの演奏が楽しみ。
ピアニストの表記には自信なし。原綴は"Marchwinski"。
 
テレサ・シュティッヒ・ランダル(Sop)ハンス・ロスバウト(P)「歌曲リサイタル」(仏fnac-Rappel、LP)
ロスバウトがピアノを弾いている珍盤。こういうのを買ってしまうから「マニア」扱いされてしまうのだろう…(^^;
1956年7月31日、エクス・アン・プロヴァンス音楽祭でのライヴ録音。モーツァルト(3曲)、シューベルト(4曲)、ブラームス(4曲)、R・シュトラウス(2曲)、ドビュッシー(4曲)の歌曲を演奏。アンコールに歌われたシューベルト;「鱒」シューマン;「献呈」も収録している。
このシリーズにはロスバウトの「コシ」もあったが、既にCDが出ており、架蔵済み。
その他、モントゥーのライヴ等、珍しい音源で音質もよく、ライナーノートも凝ったもので、贅沢なシリーズだった。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ローラン・スークス(P)フォーレ;Vcソナタ第1・2番・エレジー(仏BAM、LP)
これも集めているチェリスト・ペレーニの未架蔵盤を見つけたので購入。フォーレを録音しているとは意外だった。
オリジナルは洪HUNGAROTONのはずだが、仏盤でも見逃せないと購入…そしたら次の店でHUNGAROTON盤を見つけてそっちの方が安かった…(T_T)
ピアニストの表記には自信なし。原綴は"Szucs"。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(洪HUNGAROTON)
これは、熱心に探していた盤。アンゲルブレシュト盤に次ぐ収穫
我らが長谷川陽子さんが、「彼はどの曲を弾いてもその作曲家の魂の声が響く数少ない演奏家の一人」、「バッハでは神々しいまでの均整のとれた美しさと崇高な人間性を、チェロで表現してくれていました。」と絶讃しておられる文章を読んでから、探しに探した。
通販のカタログで見つけて、オーダーしても売切れを宣せられること3回に及んだ。
今回の買物ツアーに当たり(オイオイ、出張だったろって)、この盤の発見は秘かに期していた。ズバリ的中、勇躍して購入。
 
パブロ・カザルス(監修)ジェローヌ・プリンシパル、「コンセール・サルダーナ」(仏EMI、LP)
訳の判らない盤だが、カザルスとあらば買わざるべからず。
ジャケットには"Supervision artistique : Pablo Casals"、レーベルには"Direction artistique Pablo Casals"とある。「指揮」というより「監修」という位置づけではないかと睨んだ。
どうもカタロニア地方の民族音楽で、楽器も、そっちの系統の様子。
ジャケットにはカザルスの弟、エンリケ・カザルス他の作品の表記があるが、レーベルには1曲だけ"Pau Casals"とある。しかし、音楽はどう聴いてもカザルスではない。
憶測を逞しくするならば、弟の作品あるいはカタロニアの音楽のために名前を貸した、ということかもしれないが…
 
カール・リステンパルト(指揮)ザール室内管、ハイドン;交響曲第94・100・101番(ACCORD)
リステンパルトはバッハ演奏で知られた人であり、事実、彼のブランデンブルグ協奏曲は名盤だと思う(Accord)。
それにつられて以前買ったハイドン;第31・48・85番、今の人ならマッケラスあたりの演奏を思い出させる、キビキビしていて、しかも力強さと響きの美しさがある、好感の持てるものだったと記憶している。
この有名曲3連発盤も、同時期にリリースされたはずながら、ずっと手に入らず、あるいはCD屋で、あるいはネットの通販サイトで探し続けてきたもの。
ようやくめぐり会えた嬉しさに涙ぐみつつ購入。
 
宇宿允人(指揮)フィルハーモニアTokyo、フランク;交響曲&チャイコフスキー;幻想序曲「ロメオとジュリエット」(私家盤)
これは畏くも忝なくもK氏@クラシック井戸端会議から拝領したCD。これをもって関西方面に宇宿の芸術を弘めよとの御言葉であった。
K氏は宇宿の芸術を愛好され、昨晩も演奏会に行かれたばかりとのこと。
この盤は1994年3月のライヴ録音、奇しくも昨晩の演奏会で取り上げられたのと同じフランクを収める。
 
エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第7番(DECCA)
ベイヌム時代のコンセルトヘボウ管は、音色といいアンサンブルといい、極めて魅力的。このオーケストラの黄金時代と言ってもいいのではなかろうか。
このコンビのブルックナーは、先日、第8番(Philips)が実に面白かった(いわゆる正統的なブルックナー演奏とはまるで異なるのだが)。
他ではPilipsから出ている第9番も架蔵しているが、今日は第7番を中古で見つけたので購入。
1953年のモノラル録音である。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)ケルン放送響ほか、マーラー;「大地の歌」ほか(PHOENIX)
ロスバウトの「大地」には1957年のスタジオ録音があり(VOX)、そこでは南西ドイツ放送響を振って、グレイス・ホフマン(A)ヘルムート・メルヒェルト(T)が歌っていた。
これは1955年4月18日のライヴ録音、オーケストラはケルン放送響、アルトは同じだが、テノールはエルンスト・ヘフリガー
これはイタリアのレーベルで、前にロスバウトのモーツァルト;「後宮からの逃走」(エクス・アン・プロヴァンス音楽祭ライヴ)が出ていた。
今回のCDには"ROSBAUD CENTENARY EDITION"とあって生誕100年記念盤とおぼしいが、シリーズで出ていたかどうかは未詳。
なお、メンデルスゾーン;序曲「美しきメルジーネ」をフィルアップ。
 
ペトリ・サカリ(指揮)アイスランド響、シベリウス;交響曲第1・3番(NAXOS)
NAXOSにはエイドリアン・リーパースロヴァキア・フィルを振った全集があったが、今度はフィンランド出身のサカリと手兵の組合せで録音。ようやく北欧の演奏家によるものが実現したわけだ。
NAXOSのことだから、きっと全集になるのだろう、というか、*あの*第3番を録音するのだから全集にならないわけがない、という気がする(^^;
何せ、カラヤンオーマンディも跨いで通ったくらい人気のない曲だが−カラヤンなんか、わざわざカムに録音させたくらいだ−(^^;、斉諧生にとっては、とにかく偏愛の曲なので、音盤が増えるだけでも嬉しい。
当然京都のCD屋でも売るだろう新譜ながら、一日でも早く手許に置きたく、購入。
 
オーレ・シュミット(指揮)ロイヤル・フィルほか、シベリウス;交響曲第5番ほか(RPO)
ひところ大量に見かけたロイヤル・フィル自家製レーベル、めっきり姿を見なくなったと思ったら、油断も隙もない、こういう注目盤を出してくる。
オーレ・シュミットは、デンマークの大ヴェテラン、以前、ユニコーンから素晴らしいニールセン;交響曲全集を出していた。
北欧の指揮者だからといって、スウェーデンであろうがノルウェーであろうがデンマークであろうが等し並みにシベリウス@フィランドを振らせるのは、一面どうかという気もしなくはないが(^^;、やはり期待したくなって、購入。
 
大野和士(指揮)カールスルーエ・バーデン・シュターツカペレほか、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番ほか(ANTES)
大野和士が現在の手兵を振ったショスタコーヴィッチのライヴ録音(1997年6月)。
この曲は、前にキャニオンからチェコ・フィルとの顔合わせが出ていたが、残念ながら未架蔵だったところ、これがワゴン・セールで30%off、喜んで購入。
フィルアップに松尾祐孝;「フォノスフィアT」。三橋貴風(尺八)と作曲者(ツケ打ち)をフィーチャーしている。
なお、歌劇場の公式Webpageは→こちら
 
ハンス・ロスバウト(指揮)イヴォンヌ・ロリオ(P)ジネット・マルトノ(オンド・マルトノ)南西ドイツ放送響、メシアン;トゥランガリラ交響曲(WERGO)
ロスバウトのメシアン、新譜で出たときに、どうも不釣り合いな組合せに思えて、見送った覚えがある。(^^;
最近、ロスバウトを集めだしてから探していたのだが、ようやく発見。
1951年12月23・24日の録音とジャケットにあるが、エヴァンスのディスコグラフィ(↑25日の項参照)によれば2月23・24日の録音、翌25日にドイツ初演を行った(作曲は1948年)、とされている。
クリスマスに働いていたというよりも、2月説の方が有力だと思うがどうだろうか。
実はこのディスク、京都の某店にオーダーを出しているのだが、万一入荷しなかったときのことを考慮し、あえて購入。
こうなるともう、音盤餓鬼道(^^;;;
 
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響ほか、シェーンベルク;オーケストラのための変奏曲ほか(M&A)
またまたロスバウトのライヴ盤を発見、直ちに購入。
ロスバウトは第二次大戦前から積極的にシェーンベルクを演奏していた。
中でもオーケストラのための変奏曲は繰り返し演奏しており、エヴァンスのディスコグラフィでは5種の録音が放送局等に残されているという。
これはジャケットに1961年とあり、エヴァンスによれば5月29日の録音。
カプリングが魅力的。
イヴリー・ギトリス(Vn)南西ドイツ放送響、ヒンデミット;Vn協
ギトリスは集めているヴァイオリニスト、最近では小品専門の感があるが(^^;、当時は20世紀作品の紹介に熱心で、ベルクやストラヴィンスキーの録音もある。
ジャケットに1962年とあり、エヴァンスによれば9月12・14日の録音。
マリア・ベルクマン(P)ほか、バルトーク;2台のピアノと打楽器のためのソナタ
これはロスバウトがピアノを弾いている録音。
ジャケットに1953年とあり、エヴァンスによれば6月28・30日の録音。
 
ヨハンネス・ゴリツキ(指揮)ノイス・ドイツ・カンマーアカデミー、ガーデ;弦楽のためのノヴェレッテほか(CPO)
愛惜佳曲書掲載の曲の新録音ゆえ、京都でも入手可能であろうが、とにかく購入。
このアンサンブルは、以前、クレーメルが来日してモーツァルト;Vn協の全曲演奏をしたときにバックを勤めていたところを聴いたことがある。
指揮のゴリツキはチェリスト出身、美しい弦の響きによる抒情美を期待したい。
ガーデの弟子、ハメリク;交響曲第6番をカプリング。
 
