音盤狂日録


ステーンハンマル作品が聴ける演奏会のお知らせ
2000年12月、東京都内でステーンハンマル作品を演奏するコンサートが2回ひらかれます。
いずれも、ステーンハンマルを敬愛するピアニスト、和田記代さんがイタリア留学から一時帰国して出演されるものです。
美しい曲の貴重な実演ですので、ぜひ御来聴くださいませ。
会場案内や演奏者プロフィールなど詳細は→ここを押して
(追記)12月23日の会場の地図を掲載しました。→ここを押して

和田 記代 ピアノ・リサイタル

ベートーヴェン; ピアノ・ソナタ変イ長調作品26
ステーンハンマル; 3つの幻想曲作品11
ショパン; 12の練習曲作品10
日時; 2000年12月7日(木)午後7時
会場; カワイ・ミュージックショップ青山2F「パウゼ」(地下鉄・表参道)
チケット; 3,500円(消費税含む、コーヒー・ケーキ付き)
     

青木 調(Vn) 和田 記代(P)

ベートーヴェン; ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 作品30-3
バッハ; 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV1004
ブラームス; ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 作品100
ステーンハンマル; 2つのセンチメンタル・ロマンス作品28
ブラームス; ハンガリー舞曲第1番ト短調
日時; 2000年12月23日(祝)午後6時30分
会場; ミュージック サロン サングレース(京王線・東府中)
チケット; 2,500円(飲み物付き)

 


10月31日(火): 

 昨日に引き続き東京。今日は用務終了後にお茶の水の中古音盤屋へ。

フェルディナント・ライトナー(指揮)バーゼル響、ブルックナー;交響曲第6番(Accord)
二昔前にN響によく客演していたライトナー、1996年に没した彼の最後の録音(1992年11月18・19日のライヴ)。
ブルックナーの中では好きでない曲の上、ライトナーについては「典型的なドイツの二流指揮者」との世評を鵜呑みにしていたので、新譜の時には見送っていた。
その後、クラシック招き猫「名演奏家の名盤はこれだ」に寄せられた、おまQさんのライトナー頌(→ここを押して)を読んで認識を新たにしていたところ、今回、中古格安で見つけたので買ってみることにしたもの。
 
ファビオ・ルイジ(指揮)ウィーン・トンキュンストラー管、ブルックナー;交響曲第7番(ORF)
ブルックナー演奏については誰が適性を持っているか、聴いてみないとわからないところがある。
ファビオ・ルイジの名前は知っているが、ブルックナーに限らず演奏は聴いたことがないので、中古格安でもあり、ものはためしと買ってみた。
1998年4月4〜6日、ウィーン・ムジークフェライン大ホールでのライヴ録音。
オーケストラの名称、正規には「ウィーン」ではなく「ニーダーエスターライヒ(低部オーストリア)」を冠し、略称も「NTO」。ルイジは1995年から今年まで、ここの首席指揮者をしていた。
 
コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン、ヴィヴァルディ;「四季」&バッハ;Vn協第2番ほか(LIVE NOTES)
「萬有製薬80周年記念アルバム」という背表紙に好奇心を煽られて(笑)、中味は何かと手に取れば錚々たる名前が並んでいるので驚いた。
まずバッハ(1994年10月21日、ザ・シンフォニー・ホール)の独奏は辻井淳@元・京都市響。
ついでヴィヴァルディ(1994年5月27日、浜離宮朝日ホール)は季節ごとに独奏者を替え、
「春」大谷康子
「夏」深山尚久
「秋」藤原浜雄
「冬」田中千香士
という顔触れ。
この音源が一般発売されたことがあるのかどうか、つまびらかにしないが、これは見逃せないと購入。中古屋ならではの収穫である。
もっとも参加者全員の名簿がついていないのは残念。社長挨拶・社の沿革はしっかり掲載されているのだが(苦笑)。
モーツァルト;ディヴェルティメントK.138(バッハと同日)をフィルアップ。
 
オーギュスタン・デュメイ(Vn)ローラン・プティジラール(指揮)ポーランド・フィルほか、プティジラール;Vn協ほか(LE CHANT DU MONDE)
指揮者として活動しているプティジラールだが、作曲家とは知らなかった。(^^;
デュメイが参加してるので購入。中古格安。
Vn協は1984年の作品で、なんと合唱付き。1986年にデュメイが初演し献呈された。
カプリングはゲイリー・ホフマン(Vc)の独奏で、
Vc協(1994年)
「ハーメルン」(1984年)
を収録。後者は無伴奏Vcと語り手による「ハーメルンの笛吹き男」伝説だが、この録音では語りを省略している。
 
ジャン・フルネ(指揮)フランス国立放送管ほか、アンゲルブレシュト;レクイエム・「ヴェズレ」(Charlin)
名匠列伝で取り上げ、最近ドビュッシーのライヴ録音集が復活しているアンゲルブレシュトの大作声楽曲2曲のカプリング。指揮がフルネというのも素晴らしい。
LPでは架蔵しているが、CDは買い損ねたままだったところ中古格安盤を発見、慌てて購入。
 
オーレ・エドワルド・アントンセン(Trp)ほか、「ホンキー・トンク・ウィメン」(EMI)
先週金曜日に感動的なソロを聴いたアントンセン。ガーシュウィンが良かったのでポピュラー系のCDを捜しているのだが、なかなか見つからない。
運良く中古格安で見つけたので、国内盤だが購入。
これは1枚目のポップロックのソロアルバム。なんでも人口400万人のノルウェーで14万枚以上が売れ、長くヒットチャートの1位を占めて一躍国民的スターとなったとか。
マウスピースの中に画鋲を入れて吹いたり、いろいろ工夫して多彩な音色を実現しているようだ。
 
フランツ・ヴェルザー・メスト(指揮)ロンドン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第5番&ブルックナー;交響曲第7番(東芝EMI、LD)
珍しいLDを見つけ、ちょっと迷ったが購入。
ベートーヴェンは、急病のテンシュテットに代わって振った1992年の来日公演ライヴ(3月4日、サントリー・ホール)。
ブルックナーは、1991年のプロムスでのライヴ(8月27日、ロイヤル・アルバート・ホール)。いずれも同一音源がCD化されているそうである。
ひと頃、彗星の如く現れてロンドン・フィルのポストに就き、ちょっとした旋風を巻き起こしていたヴェルザー・メストだが、落ちるのも早かった。(笑)
とはいえ、その後は着実なキャリアを積み上げているようで、これは見直さねばならないかもしれぬと思っていたところ。
ブルックナーの交響曲では第5・7番の録音があるが、偶像転落以来、CDは見かけないし、DVD化もまず望めまい(東芝は映像に不熱心だし)。
上記のファビオ・ルイジ同様、ブルックナーへの適性を判断しておきたいこともあり、見てみようと考えた次第。

10月30日(月): 

 東京出張に乗じて渋谷の音盤屋へ。夜11時まで営業というのは有り難い。勤務時間終了後に新幹線に乗って、なお2時間程度の買物ができる。

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)ウィーン響、ブルックナー;交響曲第4番ほか(Berlin Classics)
1900年10月30日に最初の演奏会を開いたウィーン響の100周年記念アルバムが並んでいたので購入。
3枚組で、標記のフェドセーエフ(1998年1月)が1枚、残りは
ホルスト・シュタイン(指揮) シューベルト;交響曲第9番(1992年2月)
ハンス・スワロフスキー(指揮) マーラー;交響曲第5番(1971年2月)
中でも最近関心を持っているフェドセーエフが、どういうブルックナーを演奏しているのか興味津々。
今年2月にこの組合せで来日したときのベートーヴェン;「エグモント」序曲ブラームス;第4交響曲が、峻厳そのものの感動的な演奏だったと聞いているからである。
100年記念が3枚組というのは、チト寂しい気もするが、90年記念のときにOrfeoからクレンペラー「英雄」の超名演をはじめセルクリップスマタチッチ等々、いいところ10枚分を出しているので、やむを得ないかもしれない。
 
オンドレイ・レナルト(指揮)新星日響ほか、マーラー;交響曲第3番ほか(Studio Frohla)
日本のオーケストラの自主製作盤を見ると、どうも買いたくなる癖がある。
ましてや、来年には合併で消滅する新星日響の、たぶん最後のものになるだろうCD、しかもマーラーの中では好きな3番となれば…というわけで、購入。
名誉指揮者・芸術顧問のレナルトが振った3番というと、いつだったかNHKで放送されたことがある(未視聴)。これはそれと同じ日(1999年6月15日、サントリー・ホール)の演奏だが、録音はNHKのものではなく、独自にマイクを立てたとのこと。
第10番アダージョをカプリング。こちらは1998年11月24日、サントリー・ホールでの収録。
 
クレメンス・クラウス(指揮)ウィーン・フィル、R・シュトラウス;交響詩「ドン・キホーテ」&「ティル・オイレンシュピーゲル」&「ドン・ファン」(TESTAMENT)
発売以来、あちこちのWebpageで讃辞を聞くクラウスの(というより往時のウィーン・フィルの)R・シュトラウス。
実は彼の交響詩の大半は苦手(というか食わず嫌い)なので手を出しかねてきたのだが、例外的に馴染みのある「ティル」と「ドン・ファン」が入っている1枚が安く並んでいたので購入。
メインの「ドン・キホーテ」(これも実は苦手)のVc独奏はピエール・フルニエ
なお、音楽探訪倶楽部クラウスのページ(ディスコグラフィ付き)がある。
 
