音盤狂日録


4月30日(日): 

 通販業者からLPが届いた。
 1枚を除いて、Parnassus Recordsというアメリカの店からの荷物である。今回が初めての利用。
 上記Webpageにカタログがあり、サーチ機能はないので、じっくり眺めてメールでオーダー(日本だと送料を見積もってもらう必要あり)、慎重を期してカード番号等はFaxで送信した。(2回目からはメールだけで可)。

アンタル・ドラティ(指揮)ミネアポリス響、ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」ほか(米Mercury、LP)
「愛惜佳曲書」掲載の交響的絵画「ポーギーとベス」の未架蔵盤を見つけたので購入。
ドラティは、デジタル初期にデトロイト響との名演を残しており、いまだに代表盤の地位は揺るがない。彼の演奏とあらば、モノラル録音であっても、ぜひ聴きたいもの。
「パリのアメリカ人」をカプリング…というか、A面はこちら。
なお、番号はMG50071、これくらいだとオリジナルのモノラル録音で、ステレオ(SR番号)は無いはず。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)ベルリン・フィル、ブラッハー;オーケストラのための協奏音楽ほか(独DGG、LP)
ロスバウトとベルリン・フィルの共演ならば、ぜひぜひ聴いてみたいとオーダー。
基本的には手を出さないことにしている10インチ盤(少し小型)だが、12インチ(通常のサイズ)では再発されていないようなので、やむを得ない。
まして、曲がシューリヒトがベルリン・フィルで初演して成功させ、作曲家を一躍有名にしたという秀作。これを買わずにどうしようか。
作曲家の妻ゲルティ・ヘルツォーク(P)とのP協第2番(1953年)をカプリング。
これは国内の業者から。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ室内管ほか、ベルク;Vn、Pと13管楽器のための室内協奏曲(米dial、LP)
LP初期に彗星のように現れ、現代音楽を生々しい録音で次々に発売して消え去ったレーベル、dial。
このレーベルに新ウィーン楽派を何枚か録音したのがレイボヴィッツ。この盤は架蔵しているのだが(ディスコグラフィ参照)、盤面の状態が悪いので、買い直したもの。
独奏者は、ローラン・シャルニィ(Vn)ジャック・モノー(P)
このレーベルのレイボヴィッツではピエロ・リュネールを捜しているのだが、出会えるのはいつのことだろう…。
 
スタファン・フェーヤ(P)ステンハンマル;3つの幻想曲(米RCA、LP)
全録音蒐集を心願とするステンハンマル、未架蔵LPを見つけたのでオーダー。音源としてはCD(Swedish Society)で架蔵しているのだが(ディスコグラフィ参照)、アナログ録音はLPで持っておきたい。
標記ステンハンマルのほか、
ラーション;ソナチネ第1番(1936年)
ヴィレン;アイロニカルな小品(1942年)
ラングストレム;メラレン湖の伝説(1919年)
を収める。
いずれも「世界初録音」とジャケットにある。ステンハンマルも、上記ディスコグラフィのとおり、確認できている中では最も古い。
なおピアニストは1950年ストックホルム生まれ、録音は1968年だから当時ハイティーンだったわけだ。
ジャケットを飾る演奏家のポートレートは甘いマスクの美青年、キャプションに曰く「ストックホルムのティーンエイジの女の子達をコンサートホールに集める神のごときピアニスト」。
 
ニコライ・ゲッダ(Ten)ニルス・グレヴィリウス(指揮)ストックホルム・フィル、ステンハンマル;「星の夜」・「スヴァーリエ」ほか(独RCA、LP)
これもステンハンマルの未架蔵LP。音源としてはCD(Swedish Society、2種)で架蔵しているが、LPを見つけたのでオーダーしたもの。
標記のステンハンマル2曲のほか、アルヴェーンペッタション・ベリエルショーグレンらの歌曲を計14曲、収録している。
RCAレーベルだがプレスは独Teldec、ジャケット解説はスウェーデン語という、よくわからないLP。
 
マルゴット・レディン(M-S)ヤン・エイロン(P)「18の歌曲」(瑞EMI、LP)
副題が「シューベルトからストラヴィンスキーまで」とあるが、お目当てはステンハンマルの3曲。
夏至祭前夜にリボンを結ぶ女の子「牧歌と警句」より、2つの歌op.4
「窓辺に」ブー・ベルイマンによる5つの歌op.20
心というもの歌曲集「遅い収穫」op.posth.
を歌っている。
これは音源としても初の入手、まことに喜ばしい。
録音年月は明記されていないが、マルPは1970年、ジャケット解説には1968年にロンドン・デビュー(ウィグモア・ホール)とあるので、その間3年のうちの収録であろうか。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ・フィルほか、オッフェンバック;オペレッタ「美しきエレーヌ」(米Renaissance、LP)
レイボヴィッツの未架蔵盤・音源、驚喜してオーダー。
レイボヴィッツの仕事は多岐にわたるが、オッフェンバックのオペレッタの全曲録音は、これで3つめになる。(あとの2曲は「天国と地獄」「ジェロルスティン大公妃」)
録音年月は明記されていないが、SPを思わせる古い作りのアルバムなので、1950年代初めのものか。

4月29日(土): 大型連休の初日は、Syuzo's HomepageのMLKna-parc MLのオフ・ミーティング(第2回)に参加。
 会場はメンバーの一人が御自宅を開放してくださり、昼過ぎから深夜まで(^^;;;、クナッパーツブッシュをはじめ、往年の巨匠指揮者のSP・LP・CD、映像を堪能させていただいた。


4月27日(木): 本業関係で東京へ日帰り出張。
 話が来たとたんにWebでコンサート・スケジュールをチェックしたのだが(笑)、めぼしいものがなく残念。

 もちろん用務の前後に音盤屋廻り。(^^;

フェルナン・ウーブラドゥー(指揮)ウーブラドゥー室内管ほか、「パリのモーツァルト」(EMI)
1956年のモーツァルト生誕200年記念に製作された、モーツァルトがパリ滞在中に作曲した作品をフランスの名演奏家が録音する…というLP7枚の企画。
3月に国内盤がやはりCD7枚(分売)で出たが、斉諧生は輸入盤主義なので見送っていたところ、今月になって輸入盤がCD4枚組で発売された。
実売価格で国内盤2枚程度、欠けているのはFlと管弦楽のアンダンテ(K.315)だけと、これは輸入盤を買わねば損するようなものである。
主な収録曲と独奏者は
交響曲第31番「パリ」
バレエ音楽「レ・プティ・リアン」
協奏交響曲K.297b(Ob;フィリップ・ピエルロ、Cl;ジャック・ランスロ、Hrn;ピエール・デル・ヴェスコーヴォ、Fg;ポール・オンニュ)
FlとHpの協奏曲(Fl;フランソワ・ジュリアン・ブラン、Hp;リリー・ラスキーヌ)
VnソナタK.304(Vn;ローラン・シャルミー、P;ヴラド・ペルルミュテール)
VnソナタK.306(Vn;ルネ・ベネディッティ、P;ヴラド・ペルルミュテール)
Pソナタ第8番(P;ラザール・レヴィ)
Pソナタ第10番(P;アリーン・ヴァン・バレンツェン)
Pソナタ第11番(P;マルセル・シャンピ)
Pソナタ第12番(P;ジョゼフ・ベンヴェヌティ)
変奏曲K.264カプリッチョK.395(P;ジャンヌ・マリー・ダルレ)
というもの。いずれもモノラルながら、極めて美しい音質。
なお、斉諧生は、このシリーズの録音技師をずっとアンドレ・シャルランと思い込んでいたのだが、これは間違いだった。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、ハイドン;交響曲第99番&モーツァルト;交響曲第25・38番(Orfeo)
1年ほど前に買った同じレーベルの交響曲第40・41番が、まさに「平凡の非凡」と讃えるべき素晴らしさだった。
ライナーノートによると同日(1985年5月10日)に演奏された第38番「プラハ」は発売済みというので、折にふれて捜していたところ、ようやく見つかったので(しかもバーゲン価格)、喜んで購入。
こちらには1985年5月9日の収録とあるので、同じプロが2日連続で演奏されたのだろうか。
なお、ハイドンは1982年5月4日、小ト短調は1981年6月22日のライヴ録音。
 
ジョルジュ・エネスコ(指揮)ロンドン・フィルほか、シューマン;交響曲第2番ほか(DUTTON)
名ヴァイオリニストというより大音楽家と呼ぶべき、エネスコの遺産を発見したので購入。
しかもシューマンの交響曲の中で最も好きな2番とは嬉しい。1947年9月のDECCA録音。
ピエロ・コッポラ(指揮)ナショナル響による交響曲第1番をカプリング。
このオーケストラは、1942〜47年に存在した団体とのこと。
 
