音盤狂日録


御来訪の皆様へ
 思えば当「斉諧生音盤志」を公開いたしましたのが、平成9年8月8日深更。早くも1年を閲しました。
 おかげさまにて、望外の御贔屓を賜り、毎日、数十のアクセスをカウントするようになりまして、本日午後10時半現在では累計13,331に達しております。
 ここに、皆様の御愛読に対し、謹んで感謝を申し上げます。<_o_>
 なお、本来ならば1周年記念企画を賑々しく催すべきところでございますが、本業が少々多忙でありますので、少しく時間を拝借し、いずれ、何程かをお目にかけようと考えておりますので、御容赦下さりませ。<m(__)m>

 平成10年8月8日
 斉諧生 謹白

 

追伸
 あちこちからお奨めをいただいて−督促されてというべきか(^^;公開1周年記念プレゼントを実施することにしました。詳細は→こちら
 応募には一つだけ条件をつけておりますが、何卒お赦しいただきたく。<m(__)m>


8月30日(日): 公開1周年記念プレゼントの当選者を決定し、応募者全員にメールを送った。
 妙な条件を付けたせいか、競争倍率は1〜3倍程度。(^^;;;
 特に、普段からメールやBBSで情報交換をしている人ほど、いまさら書くことが無いというジレンマに陥られたようで、これは気の毒だった。

 ネット上の知り合いから譲ってもらったCDと、ノルディック・サウンド広島に注文していたCDが届く。

ブライデン・トムソン(指揮)ロンドン・フィルほか、バックス;交響曲第2番ほか(CHANDOS)
トムソンは贔屓の指揮者、ニールセンやヴォーン・ウィリアムズ、エルガーらの録音が大量にCHANDOSにあり、バックスも交響曲全部と主な管弦楽曲を録音している。
この人のものは中古等でぼちぼち集めてることにしており、今回は上記の盤を譲ってもらった。
エイドリアン・ボールト(指揮)ロンドン・フィルほか、ホルスト;管弦楽曲集(Lyrita)
この録音、たしかLPを架蔵していたはずなのだが見当たらない。気になっていたので、今回、譲ってもらった。
ホルストといっても、「惑星」等ではなく、「ベニ・モラ」組曲等、あまり知られていない曲ばかり。中では「日本組曲」が重要。
ライナーノートによれば、舞踊家伊藤道郎(?)が訪英時にホルストに日本の古いメロディに付曲する曲を依頼、口笛で旋律を吹いてみせたという。
トロン・セーヴェルー(Vn)カルステン・アンデルセン(指揮)ほか、セーヴェルー;ヴァイオリン曲集(SIMAX)
ハラル・セーヴェルーはノルウェーの作曲家(1897〜1992)。ピアノ曲等に佳品があるそうで、興味を持っていたところ、上記の盤を譲ってもらったもの。
スティーグ・ヴェステルベリ(指揮)スウェーデン放送響、アルヴェーン;交響曲第1番・交響詩「岩礁の伝説」(Swedish Society)
ここから2枚は、NORDIC FOREST北欧のクラシック音楽中、わたしのお薦めCDでWebmaster「パパさん」が推奨されていたCDのうち、架蔵していないものを発注。
このCDについては、ここを御覧ください。これは聴いてみたくなります。
アンデルス・オルソン(指揮)王立オペラ管ほか、オールソン;レクイエム(proprius)
オットー・オルソンはスウェーデンの作曲家(1879〜1964)。
ここを御覧ください。これも聴いてみたくなります。
ここで推奨されているエールヴァル盤(Caprice)の在庫がなく(再プレス待ちとか)、代わりにオルソン盤を購入。
サミー・スタールハンメル(Vn)ローヴェ・デルヴィンイェル(P)ほか、カルコフ;「フェニックス」(PHONO SUECIA)
スタールハンメルのことは、前に「スウェーデンにおける世紀の変り目1900」(nosag)を聴いて非常に良いヴァイオリニストだと思っていた。他にCDが出ていないか探してもらっていたところ、現代曲が1枚見つかったので送ってもらう。
イングヴァール・カルコフについてスウェーデン音楽情報センターのWebpageで調べたところ、1958年ストックホルム生れ。師匠筋には知った名前がない。
マーラーから多大な影響を受け、また、アフリカ音楽やラテン音楽、レゲエにも偏見を持たないという。ライナーノートには、処女作「テクスチュア」発表時にパレストリーナやエルガーやコープランド、マントヴァーニからの影響を指摘する評論家もいた、とある。たぶん、聴きやすい曲を書く人なのだろう。
CDにはレイフ・セーゲルスタムが指揮する「テクスチュア」「フェニックス」も入っているが、スタールハンメルが演奏しているのは「ドレムスペルU」(夢幻劇U?)という10分強の曲。
まぁ、あまり期待をしない方がいいかもしれない。

 何とも情けない話だが、27日(木)から今日までの日録を書くだけで夜になってしまい、ほとんど聴けなかった。(T^T)

『鳥の歌―パブロ・カザルスの伝記』(米KULTUR、ビデオ・テープ)
『パブロ・カザルスの生涯』(邦訳:筑摩書房、1994年)の著者であるロバート・バルドックがレポーター役になって、カタロニアやプラド、プエルト・リコ等を訪問し、生前のカザルスを知る人に証言してもらう、という趣向の番組。
証言者には、メニューインシュナイダーグリーンハウスネルソヴァホルショフスキマルタ未亡人等。英語には字幕がつかないので、喋っていることの3分の1が判るかどうかという程度。情けなや。
約66分間のうち、前半がプラド音楽祭等の音楽系、後半は母親や3回の結婚等の家庭生活系の話題のようだった。
指揮者としてのカザルスに重要なプエルト・リコ音楽祭や、マルボロ音楽祭についてはほとんど言及が無く、プエルト・リコでマルタ夫人等と歩いている映像があったくらい。
カザルスの指揮映像は、1、2分程度かと思うが、たぶん「エル・ペセーブレ」を練習しているところが写った。カラー映像だが、年代等は不明。まぁ、まずまず良しとしよう。
1971年の国連での「鳥の歌」演奏の映像が、スピーチからかなり長時間収録されているので喜んでいたら、曲の半分くらいから後は音楽に別な映像やカザルスの談話を重ねられてしまい、ガッカリ。

 表紙の画像を元へ戻し、プレゼントのページを消す。


8月29日(土): 本日発売の『Yahoo! Internet Guide』10月号で、当『斉諧生音盤志』を御紹介いただいている。
 「Best Web Guide」のページ中、「シーズンを迎えるクラシック音楽」の項目。

新譜評、作曲家や演奏家の紹介からこだわり方まで、人生をすべて音楽を聴くことに費やしている(?)生きざまが感じられる。(201頁)

とのコメント。(苦笑)
 定番『CLASSICA』さんや高名な『びよら冗句』さんらと並んでの紹介、誠に光栄の至りである。

 今日は中古音盤堂奥座敷の関西在住メンバーでオフ・ミーティング。
 集合場所はタワーレコード@梅田店、その前に2軒ほど回った上、他の参加者に待って貰ってm(_ _)m、買い物に励む。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響ほか、ニールセン;交響曲第1番ほか(CBS)
ニールセンは第5番をよく聴き、他の曲はほとんど聴いてこなかった。
この第1番は、ステンハンマルが交響曲第2番を作曲する契機になったというので気になっていたところ、NORDIC FOREST北欧のクラシック音楽で、この盤が推奨されていたので、探していたもの。
カプリングは「小組曲」、こちらは新ストックホルム室内管の演奏。
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響、「ノルディック・フェスティヴァル」(Sony Classical)
シベリウス;「フィンランディア」「悲しきワルツ」アルヴェーン;「真夏の徹夜祭」グリーグ;「十字軍シグール」イェネフェルト;「子守歌」等のポピュラー小品集。
北欧物ゆえ前から気になっていたのだが、中古格安で見つけたので購入。
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)新ストックホルム室内管、チャイコフスキー;弦楽セレナード&ドヴォルザーク;弦楽セレナード(BIS)
ベルグルンドがBISに録音した珍しい盤。
中古格安だったので、購入。LPで持っていたような気もするが、デジタル録音はCDで聴きたいと思っている。
オーレ・エドヴァルド・アントンセン(Trp)ジェフリー・テイト(指揮)イギリス室内管、ハイドン;Trp協ほか(EMI)
ハイドンの他、フンメルネルーダタルティーニテレマンとバロック〜古典派の有名曲を収録。
アントンセンはノルウェー出身、一時期オスロ・フィルの首席を勤め、現在は独立してソリストとして活躍中。
これらを見た奥座敷同人から「サロネンとアントンセン買ってる! すっかり洗脳されてるね」と冷やかされてしまった。(^^;;;
シベリウス・アカデミー弦楽四重奏団、ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第2番・第6番(FINLANDIA)
聴いたことのない曲だが、チェロにアルト・ノーラスが参加しているので、購入。
ウィルベルト・ハーツェルツェット(Fl)ほか、テレマン;「コンチェルト・ダ・カメラ」(GLOSSA)
テレマンは好きな作曲家だし、ハーツェルツェットはムジカ・アンティクワ・ケルンに参加していた頃以来、注目しているトラヴェルソ奏者。
『レコ芸』9月号「海外盤試聴記」でこのCDが紹介されており、探していたところ見つけたので購入。
ヤープ・テア・リンデン(Vc)コンラート・ユングヘーネル(Lute)ジャック・オッホ(Cem)といった実力者が脇を固め、「忠実な音楽の師」や「ターフェル・ムジーク」からのフルート曲を演奏。
アーサー・ワイスバーグ(Fg)「バッハとバスーン」(CRYSTAL RECORDS)
最近、とみにオーボエやファゴットといったダブル・リード楽器が好きになってきている。
このCDも、最初、京都の店で見つけたときに気になりつつも、他に買う物も多かったので見送ったところ、しっかり誰かが買っていってしまい、臍を噛んでいた。
その後、『レコ芸』9月号で黒田恭一氏が紹介するなど、ますます気になっていたのだが、今日、見つけたので購入。
無伴奏FlのためのパルティータBWV1013無伴奏Vnのためのパルティータ第2番(ただし「シャコンヌ」抜き)、無伴奏Vc組曲第2番・第3番を演奏。
ハンス・ロスバウト(指揮)コンセール・ラムルー管ほか、グルック;歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(Philips)
ロスバウト再発見プロジェクト、大阪でグルックを発見。
ジャケット裏に「1774年、テノール用のフランス語による完全・原典版」とある。
斉諧生はこのあたりにあまり詳しくはないが、このオペラの初演は1762年、ウィーンで、イタリア語歌唱で行われ、オルフェオはアルト(あるいはカストラート?)が歌った。
ここでは1774年にパリで上演された際の、フランス語歌唱により、テノールがオルフェオを歌う版を用いている、のだそうだ。
  オルフェオ    レオポルド・シモノー
  エウリディーチェ シュザンヌ・ダンコ
と、まるでDECCAみたいなキャスト。
録音年代は1956年、演目からすると、いかにもエクス・アン・プロヴァンス音楽祭なのだが、録音場所はパリ、オーケストラも違うし、ライナーノートにも記載が無く、確認できていない。
ハンス・ロスバウト(指揮)パリ音楽院管ほか、モーツァルト;歌劇「後宮からの逃走」(Phoenix)
ロスバウト再発見プロジェクト、続く。
エクス・アン・プロヴァンス音楽祭、1954年7月11日のライヴ録音。
イタリア盤だが、音楽祭とINAのシンボル・マークが入っているので、正規の音源と思われる。少し不安定なところもあるが、きわめて良好な再生音である。
  コンスタンツェ テレサ・シュティッヒ・ランダル(1927〜)
  ブロンデ    カルメン・プリエット(不詳)
  ベルモンテ   ニコライ・ゲッダ(1925〜)
  ペドリロ    ミシェル・セネシャル(1930〜)
  オスミン    ラファエル・アリエ(1922〜)
と、大半が20歳代という清新なキャストによる公演。
カレル・アンチェル(指揮)トロント響ほか、ベートーヴェン;「ミサ・ソレムニス」(TAHRA)
アンチェルはTAHRAのエディションvol.1でハイドンとシューベルトを聴いて以来、評価が一変した。
晩年のベートーヴェン録音、聴かざるべからず。
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)ベルリン放送響ほか、バルトーク;管弦楽のための協奏曲・弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽(DGG)
これと次のブリテンは奥座敷同人から頂いた(というか他の盤と交換した)もの。
フリッチャイのバルトークはモノラル期の名演として世に隠れもないが、「オケ・コン」は、たしか廉価版LPでしか持っていなかった。また、「弦チェレ」はCDがあるが、Originalsのマスタリングで聴いてみたいと思い、入手したもの。
アウリン四重奏団、ブリテン;弦楽四重奏曲第2番・第3番(TACET-Accord)
これはバルトークのおまけみたいなものなのだが、面白いことに、ディスクはTACET、ジャケットはAccord製。
もちろん音源はTACETなので、フランス国内での代理店がAccordなのだろうが。
この2曲は、先日、実家に置いてあったアマデウス四重奏団のLPを持ってきたところなので、聴き比べも面白いかもしれない。
また、TACETならば音的にも期待できよう。
『鳥の歌―パブロ・カザルスの伝記』(米KULTUR、ビデオ・テープ)
BBC製作のドキュメンタリー。どこかで見かけたような気もするが、シリーズ物の1巻なので、カザルスのは初めてかもしれない。
あまり大きな期待は禁物だろうが、カザルスが指揮する映像でも見られれば、と願って購入。