オスモ・ヴァンスカ(指揮)ラハティ響ほか、シベリウス;愛国音楽集(BIS)
北欧音楽愛好家から「まだ買ってなかったの?!」とお叱りを受けそうだが(^^;、実は京都の音盤屋は概してBISの値付けが高く、いずれBerkshire Record Outletあたりで…と手を出しかねていたところ、安く並んでいるのを見つけてようやく購入。
注目すべきは、「フィンランドは目覚める」というタイトルの曲、実はあの「フィンランディア」の初期稿が、しかも2とおりの版で演奏されていること。
現行版とは曲の終結、「フィンランディア讃歌」の出し方に大きな違いがあるらしい。
ヴァンスカ&ラハティの「フィンランディア」といえば、昨年の来日公演が思い出される。版の違いのみならず演奏の質にも期待したい。
その他にレンミンカイネンの歌(1896年)、即興曲「ウレオ川の氷解け」(1898年)、新聞祭典のための音楽(1899年)、アテネ人の歌(1899年)、「おまえに勇気があるか」(1904年)といった、比較的初期の珍しい作品が収録されている。
 
イザベル・ファウスト(Vn)ヘルムート・リリンク(指揮)シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム、バッハ;復元Vn協集(HAENSLER)
先日来日して評価を高めたファウスト、国内盤新譜のバルトークの評判も上々のようだ。
最新盤はバッハのVn協集、前にBWV1043の第2Vnだけ弾いたものが出ていたが、今回はファウストがメインなので非常に嬉しい。
収録曲は
シンフォニア ニ長調BWV1045(Vn独奏付きの断章、失われた教会カンタータの部分とされる)
Vn協 ニ短調BWV1052a(Cem協からの復元)
Vn協 ト短調BWV1052a(Cem協ヘ短調からの復元)
3本のVnのための協 ニ長調BWV1064a(3台のCemのための協ハ長調からの復元)
というもの。
BWV1064aではクリストフ・ポッペンミュリエル・カントレッジが参加している。
 
カトリーン・ショルツ(Vn)セバスティアン・ラング・レッシング(指揮)ハンブルグ響、サンサーンス;Vn協第3番&マルティヌー;Vn協第2番(Berlin Classics)
前に弾き振りのモーツァルト;Vn協全集(Berlin Classics)がなかなか良かったショルツの新譜が出ていたので、珍しいマルティヌー作品(1943年)にも惹かれて買ってみた。
指揮者は1966年生まれ、ハンブルク国立歌劇場でゲルト・アルブレヒトのアシスタントをしたあと、最近はベルリン・ドイツ・オペラを中心にオペラ指揮者として活動しており、昨年には東京フィルに客演したとのこと。
 
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)ローラン・プティジラール(指揮)フランス響、ラヴェル;ツィガーヌ&ショーソン;詩曲ほか(OSF)
フランスの名手(パリ音楽院教授)シャルリエの未架蔵盤を見つけたので購入。録音は1990年なので、見落としていたのだろう。
標記2曲のほか、
サンサーンス;「序奏とロンド・カプリチオーソ」・「ハバネラ」・「ヴァルス・カプリス」
マスネ;タイスの瞑想曲
フォーレ;子守歌
ラヴェル;フォーレの名による子守歌
と、フランスの名作小品をずらりと並べている。楽しみ楽しみ。
 
ヤコフ・カスマン(P)エマニュエル・ルデュック・バロム(指揮)カリーニングラード・フィル室内管、ショスタコーヴィッチ;P協第1番・室内交響曲op.110aほか(CALLIOPE)
ショスタコーヴィッチ作品のうち偏愛の2曲をカプリングされては買わざるべからず。
ピアニストには公式Webpageがあり(なかなか充実している。→ここを押して)、それによればロシア生まれ、モスクワ音楽院で学び、1997年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで銀メダルを獲得、現在はアメリカ・アラバマに拠点を置いて活動しているとのこと。
指揮者はフランス生まれながらロシアでマリス・ヤンソンスイリヤ・ムーシンについて学び、1998年以来カリーニングラード・フィルの首席指揮者の地位にあるとか。
シュニトケ;P協をカプリング。…となると先日購入したオーベリアン盤(DELOS)にそっくり。聴き比べでもしようか。
 
四方恭子(Vn)野平一郎(P) ベートーヴェン;Vnソナタ第1・3・5番(ART UNION)
前にイザイ;無伴奏Vnソナタの立派なCD(ART UNION)を出していた、ケルン放送響のコンサートミストレス、四方さんの久々の新譜が出ていたので購入。
「スプリング」は別として、録音頻度の低い1・3番をあえて取り上げたあたりが興味深い。全集に発展させることが計画されているのだろうか?
ピアノが実力者・野平さんというのも期待したいところ。
四方さんは神戸生まれだが、親御さんの御出身は京都と聞く。なるほど京都府北部・綾部市あたりに多い姓で、一度そちらで仕事をしたとき、相手方の部長・課長・係長が皆「四方」さんで参ったことを思い出す。
 
戸田弥生(Vn)斎藤雅広(P) バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番&エネスコ;Vnソナタ第3番ほか(音楽之友社)
このCDは、『レコード芸術』11月号でリリース情報を知り、捜していたのだが京都の音盤屋では見当たらず、ようやく遭遇、ただちに購入。
同誌では戸田さんがインタビューに答えて、
初めてのCDには、必ずエネスコを弾きたいと思ってました。この曲は、自分の中でとても大事にしていた曲なんです。
 ものすごく激しい曲ですし、とても難しい曲です。
 難しいんですけど、とても自分の感性に合うところがあって、日本でもアメリカでもデビューの時に必ず弾きました。
と思い入れのほどを語っておられる。
エネスコの第3ソナタは集めている曲の一つ、しかもこれだけの思い入れを持つヴァイオリニストの演奏とあっては聴き逃せない。
彼女は7月に実演で外山雄三;Vn協を聴き、民族的な曲には向いていそうに思ったので、なおさらである。
斎藤「キーボーズ」雅広の演奏を(TVでなく)CDで聴くのも楽しみかもしれない。(笑)
 
パトリック・ビスムート(Vn) バッハ;無伴奏ソナタとパルティータ(全集)(STIL)
この盤のことは畏友かとちぇんこさんが夙に紹介しておられ(→ここを押して)、長く捜していた。
ようやく再プレスされたのか店頭に出ていたので、ちょっと高いが(@3,000円強)購入。
実は新譜で入荷した頃に、京都の音盤屋でも見かけていたのだが、当時は古楽器系のバッハ;無伴奏に食指が動かず、見送っていた。
上記かとちぇんこさんのレビューによると
ものすごいパワーと響きをもってあっというまにバッハの音楽が通りすぎていくという感じです。まったく圧倒される衝撃のバッハです。
とのこと、聴かざるべからず。
ライナーノートはフランス語のみだが想像するに、ビスムートは1954年生まれ、パリ音楽院で学び、グラン・エキュリー・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワ(長い名前だがマルゴワールが振っていた古楽器アンサンブル)にいたらしい。
 
トッシー・スピヴァコフスキー(Vn)レスター・テイラー(P) パガニーニ(シューマン編);奇想曲(全曲)(Vanguard)
ハンニカイネンとのシベリウス;Vn協の名演で知られるスピヴァコフスキーのCDゆえ、余計な(笑)ピアノ伴奏付きのシューマン編曲だが、ともかく購入。

10月29日(日): 

 Parnassus RecordsからLPが届いた。

ユッシ・ブルムステット(指揮)ベルリン放送響、シベリウス;「ペレアスとメリザンド」&組曲「カレリア」(米URANIA、LP)
1950年代初め頃のLP。この時期に「ペレアスとメリザンド」の録音は珍しかっただろう。全曲ではなく、8曲分の組曲構成である。
指揮者は初耳の名前だが、ディーラーのカタログにはカッコ書きでユッシ・ヤラスと表記されていた。彼のシベリウスには、作曲者の女婿だからという以上に、傾聴すべきものがあるのでオーダー(姓をめぐる事情はつまびらかにしない)。
米ウラニアの初期盤というと、これまで粗悪なものばかり見てきたが、これは造りも状態も良い。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)コンセール・ラムルー管、チャイコフスキー;幻想序曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」ほか(独DGG、LP)
マルケヴィッチによるロシア音楽集。標記のほか
ボロディン;中央アジアの草原にて
グリンカ;序曲「ルスランとリュドミラ」
リャードフ;黙示録の断章
を収録。
録音は1960年頃、CDは架蔵済み。
マルケヴィッチのオリジナルLPは少しづつ集めようと思っている。これは格安だったのでオーダーしたところ、届いてみればモノラル盤。レコード番号をよく確認すればわかった筈、不覚といえよう…。
 
マルセル・クーロー(指揮)シュトゥットガルト・ゾリステン、バッハ;ブランデンブルク協(全曲)(蘭Philips、LP)
ブランデンブルク協はなるべく集めようと思っている曲(すべてとは言わない)。
あまり見かけない盤が安くカタログに出ていたのでオーダー(ただしfontanaレーベルの廉価盤2枚組)。
ソリストにはズザンネ・ラウテンバッヒャー(Vn)、アドルフ・シェアバウム(Trp)、マルティン・ガリング(Cem)ら、二世代ほど前にドイツのバロック演奏を担った面々が連なっている。
質実剛健ドイツ流のバッハを期待しよう。
 
ハンナ・ラヒェルト(Vn)アントニ・ヴィット(指揮)ポーランド国立放送響、シマノフスキ;Vn協第1・2番(米SPECTRUM、LP)
シマノフスキのVn協も集めている曲、特に第2番は見逃せない。未知の演奏がカタログにあったのでオーダー。楽譜も入手できたので、いずれきちんと聴き比べたいものだ。
指揮者はお馴染み、シマノフスキにはスペシャリストといっていい人だが、ヴァイオリニストはポーランド生まれ、アメリカやベルギーで学び、現在はニューヨークを中心に活動している…というくらいのことしかわからない。
録音年月は未詳だが、マルPが1987年と表示されている。ひょっとしたらCDでも出ているのだろうか?
 