ハンス・フォンク(指揮)ハーグ・レジデンティ管ほか、マーラー;交響曲第3番ほか(自主製作)
関西の音盤屋では見かけない、レジデンティ管の自主製作盤を見つけたので購入。
妙な名称は、ハーグがオランダの王宮所在地であることに由来する…と聞いた記憶がある。オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
ハンス・フォンクは1980〜91年の間、首席指揮者をつとめており、これはその頃の演奏であろうか(録音年月が明記されていない)。
アルト独唱はヤルト・ファン・ネス Jard van Nes、彼女が歌い、フェルディナント・ライトナーが指揮したワーグナー;ヴェーゼンドンク歌曲集をフィルアップ。
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)ハーグ・レジデンティ管、マーラー;交響曲第9番(自主製作)
同上。
1992年から首席を務め、今シーズンでヤープ・ファン・ツヴェーデンに交代する予定のスヴェトラーノフの指揮盤。
彼のマーラーは、先だってN響を振った第6番が素晴らしく(衛星放送で視聴)、ぜひ聴いてみたいと購入。
それにしても録音データが記されていないのは困ったもの。
 
ウィリアム・ボートン(指揮)ロイヤル・フィルほか、シベリウス;交響曲第2番ほか(NIMBUS)
ずっとイギリスの弦楽合奏曲を録音してきたという印象のボートンが、ようやくシンフォニック・レパートリーに進出したらしい。
手堅い手腕と抒情味には定評がある人ゆえ、シベリウスにも好成果が期待できるのではないかと購入。
交響詩「フィンランディア」・「エン・サガ」をフィルアップ。
なお、既発売・架蔵済みの小管弦楽曲集(演奏はイギリス弦楽オーケストラ)を併せての2枚組で、値段は1枚分。
 
ソフィア・ラーマン(P)クリオ・グールド(指揮&Vn)BTスコットランド・アンサンブルほか、ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a・P協第1番ほか(LINN)
ショスタコーヴィッチの中でも蒐集に励んでいる2曲のカプリング、これは買わざるべからず。
耳慣れない名前の団体だが、総勢12人の若い演奏家によるアンサンブル。グールドが弾き振りをしているとか。
ピアニストはメニューインの音楽学校に学んだ若い奏者で、カール・ライスターの伴奏者として来日したことがあるとのこと。
なお、P協の独奏Trpはジョン・ウォレスという大物が吹いている。
 
ジャン・フルネ(指揮)スーパー・ワールド管、フランク;交響詩「プシュケ」&ドビュッシー;交響詩「海」ほか(ALM)
何とも仰々しいオーケストラの名前には鼻白むが、フルネの指揮盤とあらば是非とも購入。
1999年9月10・11日、東京はオーチャード・ホールでのライヴ録音。当日の模様はNHKでも放送されたそうだ。
標記2曲のほか、
ラロ;歌劇「イスの王」序曲
ラヴェル;ボレロ
ロッシーニ;歌劇「ウィリアム・テル」序曲(部分、アンコール)
を収める。
 
ヴィクトル・トレチャコフ(Vn)ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送チャイコフスキー響、シベリウス;Vn協・交響詩「エン・サガ」・「カレリア」組曲(RELIEF)
フェドセーエフがRELIEFレーベルから新録音を出していることはフェドセーエフのページで知っていたが、実物は京都の音盤屋では見たことがなかった。
最新のシベリウス・アルバムが東京では店頭にあったので、これはこれはと購入。
協奏曲の独奏が、ロシア系ヴァイオリニストの中では贔屓のトレチャコフなのも嬉しい。彼に注目したのもフェドセーエフと共演したブラームス;Vn協からだった。
収録年月日は前2曲が1998年12月、組曲が1999年5月。
なお、オーケストラ名の表記が、英文では"Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow Radio"となっている。
 
トルルス・メルク(Vc)オーレ・クリスチャン・ルード(指揮)スタヴァンゲル響、セーヴェルー;Vc協・交響曲第8番(BIS)
若手チェリストの中では随一の注目、「チェロの貴公子」ことメルクの新譜ゆえ、即購入。
作曲家はノルウェーの人、これまであまり聴いたことはない。
Vc協は1930〜31年の作、交響曲は1958年にミネソタ州の創設100周年記念の委嘱作で初演はアンタル・ドラティ(指揮)ミネソタ管だったとか。
 
マリオ・ブルネロ(Vc)アンドレア・ルケシーニ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第1・2番(AGOLA)
先日、バッハ;無伴奏Vc組曲を入手したブルネロ、ベートーヴェンも聴いてみたくなり、最も好きな第1番を含む1枚目を購入。
魔笛変奏曲(「恋人か女房が」)ユダス・マカベウス変奏曲をカプリング。
 
ジュリアードQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第3・4・6番(Sony Classical)
中古音盤堂奥座敷の合評会、次回の候補にエマーソンQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第4番(DGG)が挙がっているため、比較盤を捜してみた。
LP時代に定評のあった東京Q盤(DGG)が見当たらないなど、どうもパッとしない。
3回にわたって全曲を録音しているジュリアードQの演奏では1963年盤が良いらしいが、未CD化だそうな。
これは結成50周年記念盤で、1回目の第4番(1949年)、2回目の第3番(1963年)、3回目の第6番(1981年)を収めたもの。
第1Vnは一貫してロバート・マンだが、他の3人は、1回目と2回目のヴィオラが共通しているだけで、あとは入れ替わっている。
 
カール・フォルスター(指揮)ベルリン響ほか、バッハ;ヨハネ受難曲(EMI)
先週、全曲を聴き通して感銘のあったヨハネ、いろいろ聴いてみたくなり、あれこれ3組ほど買ってみた。
この盤は、1961年の録音、合唱が聖ヘドヴィヒ教会合唱団とは懐かしい名前だ。しかし合唱団で買ったのではない。
福音史家をフリッツ・ヴンダーリヒが歌っているからである。タミーノ@魔笛水車屋の娘詩人の恋などの美声・美唱が忘れられないが、あの美声でバッハを歌うとどうなるのであろう?
ヨハネの方が福音史家の比重が高いので、実に楽しみである。
またイエスがディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ、これも声の美しい頃、聴きものと期待。
その他もエリザベト・グリュンマークリスタ・ルートヴィヒ等々、豪華な顔ぶれ。
オーボエにローター・コッホの名前があるのにも吃驚。
 
シギスヴァルト・クイケン(指揮)ラ・プティット・バンドほか、バッハ;ヨハネ受難曲(DHM)
近年の録音の中では、ひときわ評価の高いクイケン盤も購入。
福音史家がクリストフ・プレガルディエン、彼の歌唱は以前に中古音盤堂奥座敷の合評会で冬の旅を聴き、大いに評価したものである。ここでも期待したい。
ルネ・ヤーコプスマックス・ファン・エグモント等、独唱者も良さそう。
もちろん器楽陣はクイケン兄弟をはじめ、強力メンバー揃い。
 
エリク・エリクソン(指揮)エリク・エリクソン室内合唱団ほか、バッハ;ヨハネ受難曲(Vanguard)
マタイより合唱の比重が高いヨハネゆえ、「合唱の神様」エリクソンと手兵の演奏で聴いてみたいと購入。
福音史家はハワード・クルークという知らない名前だが、アルトにモニカ・グループが顔を見せている。
器楽はドロットニングホルム・バロック・アンサンブル

4月26日(水): 

 

ペーター・シュナイダー(指揮)モンペリエ・フィル、スーク;アスラエル交響曲(ACTES SUD)
スークが亡妻の追憶に捧げた抒情あふれる交響曲の新盤が出ていたので購入。この曲はクーベリック盤(PANTON)に接して以来、追いかけている。
指揮者は1939年ウィーン生まれ、練達のワーグナー指揮者として知られる人。
1996年11月15日のライヴ録音。地元の援助を得て企画された、オーケストラの自主製作盤か。
 
ペッター・スンドクヴィスト(指揮)スウェーデン室内管、「スウェーデン管弦楽曲第2集」
先年オッコ・カムの指揮で出た第1集に続く第2集、ステンハンマルこそ含まれていないものの、次のような魅力的な選曲ゆえ、即購入。
ラーション;抒情幻想曲、小セレナード、弦楽のためのアダージョ
フルメリー;田園組曲
ブロムダール;アダージョ劇音楽「眠れぬ夜」より
アッテルベリ;組曲第3番
ラングストレム;ディヴェルティメント・エレジアコ
とりわけラングストレムの曲が、以前、ガラグリ盤等で感銘深かったので期待。
 
ジョルディ・サヴァール(Gamb)トン・コープマン(Cem)バッハ;ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1〜3番ほか(Alia Vox)
名手サヴァールの再録音、買わざるべからず。あるいは同曲集の決定盤となるか。
オルガンのためのトリオ・ソナタ第5番BWV529を、サヴァール自ら編曲したものをカプリング。
なお、旧録音(EMI→Virgin)もコープマンとの共演だった。
 
