音盤狂日録


祝 御降誕祭


12月31日(木): いよいよ大晦日になりました。今年一年の御愛顧を感謝し、新年も御贔屓よろしく、お願い申し上げます。<(_ _)>
 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

 昨日の中古盤で今年も最後と思っていたら、ネットでオーダーしたのが届いた。

花岡和生(Rec)ファン・エイク;笛の楽園(TROUT)
帯から引用。
「十七世紀のオランダを代表する盲目のカリヨン奏者、ファン・エイク。彼は、また、リコーダーの名手でもあった。彼が、長年のカリヨン演奏の中で出会った、数々の美しいメロディーは<笛の楽園>という曲集としてまとめられ、人々に親しまれた。」
ちょうど去年の今頃聴いた、花岡氏の前作、ブラヴェ;小品集が素晴らしかったので、購入。
花岡氏の弟子に当たるリコーダー奏者、篠原理華さんのWebpageで、花岡氏の新譜が出たことを知り、AVANTIのサイトから、E-mailで申し込んだもの。代金は郵便振替後払い。TROUTというのは花岡氏のプライヴェート・レーベル。
前作同様、CDのアートワークも美しい。

 昨日からの引き続きで、「クラシック井戸端会議選定:名演奏家の名盤はこれだ!」向けに、ポール・パレーの録音を聴き、原稿を書く。

 28日の項に書いたシカゴ響自主製作CDの曲目リストの一部に誤りがありました。

第11巻「ライナー時代ー2ー」(CSO)
バルトーク;Vn協第2番(Vn:ヘンリク・シェリング)(1957.10.24)
は誤り、
バルトーク;Vn協第2番(Vn:イェフディ・メニューイン)(1957.10.24)
が正しいものです。
N.M.さんから御指摘頂戴しました。ありがとうございました。

12月30日(水): 

 近所のスーパーへ年末年始の買い出しに行ったら、中古盤セールを始めていた。例年だと新年の企画なのだが、年末から始める模様。
 で、ついつい…。

ブライデン・トムソン(指揮)ロンドン・フィル、エルガー;交響曲第1番(CHANDOS)
売場には、なぜか英国音楽盤が多く、RVWなどボールト、ハイティンク、スラトキン…と盛りだくさんだったが、斉諧生的にはトムソンが重要。
何といってもこの人、師匠筋がハンス・シュミット・イッセルシュテットイーゴリ・マルケヴィッチ、斉諧生としては注目せざるべからず。
まず、英国音楽系では外せないエルガーを購入。
 
ブライデン・トムソン(指揮)ロンドン・フィル、バックス;交響曲第3番ほか(CHANDOS)
ブライデン・トムソン(指揮)ロンドン・フィル、バックス;交響曲第6番ほか(CHANDOS)
トムソンのバックスは、第2・4番を架蔵している。その頃から、いずれ全曲を揃えることになるかも…と感じていたのだが、今日、2枚も発見したので、ついに(!)「トムソンのバックス全集を中古かバーゲンで揃えるプロジェクト」を発動してしまった(^^;;;
それぞれ管弦楽曲をカプリング、第3番には「野生のイラヴェルの踊り」「歓喜の歌」、第6番には「祝典序曲」
 
ブライデン・トムソン(指揮)フィルハーモニア管、アーノルド;舞曲集(CHANDOS)
映画『戦場に架ける橋』の音楽を担当したのがアーノルドだそうで(ただし、有名なマーチのみ別人の作)、トランペットを学んでロンドン・フィルの首席を務め、退団後は作曲に専念して、親しみやすくスケールもある音楽をたくさん書いた、そうだ。
これは山尾敦史『近代・現代英国音楽入門』@音楽之友社の受け売りだが、この本を読んだときに、アーノルドの曲も聴いてみたくなっていたので、代表作・舞曲集のトムソン盤を発見したので、購入。
この盤にはイングランド舞曲(2セット)、スコットランド舞曲、コーンウォール舞曲、アイルランド舞曲を収めているが、更にウェールズ舞曲というのもあるそうだ。
 
レイフ・セーゲルスタム(指揮)ラインラント・プファルツ国立フィル楽員ほか、R・シュトラウス;管楽のための初期・後期作品集(SIGNUM)
今年読売日響で「第九」等を振って、東京方面では話題になっているそうだが、セーゲルスタムの仕事を、こんなところでも発見。
で、なぜ買ったかというと、ClとFgのための二重小協奏曲が収められているので。
R・シュトラウス晩年の、甘美さと、それを突き抜けた侘び寂びを感じさせてくれる名作、見つけ次第購入中なのである。
それ以外には13管楽器のための組曲(op.4)管楽セレナード(op.7)を収録。
 
アンドレ・プレヴィン(P)ウィーン管楽ソロイスツ、モーツァルト;Pと管楽のための五重奏曲&ベートーヴェン;Pと管楽のための五重奏曲(TERALC)
モーツァルトは好きな曲なのだが、必ず買うところまではいかない曲。
ところが、Hrnにフォルカー・アルトマンの名前を発見。Web上では知らぬ人のないVolkerの部屋の「御神体」その人である。
これは一度、彼の音を聴いてみようと購入。
その他にはゲルハルト・トゥレチェク(Ob)ペーター・シュミードル(Cl)フリートリッヒ・ファルトゥル(Fg)という、つい先年までウィーン・フィルを支えた面子。
録音は、1985年。

 先週からの引き続きで、「クラシック井戸端会議選定:名演奏家の名盤はこれだ!」向けに、ポール・パレーの録音を聴き、原稿を書く。
 下記は、パレー以外の分。

小澤征爾(指揮)シカゴ響、ヒナステラ;バレエ音楽「エスタンシア」より4つの舞曲(CSO)
シカゴ響100周年記念BOXに収録。1967年6月27日、ラヴィニア音楽祭ライヴ。
先日、ここにヒナステラのことを書いたら、「あのBOXに入っていた筈」と御教示いただいた。
弦楽器が引っ込んでしまう録音が少し貧相。
演奏は、小澤の美質であるリズムのキレの良さが全面的に発揮されたもの。キレの良さを通り越して、軽くなっていると言えるかもしれないが…
「南米のバルトーク」というより「南米のストラヴィンスキー」という感じ、『春の祭典』の別バージョンを聴いているような…。
終曲など、ほとんどスポーツ系だが、客席の熱狂は凄い。
 
ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管ほか、モーツァルト;Cl協・Fl&Hp協ほか(FORLANE)
届いたばかりのカサドシュス(以下JCCと略)を聴く。
なかなか気に入った。
まず、Cl協が良い。フランス系奏者だと、硬い高域とボンつく低域という音色のつながりの悪さを感じることが多いのだが、このクロード・フォーコンプレという人は(どこかで名前を聴いたような気もするのだが思い出せない)そんなことがなく、まろやかな音が美しい。
JCCの指揮も、木管の和音や弦合奏の美しさ、刻みのリズムの軽やかさ・流動感、各パートの浮き沈みの鮮やかさから構築される立体感が、素晴らしい。いい音楽を聴いた、という気分。
Fl&Hp協では、Fl独奏(クリステル・デュラヴァルという人)が良かった。ヴィブラートを抑えた木質系の心地よい音色が斉諧生の好みにぴったり。
Hpは音色が冴えず、リズム等も垢抜けない。Flの足を引っ張っている感じ。
この曲は独奏が終始全面に出るので、オーケストラ・パートについては省略。
ともあれ、JCCにはますます注目する必要がありそう。買ったままのドビュッシー・ラヴェルを聴かねば。
 
イアン・ボストリッジ(Ten)マリー・ルイーゼ・ノイネッカー(Hrn)インゴ・メッツマッハー(指揮)バンベルク響、ブリテン;セレナード(EMI)
ペーター・シュライヤー(Ten)ギュンター・オピッツ(Hrn)ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、ブリテン;セレナード(Berlin Classics)
最近、「サロ様城」でブームのイアン・ボストリッジ、気がつくと、既に架蔵しているものもあったので、聴いてみる。
ブリテンのこの曲は、自演盤などを架蔵していたのだが少々苦手意識があって、メッツマッハー盤(メインはR・シュトラウス;Hrn協)、ケーゲル盤とも未聴のままだった。
シュライヤーは1967年録音、まだまだ美声の頃。
といっても、ボストリッジの美声は質が違う。
斉諧生は発声法などまるで無知なのだが、シュライヤー(をはじめリリック・テノールはたいてい)喉を絞めて頭の天辺から声を出しているように感じられる高音を聴かせるのだが、ボストリッジの声はいとも自然なのである。
まぁ、この曲に関してはボストリッジをとるべきだろう。
弦楽合奏では、さすがにケーゲルは克明かつ積極的な表現で、実に多くモノを言っている。
一方、メッツマッハーはバンベルク響の弦に、まるでイギリスのオーケストラのような音を出させて、夜の雰囲気を演出、これはこれで偉いものだ。
ホルンは逆にノイネッカーが積極的な吹奏を聴かせるが、オピッツが軽めに吹いている分、安定した音を聴かせる。
逆に組み合わせた方がよいような気もするが、これはこれで、それぞれ指揮者の計算があるのだろう。
一つ細かいことだが、シュライヤーの発音が少し古風で(たぶん詩の成立年代を考慮しているのだろう)、"the"が「ゼ」に近いのが面白かった。
漱石の「猫」に"Do you see the boy?"と「ずうずうしい、おい」の語呂合わせがあったはず。
 
フランツ・ヴェルザー・メスト(指揮)ロンドン・フィルほか、「EMI100周年グラインドボーン・ガラ・コンサート」(EMI)
『魔笛』から2曲、ボストリッジの「何と美しい絵姿」オラフ・ベーア「おいらは鳥刺し」を聴く。
ボストリッジの美声には聴き惚れるが、ドイツ語の子音の立ち上がりが悪いのと、声を張ったときの濁り、あとブレスの間が妙なタメになるのが気になる。
劇場よりスタジオの人なのかもしれない。
ベーアには声の衰えを感じた。少し痛々しい。
 