アンタル・ドラティ(指揮)ロンドン・フィルほか、ヨハン・シュトラウス(デゾルミエール編);美しく青きドナウほか(Pearl)
タイトルに「バレエ・リュス」とあるが、ドラティが在籍したのはディアギレフのバレエ団ではなく、彼の死後に残党がモンテ・カルロで結成した団体。
ドラティは1934〜1937年までエフレム・クルツと共に指揮台に立った。これは、その活動と並行してロンドンで録音したSPの復刻。カプリングは、
デランジェ;「百回のキス」(これのみロンドン響)
シャブリエ;「コティヨン」
ボッケリーニ(フランセ編);「舞踏学校」
ドラティの原点を聴いてみたく、購入。
 
アントニオ・ヤニグロ(指揮)ザグレブ・ソロイスツ、レスピーギ;リュートのための古代舞曲とアリア第三組曲ほか(Vanguard)
レスピーギは、昔、NHK−FMをよく聴いていた頃、クラシック番組の後テーマで親しんだ曲。
『レコード芸術』9月号の輸入盤のページで紹介されており、気になっていたのだが、店頭で見かけたのは初めて。バジェット・プライスでもあり迷わず購入。
カプリングは
モーツァルト;アイネ・クライネ・ナハトムジーク
ヴォーン・ウィリアムズ;「グリーンスリーヴス」幻想曲
ペルゴレージ;小協奏曲ト長調
シベリウス;悲しきワルツ
バーバー;弦楽のためのアダージョ
といった、弦楽合奏名曲集。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「アゴン」、ベルク;3つの管弦楽曲集&ウェーベルン;6つの管弦楽曲集(ADES)
これはロスバウトの代表盤中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんからも強く御推奨いただいていた。
ネットの通販サイトに注文しても、全然入荷しなかったのだが、ようやく発見、しかもバーゲン・プライス、狂喜して購入。
エヴァンスのディスコグラフィによれば、ロスバウトの正規録音には意外に現代音楽が少なく、ベルクとウェーベルンの作品も、これが唯一。
また、当初はモノラルのまま発売され、ステレオ盤はLP末期まで出なかったようだ。
以前見た何かのインタビューによれば、ジェイムズ・レヴァインが、来日時にこのCDを手に入れて大喜びしていたとか。
 
クリストファー・リンドン・ギー(指揮)アーンヘム・フィルほか、マルケヴィッチ;管弦楽曲全集Vol.4(MARCO POLO)
第3巻が出てからしばらく間が空いていたマルケヴィッチの作品集、第4巻が出ていた。これも京都でも買えるだろうが、少しでも早く手にしたく、購入。
「ロレンツォ・イル・マニフィコ」(1941年、マルケヴィッチ最後の管弦楽作品)と「詩篇」(1933年)を収録、いずれも声楽を導入した大作である。
畸匠列伝中、マルケヴィッチ 略年譜 作曲家時代を参照されたい。
 
タスミン・リトル(Vn)ヴァーノン・ハンドレー(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィル、ドヴォルザーク;Vn協&ブルッフ;Vn協第1番(EMI)
リトルはディーリアス等、英国音楽の録音が佳く、少々贔屓にしているヴァイオリニストだが、これは新譜の時には見送っていた。
先日、クラシック井戸端会議で、ドヴォルザーク;Vn協を愛好される方が、この演奏をリファレンスとして推薦しておられたので、探し始めたのだが、意外に見つからず、気になっていたもの。
ようやく発見したので購入。
 
ヤン・スティグマー(Vn)トール・スヴェルン(指揮)、ルーマン;Vn協&ラーション;Vn小協ほか(INTIM MUSIK)
これは少々衝動買い気味、店の作業台に積み上げられているところに目を付けて、棚に並ぶ前にかっさらったもの。
どうも北欧の弦楽となると、見境も分別もなくしてしまうところがある(^^;
スティグマーは1964年スウェーデン生まれ、ジョルジュ・パウクアンドレ・ジェルトレルヘルマン・クレバースといった渋いところが師匠筋。
上記の他、ペッタション・ベリエルアウリン等の小品も収録。清澄な音色による抒情美を期待したい。
 
クリスティアン・ツァハリアス(P)フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)ほか、モーツァルト;P四重奏曲第1・2番(EMI)
FPZは1983年、まだ18歳の時の来日以来追っかけているヴァイオリニスト。
「サロ様王国」に置かれているFPZのページのディスコグラフィを見ていて、漏らしていることに気づいて驚愕、直ちに探索を開始したが、京都の店やネットの通販サイトでは見つからず、悶々としていたもの。
今回の買物ツアーに当たり(コラコラ、出張だったろって)、この盤の発見は一つの目標にしていたところ、ズバリ的中、勇躍して購入。
録音は1988年なので随分前の物。ツァハリアスの他、タベア・ツィンマーマン(Va)ティルマン・ヴィック(Vc)が共演。
これでFPZはあと1枚、ベートーヴェン;三重協奏曲を残すのみ。
 
クリストフ・ヘンケル(Vc)ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ全集(LYRINX)
プリュデルマシェは、野々村さんはじめ中古音盤堂奥座敷同人に評価の高いピアニスト。
チェリストは未知の人だが、思い切って購入。
ライナーノートによれば、ヘンケルは1947年生まれでドイツ出身、20歳の時にアメリカに渡ってシュタルケルに学び、現在はフライブルクで教職にあるほか、各地のマスターコースや演奏会、録音に活躍中とのこと。
特に第1番は、先日来、気に入っている曲なので楽しみ。
 
エディット・パイネマン(Vn)レオナルト・ホカンソン(P)シューベルト;VnとPのための作品全集(BAYER)
1960年代前半にペーター・マーク(指揮)チェコ・フィルドヴォルザーク;Vn協を録音したりしていたパイネマン、ヨアヒム・ハルトナック『20世紀の名ヴァイオリニスト』@白水社(先日ようやく復刊された)によれば、メニューインが彼女の成功を予言したとか。
ところが、その後は今ひとつパッとした話を聞かなかったが、1937年生まれ、まだまだの人。
先日来、クラウスやレーガーのディスクを買ってきたが、1988年録音のシューベルト全集という大物を見つけた。
斉諧生鍾愛の幻想曲はもちろん、アルペジオーネ・ソナタまで収録。これは買わずにはいられない。
 
マルティン・ヴァルフ(Vn)ルイザ・プライヤー(P)バッハ;無伴奏Vnのためのパルティータ第1番&シューベルト;幻想曲ほか(MEDIAPHON)
これもシューベルトを聴きたくて購入。やや衝動買い気味だが…(^^;
未知のヴァイオリニスト、1963年インスブリュック生まれ、ザルツブルグでシャーンドル・ヴェーグに学んだとか。
ウィーンの伝統を活かす、生き生きとした歌に満ちた佳演を期待したい。
 
アンナー・ビルスマ(Vc)スタンレー・ホーランド(Fp)、メンデルスゾーン;Vcソナタ第1・2番(Philips)
"Dutch Masters"シリーズの1枚、カタログには早くから載っていたので探していたが、やっと現物を手にすることができたので、迷わず購入。
ビルスマがメジャーになる直前、1981年の録音。ピアニスト独奏によるデュセック;ソナタをフィルアップ。
 
リカルド・オドノポソフ(Vn)ジャン・アントニエッティ(P)ほか、「アンコール」(BAYER)
リカルド・オドノポソフ(Vn)ほか、「アンコール2」(BAYER)
一時期ウィーン・フィルのコンサートマスターを勤めていたオドノポソフ、前に聴いたシューベルト;幻想曲(Berlin Classics)が佳かったので(愛惜佳曲書掲載中)、このアンコール曲集も2枚とも購入。
第1集は1950・53年の録音、概ねクライスラーに因んだ選曲とおぼしく、彼の作品やタルティーニ;悪魔のトリルモーツァルト;ロンドを収める。
第2集は1943〜46年の録音、SPからの復刻の他、未発売のテスト録音、プライヴェート録音も収録されている。
ショパン;夜想曲ノヴァチェク;常動曲等、SP期に好まれた小品が多いが、ヴィラ・ロボスモンポウが入っているのが目をひく。
 
ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)ベートーヴェン;ディアベリ変奏曲ほか(LYRINX)
これは中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんが絶讃を惜しまない、超強力推奨盤
鍵盤音楽(協奏曲除く。)は原則として手を出さない斉諧生ながら、この盤は長らく方々手を尽くして探していたが、思いがけず発見、ドキドキして購入。
でも、この曲、一度も聴いたことがない…(^^;
Pソナタ第32番をカプリング。
 
ジャン・フルネ(指揮)東京都響ほか、ベルリオーズ;「ファウストの劫罰」(東京都響)
以前、幻想交響曲(1983年録音)等が出ていた、この名コンビの新盤が、久しぶりに出たので、迷わず購入。
1997年11月12日、東京文化会館での第458回定期演奏会ライヴ録音である。
しかし、都響の自主製作盤でしか出ないとは情けない…。
 
ピーター・ピアーズ(T)ベンジャミン・ブリテン(P)、シューベルト;歌曲集「冬の旅」(DECCA)
ジェラール・スゼー(Br)ダルトン・ボールドウィン(P)ほか、シューベルト;歌曲集「冬の旅」ほか(EMI)
ともに中古音盤堂奥座敷の次回試聴会、シューベルト:「冬の旅」の参考盤として購入(課題盤はプレガルディエン盤(TELDEC))。
ピアーズの録音は、最近、「水車屋」との2枚組が出回っているが、バジェット・プライスの1枚物を見つけたので、こちらで購入。
どっちかというと、ブリテンのピアノに期待したい。
スゼーは旧録音(Philips)もあるが、こちらで購入。2枚組で、もう1枚はファスベンダーアメリンクによる有名歌曲集。
昔々、スゼーのシューベルト;有名歌曲集を日本フォノグラムの廉価盤グロリア・シリーズ(ジャケットにデカデカと曲の説明が刷り込まれていたやつ。「講談社現代新書みたいで好きだ」という人もいたが…)で聴いたことがあるが、音楽語法(というかドイツ語のディクション)がドイツ人歌手と全然違うのが面白かった記憶あり。
フィッシャー・ディースカウシュライヤー等とは違った角度からの切り込みを期待したいところ。
 
「巨匠の声」(Philips)
"Dutch Masters"シリーズのサンプラーだが、シリーズ全体の凝り方を反映して、単なる抜粋ではない。
まず、演奏家へのインタビューが満載。メンゲルベルクの声も聴ける!(1935年)
収録されている音楽の多くは、シリーズのCDには収められていないもの。例えば、
ベイヌムスーザ;「星条旗よ永遠なれ」
ヘルマン・クレバースサンサーンス;序奏とロンド・カプリチオーソ
といった調子、これが買わずにいられようか。
 