「イェフディ・メニューイン名演集」(EMI)
仏EMIの"Les Introuvables de〜"シリーズは、本当に貴重稀少な録音をCD化してくれるので有り難い。
今回のメニューインのセットには、
モーツァルト;P四重奏曲第1番 フー・ツォン(P)ワルター・ゲルハルト(Va)ガスパル・カサド(Vc)(1966年)
ベートーヴェン;P三重奏曲第6番 ヘフツィバー・メニューイン(P)モーリス・ジャンドロン(Vc)(1964年)
フランク;Vnソナタ ルイス・ケントナー(P)(1955年)
グリーグ;Vnソナタ第1〜3番 ロバート・レヴィン(1955年)
ショーソン;P、Vnと弦楽四重奏のための協奏曲 ルイス・ケントナー(P)パスカル四重奏団
といった注目したい曲目が含まれている。
CD5枚組、最後の1枚はフレデリック・ロデオンとの対談。
 
フロリアン・ヘンシェル(P)グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」・組曲「ペール・ギュント」ほか(Arte Nova)
愛惜佳曲書にも掲げた「ホルベア〜」は弦楽合奏版で親しまれているが、最初はピアノ独奏曲として書かれたもの、その新録音が出たので購入。
ピアニストは1970年ベルリン生まれの新鋭。コントラバス奏者としての活動歴もあるそうな。
 
アマディンダ・パーカッション・グループ、ケージ;打楽器のための作品全集 第1巻(HUNGAROTON)
ケージの創作活動初期に当たる1935〜41年の作品を収めたもの。
中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんが、
「名曲名演名録音で、超お薦め」、「ケージへの偏見をすべて洗い流してくれます。」
と特大の太鼓判、これは見逃せない。
HUNGAROTONレーベルからハンガリー以外の現代作品がリリースされるのも珍しく、その意気も買って、購入してみた。
アマディンダは4人の奏者からなるグループ、更に一部の曲ではゾルタン・コチシュも参加している。
1992年・1998年の録音。

4月23日(日): 中古音盤堂奥座敷の合評会の記録がアップされた。ホーレンシユタインのブルツクナー8番の回である。
 斉諧生がモデレータを務め、

「ホーレンシュタインの演奏を論じつつ、
 いわゆる『ブルックナー・サウンド』とは何か?
 ブルックナーの名演の条件は?
 という問題も考えていければ」

と始めたもの。
 モデレータは少々力不足だったが(^^;;;;、ログの最後、野々村さんのまとめは強烈。

 

鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;ヨハネ受難曲(BIS)
昨日のマタイに触発されて、今日はヨハネを。何となく聖週間らしい過ごし方かもしれない。(笑)
恥ずかしい話だが、ヨハネをまともに聴くのは、ほとんど初めて。CDも、指揮者に着目して買った数組しかなく、いずれも未聴のまま。(^^;;;;
したがってBCJの演奏を云々する力もなく、曲の印象を、マタイとの比較を中心に、いくつか書き付けてみたい。
 
ヨハネの音楽には、どこか晴朗の趣がある。すがすがしい、とも言えるだろう。
冒頭曲にせよ、イエスを糾弾するユダヤ民衆の叫びにせよ、切迫感・迫力はあるが、簡潔で透明感があるのだ。フーガが多用されることも、この印象を強める。
アリアを伴奏する器楽パートも、合奏である場合が多く、対位法的・構築的な、充実した書法である。
 
これに対しマタイは、強い情念を感じさせる。有名な「バラバを!」の叫びをはじめ、劇的というか、悪く言えば芝居がかっているのである。
アリアには独奏楽器が寄り添い、非常に情緒的なソロを聴かせる…というパターンが多い。。
この作風の違いは、何に起因するのだろう?
作曲の動機に、特別な事情でもあったのだろうか。まぁ、今わかっている以上のことが、これから判明することは考えづらいけれども。
 
斉諧生はこれまでマタイばかり聴いてきたのだが、今後はヨハネも聴かねば…! と痛切に感じた次第。
 
それにつけても、マタイの冒頭合唱の出来映えは、たしかに冠絶している。これでずいぶん得をしているといえなくもないだろう。(笑)

 この間の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 先日届いたCDの情報をガラグリ・ディスコグラフィに追加。


4月22日(土): 

 鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハ;マタイ受難曲の上演を聴きに行く。
 会場は神戸松蔭女子学院大学チャペル。BCJの録音会場としてお馴染みだが、足を運ぶのは初めて。 
 ほとんど山腹に拓かれたと言っていいキャンパス、チャペルは門からすぐのところなので坂を登らずにすんで助かった。(^^;
 全自由席というので少し早め、開演45分くらい前に着いたのだが既に長蛇の列。前列や中央付近は「定期・賛助会員」用とされていたので、結局、前から数列目の左端に近い座席を確保。壁が近いので心配したが、演奏が始まってみると、音響的にはあまりデメリットを感じなかった。演奏者も客席も共に平土間なので、視覚的には少し制約があるが。
 
 収容人員は目算で350〜400人くらい、ここでの公演が「採算を度外視してつづけられて」いるというのが頷ける(折り込みのチラシから)。
 CDのブックレット掲載の写真のとおり、白い壁が高く立ち上がってドーム状の天井を構成する美しい建物。
 祭壇と反対側の階上にはバロック・スタイルの大オルガン、宗教曲上演には理想的な空間であろう。デュリュフレ;レクイエムなど、聴いてみたいものだ。

今日の曲目は、もちろんマタイ受難曲のみ。
 
開演に先立って、指揮者から少しお話があった。大略次のとおり。
このチャペルが出来たときから、ここでマタイを演奏することを念願してきた。
曲の規模から無理かと思っていたが、会場の響きがつかめてきたことや、我々の技量が高まってきたこともあり、人数を絞ればできると考えた。
またパート譜の研究も進み、残存しているパート譜の数から見て、当時は、今日の編成より大きくなかったものと考えている。
器楽パートはパート譜の数どおりである。
声楽は1枚の譜面を複数の歌手が見ていた可能性が高いので、2人ずつ。
ソプラノのみ3人にしているのは、第1曲でリピエーノを歌うため。(ここに児童合唱を使うのはメンデルスゾーン以降の慣習にすぎない。)
(この日のメンバー表は→ここを押して)
 
個人的なことだが、今朝、父が急逝した。
第62番;コラール「いつの日かわれ去り逝くとき」については、歌詞が前後の進行とちぐはぐなことがよく指摘されるが、今日は、この曲がなければならない、と思う。
父が死んだときにマタイを演奏しているということに、神のメッセージを強く感じる。
新教では、死者は直ちに神の手にあると考えるため、レクイエムのように死者に捧げるものはない。今日のマタイも死者に捧げるわけではないが、父の魂がマタイとともに天に昇るような感じがしている。
(父君の訃報については→ここを押して)
 
今回の演奏の狙い等については、BCJ Q&Aのページに詳しい。
最大の特徴は「すべてのソリストが、基本的には合唱の部分もすべて歌う」こと。
このためか、声楽の配置は、
(第1群)SATB (福音史家) (第2群)BTAS
というもの。
すなわち、第1群のバスの1人にイエスが、第2群のバスの1人にペテロ・ピラト等が割り当てられるので、レチタティーヴォでのやりとりの具合もいい。
 
第1曲でコラールを歌うソプラノ2人は、祭壇を背に位置した演奏者と反対側の階上、大オルガンの横に立ち、第2曲から合流する、というやり方。
なお、第1曲第28曲(第1部の終曲)では、大オルガンも鳴らされた。
 
さて、肝心の演奏だが…
 
小さい会場で聴く小編成のマタイって、いいなァ…
…という一語に尽きる。
 
斉諧生按ずるに、マタイの音楽は、第1曲等の例外を除いて、おおむね書法の密度が低いように思う。それが劇性や旋律美でカバーされているのではないだろうか。
こういうインティメイトな会場では、その欠点(?)が表に出ず、空間に見合った音楽が生き生きと動き出す…と感じられたのである。
 
とりわけ通奏低音の動き・表情が手に取るように感じられるのは大きなメリットだった。
またその通奏低音の表情的な終始和音から、間髪を入れず、気持ちを込めてコラールを歌い出させる指揮者の「気」が、間近からひしひしと伝わってきて、胸が熱くなった。
 
歌手で最も感心したのは、イエスを歌ったペーター・コーイ
深々・朗々とした声がよく通っていた。I教授の部屋では注文がついているが、斉諧生は声だけで納得。(笑)
 
福音史家のヤン・コボウは、語るところと歌うところの区別がくっきりしており、歌うところでは美声がよく伸びていた。
語るところでも、もう少し、音をはっきり歌ってくれるとよかったのだが、これは斉諧生の好みか。
 