ウルフ・ヘルシャー(Vn)ヴィリー・マッテス(指揮)シュトゥットガルト放送管、コルンゴルト;Vn協・組曲「空騒ぎ」ほか(米Angel、LP)
ひと頃凝ったコルンゴルト、Vn協は結局古いハイフェッツ盤(BMG)になってしまったのだが、期待できそうな盤が見つかったのでオーダー。
ヘルシャーというヴァイオリニストは、LP末期にサンサーンス;Vn協第3番を聴いて以来、好ましく思っているのである。
標記のほか主題と変奏をカプリング。1970年代初め頃の録音。
早崎隆志『コルンゴルトとその時代』(みすず書房)巻末のCDガイドでは、組曲「空騒ぎ」について「洒落っ気のある録音」と好ましく評価されている。
 

10月28日(土): 

 

マンハイムQ、N.ブルクミュラー;弦楽四重奏曲第2・4番(MDG)
ブルクミュラーといえばピアノの練習曲で有名だが、そのフリートリヒ・ブルクミュラーの弟が、このノルベルト・ブルクミュラー
メンデルスゾーンらと親交があり、1836年25歳で夭折したときにはシューマンが惜しみ悼んだという。
斉諧生もついぞ知らなかったが、ネット上の知人が
シューベルト、あるいはアリアーガのSQがお好きの方には特にお薦め
との太鼓判、慌てて取り寄せ、購入したもの。

10月27日(金): 

 オーレ・エドワルド・アントンセンウェイン・マーシャルデュオ・リサイタル@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。
 マーシャルはかねてガーシュウィンやビッグ・バンドもののアルバムを愛聴している人、またアントンセンはSALONEN & AYA KINGDOMでのお薦め演奏家、いちど実演を聴きたいと思っていた。

前半はバロックを中心としたプログラム。(曲目詳細は演奏会出没表を御覧ください。)
まずバロック・トランペットやピッコロ・トランペットを綻びの一つもなく吹きこなす見事な技巧に驚いた。
しかしそれ以上に素晴らしいのは音色。
輝かしく、それでいて金属的な硬さが感じられず、どこか人の声を思わせる暖かさ・まろやかさがある。
ああ、こういう人がマーラー;交響曲第5番のソロでも吹けば感激だろうな…と思って聴いていた(昔、オスロ・フィルの奏者だったとか)。
 
休憩後は現代曲・ポピュラー曲。
最初のフリードマン;ファンファーレの特殊奏法を交えた超絶技巧に感心したのも束の間、
ガーシュウィン;サマータイムには、すっかり打ちのめされた。
この曲ではフリューゲルホルンを吹いたのだが、弱音のエスプレッシーヴォの感動的な美しさ! そして少しの揺れ・雑音もない見事なコントロール。
メロディを確か3回変奏したと思う(たぶん即興)。曲が曲だからジャズ的なイディオムを使うのだが、ジャズ奏者のトランペットに感じるえぐさ・臭みがまったくない(それはそれで良いものだが)。
音の一粒一粒が、また変奏の一瞬一瞬が「音楽的」としか言いようのない美しさで、ただひたすら、この曲の根源にある「哀しみ」を惻々と伝えてやまない。
マーシャルのオルガンも詩的な哀感を湛えた素晴らしいもの。この1曲だけで当夜の入場料がまかなわれて余りある思いがした。
 
こういう曲で一晩聴ければな…と思っていたところ、アンコール1曲目のオーバー・ザ・レインボーが同じ趣向で、またまたウルウルしてしまった。
EMIあたりで、この2人にガーシュウィン・ソングブックみたいなアルバムを録音させてほしいものである。マーシャルはピアノとオルガンを適宜使い分けて。。。
 
マーシャル独奏の3曲では、即興の2曲も見事な腕さばきだったが、バッハ;前奏曲とフーガBWV544も素晴らしかった。
バッハ円熟期の壮大な作品…というのが通り相場らしいが、マーシャルの演奏は「乗り」のよい、筋肉質の青年バッハ、という感じ。
 
まことに素晴らしい音楽家2人の見事な共演の一夜であり、入りが少々寂しかったのはもったいないと惜しまれた。

10月26日(木): 

 

宇野功芳(指揮)日本大学管、ブルックナー;交響曲第4番ほか(GRAND SLAM)
1981年6月20日、昭和女子大人見記念講堂でのライヴ録音。宇野師が初めてフル・オーケストラを指揮した演奏会とのこと。
もちろん、この曲には、その後新星日響を指揮したライヴ盤(ART UNION)があり、師のブルックナーを聴くにはそちらで十分であろうが、記録として捨てがたく(笑)、購入したもの。
新星日響盤同様、モーツァルト;序曲「フィガロの結婚」をフィルアップ。
ブックレットは8頁だての簡素なものだが、当日のチケットやプログラム、ポスターの画像を掲載している。
なお、このレーベルは評論家平林直哉氏のプライヴェート・レーベル。氏も当日のオーケストラに参加していたとのこと。
今後も宇野師の音源を発売するようなので、楽しみである。

10月25日(水): 

 

カール・シューリヒト(指揮)ウィーン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」ほか(Orfeo)
伝説的な名演だったと伝えられるシューリヒトとウィーン・フィルの「英雄」。
小林さんによるシューリヒトの演奏記録を見ると、意外に少なく2回の記録しかない。
これはそのうち、1961年8月23日のザルツブルク音楽祭の方のライヴ録音。(もう一回は1962年6月10日のウィーン芸術週間)
イタリアの出版社から特殊な限定盤としてリリースされたことは伝えられていたが(→ここを押して)、入手できずに困っていた。
今回、正規に発売されることとなり、店頭に並ぶのを鶴首して待望していたので、さっそくに購入。
彼の「エロイカ」はスタジオ録音(パリ音楽院管、EMI)、ライヴ録音(フランス国立放送管、Disques Montaigne)とも引き締まった素晴らしいものだっただけに、更に大きく期待したい。
シュテルツェル(1690〜1749)という人のコンツェルト・グロッソをフィルアップ。なお、この日のもう1曲、モーツァルト;P協第27番も、先日、Orfeoから発売済み。
残念ながらモノラル収録だが、状態は極めて良好。
 
カール・シューリヒト(指揮)バイエルン放送響、ブルックナー;交響曲第9番(Orfeo)
シューリヒトが指揮したブルックナーの最後の交響曲はウィーン・フィルとのスタジオ録音(EMI)が超絶的名演として知られるが、これは1963年3月8日のライヴ録音(ミュンヘン、ヘルクレス・ザール)。
シューリヒトのブルックナー演奏は、もちろん、聴かざるべからず、買わざるべからず。
これもモノラル収録だが、状態は極めて良好。
 
トーマス・ツェートマイアー(Vn) バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(TELDEC)
このところこの曲を集め直しているが、そのおりふしに好演との評価を目にしたツェートマイアー盤が中古格安で出ていたので購入。
1982年のデジタル録音だが、ちっとも話題にならず、国内盤もつい最近まで発売されなかった。
かなり古楽派の奏法を参考にした演奏らしいが、1982年時点でそういうことをしたモダン楽器奏者は極めて珍しいだろう。有名なパルティータ第2番シャコンヌも、わずか11分強で駆け抜けている。

10月24日(火): 

 

ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)ニュー・フィルハーモニア管、マーラー;交響曲第7番(BBC LEGENDS)
このシリーズ、ずいぶんホーレンシュタインが出るところを見ると、やはりイギリスでは人気があった指揮者なのだろうか。
彼のマーラーは、ユニコーン・レーベルの第1・3・6番やEMIの第4番をはじめ、けっこう引き締まった好演が多く、今回も期待して購入。
1969年8月29日、ロイヤル・アルバート・ホールでの録音。ちょっと明瞭さを欠く音質が残念。
 
ジャクリーヌ・デュプレ(Vc)ほか、サン・サーンス;Vc協第1番&ドヴォルザーク;Vc協(TELDEC)
吃驚した1枚。
ドヴォルザークは、1967年11月26日にセルジュ・チェリビダッケ(指揮)スウェーデン放送響と共演したもの、すなわちDGGから指揮者の録音を集成した箱物が国内盤で出たばかり。先日発売された『レコード芸術』誌でも宇野功芳師が
(スタジオ録音と)どちらが優れているか、などという次元を超えた凄演と言えよう
と絶讃している。
ジャケットには"by courtesy of Deutsche Grammophon GmbH"とあるので、正規音源を正規に譲り受けたものだろうが、こういう離れ業を可能にするのがバレンボイムの政治力なのだろうか???
カプリングのサン・サーンスは、そのバレンボイム(指揮)フィラデルフィア管が共演した1971年1月23日のもの。
実は、いずれチェリビダッケのセットは輸入盤で買うつもりなので、買うのを控えようかと思っていた。
店頭の試聴機でチラッと耳にした範囲では、ドヴォルザークは気迫が上滑りして音が乱れているような感じ。それより、独奏の録音状態やテンションの高さ等、サン・サーンスが途方もない演奏のような気がして、購入に踏み切ったもの。
 