8月28日(金): 

 久しぶりにハンター@銀座の京都出張セール。品揃えは質・量とも良くなく、少ししか買わなかった。
 @700〜800円が中心。それを前提に↓御覧ください。

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ミネソタ管、ラヴェル;管弦楽曲集(Analog Productions)
収録されているのは「『ジャンヌの扇』のファンファーレ」「ラ・ヴァルス」「道化師の朝の歌」「スペイン狂詩曲」「古風なメヌエット」「高雅で感傷的なワルツ」
このコンビが米VOXに大量録音していた頃の音源を、Analog Productions社がCD復刻したもの。
ここの復刻技術は、前に"Art Pepper meets The Rhythm Section"(Contemporary音源)で、その優秀さを経験している。実に生々しい、ボディのしっかりした音を出していた。オリジナル・マスター・テープからの、真空管機器によるCD化だそうだ。
VOXからも既にVoxBoxシリーズでもCD化されており(2枚組2セット分)、架蔵もしているのだが、音に期待し、超安価だったこともあって、購入。
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)ベルナール・トマ室内管、サン・ジョルジュ;Vn協op.5-1、3-1(仏ARION、LP)
サン・ジョルジュはフランス革命前後にパリで活躍した作曲家。
カントロフの比較的初期の録音、美音を期待して購入。
ところが実は既にCD化されており、架蔵していた。もっとも弦のアナログ録音はLPで聴きたいので、後悔はしないが。
ティボール・ヴァルガ(指揮、Vn)ティボール・ヴァルガ室内管、モーツァルト;ディヴェルティメントK.334・アダージョとフーガK.546ほか(米SUMMIT、LP)
米盤はオリジナルでない可能性が高いとは思うが、
クリストフ・エッシェンバッハ(P)ヴィルヘルム・ブリュックナー・リュッゲベルク(指揮)、モーツァルト;P協第23番ほか(独EUROPA、LP)
エッシェンバッハの最初期の録音で、1965年頃、クララ・ハスキル・コンクールに優勝した直後のもの。幻想曲K.397ロンドK.485をフィルアップ。
オリジナルはSomarsetというレーベルだそうで、同時期に第19番K.459があり、こちらは架蔵済み。旅行先の横浜で立ち寄ったデパートでちょうど開いていた中古LP・CDセールで買ったのを憶えている。
ウィーン楽友協会弦楽四重奏団員、モーツァルト;ディヴェルティメントK.563(英DECCA、LP)
録音参加メンバーはライナー・キュッヒル(Vn)ヨーゼフ・シュタール(Va)フランツ・バルトロメイ(Vc)
この曲のウィーン系奏者による録音は珍しいと思って購入。
藤本さんのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団完全ディスコグラフィ(ステレオ録音)で調べてみたところ、1980年5月の録音で、これがオリジナルの発売形態らしい。
また、ウィーン・フィル団員による録音は、これが最初、次に1995年録音のカメラータ東京盤があるだけ、とのこと。
イフラー・ニーマン(Vn)エリック・パーキン(P)アイアランド;Vnソナタ第1番・第2番(Lyrita)
アイアランドのVnソナタの録音は珍しく、Lyrita盤なら音的にもハズレではなかろうと、購入。

8月27日(木): 昨日触れたNHK衛星第2放送『BSマンガ夜話』水木しげる『悪魔くん千年王国』を見る。
 ゲストが清水ミチコ北野誠ということもあり、あまり革命や宗教といった話題にならず、『ゲゲゲの鬼太郎』やTVの実写版『悪魔くん』で座談が盛り上がってしまったのが残念。

 "La Voce"さんにロスバウトを探しに行く。すると…

ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、シューベルト;交響曲ハ長調(WERGO)
いわゆる「グレート」。シューベルトの交響曲は番号の付け方がややこしくなっているが、この盤では「(第8番)」と表記されている。
ハイドンが良かったので、シューベルトにも期待したい。
1954年12月31日のモノラル録音である。なぜ大晦日なのだろう?
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、ストラヴィンスキー;「ペトルーシュカ」・「カルタ遊び」ほか(WERGO)
1954〜57年のモノラル録音。「小オーケストラのための組曲」第1番・第2番をフィルアップ。
これでWERGOのROSBAUD EDITIONが「トゥランガリラ」を除いて、揃った…と思ったら、まだシェーンベルク;「ピエロ・リュネール」ほかの1枚がある。なかなか大変だ。
ハンス・ロスバウト(指揮)パリ音楽院管ほか、モーツァルト;歌劇「フィガロの結婚」・「ドン・ジョヴァンニ」(EMI)
今年で50周年を迎えたエクス・アン・プロヴァンス音楽祭。創設時に指揮者として活躍したのがロスバウトだった。
ここでは現代音楽ではなく、モーツァルトを多く演奏し、よく訓練されたアンサンブルによる清新なスタイルで、一躍、音楽祭の名を高めたそうだ。
「フィガロ」は1955年、音楽祭での上演録音を編集したもののようである。舞台ノイズやナンバーごとの拍手も盛大に入っている。音質は良好。
  伯爵    ハインツ・レーフス(1917〜)
  伯爵夫人  テレサ・シュティッヒ・ランダル(1927〜)
  スザンナ  リタ・シュトライヒ(1920〜)
  フィガロ  ロランド・パネライ(1924〜)
  ケルビーノ ピラール・ローレンガー(1921〜)
と、各歌手のなかなか珍しい役どころが面白い。
「ドン・ジョヴァンニ」は1956年、出演者はそのままで、場所をパリに移してのスタジオ録音。レシタティーヴォのチェンバロもロスバウトが演奏している。
  ドン・ジョヴァンニ  アントニオ・カンポ(?)
  ドンナ・アンナ    テレサ・シュティッヒ・ランダル(1927〜)
  ドン・オッターヴィオ ニコライ・ゲッダ(1925〜)
  騎士長        ラファエル・アリエ(1922〜)
  ドンナ・エルヴィーラ シュザンヌ・ダンコ(1911〜)
  レポレロ       マルチェロ・コルティス(?)
  ツェルリーナ     アンナ・モッフォ(1933〜)
  マゼット       アンドレ・ヴェシーレス(?)
飛び抜けて若いのがモッフォ、この年がデビューだったはず。
なお、これは仏EMIの出したバジェット・プライスの箱物、2曲で5枚組。(クリュイタンスやハイドシェックのベートーヴェン、デュルフレやシュタルケル、マルツィのバッハと同じシリーズである。)
ちなみに、「ドン・ジョヴァンニ」は、この音楽祭の看板のような演目であった。
今年、創設50周年記念の「ドン・ジョヴァンニ」を振るのは、クラウディオ・アバド
なお、その他ではルネ・ヤーコプスの「オルフェオ」、ピエール・ブーレーズの「青髭公の城」等が上演される。
↑音楽祭の公式Webpageは、わりと美しい作りだが、ロスバウトの名前が、どこにもないのが寂しいところである。
ギュンター・ヴァント(指揮)ベルリン・フィル、ブルックナー;交響曲第4番(BMG)
国内先行発売とのことであったが、早くも輸入盤が入荷。待っていて良かった。
値段のこともさることながら、斉諧生は、基本的には原産地主義で、「録音スタッフが外国なら輸入盤、日本なら国内盤」を原則にしている。
CDのマスタリングに当たって、録音現場を指揮したプロデューサー(エンジニア)が音決めしているというところに、オーソドキシーを認めるのである。
1998年1月30日〜2月1日のベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音。
ライナーノートの裏見返しに、ヴァントの評伝の広告が出ている。ヴォルフガング・ザイフェルト『ギュンター・ヴァント:まったくそのとおり―思考と記憶―』というのである。
「まったくそのとおり(So und nicht anders)」っていうのは、きっとヴァントの口癖なのだろう。(^^)
モニカ・ハジェット(指揮、Vn)ポートランド・バロック管ほか、モーツァルト;協奏交響曲K.364ほか(Virgin)
古楽器のヴァイオリン奏者の中ではまずまず聴かせるハジェットがK364を出したので購入。
ヴィオラはパヴロ・ベズノシウク。カプリングはコンチェルトーネK.190
彼女は既にモーツァルト;Vn協奏曲全集を完成しているが、そのときはエイジ・オヴ・エンライトゥンメント管だった。今回は、アメリカ北西部オレゴン州の古楽器アンサンブル。
クリフォード・カーゾン(P)ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、ベートーヴェン;P協第4番・第5番(audite)
カーゾン&クーベリックのライヴ、待望の第2弾、ベートーヴェンが入荷していたのでさっそく購入。
1977年2月14・15日、ヘルクレス・ザールでのライヴ録音、連続演奏会だったのか、あるいはこの2曲で一夜のプログラムとしたのか?