ペテロ・ピラト等を受け持った浦野智行も充実した声で、劇の進行を引き締めていた。
 
女声陣が、やや聴き劣りすると思えたがどうだろうか。
アルトのアリアを歌った波多野睦美は、気持ちを込めている風だったが、斉諧生的には、彼女の曇りがちで湿り気のある声が、音楽や周囲の歌唱に適合しないように感じられた。
カウンターテナーのピンと張った声で聴いてみたい…と思われたのである。
 
器楽奏者は全体に満足のいく出来だったが、オーボエの音にキレがなかったと思う。特に、オーボエ・ダ・カッチャに持ち替えたときに、それを強く感じた。
第49番のアリアで、フルート・トラヴェルソのオブリガートに付けた和音では、ピッチの悪さ(片方の奏者だけ?)が耳障りだった。
 
終結合唱の最後の音が、少し引き延ばされて鳴りやんだ後、長い間をおいて、熱烈な拍手がおくられた。
開演前にも、通常の演奏会同様、拍手があったが、う〜ん、どうなのだろう。
聖週間に教会で演奏されるマタイ、斉諧生としてはコンサートというよりお祈りに参加させてもらうような気分なので、拍手には違和感がある…。
もちろん、演奏者への感謝や感動の表現として、ほかに方法がないと言えばそうなのだが。

 家を出る前に通販の荷物が届いた。
 Alphamusic@ドイツとCD MAIL@フランスからのものである。

エノッホ・ツ・グッテンベルク(指揮)クラングフェアヴァルトゥング、ベートーヴェン;交響曲第3・8番(FARAO)
妙な名前のオーケストラ(直訳すれば「響きの管理」)の公式ページが、ふと検索に引っかかった。→ここを押して
指揮者のグッテンベルクは、以前、マタイ受難曲がオイロディスク・レーベルから出たのを買ったことがある。合唱指揮者だと思っていたが、シンフォニー・オーケストラも振るのか…と思って、次にメンバー表を見てびっくり。
アンドラーシュ・アドリアン(Fl)やペーター・ザドロ(Timp)といった大物の名前があるではないか。
これに興味を惹かれてオーダーしたのもの。
上記Webpageによれば、グッテンベルクの音楽性に惚れ込んだ楽員達が、彼の指揮で演奏するためにミュンヘンやベルリン等、ドイツ各地のオーケストラや演奏家を集めて結成した団体だという。創設は1997年。
ついでにレコード会社まで作って録音を売り出した…ということのようだ。
カタログの中ではバッハかハイドンの方が指揮者の手慣れたレパートリーかもしれないが、こちらの興味に従ってベートーヴェンを購入。
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)スウェーデン放送響、「ロシアン・アダージョ」(ONDINE)
北欧音楽の珍しいCDがないか…とオーケストラの名前で検索してみたら、とんでもない盤が引っかかった。
まあ1997年以来、首席指揮者に就任しているので録音があるのは不思議ではないし、次のとおり得意の曲目ではあるのだが。
ハチャトゥリアン;アダージョバレエ「スパルタクス」より
フレンニコフ;アダージョバレエ「軽騎兵のバラード」より
プロコフィエフ;アダージョバレエ「シンデレラ」より
R・コルサコフ;ノクチュルヌ歌劇「パン・ヴォエヴォーダ」より
グラズノフ;第2幕の間奏曲バレエ「ライモンダ」より
グラズノフ;プチ・アダージョバレエ「四季」より
グラズノフ;第3幕の間奏曲バレエ「ライモンダ」より
チャイコフスキー;パノラマバレエ「眠りの森の美女」より
チャイコフスキー;アダージョ、パ・ダクシオンバレエ「眠りの森の美女」より
チャイコフスキー;パ・ド・ドゥーバレエ「胡桃割人形」より
1999年5月録音、オリジナルのオムニバス・アルバムである。
スウェーデン放送響の洗練された響きでスヴェトラーノフの音楽が味わえることを期待してオーダー。
なお、ほぼ同じ曲目でロシア国立響を振った国内盤(「和 Adagio」)が出ている(1998年4月録音、トリトーン)。こちらは未架蔵。
オーケストラが違うとはいえ、1年ほどのうちに別なレーベルに再録音したのは奇妙ではある。ONDINE盤がまだ店頭に並ばないのは、あるいはその慮りか。
 
アレクサンドル・タロー(P)パリジQ、アーン;室内楽曲集(VALOIS)
かとちぇんこさんを通じてミュシユスさんに教えていただいたレイナルド・アーンの室内楽曲集をようやく入手。
P五重奏曲ヘ短調(1921年)
弦楽四重奏曲イ短調(1939年)
弦楽四重奏曲ヘ長調
を収録。いずれも世界初録音とある。
中でもP五重奏はアーンの最高傑作に数える人もあるとのこと、フランクフォーレヴィエルヌの同編成曲のことを思い浮かべながら、楽しみにオーダーしたもの。
 
ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc)ローラン・カバッソ(P)ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ&プロコフィエフ;Vcソナタほか(VALOIS)
このところ、その渋い音色が気になっているチェリスト、アサートン。これも集めている曲・ショスタコーヴィッチの録音を見つけたのでオーダーしたもの。
パリ音楽院の出身だが、モスクワでシャホスカヤにも学んだ人なので、骨法を心得た演奏が期待できるかも。
プロコフィエフの小品バラードop.15とアダージョバレエ「シンデレラ」よりをフィルアップ。後者は、原曲が↑のスヴェトラーノフに収録されている(作曲者自編)。
1992年録音。
 
ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc)ダリア・ホヴァラ(P)「ユダヤの歌」(BMG)
↑同様、アサートンの未架蔵盤をオーダー。
コル・ニドレほかユダヤの古い歌のチェロ編曲10、現代の作曲家シゲル(Zygel、1960〜)による新作3、ブロッホニグンほかの小品5の、計18曲を収めたCD。
前2者は1989年、ブロッホは1996年の録音。
 
ミラン・トゥルコヴィッチ(Fg)ほか、「ユナイティッド・サウンズ・オブ・バスーン」(Koch)
長らく捜していた盤をようやく見つけたのでオーダー。
もとは『200CD 管楽器の名曲・名盤』(立風書房)119頁で
「ファゴットのみの合奏にはけっこう名盤が多いけれど、これはもう、圧巻です。(略)同族楽器アンサンブルの神髄は、そう、娯楽性の高さにありと見た。」
と紹介されていたもの。
名人トゥルコヴィッチのほか、
ダニエレ・ダミアーノベルリン・フィル
クレリア・ゴールディングスリル管
リヒャルト・ガラーウィーン響
が、曲により2〜4人で、
プロコフィエフ;諧謔的スケルツォ
モーツァルト;ソナタK.292
から
シッケレ;ラスト・タンゴ・イン・バイロイト(「冗談音楽の怪作」とのこと)
デズモンド;テイク・ファイヴ
等まで、24曲を吹きまくる。
なお、フィリップ・モル(P)、ペーター・ザドロ(Perc)も参加。
ブックレットには、手に靴を履いて(笑)、不気味な笑いを浮かべているザドロの写真があり、興味津々。

4月21日(金): 

 音盤屋に立ち寄ったところ、5月新譜の国内盤等が大量に(!)入荷していた。

ベンジャミン・ブリテン(指揮)イギリス室内管、モーツァルト;交響曲第39・41番ほか(DECCA)
BBCのライブラリーにあるブリテンの音源が、今度はDECCAからリリースされた。オールドバラ音楽祭関連の演奏ということである。
ブリテンのモーツァルト;交響曲の録音は、DECCAのスタジオ録音で第25・29・38・40番が出ており(CDあり)、いずれも名演の評判が高かった。(また、最近のBBCライヴで、第35番がある。)
その穴を埋める39・41番が出たとなると見逃せないので購入。
収録日時は次のとおり。
モーツァルト;交響曲第41番(1966年6月14日、サフォーク・ブライスバラ教会、ステレオ)
モーツァルト;交響曲第39番(1962年6月10日、BBCスタジオ、モノラル)
念友ピーター・ピアーズ(Ten)の独唱によるコンサート・アリア2曲(K.209・K.420)をフィルアップ。
音質はいずれも美しく、聴きやすい。
 
小林研一郎(指揮)日本フィル、ブラームス;交響曲第3・4番(EXTON)
既に1・2番が出たEXTONからのブラームス、残りの2曲がCD1枚に収められてのリリースとあらば買わざるべからず。
1999年12月9・10日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
特に第4番は、今年3月に大阪センチュリー響との素晴らしいライヴがあっただけに、期待高し。
 
ピオトル・パレチニ(P)カジミシェ・コルト(指揮)ワルシャワ国立フィルほか、シマノフスキ;交響曲第4番・バレエ「ハルナシェ」(accord)
好きで集めている曲、シマノフスキの第4交響曲(協奏交響曲とも)の新しい録音が出てきたので購入。
実質的にはピアノ協奏曲に近いので独奏者がクレジットされるが、パレチニは、セムコフ盤(EMI)、エルダー盤(IMP)に続いて、これが3枚目になる。
1996年6月12日の録音とあるが、ライヴかどうかは不明。
 