ヤン・ルングレン(P)ほか、「クッキング!」(FRESH SOUND)
ルングレンの最新盤を購入。
これはアメリカ録音の2枚組で、ライヴ仕立て。冒頭にはアナウンスつき(ここで彼の名前を「ルングレン」と発音しているのが確認できる)。
 
エイドリアン・ボールト(岡崎昭子訳)『指揮を語る』(誠文堂新光社)
 ここからは書籍・楽譜。
原著"Thoughts on Conducting"は1963年、訳書は1970年の刊行。
指揮法や指揮経験に関する随想が綴られているが、名指揮者の想い出にも1章が割かれている。
師事したニキシュの他、トスカニーニワインガルトナーフルトヴェングラービーチャムウッドR・シュトラウスワルターに加え、斉諧生的にはカザルスの想い出が重要。
残念なことに、逸話が豊富そうなクレンペラーについては、彼が指揮台を用いなかったことが語られているのみである。
 
ブルックナー;交響曲第8番(1887年版)
ブルックナー;交響曲第8番(1890年版)
いわゆるノヴァーク第1稿・第2稿のスコアを購入。国際ブルックナー協会版(青いやつ)である。
第2稿は音楽之友社から出ているが、古本につき、割安。
この曲については、ぜひハース版が欲しいのだが、久しく入荷しないようだ。

10月23日(金): 本業の出張で東京へ行くことになった。用務だけなら日帰りですむのだが、せっかくなので1泊して演奏会と買い物をセットすることにした。
 24日(土)が以外に不作、2泊して25日のマチネだといくつかあるのだが、そこまでは困難。
 で、斉諧生が選んだのは…

 日本フィルハーモニー交響楽団第504回演奏会@サントリー・ホール
 オール・シベリウス・プログラム、指揮がオッコ・カム。シベリウス・ファンとしては落とせない。
 演奏会前後の話題をいくつか。
 【その1】宿(渋谷と青山の境目あたり)の近くでタクシーを拾って、「サントリー・ホールへ」と頼むと、「赤坂見附ですね?」と聞き返してくる。
 「?」と思って「赤坂です。」と返事。
 ルートがいつもと違うんじゃないかな…と思っているうちに、運転手「赤坂見附の信号の手前ですよね。そこですよ。」
 斉諧生「そこは『サントリー美術館』! サントリー・ホールはアークヒルズの中です!」運「ええっ! ごめんなさい!」
 赤坂見附から折り返しても、すぐだから良かったようなものの、危うく遅刻しかねないところだった。(^^;;;
 【その2】終演後に表に出ると、森喜朗@自民党幹事長が日フィルの演奏会場にいた中学生の団体に囲まれて写真を撮ったりしている。
 居合わせたS氏@富山県によると、中学生は吹奏楽コンクールの北陸代表なんだそうな。森氏の選挙区は石川県第2区だから、そういうつながりなのだろうが、はたして森氏がサントリー・ホール前に居合わせたのは何故だろう?
 (想像1)実はシベリウス・ファンの森氏が、日フィルを聴きに来ていた。
 (想像2)実はクラシック・ファンの森氏が、小ホールでの堤剛リサイタルを聴きに来ていた。
 (想像3)ニュース・ステーションか何かの関係でテレビ朝日@アークヒルズ内に来ていた。
 政界に詳しい方(笑)、御教示ください。

 あるいはホールに「特別警備中」との張り紙がしてあったのは、そのせいなのか? いつものことなのか、そうでないのか知らないのだが…。

 【その3】で、クラシック井戸端会議の常連メンバー総勢11人でオフライン・ミーティング。これだけの人数が集まるのも大胆なプログラミングのおかげだろう…

今日の曲目は
交響詩「エン・サガ」
序曲「カレリア」
組曲「カレリア」
交響詩「タピオラ」
交響曲第7番

 「フィンランディア」「トゥオネラの白鳥」ヴァイオリン協奏曲交響曲第2番もない、オール・シベリウス・プロ!
 入りが心配されたが(^^;、まずまず8〜9分といったところ。

 もっともソリストもエキストラも不要だから、以外と経済的なのかも。(^^;
交響詩「エン・サガ」
登場したオッコ・カム、見たところ全然年を取っていない感じ。
冒頭、リズムがやや落ち着かない感じ、木管・金管とも今ひとつシベリウスの「自然音」を鳴らしてくれないのが、ちょっと気に入らない。旋律線を強調しないカムの解釈にも原因があるのかも。
チェロに主題が出てアレグロになるあたりから全体に落ち着いて、それらしくなってきた。これは弦が良かったため。頻出するヴィオラのソロのパッセージも悪くない。もうすこしくっきり鳴ってくれれば、もっと良かったが…。
この曲はセル&クリーヴランドの見事なライヴ録音(生誕100年記念のクリーヴランド管私家盤)が耳の底に残っているので、ちょっと点が辛くなったかもしれない。
 
序曲「カレリア」
実演はもちろん音盤すら珍しい曲だが、組曲の主題も顔を出す楽しい曲。演奏もまずまず良かった。
カムは続けて「間奏曲」に入りたかった様子だったが、拍手が起こってしまった。ちょっと残念。
 
組曲「カレリア」
第1曲「間奏曲」の冒頭、弦のざわめきが立ち上る…これでこそシベリウス! 思わず(本当に)ゾクッと鳥肌が立った。
今日の演奏会を通じて、本当に弦は素晴らしかった。渡邉暁雄先生の薫陶が偲ばれる。
第2曲「バラード」では、木管が主題を吹くフレージングに少々甘さを感じた。
総じて管楽器はシゴキ方が足りないようだったが、どうだったろうか。カムがヴァイオリン出身のせいか? あるいはリハーサル時間の不足?
第3曲「行進曲風に」は、昔、TV番組(『素晴らしき仲間』といったか? 著名人・芸能人の交友録みたいなの)の後テーマにも使われていたのを思い出す。
あっさりした速いテンポ。内声、特にヴィオラを強めに弾かせるバランスが快感。ホルンを浮かせるのも、いい味付け。
最後の金管はもっと圧倒的に吹いてほしかったが、拍手は凄かった。あるいは座席位置(斉諧生は2階LB)から来るバランスの問題かも。
 
交響詩「タピオラ」
後期の充実した曲とあって、楽員に一段と熱気がこもる。
どうもフルートとオーボエの音色に違和感を覚えるのだが、これは斉諧生の好みの幅が狭すぎるのか… もっと清澄な音が欲しいのだが…
金管も頑張っているのだが、楽器の音しか鳴っていないと聴こえる。「自然音」にまで高めてほしいのだが…
弦は休憩前以上に素晴らしくなった。
カムの指揮は、テンポ、バランスとも正統的、特に不満はないのだが、もうすこし思い入れのようなものがほしい気もした。(粘っては困るのだが)
 
交響曲第7番
冒頭、ティンパニからコントラバスに受け渡される上昇スケールは、ゆっくり目のテンポ。
フルートが主題を出すのだが、やはり音色が生暖かい。もっと冷たく、清く、硬質な音がほしいのだ。
そのあと弦に副主題が出て進行するところでは後期シベリウスの醍醐味で胸一杯。
トロンボーンに出る英雄的な主題が、この曲の要。カムのバランスは押さえ目だったが、斉諧生的には「タンホイザー」序曲みたいになってもいいから、くっきり吹かせて欲しかった(といってもムラヴィンスキー盤みたいにヴィブラートがかかっては困るが)。
終結近く、ラルガメンテの弦合奏だけになるところ、オーケストラの出来は最高、カムの唸り声も届いてきた。(ちょっと盛り上がりすぎかも…)
最後の和音が鳴って、静寂、静寂…。
カムが指揮棒の先でスコアの最後のページをめくったところで、拍手…さすがシベリウス・ファン、フライングは皆無(^^)。
 
総じて満足のいく演奏会だったし、何回も書くように、弦合奏の響きは感動ものだった。
これで管楽器の音色が斉諧生の好みに近いものであったら、心の底から感動できたかもしれない。
それを除けばカムの音楽には大きな不満はないが、何かが足りないような気もする。このあたりがベルグルンドとの違いだろう。

 仕事が済んでから演奏会までの間にタワーレコード新宿店に寄る。

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)フランス国立管ほか、マーラー;交響曲第1番ほか(ORIGINALS)
買いそびれていたマルケヴィッチのライヴ盤を購入。
北ドイツ放送響とのブラームス;アルト・ラプソディ、ケルン放送響とのサティ;パラードをカプリング。
メインのマーラーは同曲異演も多く、フランス国立管とはDisques Montaigne盤がある。また、サティにはフィルハーモニア管とのスタジオ録音(EMI)、ブラームスにはソビエト国立管との正規録音(Mercury)がある。
そんなこんなで、これまで買わずにいたのだが、ORIGINALSはめったに見かけなくなってきているので、そろそろ買っておかないと…と購入。
 
マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル、シベリウス;交響曲第2番(EMI)
最近評価の上ってきたヤンソンスのシベリウスは1番と3・5番を架蔵しているが、欠けていた2番を見つけたので購入。(4・6・7番は未録音)
「トゥオネラの白鳥」「悲しきワルツ」「アンダンテ・フェスティーヴォ」をフィルアップ。
 
サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響ほか、メシアン;トゥランガリラ交響曲ほか(EMI)
ラトルの交響曲もさることながら、CD2枚目の大部分を占める「世の終わりのための四重奏曲」をお目当てに購入。
演奏者の顔触れが、サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)ハンス・ダインツァー(Cl)ジークフリート・パルム(Vc)アロイス・コンタルスキー(P)と、WERGOレーベルみたいな、戦後ドイツの現代音楽演奏の担い手揃い。
6月頃に読んだ渡辺和彦『名曲の歩き方』@音楽之友社で、この演奏、とりわけパルムのチェロ・パートが「もう圧倒的」と評価されていたので探していたもの。
1976年の録音なので、本来ならLPで聴きたいところだが、やむを得ない。
カプリングの(というか本体の)トゥランガリラは、ピーター・ドノホー(P)トリスタン・ミュライユ(オンド・マルトノ)をフィーチャー。
トゥランガリラも随分溜まってきたが、これを聴き比べるのは大変だろうなぁ…
 