8月26日(水): NHK衛星第2放送名物、『BSマンガ夜話』が、今週放送されている。左記の番組Webpageにもあるが、FaxのみならずE-mailでもリアルタイム投稿を受け付ける、という趣向。
 昨日は横山光輝「バビル2世」の回で、「『鉄人28号』『伊賀の影丸』をSFの鍋で煮込んだもの」、「技法的には1950年代で終わった人だが、それで延々と読ませているのは凄い」(以上大意)等々、アイロニカルな激論で、とうとう1時間つきあってしまった。
 明日27日は、水木しげる『悪魔くん千年王国』、うーん字義どおりの「カルト」だ…これは見なければ…

 自転車を走らせて、集配局まで小包を取りに行く。Music Boulevardディスクピア、2点が届いているのだ。

レイフ・セーゲルスタム(指揮)デンマーク国立放送響、シベリウス;交響曲第2番&「フィンランディア」(CHANDOS)
これでセーゲルスタムのシベリウスは、番号付きの曲がすべて揃ってしまった。
あと、「クッレルヴォ」
ジャン・ポール・フシェクール(T)ソニア・ド・ボーフォール(Sop)アラン・ジャコン(P)リリー・ブーランジェ;歌曲集「空のひらけたところ」ほか(timpani)
このレーベルが出している「フランス歌曲」シリーズ、第9巻はリリー・ブーランジェに充てられた。稀有なことだ。
全録音蒐集を心願としている、この夭折の作家の新譜、買わざるべからず。
マシュー・ベスト(指揮)コリドン・シンガーズ、ヴィラ・ロボス;ミサ「聖セバスチャン」ほか(Hyperion)
これも先日のホルスト同様、浮月斎pseudo-POSEIDONIOS大人の更新「うたかたの記」にて紹介されていたもの。
ポルトガル黄金時代の香りがこの國の、この作曲家の中に古層として、少しだけ高い體温とゝもに殘存してゐる。だが、それは石の伽藍ではなく、日本のセミナリオの如く、香しき木の薫香か。
聴かざるべからず。
深津絵里(vo)「Sourire(スリール)」(Victor)
伏せとこうかという考えも頭をかすめたが、買ったディスク・聴いたディスクはすべて掲載するという「音盤狂日録」の趣旨に則り、正直に書きます。(^^)
上記浮月斎大人のページでも、雪村いづみのディスクを挙げておられることだし。
今は女優として名高い"深津っちゃん"だが、デビュー当時は歌手としても―時に「高原理絵」名義で―活動していた。あの頃は良かったなぁ、shortだったし。
彼女のアルバム第1作「アプローズ」(Victor、1990年)は、前に中古CD屋で劇的な出会いをしたのだが、第2作(1992年、今のところ続作はない)はなかなか手に入れられずにいた。
で、先日、もしやと思って、ディスクピアでサーチしたところヒットしたので、勇躍オーダー、見事入荷したもの。

 さっそく聴く。

深津絵里(vo)「Sourire(スリール)」(Victor)
自作詞の一節。
  「長い髪の女の子なら
   つらい恋の終わりに
   髪を切って遠い過去にできるのにね
 
   明日会えるくせに
   涙があふれて止まらないの
女優に専心するようになられたのは正解だろう。(^^;

8月25日(火): 

 

ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、マーラー;交響曲第7番(WERGO)
昨日感銘を受けたロスバウトの録音を探しまわったが、結局これしか見つからなかった。1957年のモノラル録音。
このWERGOから出た"Hans Rosbaud Edition"、新譜の時は、R・シュトラウスしか買わなかった。メシアン;トゥランガリラを見送ったのは憶えているが、この盤のライナーを見るとシューベルト;大ハ長調交響曲ストラヴィンスキー;ペトルーシュカがあるではないか。
逃した魚は大きい、後悔先に立たず。(T^T)
他のレーベルからはモーツァルトのオペラも出ているはず。捜さねば…
ラ・サール四重奏団ほか、シェーンベルク;弦楽三重奏曲ほか(DGG)
この曲、浮月斎大人のWebpageで推奨、野々村さん「心臓停止から奇跡的に生還した老境の作曲家でなければ書けなかった音楽」と褒めておられたので、ぜひ聴いてみたい。
実はカプリングの「浄められた夜」は別な組合せの盤で架蔵済なのだが、トリオは他に出ていないので、あえて購入したもの。
クリストフ・プリュガルディエン(T)アンドレアス・シュタイアー(Fp)シューベルト;「冬の旅」(TELDEC)
中古音盤堂奥座敷試聴会の次回盤(候補)を、早速購入。
「冬の旅」のCD買うのは初めてじゃなかろうか。LP時代にホッターか誰かで買っていたとは思うが。
苦手な歌曲の世界と、フォルテピアノによるシューベルトを経験してみたい。

8月24日(月): 遅くなったが夏休み。斉諧生の職場では3日間取れることになっているが、この時期になるとまとめては取れないので、まず1日だけ。
 あと2日、まとめて取れたら大きめの更新でもしたいのだが。

 素晴らしい盤に出会えた。\(^o^)/

ハンス・ロスバウト(指揮)ベルリン・フィルほか、ハイドン;交響曲第92番・第104番ほか(DGG)
昨日のシェルヘンに続いて、「現代音楽指揮者によるハイドン録音」を聴く。
掛け値なしに、最高のハイドン演奏。素晴らしかった。
1956〜57年のモノラル録音だが、音質は極上、分離がよいので下手なステレオ録音より美しい。
オーケストラも、まだフルトヴェングラー時代の風を色濃く遺している頃である。
第92番「オックスフォード」第1楽章冒頭の弦合奏の美しいこと! いや、ここだけでなく、全編を通じて。生で聴けたら、涙ぐむのではなかろうか、とさえ思える。
フルート(たぶんオーレル・ニコレだろう)を筆頭に、オーボエ・ホルン等、管楽器の音色・表情も気高い。
堅固な造型、ハイドンの愉悦、雑にならないスピード感、弾みのある音楽。いずれもが見事に達成されている。
フィナーレは、誠にプレストの速さながら、アンサンブルは水も漏らさず、それでいて、なんと美しい、なんと愉しい音楽なのだろうと思わせる。
第104番「ロンドン」第1楽章冒頭は、けっして威圧的にならず、序奏を締めくくるオーボエも美しい。
主題はゆったりと美しく歌われ、内声の生かし方・立体感も絶妙。
メヌエットのリズムは重くも軽くもなく、トリオの細部までコントロールされた繊細さには舌を巻く。
フィナーレの冒頭のバスの鳴らし方も趣味が良く、展開部後半の沈み込む味わいが得も言われぬ素晴らしさ。
以前、南西ドイツ放送響を指揮したブルックナー;交響曲第7番で良い印象を持っていたが、古典派を振ってこれほどの人とは思いもしていなかった。まったく脱帽、三拝九拝である。
*ヨーロッパ前衛*の中核を担ってきた指揮者たちこそが、実はヨーロッパ古典音楽の演奏伝統の中心である」というのは、中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんの持論であるが、さてこそと納得させられた。
(ロスバウトは、バルトーク;P協第2番シェーンベルク;「モーセとアロン」ブーレーズ;「ル・マルトー・サン・メートル」をはじめ、数多くの新作を初演している。)
カプリングのモーツァルト;Vn協第4番も、シュナイダーハンのソロが素晴らしい。後年の録音では技術的な難点を指摘されることもあるが、ここでは全く問題なく、音色やヴィブラートも素晴らしいし、何より、最近のヴァイオリニストが失っている、調性の表情が音に出ている。
終楽章中間部で重音奏法になるところ、通常ならばレガートに弾くところを、マルカートにしているアイデアも絶賛したい。
シャーンドル・ヴェーグ(指揮)カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグ、モーツァルト;交響曲第38番・第41番(Orfeo)
第38番「プラハ」は1996年、死の前年の録音である。
第1楽章は物々しく開曲。6小節からのヴァイオリンは繊細かつエスプレッシーヴォ、美しさの極みである。
低弦のフォルテはデモーニッシュに陰が濃く、28小節からのリズムが意味深く響く。
序奏の終わりの木管の色合いの美しいこと!
主部に入って、主題はシンコペーションを効かした歯切れ良いフレージングが快く、第2主題はポルタメント気味のレガート奏法が美しい。
展開部の迫力・巨大さという点では、年齢のせいか、今一歩だが、再現部に入って217小節以降のオーボエが感じきったエスプレッシーヴォは感動的。
第2楽章では、短調系に転調する部分で、オーケストラ全体の音が涙ににじんだように変化するあたり、ヴェーグの薫陶が偲ばれる。
第41番「ジュピター」、柔らかく始まるのに意表を突かれる。
第1楽章では低弦やトランペットを効かせた立体感が良い。
圧巻は第2楽章、第1ヴァイオリンが和声を伴わずに弾く主題冒頭。
この3つの音が、深いヴィブラートが揃って、実に哀しく、美しい。こんな*いのち*のこもった音が、オーケストラから立ち上るのは、奇蹟としか言いようのない気がする
小終止から展開部に入るところも(43〜45小節)、胸一杯に感動が広がる歩みである。
ユッシ・ヤラス(指揮)ハンガリー国立響、シベリウス;「フィンランディア」&「クオレマ」(米LONDON、LP)
東欧のオーケストラで、やや暖色系の音ではあるが、ヤラスの音づくりが徹底していて、さほど抵抗はない。
「フィンランディア」では、例の「フィンランディア讃歌」の旋律が木管に出るところ、通常の指揮者は、ここぞとばかりに、テンポを緩めて歌わせるところだが、なんと、あっさりインテンポで入っていく。
スコアを見てびっくり、なるほど、速度指定は何もない。さすがは婿殿、作曲者の指定に忠実なものだ、と感心。
ところが、「クオレマ」中、最も有名な「悲しきワルツ」では、楽譜上では102小節のリタルダンド指定を95小節から掛け、そのあとの103小節のレントは更に遅く、107小節のア・テンポを無視して、115小節でフルートが新しい主題を出すところまでテンポを速めない。
いずれも効果は十分、素晴らしい音楽である。
エドモンド・デ・シュトウツ(指揮)チューリヒ室内管、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメント(米VANGURAD、LP)
ダニエレ・ガッティ(指揮)ロイヤル・フィル、バルトーク;ディヴェルティメント(Conifer)
1960年の録音と1997年の録音を聴き比べ。
音はLPの方が生々しく、いかにも弓が弦を擦っているという感じが出ている。37年間、何をしているのか、と思わずにはいられない。
ガッティは、よく言えばスマートでまろやか、悪く言えば気迫に欠ける。第3楽章のバルトーク・ピツィカート(弦を指板に当てて衝撃音を出す奏法)も弱々しい。
第2楽章の冒頭も、聞こえないくらいのピアニッシモだが、緊張感というか、バルトーク特有の「闇」は現前しないのだ。
エドモンド・デ・シュトウツ(指揮)チューリヒ室内管、ストラヴィンスキー;弦楽のための協奏曲(米VANGURAD、LP)
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム室内管、ストラヴィンスキー;弦楽のための協奏曲(Sony Classical)
バルトークとは異なり、ストラヴィンスキーは、現代的なスマートな感覚が適合的。
ギクシャクしたリズムを克明に再現したシュトウツも悪くないが、スポーティにスピード感溢れるサロネンの鋭さが、好ましい
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ゾルタン・コチシュ(P)ほか、「イン・コンサート 1989〜1995」(HUNGAROTON)
ライヴ録音ゆえ、ピアノが勝りがちなバランスになっているのが残念だが、ペレーニの音は、それ自体に魂が宿っている感じがする。稀有なチェリストだと思う。
バッハの前奏曲とフーガBWV853をコダーイがチェロ曲に編んだもの、リストの「忘れられたゴンドラ」といったあたりが素晴らしい。
2本のヴァイオリンとチェロ、ハルモニウムのためにドヴォルザークが書いた「バガテル」op.47も性格的な面白い曲だった。

8月23日(日): 

 