ジャン・フルネ(指揮)オランダ放送フィル、「フランス管弦楽曲集」(DENON)
フルネの新譜は、即、購入するしかない。
発売中の『レコード芸術』5月号に、フルネのインタビューがある。最近の音楽活動を尋ねられて、
「なるべくフランス音楽、そして我々の時代の作品、また十分に演奏されていない作品を選ぶように心掛けています。」
「忘れられる傾向にある大作曲家たちに光を当てることが、自分の使命だと思っているのです。」
と答えている。
このCDも、その線で演奏・録音されたものだろう、
イベール;交響組曲「寄港地」
ドビュッシー(コンスタン編);『ペレアスとメリザンド』による交響曲
デュリュフレ;3つの舞曲
を収録。録音は少し前で、1996年9月12日とある。
イベールは、まあ有名だが、ドビュッシーは原曲(オペラ)の間奏曲を、いっさい手を加えずに、つなぎ合わせたものだという。
デュリュフレの曲も珍しいが、先だってカントロフ盤(ERATO)も出ていた。
なお、上記インタビューでは、フローラン・シュミット;「サロメの悲劇」もリリース待ちとのこと。大いに楽しみである。
 
ローラン・コルシア(Vn)ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)エネスコ;Vnソナタ第3番&ヤナーチェク;Vnソナタほか(BMG)
これまでLYRINXから発売されていたコルシア、ピアニストに名手プリュデルマシェを得て、メジャー・レーベルから登場である。
曲目は標記2曲のほかに
バルトーク(セーケイ編);ルーマニア民俗舞曲
ブロッホ;ニグン
ラヴェル;ツィガーヌ
1999年6月の録音、「ツァーン」(Zahn)の異名があるストラディヴァリの銘器を用いているとのこと。
 
加藤知子(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(DENON)
2月にコンサートで聴いて感心した加藤さんの新譜が出たので、さっそく購入。
彼女のファンである知人によると、実演でもバッハは凄いとのこと、大いに期待したい。
1999年5月・2000年1月の録音。
 
寺神戸亮(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(DENON)
寺神戸さんの新譜は追っかけることにしているので、さっそく購入。
彼の同曲は、一昨年3月に実演に接しており、高度な技巧を要求する音の運動の中から、音楽そのものが立ち現れることを感得させてくれた。これまた大いに期待したい。
1999年5月・10〜11月の録音。ライナーノートも、演奏者自身による、約20頁の充実したもの。
 
なお、↑の加藤盤ともども、いくらバッハ・イヤー(没後250年)といっても、同じ会社が同じ日に同じ曲を発売するかヨ…と、妙な話題になったCD。
 
ベンジャミン・ブリテン(指揮)イギリス室内管ほか、バッハ;カンタータ第102・151番ほか(DECCA)
DECCAのブリテン未発表音源シリーズの一。
ブリテンの指揮ものは、とにかく聴いてみたいので、購入。
バッハ;カンタータ第151番「甘き慰めなるかな、わがイエスは来ませり」(1968年12月22日、ホルボーン・聖アンドルー教会)
バッハ;カンタータ第102番「主よ、汝の目は信仰を顧みるにあらずや」(1965年6月26日、サフォーク・ブライスバラ教会)
パーセル;メアリー女王の誕生日のためのオード「この祝典を祝い奉れ」(1967年3月2日、ロンドン・クイーン・エリザベス・ホール)
いずれも、かなり録音が珍しい曲。
ブリテンのバッハにはブランデンブルク協奏曲ヨハネ受難曲の、パーセルには「妖精の女王」のスタジオ録音があった(DECCA、CDあり)。

4月20日(木): 

 朝比奈隆(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団(いずみホール)を聴きに行く。
 大阪フィルは一昨年9月に井上道義指揮のショスタコーヴィッチを聴いて以来、朝比奈さんは1986年1月にブルックナー;交響曲第7番を聴いて以来の超・久しぶりの実演。
 当初、予定はしていなかったのだが、知人からチケットを譲っていただいて、行くことになったもの。

 驚いたことに、大学時代の友人に20年(?)ぶりに再会した。もっとも彼は当時から熱心な朝比奈ファンだったから、不思議はないのだが。
今日の曲目は、
チャイコフスキー;弦楽セレナード
ドヴォルザーク;交響曲第8番
というもの。
「入魂のドヴォルザーク」とチラシ等に謳われている。
 
向かって左側上方のバルコニー席だったので、ヴァイオリンの人数は見えなかったが、ヴィオラ10、チェロ7、コントラバス6だったから、大ホールでやるときとそんなに変わらない人数だったろう。
 
チャイコフスキー;弦楽セレナード、開始から、ずっしりと、よく鳴っている。さすが朝比奈…というところ。
もっとも、それ以外では不満がなくもない。
弦の響きにザラつきが残り、ボウイングやアーティキュレーションの細部のキレが良くない。
リズムが重いのか、音楽の流れも滞りがち。
曲が進むにつれて、音程のばらつき(幅)が耳につきはじめた。
指揮者はピアニッシモやフォルテを振っているのだが、弱音の緊張感や強奏の解放感が伝わってこない。
 
休憩後のドヴォルザーク;交響曲第8番では、曲想が華やかな分、朝比奈の音楽の剛毅さが前面に出て、良い結果が得られた。
特に第2楽章真ん中すぎ、クラリネットがピアニッシモに沈むあたりから引き締まった感じで、その直後の高揚も見事。
 
熱心な朝比奈ファン(複数)によれば、今日は良い出来に属するとのこと。
最近、高齢のせいか体調のせいか、好不調の波が大きいそうな。
今年92歳になる朝比奈の、演奏機会が少なくなったスラヴ音楽を、上出来な演奏で聴く機会が与えられたことに感謝したい。
 
ただ苦言を呈せば、今日の音楽が「朝比奈&大フィルでしか聴けない」ものであったかどうか、疑問なしとしない。

4月17日(月): 

 

ミクロシュ・ペレーニ(Vc)デネシュ・ヴァーリョン(P)リゲティ;無伴奏Vcソナタほか(HUNGAROTON)
待望のペレーニの新録音が、ようやく入荷したので購入。
録音は1998年12月〜1999年8月にまたがっているが、今年2月の来日時にリサイタル会場のカザルス・ホールで販売していたという情報があり、あちこち捜したが見つからなかった。
国内代理店から発売されるというので注文したのが2月半ばだから、まる2カ月かかったことになる。
「ハンガリーのチェロ音楽」と題されたアルバムで、標記リゲティのほか、2月のリサイタルでも演奏されたヴェレシュ;無伴奏Vcソナタ、あるいは
ファルカシュリストドホナーニヴァイネルミハーイといったハンガリーの作曲家の作品計9曲を収録。
ピアニストは昨年の来日時に同行していた若い人。
 
ブルーノ・ラプラント(Br)ジャニーヌ・ラシャンス(P)フランク;歌曲集&ルクー;歌曲集(CALLIOPE)
ルクーの作品は集めておきたいので購入したもの。
収録曲は、「五月の歌」「罌粟」「墓の上に」・「ロンド」・「ノクチュルヌ」(「3つの詩」)の計5曲。
ちなみにフランクは7曲を収める。1978年、モントリオールでの録音。
国内盤LPも出ていたし、CD化も初めてではないと思うが、ずっと買いそびれていた。
値段も安くなっていたので飛びついたのだが、なんたることか、ブックレットに対訳はおろか歌詞さえ掲載されていない。(T_T)

4月16日(日): 

 

鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;マタイ受難曲(KING)
来週土曜日に、彼ら(以下「BCJ」と略す。)の同曲の実演を聴きに行くので、その予習を。
なにぶん、久しく全曲を通して聴いていないのである、恥ずかしながら。(^^;
 
マタイって、こんなに美しい曲だったのか…というのが、まず思い浮かんだこと。
人の罪深さを指弾することより、その罪を己に引き受ける心の清らかさや、キリストへの愛を歌うことに重点が置かれているように思えた。
それゆえに処刑の場の前後に置かれた優しいアリアが映え、中でも第65曲「私の心よ、おのれを清めよ」(バスのアリア)が、全曲のピークであると感じられたのである。
 
この曲には、もっと厳しく、深刻で、圧倒的な音楽というイメージが強かった。聴き始めがクレンペラー盤(EMI)だったりリヒター旧盤(Archiv)だったりしたせいも大きいだろう。
これらの歴史的名演に比して、BCJの編成は小さく、もちろん古楽派の奏法によっており、違ってくるのは自明だが。
 