「あらえびす SP名曲決定盤」第2・3・6集(音楽之友社)
御本人が「レコード道の底無し沼」云々と書いておられるくらいだから、あらえびす野村胡堂先生をして本邦音盤狂の鼻祖としてもいいのではないか。
岩手県紫波町なる「野村胡堂・あらえびす記念館」に保管されている先生遺愛のSP盤を、名著『名曲決定盤』(中公文庫で現役!)にもとづいて選曲し、名プロデューサーにして真空管アンプ製作の大家・新忠篤(あたらし・ただあつ)氏が復刻作業に当たられた。
収録に際しては、フィルターやノイズリダクション回路を通さず、SPをかけている音と同じ音でCDが聴けるように、ノイズも出るが音楽も今までの復刻盤の数倍は出るようにと意を配られたとか。
CD10枚分がリリースされたが、斉諧生的に関心の深い弦楽器演奏を収めた3枚を購入。
すなわち、
第2集;フリッツ・クライスラー(Vn) メンデルスゾーン;Vn協(1929年録音) ほか
第3集;アドルフ・ブッシュ(Vn)ルドルフ・ゼルキン(P) シューベルト;幻想曲(1931年) ほか
第6集;クライスラーティボーシゲティカザルスマレシャルらによるVn・Vc小品集
という内容である。
とりわけブッシュのシューベルトは先師が
幽玄不可思議な美しさ…何人の心も浄化せずんば已まざる床しさを持つ曲
と絶讃された録音、少しでも良い音の盤を手元に置きたい。
 
少し聴いてみたが、なるほど実に良好な復刻である。SPのスクラッチ・ノイズなど、ものの数秒で気にならなくなってしまうものだ。
ただ、音質が原盤の保存状態に左右されてしまったのは残念。あらえびす先生が愛聴されたものほど、音溝が荒れてしまっているようだ。
中には、音質最上の英HMV盤が一部破損しており、米Victor盤で代替したものもあるとのこと。
PearlやBiddulphといったレーベルの復刻盤は八方手を尽くして良質な原盤を探して製作されており、上記シューベルトもPearl盤(GEMM CDS9141、これもノイズを消さず音質の維持を図った復刻)に比べてさほど優れているとは言えない。
 
しかし、状態の良いものは、非常に素晴らしい。
第3集でもゴールトベルク(Vn)ヒンデミット(Va)フォイアマン(Vc) ベートーヴェン;弦楽三重奏のためのセレナードの音質は生々しく力強く、Pearl盤(GEMM CD9443)を遙かに上回る。
また、これは比較盤がないのだが、同じCDに含まれているプロ・アルテQ、ハイドン;弦楽四重奏曲作品3-5(偽作)など、演奏・音質とも陶然としてしまうものだ。
 
実に立派な仕事であり、さすが新氏と感じ入った。
にもかかわらず、今日現在、音楽之友社の公式サイトに、このCD集に関する情報が一切掲載されていないのは合点がいかない。

 このページのトップに掲げたように、12月に行われるステーンハンマル作品の演奏会の告知ページを作る。


10月23日(月): 

 

オーギュスタン・デュメイ(Vn、指揮)ヴェロニカ・ハーゲン(Va)カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク、モーツァルト;Vn協第2番・協奏交響曲K.364ほか(DGG)
好きなヴァイオリニストの一人、デュメイのモーツァルト再録音シリーズの輸入盤がようやく店頭に並んだので購入。
第1弾で第3・4・5番と美味しいところをはきだしてしまったので、あとをどうするんだろうと思っていたら、2年振りの第2弾はK.364。なかなか良い趣味である。
ハーゲンQからヴィオラを持ってきたのも期待できそう。
ロンドK.373アダージョK.261をフィルアップ。
なお、ジャケット表でおっとり澄ましているヴェロニカ嬢が、トレイ内側では呵々大笑している。(^O^)
 
トルルス・モルク(Vc) ブリテン;無伴奏Vc組曲第1〜3番(Virgin)
12月に初めて来日公演するモルク、記念に旧譜も再発されているが、待望の新録音が出ていたので購入。
ブリテン晩年の音楽は、ショスタコーヴィッチにも似て、一筋縄では捉えきれない底深さを持つ。この無伴奏曲集も、バッハの同種曲を思わせる、音楽宇宙を蔵した深い音楽だと思う。
なるべく集めるようにしている曲なので、モルクが録音してくれたのはまことに有り難い。

10月22日(日): 

 昨日の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。


10月21日(土): 

 京都市交響楽団第428回定期演奏会(指揮:井上道義)@京都コンサート・ホールを聴く。
 今日も、ステージ向かって右手の3階バルコニー席を取った。音圧・バランス・残響とも、この位置がベストだと思う。ただし、今日の曲目には少し残響が豊かすぎるきらいがあったが…

 さて、今日は、いかにも井上さんらしい曲目で、
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1番
久保摩耶子;交響曲第2番「再会」(京都市委嘱作品、世界初演)
ショスタコーヴィッチ;交響曲第6番
というもの。
 
まず新作久保摩耶子;交響曲第2番「再会」について。
この演歌かニューミュージック(死語)のごとき副題には少々辟易するが、プログラム・ノートによれば、27年間、在欧していた作曲者の故郷との「再会」と、モチーフを積み上げていく伝統的な作曲技法との「再会」とが作曲の動機であったという。
 
演奏時間約15分、少し打楽器の種類が多い程度の三管編成、オーケストラの配置も通常どおり。
冒頭に提示される「ド―レ」のモチーフ(曲の締めくくりにも登場)を重ねながら、五音音階ふうの動機や旋律をチラチラさせつつ、展開していく…という曲趣。
ちゃんとした管弦楽の響きが書けているので瞬間々々は楽しめるのだが、曲の根っこにある音楽的想念が貧相…というか、やや冗長。
 
なお、演奏前の楽器配置を手直ししている時間に指揮者がちょっとお喋り。
「私は作曲者の方を…知りません。
 でも…(プログラムの写真は)とっても写真うつりが悪いと思います。」
と、相変わらず笑わせてくれた。(^O^)
 
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1・6番については、ほぼ印象が同じなので、まとめて。
予想どおり、ショスタコーヴィッチの多彩な表情に敏感に反応した演奏。
とりわけ狂躁的な部分では、指揮者の表情・アクションともども(笑)、賑やかに楽しませてもらった。第1番終楽章結尾のプレストなど、実に痛快。
オーケストラもミスがなく、鳴りっぷりも立派。昔日の京都市響を知る者としては、こういうレベルの演奏が普通にできるようになったか…とあらためて感心した。
もっとも、弦楽器の音程のシェイプアップや、木管のソロの音楽性向上(立派だったのはFlとClの各首席だけ)など、更に上を望まずにはいられない(これは指揮者の責任かもしれないが)。
 
逆に言えば、ショスタコーヴィッチは相当うまいオーケストラを前提に作曲していた、ということであろうが…。
 
客席の反応も非常に良く、拍手やブラボーが続く中、指揮者の
「日本シリーズは、ダイエーが4-3で勝っているそうです。
 そちらも、わたしたちも、延長戦はありません。」
で、お開き。

 Barnes & Nobleから書籍4冊とCD2枚、abebook.comでサーチした古書が1冊、またMikrokosmosからLP2枚が届いた。
 もっとも嬉しいのは古書で、

“MARLBORO MUSIC 1951―1975“
なんと、マールボロ音楽祭の1951年から75年までの曲目と演奏者の一覧表である(マールボロ音楽学校と音楽祭事務局の共同出版)。
簡単な序文の他は、428頁にわたって延々と無機的な記録が続き、最後に曲目・演奏者の索引と数頁のディスコグラフィが付いているだけ。
しかし、これで、カザルスの指揮記録が作れる! もう狂喜乱舞である。
また、1969〜72年に参加したミクローシュ・ペレーニが各種の室内楽を演奏している記録も!
もちろんヨーヨー・マら錚々たる顔触れの記録もあり、もう、無茶苦茶に貴重な貴重な資料である。
これを古書店に放出してくれた某大学図書館@アメリカに、大いに感謝せねば。(^O^)

 Barnes & Nobleからの4冊は、すべてバレエ・リュス(ディアギレフのロシア・バレエ団)がらみで、

“DIAGHILEV'S BALLETS RUSSES“
Lynn Garafola, (DaCapo)
オックスフォード大学出版局から1989年に出版された原著を、一昨年、アメリカでペーパーバック化したもの。買価17.05ドル。
一昨年に出た鈴木晶『ニジンスキー 神の道化』(新書館)の「あとがき」で
「自分でニジンスキー伝を書くよりこれらの本を翻訳した方が読者にとって有益かもしれない」
と挙げられている3冊の基本文献の一なのでオーダー。
 
“THE BALLETS RUSSES AND ITS WORLD“
Lynn Garafola & Nancy van Norman Baer ed., (Yale University Press)
上掲書の著者、ガラフォラの近著。
版型が大きく図版が多そうなので(笑)、やや高価だがオーダーしてみた。
期待どおり図版は多いがモノクロがほとんどなのは残念、またそれ以上に文章も多く、結構立派な研究書の模様。
 
“NIJINSKY ; A Leap into Madness“
Peter Ostwald,(Lyle Stuart)
これも鈴木晶氏が挙げた3冊の基本文献の一。
著者のオストウォルドは、グレン・グールドの伝記も書いており(それが遺著となった)、先日、翻訳が出版された(筑摩書房、宮澤淳一訳)。好著である。
その「著者略歴」で彼の主著としてこの本が挙げられていたことから、鈴木著を思いだした。
その中で鈴木氏が
「著者はアメリカの精神科医であり、ヨーロッパ各地の病院をまわってニジンスキーの診察記録をできるかぎり調べており、『その後』のニジンスキーについてはもっとも信頼のおけるものである」
と書いておられるので、あるいはニジンスキーの娘キュラとイーゴリ・マルケヴィッチの結婚についての記載があるのではないかと思い、資料として是非おさえておきたいとオーダーしたもの。
ざっと索引を見たところ、予想どおりマルケヴィッチの項目が多く、月曜に届いたBoosey&Hawkes社の冊子ともども、マルケヴィッチのページの充実に役立ちそうである。
 