リボール・ペシェク(指揮)パルドゥビチェ室内管ほか、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110ほか(PANTON)
チェコではSupraphonに次ぐ大レーベルだが日本ではほとんど見かけないPANTONレーベル。
上記の室内交響曲は弦楽四重奏曲第8番の編曲だが、通常はルドルフ・バルシャイの編曲で演奏されるが、ここではスタセヴィッチという人の弦楽合奏とティンパニによる版を使用している。(バルシャイ版は弦楽のみ)
この珍しい編曲を見逃す手はないと購入。
ダグマル・バロゴーヴァ(P)ミロスラフ・ケイマール(Trp)イルジー・コウト(指揮)プラハ放送響によるP協第1番をカプリングしているのも、好きな曲だけに、とりわけチェコ・フィルの首席を勤める名手ケイマールのラッパに期待。
そのほか、ハナ・ドヴォルザコーヴァ(P)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)チェコ・フィルによるシュニトケ;ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲(1979)を収録。
 
スティーヴン・イッサーリス(Vc)リチャード・ヒコックス(指揮)ブリテン;チェロ交響曲&フランク・ブリッジ;「祈り」(EMI)
先日、ブリテンの曲を聴いたときに、もう少し他の演奏でも聴いてみたいと思い、イッサーリス盤を探していたところ、発見したので購入。
カプリングのブリッジの曲は、原題が"Oration"、「演説」の邦題もあるようだが(なるほど英和辞典にはそう載っている)、第1次世界大戦の犠牲者を悼む曲であり、「悲歌的協奏曲」の副題もあることから、「祈り」とするべきではなかろうか。
なお、「サロ様王国」イッサーリスのディスコグラフィが置かれています。
 
エクス・ノヴォ・アンサンブル、ピツェッティ;P三重奏曲ほか(Stradivarius)
歴史的録音の多いStradivariusレーベルだが、これは1992年の録音。
20世紀イタリアの作曲家ピツェッティは、美しいレクイエムや佳曲Vnソナタで知られるが(知られてないかも… 斉諧生的には注目の作曲家)、P三重奏曲も聴いてみたく、購入。
カセッラ;セレナータロータ;Fl三重奏曲をカプリング。
 
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)マルギット・アンナ・ジュス(Hp)、「デュオ・リサイタル」(DENON)
この人の音には惚れこんでいる、シェレンベルガーの未架蔵盤を購入(逆輸入盤)。
バッハ、アルビノーニからイベール、ケックランまで、色とりどりの名曲集。
 
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)クリーヴランド管・合唱団ほか、オルフ;「カルミナ・ブラーナ」(SonyClassical)
先日、ケーゲル旧盤を聴いて「カルミナ」熱がぶり返した際、浮月斎大人からお薦めいただいたもの。
MTTがメジャーになる前は、「春の祭典」(DGG)とこれが彼の代表盤として挙げられたものだった。
しばらく店頭から姿を消していたが、ドイツで復活したらしいものが入荷していたので購入。
「野外オペラ『カルミナ・ブラーナ』」コンサート・ツアーとあって、公演日程やらチケットの問合せ先やらを書いたシールが張ってある、妙な盤。
 
ミシェル・ポルタル(B-Cl)ほか、「ドッキングズ」(LABEL BLEU)
ポルタルのジャズの方の新譜が出ていたので、購入。
この人のバス・クラリネットは一聴の価値がある。ジャケットの写真も、バスクラを構えた格好いいもの。その上、この盤では、アルト・サキソフォンやらバンドネオンまで弾いているようだが…。
ブックレットには曲名の他は一切、文章が無く、セッション風景の写真だけが8頁を占めている。「音楽を聴いてくれ!」という自信の現れか。
トランペットにマルクス・シュトックハウゼン(作曲家の息子)も参加。
 
ヤン・ルングレン(P)ほか、「コンクルージョン」(FOUR LEAF CLOVER)
斉諧生注目のジャズ・ピアニスト、ルングレンのピアノ・トリオ、京都の輸入盤屋では見かけない1枚を購入。数年前に出たもので、あるいは彼のリーダーアルバムとしては最初のものか。
なお、この人の名前"Lundgren"をこれまで「ルンドグレン」と表記してきたが、上記のように改める。スウェーデン語で、"d"はしばしば発音されないことがあり、この人の場合もそうであることが判明したため。
これは「サロ様王国」で御教示いただいた。ここにはルングレンのディスコグラフィもある。
 
タマラ・カルサーヴィナ『劇場通り』(新書館)
これは書籍。
カルサーヴィナはディアギレフのロシア・バレエ団の名バレリーナで、「火の鳥」「ペトルーシュカ」等の初演を踊った。つまり、ニジンスキーのパートナーだった人である。
これは彼女の子供時代からマリインスキー劇場、ロシア・バレエ団での活躍、第1次大戦とロシア革命を経て亡命するまでの回想録(彼女はイギリスの外交官と結婚していた)。
とりわけディアギレフの人物描写には詳しく、基礎資料として欠かせないので探していたところ、タワーの書籍売場で見つけたので購入。

10月22日(木): 

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィル、オネゲル;交響曲第2・3番(DGG)
最近中古音盤堂奥座敷MLで「聴きもせずに評論家の口移しにカラヤンを批判する半可通」が話題になった。
斉諧生も、昔は「カラヤンを褒めない・聴かない・買わない」三原則を堅持していたこともあり(^^;、少々恥ずかしかった。
で、彼の録音の内、取るべきものとして浮月斎大人からお薦めいただいたオネゲルを購入。
ジェイムズ・レヴァイン(P)アンサンブル・ウィーン・ベルリン、プーランク;室内楽曲集(DGG)
プーランクも最近中古音盤堂奥座敷MLで話題になっており、その中で浮月斎大人からお薦めいただいたもの。
オーボエがシェレンベルガー@ベルリン・フィルなのも、重要なポイント。
ヴォルフガング・シュルツ(Fl)ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)W・F・バッハ;6つの二重奏曲(Sony Classical)
で、シェレンベルガーの未架蔵盤を1点購入。
原曲は2本のフルート用とのこと。

10月21日(水): 

 

クリスティアン・ツィメルマン(P)ピエール・ブーレーズ(指揮)ラヴェル;P協・左手のためのP協(DGG)
ブーレーズのラヴェルというと、やはり聴いてみたくなり、購入。
「高雅で感傷的なワルツ」をフィルアップ。

10月18日(日): 斉諧生が常日頃お邪魔しているBBS、サロ様と彩ちゃんの部屋(通称「サロ様城」)が発展して、SALONEN & AYA KINGDOM(通称「サロ様王国」)が誕生した。
 その名のとおり、エサ・ペッカ・サロネンのバイオ、ディスコグラフィをはじめとして、AYAさんがサロネンへの**を傾けているページである。(^^)
 どうぞ、御訪問ください。
 Webmistress(通称「サロ様城主」)の熱心さからすると、コンテンツは、おそらく急激に成長するものと思われるが(^^;、斉諧生的には、"My Favorite"で取り上げられている城主お気に入りの演奏家(団体)、とりわけフランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)スティーヴン・イッサーリス(Vc)スウェーデン放送合唱団(なかなかのラインナップでしょう?)に関する情報の充実に期待したい。

 

ニコラウス・アーノンクール(指揮)コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第4番(TELDEC)
1997年4月、コンセルトヘボウでのライヴ録音とあり、演奏ノイズや聴衆の物音も聞こえてくる。なお、ヴァイオリンは対向配置。
アーノンクールも生まれついての古楽器専門家というわけでもなく、元はといえばウィーン響のチェリストだったから、往年の大指揮者のブルックナーの聴体験・演奏体験をずいぶん経ているはずである。
また、コンセルトヘボウ管も、オイゲン・ヨッフムの常任時代から晩年まで、ずいぶんブルックナーを付き合っているから、こちらも相当の演奏経験を有しているわけである。
さて、この両者、どんな「ロマンティッシュ」を聴かせてくれるか。
全体に、相当「低カロリー」というか、もう「ノン・カロリー」といってもいいようなブルックナーである。
ゴツゴツした弦のリズムや金管の吹奏が、ことごとくサラッと流れていく。第1楽章終結でのホルン斉奏も、音は決まっているのだが、全然、圧倒的ではない。
また目立っているのは、ブルックナーが頻発する"lang gezogen"(長く引っ張って)という指定をことごとく無視することである。
ただ、ツルツルにしてしまうというわけではないし、金管を抑えて弦主体のバランスにしてしまうこともなく、オーケストラの響きには透明感がある。妙なアッチェランドもほとんど見られないので、抵抗感は不思議に無い(肩すかし感は強いが)。
オーケストラの出来は優秀、特にフルートとオーボエの清澄な音色は素晴らしく、第2楽章で弱音器を付けた弦合奏の愁色を帯びた美しい和音は感動的である。
ただし、第4楽章のみ、少し様子が変わっている。主題提示の全合奏は、まずまず重めのリズムを取り、休符に入るティンパニも決まっている。
109小節からの装飾音付きのヴィオラの音型をフォルテで奏させるのは宇野*尊師*好み、245〜48小節で弦合奏は、下げ弓指定を活かした見事なフレージング。このあたりは好もしい。
とはいえ、153〜54小節では譜面にない大きなリタルダンドを見せるなど、かなりテンポを変動させながら進んで行くが、ちょっと流れが悪くなってしまった。
489小節以降に出るホルンの美しい旋律にも芸がないし、最後の1頁での金管は、圧倒的に響くはずが、少々濁ってしまった上にテンポも速く、拍子抜けの終結。
ある意味ではユニークなブルックナー演奏だが、別な言い方をすれば、アーノンクールも円くなってしまったのかもしれない。
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響ほか、マーラー;交響曲第6番(DATUM)
この演奏については既に浮月斎大人先々週の更新で「主題展開の意圖的分斷と斷片化させた主題の再接合とのせめぎあひ、そしてそれらを強力に表流と伏流とにalternateすべく過程である」と喝破しておられる。マーラーに詳しくない斉諧生如きが付け加えることもないが、多少のパラフレーズを試みたい。
音響に淫せず、音楽の輪郭・構造を雄渾に描き出した演奏、とでも評せようか。
マーラー的な音のずり上げや粘りをことごとく排し、引き締まった音響で、主題をくっきりと、グイグイと、弾かせ、出し入れしていく。
のたうちまわったり慟哭したりという音楽ではなく、力強い、立派な音楽である。その分、逆に、終結での破滅の収まりが悪くなっている気配もあるが…
いわば新古典的なマーラーであり、大人も比較しておられるセル、あるいはホーレンシュタインあたりと比べてみると面白いのではなかろうか。
このディスク、多少の音飛びはあるが、モノラルとしても聴きやすい、鑑賞に堪える音質である。ただし、終楽章でのハンマーの衝撃音は知覚困難だし、カウベルの音も少々安っぽく響いてしまう。
モートン・グールド(指揮)管弦楽団、ガーシュウィン(グールド編);組曲「ポーギーとベス」(BMG)
これは聴きもの。
「ポーギーとベス」の管弦楽への編曲にはガーシュウィン自編「キャットフィッシュ・ロウ」組曲ラッセル・ベネット編「交響的絵画」が有名だが、このグールドの編曲も優れたものだ。
序曲に始まって「サマータイム」から終曲まで、約30分ほどに有名なナンバーを連ねているという点ではラッセル・ベネットのものに似ている。
ガーシュウィンのオーケストレーションに少しづつ手を入れていて、それがなかなか面白い味付けになっている。とりわけ「ハニーマン」でのファゴットや弱音器付きのトランペットは美しい。
連結の仕方も、ラッセル・ベネット以上に工夫されていて、ナンバー間の移行もスムース。
演奏の上でも、「サマータイム」での弦の甘美さはあらゆる演奏に冠絶している。
惜しむらくは、終曲が盛り上がらないこと。ラッセル・ベネット版では思わず涙ぐむほどなのだが…
アストル・ピアソラ&五重奏団ほか、「五重奏のためのコンチェルト」(BMG)
1970年12月、ピアソラと五重奏団(第1期)の最後を飾る録音。後半はピアソラのバンドネオン独奏を収め、ボーナストラックにはピアソラと師匠格のアニバル・トロイロとのバンドネオン・デュオも入っている。
斉諧生はピアソラの同曲異演を比較できるほどには聴きこめていないが、彼の音楽を聴いていると、もう他の音楽はいらないのではないか、という気分に襲われる。
こういう感覚、前にデヴィド・マンロウ一党の中世・ルネサンス音楽を聴いていた頃を思い出す。
フェルナンド・スアレス・パス(Vn)オダイール・アサド(G)ピアソラ;「タンゴの歴史」(GHA)
これは名演
元来はフルートのための曲であり、タンゴも古形ではフルートを用いていたとはいうものの、この演奏を聴くと、ヴァイオリン以外での演奏は考えられないと言っていい。
多彩な音色を駆使して、見事にタンゴの味を表出している。これに比べればフルートはどうしても単色系で、イージーリスニング的になってしまう。
スアレス・パスは地元の交響楽団のコンサートマスターも勤めた名手だそうだが、この人でクラシック系の曲も聴いてみたいものだ。
ピエール・アンドレ・ヴァラード(Fl)ロベルト・アウセル(G)ピアソラ;「タンゴの歴史」(Circe)
ヴァラードはフランスの若手で、アンサンブル・アンテルコンテンポランとも度々共演してるそうだ。アルゼンチン生まれのアウセルは、ピアソラ唯一のギター曲「5つの小品」を書いてもらった本人。
斎藤充正『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』では「(ヴァラードの)フレージング、特に頭の三十秒はまるでなっていない。」と評されてしまっているが、なるほどそのとおりで、ギターがリズムを弾き始めるまでは、拍節感も定まらない。
クラシックのフルートとしては上手いかもしれないが、上記のスアレス・パス盤と比較すると、いやいや、気の毒だが比較にもならない。