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)シャンゼリゼ管ほか、モーツァルト;レクイエム(HMF)
この曲は、ベーム(指揮)ウィーン・フィルで完全にインプリントされている。
弦のカロリー不足、音楽に厳しさが欠けている…と聴くのはそのせいで、まぁ、ヘレヴェッヘには無い物ねだりだろう。
むしろ、「優しさ」を聴き取るべきなのかもしれない。「ラクリモサ」では、それがよくわかる。
ソリストはボストリッジが一人で光っている感じ。

 電網四方八通路に、この間、新たに発見したオーケストラ、レコード会社を追加。
JCCの手兵、国立リル管もあります。


12月29日(火): 

 Music BoulevardからCDが届いた。

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管ほか、モーツァルト;Cl協・Fl&Hp協ほか(FORLANE)
最近、気になっているJCCのCDをオーダー。
むしろ、AYASALONEN & AYA KINGDOMさんに洗脳されつつあると言った方がいいかもしれないが…(^^;
独奏者はオーケストラの首席奏者等で、いずれも未知の名前。
標記のほかに「フリーメーソンのための葬送音楽」をフィルアップ。
 
ルイ・ヴィエルネ;室内楽曲全集(timpani)
ヴィエルネの室内楽曲、以前にERATOからVnソナタP五重奏曲が出ていて、気に入っていた。
先日、「クラシック井戸端会議」CD立体批評室への投稿でこの全集の存在を知り、ただちにオーダーしたもの。
上記の2曲をはじめ、Vcソナタ弦楽四重奏曲ほか5曲を収録。
どんな味わいか、実に楽しみ。
 
マカレスター・トリオほか、「女流作曲家による室内楽曲集」(VOX)
妙なタイトルだが、リリー・ブーランジェ;「夜想曲」・「行列」を収録しており、彼女の全録音蒐集プロジェクトの一環として購入。
2曲で6分強のための2枚組、馬鹿みたいだが、それが音盤道というものだ(VOXだから安いけど)。
この2曲、とりわけ「夜想曲」はフルート小品集などにも入っていることが多く、チェックが欠かせない。
なお、ブーランジェ以外にはクララ・シューマン、タイユフェール、ファニー・メンデルスゾーン等を収録。
 
セバスチャン・マルク(Bfl)ル・コンセール・フランセ、テレマン;"Essercizii Musici"(ASTREE)
テレマンの愉悦は大好きである。
先日、浮月斎大人がで御自分のWebpageで推奨しておられたので、オーダーしたもの。
「テレマン聽きの愉樂と快樂ここにあり、と快哉を叫びたくなる演奏。」とのこと、大いに期待。

12月28日(月): 中古音盤堂奥座敷恒例、各同人選定の「今年の5盤」が公開されたので、どうぞ御覧ください。URLは→こちら

 『レコード芸術』誌1月号でタワー・レコードが広告に出していたシカゴ響自主製作CD、ようやく京都店にも入荷。
 昨日発見して取り置きを頼んだのだが、未入荷だった「客演指揮者編」が入荷している店はないかと「クラシック井戸端会議」に投稿したら、シカゴ響の公式Webpageでオンライン販売していると御教示いただいた。
 さっそく見に行ったら、ずっと安価!
 流通コストもあるだろうし、マージンを否定はしないが、$35のものを7,790円で売るのは、ちょっとボッタクリじゃないかと思う。
 でも仕方ないから、今日、引き取りに行ってきた。(T_T)(T_T)

第1巻「ライナー時代 1957〜58年のシーズンの実況録音から」(CSO)
以下、煩を厭わず、全収録曲を書き抜いてみる。
ベルリオーズ;序曲「ベンヴェヌート・チェッリーニ」(1957.12.8)
RVW;タリスの主題による幻想曲(1957.11.28)
シェーンベルク;浄められた夜(1957.11.7)
ワーグナー;序曲「リエンツィ」(1958.3.27)
シューマン;交響曲第2番(1957.10.31)
特に聴きたいのはシューマンだが、RVWは怖い物見たさという感じ。(^^;
 
第6巻「モーツァルト」(CSO)
ハンス・ロスバウト(指揮)序曲「魔笛」(1962.11.4)
ブルーノ・ワルター(指揮)交響曲第28番(1957.1.23)
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)管楽器のためのセレナードK.361(1985.5.18)
リタ・シュトライヒ(Sop)イシュトヴァン・ケルテス(指揮)「自分で自分がわからない」@フィガロの結婚(1967.7.22)
ドナルド・グラム(Bs)サラ・コールドウェル(指揮)「奥様、これが恋のカタログです」@ドン・ジョヴァンニ(1976.8.3)
フィリップ・ファーカス(Hrn)ラファエル・クーベリック(指揮)Hrn協第3番よりフィナーレ(1950.9.27)
フリッツ・ライナー(指揮)交響曲第31番(1961.4.15)
ゲオルク・ショルティ(指揮)交響曲第41番(1978.5.18)
ロスバウトとライナーが欲しくて買ったようなもの。
 
第11巻「ライナー時代ー2ー」(CSO)
オーベール;序曲「マサニエロ」(1958.4.10)
ベルリオーズ;「ロメオひとり」@ロメオとジュリエット(1959.10.18)
ムソルグスキー;前奏曲「ホヴァンシチーナ」(1957.12.5)
ディーリアス;前奏曲「イルメリン」(1954.2.10)
ワーグナー;前奏曲「ローエングリン」第1幕(1960.3.24)
ウェーベルン;管弦楽のための6つの小品(1957.11.7)
ベートーヴェン;交響曲第8番(1958.2.6)
ベートーヴェン;序曲「レオノーレ」第2番(1957.10.24)
ドビュッシー;「雲」@夜想曲(1957.3.13)
R・シュトラウス;「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(1957.10.31)
バルトーク;Vn協第2番(Vn:イェフディ・メニューイン)(1957.10.24)
ベートーヴェンとバルトークがお目当てだが、ディーリアスとウェーベルンも興味津々。
 
第12巻「マルティノン讃」(CSO)
ベートーヴェン;序曲「フィデリオ」(1967.3.30)
ブリテン;「4つの海の間奏曲」@ピーター・グライムズ(1967.1.19)
デュカス;「魔法使いの弟子」(1968.5.11)
ルーセル;「蜘蛛の饗宴」(1965.10.15〜16)
マルティノン;交響曲第2番(1968.11.1)
ビゼー;「ファランドール」@アルルの女第2組曲(1965.11.20)
チマローザ;序曲「秘密の結婚」(1965.10.7)
バッハ;ブランデンブルク協第4番(1966.6.2)
ドビュッシー;管弦楽のための「映像」(1967.1.19)
ラッグルズ;「太陽を踏む者」(1967.1.26)
ドヴォルザーク(ストック編);ユモレスク(1966.10.22)
インタビュー
ルーセルが好きな曲なので楽しみだが、バッハも面白いかも。
 
第13巻「シカゴ響合唱団40周年記念」(CSO)
ブルーノ・ワルター(指揮)モーツァルト;ラクリモサ@レクイエム(1958.3.13)
ダニエル・バレンボイム(指揮)バッハ;モテット第1番(1991.5.11・14)
マーガレット・ヒリス(指揮)ヘンデル;「エジプトのイスラエル人」抜粋(1982.12.16・18)
ジャン・マルティノン(指揮)フォーレ;レクイエム(1968.4.11・12)
クラウディオ・アバド(指揮)ガブリエリ;「シンフォニエ・サクレ」抜粋(1983.3.3・5)
ラファエル・クーベリック(指揮)モーツァルト;ミサ曲「戴冠式」(1980.3.15)
マーガレット・ヒリス(指揮)ロレム;アメリカン・オラトリオ(1986.4.24・26)
ゲオルク・ショルティ(指揮)ダウンズ;「圧倒せよ、シカゴ・ベアーズ」(1986.1.23)
マルティノンとクーベリックがお目当て、特に前者は独唱がアグネス・ギーベル、ジェラール・スゼーという顔ぶれ。
なお、最後の曲はアメリカン・フットボール・チームの応援歌。
 
アナトリー・ヴェデルニコフ(P)イーゴリ・ブラジュコフ(指揮)モスクワ放送響、シェーンベルク;P協ほか(DENON)
上記の中古音盤堂奥座敷「1998年の5盤」で野々村さんが挙げておられるヴェデルニコフ、先日、フランク(これも挙げておられる)に大感激したので、未架蔵盤から協奏曲ものを購入。
「3つのP小品」ストラヴィンスキー;ムーヴメンツをカプリング。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)ストラスブール・フィルほか、ハイドン;交響曲第88番ほか(露メロディア、LP)
ロスバウトの大戦中の演奏。ソ連軍に接収されたワイヤー録音を、1985年にメロディアがLPに復刻したもの。
収録曲は、下記のとおり。斜体はエヴァンスのディスコグラフィによる修正。
ミュンヘン・フィル、ハイドン;序曲「L'Isola Disabitata」(1944)
ベルリン放送響(ストラスブール・フィル)、ハイドン;交響曲第88番(1944)(1943)
ミュンヘン・フィル(バイエルン放送響)、チマローザ;2本のフルートのための協奏曲(1945)(1944/45)
ストラスブール歌劇場管・合唱団(ストラスブール・フィル、合唱団)、ブラームス;アルト・ラプソディ(1942)
なお、序曲はディスコグラフィから欠落している。
上記の中古音盤堂奥座敷「1998年の5盤」で斉諧生のベストワンとしたのがロスバウトのハイドン(DGG)、名曲・第88番に大きく期待して購入。

12月27日(日): 本日は斉諧生もよくおじゃましているBBS「サロ様城」のオフライン・ミーティング。
 開催地は斉諧生の地元・京都、夜に湯豆腐で一献という趣向。
 京阪奈はもとより、東京・静岡・名古屋からも常連が集われ、歓談また歓談、誠に楽しい夕べとなった。