“SPEAKING OF DIAGHILEV“
John Drummond, (faber and faber)
検索中に発見した本。ディアギレフについて関係者にインタビューしたものらしく、中にイーゴリ・マルケヴィッチの名前があったのでオーダー。
現物を見ると、どうやら1967年にイギリスBBC-TVが製作したディアギレフ、バレエ・リュス関連の番組がもとになっているらしい。出版は1997年だが(今回購入したのはペーパーバック版で1998年刊)。
インタビューされているのは、エルネスト・アンセルメアンリ・ソーゲといったクラシック・ファン馴染みの人、タマラ・カルサーヴィナレオニード・マシーンセルジュ・リファールらのバレエ・リュスの花形ダンサー・振付師など、計22人。
マルケヴィッチの分は僅か4頁だが(苦笑)、これまた貴重な資料である。

 CD・LPは次のとおり。

グールド作品集(Sony Classical)
モートン・グールドではなく(笑)、グレン・グールドの作品集。
上記のオストウォルドのグールド伝に彼の作曲に触れた部分があり、ぜひ音を聴いてみたくなった。
しかもピアニストが集めているエミール・ナウモフとあっては、買わざるべからず。
Fgソナタ(1951)
弦楽四重奏曲第1番(1953〜55)
「じゃあフーガを書きたいの?」(1963)
リーバーソン・マドリガル(1964)
ほかを収録。
中でもFgソナタは上掲書でオストウォルドが
魅力的な曲である。…何より音楽的発想が独創的
と書いており、興味を惹かれる。
 
エミール・ナウモフ(P)ほか、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「火の鳥」(Orfeo)
ついでにナウモフで検索したら、長らく捜している1枚が出てきたのでオーダー。
全曲のピアノ・トランスクリプションとは珍品…と思っていたのだが、届いてみれば、さにあらず。
1911年版組曲をオーケストラ(ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)ウィーン響)で演奏し、併せてピアノ編曲を収めたもの(ナウモフ自編)。
サヴァリッシュで思いだして調べてみたら、1984年に国内盤も発売されているCDだった。
先日入手したWERGO盤LP(1981年録音)とは、やはり別編曲・別演奏(1983年録音)。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)ハンブルク室内管ほか、フランセ;12楽器のためのセレナード(英TELEFUNKEN、LP)
シュミット・イッセルシュテットの珍しい盤が出ていたので、オーダーしたもの。
原則としては買わないことにしている10インチ盤だが、やむを得ない。
作曲者自演、レオ・ボルヒャルト(指揮)ベルリン・フィルP協をカプリング。
 
キム・カシュカシアン(Va)ロバート・レヴィン(P) 「エレジー」(独ECM、LP)
贔屓のヴィオラ奏者、カシュカシュアンの小品集。
CDでは架蔵しているが、アナログ録音ゆえ、LPを見つけてオーダーしたもの。
そもそも彼女のヴィオラ演奏は、この小品集で好きになったのである。
ブリテン;ラクリメ
RVW;ロマンス
グラズノフ;エレジー
リスト;忘れられたロマンス
など、計7曲を収める。

10月20日(金): 

 

有田正広(Fl)ほか、バッハ;Flのための作品全集(DENON)
有田さんのフルートは聴き逃せないので購入。
バッハの全集は2回目の録音。
前回(1989年録音)は偽作とされるBWV1020・1031・1033も含めていたが、今回の録音(2000年5〜6月)ではこの3曲は外され、代わりにFlを独奏パートに持つトリオ・ソナタ2曲(BWV1038・1039)と、最も有名なロ短調ソナタ(BWV1030)を原調と推定するト短調で演奏したもの(BWV1030a)を収めている。(したがって合計8曲という曲数は変わらない。)
有田千代子(Cem)、中野哲也(Gamb)、若松夏美(Vn)、菅きよみ(Fl)が共演。

10月19日(木): 

 

オイゲン・ヨッフム(指揮)シュターツカペレ・ドレスデン、ブルックナー;交響曲全集(EMI)
EMI恒例のクリスマス向け格安箱物(9枚組)。更に音盤店のポイントサービスを利用したため、実質900円程度で購入。この名演を、こんな出費で入手するのは畏れおおいが…(^^;;;;
既にLPの全集(輸入盤)で架蔵しており、アナログ録音であることから、CDは買わずにきた。
今回の再発で第8番はリマスタリングで音質が大きく改善されているとのこと(伊東@An die Musikさんによる)、↑の価格のこともあり、購入に踏み切ったもの。
 
クルト・ザンデルリンク(指揮)ベルリン響、ショスタコーヴィッチ;交響曲第1・6番(Berlin Classics)
明後日、21日(土)に京都市響定期で井上道義がこの2曲を指揮する予定。
彼のショスタコーヴィッチには興味があり、聴いてみたいと思っているのだが、実は6番をろくに聴いたことがなく(昔、マリス・ヤンソンス(指揮)レニングラード・フィルの実演に接してはいるのだが)、その予習のために購入。
誰の演奏を買うかについては、もちろん、工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページを参考にした。

10月16日(月): Webで海外から購入した古本が届いた。abebook.comというサイトで、実質は各古書店のカタログをデータベース化した一種のオンライン・モール。ここでも買えるが、斉諧生は出展している古書店と直接やりとりしている。
 購入したのは、

“IGOR MARKEVITCH : Musik der Zeit. Dokumentationen und Studien1
Josef Heinzelmann ed.,(Boosey&Hawks)
 
マルケヴィッチ逝去直後に、彼の作品を出版していたBoosey&Hawks社から出た120頁ほどの冊子。
著作からの抜粋、年譜、作品リスト、ディスコグラフィ等を収録しており、データ的には貴重なもの。
しかも嬉しいことに、長年捜し求めていたオスカー・ココシュカによるマルケヴィッチの素描の図版が掲載されている。\(^o^)/
 
いずれ、この資料をもとにマルケヴィッチのページを増補したい。
 
“Marlboro Music Festival 1966“
 
“Marlboro Music 1968“
英文タイトルが若干異なるが、マールボロ音楽祭の公式プログラムである。
いずれも30数頁のもので、大半が広告(近隣の宿屋のものがおおい)なのは残念。
ただし、その年の参加者名簿があるのと、写真に貴重なものがあり、収穫であった。
 
なお、前者には1966年7月3日(日)の、後者には1968年8月18日(日)の演奏会の曲目・出演者をタイプ印刷した紙がはさみこまれている。
両日とも前半は室内楽、後半がカザルス指揮するオーケストラという構成。
それによると、
1966年7月3日にはバッハ;管弦楽組曲第2番が、
1968年8月18日にはベートーヴェン;合唱幻想曲が演奏されている。
バッハは、同年の別な日の演奏がレコード化されているが、合唱幻想曲は発売されたことがない。
 
いろいろと想像をふくらませることができて、楽しいかぎりである。(^^)

 

ミヒャエル・ギーレン(指揮)フランクフルト歌劇場管ほか、マーラー;交響曲第8番(Sony Classical)
1981年8月28日、フランクフルト・アルテ・オーパーでのライヴ録音。
たしか、いきなり廉価盤CDでリリースされたと思う。その頃はまだギーレンも一般的な知名度はなく、どこからか「掘り出し物的名演」という噂が聞こえてきても、曲に興味が薄いこともあって見送っていた。
先だって発売された「復活」も高く評価されているところ、音盤屋のセール・コーナーで、ふと見つけて購入。
 
オーレ・シュミット(指揮)ロンドン響、ニルセン;交響曲全集(Unicorn)
クラシック招き猫で新しく始まったインターネット・名盤復刻プロジェクトで話題になっていたCDが中古音盤屋にあったので、慌てて購入した。
1973年12月〜1974年1月の録音。CD3枚に交響曲各2曲ずつを収め、管弦楽曲等は含まない。
LP期には珍しかったニルセン全集の中で演奏内容は随一とされ、また長岡鉄男氏が優秀録音盤に挙げたこともあって、知る人ぞ知る名盤…といっていい存在だった。
第5番のみLPで架蔵しているが、全曲を揃えるに如くは無し。
 
ジェローム・カルタンバック(指揮)ナンシー歌劇場響、ショーソン;交響曲ほか(NAXOS)
もちろんショーソンの交響曲は好きなので、それだけでも買っていい盤だが、お目当ては別にある。
近頃売り出しのヴァイオリニスト、ローラン・コルシア詩曲を演奏しているのである。
かつてLyrinxレーベルからイザイバルトークのアルバムを、最近はBMGレーベルに移り、またルイサダ等とのピアノ・トリオで来日したりしている。
1996年9月の録音、交響詩「ヴィヴィアン」をフィルアップ。

10月15日(日): アリアンロッドさんという方からメールを頂戴した。
 A Legendary Romanceという素敵なタイトルのWebpageをお持ちで、神話・伝説、CGやMIDIが主なコンテンツ。
 リリー・ブーランジェのファンとのことで、MIDIのページに彼女のピアノ曲明るい庭で古い庭でのファイルを置いていらっしゃる。→ここを押して
 近いうちに、「ピエ・イェズ」がMIDIで聴けるようになるかもしれないと、期待申し上げている。