10月17日(土): 今日は、クラシック井戸端会議で知り合ったS氏@富山県高岡市が上洛されたのを、お迎えした。
 氏は、ステンハンマルをはじめとする北欧音楽同好の士であるが、幸運にも、昨夜のアバド(指揮)ベルリン・フィル、マーラー;交響曲第3番@ザ・シンフォニー・ホールのチケットを入手され、はるばる聴きに来られた序でに、立ち寄られたのである。

 S氏を御案内して、京都のCD屋・中古屋を廻る。

ニコラウス・アーノンクール(指揮)コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第4番(TELDEC)
アーノンクールのブルックナー第2弾。
第3番では1877年版という珍しい版だったが、今回は1878/80年版と表記されているから、一般的なノヴァーク第2稿だろう(ライナーノートには第1稿にも色気があったようなことが書いてある)。
もうそろそろアーノンクールに期待するのも止めた方がいいのかもしれないが、ブルックナーとなると点が甘くなる。
「もしや、もしやに」買ってしまった。(^^;
レイフ・セーゲルスタム(指揮)ヘルシンキ・フィル、シベリウス;組曲「テンペスト」第1・2番ほか(ONDINE)
好調のセーゲルスタムのシベリウス管弦楽曲再録音シリーズ、今回は「テンペスト」組曲「オセアニデス」「夜の騎行と日の出」
「否応もない」と買ってしまった。
ゾルタン・コチシュ(P、指揮)ブダペシュト祝祭管、モーツァルト;P協第11・17・19番(Philips)
バルトークが良かったコチシュが、同じくブダペシュト祝祭管を弾き振りでモーツァルトを録音。
「ものは試し」と買ってしまった。
藤川真弓(Vn)パーヴォ・ベルグルンド(指揮)日本フィル、モーツァルト;Vn協第3・5番(日EMI、LP)
珍しいLPを見つけた。
1971年11月の録音、藤川女史がチャイコフスキー・コンクールで第2位に入賞した翌年の録音である(この時の優勝者がクレーメル)。当然、バックの日本フィルも分裂前。
藤川女史のモーツァルトは、1980年頃にDECCAが全集を録音したほど定評があるものだし、この頃の演奏では、ベートーヴェン;クロイツェル・ソナタタルティーニ;悪魔のトリル等も上乗の出来だった。
ベルグルンドが振っているというのも、彼のシベリウスを高く評価する斉諧生としては嬉しい。
「これは見逃せない」と買ってしまった。
マルクス・クリード(指揮)RIAS室内合唱団、プーランク;モテット・ミサ曲ほか(HMF)
プーランクの宗教曲は好きな方で、先日もエリクソン&オランダ室内合唱団盤を買ったところ。
実は、中古音盤堂奥座敷試聴会の次々回の課題盤が、これなのである。次回の「冬の旅」も、まだ始まっていないので、いつ入り用になるかわからないのだが…
「見つけたときに」と買ってしまった。
難波弘之(Keyboard)ほか、三枝成章;「ラジエーション・ミサ」(WARNER-PIONEER)
1981年度レコードアカデミー賞(日本人作品部門)の受賞盤。斉諧生がレコードを買いだした頃のことだったので、よく記憶している。
当時は三枝氏も「11PM」に出たりする以前、一般の音楽ファンには全く未知の名前であった。
シンセサイザー(アナログ!)によるロック音楽を取り入れた曲ということで、当時は見向きもしなかったが(^^;、先日、ゆみこのページで「『全ての曲の中で1曲を選ぶとしたら?』と聞かれたときに真っ先に思い浮かぶ曲」と書いておられたので気になっていたところ、今日、中古屋でCDを発見。
「ここで逢うたが百年目」と買ってしまった。

10月16日(金): 

 京都アルティ弦楽四重奏団第1回演奏会@京都府立府民ホール「アルティ」に行く。
 ホール開館10周年を期して結成された座付きのクァルテットというわけだが、なぜか東京のオーケストラのトップ奏者を中心にした、素晴らしいメンバー。

豊嶋泰嗣(Vn)@新日本フィル
矢部達哉(Vn)@東京都響
川本嘉子(Va)@東京都響
上村昇(Vc)

 そのせいか、はたまた京都府系の職員共済団体を通じてチケットを捌いたせいか(^^;、ほぼ満席。

モーツァルト;弦楽四重奏曲第17番「狩」
第1Vnは豊嶋氏。抑え目の音量で、実に美しい音色。
和音の取り方は現代風ながら、けっして嫌なところはない。アンサンブルも良く、流麗なモーツァルト。
どうも平日の演奏会の常で、眠気の猛襲を受ける。無駄な抵抗は止めて、2曲め以降に備えた。(^^;
ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第8番
席を交替して矢部氏が第1Vnに座る。豊嶋氏との体格の差が大きく、椅子の高さの調節が必要であった。(^^;
矢部氏は一昨年、インバル&東京都響が京都コンサートホールに来演したとき、チャイコフスキー;Vn協を独奏するのを聴いたが、ちょっとクールすぎて気に入らなかった。
しかし、今日は実に感心した。音は美しいし(低音の太さには欠けるが、そういう次元の音ではない)、音色のパレットも豊か。もちろん音程の良さは抜群。
手放しの*慟哭*ではなく、求心的な緊張感の中に、音色の変化で情感を表出した演奏。アンサンブルも実に堅固。
曲が終わるのを残念に感じるような、充実した時間であった。
ラヴェル;弦楽四重奏曲
再び豊嶋氏が第1Vnに。もう一度、椅子の高さを調節。(^^)
有名な曲だが、実は、斉諧生、ほとんど聴いたことがない。(^^;
だからあまり口幅ったいことはいえないが、第1楽章のたゆたう情感、第2楽章のピツィカートを主体にした機知の響き、第3楽章のアルカイックな抒情、第4楽章の運動性、いずれも過不足ない上乗の出来と聴いた。
豊嶋氏は、たぶん本来はもう少し太い(芯のある)音色の持ち主だろうと思うが、細身・明るめの音を意識して出していたように思う。贅沢かもしれぬが、この曲も矢部氏が第1Vnであれば、また格別ではなかったか。
第3楽章の最後、チェロの音型がイマイチ決まらなかったのは惜しかった。
アンコールはモーツァルト;弦楽四重奏曲第15番のメヌエット楽章。
これは少々疑問だった。ラヴェルの後にモーツァルトの短調というのは、ちょっと段差が大きすぎるように感じたし、アンサンブルにも僅かながら綻びが…
斉諧生が期待したのは、ディーリアス;弦楽四重奏曲第3楽章「去りゆくつばめ」だったのだが…(墺→露→仏→英と、つながりもよい(^^;)。

 とにかく充実した一夜を過ごさせてもらった。年に1回でもよいから、この顔合わせが今後も続いて聴けることを祈りたい。


10月15日(木): 

 13日の項に書いたとおり(^^;、ピアソラ熱が再発。
 購入ディスク選定に当たっては、かぶとやま交響楽団のWebpage中の「工藤庸介のピアソラ講座」を参考にさせていただたので、詳しい説明はそちらを御参照ください。