ヘルマン・シェルヘン(指揮)ウィーン国立歌劇場管ほか、ハイドン;交響曲第100番「軍隊」&第45番「告別」(Westminster)
シェルヘンといえば「爆演」で有名な最晩年のベートーヴェン;交響曲全集や、猛烈なカットを施したマーラー;交響曲第5番が名高く、「無茶苦茶な演奏をする指揮者」とのイメージが横行しているかもしれない。
しかし、ここに聴くハイドンは、きわめて真っ当な音楽である。
もちろん表現意欲は旺盛だし、打楽器や金管の強奏もしばしば見られる。
とはいえ、強奏してもオーケストラ全体の和音に美しく溶け込む金管の響きや、woodyな木管の音色、弦合奏の充実した和声の感覚は、まさしくドイツ・オーストリア楽派の伝統を受け継いだもの
きっぱりした小気味のよいフレージング、内声部を疎かにしない見事なバランス、上滑りせず野暮ったくもならないふっくらしたリズム、見事な管弦楽演奏である。
これで「軍隊」第2楽章の、攻撃的なまでの打楽器の強調さえなければ、と思うが、まぁ仕方がない。
問題の「告別」第4楽章後半では、楽員が次々と"Auf wiedersehen!(さよなら)"と言って去ってゆく(椅子のきしみ、足音も入っている)。
最後に残る2本のヴァイオリンが弾き終わったあと、2人が"Auf wiedersehen!" "Auf wiedersehen!"と言っておしまいなのだが、ここのところの間の見事さ、シェルヘンがキューを出しているに違いない。(^^)
ピエール・モントゥー(指揮)サンフランシスコ響、フランク;交響曲(仏HMV、LP)
1950年の録音だが、分離は良く、個々の楽器の音色も良く録れている。ダイナミック・レンジが狭く、強奏部で音が割れ気味なのが惜しい(再生側の問題かもしれないが)。
演奏はフランス流というか、速めのイン・テンポを基本としたもの。
第1楽章初めの弦の刻みもくっきりと、男性的な音楽づくり。
展開部のキビキビした進行は聴いていてスカッとする。再現部に入るところで、2/2のアレグロ・ノン・トロッポから4/4のレントになるのだが、テンポをちょうど倍に落としているのだろう、まったくリズムを崩さず、音楽の流れを切らずに、拡大されたスケールを獲得している。名人の芸術である。
終結少し前(485〜492小節)でのトランペットのリズムの意味深さも特筆したい。
第2楽章冒頭のハープはいくら何でも大きく録りすぎだが(^^;、コールアングレが主題を繰り返す下でヴィオラが弾く対旋律の美しいこと!
新しい主題を出すヴァイオリンも美しさの極みだし(49小節)、スケルツォ風になるところでの低弦によるピツィカートのリズムも歯切れがよい。
第3楽章まで全曲を通じて、誠に自信に満ち、説得力の強い名演である。
アメリカのオーケストラながら、音色はフランス風。ホルンは軽く、オーボエは鋭く、フルートはヴィブラートを抑えた美しい音であった。
朝比奈隆(指揮)北ドイツ放送響、フランク;交響曲(ODE CLASSICS)
1966年のステレオ録音、スタジオでの収録だが、左右が狭く奥が深い音場はホールでのライヴ録音を思わせる。
ヴァイオリンが少し細い傾向だが、全体としては良好な音質で、現在でも十分通用しよう。
こちらはもちろんドイツ流、遅めでテンポの緩急をくっきりさせた、腰の重い演奏。
第1楽章の序奏で、いったんアレグロ・ノン・トロッポで主題がでて、もう一度レントに戻っていくところ、47小節のギクシャクしたリズムを強調して、48小節のモルト・ラレンタンド指定を強く生かした念押しが凄い。
斉諧生の好みは風が吹くようなインテンポにあるが、かくも見事に決まれば、快感である。
小結尾での金管の強奏も壺にはまっているし(153〜156小節)、展開部に入ったところのオーボエ・フルートの吹奏も崇高な寂しさを感じさせる。
堂々とした立派な進行であり、再現部直前でのトロンボーン・チューバの強奏の迫力は素晴らしい(319〜329小節)。
そして楽章終結の巨大なこと! 大きなラレンタンドをかけて、レントで更に減速し、最後の和音は壮大にクレッシェンドするのである。
この楽章に関しては、どこへ出しても恥ずかしくない、世界一流レベルの演奏だと思う。
第2楽章以下が、残念なことに、第1楽章の名演を受けるには、ちょっと器が小さくなってしまった。
部分的には美しいところも多い。第2楽章102〜104小節のヴァイオリンの繊細な美しさ、215〜219小節で低弦の重いリズムの強調、239小節以降のヴァイオリンのエスプレッシーヴォの極み!
ただ、第1楽章のような有無を言わさない説得力には欠ける。第2楽章の中間部など、やりたいことがはっきりしないというか、音楽の行方が見えにくい演奏になっている。
第3楽章も同様で、堂々とはしているが、はっきりした主張に乏しく、どことなく思い切りの悪い演奏である。63小節のはっきりしないフォルティシモから腰が砕けたようにディミュニエンドするあたりなど、最たるものだ。
コーダに入って主題が結合するところも、もっと巨大さを求めたいし(300小節〜)、そのあと318小節からは音楽が緊張感を失ってしまい、とってつけたように金管が強奏する終結に至る。
このあたりが、国内でほとんど指揮していない理由かもしれない。
エリク・エリクソン(指揮)オルフェイ・ドレンガル、ヴィガンデル;「スズランの王様」(BIS)
北欧音楽を扱った素晴らしいWebpage「パパさんの北欧クラシックCD」が誕生している。
カバーしている広さといい、鑑賞の深まりといい、御本人は「全ての音楽関係のHPを通じて一番音楽的素養のない人間が作っています」と御謙遜だが、なんのなんの、凄いものだ。脱帽である。
で、「お気に入りCDリスト」を見ていて、心惹かれた曲がこれ
北欧の神秘的で、ひんやりした自然を思わせる素敵な曲」とのこと、偶々、推奨盤を架蔵していたので、聴いてみた。
いいですねぇ。密やかに訴えかける抒情。北欧合唱曲の醍醐味です。
ジョルディ・サヴァール(指揮)ラ・カペーリャ・レイアル・デ・カタルーニャ、「カタルーニャの古謡」(ASTREE)
明日に夏休みを貰っておいて、よかった。この音楽に浸ってしまったら、もう出勤するのが嫌になる
心が癒される、というのは、こういうことを言うのだろう。ASTREEの好録音も特筆したい。
お目当ての「鳥の歌」はリコーダー(なぜかライナーには記載がない)で歌い出されるが、なんとなく南米のケーナを思わせる響きだ。あれで吹いても似合う旋律だと思う。
次いではテオルボの切々とした口説き。
ガンバも悪くないが、やっぱり笛で聴くのが良い。抜けきった青空が目に沁みる。
青木融光(導師)、「真言宗―大般若転読会」(AUDIVIS-UNESCO)
先週も密教聲明を聴いていたが、ネットで検索してみると、「聲明」というWebpageが見つかった。
ここの「聲明のCDリスト」を見ていて、このディスクを持っていたことを思い出し、久しぶりに聴いてみた。1974年、ボン・ベートーヴェン・ハレで西ドイツ放送が録音したものだそうだ。
テキストがわからないので(ライナーにも記載なし)、文字通り「唐人の経」状態なのだが、それでも陶然となってしまう。
導師の青木融光師は、この道では著名な人。CD4枚組の新義真言聲明集成というのもあるそうだが、値が値だけに手が出せない。
でも五線譜にしてしまって、いいのかなぁ…。

 昨日買ってきた「ディアギレフ展」のカタログをもとに、畸匠列伝中、「マルケヴィッチとディアギレフ」の記述に手を入れる。


8月22日(土): 昨日で本業も一段落、ホッとしたところで、今日から公開される「ディアギレフのバレエ・リュス展」滋賀県立近代美術館へ出かけた。
 初めて行くところだが、JR琵琶湖線瀬田駅からバスで10分、公園の中の閑静な新しい美術館であった。京都駅から待ち時間含めて45分程度、まずまず辛抱できる範囲か。
 初日だと混雑しているかも…と心配だったが、行ってみれば杞憂と判明、実に閑散としていた。(^^;
 展示品は主に3種。
 量的に大半を占めるのは、上演用に準備された衣装や舞台装置のデッサン。初期に活躍したバクストから、ピカソマリー・ローランサンマティス、末期にはルオーエルンストからミロキリコまで登場するのだから驚く。
 次いでは当時使用された舞台衣装の現物。さすがに色褪せたものあるが、概して保存状態は極めて良好(日本でいえば大正・昭和初年なのだ)、デザイン・仕立て等、何とも興味深い。
 3つ目は、ビデオ上映。当時の演出・振付を復元した近年の舞台上演、「春の祭典」のドキュメンタリー、当時の関係者へのインタビュー等、会場のあちこちにモニターが置かれ、繰り返し再生されている。全部見ていたら半日以上かかるはず。
 決して派手な展示ではないが、これまで図版で馴染んでいたものの現物を見ることができて、実に嬉しかった。
 更に望むとすれば、やや美術に偏した感があり、もっと文学・音楽等も含めたトータルな文化現象としての「バレエ・リュス」の理解を導くものであってほしかったということ。
 そのためには、ディアギレフや彼を取り巻く人々について、小さなパネルの羅列ですまさずに、もっと掘り下げた紹介があったら、とも思う。
 特筆したいのは、展覧会プログラム。370頁、厚さ3pに及ぶ労作で、展示品の図版 全点掲載と思われる)のみならず、「バレエ・リュス」の全上演作品の紹介や、詳細な年表を含んでおり、基本的・根本的な資料として極めて有用。3,990円と、やや高価だが、このプログラムを手に入れるためにだけでも出かける価値はある。
 ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーらに関心のある向きには、ぜひ、御観覧をお薦めしたい

 展覧会の後に京都のCD屋を回り、帰宅すると通販業者からLPが届いた。

シャーンドル・ヴェーグ(指揮)カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグ、モーツァルト;交響曲第38番・第41番(Orfeo)
ザルツブルグ音楽祭のライヴ・レコーディング、「プラハ」が1996年、「ジュピター」は1992年。
ヴェーグのモーツァルトには、有機的・立体的というだけでは済まない、音楽としての充実感がある。
DECCAからのP協(アンドラーシュ・シフ)、Capriccioからのディヴェルティメント集等でも、そうした特質を味わうことはできるが、交響曲の正規録音が2曲しか遺されなかったのは極めて残念だった。
こうしてライヴ録音が聴けるようになるのは嬉しい。既に29番39番と初期の2曲が出ていたが、もっと音源はあるのでは? 更なるリリースを望みたい。
ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)ベルリン・フィル、メンデルスゾーン;交響曲第3番&ドビュッシー;交響詩「海」ほか(Orfeo)
これもザルツブルグ・ライヴ。1960年のモノラル録音。
ミトロプーロスも偉い指揮者だったに違いないのだが、録音には恵まれなかったのではないか。マーラー;第3交響曲あたりが良好な状態で残っていないものか。
上記以外にシェーンベルク;変奏曲op.31を収録。
佐渡裕(指揮)フランス放送フィル、「フランス音楽の祭典」(ERATO)
斉諧生と同じ京都生まれの同い年、佐渡裕の新譜が出た。国内盤も既に出ているが、輸入盤が入荷したので購入。
十八番「カルメン」組曲を始め、「魔法使いの弟子」「アルルの女」組曲「パリの喜び」を収録。
それにしても、ジャケット写真は、明らかに千手観音のパロディだな。あの手つきは偶然ではなかろう、特に向かって左側の上から2本目は。
せっかくなら、顔も、「暴悪大笑面」にすればよかったのに。
ダニエレ・ガッティ(指揮)ロイヤル・フィル、バルトーク;管弦楽のための協奏曲&ディヴェルティメント(Conifer)
最近売り出しの若手の一人、ガッティ。一度聴いてみたいと思っていたが、「ローマ三部作」マーラー;第5では、ちょっと敬遠していた。
バルトークはロイヤル・フィルで大丈夫かなと懸念して手を出さずに来たのだが、『レコ芸』9月号の「海外雑誌を読む」で特にディヴェルティメントが好評のようなので、いよいよ聴いてみることにした。
エドモンド・デ・シュトウツ(指揮)チューリヒ室内管、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメントほか(米VANGURAD、LP)
先週CDで聴いた演奏だが、録音・演奏とも良かったので、オリジナル盤をカタログに載せていた通販業者に発注したもの。
ユッシ・ヤラス(指揮)ハンガリー国立響、シベリウス;「フィンランディア」&「クオレマ」ほか(米LONDON、LP)
ヤラスはシベリウスの娘婿。舅殿の七光りではなく、良いシベリウスを振る。
ベルリン放送響との第1交響曲(1954年、レミントン原盤)が素晴らしかったが、1970年代にハンガリーのオーケストラと管弦楽曲集を録音していた。
なぜか英DECCAではなく米LONDONがオリジナル、見つけるたびに入手してきて、これで全4枚が揃った。(^^)
この人のシベリウスはもっと聴きたいのだが、フィンランドのオーケストラとの録音はないのだろうか?
ピーター・ウィスペルウェイ(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(Channnel Classics)
Channnel Classicsが入ってきた頃に話題になったウィスペルウェイのバッハが廉価盤になった…と思いきや、なんと、1998年1月の新録音!
バロック・チェロを用いつつ、第6番では5弦のチェロ・ピッコロによるという、最近一般的になってきたスタイルである。