 上記のアリアンロッドさんのMIDI情報をリリー・ブーランジェのページに追加。
 
 カザルスの録音を1つ、ディスコグラフィに掲載するのを忘れていた。
 モーリス・ジャンドロン(Vc)コンセール・ラムルー管、ハイドン;Vc協第2番&ボッケリーニ;Vc協(Philips)
である。有名な盤で前から架蔵しているのに、すっかり失念していた。慌てて掲載。  
 調べものをしている際に、ミクローシュ・ペレーニバッハ;無伴奏Vc組曲のLPが国内盤で発売された記録を発見した(『レコード芸術』付録「レコード・イヤーブック'83」)。
 これで従来「c.1982」としてきた録音年月が「1981年5月」と特定でき、録音場所も「ロッテンビラー・ストリート・スタジオ」と判明したので、ディスコグラフィに加筆。
 しかし、この名演が「推薦」扱いにならなかったとは…(嘆)。


10月14日(土): 

 Berkshirejpcほかから荷物が届く。

エルネスト・ブール(指揮)南西ドイツ放送響、モーツァルト;交響曲第39・40番(Sony Music)
 
エルネスト・ブール(指揮)南西ドイツ放送響、モーツァルト;交響曲第29・41番(Sony Music)
先だって「展覧会の絵」を買ったブール、モーツァルトの交響曲が2枚、Berkshireのカタログに出ていたのでオーダーしてみた。
「現代音楽のスペシャリストは古典を振っても素晴らしい」という命題が、はたして立証されるであろうか。
それはそうと"Sony Music"というレーベル、フランクフルト所在と書かれているが、Sony Classicalとどういう関係なのだろう?
 
オトマール・スウィトナー(指揮)シュターツカペレ・ベルリン、ブルックナー;交響曲第1・8番(Berlin Classics)
「宇野功芳師が推薦しなかったブルックナー第8」探訪を続けているところ、スウィトナー盤がBerkshireにあったのでオーダー。熱烈に推薦する人もある演奏だけに楽しみである。
8番はノヴァーク1890年版、1番はいわゆるリンツ版(1866年版)によると表示されている。ただし、たしか8番は一部にハース版を復活させているのではなかったか?
病中と伝えられN響への来演も途絶えているスウィトナー、盛んに振っていた頃はモーツァルトばかりだったような印象があるが、最近のN響とブルックナーを演奏したら、どんなであろうか。再起を期待したい。
(追記;宇野功芳『交響曲の名曲・名盤』(講談社現代新書)では、クナッパーツブッシュ、シューリヒト、ヨッフムについで第4席に挙げられていた。これを見落として、ずっと「宇野師非推薦盤」と思い込んでいたわけで、お恥ずかしいところだ。)
 
マルク・スーストロ(指揮)ロワール・フィル、ショーソン;交響曲&フォーレ;組曲「ペレアスとメリザンド」ほか(Pierre Verany)
好きなショーソンの交響曲が、これまた好きなフォーレの「ペレアス」とのカプリング、しかもBerkshireの格安価格、オーダーせざるべからず。
オーケストラの名称、欧文表記は"Orchestre Philharmonique des Pays de La Loire"。こういうフランスの地方オーケストラの個性も大事にしたいところ。
フォーレ;「ペネロプ」前奏曲をフィルアップ。
 
アンサンブル・アデルほか、ショーソン;P、VnとSQのための協奏曲ほか(Accord)
同じくショーソンの「協奏曲」、これは見つけ次第買っているが、新しい盤がBerkshireのカタログにあったのでオーダー。
このアンサンブルは、以前にフォーレ;P四重奏第1番&P五重奏曲第2番の合評会を中古音盤堂奥座敷で行ったところ。ピアノのアリス・アデルの腕前など、悪くない印象がある。
ベルナルダ・フィンク(M-S)を加えての果てしなき歌ほかの歌曲、VcとPのための小品op.39をカプリング。
1998年10月という比較的新しい録音だ。
 
エリック・グリューエンバーグ(Vn)ロジャー・ヴィニョールス(P) パリー;Vn作品集(hyperion)
1848年生まれ、ブラームスに心酔し、英国近現代音楽の源流となったと評される(山尾敦史『近代・現代英国音楽入門』音楽之友社)パリーのVn作品集をBerkshireにオーダー。
ヴァイオリニストは、たしかロンドン響のコンサートマスターをしていた人。ピアノが最近ちょっと注目しているヴィニョールスというのもポイントが高い。
演奏されている曲は、収録順に
Vnソナタ(1889年)
12の小品(1894年)
幻想ソナタ(1874年)
 
チャバ・オンツァイ(Vc)イエネー・ヤンドー(P) ベートーヴェン;Vcソナタ全集(NAXOS)
リスト音楽院のオンツァイ教授のチェロ、先だってバッハ;無伴奏Vc組曲集を買ったが、よこしまな自己主張のない音楽に好感を持ち、他のディスクを探したところ、同じNAXOSにベートーヴェンのソナタ全集があったので、jpcにオーダーした。
もちろん国内の音盤屋でも入手できるのだが、そちらは分売。ドイツには更に割安な2枚組があるのだ。
ソナタ5曲と変奏曲3曲を1990〜91年にブダペシュトで録音している。
 
アンシ・カルットゥネン(Vc)トゥイヤ・ハッキラ(Fp)ベートーヴェン;Vcソナタ第3〜5番(FINLANDIA)
前に第1番ほかの巻を中古で買ったカルトゥッネンのベートーヴェン全集、第3巻がBerkshireに出ていたのでオーダー。
第1巻を聴いた感じでは、フォルテピアノといってもそんなに貧相な音でもなく、この巻も期待できそう。
 
トゥルライフ・テデーン(Vc)ローランド・ポンティネン(P) プロコフィエフ;Vcソナタ&ラフマニノフ;Vcソナタ(BIS)
ノラスモルク等と俊秀が多い北欧のチェリストには、どうしても注目してしまう。
BISに録音の多いテデーンのラフマニノフがBerkshireに出ていたのでオーダー。"Russian Cello 2"というタイトルがついている。
 
ヤン・フォーグラー(Vc)ブルーノ・カニーノ(P) ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ&ヴァイル;Vcソナタほか(Berlin Classics)
ドイツ系チェリストでは最も期待するフォーグラー、ショスタコーヴィッチの新録音があるとは聞いていたが、いっこうに音盤屋の店頭では見かけず、jpcにオーダーしたもの。
もっとも、工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページには既にコメントまで掲載されているが…。→ここを押して
ヴァイルのVcソナタ(1920年)は珍しい。
ファリャ;スペイン民謡組曲をフィルアップ、これはモーリス・マレシャルによる編曲。
 
ミラ・ワン(Vn)ヤン・フォーグラー(Vc) コダーイ;二重奏曲&ラヴェル;VnとVcのためのソナタほか(Berlin Classics)
フォーグラーの未架蔵盤を↑と同じくjpcにオーダー。これは一度、店頭で見たのだが買いそびれていたもの。
この編成の定番というべきコダーイとラヴェルのほか、
ヘンデル(ハルヴォルセン編);パッサカリア(もとの編曲はVnとVaのためのもの)
アイスラー;二重奏曲(1924)
を収録。
ワンは中国出身、数々のコンクールを制し、ボストン大でローマン・トーテンベルクに学んだとか。
はっきりとはブックレットに書かれていないが、御夫婦の共演。José Sáchez-Penzo氏のページに、それぞれのファン・ページがある。→ここを押して
 
ハインリヒ・シフ(Vc) バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(EMI)
このところバッハの無伴奏両曲をやけに買い込んでいるなあ…と自分でも思う。(苦笑)
シフというチェリスト、斉諧生としてはさほど重視していない人なのだが(失礼!)、先日購入した『文藝別冊 カザルス』(河出書房新社)バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べのページで、
実に刺激的な要素が満載されている。第一番のプレリュードのテンポは古今の数ある録音の中でも恐らく一番速いはずだ。」(吉村渓)
とあり、俄然、気になってしまった。
少し前まで国内盤も店頭によく並んでいたのだが、今ではドイツ国内でのみ現役なのだろうか。ようやくjpcで見つけてオーダーしたもの。
ブックレットには、なんとアーノンクールがコメントを寄せており、「私が想像しうるかぎり、この音楽の最も印象的な解釈」云々。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org) 「戦い」(FINLANDIA)
「オルガンの魔術師」ことキヴィニエミによる、ゴシック〜ルネサンス〜初期バロックのオルガン音楽集。
カベソンダウランドプレトリウスノイジドラー等の作品を収め、クーナウ;ダヴィデとゴリアテの戦いで締めくくる。アルバムタイトルは最後の曲から採ったものか。
主に使用されているのは1993年建造の現代オルガンだが、特にルネサンス音楽のために設計されたものとのこと。また一部の曲ではレガールやポルタティフ・オルガンが用いられている。
なお、一部の曲ではマルック・クローン(Perc)が共演している。
見かけによらず(笑)、この人の音楽は真っ当なもの。Berkshireに出ていたので、これ幸いとオーダー。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ベルリン・フィルほか、モーツァルト;戴冠式ミサ(独DGG、LP)
マルケヴィッチの同曲は、ラムルー管を指揮したステレオ盤(1959年録音)が有名で、既に何度かCDでもリリースされている。
これは1953〜4年頃のモノラル録音で、1曲のみが10インチ盤で出たもの。
基本的には手を出さないことにしている10インチ盤(少し小型)だが、12インチ(通常のサイズ)では再発されていないようなので、やむを得ない。
歌唱は
聖ヘドヴィヒ大聖堂合唱団カール・フォルスター(指揮)
マリア・シュターダー(Sop)(ステレオ盤と共通)
ジークリンデ・ヴァーグナー(A)
ヘルムート・クレプス(Ten)
ヨーゼフ・グラインドル(Bs)