アストル・ピアソラ&コンフント・ヌエベ、「バルダリート」(ブエノス・アイレス市の現代ポピュラー音楽vol.1&vol.2)(BMG)
アストル・ピアソラ&五重奏団ほか、「五重奏のためのコンチェルト」(BMG)
この2点は復刻発売されたばかりの国内盤。
フェルナンド・スアレス・パス(Vn)ほか、「ピアソラに捧げる弦楽」(MELOPEA)
ピアソラの後期に参加したヴァイオリニスト、スアレス・パスによるトリビュート・アルバム。
入手困難と言われていたが、『ラティーナ』誌が国内向けの取扱いを始め、ようやく店頭に並んだ。
フェルナンド・スアレス・パス(Vn)アサド兄弟(G)ほか、「フーガと神秘」(GHA)
これは上記の「〜ピアソラ講座」にはない盤だが、工藤さんから「タンゴの歴史」の決定盤として御推奨をいただいたもの。原曲はFlとGだが、ここではVnとGで演奏。
タイトル曲は、ピアソラのオペラ「ブエノスアイレスのマリア」中の曲。
「ガーシュウィンの歴史的録音」(BMG)
作曲家生誕100年記念盤。
作曲家自演(ポール・ホワイトマン楽団)「ラプソディ・イン・ブルー」のSP録音2種の復刻、若き日のバーンスタイン「パリのアメリカ人」(1949年録音)等を含む。
斉諧生的に重要なのは、例によって「ポーギーとベス」
ローレンス・ティベットによる1935年録音のアリア録音や、モートン・グールド自編・自演の組曲(1955年録音)を、ぜひ聴きたく、購入。
ジョルジュ・パウク(Vn)ヤーノシュ・ローラ(指揮)リスト室内管、モーツァルト;Vn協全集(HUNGAROTON)
うっかり見逃していたセットを購入。
パウクは知名度は低いが、ハンガリー出身、イギリスで活躍する実力歴々たる大ベテラン。フバイやシゲティの流れを汲む、現在では貴重な系譜に連なる人である。
これまでシューベルトやバルトークを買ってきたし、モーツァルトも第4・5番の協奏曲録音(1960年代か)が英Turnaboutにあった(付けはイェルク・フェルバー)。
これは1990年頃のデジタル録音、K.364協奏交響曲K.190コンチェルトーネ(Va、2ndはローラ)やロンドアダージョ等、Vnと管弦楽のための曲を網羅した3枚組。

10月14日(水): 

 珍しくSwedish Societyレーベルがまとまって入荷していた。

スティーグ・ヴェステルベリ(指揮)ストックホルム・フィル、シベリウス;「テンペスト」組曲・「クリスチャン2世」組曲ほか(Swedish Society)
スウェーデンの朝比奈隆」ヴェステルベリのシベリウス録音、買わざるべからず。
「テンペスト」組曲は、第1組曲・第2組曲から自由に11曲を抜粋、1956年録音ながら良好なステレオ。
「クリスチャン2世」組曲は、通常の5曲構成。1955年のモノラル録音。
ストックホルム・フィル室内アンサンブルによる組曲「恋する人」、ストックホルム・フィルのコンサートマスター、レオ・バーリンによる「ロンディーノ」をフィル・アップ。
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)ストックホルム・フィル、リドホルム;オーケストラのためのリトルネッロほか(Swedish Society)
イッセルシュテットの未知の録音ゆえ、買わざるべからず。作曲者も未知の人だが…
彼は、1955〜1964年の間、ストックホルム・フィルの首席指揮者の地位にあった(前任がカール・フォン・ガラグリ、後任はアンタル・ドラティ)。その関係で録音されたものだろう。
1957年録音だが、残念なことにモノラル。ただし音質は良好。
同じ作曲家の作品の、ヘルベルト・ブロムシュテットシクステン・エールリンクによる録音をカプリング。

10月13日(火): 出張の往復3時間半ほどを利用して、斎藤充正『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』@青土社に目をとおす。
 一見したときの印象以上に、労作かつ名著であることがよくわかった。ひと頃のピアソラ熱が再発しそうだ。
 タンゴとかクラシックとかを越えて、音楽が好きな人には必携の名著といえよう。

なんと、イーゴリ・マルケヴィッチが、ピアソラのクラシック作曲修業時代の作品を初演したそうだ。「三つの交響的楽章『ブエノスアイレス』」がそれ。残念ながら、マルケヴィッチの演奏はおろか、まったくディスクが出ていないそうな。

 

レナード・バーンスタイン(指揮)シカゴ響、ショスタコーヴィッチ;交響曲第1・7番(DGG)
何を今ごろ…と言われそうだが(^^;、実は未聴、未架蔵。
来月3日、京都コンサートホールにルドルフ・バルシャイが来演、京都市響を指揮して第7番を演奏する。
バルシャイのディスクも架蔵しているのだが(BIS)、中古音盤堂奥座敷同人、工藤さん御推奨盤で「予習」しようと購入。
ゲルハルト・ヒュッシュ(Br)ハンス・ウド・ミュラー(P)シューベルト;歌曲集「冬の旅」・「美しき水車屋の娘」ほか(Preiser)
これも中古音盤堂奥座敷がらみ。
次期試聴会の課題盤がプレガルディエン&シュタイアーの「冬の旅」、比較盤としてフィッシャー・ディースカウ(1955年盤)、シュライヤー(リヒテル盤)を購入済みだが、やはり古典的名盤として、ヒュッシュは外せない。
新星堂&東芝の復刻盤が品切の様子なので、前に見かけたPreiser盤を探していたところ、久しぶりに棚に並んでいるのを発見したので、即、購入。
CD2枚組にベートーヴェン;歌曲集「はるかな恋人に寄す」も収録。

10月11日(日): 

 

エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、モーツァルト;交響曲第29番ほか(Philips)
モーツァルト;交響曲第29番は1957年6月6日録音とあり、雑音の具合からするとライヴのようだが、音は最高! 残響も美しい。
弦合奏のしなやかさ、ふっくらしたホルン、こういうオーケストラの音は、もう失われてしまったのではないだろうか。
第1楽章は無造作に始まり、速めのテンポでキビキビしたモダンなモーツァルト。やや愛想のないセカセカした演奏と感じる向きがあるかもしれない。
調理の仕方としては、例えばカンテルリ&フィルハーモニア管盤(EMI)の方が上だろうが、上記のような極上の素材で聴かせる
とはいえ凡庸な指揮ではなく、内声部や低弦の意味深さも立派。
クリスチャン・バッハシンフォニア2曲もオーケストラの美しさは特筆すべきもの、とりわけオーボエの性格的な音色が効いている。
1956年録音のモーツァルト;FlとHpのための協奏曲は、少し音の古さが感じられるものの、バルワーザーの古雅な音色と、うっすらと愁色を帯びた歌に感興を催す。
ピエール・モントゥー(指揮)サン・フランシスコ響、シューマン;交響曲第4番(米RCA、LP)
冒頭は荘重だが、主部は速めのテンポ、短めの音価でたたみかける感じ。
金管を浮かし気味にしたバランスの、男性的なシューマンである。
この曲は手元にスコアがないので正確にはわからないが、楽譜にはかなり手を入れているかもしれない。かなりクリアな響きである。
この曲の聴きどころ、第4楽章の序奏から主部への移行では金管の鮮烈な響きが印象的。クライマックスではホルンの英雄的な吹奏で盛り上げる。
この快演がCDで復活しないのは残念。
エミール・ギレリス(P)ゲオルク・セル(指揮)ウィーン・フィル、ベートーヴェン;P協第3番・「エグモント」序曲(Orfeo)
P協第3番は、実のところ、あまり好きな曲ではない。冒頭の主題が、いかにも鬼面人を驚かすように響くのが常だからだ。
しかし、この演奏では、そうした抵抗感は、なかった。
先日聴いた交響曲第5番からすると、威嚇的にガンガン鳴らす演奏かと想像していたのだが、正反対で、弦のフレージングはしなやか、ピアノは硬質だが弾力のある煌めき。嬉遊性にも欠けるところのない、素晴らしい演奏であった。
第2楽章でのギレリスの感じ切った呼吸の深さ(例えば58〜61小節)、低弦の意味深さ(69〜77小節)も特筆したい。
第3楽章でも両者は冴え渡る。ギレリスが27小節でア・テンポするところの粋、257小節の胸のすくfp。416〜423小節のティンパニの意味深さ。独奏とオーケストラが一丸となって突き進む終結の迫力。
もちろんウィーン・フィルの弦合奏のずっしりしたコクのある響き、木管の美しさ、言うまでもない素晴らしさである。
「エグモント」序曲には、同じ顔合せのスタジオ録音(全曲版)があり、名演として知られている。
今回、それとも聴き比べてみたが、やはりライヴ録音が優れている。
スタジオ盤ではリジッドな締め上げが緊張感を生んでいたが、ライヴではもっと自然な緩急が迫力を高めている
15小節以降の内声の刻みの迫力、チェロが主題を出すところで第1ヴァイオリンが歌う対旋律の高揚(31〜32小節)、47小節からのアッチェランド。
コーダに入ってヴィオラとチェロが半音階的に上下する上で第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが高音域でぶつかるような動きをするところ(307小節〜)、導入のヴィオラとチェロに置かれたアクセントが生むスウィング感。
マイクの加減かホルンとトランペットが妙にクローズアップされるスタジオ録音盤と異なり、自然な音像から、本当に力一杯吹いている感じが伝わってくるクライマックス。
この曲のベスト盤といっていいだろう。
ライナー・クスマウル(Vn)マルティン・ジークハルト(指揮)シュトゥットガルト室内管、ヴィヴァルディ;「四季」ほか(MEDIAPHON)
クスマウルの美しい音、シュトゥットガルトの手堅いバック、新奇なことは何もしていないが、充実した演奏である。
最も印象に残ったのは「秋」の第2楽章で、弦合奏の和音の上をセンスの良いチェンバロ(ジークハルト自身が弾いている)の装飾が、あるいは美しく、あるいは愁色を湛えて、彩っていく。

10月10日(祝): 