 湯豆腐に先立ち、昼は京都のCD屋を数軒、御案内した。最後は総勢9名でのお買い物ツァー、皆さん、相当な戦果を挙げられた御様子。(^^)
 特に、最近、「サロ様城」でブームになっているイアン・ボストリッジ(愛称「がりがり君」(^^;)のディスクに関しては、跡にペンペン草も生えないという…

ジェイムズ・デ・プリースト(指揮)ヘルシンキ・フィル、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番・室内交響曲op.110bis(ONDINE)
数少ない黒人指揮者の一人、デ・プリーストのショスタコーヴィッチ。新しい録音ではなく、前から棚に入っているのは知っていた。
今日、ふと手に取ってみて、蒐集中の室内交響曲op.110A(弦楽四重奏曲第8番をルドルフ・バルシャイがアレンジしたもの)がカプリングされていることに気づき、慌てて購入。
北欧の弦の清澄・厳粛な響きに期待したい。
 
アントニ・ヴィット(指揮)ポーランド国立放送響ほか、ルトスワフスキ;管弦楽のための協奏曲ほか(NAXOS)
ポーランドの実力派、ヴィットによるルトスワフスキ・チクルスで、「もうひとつのオケ・コン」が出たので購入。
斉諧生は現代音楽の良い聴き手ではないので、最近の作には疎いのだが、これは比較的初期の出世作、バルトークの同名曲との親近性を感じる、まず聴きやすい曲。
ヴィットはEMIから出たシマノフスキの好演以来、陰ながら応援している人。もっと陽があたってほしいもの。
「アンリ・ミショーの3つの詩」「ミ・パルティ」「弦楽のための序曲」をカプリング。
 
シベリウス・アカデミー四重奏団ほか、キュッレネン;弦楽四重奏曲第1番ほか(FINLANDIA)
キュッレネンは1955年生まれ、アコーディオンを弾いてジプシー・バンドに、クラリネットを吹いて軍楽隊に参加、チャイコフスキー音楽院等で作曲を学んだ…等々というようなことは、買ってからライナーノートで読んだ。
何はともあれ、アルト・ノラス師匠が参加しているシベリウス・アカデミー四重奏団の盤とあらば、買わざるべからず。しかもバーゲン品。
作曲者自演のアコーディオン・ヴァイオリン・チェロのための三重奏曲をはじめ(このチェロはノラス師匠ではない)計4曲を収録。
 
ダヴィード・オイストラフ(Vn)スヴャトスラフ・リヒテル(P)ブラームス;Vnソナタ第2番&プロコフィエフ;Vnソナタ第1番(Orfeo)
オイストラフとリヒテルの合奏は、LP時代、フランクブラームス;第3ソナタ等で至高の名演と讃えられていたものである。
この両曲も1972年にモスクワでのライヴ録音があり、やはり決定盤的な扱いを受けていたものだ。
これは、その直後、同年8月20日のザルツブルグ音楽祭でのライヴ。確か、間にバルトーク;第1ソナタが演奏されているはず。
最近、なんとなく疎遠になっているオイストラフだが、やはり見逃すことはできない。中古格安だったこともあり、購入。
 
ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管ほか、ドビュッシー;歌劇「ペレアスとメリザンド」(NAXOS)
オペラにはうとい斉諧生だが、アンゲルブレシュトが得意にしていたこともあって、この曲には関心があり、何点か架蔵している。
先日、東京でフルネが演奏会形式で上演した折りに「クラシック井戸端会議」界隈でも、名盤の数々について話題になっていた。
その際、この盤の存在を教えられ、今日、購入したもの。
なにぶん、この指揮者、AYA@「サロ様城」城主並びにのぼる@「サロ様城」家老殿の御贔屓、その2人と御一緒したからには…
 
フランツ・ヴェルザー・メスト(指揮)ロンドン・フィルほか、「EMI100周年グラインドボーン・ガラ・コンサート」(EMI)
EMI100周年を祝って1997年4月27日に行われたガラ・コンサートからのライヴ録音。
何故にこういうものを買ったかというと、上記のように近頃SALONEN & AYA KINGDOMで話題のイアン・ボストリッジ「何と美しい絵姿」@モーツァルト;「魔笛」を歌っており、いちど彼の歌唱を聴いてみたいという気になったため。
「魔笛」からはオラフ・ベーア「おいらは鳥刺し」も収録、「魔笛」マニア斉諧生としてはチェックしておきたい盤である。
 
ズデニェク・コシュラー(指揮)チェコ・フィル、プロコフィエフ;交響曲第2・3・4番(チェコSupraphon、LP)
十字屋四条店で妙なLPのバーゲンをやっている中で発見した2枚組。
プロコフィエフの第3番は集めている曲なので、コシュラーの録音も気になっていたのだが、CDでは全集しか出ていなかったので躊躇していたもの。
アナログ録音でもありLPで持ちたかった面もあり、喜んで購入。

12月26日(土): 本日、斉諧生の茅屋にAYASALONEN & AYA KINGDOM通称「サロ様城」城主並びにtaka@「サロ様城」江戸家老が御光臨、御持参あるいは拙宅架蔵の音盤数点を御聴取いただいた。
 中でも御機嫌いと麗しく拝せられたのが、シモン・ゴールトベルク(Vn)ワルター・ジュスキント(指揮)フィルハーモニア管、モーツァルト;Vn協奏曲集(TESTAMENT)であった。
 また、一昨日の「新譜試聴録」掲載のアナトリー・ヴェデルニコフ(P)フランク;前奏曲、フーガと変奏についても御嘉賞を賜った。\(^^)/
 その上、江戸家老殿御所蔵のヒナステラ;詩篇第150番の世界初録音盤を拝聴、壮麗なる合唱に感服仕った次第。

 通販業者からLPが届いた。なお、レイボヴィッツ2点は、さる方に御仲介いただいたもの。記して感謝の意を表する。

トール・マン(指揮)ストックホルム・フィル、ステンハンマル;交響曲第2番(瑞Swedish Society、LP)
CDでは架蔵済だが、1959年の(もちろん)アナログ録音、やはりLPで聴いてみたくオーダーしたもの。
廉価であったが、盤の様子からすると1970年代くらいのプレスと想像される。
 
キリル・コンドラシン(指揮)バイエルン放送響ほか、ショスタコーヴィッチ;交響曲第13番「バビ・ヤール」(蘭Philips、LP)
ショスタコーヴィッチの交響曲では第13番が良く、コンドラシン盤が推奨できるとのことで、先日はモスクワ・フィルとのスタジオ録音盤(1967年録音)を購入、相前後して、ライヴ録音盤をカタログに見出したのでオーダーしたもの。
この盤には記載がないが、国内盤LP初出時のデータによれば、1980年12月18・19日、ヘラクレス・ザールでの録音とのこと。
コンドラシンは、1982年秋からバイエルン放送響の首席指揮者就任が決定していたところ、1981年3月にアムステルダムで急逝した。
当時は、ずいぶん話題になり、『レコード芸術』誌では「特選」扱い、「感動的名演」(大木正興)、「凄いほどの緊張感に貫かれた演奏」(小石忠男)と絶讃されたものだったが、どうもCD復活する様子がない。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロンドン・フィル、ロッシーニ(レスピーギ編);バレエ音楽「風変わりな店」(米Parliament、LP)
音源としては架蔵済。ただし、斉諧生架蔵盤はCLASSICS CLUBレーベル。
この盤がオリジナルかは疑わしいが、よりよい音で聴けるのではないかと、仲介していただいたもの。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ・フィルほか、フォーレ;レクイエム(米OCEANIC、LP)
音源としては架蔵済。ただし、斉諧生架蔵盤は英SAGAレーベル。
オリジナルはこの米OCEANIC盤、おそらくよりよい音で聴けるものならんと仲介していただいたもの。

12月24日(木): 凄い演奏を聴いた。今日は順番を変えて、まず新譜試聴録から掲載。

 

アナトリー・ヴェデルニコフ(P)フランク;前奏曲、フーガと変奏(DENON)
凄い芸術である。
他の演奏とは、オルガン版(原曲)・ピアノ版とも、比較にならない。もう、芸の格というか、次元が違うと言わざるをえない。
 
前奏曲の印象的な旋律は、ゆっくり目のテンポだが、決してもたれず、美しいカンタービレを紡いでいく。
そこから立ち上る、深い深い情感。どうしようもない寂寥と、そして希望への信頼と…。
もはや、この曲を「瞑想的で、ロマンティックな素晴らしいメロディを持つ(愛惜佳曲書)」程度のものと見ることはできない。
まさしく、フランクの名作・ヴァイオリンソナタと同じ精神世界に属する、真正の名品
この録音は、それを顕現した無双の名演であると評価したい。
 
11小節目のピウ・フォルテの途轍もない意味深さ!
前奏曲に続くレントでの、メゾ・フォルテ指定を無視した、重く鈍い打撃の連続!
フーガの歩みの巨大さは筆舌に尽くしがたく、その最後の和音の中から変奏曲の最初の音型が響いてくる見事さ!
前奏曲の旋律がピアノで再現する際のはかない美しさ、それに絡んでくる対位旋律のバランスと味わいの絶妙!
 
録音は1967年、放送用か何かで、今一つ音に冴えがないのが惜しまれるが、演奏の真価に影響はない。
演奏時間もわずか12分弱だが、たとえようのない価値を持つ名演である。
 
この曲、実は斉諧生にとって、今日=クリスマスと密接に結びついた思い出の曲なのである。
この日に、この曲の、このような名演に接することができたこと…、無信仰者ながらも、神の御業に思いを及ばさずにはいられない。
「主に栄光。」

 一昨日に続いて、ティボール・ヴァルガ(Vn)を大量に購入。
 一昨日買ったのはvol.5・9、今日はvol.6〜8、10〜12だから、これで5〜12を揃えたことになる。
 残るvol.1〜4は、たぶん、CLAVES等で架蔵済の音源と思うのだが…。う〜ん。

ティボール・ヴァルガ(指揮&Vn)ティボール・ヴァルガ音楽祭管、ヴィヴァルディ;協奏曲「夜」&ラモー;「優雅なインド人」(抜粋)ほか(Collection Tibor Varga)
標記のほか、アルビノーニ;アダージョドビュッシー;神聖な舞曲と世俗的な舞曲ドヴォルザーク;ノットゥルノドニゼッティ;Vn&Vc協ロッシーニ;ソナタ第6番を収録。
録音年代等、データの記載なし。
 
ティボール・ヴァルガ(指揮&Vn)ティボール・ヴァルガ音楽祭管、シューベルト;交響曲第5番&シェーンベルク;「浄められた夜」(Collection Tibor Varga)
シェーンベルクは弦楽六重奏による演奏。
録音年代等、データの記載はないが、シューベルトはLPで架蔵済の1970年のものかもしれない。
なお、ライナーノートに、東京の"Arts in Documents"なる雑誌?に「ヴァルガはバッハ演奏において演奏芸術の頂点に到達した」との讃辞が掲載されたあるが、ハテ、何誌のことであろうか?
 