8月19日(水): 

 

ヘルマン・シェルヘン(指揮)ウィーン国立歌劇場管ほか、ハイドン;交響曲第100番「軍隊」&第45番「告別」(Westminster)
シェルヘンの「軍隊」と言えば、LP最初期に打楽器群のめざましい効果で有名になった録音があり、そのころ生まれた「ハイファイ」という言葉の代名詞のような盤だったそうだが、これは後年のステレオ録音。
「軍隊」での打楽器の強調、「告別」終楽章で演奏を止める楽員が「さよなら」と言う…というと、下手物っぽく聞こえるが、シェルヘンのハイドン録音は、モノラル盤からロビンス・ランドンを監修に起用していたというから、ただ者ではない。
レオポルト・ストコフスキー(指揮)フィルハーモニア管ほか、リムスキー・コルサコフ;「シェヘラザード」&ストラヴィンスキー;「ペトルーシュカ」(TESTAMENT)
ストコの「シェヘラザード」といえばロンドン響盤(DECCA)、「ペトルーシュカ」といえばベルリン・フィル盤(EMI)が有名で、モノラル期にこうした盤があるとは知らなかった。
1951年録音の「シェヘラザード」は、黄金時代のフィルハーモニア管、デニス・ブレイン(Hrn)はじめ錚々たる顔ぶれ。オーケストラを聴くだけでもこの盤を買う価値はあろう。
1950年録音の「ペトルーシュカ」は「レオポルト・ストコフスキー響」と表記されているが、リーダーがジョン・コリリアーノ、フルートはジュリアス・ベイカー…と言えば、あるいはニューヨーク・フィルの変名か。
ユーリ・トゥロフスキー(指揮)イ・ムジチ・ド・モントリオール、ヒナステラ;弦楽のための協奏曲ほか(CHANDOS)
最近聴きはじめているヒナステラ、これも『クラシック名盤大全 管弦楽曲篇』@音楽之友社濱田滋郎氏が推奨していた盤。
ヴィラ・ロボス;「弦楽のための組曲」「バッキアーナス・ブラジレイラス」第9番等を収録。

8月18日(火): 

 出張の帰りに大阪・心斎橋のCD屋・中古盤屋を見て回る。

レイフ・セーゲルスタム(指揮)デンマーク国立放送響、シベリウス;交響曲第5番・第7番(CHANDOS)
いくら音盤狂といえどもシベリウスの交響曲録音全点蒐集は考えておらず(^^;、この全集もそろえる気はなかったのだが、少しづつ集まってきたので、いっそ揃えてしまえと、見かけたところで購入。
あと、2番とクッレルヴォ。
エミール・クライン(指揮)ハンブルグ・ソロイスツ、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a&118a(ARTE NOVA)
弦楽四重奏曲第8番・第10番をルドルフ・バルシャイが弦楽合奏に編曲したもの。
中でもop.110aは好きな曲で、見れば買うようにしている。
バルシャイ&ヨーロッパ室内管盤(DGG)がスタンダードなところだが、最近、店頭で見かけなくなっているのは気がかり。
ルドルフ・フィルクシュニー(P)ラファエル・クーベリック(指揮)ヤナーチェク;P作品集(DGG)
CD2枚組、ヤナーチェクのP作品を独奏・管弦楽伴奏ともに収録している。
先週、浮月斎pseudo-POSEIDONIOS大人の更新に渇を癒されたが、そこで「久々にヤナーチエクのこと」として紹介されていたのが、この盤。
なかんずく「カプリッチオ」は「ヤナーチエク獨特の不条理な憂いが、妙な衒いなく表現されてゐる。」とのこと、是非聴いてみたいと購入。
HMVで1枚物程度のバーゲン・プライスになっていた、ということもある。
ヒラリー・デイヴァン・ウェットン(指揮)ホルスト・シンガーズほか、ホルスト;「The Evening Watch」ほか(hyperion)
ホルストの合唱作品集。比較的宗教的内容を持った歌詞のものを集めてあるようだ。
これも上記ヤナーチェク同様、浮月斎pseudo-POSEIDONIOS大人の更新「ホルストの合唱作品(其ノ壱)」として紹介されていたもの。
「女聲と弦樂による『7つのパートソング』。(中略)私はトマジの『12のコルシカの歌』に壘を摩す女聲曲の名品ではないかと思つてゐる。」
トマジは「愛惜佳曲書」にも掲載した鍾愛の逸品、その塁を摩すとあっては聴かざるべからず。
ジョルディ・サヴァール(指揮)ラ・カペーリャ・レイアル・デ・カタルーニャ、「カタルーニャの古謡」(ASTREE)
数年前の盤だが、先だって国内盤仕様で発売され、『レコ芸』8月号に月評が掲載された。
そこで初めて気づいたのだが、カザルスの編曲・演奏で有名になったカタロニア民謡「鳥の歌」が収録されている。しかも「彼らの故郷カタルーニャへの熱い想いにみたされた好演によって、つきぬ魅力の名盤に仕上がっている。」@皆川先生とのこと。
カザルス・ファンとしても買わざるべからずと、輸入盤を探していたところ、ようやく出会ったので、購入。
アンタル・ドラティ(指揮)ワシントン・ナショナル響、ダラピッコラ;歌劇「囚われ人」(日キング、LP)
DECCA原盤の国内盤LP、中古盤屋の二束三文処分箱から掘り出したもの。この録音のことは微かに憶えていたが、国内盤が出ていたのは知らなかった。1975年に没した作曲家の追悼盤として出た模様である。
このオペラ(1948)、姉妹作と言える「囚われ人の歌」(1939〜41)とともに、先日、サロネン盤が出た。輸入盤ゆえ対訳がないのに困っていたところ、偶々、これを見つけたので、ドラティの棒もさることながら、ライナーノート欲しさに購入。(^^;

8月16日(日): 

 中古音盤堂奥座敷の次回試聴会では、島田雅彦/大友良英『ミイラになるまで』(クリエイティヴマン・ディスク)という、現代音楽というか朗読(佐野史郎)+即興音楽という異色作。さてどのような議論になるのだろうか。

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)アルスター管、デュカス;舞踊詩「ラ・ペリ」・「魔法使いの弟子」&シャブリエ;狂詩曲「スペイン」(CHANDOS)
「ラ・ペリ」は有名な曲で、「音楽のアール・ヌーボー」といったところだが、どうもラヴェルとドビュッシーと初期のストラヴィンスキーの混合物のような趣がある。デュカスは多くの自作を破棄したというが、こんなところにも原因があったのかもしれない。
「魔法使いの弟子」は、マンガチックを廃して正攻法で堂々と鳴らしたアプローチ。ひとつの模範となる演奏と思うが、最後までティンパニを抑えているのだけが残念。
「スペイン」は、沸立つような感じが良く出ている。新鮮なバランスで耳を楽しませてくれるのも、トルトゥリエの長所だ。
オーケストラも好演。地方オーケストラといって遠ざけることはないと思う。このコンビ、ぜひお聴きください。
エドモンド・デ・シュトウツ(指揮)チューリヒ室内管、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメント(VANGURAD CLASSICS)
これは良かった。
第1楽章冒頭の、重くて強靱な内声の刻み! 「春の祭典」を連想させる。チェロ独奏も、粘りの利いた良い音色である。
第2楽章では、タメのある二重付点のリズムが気持よい。
第3楽章は、まさにディヴェルティメント、狂騒的なまでの快速テンポ。こんな速さの演奏は聴いたことがないが、所要時間は6分36秒、作曲者がスコアに記入しているタイミングが6分32秒だから、あるいはこういう音楽がバルトークの脳裏に鳴っていたのか。
もっとも、彼の速度指定は当てにならないとの説もあるが。
バルトーク特有の「闇」には乏しいものの、類例のない演奏として、存在価値が高い。バルトークやこの曲の好きな人には、ぜひ聴いてほしい。
ジゼル・ベン・ドール(指揮)ロンドン響ほか、ヒナステラ;協奏的変奏曲&パブロ・カザルスの主題によるグローセス(KOCH)
昨日、このCDのことを書いたら、さっそくサロ様と彩ちゃんの部屋でtaka@江戸家老さんから御解説を頂戴した。ありがとうございました。
まず、「〜グローセス」(管弦楽版)を聴く。
これはいい曲!
第1楽章で金管が吹く葬送行進曲風の沈痛な主題もいいし、終結近くでのチェロ独奏の哀感もホロリとさせる。
第2楽章の、美しく、しかし哀しい音楽の素晴しいこと! 透明で、コスミックというのか、何か宇宙的な趣がある。
民俗舞曲の第3楽章を挟んで、第4楽章では、ヴァイオリンの高音域や木管が鳥のさえずりを模す中で、チェロがユニゾンで「鳥の歌」を奏する。
余分な表情をつけずに真っ直ぐに歌われる「鳥の歌」の崇高なこと! これに自然そのものの音が絡む、その対比からは浮び上がるのは、「永遠」という観念
何とも不思議だが、これが音楽の玄妙さなのだと思う。
同じ「〜グローセス」(弦楽合奏版)は、管弦楽版には及ばないものの、これも十分演奏価値のある音楽だと思う。チャイコフスキー;弦楽セレナードを10回やるくらいなら、そのうち2回くらいは、この曲に割いてほしいものだ。
「協奏的変奏曲」は、ヒナステラが「南米のバルトーク」と呼ばれるとおり、「管弦楽のための協奏曲」の南米・室内管ヴァージョンという感じ。面白い曲なので、大阪センチュリー響あたりで取上げてくれないものか。
アルト・ノラス(Vc)ヨルマ・パヌラ(指揮)クラミ;チェレミッセ幻想曲(芬FINLANDIA、LP)
チェレミッセというのはヴォルガ河流域のロシアの一地方で、フィランド語に近い言葉を話す人々が住んでいるのだそうだが、ここでチェロが歌う懐かしい歌の音階は妙に東洋的。同じウラル・アルタイ語族だからか?
フィンランディア・レーベルとしては録音的に物足りない。モノラル的音像。
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)コダーイ;無伴奏Vcソナタ(洪HUNGAROTON、LP)
先日バーゲンで安く入手できたこの曲の楽譜を見ながら聴いてみる。
誰で聴こうか少し迷ったが、長谷川陽子さんが「シュタルケル以上の緻密さを持つすさまじい情熱」と讃えておられるペレーニで。
いや、譜面づらは、とてもチェロの曲とは思えない。とんでもない技巧を要求している場所で"molto espressivo"を指定するなど、稀代の難曲といわれるわけである。
ペレーニも素晴しい技巧と情熱で弾いているが、まだまだこの曲の世界を十全に表現し切れていないという感がある。今度は長谷川陽子さんで聴いてみよう。
インゲマール・モーンソン(指揮)ヘイェルステン・モテット合唱団、ステンハンマル;「3つの無伴奏合唱曲」(Nosag)
エベ・ムンク(指揮)ヴォックス・ダニカ室内合唱団、ステンハンマル;「3つの無伴奏合唱曲」(danica)
昨日届いた2点で、同じ曲を聴く。
初期の作品ながら、清らかな旋律が美しい。特に、第2曲「後宮の庭園に」の、ちょっと神秘的な和声は素晴しい。日本でももっと歌われて良いと思う。
両盤とも美しい歌唱。中でもNosag盤は、豊かな残響に包まれる感じが快い。
海老原廣伸(聲)ほか、「息の聲」(fontec)
今朝の衛星放送でも京都・大原に天台声明を訪ねる番組をやっていたが(なぜか宗次郎桂南光)、聴かないのは本当に惜しい、素晴しい音楽だと思う。
この盤で素晴しい朗誦を聴かせてくれる海老原廣伸師も叡山で修行された天台声明の伝承者。時間感覚が変容する心地がする
ただ、多重録音ないしイコライジングが施してあるのは勿体ない。様式上の要請なのかもしれないが、師の素の声を堪能したかった。