独唱者はいずれも美声で優れた歌唱。同曲CD中ベストとは言わないが、特に不満はない。
中でも福音史家のゲルト・チュルク(Ten)は、明るい美声で口跡が綺麗だ。
例の「ペトロの否み」でも、ヘフリガー式の「声涙下る…」表情はないが、ピンと緊張感の高い歌唱を聴かせる。
 
器楽ではとりわけ通奏低音の雄弁さが光っており、ポイントポイントでは、音楽の(受難のストーリーの)性格を感じた、鋭い踏み込みをみせる。
木管にもう少しキレがあればと思わないではないが…。
 
録音会場(神戸松蔭女子学院大学チャペル)の響きも美しい。
ただ斉諧生宅のオーディオ装置では、合唱の線の絡みが残響に埋もれがちになったのが残念。
 
なお、BCJの公式サイトがオープンしている。→ここを押して

4月15日(土): フェルメールとその時代大阪市立美術館 を見に行く。
 土曜の午後なので心配だったが、意外に混雑しておらず、行列、入場制限等、まったくなし。
 いきなり館蔵品(?)の「洛中洛外図屏風」ほかが展示してあって度肝を抜かれたが(笑)、同時代の画家の作品に前後を挟まれて、フェルメールの作品5点が展覧されている。
 他と比較することで、フェルメールの特質がいっそう明らかになる趣があった。
 衣服等の質感の表現には、皆が力を入れていたようだが、フェルメールの上手さは一頭地を抜き、しかも技巧が目立たない。描かれた人物に三次元的な実在を感じた、といっても過言ではない。
 また、人物の表情の夢幻的な趣にかけては、もう次元が違うとしか言いようがない。
 5点のうち、メインの「青いターバンの少女」(公式サイトの画像にリンクしていますが、実物はこんなものではない!)がもちろん最高だが、「地理学者」も良かった。
 当頁で音楽以外の話題は滅多と掲載しないのだが、これは別。ぜひぜひ、御観覧をお薦めいたします。

 久しぶりに大阪・心斎橋の音盤屋へ。

ダニエレ・ガッティ(指揮)ロイヤル・フィル、マーラー;交響曲第5番(Conifer)
このところ、ずっと苦手にしてきたマーラーの開拓を試み中。
一昨年話題になったガッティの5番、マーラー好きの知人の評価も結構いいので気になっていたが、特価品で並んでいたので購入してみた。
 
フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀管、ハイドン;交響曲第89番・協奏交響曲ほか(Philips)
Philipsからこのコンビの新譜がリリースされるのは久しぶり。この前のは同じ作曲家のパリ・セット6曲だったから、ハイドンだけは出し続けるのだろうか。
もっとも出来立てホヤホヤの新録ではなく、交響曲は1997年2月、協奏交響曲は1996年6月の収録。
後者のソリストは、ルーシィ・ファン・ダール(Vn)、ヴァーター・ムラー(Vc)、クー・エビネ(Ob)、ダニー・ボンド(Fg)と、お馴染みの首席連中。
ブリュッヘンの指揮盤なら買うことにしているので購入。
カプリングは既発売の第88番、使い回しには不満。
 
モーリス・ジャンドロン(Vc)ジャン・フランセ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第1・5番&ブラームス;Vcソナタ第1番(INA)
以前、入手に苦労したINAレーベルの歴史的録音CDが安価で並んでいた。ちょっと口惜しいが(笑)、未架蔵盤のうち気になったものを購入。
ジャンドロンはカザルスの高弟、晩年に群馬響を指揮したブラームス;交響曲第4番のCDも面白く、彼の演奏は聴いてみたい。
ピアノはフランセ、作曲家のピアノは時に面白いことがあるので、これも期待。
放送用録音のCD化のようで、ベートーヴェン;第1番とブラームスは1952年1月の、ベートーヴェン;第5番は1954年4月の収録。
このシリーズは全体に、ブックレットの写真を見るだけでも面白い。お薦め。
 
ヴラディーミル・アシュケナージ(P)ラフマニノフ;24の前奏曲(DECCA)
ラフマニノフの前奏曲集、一昨日買い損なったアシュケナージ盤があったので、これも購入。(苦笑)
まあ、聴き比べも面白いだろう。
これは2枚組にPソナタ第2番をカプリング。
 
ウェイン・マーシャル(Org)「Get Organised!」(Virgin)
マーシャルが本職(?)オルガニストへ戻っての新譜は、有名管弦楽曲の編曲版(録音は1993年)。
デュカス;ラ・ペリのファンファーレに始まり、
J・シュトラウス2世;「こうもり」序曲
J・シュトラウス(父);ラデツキー行進曲
ヴェルディ;「椿姫」第1幕への前奏曲
ロッシーニ;「ウィリアム・テル」序曲
等々、計11曲を演奏。うち8曲はマーシャル自身の編曲による。
イギリス・ピーターバラ大聖堂のオルガンを弾いている…とのこと。

4月13日(木): 

 

ギュンター・ヴァント(指揮)北ドイツ放送響、ドビュッシー;交響的断章「聖セバスチャンの殉教」&ムソルグスキー;「展覧会の絵」(BMG)
なんだかんだ言ってヴァントの録音はずっと買っているが、意表を突くレパートリーが出てきたので驚いて購入。まぁ、こっちが迂闊だっただけだろうが。
「聖セバスチャン〜」をドイツ系の指揮者が録音するのは珍しいだろう。ライナーノートによると、1967年に初めて振って以来、ヴァント偏愛の曲なのだそうな。
録音は1982年9月20日のライヴというから、もう十数年前。適当なカプリングの相手が見つかるまでお蔵入りしていたのだろうか。
なお、これはドビュッシーの劇音楽からキャプレが約20分に再構成した版。
一方、「展覧会の絵」は1999年2月21〜23日のライヴ録音。もちろんラヴェル編曲版。
 
モーラ・リンパニー(P)ラフマニノフ;24の前奏曲(ERATO)
ピアノ独奏曲は滅多と聴かない斉諧生だが、薦める人あって、この曲集に挑戦することにした。
アシュケナージ盤が良いらしいのだが、店頭に輸入盤の在庫が無く、ラフマニノフはお好き?の掲示板で推す人のあった、この盤を購入。
作品3-2、作品23、作品32の計24曲、演奏時間81分強をCD2枚に収め、価格は1枚分。
リンパニーの令名は知っていたが、音盤を買うのは初めて。1993年4月、ロンドン・アビー・ロード・スタジオでの録音。
 
アンドルー・パロット(指揮)タヴァナー・コンソート、ジェズアルド;聖金曜日のためのテネブレ(Sony Classical)
ジェズアルドについては、先頃、水原冬美『大貴族・殺人者・前衛作曲家』(草思社)という、少々、センセーショナルなタイトルの評伝が出版された。彼についての日本語のまとまった書物としては、たぶん初めてのものではないか。
半音階を大胆に用いた彼の音楽には、以前から関心があるので、この新譜も買ってみた。
彼の作品ではマドリガルが有名だが、宗教曲の代表作が聖週間のために書かれたレスポンソリウム。CDではヒリアード・アンサンブル盤(ECM)が出ていた。
これは、そのうち聖金曜日のものだけを取り出し、アンティフォナ・詩篇・聖書朗読を加えて、聖務日課の再現を試みたもの。

4月12日(水): 

 通販業者から荷物が届く(2口)。

ユッシ・ビョルリンク(Ten)カール・フォン・ガラグリ(指揮)交響楽団ほか、「ライヴ」(Bluebell)
イギリスの通販サイトCrotchetで見つけたCD。
音源の存在と、LPで出ていることは知っており、捜していたがなかなか手に入らなかったところ、ここでCDがあるとわかったので、早速オーダーしたもの。
1954年6月9日、ベルゲンでの録音。オーケストラはベルゲン・フィルであろう。
ヘンデル;オンブラ・マイ・フ(「セルセ」より)ヴェルディ;インジェミスコ(「レクイエム」より)の他、ニーダーマイヤーアルヴェーンシベリウスグリーグ、計7曲を演奏している。
また、1939年6月8日のオランダ・ヒルヴェルスムでのライヴ録音6曲を収録。
 
エイドリアン・ボールト(指揮)ロンドン・フィル、モーツァルト;交響曲第35・41番(英EMI、LP)
ボールトのモーツァルトは、第41番のCDがRoyal Classicsレーベルからバジェット・プライスで出ており(カプリングはアンソニー・コリンズ(指揮)の第40番)、硬派の演奏に好感を持っていた。
そのオリジナルと第35番のLPがカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
1975年録音のようだが、当時のEMIがよくやっていたクォドラフォニック(4ch)・エンコード盤だった。これだと再生音のクオリティが少し下がるので、残念。
 