ティボール・ヴァルガ(Vn)デトモルト・ティボール・ヴァルガ管ほか、パガニーニ;Vn協第1番&ラロ;スペイン交響曲(Collection Tibor Varga)
パガニーニはヴァルガ弾き振りのヴァルガ管、ラロはヘルムート・ティールフェルダー(指揮)ハノーバー管とある。
録音年代等データの記載ないが、ジャケット表に"HistoricRecordings"と特記されており、試聴したところ、SP等の古いものではないがモノラル、会場の吊りマイク1本で拾ったような音。ヴァイオリンの鑑賞には支障無し。
 
ティボール・ヴァルガ(指揮)ティボール・ヴァルガ音楽祭管、レスピーギ;リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲ほか(Collection Tibor Varga)
収録曲はすべてレスピーギで、標記のほか、歌と弦楽四重奏のための「トラモント」「オルガンと弦楽合奏のための組曲」を収録。
1977〜84年の収録。
 
ティボール・ヴァルガ(Vn)ほか、ラヴェル;P三重奏曲&ブラームスほか;FAEソナタ&スメタナ;P三重奏曲(Collection Tibor Varga)
演奏者は、ヴァルガの他、マルティン・オステルターク(Vc)ロベルト・シドン(P)(ラヴェル&スメタナ)、アレクサンダー・マイヤー・フォン・ブレーメン(P)(FAE)。
録音は、FAEソナタが1958年、ラヴェルとスメタナが1975年。
 
ティボール・ヴァルガ(Vn)ミラン・ホルヴァート(指揮)ザグレブ・フィルほか、ベートーヴェン;Vn協ほか(Collection Tibor Varga)
オール・ベートーヴェンで、標記のVn協(1961年、ハンブルク録音)のほか、
ヴァルガ(指揮)ヴァルガ音楽祭管、序曲「コリオラン」(1994年録音)
ヴァルガ(指揮)ヴァルガ音楽祭管、「大フーガ」(ヴァルガ編)(1977年録音)
を収録。
 
ジョコンダ・デ・ヴィート(Vn)パウル・ファン・ケンペン(指揮)ベルリン・ドイツ歌劇場管、ブラームス;Vn協ほか(DGG)
デ・ヴィートのブラームスは、協奏曲・ソナタとも名演の誉れ高いので、是非聴いてみたく、購入。
併せて、ケンペンの指揮にも期待したい。
協奏曲は3つの録音が残っているうち、最も古い1941年のもの。輸入盤では復刻も出ていたが、音的には誠にお粗末。
これは、先日購入したエーリヒ・クライバーの「新世界」同様、SPの音を忠実に復刻したとのことで、少し聴いてみたが、なるほど良い音である。とりわけ独奏ヴァイオリンは鮮明そのもの、これはお薦めできるレベルだ。
なお、リリア・ダルボーレという未知のヴァイオリニストによるフランク;Vnソナタをカプリング。
 
マリー・クレール・アラン(Org)ジャン・ジャック・カントロフ(指揮)バンベルク響、プーランク;Org協&デュリュフレ;アランの名によるプレリュードとフーガほか(ERATO)
プーランクは好きな曲なのだが、いまひとつ決定盤に巡り会えない。アランの新盤がそうなってくれることを期待しつつ、購入。
カプリングは、アランの実兄、ジャン・アラン(1911〜1940)の「オルガン、ティンパニと弦楽合奏のためのサラバンド」と、デュリュフレがジャン・アランを偲んで書いた標記の曲と「3つの舞曲」
 
アナトリー・ヴェデルニコフ(P)フランク;前奏曲、フーガと変奏ほか(DENON)
フランクは愛惜佳曲書掲載の曲、オルガン版、ピアノ版を問わず集めるようにしている。
ヴェデルニコフは中古音盤堂奥座敷同人の評価が高く、特に野々村さんが強く推奨されるピアニスト。
彼にフランクの録音があるとは気づいていなかったところ、野々村さんから御教示いただいたので捜していたところ、ようやく見つけたので購入。
フランクは10分強、メインはリスト;「メフィスト・ワルツ」ほかとラヴェル;組曲「クープランの墓」ほか。
 
オッリ・ムストネン(P)バッハ;平均率クラヴィーア曲集第1巻より&ショスタコーヴィッチ;24の前奏曲とフーガより(BMG)
各12曲収録したバッハとショスタコーヴィッチを、2〜3曲づつ交互に配列するという驚天動地のCD、ようやく輸入盤が店頭に並んだので、購入。
ショスタコーヴィッチはニコラーエワ盤(hyperion)で聴いて以来、好きな曲なので、大いに期待。
なおムストネンは、この秋の来日時にも、この曲目でリサイタルを開いており、大阪・いずみホールでの演奏会のレビューが、SALONEN & AYA KINGDOMAYA'S CONCERT REVIEW中、「ムストネンタコバッハリサイタル」に掲載されているので、ぜひお読みください。
↑によると、彼の演奏姿も、相当に異形だったらしい。(^^;
中味とは裏腹にジャケット写真がアイドル系(?)しているのも面白い。(^^;;;
 
アルト・ノラス(Vc)オッコ・カム(指揮)ヘルシンキ・フィルほか、サリネン;Vc協・室内音楽第3番ほか(FINLANDIA)
先日、アルト・ノラスのことを調べていたときに、未架蔵盤の存在に気づき、慌てて探していた。「作曲家の個展(Meet the Composer)」シリーズの2枚組で購入。
サリネンは1935年生まれのフィンランドの作曲家。上記の2曲はいずれもノラスのために書かれたもの。
その他、交響曲第4・5番等を収録。

12月23日(祝): ↓21日の項にも書いた、「クラシック井戸端会議選定:名演奏家の名盤はこれだ!」向けに、ポール・パレーの録音を聴き、原稿を書く。
 21日同様、今日も試聴録は不掲載、後日、パレーのページを充実させますので、よろしく御理解ください。m(_ _)m

 最近入手したパレーのLP、ステンハンマルのCDのデータとジャケット画像をそれぞれのディスコグラフィに追加。


12月22日(火): 

 

エーリヒ・クライバー(指揮)ベルリン国立歌劇場管、ドヴォルザーク;交響曲第9番「新世界より」(DGG)
1929年のSP録音の復刻で、日本の独自企画。
復刻作業には新 忠篤さんも参画されている様子で、NONOISEやCEDARなどのフィルター、ノイズ・リダクションを使わず、SPの音そのままを収めるように苦心されたそうだ。
よく、戦前のベルリンでワルター、トスカニーニ、クライバー、クレンペラー、フルトヴェングラーが一堂に会している写真が本や雑誌に載っているが、あそこでの主役はクライバー、彼のベルリン国立歌劇場音楽総監督就任を祝う席での一枚だったはず。
以前に、彼が戦後、パリ音楽院管と録音したチャイコフスキー;「悲愴」がカルロスが振ったらかくや、という感じの躍動感溢れる名演だったので、これにも期待して、購入。
 
ヘスス・ロペス・コボス(指揮)シンシナティ響、マーラー;交響曲第3番(TERALC)
斉諧生は、マーラーではこの曲と、9番、大地の歌を好む。
その上、2枚組で1枚分、しかも特別価格で一段と廉かったので、ついつい購入。
ロペス・コボスなら、仕上がりの美しいマーラーを聴かせてくれるだろう、という程度には期待している。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)フランクフルト放送響、自作;「イカロスの飛翔」&チャイコフスキー;交響曲第6番「悲愴」ほか(JOY)
レーベル名でおわかりのとおり、CD−R系の海賊盤である。
これまで、この系統は決して手を出さないことにしてきた。
別に正義感からではない。中味の真贋が疑わしいのと、高価な上に大量に出ているので、財布がおっつかないと見ているからだ。
ところが、マルケヴィッチの自作自演とあらば、贋物の心配はまずない上、今後、正規に発売されるという期待も、まず、持つことができない。(^^;
…で、ついに、買ってしまった(T_T)
「悲愴」も、最晩年、N響とのライヴは鬼気迫る超名演だったのを思い出さずにはいられない。
ブラームス;ハイドン変奏曲デュカス;「魔法使いの弟子」をフィルアップ。
 
フリッツ・ライナー(指揮)シカゴ響、ワーグナー;管弦楽曲集&R・シュトラウス;「ドン・ファン」(BMG)
揃えることにしているライナーのリマスター盤が出たので、購入。
『マイスタージンガー』の組曲と、『黄昏』の「ラインへの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」を収める。
 
オシー・レナルディ(Vn)シャルル・ミュンシュ(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブラームス;Vn協ほか(DECCA)
伝説的な夭折のヴァイオリニスト、レナルディの録音が復刻されたので購入。名演だという噂である。
付けがミュンシュ、しかもコンセルトヘボウとの顔合わせというのが珍しい。この時期、コンセルトヘボウもメンゲルベルクやベイヌムの下で黄金時代だったから、オーケストラにも期待したい。
 