8月15日(土): 

 Compact Disc Connectionと、ノルディック・サウンド広島からCDが届いた。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)フィルハーモニア管、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「火の鳥」(1910年版全曲)ほか(CBS)
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)フィルハーモニア管、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」ほか(Sony Classical)
ここのところ注目し続けているサロネン、「ペトルーシュカ」の良かったストラヴィンスキーだが、店頭では見つからないし国内盤も廃盤の様子なのでオーダーしたもの。
「火の鳥」には「カルタ遊び」「春の祭典」には「3楽章の交響曲」をカプリング。
ジゼル・ベン・ドール(指揮)ロンドン響ほか、ヒナステラ;協奏的変奏曲&パブロ・カザルスの主題によるグローセス(KOCH)
いつもお邪魔しているBBSサロ様と彩ちゃんの部屋で話題になっていたヒナステラ、『クラシック名盤大全 管弦楽曲篇』@音楽之友社濱田滋郎氏が「協奏的変奏曲」を推奨した文章を読んで興味を引かれた。
ましてや、名匠カザルスにちなんだ曲がカプリングとあっては、オーダーしないわけにはいかない。
その「〜グローセス」は、カザルス生誕100年記念にプエルト・リコ・カザルス音楽祭から委嘱された作品。最初に弦楽合奏と弦楽五重奏のために書かれ、後にロストロポーヴィッチとワシントン・ナショナル響のために管弦楽(三管編成)編曲された。このディスクには、両方のヴァージョンを収録している。
なお、指揮者は女性、盤はKOCHには珍しいアメリカ盤。
ウェルナー・トーマス・ミフネ(Vc)カール・アントン・リッケンバッハー(指揮)ほか、アッテルベリ;Vc協&Vcソナタ(KOCH Schwann)
少しづつ集めているアッテルベリ、このディスクは前に店頭で見たのだが、買い逃して口惜しい思いをしていたもの。
もっとも、交響曲も買ったまま聴いてないのが恥ずかしいが…
タスミン・リトル(Vn)マーティン・ロスコー(P)ほか、ドホナーニ;Vnソナタ(ASV)
ちょっと贔屓にしている女性ヴァイオリニスト、リトルの新盤ゆえ探していたが、店頭で見つからないのでオーダーしたもの。
「ハンガリー田園曲」「弦楽三重奏のためのセレナーデ」等をカプリング。
セッタークヴィスト弦楽四重奏団、ステンハンマル;弦楽四重奏曲第6番ほか(Opus3)
ここからは「ノルディック・サウンド広島」から送ってもらった、ステンハンマル全録音収集プロジェクト。
このディスクの存在はスウェーデン音楽情報センターのデータベースで知っていたが、現物がやっと手に入った。
Opus3は、以前、ステレオサウンド社からオーディオ・ショップへ販売されていたが、取扱いが中止されたのか、最近、見かけなくなっていた。
先日、上記の店へ問い合せたところ、直接、連絡を取って輸入ルートを開いていただいた。
Opus3のカタログも一緒に送っていただけたが、それに同社のWebpageのURLが記されていたので、リンクを張っておく(→こちら)。
インゲマール・モーンソン(指揮)ヘイェルステン・モテット合唱団、「抒情合唱曲集」(Nosag)
エベ・ムンク(指揮)ヴォックス・ダニカ室内合唱団、「デンマークの夏の歌」(danica)
この2点は、いずれも、ステンハンマルの初期の作品「3つの無伴奏合唱曲」を収録している。
Nosag盤は知っていたが、danica盤は「ノルディック・サウンド広島」さんから御教示いただいたもの。

 

セッタークヴィスト弦楽四重奏団、ステンハンマル;弦楽四重奏曲第6番ほか(Opus3)
好録音をもって鳴るOpus3だけに、ナチュラルな美しい音である。ただし、残響の伸びや音場の拡がり感は薄く、この点、斉諧生の好みとは食違うが。
セッタークヴィスト弦楽四重奏団は、4つの楽器の和音も美しく、優にやさしい抒情を聴かせる。
ステンハンマルのページ、「斉諧生お薦めの3曲」に挙げたCaprice盤(コペンハーゲン四重奏団)と聴き比べてみた。
Opus3盤は音色の美しさに優るが、男性的な厳しさや、とりわけ終楽章の緊張感でCaprice盤を採りたい。Opus3盤は、ちょっとナヨナヨしたところがある。
ヤン・ルンドグレン・トリオ、「Swedish Standards」(SITTEL)
ジャズ・ピアノというと、アンドレ・プレヴィンかジョン・ルイスくらいしか聴いたことがないので、あまり大きなことは言えないが、この人の音の美しさには驚いた。
ハンブルク・スタインウェイが、伸びやかに、まろやかな音色を紡いでいる。
オンマイクで実に生々しい録音、ベースのソロなど、楽器の中に頭を突っ込まない限り聴こえないような音で録れている。
10曲を収めるが、中では第9曲の主題が耳に残った。スウェーデンの学校唱歌らしいが、何とも懐かしい旋律である。

 今日届いたステンハンマルのCD、昨日買ったアンゲルブレシュトのCDのデータを、それぞれのディスコグラフィに追加。
 ステンハンマルのページの「斉諧生お薦めの3曲」中、弦楽四重奏曲第6番の記述を少し改訂。
 また、Opus3のWebpageを「電網四方八通路」に追加。


8月14日(金): 昼休みに職場からネットをうろうろしていたら、Boosey & Hawkesのサイトが大幅に更新されているのを発見。
 同社から作品が出版されている、作曲家としてのマルケヴィッチのページも、ちゃんとあるのが嬉しい。"more information"がすべて工事中なのは残念だが、更新に期待したい。

 

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管ほか、ヴォーン・ウィリアムズ;交響曲第7番「南極交響曲」ほか(EMI)
CD2枚組、上記交響曲のほか、RVWのオーボエ協(ソロは夫人のイヴリン・ロスウェル)、チューバ協(ソロはフィリップ・カタリネットという人)、グリーンスリーヴス幻想曲「富める人とラザロ」の5つの異版、エルガーの「序奏とアレグロ」弦楽セレナード「コケイン」序曲等を収録。
おいしい曲ばっかり、モノラル録音だが、買わざるべからず。
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)シャンゼリゼ劇場管ほか、ラヴェル;「マ・メール・ロワ」組曲ほか(WING)
アンゲルブレシュトについては名匠列伝に立伝した人であり、そのCD復刻とあれば是非とも買わねばならない。
実は斉諧生は、この復刻盤の発売に気づかず、中古音盤堂奥座敷同人の鈴木さんのHomepage古くて新しい、もしくはバリバリに新しいCDのページ その54で情報を得て、直ちに注文したもの。記して感謝としたい。
なお、「アルルの女」組曲でサキソフォンを吹いているのは、「サキソフォンのカザルス」ことマルセル・ミュール
海老原廣伸(聲)ほか、「息の聲」(fontec)
声明と東方教会聖歌は斉諧生の大いに好むところ。
このCDは、一柳慧や細川俊夫らに協力してこられた天台声明の伝承者、海老原師の録音。
大いに期待したいが、どうやら多重録音らしく、その点だけがちょっと不安。

8月13日(木): 滋賀県立近代美術館のWebpageに、今月下旬から開かれる「ディアギレフ展」の詳細が掲載された。→こちらを御覧ください。

 

ペーター・マーク(指揮)マドリッド響ほか、メンデルスゾーン;交響曲第2番「讃歌」(ARTS)
ARTSでベートーヴェン・モーツァルトからメンデルスゾーンへ快進撃を続けているマーク、今度は第2番を録音。
この曲はまるで馴染がないのだが、マークの新録音ゆえ、買わざるべからず。
ヨーヨー・マ(Vc)デヴィッド・ジンマン(指揮)ジョン・タヴナー;「奇蹟のヴェール」(Sony Classical)
Virginへのイッサーリスの録音で知られるタヴナーの曲を、ヨーヨー・マが録音したとあっては、どうにも聴いてみたい気持に駆られてしまい、ついつい買い求める。

8月12日(水): 唐沢俊一『トンデモ一行知識の世界』@大和書房を購入、帰りの電車で読了。
 「象の発情期は五年に一回である。」に始る、無用の豆知識(昔はこういったよなぁ)のアンソロジーである。
 著者長年のコレクションに加え、パソ通のフォーラムで収集したものがもとになっているそうだが、なぜかクラシック音楽系のネタが散見される。

バッハは二回結婚して子供を二十人作った。」
「コントラバスのことを中国語で「妖怪的提琴」という。」
「指揮者の朝比奈隆は、昔、阪急電鉄に勤めていたので、電車の運転免許を持っている。」
「ラジオ体操の伴奏音楽の作曲者は、「第一」が服部良一、「第二」が團伊玖磨。」

最後のは知らなかったが、あとは常識だよねぇ。
 何が面白いのかわからないのは

「指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンとバイオリニストのナタン・ミルシテインのふたりは、スイスのルツェルンのコンサートで、共演したことがある。ふたりとも、演奏中に目をつぶる癖がある。」

耳をふさぐわけじゃあるまいに。(^^;;;
 ま、でもこの人のオタク的文章は好きだし、実弟・唐沢なをきの漫画も良い。技法的懐疑がギャグに結実した『カスミ伝』全2巻を、まずお奨めしたい。

 