サイモン・ラトル(指揮)ノーザン・シンフォニアほか、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「プルチネッラ」ほか(英EMI、LP)
1977年、ラトルの初期録音の一つである。このあたりの彼は集めてみたいと思っており、オーダーしてみたもの。
歌唱入りの全曲盤、歌手はジェニファー・スミス(Sop)、ジョン・フライア(Ten)、マルコム・キング(Bs)。
小管弦楽のための組曲第1・2番をフィルアップ。
これまたクォドラフォニック(4ch)・エンコード盤、残念。
 
ピーター・ドノホー(P)ルドルフ・バルシャイ(指揮)ボーンマス響、チャイコフスキー;P協第2番(英EMI、LP)
実は曲やピアニストには関心がない。(笑)
第2楽章のVn・Vcのソロを、それぞれナイジェル・ケネディスティーヴン・イッサーリスが弾いているというのでオーダーしたもの。
収録は1986年8月、両者とも少し売れ出してきた頃だ。ジャケット裏に写真があるが、若いこと若いこと。
ファンの多い2人だが、この録音は意外と知られていないのではないか。あとで知ったのだが、CD化もされている。
デジタル録音はCDで持つことにしているので、実はちょっと口惜しい。(笑)
 
カール・メレス(指揮)オーストリア放送管ほか、ダラピッコラ;歌劇「囚われ人」(伊Italia、LP)
このオペラ、昨年末に上演されたデュトワ&N響の録画が、NHK教育テレビで放映された(4月2日)。
録音を見かけるたびに買ってきたが、これで4枚目になる。
古い順に、
エットーレ・グラチス(指揮)ラ・フェニーチェ劇場管ほか(MONDO MUSICA、CD)(1967年2月22日のライヴ録音)
当録音(1971年6月)
アンタル・ドラティ(指揮)ワシントン・ナショナル響ほか(DECCA、国内盤LP)(1974年4月録音)
サロネン(指揮)スウェーデン放送響ほか(Sony Classical、CD)(1995年3月録音)
独唱はリリアナ・ポリ(Sop、母)、エバーハルト・ヴェヒター(Ten、囚われ人)、ジェラルド・イングリッシュ(Br、看守)ほか。
放送用録音とおぼしいモノラル収録である。

4月10日(月): 

 本屋に行っても音盤を買ってしまう業の深さ…(^^;

エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)ソビエト国立響、カリンニコフ;交響曲第1番ほか(Gramzapis)
これはスヴェトラーノフ普及促進委員会から頒布いただいたCD。
最近、急速に認知度が上がってきた同曲の、幻の(?)名演として令名高いスヴェトラーノフ盤、噂だけ羨ましく聞いていたが、ようやく手にすることができた。
詳しくは、上記Webpageを御覧いただきたい。
R・コルサコフ;歌劇「貴族夫人ヴェーラ・シェロガ」序曲・歌劇「プスコフの娘」より4曲をフィルアップ。
こういうファンの活動が可能になり、また、それを知ることができるのも、ネットの偉大さの一つだろう。関係者の御努力に感謝したい。
 
「聲明 マンダラのきらめき」(春秋社)
 
「聲明 天台聲明と五台山念仏へのいざない」(春秋社)
以上2点とも「CDブック」として発売されているもの。書店で購入。
斉諧生がクラシック音楽以外で追いかけているジャンルが、東方教会聖歌と聲明。
「マンダラ〜」は、平成7年10月29日、京都コンサートホールでのライヴ録音。
同ホールのオープニング・シリーズの一環で、舞楽・雅楽との共演による「舞楽法要 庭儀曼荼羅供」を収録したもの。
「五台山念仏」は、平成10年4月26日、京都大原の勝林院阿弥陀堂でのライヴ録音。こちらは聲明のみ。
いずれも大原魚山聲明研究会(指導;天納傳中(あまの・でんちゅう)大僧正)による演奏…朗誦、いや読経と言うべきか…である。

4月9日(日): 

 

工藤重典(Fl)ダグ・イェンセン(Fg)宮本文昭(Ob)小澤征爾(指揮)水戸室内管、モーツァルト;Fl協第1番・Fg協&R・シュトラウス;Ob協(Sony Classical)
名手3人を揃えた瞠目の企画、国内盤が出たときから垂涎していたが、輸入盤を特価品で見つけたので飛びついて購入。
工藤・イェンセンは同曲の再録音、宮本は初録音とのこと。
 
ミカ・ヴァユリネン(Accordion)アッツォ・アルミラ(指揮)クオピオ響、ピアソラ;バンドネオン協奏曲・3つのタンゴほか(FINLANDIA)
ミカ・ヴァユリネンに御注目を!
先に同じレーベルから出た「タンゴ・フォー・フォー TANGO for four」でのピアソラ演奏が素晴らしかったし、MILSレーベルの2枚での表現力も強烈。
その彼がピアソラの協奏的作品2つを録音したとあっては、とても放っておけない。
録音情報に接して以来、鶴首していた。国内盤は先月末に出ていたが、輸入盤を見るまで辛抱していたもの、これまた飛びついて購入。
注釈しておくと、この2曲、曲名から受けるイメージはずいぶん異なるが、作曲年代は近接、楽器編成・規模・構成とも酷似しており、姉妹作と考えてよい。
「アディオス・ノニーノ」・「忘却」の管弦楽編曲(カルロス・モレラによる)をフィルアップ。
 
パトリック・ペイレ(指揮)カペラ・ブルゲンシスほか、モーツァルト;ヴェスペレK.339ほか(NAXOS)
愛惜佳曲書に掲げた「ラウダーテ・ドミヌム」を含むK.339の新録音は久しぶりでは?
ベルギー・ブルージュに本拠を置くらしい、初耳の指揮者と団体の録音だが(独唱者もアンサンブルのメンバー)、古楽系の清楚な歌唱が聴けるのではと期待して購入。

4月8日(土): 

 通販業者ほかから荷物が届く。

ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)ミュンヘン・フィル、ブルックナー;交響曲第8番(KING)
1963年1月24日、ミュンヘン・ヘラクレスザールでのライヴ。有名なWestminster盤は、この直後のスタジオ録音である。
ネット上のクナ・ファンの聖地Syuzo's HomepageのWebmasterであるsyuzoさんが、「すべてのブルックナー;第8交響曲に冠絶する」と言い続けておられ、ぜひ聴いてみたいと願っていた演奏。
数年前の発売で今では入手難とのことだが、やはりsyuzoさん主宰のKna-parc MLでの交流から、譲っていただくことができた。感謝申し上げる。
モノラル録音で、やや輪郭のぼけた音だが、鑑賞に支障はない。
 
シェリー・クロス(Vn)アイク・アガス(P)「忘れられた宝石」(PROTONE)
これ以下はH&B Recordings Directからの入荷。クラシック専門の通販サイトで、他のサイトに無いものがあるのはよいのだが、Order Statusがわからない・Shippedのメールがこない等、サービスはイマイチ。
 
妙なタイトルのアルバムだが、サブタイトルが「ハイフェッツの遺産から」。
彼が愛奏した多く小品のうち、最近のヴァイオリニストがあまり演奏しないものを24曲、収めている。
で、そのうち1曲がリリー・ブーランジェ;行列。彼女の作品の全録音蒐集プロジェクトの一環としてオーダーしたもの。
その他では、ラフマニノフ(ハイフェッツ編);雛菊クロル;バンジョーとフィドルのような、まあそこそこ有名な曲もあるが、作曲者の名前すら初耳のものも多い。
なお、ヴァイオリニスト・ピアニストとも、晩年のハイフェッツのマスタークラスで助手やピアニストを務めたとのこと。
 
マリオ・ブルネロ(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(AGORA)
アントニオ・ヤニグロらに学び、1986年のチャイコフスキー・コンクールで第1位をとったチェリストは、今年で40歳とのこと。
何かのベスト盤選びで、これを挙げた人がおり、気になっていた。
ひと頃、店頭でよく見かけたのに、いざ…となるとどこにも見あたらず、ようやくH&Bで発見、オーダーしたもの。
ジャケットには、1993年1〜4月、トリノ音楽院でのライヴ録音とある。
 
ヴィト・パーテルノステル(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(MR Classics)
店頭ではついぞ見たことのないレーベルだが、メニューイン&ミルシテインのページバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ聴き比べで、N.M.さんが並み居るヴァイオリニストの名盤を抑えて、この人がチェロで弾いたものをベストに推しておられる。コメントに曰く、
「いわゆる『語る』演奏ですが、この高雅さ、荘厳な雰囲気、それでいてシェリングのように重苦しくなく軽快でしかも神童時代のメニューインを思わせる力と熱があるというのはとてつもないことです。」
で、ぜひ一度聴いてみようとオーダー、ついでにチェロ組曲の方も買物籠に入れたところ、そちらが先に届いたのである。
「我らが父(=神様)」という姓を持つチェリストの略歴等は不明だが、ブックレット掲載の写真を見た感じでは、まだ30歳代だろうか。

 昨日の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 今日届いたCDの情報をリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。


4月7日(金): 