イヴォンヌ・アシュトリュック(Vn)ナディア・ブーランジェ(P)ほか、L・ブーランジェ;「序奏と行列」・夜想曲ほか(MALIBRAN)
これもSPの復刻盤。もちろん、L・ブーランジェの全録音蒐集プロジェクトの一環として購入したもの。
アシュトリュックはミヨーから「春の協奏曲」を献呈されたフランスのヴァイオリニストで(PEARLから作曲者指揮による彼女の録音が復刻されている)、ピアニストのマルセル・シャンピの妻でもあった。
ブーランジェは1930年の録音で、作曲者の姉ナディア・ブーランジェがピアノを弾いているのが貴重だ。
アシュトリュックとシャンピが協演したグリーグ;Vnソナタ第3番、シャンピの独奏でドビュッシー;「沈める寺」、シャンピとカペー四重奏団のフランク;P五重奏曲が収められている。
 
辻井淳(Vn)藤井由美(P)ヴァイオリン小品集Vol.2 (イソダ)
数年前まで京響のコンサートマスターを勤めていた辻井さんの自主製作盤の第2弾。
『レコード芸術』誌に月評が掲載されたのを見て、巻末の新譜一覧表欄に掲載されていた問い合わせ先に、どこで入手できるのかファクシミリを送ったら、辻井さん直々に御返事をいただいた。(^^;
十字屋三条店に置いてあるとのことだったので、さっそく行って購入したもの。
第1巻のときに、「節回しにもちょっと古風な感覚があって面白い」と思ったのだが、今回もドルドラ;スーヴェニールといった、昔ながらの小品が収められている。
 
ティボール・ヴァルガ(指揮)ティボール・ヴァルガ音楽祭管、モーツァルト;交響曲第40番・ディヴェルティメントK136ほか(Collection Tibor Varga)
ティボール・ヴァルガ(Vn)ほか、シューベルト;弦楽五重奏曲(Collection Tibor Varga)
以前、CLAVESから出た名演集以来、その音楽に惹かれているヴァルガのCDが店頭に並んでいた。これにはちょっと吃驚。
たくさんあったが、上記CLAVES盤や架蔵済のLPと同一とおぼしいものは避け、とりあえず重複しない曲目の2枚を購入。
弦楽器の名匠が、弟子で固めたアンサンブルを指揮・リードするという演奏には、師匠の個性が刻印された名演が期待できると思っている。カザルス&マールボロ音楽祭管ヴェーグ&カメラータ・アカデミカなどが好例。
収録年代等の記載がないのは残念至極。

12月21日(月): 斉諧生がいつもおじゃましているBBSサイト「クラシック井戸端会議」「クラシック井戸端会議選定:名演奏家の名盤はこれだ!」という進行中。
 斉諧生も十数人、指揮者・ヴァイオリニスト・チェリストをエントリーしていて、バイオグラフィと推薦盤5点、紹介文を書くことになっている。
 今日は、本業の方はクリスマス休暇(?)を貰っているので、終日、アルト・ノラス(チェリスト)の録音を聴き、原稿を書いていた。
 本来なら、試聴録を書くべきところだが、井戸端会議の方で公開されるべき内容なので、掲載を控えます。

後日、手を加えて「提琴列伝」にアップする予定です。

12月20日(日): 『レコード芸術』1月号 を購入。
 ヴァントブルックナー;交響曲第4番(BMG)の大賞は、まず予想どおりだが、ブルックナー録音に関してはスクロヴァチェフスキー第9番(Reference Recordings)も素晴らしかった。もっと評価されていい指揮者のはずだ。

年明けにはN響に来演する予定、聴きにはいけないが(^^;、TV放映が楽しみである。

 今や斉諧生的には『レコ芸』のメインとなった(?)広告欄では、シカゴ響の自主製作CDと、ケーゲルブラームス;交響曲第1・2・4番・ヴァイオリン協奏曲(ODE)が掲載されていたのが嬉しい。
 特に前者には、ストコフスキーベートーヴェン;交響曲第8番ロスバウトモーツァルト;「魔笛」序曲など、垂涎の録音が含まれている。

 年末を控えて掃除をしたりで、もう一つ集中して聴けなかった日だった。

ギャビー・カサドシュス(P)ポール・パレー(指揮)ラムルー管、モーツァルト;P協第9番(米VOX、LP)
SP復刻なので音的にはイマイチながら、ギャビー・カサドシュスのピアノはなかなか美しい。
パレーの音楽も、いつもどおり疾走感というか、前へ前へ進むエネルギーがあるが、オーケストラの出来はやや粗いか。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)アルト・ノラス(Vc)ほか、シューベルト;八重奏曲(LYRINX)
ノラスのチェロ目当てに買ったCDだが、どうもこの曲、管楽器ばかり目立つように書かれているようだ。(つまり、斉諧生はこの曲をあまり知らないのだ。)
そんなわけでちょっとズレた聴き方をしているせいか、あまりいい曲だとも思えない。録音はよく見かけるから、ある程度ポピュラーなのだろうが…。
 
ジャン・ユボー(P)ヴィア・ノヴァ四重奏団、フォーレ;ピアノ五重奏曲第2番第3楽章(ERATO)
中古音盤堂奥座敷同人の皆さんからお薦めをいただいたフォーレを聴く。ちょっと横着して緩徐楽章のみ。
たしか、この曲は初めて聴くはず。こういう曲種は、あまり聴いたことがないのだ。
歌い出すジェラール・コセのヴィオラの音色に感動。これぞフランスのヴィオラ、という音だ。軽いけれども甘くなく、ちょっと嗄れてしかも美しい。
フォーレの音楽も、初期の室内楽(ヴァイオリンソナタ第1番とか)と違って、抜けきった高雅さを湛えたもので、いたく心にしみる。
ピツィカートからピアノのソロになって、ヴァイオリンが重なって歌っていくのにヴィオラが対旋律をつけていくところなど、美しさ極まって哀切に至るというのは、こういうことを言うのだろう。
 
シベリウス・アカデミー四重奏団、ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第14番(芬FINLANDIA、LP)
ボロディン四重奏団、ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第14番(EMI)
中古音盤堂奥座敷同人のショスタコーヴィッチ専家、工藤庸介さんからお薦めをいただいた第14番を聴く。
ショスタコーヴィッチの末期の弦楽四重奏曲というと晦渋なイメージがあったが、そんなに身構えずとも、十分、受けとめられる音楽だ。
3楽章構成だが、ほとんど一体化している第2・3楽章は、全編、悲しみをいっぱいに背負った歌。
内声のピツィカートを背景に、チェロが高音域で悲痛に歌い、そのオクターヴ下を第1ヴァイオリンが動く効果!
第3楽章の半ばで、一瞬だけ、明るい旋律がすっと差し込んでくるのが、逆に泣かせる。
終結近く、上記のヴァイオリンとチェロの絡みが再現するところは、なお一層、素晴らしい。
シベリウス・アカデミー四重奏団のチェロはアルト・ノラス師匠、大いに期待したが、チェロはともかく他のプレーヤーが今一つ。
一方、ボロディン四重奏団は、第1ヴァイオリンのコペルマンを筆頭に、音楽への熱い共感が伝わってくる。
斉諧生架蔵盤はEMIだが、現在はBMG系から発売されている。
 金曜日の演奏会を演奏会出没表に追加。

12月19日(土): 

 チェリビダッケ以外は、通販業者から届いたもの。

セルジュ・チェリビダッケ(指揮)ミュンヘン・フィル、ブルックナー;交響曲第3〜9番・「テ・デウム」・ミサ曲第3番(EMI)
斉諧生は原則として輸入盤を買うことにしているので、国内盤を見送っていたところ、入ってきた輸入盤が国内盤より2,000〜5,000円高いという現象に困っていた。
今日、所用あって大阪に出かけたところ、国内盤より安い輸入盤BOXを見つけたので、ようやく購入。
 
セミー・スタールハンメル(Vn)ロヴ・デルヴィンイェル(P)「スウェーデンにおける世紀の変り目 1900 U」(nosag)
世間的には無名であろうが、斉諧生的には大贔屓のヴァイオリニスト、セミー・スタールハンメル。ストックホルム王立歌劇場管のコンサートマスターだそうだ。
音は綺麗だし、センスも抜群。特に、北欧音楽独特の不安定な和声の活かし方が上手い。
「〜世紀の変り目」の第1巻で惚れ込んだのだが、待望の第2巻が出たのでオーダーしたもの。
今回は、とりわけ、ステンハンマル;2つのセンチメンタル・ロマンスを収録しており、ピアノ伴奏ながらも、あるいは決定盤かと期待している。
その他、ラングストレムショーグレンファレンティンヴァハトマイスターの曲を収める。後2者は初めて聞く名前だ。
 
セミー・スタールハンメル(Vn)カリン・ストリー(Org)「ムード音楽 1700〜1900年代」(nosag)
スタールハンメルの新譜が2枚も出たので驚喜してオーダーしたもの。
バッハ;「アリア」ヘンデル;「ラルゴ」からシューマン;「トロイメライ」ショパン;「夜想曲」まで、ムーディな小品19曲を収録。
スタールハンメルの美音と、優秀録音で、酔わせてくれるに違いない。
楽しみ楽しみ。
なお、nosagは、スウェーデンのマイナー・レーベルだが、公式Webpageがあります。
 
「スウェーデンの名ピアニスト」(Swedish Society)
インイェル・ヴィクストレム(1939〜)、スタファン・フェーヤ(1950〜)、ラルス・ロース(1945〜)の3人による録音を収めたもの。
このうちフェーヤの演奏でステンハンマル;3つの幻想曲が入っているのでオーダーしたもの。
ヴィクストレムシューマンショパンらの、ロースショーグレンラングストレムらの小品を録音している。
 
ギャビー・カサドシュス(P)ポール・パレー(指揮)ラムルー管、モーツァルト;P協第9番(米VOX、LP)
不覚にも、パレーにこのような録音があることを知らなかった。カタログで見つけて、すぐさまオーダーしたもの。
一聴したところ、SP録音の復刻とおぼしい。
ピアニストはロベールの妻でジャン・クロードの伯母ということになる。
余談になるが、カサドシュス家はバッハに迫る(?)凄い芸術家一族のようだ。Webpageまである。