パメラ・フランク(Vn)チャールズ・マッケラス(指揮)チェコ・フィル、ドヴォルザーク;Vn協&スーク;幻想曲ほか(DECCA)
パメラ・フランク(Vn)ピーター・ゼルキン(P)ブラームス;Vnソナタ全集(DECCA)
パメラ・フランクの名は、Sony Classicalから出たマールボロ音楽祭40周年記念盤のシューベルト;弦楽五重奏曲で、第1ヴァイオリンを担当していたので知っていた。
今回、ソロ・デビューのパートナーがピーター・ゼルキンなのも、マールボロ以来のおつきあいなのだろう。
キャリア十分の実力はとはいえ、デビューの曲目としてはなかなか意欲的なもの、大いに期待したい。
ヴァッサ・プシホダ(Vn)第8集(PODIUM)
鬼才プシホダの演奏記録が、また1枚出されたので、さっそく購入。
ヴュータン;Vn協奏曲第4番ほか、ショパン・パガニーニ・ドヴォルザークほかの小品集である。
いずれもケルン西ドイツ放送の正規音源、1950年代前半の録音。
ライナーノートが、ほとんど紙キレ一枚と化したのは残念だが、妖刀プシホダの切れ味に期待したい。
数住岸子(Vn)高橋悠治(P)「IN MEMORIAM」(コレクタ)
昨年亡くなった数住岸子の追悼盤、斉諧生がクラシックを聴きだした頃は日本人女性ヴァイオリニストといえば、この人と佐藤陽子、前橋汀子が御三家だったような記憶である。
とはいえ、これを買ったのは、数住本人にさしたる思い入れがあったからではない。
柴田南雄;歌仙一巻「狂句こがらしの」が収録されているからである。柴田先生のヴァイオリン曲録音は比較的珍しい。どんな音楽か、興味津々である。
なお、「狂句こがらしの」は、芭蕉の有名な歌仙(連句)の題名。この文学形式は最近丸谷才一や大岡信によって注目されているが、手近な入門書である東 明雅『連句入門』@中公新書の後半が「狂句こがらしの」一巻のアナリーゼだった。
柴田作品以外には、メンデルスゾーン;Pトリオ第1番と高橋悠治の新作を収録。
このCD、一種の自主製作盤で、店頭では見ないが、Webで注文したもの。→こちらを御覧ください。
ヤン・ルンドグレン・トリオ、「Swedish Standards」(SITTEL)
最近、BBSサロ様と彩ちゃんの部屋で話題になっている、ジャズ・ピアニスト、ヤン・ルンドグレンを買ってみた。
スウェーデンの民謡や歌曲を主題にしたものというからには、北欧音楽ファンとして聴かざるべからず、だろう。

8月9日(日): 上記「追伸」のとおり、公開1周年記念プレゼントを始めることにした。
 そのページの作成や、↓に書く『電網四方八通路』の更新をしたり、また昨日買ってきた「一太郎LITE」のセットアップやATOK11のキー・カスタマイズをしたりしているうちに時間が経ってしまい、あまりCD等が聴けない日曜だった。
 早く夏休みを取って、まとめて聴きたいものだ。

 

ジョシュア・ベル(Vn)ジョン・ウィリアムズ(指揮)ロンドン響、「ガーシュウィン・ファンタジー」(Sony Classical)
わりと身振りの大きな表現で、あれこれやってはいるのだが、ベルの音が細身・上品であるため、そんなにアクが強い音楽にならないのが面白い。
編曲も、この種のものとしてはなかなか上出来で、ガーシュウィンの味を損なわず、それでいて、音の使い方も古臭くはない。
クリーヴランドQ、ベートーヴェン;弦楽四重奏曲第14番(TELARC)
この曲(というか、ベートーヴェンの弦楽四重奏というもの)を聴くのは実に久し振り、LP時代のスメタナQ(旧盤)以来だと思う。まぁ、ほとんど初めて聴くようなものだ。
厳しさよりも慰藉や温もりに傾斜した演奏で、特に第1楽章にその感が強く、また、第6楽章の悲しみの歌も絶望には至らない。大きめのヴィブラートが多用されているせいだろうか。
第2・4・5楽章でも、晩年のベートーヴェンが到達した、肩の力が抜けた融通無碍の境地を感じさせる。
決然と始まる終楽章では、さすがにシンフォニックな味わいを聴かせる。
この演奏を起点として、いろいろな演奏を聴きこんでいく、ファースト・チョイスとして好適な盤であろう。録音も良く、透明で明るい響きが美しい。
第1Vnの音色がちょっと高域寄りの細身の音で、もう少し中音域の充実した、ずっしりした音を聴きたい気がした。

 『CLASSICA』さんのリンク集が更新され、そちらで掲載されたオーケストラを『電網四方八通路』から外し、新たにオーケストラ1件、レコード会社1件のリンクを追加。
 また、そろそろ見づらくなってきたので、全体をフレーム構成に変更、新着サイトを一カ所にまとめた。
 上にも書いたが、公開1周年記念プレゼントのページを作成。


8月8日(土): 買物へ出掛けた。
 第1の目的は、京都・寺町の電気店街で、「一太郎LITE」を買うこと。
 斉諧生は、日本語入力には長くVJEシリーズバックスを愛用してきた。初期のWindows(まだVer.2xxの頃)に対応していた日本語FEPはVJEだけだったからだ。
 ワープロも、DOSの頃からVJE-PENという、バックスの出しているものを使ってきた。エディタ同様に軽快なところが気に入っているのである。また、一太郎もWordも使わないことによって、メジャー嫌いな性癖も満たされてきたのだ。(^^;
 ところが、ここへ来てJUSTSYSTEMの軍門に降ったのは、何も、Wordに圧されて一太郎がマイナーになってきたから、ではない。(^^;;;
 実は、仕事上では、ずっとワープロ専用機を使ってきたのだが、先日の異動で、文書作成もPC上で行わないと不便な環境に移ることになった。そこで、ここ2か月ほど上述のVJE-PENを使ってきたのだが、軽快な反面、罫線機能が不十分で表組の文書(職場でよく使うスタイルである)が作りづらいのに手を焼かされてきた。
 周囲とのファイル互換も考えれば一太郎が便利なのだが、傍で見ていても重い重い様子に二の足を踏んでいたところ、「一太郎LITE」が発売されたので、渡りに舟、乗り換えようというわけである。
 本業の関係でアカデミー・パックを買えたのだが、実売価格4,180円(税別)。ほとんどシェア・ウェア並みの価格である。
 でも、どこの小売店も、扱いが小さい。まぁ、Windows98の発売とぶつかったのが不運なのか、安くてマージンが小さいからか…。
 第2の目的は、某古書店@御幸町三条上ルである。
 ソノ筋では有名な店なのだが、全店これ澁澤龍彦ワールド。マンションの一室を改装した、古書店というより澁澤の書斎風のつくりなのだ(もちろん四谷シモンの人形や金子國義の作品多数)。
 シャンソンがBGMに流れていたが、店番(?)の女性(臈たけた美人である!)の背後には、ベーム(BPO);『魔笛』ほかクラシックのLPも並んでいた。
 もっとも斉諧生の目当ては澁澤本でなく、塚本邦雄の著作のうち大手出版社から出ていないものを探すことで、実際、何点か発見したのだが、うーん、やはり値が張る。
 これがLPなら何ということもなく(?)買うのだが、本は、どうしても「再版されたら」とか「文庫になったら」とか、余計なことが頭をよぎってしまう。(^^;
 結局、『評伝ジャン・コクトー』@筑摩書房が安く出ていたので、購入。コクトーは、ディアギレフマルケヴィッチの周辺にいた人なので(普通は逆に書くんだろうな(^^))、資料として是非置いておきたい本である。
 この二人はもちろん、オネゲルオーリックサティストラヴィンスキーソーゲニジンスキープーランクミヨーらが登場する。
 原著の出版は1968年(コクトーの死後5年)、そのわりにはマルケヴィッチに直接取材した形跡がないのは残念というよりほかない。

 もちろん、上記2か所だけでなく、CD屋も覗いて廻ったところ、歓喜、驚喜の1枚(セット)を入手できた。

ジェラール・プーレ(Vn)ルカ・プァフ(指揮)トリノ放送響、バルトーク;Vn協第2番ほか(ARION)
プーレは贔屓にしているが、バルトークに向くかどうか、ちょっとわからなかったので、新譜の時は買わずにいた。
今日、十字屋四条店のワゴン・セールでバジェット・プライスに落ちているのを発見、しめしめと購入。
アイリーン・ジョイス(P)レスリー・ヘワード(指揮)ハレ管ほか、ショスタコーヴィッチ;P協第1番ほか(DUTTON)
1941年というから第2次世界大戦まっただなか、ハレ管が、1943年にアメリカから帰国するバルビローリによって再編される直前の録音。
プロデューサーはワルター・レッグ。当時、ドイツ空軍による空襲が激しいロンドンでのセッションを諦め、マンチェスターのハレ管で録音したらしい。
作曲家としても知られるコンスタン・ランバートによるボロディン;交響曲第2番という珍品も入っているが、この盤を買ったのは、一にも二にも、もはや伝説中の女流ピアニスト、アイリーン・ジョイスによるショスタコーヴィッチが聴きたかったため。
バート・ヴァン・オールト(P)寺神戸亮(Vn)鈴木秀美(Vc)ベートーヴェン;Pトリオ第1番&フンメル;Pトリオ(MASTER TONE)
寺神戸さん、鈴木さんのCDは買うことにしている。
このCDの情報は、バッハ・コレギウム・ジャパンのWebpage中、関連CD情報のページで知ったのだが、通販サイトで検索しても見つからず、諦めかけていたのだが、今日、店頭に入荷していたので購入できた。
ナサニエル・ローゼン(Vc)橋本京子(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第3番、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ&ドビュッシー;Vcソナタ(ライヴ・ノーツ)
前にバッハやショスタコーヴィッチを買っているローゼンのCDが、国内盤で出ていたので購入。曲目に好きなアルペジオーネ・ソナタが入っているからには見逃せない。
1995年来日時のスタジオ録音、1996年11月新譜なのに見落としていた…。
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ゾルタン・コチシュ(P)ほか、「イン・コンサート 1989〜1995」(HUNGAROTON)
ペレーニの録音は買うことにしているのだが、これはライヴ録音の小品集ゆえ新譜の時に逡巡しているうちに店頭から姿を消していた。
今日、ふと棚に残っているのを発見、購入したもの。
小品集とはいえ、ドビュッシー;Vcソナタも入っている。買ってよかった、というところだ。
ローレンス・フォスター(指揮)カタロニア国立バルセロナ響ほか、カザルス;「エル・ペセーブレ」(AUVIDIS IBERICA)
ああ、このCDが、ついに店頭に並んだ!
今年の1月、ネット・サーフ中に見つけたバルセロナ響のWebpage中、ディスコグラフィのページに掲載されていて驚喜したのだが、店頭にも通販サイトでも見つけることができず、スペインまでいかないと手に入らないのかと諦めかけていたのである。
なんといってもカザルス畢生の大作、オラトリオ「エル・ペセーブレ」(この曲については「名匠列伝」中「指揮者としてのカザルス」参照。)の新録、ファンとしては買わずにいられない。
作曲もする指揮者は多いが、自演以外に作品が演奏され録音される人は少ない。この曲にカザルス自演盤(といっても実質はアレクサンダー・シュナイダーの棒だが)以外の録音が出るとは思わなかった…(^^;

 ささやかな1周年企画と、お盆も近いことを合わせて、トップページに山本紅雲(1896〜1993)描くところの「宮津とうろう流し」を掲載。


8月6日(木): 

 