 通販業者(2社)からLP、CDが届いた。

コルネリウス・フロヴァイン(指揮)シンフォニエッタ・ケルン、ガーデ;弦楽のためのノヴェレッテほか(ANTES)
CD3枚はノルディック・サウンド北欧からの入荷。
愛惜佳曲書掲載の曲の新録音ゆえ、早くからオーダーしていたもの。
もちろんヘ長調op.53ホ長調op58の両方を収めており、更にピアノのための「水彩画」op.19の弦楽合奏編曲(リヒャルト・ホフマンによる)をカプリング。
アンナ・ノールビィ(M-Sop)ほか、「ストックホルムの絵」(CAPRICE)
これはNORDIC FOREST北欧のクラシック音楽のWebmaster「パパさん」から御教示いただいたCD。
ストックホルムにちなんだ歌曲の、民謡からガーシュウィン、タンゴまで23曲のアンソロジー。リュートからバンドネオンまでが伴奏に登場。
斉諧生的にはステンハンマル;「4つのストックホルムの詩」から「木の繁る丘で」「手回しオルガンの歌」2曲が収められていることが重要なので、オーダーしたもの。
マリアンネ・エクロフ(M-Sop)ステファン・ボイステン(P)歌曲集(MAP)
スウェーデンのマイナー・レーベル、マルメ・オーディオプロダクツの1枚。ステンハンマルの歌曲4曲を収めている。
収録曲は「薔薇に」(op.8-4)、「窓辺に」(op.20-2)、「メロディ」(遺作「5つの詩」第1曲)、「逢い引きから帰ってきた女の子」(op.4b-1)。
前にステンハンマルのページで「作品表とディスコグラフィ」に掲載していたのだが、現物を持っていなかったため、オーダーをかけて取り寄せてもらったもの。
その他、ペッタション・ベリエル、シベリウス等北欧の作品から、イギリス民謡、モンサルヴァーチェまでを集めたリサイタル・アルバム。
ピエール・モントゥー(指揮)サン・フランシスコ響、シューマン;交響曲第4番&ベートーヴェン;交響曲第4番(米RCA、LP)
モントゥー唯一のシューマン録音、長年の探求盤であったが、ようやく入手。
ディスコグラフィによれば、両曲とも1952年4月7日の録音とされる。
カプリングのベートーヴェンは、前にBMGから出たモントゥー・エディションに収められていたが、シューマンはオミットされていた。あのエディションはコンプリートで出してほしかったなぁ…
ナディア・ブーランジェ(指揮)ソロイスツ、「小さなコンサート」(米VOX、LP)
昨今ではピアソラの先生として有名になったナディア・ブーランジェの指揮盤。セルミジやクープランからフランセまでを集めたもので、おそらく元来はSPで出た音源と思われる。
夭折した妹、リリー・ブーランジェ;「ピエ・イェズ」を収めていることから、カタログで見つけた際に即刻オーダーしたもの。
リリー作品の録音としては最初期のものと思われる。
なお、ナディアのリリー作品演奏としてはintaglioから1968年のロンドン・ライヴ録音で「詩篇第24番」「ピエ・イェズ」「深き淵より」を収録したCDが出ていた。

 

アンナ・ノールビィ(M-Sop)ほか、「ストックホルムの絵」(CAPRICE)
マリアンネ・エクロフ(M-Sop)ステファン・ボイステン(P)歌曲集(MAP)
今日届いた歌曲集2枚を聴く。

 今日のステンハンマルのCDの情報とジャケット画像を、ステンハンマルの頁の「作品表とディスコグラフィ」に追加する。
 トップページに、季節に合わせて、山本紅雲(1896〜1993)描くところの「白夜秋草」を掲載。


10月9日(金): 

 そろそろクリスマス・アルバムの新録音が出回る時節になってきたようだ。1年経つのも早いもの…

ケント・ナガノ(指揮)ロンドン響、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「ペトルーシュカ」&バルトーク;バレエ音楽「不思議なマンダリン」(ERATO)
こういうカプリングだと手が出てしまうなぁ…
ナガノは前に春の祭典を買ったが、未聴のまま。
レイフ・オーヴェ・アンスネス(P)サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響、ブラームス;P協第1番ほか(EMI)
アンスネスはVirginから出たグリーグ;P協ほかが良かったので、見かければ買ってきたピアニスト。
ラトルのブラームスも珍しい。

10月7日(水): 今日は中古音盤堂奥座敷、主宰の浮月斎大人の"迎撃"オフ・ミーティング。

 迎撃地点;タワーレコード@梅田で1点購入。

サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響、マーラー;交響曲第3番ほか(EMI)
3番はマーラーの中でも好きな曲なので、リリースを待ちかねていた。
ラトルのマーラーは、前に4番が、やや首を傾げる出来であったが、失地挽回に期待したい。
そういえば、この曲、少し前にサロネン盤が出たところ。つくづく、レパートリーが衝突する2人であると思わされる。
なお歌唱はビルギット・レンメルト(A)とバーミンガム市響合唱団。
『子供の不思議な角笛』からの8曲をフィル・アップ。こちらの独唱はサイモン・キーンリィサイド(Br)。
交響曲での合唱指揮がサイモン・ハルシーだから、指揮者と合わせてサイモンが3人…。

10月6日(火): 

 虫の知らせか、退勤後、閉店間際のCD屋に駆け込んだら…。

エミール・ギレリス(P)ゲオルク・セル(指揮)ウィーン・フィル、ベートーヴェン;P協第3番・交響曲第5番ほか(Orfeo)
待望の1枚が入荷していたので、狂喜して購入。
この盤の演奏評が浮月斎さんのWebpageには既に掲載されている。これを読んで聴きたくならない人はいないだろう。
上記の他に「エグモント」序曲を収める、1969年8月24日のザルツブルグ・ライヴ。
トゥリオ・セラフィン(指揮)ローマ歌劇場管ほか、ヴェルディ;レクイエムほか(TESTAMENT)
セラフィンの1939年のSP録音も名演の誉れ高いが、これは再録音に当たる1959年のステレオ盤。フィオレンツァ・コッソットボリス・クリストフが参加している。
斉諧生は、この曲をあまり聴いていないが、ここはセラフィンの棒に期待して購入。
ヴェルディの序曲2曲(フィルハーモニア管)とオペラ合唱曲7曲(スカラ座管・合唱団)をカプリング。
なお、TESTAMENT社のWebpageができている。

 

ゲオルク・セル(指揮)ウィーン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第5番(Orfeo)
さっそく聴いてみた。
凄い演奏だった。ウィーン・フィルには、こういう演奏ができるのか! とあらためて感銘を受ける。(「60年代までの」との限定が必要かもしれないが…)
浮月斎大人がWebpageに記されているとおりで、あえて付け加えるのも蛇足の限りだが、すこし書いてみる。
1楽章殺気(!)、2楽章ゆたかさ3・4楽章物狂い(!)、まさに手に汗握る…という感じ。もう夢中で聴き惚れていた。
セルのこととて、細部のコントロールは十分。フレージングの細部にも、けっこう手を入れている。(例:1楽章185〜87小節とか4楽章34〜40小節)
また、ブレス程度の短いパウゼを入れて、次のフォルテの入りを効果的にするというパターンも、あちこちでツボにはまっていた。(例:1楽章93小節と94小節の間、345小節と346小節の間あたり。また、1楽章再現部のオーボエのカデンツァの直前の「間」も効果的!)
ただ、一般に考えられているほどセルの音楽は端正ではなく、けっこう強引に引きずり回すこともある。1楽章終結のテンポ運びは、それが見事に決まった例であろう。
セルの体臭ともいうべきトランペットの突出も頻出していた。(例:4楽章293小節、ここでは張り切りすぎて音が変…)
4楽章コーダへのアッチェランドが2小節早く始まるところがちょっと不自然なのは、その場での即興的な表現だったのではなかろうか。また、最後の大見得を切るようなテンポの踏みしめも、あるいは…?
2楽章には、もう少し静謐なアンサンブルの滋味が欲しかったような気もする。コンセルトヘボウ管とのモーツァルト;交響曲第34番の2楽章など、最高の演奏、まさしく室内楽的なアンサンブルであった。
もっとも、123小節のフェルマータの長さには、まこと胸をうつものがある。
クラシック・ファン必聴の名演奏の一つだろう。

10月4日(日): ↓のコンサートのために大阪に行く。
 ついでに梅田の楽譜店に寄り、いろいろ物色。ベルワルド;シンフォニア・カプリシューズ(第2番)同;シンフォニア・サンギュリエール(第3番)カサド;無伴奏チェロ組曲フォーレ;ラシーヌの雅歌(ラッター編)を買った。
 これでベルワルドは全4曲中3曲のスコアが揃ったことになる。北欧音楽には弱いのである。(^^;
 カサドは、今日のコンサートの記念でもあり、近々発売される長谷川さんの新録音に向けてのお勉強用でもある。
 フォーレは愛惜佳曲書に掲載した曲、時間を見つけてMIDIファイルを打ち込む予定。

 ジャン・ワン 長谷川陽子 チェロデュオ@イシハラ・ホールを聴く。
 長谷川さんのコンサートは今年2月の関西フィルとのショスタコーヴィッチ以来。
 どういう縁かよくわからないが、ジャン・ワン@デュメイ&ピリスとピアノ・トリオをDGGに録音していた とのデュオ。チェリスト同士というのは珍しいというか、プログラムが組みにくいというか。
 イシハラ・ホールは初めて。大阪フェスティバル・ホールから南へ、橋を渡ってすぐのところ。企業ビルの3階に設置されている点は、中之島を挟んで対称位置にあるフェニックス・ホールとよく似た環境だ。
 250席ほどのこじんまりしたホール、装飾の趣味が斉諧生好みではないが、木の内装が目に優しく、音響にも癖がなさそう。

1曲目はヘンデル;2台のVcとPのためのソナタop.2-8、これは2挺のVnと通奏低音のためのソナタからの編曲。
プリモは長谷川さん。最初の音が鳴った瞬間に、もう哀しみの情感があふれ出してくる
古楽器派とは無関係な、ロマンティックな演奏。音色の変化に意を用いておられる様子で、軽い柔らかい音から男性的な中低音まで、実に幅広い。
その点ではワン氏のほうがパレットの色数が少ない感じ。さびの効いた音色だが、高音に艶を出せないのが単調な感じを生んでいる。
プロコフィエフ;Vcソナタはワン氏の独奏。
熱演ではあるのだが、上記のように音色がやや単調、もう一つ楽しめなかった。
休憩を挟んで、お待ちかね、長谷川さんのカサド;無伴奏チェロ組曲
第1楽章の情念の表出にも過不足なく、とりわけ中間部でのフラジョレットの連続は完璧。かすれたような頼りない音ではなく、ボディがあってしかも美しい、とてもチェロから出ているとは思えない音。
第2楽章、出だしのフラウタンド指定のところは、やはり見事な美しい音色。アレグロ・ジュストに入ると、さすがに苦しそうではあるが、音楽にはけっして綻びを見せない。
第3楽章、後半のスペイン舞曲では、かなり速めのテンポ。唖然とするような弓捌きで、熱狂を表現してゆく。いやもう、感服。
最後はロッシーニ;2台のVcのための二重奏曲、原曲はVcとCbのデュオで、確か、アッカルド等によるロッシーニ;弦楽ソナタ全集(Philips)のフィルアップに入っていた曲だ。
まぁロッシーニらしい楽しい曲で、全編これアンコールの趣。ちょっと充実感には欠けるが…
そのせいか(?)、アンコールは1曲のみ。曲名等のアナウンス・掲示もなかったので、また後援会「ひまわり」のWebpageで尋ねてみよう。