12月18日(金): 久方ぶりにオルガン単独の演奏会を聴きに行く。
 この前は、たしか学生時代に聖マリア大聖堂@東京のオルガンを、FM東京主催の入場料無料のコンサートで聴いたとき…のはずだから、十数年前か。

 オルガニストは、オリヴィエ・ラトリパリ・ノートルダム大聖堂正オルガニストとのこと。
 この人、BNLレーベルからデュリュフレのCDが出ており、浮月斎大人が推奨されているので捜しているのだが、見つからない。もしやロビーで販売があるのでは、と思って行ってみる気になった。
 幸い、職場の共済会の事業で、この演奏会のチケットが頒布されたので、身銭を切らずに入場できた。

 まあ、このプログラムの渋いこと!
バッハ;前奏曲とフーガBWV541
バッハ;オルガン小曲集よりBWV610、612、615
ダンドリュー;ノエル「ヨセフは幸せな結婚をした」
ダカン;ノエル「グランジュとデュオ」ト長調
ボーヴァルレ・シャルパンティエ;タンバリンのノエル
セジャン;スイスのノエル
    (休憩)
デュプレ;古いノエルによる変奏曲
ラングレー;『福音詩』より「主の降誕」
メシアン;『主の降誕』より「天使たち」「神はわれらのうちに」
ノエルのテーマによる即興演奏
 銘打って、「クリスマス・オルガン・コンサート」(^^;
そりゃ、みんなノエルの変奏曲とか降誕祭ゆかりの曲だけどねぇ…
(BWV541だけはクリスマスと直接の関係はないと思うが)
 そのせいか、結構な入り。
1階席はほぼ九分通り、2階席も正面は6割程度、あとは数えるほどだった。
 周囲を観察したところ、おそらく、教会系ルートで捌いたものと思われた。
 上記のようなことなので、斉諧生はオルガン(も含め鍵盤楽器)には、まったく疎いので、偉そうなことはいえないが、フランス人奏者のせいか、音色の色彩感で聴かせたように感じた。
 バッハのコラール3曲はプレストン盤(DGG)が家にあるので、先ほど聴いてみたが、ストップの使い方が全く異なる。
 ラトリはBWV610は曇った音色で短調の曲想を強調し、BWV612ではストップの数を絞りこみ、ソプラノの鋭い音だけで淡々と弾き、最後のBWV615で初めてきらびやかに音色を用いて華麗な曲想を強調していた。
 知らない曲ばかりなのだが、ダンドリューの旋律はやや東方的な味わいがあって面白く、シャルパンティエではレガール風の音色の組立が興味深かった。
 後半は20世紀の作品ばかりだが、デュプレは練達のオルガニストらしく華麗な技巧を、ラングレーは静謐な味わいが好もしく、メシアンでは「天使たち」のミニマルっぽいところが面白かった。前半では用いられなかった重低音も存分に響き渡った。
 即興演奏では、ホールの女子職員が封筒を持って登場、ラトリに手渡すという演出。
 封入されていたのは「諸人こぞりて」。やや考え込んだラトリ、まず「も〜ろびと〜」のところを、少し音を変えた上で、トッカータ主題風に扱い始めた。
 そのあとは一瀉千里に滔々と、しかし結構ハードに展開、随所に「もろびと」や「もろびとこぞりて」の主題を、ペダルに出すは、テノールに出すは、存分に弾ききって、ムリョ20分に及んだ。
 アンコールも、何かのノエルとその変奏らしい曲。
 それにしても、タイトルとは裏腹に、聴衆が知っているようなキャロルは全く登場しない演奏会、よく暴動が起きなかったものだ。(^^;
 まぁ、生のオルガンの迫力と音色の多彩さを体験して満足されたのだろう。
残念だったのは、当ホールのオルガン自慢の日本の伝統楽器の音色(笙・ひちりき・尺八・篠笛等)が用いられなかったことか。(^^;

 

エリ・クラス(指揮)シベリウス・アカデミー響&男声合唱団ほか、シベリウス;「クッレルヴォ」(SIBELIUS ACADEMY)
「クッレルヴォ」の録音も増えてきたが、やはり新しいものがあるとなると、入手せずにはいられない。
これは、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーの学生オーケストラと合唱団による演奏。日本シベリウス協会の関係者が入手された同アカデミーの自主製作盤を、お頒けいただいたもの。
1995年7月6日、ヤルヴェンパーでのライヴ録音。
う〜ん、これが5年前なら、当時留学中の長谷川陽子さんがチェロ・パートに参加しておられたかも…(^^;

12月16日(火): 東越谷通信さん御提唱の『クラシック音楽Webリング』に登録、トップページ下部にナビゲーションバーを設置。
 こういうシステム、イギリスのオーケストラ・サイトでよく見かける。
 Webmasterの皆さん、ぜひ御登録を。

 "BBC LEGENDS"の続きが入荷していた。

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管ほか、マーラー;交響曲第3番(BBC LEGENDS)
1969年5月3日、マンチェスター、フリー・トレード・ホールでの録音。
バルビローリのマーラー、しかも最も愛好する3番とあっては買わざるべからず。
30分ほどのインタビューを収録、ライナーノートにはバルビローリがチェロを弾いている写真も掲載されている。(^^)
 
ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)ロンドン響ほか、マーラー;交響曲第8番(BBC LEGENDS)
1959年3月20日、ロイヤル・アルバート・ホールでの録音。
マーラーの中で8番は敬遠してきた曲だが、噂では、このホーレンシュタイン、超名演とのこと。
ここで買い逃すと後悔の種だろうと、購入してしまった。(^^;

12月15日(火): 

 

ポール・トルトゥリエ(Vc)ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)ロイヤル・フィル、シューマン;Vc協&ブルッフ;コル・ニドライほか(英EMI、LP)
トルトゥリエの未架蔵LPを見つけたので購入。
CDでは持っているが、やはりアナログ録音、特に弦楽器はLPで聴きたい。
息子も、このあたりが指揮者としてのデビュー録音ではなかったか(ヴァイオリニストとしての録音はあった筈)。
ボエルマン;交響的変奏曲をカプリング。

12月14日(月): 

 待望の"BBC LEGENDS"が入荷していた。

レオポルト・ストコフスキー(指揮)BBC響ほか、ベートーヴェン;交響曲第7番&ブリテン;青少年のための管弦楽入門&ファリャ;バレエ音楽「恋は魔術師」(BBC LEGENDS)
ストコフスキーの演奏、別に「何か変わったことをしていないか」と思って買うわけではなく(^^;、オーケストラを堂々と鳴らした立派な音楽が聴けるのではないか、という期待から購入。
ベートーヴェンとブリテンは1963年7月23日、ファリャは1964年9月15日の、それぞれロイヤル・アルバート・ホールでの「プロムス」ライヴ。
以下のディスコグラフィカルな記述は、すべて、アメリカ・ストコフスキー協会のページのディスコグラフィからの抜き書き。
ベートーヴェンは、ニュー・フィルハーモニア管との1973年のスタジオ録音(DECCA)が知られるほか、1927年のSP復刻(BIDDULPH)、1968年のボストン響とのライヴ録音があるそうだ。
ブリテンはM&Aから既出、スタジオ録音はなく、これが唯一の録音。「素晴らしい演奏!」とのこと。
ファリャは1960年のスタジオ録音(フィラデルフィア管、CBS)もある。それ以外ではこれが唯一、以前、やはりM&Aから出たことがあるとのこと。
 
ルドルフ・ケンペ(指揮)BBC響、ブラームス;交響曲第4番&シューベルト;交響曲第5番(BBC LEGENDS)
ケンペの遺産、買わざるべからず。
ブラームスは1976年2月18日のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴだから、死の年の演奏。また、シューベルトは1974年8月30日のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ。
ケンペのブラームスには、ベルリン・フィル(1956年、TESTAMENT)、ミュンヘン・フィル(1975年、ACANTA)があったが、ライヴでは時々とんでもない燃え方をする人だったので、ちょっと期待している。
 
ギュンター・ヴァント(指揮)北ドイツ放送響、ブラームス;交響曲第4番(BMG)
ようやく輸入盤が出たので購入。
前に中古音盤堂奥座敷試聴会で第1〜3番を取り上げたときは、あまり高くは評価しなかったが、やはり全集に揃えずにはいられない(^^;
御存知のとおり、1997年12月のライヴ。
 
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)レニングラード・フィル、ショスタコーヴィッチ;交響曲第8番&モーツァルト;交響曲第33番(BBC LEGENDS)
ムラヴィンスキーも買わずにはいられない…。
両曲とも、既に別な音源が幾通りも出ている曲だ。『評伝エヴゲニー・ムラヴィンスキー』@音楽之友社によれば、ショスタコーヴィッチは36回の実演と5つの録音、モーツァルトは48回の実演と4つの録音が記録されている。
これは1960年9月23日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ、ショスタコーヴィッチはイギリス初演であったとか。
1960年9月のロンドンといえば、あのチャイコフスキー;交響曲第4番をDGGに録音したとき。得意の曲目ゆえ、一層の名演を期待したい。
 
クリフォード・カーゾン(P)アマデウス四重奏団ほか、ブラームス;P五重奏曲&シューベルト;五重奏曲「鱒」(BBC LEGENDS)
カーゾンのピアノも聴き逃すことはできないので購入。
ブラームスは1974年11月7日、シューベルトは1971年7月17日のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ。
カーゾンとアマデウス四重奏団の組合せは、モノラル期のDECCAにモーツァルト;P四重奏曲があった。
意外に名演に恵まれないブラームスには、特に期待したい。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)フランクフルト帝国放送管ほか、J・シュトラウス二世;喜歌劇「こうもり」(KOCH-schwann)
蒐集中のロスバウトなので買うしかないのだが、何と「こうもり」。
1936年9月8日、ベルリンでの放送用録音。
なぜフランクフルトのオーケストラがベルリンで? と思うのだが、年表を繙くと、この年のベルリンは、あのオリンピック(「前畑ガンバレ」と「友情のメダル」)が開催されている。
ひょっとすると…と思ったが、オリンピックの期間は8月1〜16日なので、ちょっと可能性は低い。
一方、この年のナチス党大会が、まさしく9月8日からニュルンベルクで開かれており、あるいはこれと関係があるのかもしれない。
演奏に先立って、5カ国語による曲目と演奏者のアナウンスが収録されているのも、なんとなく、そういう想像を掻き立てる。
もっとも、演目の性質は、国家行事とは正反対だが…(^^;
歌手のほとんどは未知の名だが、ファルケ博士をゲルハルト・ヒュッシュが歌っているのが目を惹く。
 