レイフ・セーゲルスタム(指揮)デンマーク国立放送響、シベリウス;交響曲第4番ほか(CHANDOS)
中古音盤堂奥座敷試聴会で取り上げてきたシベリウス;交響曲第4番で、ちょっと話題に上ったセーゲルスタム盤を、中古CD屋で見つけたので購入。
これは全集録音の一環だが、既に1・3・6番を架蔵している。最初はバラで出たのだが、管弦楽曲をカプリングしているので、交響曲は1枚1曲という構成。あと3枚、手に入るかな?
スティーヴン・イッサーリス(Vc)トーマス・アデス(P)ほか、「チェロ・ワールド」(BMG)
hyperion時代から贔屓のチェリスト、イッサーリスの小品集が出たので購入。この人のCDで、小品だけで1枚というのは、初めてでは?
お決まりの「白鳥」@サン・サーンスも入っているが、ピアノがマイケル・ティルソン・トーマスとダドリー・ムーアというのが目を引く。
その他は、チェリストの祖父ユリウス・イッサーリスの作品「ロシアの想い出」をはじめ、あまり有名でないものばかりなので、かえって期待が高まるというもの。

8月5日(水): 

 Music BoulevardからCDが届いた。

エドモンド・デ・シュトウツ(指揮)チューリヒ室内管、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメントほか(VANGURAD CLASSICS)
弦楽合奏曲好きの斉諧生、中でも「愛惜佳曲書」に掲載しているバルトークのディヴェルティメントは愛好し、蒐集している曲。
7月23日の項で取り上げたクラシック名盤大全 管弦楽曲篇』@音楽之友社に、このディスクが紹介されていたので、オーダーしていたもの。
ストラヴィンスキー;弦楽のための協奏曲ほかをカプリング。録音は1960〜61年だから、当時としてはかなり野心的なラインナップ、ちょっと期待したい。
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)アルスター管、デュカス;舞踊詩「ラ・ペリ」・「魔法使いの弟子」ほか(CHANDOS)
トルトゥリエは贔屓の指揮者なので、このディスクも気にはなっていたところ、上記『〜管弦楽曲篇』に取り上げられていたので、バルトークともどもオーダーしていたもの。
シャブリエ;狂詩曲「スペイン」ほかをカプリング、色彩的な曲を得手とするトルトゥリエの棒捌きに期待したい。

8月4日(火): 

 大阪コレギウム・ムジクムに予約していた自主製作CDの新譜が届いた。

当間修一(指揮)大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団、柴田南雄;「自然について」&「無限曠野」(大阪コレギウム・ムジクム)
「柴田南雄・その響V」と題された、柴田の合唱曲の初CD化である。特に「無限曠野」は、絶筆となった作品。
柴田作品は蒐集を心がけているので、新譜の案内を貰った時点で予約しておいたもの。
いずれも1997年のライヴ録音。

8月2日(日): 

 所用あって、今日は、ほとんど聴けなかった。残念…

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィル、シベリウス;交響曲第4番(DGG)
第1楽章は、やたらに弦をディヴィジ(各パートを更に分割すること)にしている精緻な書法で、冒頭からチェロとコントラバスを2つに分け、4つのパートの合奏になっている。このバランスや和音の美しさは、さすがカラヤン&ベルリン・フィル、感心させられる。
独奏チェロの塩辛い音色も佳いが、ちょっとグリッサンドがかかるのは感心しない。
管楽器の音色も素晴らしく、とりわけフルート独奏の渋い音色はどこのオーケストラからも聴けないものだ。
ただ、木管楽器がしばしばヴィブラートを派手にかけるのは賛成しかねる。
また、全体にどうも音楽がしんねりむっつり、スカッとしない。シベリウスの後期交響曲の演奏は、何か*ひんやり*とした空気を感じさせてほしいのだが、それが得られない。
リズムがベッタリしているというか、あるいは、これがカラヤン流のレガート奏法なのだろうか? 金管が峻厳な自然音を響かせてほしいところで、なんともヤワな吹奏(音は美しいのだが)。
第2楽章冒頭のオーボエは、なぜか音量的に弱く、堪能させてくれない。副主題のフルートも心弾むものに欠ける。
楽章後半では雰囲気が一変するはずのところ、木管や弦のフォルテに厳しさがなく、なんとも腑抜けた音楽にしかなっていない。
第3楽章、フルートは実に上手いが、この曲で大きなヴィブラートは余計だと感じる。
この楽章に12分を要しているのはかなり長い方だ。速い演奏では9分台、通常は11分未満である。長い短いには拘るわけではないが、音楽がしんねりむっつりになるのは困る。
ここぞという弦のフォルテが、相変わらず、アタックの圭角をすりつぶす奏法なのも、ガッカリさせられる。合奏自体は美しいのだが。
主題が全容を現すところは、まずまず良い。先導するオーボエの音色にはコクがあるし、弦合奏の裏の木管の動きもよく聴こえる。そのあとの弱音器付きのヴァイオリンとヴィオラは、死んだような音色が素晴らしい。
最後の盛り上がりでティンパニがまるで聴こえないのは残念、ただしトロンボーンの重い音は上乗。
第4楽章、鉄琴というより鐘の類だと思うが、なかなか佳い音色である。もっとも、ちょっと音量的に弱いのは残念。
その弱い鐘に合わせたのか、クライマックスが一向に盛り上がらない(音量を抑制する)のには閉口。そのあとは、やや雑然となってしまった。
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)レニングラード・フィル、シベリウス;交響曲第7番&「トゥオネラの白鳥」(BMG)
冒頭、弦のテヌート指定をほぼ無視、マルカート気味に奏させるので、コントラバスが半拍ずれているのが、くっきりとわかる。
ややあってヴィオラに出る緩徐主題(コラール主題)はmezza voce指定だが、実に嫋やかで美しい。
その後の緊張感に満ちた盛り上げは凄まじく、さすがムラヴィンスキー。ただし、途中ディミヌエンド指定のところで大きくリタルダンドするのは疑問。
で、主題を吹くトロンボーンに大きなヴィブラートがかかるのは、正直言って、噴飯物である。サキソフォンじゃあるまいに。他を抑え気味にして、くっきり英雄的に際立たせるのは大賛成だが。
その後に凄いティンパニの撃ち込みもあるのだが、木管の囀りがきつくなってしまっているのは、斉諧生の好みから外れる。
ヴィヴァーティッシモになるところは、どうも力みすぎ。
アダージョが再現・三現するところ、トランペットの音色に透明感を欠くのは疑問。トロンボーンは相変わらずサキソフォンのごときヴィブラート。
終結近く、ラルガメンテからアフェトゥオーソにかけての弦合奏が力んでいて、浄福感がないのは頷けない。レニングラード・フィルの弦パートにできない表現ではないのに… 終結の和音を吹く金管の音色が濁るのも、少々幻滅である。
全体に、勁い演奏であることはわかるのだが、斉諧生はこの曲について、
  従来の交響曲が直線的な構成をとっているのに対し、円環的な
  構成をとり、解決のない永劫回帰というか、無限の世界へ溶け
  こんでいくような終結を迎える
と捉えているので、ムラヴィンスキーの直線性を志向した演奏とは、相性が悪かったのだろう。
「トゥオネラの白鳥」は、素晴らしい。磨き抜かれた弦合奏、抑制の効いたイングリッシュ・ホルン、緊張感に満ちた音楽。
ムラヴィンスキーは、シベリウスの初期の方が向いている人だったと思う。7月31日の項に書いた、第3番の演奏の録音が残っていれば素晴らしいかもしれない。
アムステルダム・ギター・トリオ、バッハ;ブランデンブルグ協第2・3・5・6番(BMG)
収録順は、6・3・5・2番となっている。
最初の2曲は元来が弦楽合奏であり、ギター三重奏への編曲には好適かもしれない。
学生時代にロックバンドを組んでベースをやっていた友人が、「バッハのベース・ラインは天才的だと思う」と、よく言っていたが、この編曲だと、ベースの動きがはっきりと聴き取れて、面白い。
なぜか音量の変化をあまりつけないので、表現の幅が狭くなっているのが残念。
第3番の第2楽章は、ギター的語法による、短いカデンツァにしている。
第5番ではチェンバロを加えるが、これは疑問。音量的にも音色的にもバランスを崩している(同じ撥弦楽器だ)。第1楽章のカデンツァも、何か変な弾き方。
最後の第2番が、最も楽しめた。元来は管楽器の活躍する色彩豊かな曲を、ギター3本のモノクロームな味わいに変換しているのが、面白かった。

 当「音盤狂日録」掲載の記事は、これまで2週間程度でしまい込んできましたが、中古音盤堂奥座敷試聴会がらみでシベリウス;交響曲第4番を比較試聴してきたことが、奥座敷主人・浮月斎さんのPseudo-POSEIDONIOSや、奥座敷同人・鈴木さんのSyuzo's Homepageで御紹介いただいているので、関連の記事を抜粋して掲載します。
→ こちらを御覧ください。「愛惜佳曲書」からもリンクしています。


8月1日(土): 

 通販業者からLPが届く。

ピエール・モントゥー(指揮)サンフランシスコ響、フランク;交響曲(仏HMV、LP)
モントゥーは、この曲を3回録音しているが、そのうち2回目に当たる1950年2月27日の録音である。
もちろんRCA原盤だが、当時フランスで提携関係にあったHMV(LA VOIX DE SON MAITRE)プレス。
シカゴ響とのステレオ録音も名演として知られており、これにも期待したい。
エイドリアン・ボールト(指揮)ロンドン・フィル、シベリウス;交響詩集(英PYE、LP)
ボールトは、イギリス人指揮者には珍しく、シベリウス(とディーリアス)を録音しなかった…と思っていたら、LP2枚組の交響詩集をカタログに見つけたので、さっそく注文。
収録曲は「エン・サガ」「トゥオネラの白鳥」「ポヒョラの娘」「吟遊詩人」「レミンカイネンの帰郷」「夜の騎行と日の出」「フィンランディア」「テンペスト」前奏曲「タピオラ」「オセアニデス」と著名曲を網羅。
疑似ステレオというのが残念だが、厳しい名演を期待したい。
アルト・ノラス(Vc)ヨルマ・パヌラ(指揮)クラミ; カレワラ組曲&チェレミッセ幻想曲(芬FINLANDIA、LP)
北欧音楽ファンの斉諧生だが、シベリウス以降の作品には、あまり手を出さないようにしている。
とはいえ、御贔屓のチェリスト、ノラスが独奏しているという「〜幻想曲」は、ぜひ聴きたく、発注したもの。
ジェルジ・パウク(Vn)ペーター・フランクル(P)シューベルト;幻想曲ほか(英VOX、LP)
パウクについては7月29日の項にも書いたが、前にVOX BOXで聴いた幻想曲がなかなか良く、そのLPをカタログに見つけたので発注したもの。
プレスは英DECCA、音的にも期待したいところ。
アラン・ロンバール(指揮)ストラスブール・フィル、モーツァルト;歌劇「魔笛」(全曲)(仏Barclay、LP)
長年の探求盤が、ようやく手に入った。\(^o^)/
このキャストの顔触れを御覧いただきたい。
  パミーナ;キリ・テ・カナワ
  夜の女王;エディタ・グルベローヴァ
  パパゲーナ;キャスリーン・バトル
  タミーノ;ペーター・ホフマン
  パパゲーノ;フィリップ・フッテンロッハー
  ザラストロ;クルト・モル
  弁者;ホセ・ファン・ダム
録音は1978年、皆まだ新進の頃かと思うが、揃いも揃ったり、である。「魔笛」に目のない斉諧生ならずとも、瞠目されるのではなかろうか。
ERATO原盤と思いこんでいたが、実際にはBarclay盤(録音はピーター・ヴィルモースなので、ERATOとも無関係ではなかろうが)。
第3の侍女を伊原直子が歌っているのも興味深い。
各歌手のその後の活躍にもかかわらず、レーベルのせいか、国内盤も出ず、CD化もされないので、ずっと探し続けていたもの。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」に近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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