10月13日(金): 

 

エーリヒ・クライバー(指揮)コンセルトヘボウ管、ベートーヴェン;交響曲第3・5番(DECCA)
伊東さんのAn die Musikで熱烈に紹介されていた盤を購入。
曰く、
1950年当時、世界屈指の高機能オケであったコンセルトヘボウ管が悲鳴を上げんばかりに絞られているのである。(中略)
 ギリギリ・ギュルギュル・キリキリ、めまぐるしく必死に弾きまくっているのである。
これを読んで聴きたくならないわけがあろうか…!
思えば、パリ音楽院管を指揮したチャイコフスキー;交響曲第6番も同様の演奏であった。
クライバー父=ウィーンの人でモーツァルトやウィンナ・ワルツが得意=典雅温厚な音楽づくりの人 という固定観念は(もしそういうものがあるとすれば)、早急に払拭されるべきだろう。
なお1950年といえばSPからLPへ移行する頃。さすがに年代を感じさせる音だが、エンジニアはDECCAの名人ケネス・ウィルキンソン、ボディのしっかりした香り高い音色を聴くことができる。

10月11日(水): 

 

カルロス・パイタ(指揮)フィルハーモニック響、ブルックナー;交響曲第8番(Lodia)
いわゆる「爆演系」指揮者の一人として著名な(笑)パイタ。
オーケストラもレーベルもどうやら自営のものらしいが、久しく見かけなかったところ、どうしたことか某音盤屋の新入荷棚に数枚が並んでいた。
フルトヴェングラーの後継者をもって自任(?)する彼の代表盤という、ブルックナーの8番を購入。この曲のコレクションとしても見落とせないところだ。
なお、詳しくはクラシック招き猫名演奏家の名盤はこれだに寄せられた、はやしさんの愛情あふれる紹介を参照されたい。→ここを押して
 
木野雅之(Vn)アンドルー・ボール(P) エルガー;Vnソナタ&レスピーギ;Vnソナタ&シマノフスキ;Vnソナタほか(ミッテンヴァルト)
イヴリー・ギトリス等に学んだ木野氏のヴァイオリンは、骨太の音色と強靱な技巧が好もしく、ずっと買っている。
東京・池袋のCD店ミッテンヴァルトのオリジナル・レーベルから、佳曲を連ねたアルバムが発売されたので購入。
標記の3曲は、その一つでも見逃すことはできないだけに、まことに嬉しいカプリングである。
更にエルガー;ソスピリ(ためいき)をフィルアップ。
「ワン・ポイント録音」と明記されており、音的にも楽しみである。
 
ヴェッセリン・パラシュケヴォフ(Vn) バッハ;無伴奏Vnのためのソナタとパルティータ(全曲)(TELOS)
ヴァイオリニストの名(原綴"Vesselin Paraschkevov"、発音には自信なし)もレーベルも聞いたことがない。
普通なら手を出さないのだが、音盤屋が付けた紹介文に「師シェリングゆずりの端正な音色とクレーメルばりの強烈な表現」云々とあり、興味を惹かれて購入。
ライナーノートによると、彼はブルガリア・ソフィア近郊の生まれ、神童として知られ、レニングラード(当時)でミシャ・ワイマンに学び、ウィーンやジュネーヴのマスタークラスに進んで、シェリングの教えを受けた。
1973年からウィーン・フィルの、75年からケルン放送響のコンサートマスターを務め、1980年以降はエッセンで教職にあるという。
(「ウィーン・フィルのコンサートマスター云々」は聞いたことのない話で、経歴から見ても疑問があり、確認したい。)

10月10日(火): 

 

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ザールブリュッケン放送響、ブルックナー;交響曲第2番(Arte Nova)
次期「最後の巨匠」候補、Mr.Sのブルックナー全集は聴き逃せないので購入。
この曲、Arte Novaレーベルには若杉弘盤があったのだが、あえて再録音し、スクロヴァチェフスキ単独での全集完成を計画しているそうだ。
名演を期待したい。
なお、1877年改訂稿(ノヴァーク版)によると表記されている。
 
クララ・セルナ(Vn)ティエリー・フイエ(P) エネスコ;Vnソナタ第2・3番ほか(LNT)
昔は秘曲に近い扱いだったエネスコの第3ソナタ、新譜を見るとついつい買ってしまい、CDで数枚を架蔵している。
協奏即興曲(impromptu concertant)ソナタ断章(遺作)をフィルアップ。
初めて見るレーベル。造りも変わっていて、ジャケットサイズの本の巻末にCDが挟み込まれている趣。
したがって解説も詳細に施されているのだが(作曲者小伝、演奏者へのインタビュー、楽曲分析)、生憎フランス語のみ、斉諧生には読むことができない。
 
店村真積(Va)練木繁夫(P) シューベルト;アルペジオーネ・ソナタほか(MEISTER MUSIC)
京都出身(父君は同志社大教授と聞く)で読売日響の首席Va奏者、店村さんの新しい録音が出た。
アルペジオーネは好きな曲なので、店頭の試聴機で聴いてみたところ、いい感じだったので購入に踏み切った。
ヴュータン;Vaソナタ同;エレジーをカプリング。
なお、デ・ゲアール作のマイクロフォンを使用したワン・ポイント録音、ハード・ディスクからのダイレクト・カッティングで製作されており、音的にも楽しみである。
 
セルジウ・ルカ(Vn) バッハ;無伴奏Vnのためのソナタとパルティータ(全曲)(Nonsuch)
オリジナル楽器によるバッハ演奏の先駆、ルカの1977年録音盤のCD化。
斉諧生は初期のオリジナル楽器演奏は能書き先行のような感じで敬遠気味なのだが、試聴機に入っていたので一聴してみたところ、音・演奏とも悪くないので購入。
楽器はレプリカではなく、1669年製のニコラ・アマティのヴァイオリンと、同時期のものと思われる弓を修復して使用している。
実は、ちょっと失敗。このディスク、国内企画で輸入盤ではなかったはずと思って買ったのだが、調べてみたら、アメリカではとうに出ておりまだ入手可能。
高い買い物をしてしまったが、まあ、初発売時のライナーノート(ヴァイオリニスト自ら執筆)が、ちゃんと読めるのがメリットか。
 
ルドルフ・ゼルキン(P) シューベルト;Pソナタ第21番ほか(Sony Classical)
シューベルトの変ロ長調ソナタは斉諧生が例外的に蒐集しているピアノ曲だが、これはLP時代にその名演の一つに数えられたゼルキンのライヴ録音。
1977年12月14〜15日にカーネギー・ホールで開かれたゼルキン75歳の誕生日記念リサイタルを収録したもので、CD2枚組に
ハイドン;Pソナタ第49番変ホ長調
モーツァルト;ロンドK.511
ベートーヴェン;Pソナタ第26番「告別」
と、標記のシューベルトを収める。
この盤のことは加藤さんのClassical CD Information & Reviews「クラシック音楽CDの雑談」10月7日の項で知り、気にかけていたところ、音盤屋の新入荷棚に出ていたので購入。
実は輸入盤LPは架蔵しているのだが(苦笑)、それに付いていたディスコグラフィや豊富な写真(セッションの休憩中にセルとサンドイッチを囓っているところとか)が割愛されているのは残念。

10月9日(祝): 

 ↓4日に入手した音盤の情報を、レイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


10月7日(土): 

 

エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)コンセルトヘボウ管、放送用ライヴ録音集(Q DISK)
ベイヌムという人は、強烈な個性を持つ前任者の影になったことや、活動期間が短く時期的にもステレオ録音が少なかったことから、あまり話題に上らなかったが、それを挽回すべく放送用録音が大量にリリースされた。CD11枚に加え、DVD1枚というところが今日的なところだ。
録音年代は1935年から58年(死の前年)まで、多くは78回転のディスクに記録された音源である。磁気テープが普及するまでは、音楽放送もこの方式が一般的だったらしい。
したがって、音質的には良好なSP復刻といった趣で、鑑賞には不自由しない。
全部で36曲ほども収録されており、中には読み方もわからないオランダの作曲家などもあるので、興味深いところだけを挙げる。
 
モーツァルト;交響曲第40番(リハーサル)(1956年9月20日)
ブラームス;交響曲第1番(1951年10月25日)
チャイコフスキー;交響曲第4番(1941年2月13日、第4楽章のみ1940年5月26日)
 
レーガー;バレエ組曲op.130(1943年7月18日)
シェーンベルク;5つの管弦楽小品op.16(1951年10月12日)
フランク;「プシシェ」(抜粋)(1941年5月15日)
レスピーギ;ローマの噴水(1949年10月16日
ドビュッシー;「海」(1941年1月30日)
ドビュッシー;「春」(1942年7月8日)
ドビュッシー;管弦楽のための映像(1948年12月19日)
ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲(1954年10月11日)
ストラヴィンスキー;「火の鳥」第2組曲(1948年5月13日)
バルトーク;管弦楽のための協奏曲(1948年9月10日、これのみDECCA音源)
 
バッハ(ブゾーニ);P協(P;ディヌ・リパッティ)(1947年10月2日)
モーツァルト;Vn協第4番(Vn;ユーディ・メニューイン)(1956年6月8日)
ベートーヴェン;P協第3番(P;ソロモン)(1952年12月18日)
ベートーヴェン;Vn協(Vn;ジノ・フランチェスカッティ)(1958年3月19日)
シュテファン;Vnと管弦楽のための音楽(Vn;ゲオルク・クーレンカプフ)(1940年1月4日)
 