ジョルジュ・エネスコ(指揮)ボイド・ニール管、BBC合唱団ほか、バッハ;ロ短調ミサ(BBC LEGENDS)
ヴァイオリニストとして高名なエネスコだが、それ以上に、素晴らしい、巨大な音楽家であったから、そのバッハ演奏に期待して購入。
指揮もそこそこしていたはずだが、現存している録音は愛弟子メニューインの伴奏盤くらいか。
シュザンヌ・ダンコ(Sop)、キャスリーン・フェリアー(A)、ピーター・ピアース(Ten)、ブルース・ボイス(Bs)という独唱陣。
1951年7月17日の放送用録音。メニューインがライナーノートを執筆している。
 
ピエール・モントゥー(指揮)ロンドン響ほか、ベルリオーズ;「ファウストの劫罰」(BBC LEGENDS)
ベルリオーズを得意としたモントゥー@名匠列伝収録予定 であるから、これも聴き逃せない。
これは1962年3月8日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでの録音だが、LP時代に国内盤も出たことがある音源。
架蔵済ではあるが、正規音源からCD化されたとあらば、買わざるべからず。
レジーヌ・クレスパン(Sop)、ジョン・シャーリー・カーク(Br)らが参加している。

12月12日(土): 

 通販業者からLPが届く。

ミクローシュ・ペレーニ(Vc)カルロ・ゼッキ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第1・3番(洪Qualiton、LP)
蒐集中のペレーニ、未知の録音を見つけたので直ちにオーダーしたもの。
ペレーニのベートーヴェンは、HUNGAROTONレーベルにデジュー・ラーンキとの全集があるが、これは別録音。
業者のカタログにはモノラルと表記されており、ジャケットの番号もソレ風だったが、レコード本体には"STEREO"と朱書されており、音を聴いても真正のステレオ。
録音年代は明記されていないが、ライナーノートのバイオや録音風景の写真からすると、1970年頃と思われる。とすれば、彼のディスクの中でも相当初期のものだ。
ピアノのゼッキはイタリアの人で指揮者としても著名、なぜハンガリーのレーベルでペレーニに付き合っているのか、も一つよくわからない。

 

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)コンセール・ラムルー管ほか、モーツァルト;「戴冠式ミサ」・Fg協(独DGG、LP)
初期のステレオLPだが、音的には今一つ冴えがないのは残念。たしか元々は10インチ盤でバラで出ていたはずなので、あるいは少々質的に劣るのかも。
ただし、Fg協では独奏楽器はクリアに録れており、モーリス・アラールが吹くフランス式の楽器(バッソン)独特の音色は、十分楽しめた。
ミサ曲の方でも、ちょっときつめのリズム、目立たせ気味の木管・金管等、マルケヴィッチ一流の表現は、十分聴きとれる。
独唱にも特に優れた歌唱は見られないが、この曲の持つ華やかさはきちんと表出されており、聴いていて胸が弾むのを覚える。
ただ、合唱のアンサンブルは、ちょっと怪しいかもしれない。録音がぼやけ気味ではっきりとはわからないが…。
ミサ曲のみ、前にCD化されていたが(カール・リヒター(指揮)ベートーヴェン;ミサ曲ハ長調との組合せ)最近店頭では見かけないし、Fg協は未CD化のはず。
この2曲に、交響曲第34・38番(ベルリン・フィル、モノラル)あたりを組み合わせて、彼のモーツァルトを良質の復刻で発売してもらいたいものだ。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)カルロ・ゼッキ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第1番(洪Qualiton、LP)
早速聴いてみる。最初の目的はモノラルかステレオかの確認にあったが、端正な表現、和声の美しい音程、まことに双葉から芳しく、聴き惚れるままに全曲を聴き通してしまった。
 
ジェラール・スゼー(Br)ダルトン・ボールドウィン(P)シューベルト;歌曲集「冬の旅」(EMI)
中古音盤堂奥座敷の試聴会の一環として聴く。
1976年の録音だが、スゼーの声はやや翳りを見せており、全盛期の美しさには及ばない。
ドイツ流の音楽語法にとらわれない清新な表現を期待したが、これは少々空振り。基本はフィッシャー・ディースカウ、シュライヤーあたりと同じであった。
そうなると、子音のキレの悪さ、母音の違和感が耳についてしまい、あまり楽しめない歌唱であった。
一方、ボールドウィンのピアノは、音・リズムともクリアで美しく、耳を驚かせるような表現こそないものの、なかなかにユニーク。
第6曲「あふるる涙」後半の三連符の効果など目覚ましく、第7曲「流れの上で」の雄弁さ、第11曲「春の夢」での踏み込み等、さすがに名手といわれる人だと感心させられた。

 最近入手したレイボヴィッツのLP・CDのデータとジャケット画像をレイボヴィッツのディスコグラフィに追加。


12月10日(木): 

 

スチュアート・ベッドフォード(指揮)ノーザン・シンフォニアほか、ブリテン;「シンプル・シンフォニー」・「ラクリメ」ほか(Collins)
ベッドフォードはブリテンの晩年に助手のようなことをしていたこともある人なので、彼のブリテン演奏は聴いておきたく、購入。
好きな「シンプル・シンフォニー」「ラクリメ」といった有名曲のほか、「イギリス民謡組曲」を収録。
また、世界初録音として、コリン・マシューズという人がピアノ・パートを管弦楽編曲した「テンポラル・ヴァリエーションズ」(世俗的変奏曲? 原曲はオーボエとピアノ)、「子守歌の魅力」(ソプラノとピアノ)を収める。
 
レナード・バーンスタイン(指揮&P)コロンビア響、モーツァルト;P協第15・17番(Sony Classical)
1956年のモノラル録音、長く再発されなかったバーンスタイン弾き振りのモーツァルト。
第15番は、その後、ステレオでウィーン・フィルと再録音までしている(DECCA)。よほど気に入っていたのだろうか。バーンスタインに同一曲の再録音は比較的珍しい。
中古LPで持ってはいるが、良質な復刻を期待したいところ。
 
フョードル・ルザーノフ(Vc)アナトリー・ヴェデルニコフ(P)、ブラームス;Vcソナタ第1・2番(DENON)
中古音盤堂奥座敷同人野々村さんが、チェリストが素晴らしいと褒めておられたので(クラシック井戸端会議にも書き込みあり)、興味を惹かれて買ってみた。
ライナーノートによれば、ルザーノフはソ連国立響の首席チェリスト、ソ連国内では重きをなした第一級の名匠とか。
録音も1981〜82年と新しく、期待したいところ。
 
ペーター・マーク(指揮)ガリシア響ほか、グルック;歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(ARTS)
マークの新録音ゆえ、即、購入。
オペラは得意な人だが、グルックとは意表に出る選曲、何が出るのかお楽しみ、というところだ。

12月7日(月): スティーヴン・ペティット著『奇跡のホルン デニス・ブレインと英国楽壇』@春秋社を読了。
 ブレインのことで、ずっと不思議だったのは、彼がフィルハーモニア管とロイヤル・フィルとを掛け持ちしていたこと。
 ところが、この本を読んで驚いた。両方のオーケストラが発足した頃のホルン・セクションは、1人を除いて全く同一だったという。
 というのも、ロンドンでは一つのオーケストラのポストを占めているだけではやっていけなかったらしい。これは、父オーブリー・ブレインや、それ以前の世代でも同様だったそうだ。
 もう一つ、フィルハーモニア管の伝説的名演、トスカニーニとのブラームス;交響曲全曲演奏会では、2・3番がデニスで、1・4番は音色からして別奏者…と思いこんできたのだが、これはまるきり間違い、全曲、デニスが参加していたのであった。

 

フランス・ブリュッヘン(指揮)啓蒙時代管、ハイドン;「疾風怒濤」時代の交響曲集(Philips)
ハイドンの新盤は、手兵18世紀管ではなく、啓蒙時代管との組み合わせ、これには少々吃驚。
収録曲は、番号順に26、35、38、39、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、58、59、65番と、ムリョ19曲。
そういえば、昔フィリップスにはマリナーの「綽名付き交響曲全集」てな企画もあったと懐古する。
18世紀管とのディスクには付き物だった、オーケストラのメンバー表も省略されてしまい、少々寂寥の感あり。
ジャケットのブリュッヘンが目頭を押さえているように見える、というのは穿ちすぎか(^^;
 
プーランク;室内楽曲全集(BMG)
若手花形奏者を糾合した企画、エマニュエル・パユ(Fl)、フランソワ・ルルー(Ob)、ポール・メイエ(Cl)、コーリャ・ブラッハー(Vn)等々、なぜかミシェル・ポルタル(Cl)というオジサンが顔を見せているのが頬笑ましい。
しかし、フルートやクラリネットには複数の奏者がクレジットされているのに、誰がどの曲を吹いているのか明示されていないのは不親切極まる。
ブラッハー(作曲家の息子だ)はベルリン・フィルのコンサートマスターだが、彼が用いているストラディバリウス「トリトン」は、「日本ヴァイオリン博物館」との関係で「キミコ・パワーズ」夫人から貸与されている、とライナーノートにある。
そんな博物館、どこにあるのだろう? 御存知の方、御教示ください。