 コンサートの前後に中古屋等を覗く。

セルジウ・チェリビダッケ(指揮)ミュンヘン・フィル、チャイコフスキー;幻想序曲「ロメオとジュリエット」ほか(EMI)
9月28日の項に書いた許光俊『クラシックを聴け!』で紹介されていた演奏。
初出のときはカプリングの「展覧会の絵」がBOXと重なるので買わずにいたのだが、↑を読んで、どうしても聴きたくなっていたところ、中古格安を見つけたので購入。
笑ったのはライナーノートの写真、チェリが日本の禅寺で庭掃きをしている。(^^)
ギュンター・ヘルビヒ(指揮)ベルリン響、ニールセン;交響曲第5番ほか(Berlin Classics)
これは愛惜佳曲書に掲載している曲、この盤は以前ccd-MLで推奨されていたので、探していたのだが長く見つからなかった。
ようやく見つけたので迷わず購入。
カプリングがオネゲル;交響曲第3番というのも嬉しい(こちらはヨハネス・ヴィンクラー(指揮)ドレスデン・フィル)。
レオポルト・ストコフスキー(指揮)フィラデルフィア管、R・シュトラウス;交響詩「死と変容」ほか(BMG)
知る人ぞ知る(?)サロ様城での超推奨盤。
1934年の録音、Webで調べてみたところ、この2枚組の"Legendary Strauss Recordings"というアルバムでしか聴けない模様。その他の収録曲は、
ヴィレム・メンゲルベルク&ニューヨーク・フィル;英雄の生涯(1928年)
セルジュ・クーセヴィツキー&ボストン響;ツァラトゥストラ(1935年)
トーマス・ビーチャム&ニューヨーク・フィル;ドン・キホーテ(1932年) 等。
スコット・ヨー(指揮)メタモルフォーゼン室内管、グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」&ドヴォルザーク;弦楽セレナードほか(ARCHETYPE)
聞いたことがない指揮者・オーケストラ・レーベルだが、ニューヨーク辺りの若手奏者のアンサンブルらしい。名前はR・シュトラウスの曲から取ったとか。
それでも、このカプリングには弱い。中古格安ということもあり、ついつい買ってしまう。
チャイコフスキー;弦楽セレナードも入っている。
ライナー・クスマウル(Vn)マルティン・ジークハルト(指揮)シュトゥットガルト室内管、ヴィヴァルディ;「四季」ほか(MEDIAPHON)
いまさら「四季」でもないかもしれないが、ヴァイオリン・指揮とも、ちょっとひいきにしている2人。中古格安でもあり購入。
蛇足ながら、クスマウルは現在ベルリン・フィルのコンサートマスター、ジークハルトも今ではリンツ・ブルックナー管首席。
キョンヘ・キム(Hp)ローラ・コラダント(Fp)デュセック;ハープとフォルテピアノのためのソナタ集(MANDALA)
これも愛惜佳曲書掲載のHpソナタ・ハ短調を収録、中古格安でもあり喜んで購入。
前にこのHp奏者によるデュセック;Hpソナタ集を買ったとき、この曲が入っていなかったのに落胆したが、どうやらこっちの盤に収録していたらしい。

10月3日(土): 

 Music BoulevardからCDが届いた。

ラファエル・ウォルフィッシュ(Vc)ジェフリー・サイモン(指揮)イギリス室内管、バーバー;Vc協&ショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(CHANDOS)
斉諧生注目のWebpageの一つ、GEORG SZELL HOMEPAGE
Webmistress、Sugitaさんの名文句「セル・イッセルシュテット・アンセルメ−私の好きな3セル」は一部で有名である。(^^)
先日訪問したところ、この盤のバーバーを薦めておられた。
カプリングが好きなショスタコーヴィッチの1番ということもあり、オーダーしたもの。
ポール・バリット(Vn)キャサリン・エドワーズ(P)アイアランド;Vn曲全集(hyperion)
以前(9月23日)に聴いて良かったアイアランド;Vnソナタ第2番を他の演奏で聴いてみようとオーダーしたもの。
"The Holy Boy"が入っているのも有り難い。「アイアランド作品でもっとも有名な曲…聖母のやさしいまなざしを音楽にしたようなメロディゆえに人気が高い」(山尾敦史『近代・現代英国音楽入門』@音楽之友社)のだそうな。
ベンジャミン・ラクソン(Bar)デヴィッド・ウィリソン(P)バターワース;「『シュロップシャーの若者』からの6つの歌」ほか(CHANDOS)
バターワースの管弦楽曲は長く愛聴しているのだが、そのうち狂詩曲「シュロップシャーの若者」の原曲とも言える歌曲集をちゃんと聴いてみようとオーダーしたもの。
同じくハウスマンの詩による「『ブリードンの丘』その他の歌曲集」も収録している。

 

ヤン・フォーグラー(Vc)ブルーノ・カニーノ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第1番(BERLIN CLASSICS)
やや短めに取ったフレージングが新鮮、強めのアクセントやsfが気持ちよく、誠に溌剌とした、若々しい息吹を感じさせる演奏である。
あるいは古楽器派の奏法をよく研究した成果であろうか。
演奏上も録音上も、チェロとピアノのバランスが適切、両方が主役の趣。
やはりこの人は良い。ノラス、ペレーニの後を継ぐ逸材と見た。お薦めしたい。
ジュリアン・ロイド・ウェッバー(Vc)ベングト・フォルスベリ(P)ディーリアス;Vcソナタ(Philips)
人気のある人らしいが、こういう鼻にかかったような音のチェロは、あまり好みではない。
1楽章制で13分ほどの曲、初めて聴くものだが、中間部の緩徐楽章風のところで、民謡風の旋律をチェロがたゆたうあたりの趣は、まさしくディーリアス。
別な人で、また聴いてみたい。
ザヴィエル・フィリップス(Vc)フセイン・セルメット(P)プロコフィエフ;Vcソナタほか(HMF)
明日のコンサートに備えての「予習」。
晩年のプロコフィエフによくある平明な曲調だが、美しい旋律に時々陰が射し込む趣はなかなか。
ロストロポーヴィッチのための曲らしく、技巧的な見せ場も用意してあって、聴き映えのする曲である。
フィリップスの音色は斉諧生好みの寂びの効いたもの、音程や弓捌きもくっきりしていて胸がすく。ただ、第3楽章などもう少し燃えてもいいかもしれない。
カプリングのショスタコーヴィッチを聴いたら、また書いてみたい。
林峰男(Vc)カサド;無伴奏Vc組曲(Pavane)
これも明日の「予習」。
第1楽章は情念のたぎるレシタティーヴォ、第2楽章は重音奏法を駆使した舞踏曲。
第3楽章は抒情的な間奏曲とファリャを思わせるスペイン舞曲。
林のチェロも強靱、見事なものだ。
ただ、鮮烈というより少々癖のある録音が、耳に刺激的であるのが惜しい。
「天台聲明」(OCORA)
いつものことながら、声の実在感と悠然たる節回しに聴き惚れる。
真言聲明に比べ、少し地味か。

10月2日(金): 

 

エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、モーツァルト;交響曲第29番ほか(Philips)
エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、シューベルト;交響曲第3・6・8番(Philips)
エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブラームス;交響曲全集(Philips)
蘭Philipsの"Dutch Masters"シリーズの新譜で、ベイヌムを大量に購入。
前にも書いたが、ベイヌム時代のコンセルトヘボウは、アンサンブルといい、音色といい、きわめて魅力的。マイナー好みの斉諧生としては見逃せない。
特にブラームスは結構評判になった録音で、第1番などCDでも何度か再発されてきていた。
なお、モーツァルトの盤にはフルートとハープのための協奏曲(Fl;フーベルト・バルワーザー、Hp;フィア・ベルゴート)の他、ヨハン・クリスチャン・バッハのシンフォニアを2曲収録。
このうちクリスチャン・バッハの2曲とブラームス;第1・4番はステレオ録音、ますます楽しみ。
シモン・ゴールトベルク(指揮)オランダ室内管ほか、モーツァルト;協奏交響曲K.Anh.9ほか(Philips)
これも蘭Philipsの"Dutch Masters"シリーズ。
ゴールトベルクの指揮、それもモーツァルトとあっては見逃せない。
オーボエ奏者(Stotijn兄弟、発音がわからない…)をメインにした盤で、モーツァルトとハイドンの協奏曲も収録。モーツァルトはヴィルヘルム・ロイプナー(指揮)のウィーン響、ハイドンはゴールトベルク(指揮)オランダ室内管。
マイアミ弦楽四重奏団、ヒナステラ;弦楽四重奏曲第1・2番(PYRAMID)
ヒナステラの弦楽四重奏曲第2番、一昨日ASV盤を買ったばかりなのに、今日、本命盤を見つけてしまった…。
躊躇う気持ちもあったが、レーベルのマイナー度を考えると、見逃せない。
(嘆)
ペーター・シュライアー(Ten)スヴィアトスラフ・リヒテル(P)シューベルト;歌曲集「冬の旅」(Philips)
中古音盤堂奥座敷の次回試聴会、シューベルト:「冬の旅」の参考盤として購入。
課題盤はプレガルディエン盤(TELDEC)、また既に参考盤としてフィッシャー・ディースカウ盤(1955年録音、EMI)を買っている。
先日知り合いの音楽の先生(声楽専攻)にお薦めを尋ねてみた。
先生「やはりフィッシャー・ディースカウで聴きますねぇ」
斉諧生「他にないですか、できたらちょっと変わったのがいいんですが」
先生「シュライアー&リヒテル盤が面白いですよ、リヒテルのピアノ独奏にシュライアーがオブリガートをつけている趣です」
その録音の中古格安盤、見逃せない。
「天台聲明」(OCORA)
LP期に長岡鉄男が推奨して有名になった、フランスの民族音楽レーベルOCORAには、何枚か日本の伝統音楽の録音がある。
武満徹作品の演奏で知られる鶴田錦史(薩摩琵琶)の古典曲も収められており、やはり侮れないシリーズである。
その中の真言宗の聲明の録音は以前から架蔵していたが、今日、天台宗の聲明の盤を見つけた。
聲明の世界では天台宗と真言宗が双璧、これは見逃せない。
1978年10月のパリ録音だが、残念ながら演奏者の名前等は記録されていない。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」に近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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