また、DVDにはベートーヴェン;交響曲第3番の全曲が収められている(1957年5月5日)。
両面ディスクで、片面はPAL方式、もう片面はNTSC方式という配慮された作りになっている。
 
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送チャイコフスキー響、モーツァルト;交響曲第40番・協奏交響曲K.297bほか(RELIEF)
ときどき拝見しているフェドセーエフのファンページのBBSで、RELIEFの新譜情報が伝えられていたので、そのうち興味を惹かれたものを購入。
ベートーヴェン;「レオノーレ」序曲第3番をフィルアップ。いずれも1999年のライヴ録音。
なお、K.297bのソリストはオーケストラの首席奏者連中。
 
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送チャイコフスキー響、ショスタコーヴィッチ;交響曲第8番(RELIEF)
↑と同様、RELIEFからの新譜を購入。
フェドセーエフのチャイコフスキーとショスタコーヴィッチは、何といっても見逃せない。
これも↑と同様、1999年のライヴ録音。
 
佐渡裕(指揮)フランス放送フィル、「ファウストの音楽」(ERATO)
同じ京都の、しかも同年の生まれということで陰ながら応援している佐渡裕の新譜が出たので購入。
リスト;リーナウの「ファウスト」から2つのエピソード
ワーグナー;序曲「ファウスト」
ベルリオーズ;「ファウスト」の8つの情景
という、ファウストに因んだ珍しい曲を収める。
とりわけベルリオーズは、彼の初期(「幻想交響曲」以前)の作品で、世界初録音とのこと。独唱者3人と合唱を伴うものである。
 
ピエール・ブーレーズ(指揮)バイエルン放送響ほか、ドビュッシー;聖セバスチャンの殉教&バルトーク;「カンタータ・プロファーナ」ほか(col legno)
CD2枚組、1枚目は
ドビュッシー;聖セバスチャンの殉教(1960年10月28日)
2枚目に
ストラヴィンスキー;音楽劇「ノアの洪水」(1964年4月17日)
トゥルネーのミサ(ブリューメル編)(1960年10月28日)
メシアン;「異国の鳥たち」(P;イヴォンヌ・ロリオ)(1964年4月17日)
バルトーク;「カンタータ・プロファーナ」(1964年4月17日)
を収録。いずれもヘルクレス・ザールでのライヴで、2つの演奏会を振り分けて収めたものとおぼしい。
1960年代前半では少し古いと思って最初は買わずにいたのだが、『ブリーズ』に掲載された野々村さんの評を見て、購入に踏み切った。
聴きものはストラヴィンスキー『洪水』バルトーク『カンタータ・プロファーナ』
前者では後期の秀作に特有の万華鏡のような多様性が、後者では作品への共感が熱く表現されている。
なお、音質は極めて良好。

10月4日(水): 

 

ギュンター・ヴァント(指揮)ベルリン・フィル、ブルックナー;交響曲第7番(BMG)
最近のヴァント「神格化」現象には首をひねるところもあるのだが、彼のブルックナーは聴き逃せないことに違いはない。
先に国内盤が発売された第7番の輸入盤が、ようやく店頭に並んだので購入。1,600円(税別)だったのでほくそ笑んだが、東京には1,200円台をつけている店もあるそうな…。
 
エルネスト・ブール(指揮)南西ドイツ放送響、ムソルグスキー(ラヴェル編);展覧会の絵&ラヴェル;「ボレロ」・「ラ・ヴァルス」(Intercord)
ロスバウト→ブール→ギーレンと続く、バーデンバーデンのシェフの系譜に注目せざるべからず。
単に現代音楽のスペシャリストというだけでなく、通常のレパートリーを指揮しても、西洋古典音楽の骨法を捉えた、しかも尋常ではない演奏を実現するのである。
メジャー・レーベルとの関係が薄かったブールの、今となっては入手が難しいIntercord盤を中古屋で見つけたので購入。
 
コンスタンティン・オーベリアン(P&指揮)モスクワ室内管ほか、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a&シュニトケ;P協(DELOS)
集めているショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲第8番(弦楽合奏版)の新譜(今年3月の録音)が並んでいたので購入。
オーベリアンは、名前の響きからしてロシア人だろうと思っていたら、サンフランシスコ生まれジュリアード音楽院出身のアメリカ人。
もっとも両親はロシアとアルメニアからの亡命者で、父方の祖父はスターリンの粛清の中で逮捕・殺害され祖母も10年間投獄されたのだそうな。
弦楽四重奏曲の献辞をもじった「戦争と恐怖政治の犠牲者に捧げる」との副題が付され、ブックレットには祖父母の追憶に捧げる…という指揮者(ピアニスト)の小文を掲げている。
 
ゲルハルト・ボッセ(指揮)神戸市室内合奏団、ブリテン;フランク・ブリッジの主題による変奏曲&グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」ほか(自主製作)
5月に長谷川陽子さんとの共演に接したボッセと神戸市室内合奏団にCDがあることを知り、問い合わせてみたところ、非売品とのことだったが、関係者の御厚意で入手することができた。改めて感謝を申し上げたい。
神戸市室内合奏団は1981年、神戸市によって設立された。当初はたしか岩淵龍太郎氏が指導しておられたと記憶するが、1998年からボッセ氏を首席指揮者に迎えている。
この盤は同年6月15日、神戸新聞松方ホールでのライヴ録音。標記2曲のほか
C.P.E.バッハ;シンフォニア第4番Wq.182-4
アンコールのJ.S.バッハ;アリア管弦楽組曲第3番よりを収録。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ放送響ほか、ラヴェル;歌劇「スペインの時」(LYS)
レイボヴィッツのCDが出たからには見逃せない。英VOX盤LPを架蔵済みだが購入。
モノラルとしては優秀な音だと思ってディスコグラフィには「1950年代初め」と記したが、当CDには「1949年パリ録音」とある。訂正せねば…。

10月2日(月): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、マーラー;交響曲第9番(audite)
auditeから陸続とリリースされるクーベリックのライヴ、マーラーの9番が店頭に並んだので購入。
1975年6月4日東京文化会館でのライヴ、NHKの録音による。

10月1日(日): 

 Ars Antiquaから荷物が届いた。

トゥール・マン(指揮)ストックホルム・フィル、ステーンハンマル;交響曲第2番(独RCA、LP)
ステーンハンマル全録音蒐集プロジェクトの一環。
1959年録音、同曲のステレオ初録音盤である(LP初録音かも)。
音源としては、Swedish Society盤でCD・LPとも架蔵済みだが、元々のRCA盤が安く出ていたのでオーダー。
 
ポール・パレー(指揮)フランス国立放送管、パレー;交響曲第2番(仏Carthagene、LP)
稀少なパレーの自作自演盤を見つけたので仰天してオーダー、確保のメールが入ったときには狂喜乱舞した。
この曲は、父親の死をきっかけに、1936年に書かれた(1939年改訂)。副題の「ル・トレポール」は故郷の地名、両親に献呈されている。古典的な4楽章構成で、演奏時間は38分強。
1940年4月20日、作曲者の指揮によりパリで初演された、と解説にある。既に第二次世界大戦が始まり、5月10日にはドイツ軍がフランスへの進撃を開始する…という時期のことだ。
このLPに収められた演奏は、1968年11月27日、シャンゼリゼ劇場でのもの。
ところで、仏Cartageneというレーベルからは、フランス国立放送所蔵の音源で、1960年代末〜70年代初のパレーの演奏が数枚リリースされた。1980年代半ば、LP最末期のことである。
既に4枚を架蔵しており、この1枚と合わせると、次のようなもの。
731886 パレー;交響曲第1番 フォーレ;パヴァーヌ ほか
731887 パレー;7つの歌曲 フランク;プシシェ ほか
731888 ベートーヴェン;交響曲第8番 ワーグナー;「トリスタン」前奏曲と愛の死
131889 パレー;交響曲第2番
131891 パレー;ジャンヌ・ダルク没後500年記念のミサ曲
問題は、欠けている「731890」である。
BRENDAN WEHRUNG氏のRECORDINGS OF PAUL PARAYでも欠番になっているので、あるいは未発売なのかも知れないが、もしかして存在したら…と思うと夜も眠れない(…古いネタで失礼!)。
 
ダーグフィン・マルム(Ten)カミラ・リードベリウス(P) 「カーネギー・ホールで歌う」(瑞FREE-LANCE、LP)
これもステーンハンマル全録音蒐集プロジェクトの一環。
ブー・ベルイマンによる5つの歌op.20第1曲星の瞳
4つのストックホルムの詩op.38第4曲手回しオルガンの歌を歌っている。
タイトルは「カーネギー・ホールで歌う」だが、実際はストックホルムでのスタジオ録音。
なんでも、1971年10月にカーネギー・ホールで開いたリサイタルの曲目を、録音したとのこと。
ジャケットの表や中(2枚組でダブル・ジャケット)は、雑誌や新聞記事の切り抜き、エージェントからの手紙、略歴と主なレパートリー。…ひょっとしたら、プロモーション用に作られたLPかもしれない。
その他、パーセル、ハイドン、ブリテン、R・シュトラウス、グリーグ、ニルセン、ラングストレム、ペッタション・ベリエル等の作品、計26曲を歌っている。

 最近入手した音盤の情報を、ステーンハンマル・作品表とディスコグラフィパレー・ディスコグラフィペレーニ・ディスコグラフィに追加。
 また、演奏会のデータを演奏会出没表に追加。


平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。


平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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