12月6日(日): 早朝、京都に着き、昼前まで寝直す。

 しばらく前からレイボヴィッツを聴き直しているが、今日も続ける。

ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロイヤル・フィル、モーツァルト;交響曲第41番(CHESKY)
買った頃に一度聴いているのだが、どうも明確な印象がなかった。
何を聴いていたのかと思う。
木管の透明なハーモニー、金管を抑えない立体的な音楽、弦の各パートの対位法的な絡みを活かした、誠に総譜の忠実な再現、感心した
第2楽章でも弦合奏の美しさは特筆したい。
ただ、それ以上の「押し」というか、魅力というか、「華」には不足する。
音楽にすべてを語らせる、それがレイボヴィッツの指揮法だったのか。
ただ、こういう演奏と、ウィンド・マシーンを導入した「禿げ山の一夜」とか、コントラバスを思いっきりピックアップした「悲しきワルツ」との整合性が、よくわからぬ。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロンドン・フィル、オッフェンバック(ロザンタール編);「パリの歓び」(英SAGA、LP)
一瞬の弛緩もない音楽。
聴き手に媚びないが、音楽が自ずからギャラント。例の「カン・カン」も見事にシンフォニック。
米盤と聴き比べたが、音の質、広がり・奥行き、いずれも英盤が文句なく上、これは買い直して良かった。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロンドン祝祭管、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」(CHESKY)
現代音楽の雄、レイボヴィッツだが、これは相性が悪いようだ。
冒頭から縦の線が怪しいというか、ギクシャクするというか。
拍子が1小節ごとくらいに変わるような部分が頻出するが、どうもスムースでない。
最近の指揮者のような「ズンズンズンズン」といったビート感覚でなく、几帳面に「イチ・ニ・サン・シ、イチ・ニ・サン、イチ・ニ・サン・シ・ゴ」と刻んでいる、そんな感じ。
自然、演出味にも乏しく、幕切れなどあっさりしすぎでは?
 
マックス・ファン・エグモント(Br)ジョス・ファン・インマゼール(Fp)シューベルト;歌曲集「冬の旅」(CHANNEL CLASSICS)
中古音盤堂奥座敷の試聴会の参考盤として。
エグモントの歌唱は実にあっさりしたもの、声量も抑制し、あたかもサロンで歌っているかのごとし。
楽譜に"stark"(強く、きつく)という指示があっても、ちょっとフォルテ気味にするくらいで通り過ぎたりもするし、他の歌手が声を張って歌い上げるような部分でも、フレーズに沿って、少しふくらませる程度。
ダイナミック・レンジが下の方に拡大されている感じだ。
ただ、ここぞと言うところではフォルティッシモへのクレッシェンドを厭わない。
声量を抑えていることもあり、声は非常に美しい。「低い音域の出るリリック・テノール」という感じで、深刻ぶらず、シューベルトの旋律を歌っていく。
最近、聴いた「冬の旅」の中では、最も気に入った。
ちょっと気になったのは、第6曲などで装飾音が入ること。そう多くはなく、2・3箇所に留まるのだが…。
インマゼールのフォルテピアノの響きも美しく、歌手同様、あまり叩かず美しく響かせながら、ときにフォルティッシモに駆け上がる。
面白いのは、第24曲「辻音楽師」で、特殊な機構があるらしく、左手のオルゲルプンクトの音が、ビィ〜ンと震え、まるで弦楽器のよう。
ライナーノートの使用楽器の説明にも特筆されているが、手回しオルガン(ハーディ・ガーディ)風とのことである。
 土曜日の演奏会を演奏会出没表に追加。

12月5日(土): 先週同様、新幹線で東京へ。
 やはり、長谷川陽子さんのリサイタルを聴くため。
 今年は勉強中心で演奏会を少な目にされたそうだが、その1年のまとめの意味を込めて開かれるというもの、最初は見送るつもりだったが、先週の演奏会を聴いて、どうしても行きたくなり、チケットを手配した。
 さすがに泊まったり買い物をしたりする余裕はなく(^^;、帰りは夜行バスにした。
 もっとも、駅からホールに直行したわけではない。
 本郷のアカデミアに立ち寄り、いろいろ楽譜を物色。
 バッハ;無伴奏Vc組曲の、大演奏家の校訂版が数種並んでいたので、第3番や第6番のプレリュードを見比べてみた。
 シュタルケルのものは指遣いを示す数字が要所に入っているだけのシンプルなものだが、トルトゥリエのものはアーティキュレーションを示す記号(曲線)が丁寧に付されているし、カザルスのものにはアクセント記号や濃厚な表情を示す言葉での書き込みが山盛りになっている。
 大変面白かったが、結局買うのは止めた。(^^; また、チェロを演奏するようにでもなれば、ということにしておく。
 スコアを1冊、モンテヴェルディ;「聖母マリアの夕べの祈り」(Eulenburg, New Revised Edition)を購めた。

 リサイタルは紀尾井ホール。ここも初めてだが、木をふんだんに使った落ち着いた内装は気に入った。ちょっと狭いところに無理矢理建てた感じで、ロビーやホワイエ等に余裕がないのは残念。
 2階席は、空席がやや多かったが、1階フロアはほぼ満席、トータルでは8割くらいの入りか。
 音響的にはよく響くホール、というか少々響きすぎかもしれない。特に斉諧生の席が壁際だったため、籠もり気味の印象であった。

今日の1曲目は、バッハ;ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第3番
先月も2回聴いた曲だが、やはり弓を軽めに使って軽やかさ、伸びやかさを前面に出したアプローチ。
とりわけ、弱音で押し通した第2楽章後半の密やかさ、しめやかさが印象的。
ただ、どうも緊張気味の御様子で、どことなく堅い音楽になってしまった。
こういうアプローチだと、もっと情感が爽やかに溢れてくるような雰囲気が好もしい。そういう点では、先月のひまわり関西広場での演奏が、サロン・コンサート風だったこともあって、最良であったと思う。
続いてカサド;無伴奏チェロ組曲。これも実演は3回目、11月21日発売のCDを入れて4回目になる。
やはり緊張は隠せないというか、気迫が曲を圧倒しようかという勢い。
「攻め」の感じられる演奏で、その意味では素晴らしいものがあったが、音楽としては先週の武蔵野市民文化会館でのゆとりのある演奏の方が良かった。これは斉諧生の好みかもしれないが。
また、実演ではやむを得ないこととはいえ、多少の傷が生じていたのは残念。
それにしても、この曲、チェロのいろいろな魅力を見せてくれるし、スペイン的な情趣も豊かで、素晴らしい音楽だと思う。
チェロの無伴奏曲というと、バッハ以外ではコダーイだけが有名になっているが、これを落としては勿体ない。ぜひ、長谷川さんの新譜で聴いてください(^^)
休憩をはさんで、ストラヴィンスキー;イタリア組曲。もちろん、ヴァイオリン曲からのアレンジである。
ヴァイオリンほどの軽やかさは得られないにせよ、見事な技巧で、古雅な旋律と機知に満ちた音楽の魅力を開示していった感があった。
いつも思うことだが、長谷川さんの演奏では、曲に退屈すると言うことはない。いつも自分の表現、自分の歌を展開され、いい曲、いい音楽だなと思わせてくれる。
これが彼女の魅力であり、斉諧生に限らず、いい大人の男どもが(^^;夢中になっている由縁であろう。
最後はR・シュトラウス;Vcソナタ。作品番号6、作曲者10代終わり頃の曲。
第1楽章冒頭、独奏チェロが大見得を切るところ、もちろん、十分意識しておられたが、斉諧生的にはもっと大きな表現を求めたい。
また、弾きだしてから弓の張りを調整したり弦の音程を確認しておられたが、ちょっと遺憾な出来事であった。
第2楽章では虚無的なモノローグ、第3楽章では幸せな歌を聴かせていただいた。
この曲は、Hrn協第1番に似た、青年の客気ありあり、意気壮んなところを音化したようなところがあり、第1楽章のコーダや第3楽章など、もっともっと、むせ返るような歌をうたってほしいという思いがした。
もっとも、他の人は「日本人演奏家のR・シュトラウスは往々体力負けしてしまうのに、全然、そうしたことがなかった、立派だった。」とおっしゃっていたので、これは斉諧生の贅沢な思いなのだろう。
アンコールには、
フャリャ;「アストリアーナ」(スペイン民謡組曲より)
カサド;愛の言葉
カタロニア民謡;鳥の歌
特に「鳥の歌」で思ったのだが、長谷川さんは、意識的に、右手の技巧というか、弓に入れる力を軽くする中で多彩な音色を表出することに取り組まれているのではなかろうか。
また来年には、もっともっと素晴らしい音楽を聴かせていただけるに違いない、そんな予感がする。

12月4日(金): ようやく、先週末の新譜買得録を完成。↓まあ、どうぞ、御覧ください(^^;;;

 先週土曜日の演奏会を演奏会出没表に追加。


12月2日(水): 

 

ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)南西ドイツ放送響ほか、シェーンベルク;「浄夜」・室内交響曲第1番ほか(VOX)
クラシック井戸端会議への書き込みで野々村さんが「メジャーレーベルのメジャーオーケストラを超えた、クラシックの伝統の最良の部分」と絶賛しておられたので、前から気になっていたディスクだけに、さっそく買ってきた。
バンベルク響との
R・シュトラウス;「ティル」「ドン・ファン」「死と変容」
ワーグナー;「ローエングリン」第1幕前奏曲、「トリスタン」前奏曲と愛の死
マーラー;「さすらう若人の歌」(ノーマン・フォスター(Br))
を収めた2枚組。
 
ヴィルモース・サヴァディ(Vn)マルタ・グイヤーシュ(P)エネスコ;Vnソナタ全集(HUNGAROTON)
往年の大ヴァイオリニスト、エネスコの第3ソナタは、隠れた名曲だと思っている。
なかなか録音されないのだが(それでも最近はましになった)、新録音を見つけたので、買い込んでおく。
HUNGAROTONはどうも入荷が不安定だし…
 
シギスヴァルト・クイケン(指揮)ラ・プティット・バンドほか、バッハ;クリスマス・オラトリオ(DENON)
クイケンのバッハ、買わざるべからず。
しかし、この曲は鈴木雅明盤を買ったばかり。いつ聴けることやら…。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」に近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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