 大阪センチュリー交響楽団いずみホール定期演奏会(指揮:高関健)を聴きに行く。
 このホールは久しぶり、しかもオーケストラとなると9年ぶりくらい。
 ムジークフェラインザールを模したような造りのせいか残響が長いホールなので、美しい響きを期待した。席は後ろから4分の1くらいの列の、ほぼ中央。

ところが、音響は、ちょっと期待はずれ。
響きすぎて、総奏で木管が埋もれてしまうなど、マイナス傾向が見られた。
今日の曲目は、
ベートーヴェン;交響曲第1番
ベートーヴェン;交響曲第3番
というもの。
ジョナサン・デル・マー校訂によるベーレンライター新版に基づく連続演奏の第1回、しかもライヴ録音してCD化の計画もあるとのこと。
このため、開演前に指揮者が登場して事情を話し、携帯電話とフライング拍手について注意を促した。
演奏者が集中を要する時間帯に、こういうことをしゃべらなければならないのは、気の毒だと思う。斉諧生は携帯電話を持たない主義。
 
なお、いずみホールで古典派を演奏するときの例で、センチュリー響は古典配置。
左から第1Vn-Vc-Va-第2Vn、中央に木管、その後ろにCbが横一列。
舞台上手の後列にHrn-Trpが座って、その後ろにTimp。
 
交響曲第1番
端正かつ明快な音楽。
前進するリズム、軽めのサウンドで、若々しさ、フレッシュさを強くアピールした。
高関は、近代以降の音楽を指揮すると、全身で克明かつ流麗な棒を振って、下手をすると聴衆の注意力を浚えてしまうことすらあるのだが(笑)、今日は指揮棒を持たずに抑制した振り方、しかも要所々々では気迫溢れるリードを行った。
特に終楽章後半の高揚はなかなか見事。
最後の和音の残響が静まるのを待ちかねたように拍手とブラヴォーが湧いたのも、むべなるかな。
 
ただ、斉諧生的には、やや欲求不満を残した。
快速テンポであっさり進められた第2楽章が、若干コクに乏しい感もあったが、これは上記のような音楽づくりと裏腹ゆえ、やむを得ないだろう。
しかしながら、第1楽章展開部の終り→再現部の入り や、第4楽章序奏→提示部の入り 等で、緊張→解放の推移が構築しきれなかったのは、ベートーヴェン演奏のあり方として、疑問を感じるのである。
 
交響曲第3番
第1楽章冒頭の和音が気迫と力強さに満ちたもので、まず感心。
前へ前へ進むリズムは、さながら青年英雄を思わせる。
 
第1番で少し不満に思った内声の薄さが、ホルンの活躍で解消されたことも感銘を深くした。
この日の編成では、ホルンは3本。この曲で首席奏者(ドンナ・ドルソン)が加わったとたん、ホルン・パートの存在感が急に増し、音楽が厚みを帯びてきたのである。
優れた楽員の存在価値を再認識したが、別な見方をすれば、楽器間のバランスが楽員の出番・降り番に左右されていいのか、指揮者の音楽はどこにあるのか、という疑問が生じなくもない。
 
第2楽章でも、150〜152小節の弦合奏の陰の濃いズシリとした響きなど、充実した音楽を聴かせた。
斉諧生的には、135小節以下のホルンや166小節以下のトランペットは思いっきり膨れ上がってほしいところ。
これは全体のフォルムを崩すかもしれないが、そういう踏み外しこそ、古典派の枠に納まりきれなかったベートーヴェンの姿ではないかと思うのだ。
 
きっちりしたリズムと流れを維持した第3楽章、ぎっしり詰まった第4楽章と、全体に立派な演奏で、終演後の熱烈な拍手も頷ける。
センチュリー響は室内管編成、喩えて言えば「山椒は小粒でピリリと辛い」というところ。
とはいえ、このオーケストラを小林研一郎が振った「英雄」には、「小粒」と感じさせない巨大さがあった(平成7年6月29日)。
優劣ではなく資質の違い…といえばそれまでだが。
 
もちろんオーケストラの出来は良かったが、「センチュリーならもっと上手いときもある…」と感じたのも事実。
特に、弦合奏が美しい和音を聴かせてくれなかったのは残念。全強奏が「ズゥーン」でなく「ベシャーン」という響きだった。
シンフォニー・ホールとの差が出たのか、コンサートマスターや首席チェロ奏者の顔ぶれが異なることから生じた問題か、あるいは指揮者の持つ響きの違いか。
 
そうそう、先月19日にこのオーケストラを聴いたとき、見事なソロを弾いたチェロの首席奏者(レオニード・グルチン)がいない…と思ったら、プログラムに退団の告知があった。これは残念。
 
終盤、ホルンに音の割れが目立ったのも気になった。録音用にゲネ・プロで吹きすぎたのかも…というのは勘ぐりか。
また、ティンパニがボンボン響きすぎているように感じた(特に第1番で)。
こういう編成&演奏スタイルの場合、ティンパニは、京都市響の奏者(奥村隆雄)のように、古楽器風のものを用いると良いのではなかろうか。

4月6日(木): 

 

クリフォード・カーゾン(P)ダニエル・バレンボイム(指揮&P)イギリス室内管ほか、モーツァルト;P協第10・27番ほか(BBC LEGENDS)
カーゾンのモーツァルト、買わざるべからず。
彼の第27番は、死後にようやく日の目を見たブリテンとの録音(DECCA)があり、同曲CD中ベストを争う。
指揮のバレンボイムも、この曲の弾き振りを得意にしており(EMI、TELDEC)、その共演ならば期待高し。
収録曲と日時は次のとおり。
P協第10番(第2P;バレンボイム)
P協第27番
(以上、1979年9月11日ロイヤル・アルバート・ホール)
2台のピアノのためのソナタ(第2P;ベンジャミン・ブリテン)
(1960年6月23日オールドバラ・ジュビリー・ホール、モノラル録音)
 
エマニュエル・パユ(Fl)スティーヴン・コヴァセヴィッチ(P)カタリナ・カルニュス(M-S)トルルス・メルク(Vc)、ラヴェル;マダガスカルの歌ほか(EMI)
現代の「チェロの貴公子」メルクの新録音ということで購入。
もちろんメインはフルートのパユで、
ドビュッシー;シランクス
同;ビリティス(Fl&P版)
同;レントより遅く(P独奏)
プロコフィエフ;Flソナタ
を収めている。メルクは標記ラヴェル作品のみの参加。
ところで…
この盤の男性奏者3人を並べると、みごとに額が抜け上がっている(つつある)点で共通している…なんて書いたら、天下のパユ・ファンに石を投げられるだろうか。(笑)

4月4日(火): 

 

高関健(指揮)群馬響、マーラー;交響曲第9番(コジマ録音)
日本人指揮者と日本のオーケストラによるCDには関心を持たざるをえないのだが、斉諧生は高関健が少々苦手、どうしようかと思っていたら、Classical CD Information & Reviewsさんにレビューが掲載されていた。
いつもながら素早く、かつ的確なコメントで、とても参考になる。→ここを押して
演奏評はさておき、注目したのは、
「このCD解説書には,高関健自身の文章が載っていて,高関は中3の時に初めてこの曲を聴いて以来,高校生の頃は毎日のようにスコア片手にこの曲を頭の中で鳴らし続けていたんだそうで,」
という部分。こういう思い入れのある曲ならば、ぜひ聴いてみたいと考えて購入を決めた次第。
高関自身の文章は、それ以外にも、マーラー論として非常に興味深いもの。中でも
「(指揮者にとって)作品に込められた誇大妄想的で且つ祝典的な性格を再現する事こそ、与えられた最大の課題だと思う。」
という一節、考えさせられる。
1999年3月21日、すみだトリフォニー・ホールでのライヴ。録音状態は非常に良い感じ。
 
ウーヴェ・ムント(指揮)京都市響、スメタナ;交響詩「我が祖国」(Arte Nova)
ムントと京都市響によるArte Novaへの録音、当初は第1弾で出ると伝えられていたスメタナが、2枚目のCDとして登場、我が街のオーケストラゆえ、もちろん即購入。
これは昨年3月にステージにかけた曲目、それと前後して京都コンサート・ホールで録音されている。
斉諧生は演奏会を聴かなかったが、後で耳にした評判は良かった。前作のシベリウス以上に期待できるのではないか。
 
アイオナ・ブラウン(指揮)ノルウェー室内管、バルトーク;ディヴェルティメント&ヤナーチェク;牧歌ほか(CHANDOS)
ブラウンはネヴィル・マリナーのコンサートミストレスという印象が強くて損をしているが、指揮者としての手腕もなかなかのもの。
最近の手兵、ノルウェー室内管を率いてのバルトーク、聴き逃せないと購入。
標記のほか、ヤナーチェク;弦楽合奏のための組曲を収める。
名職人トニー・フォークナーが録音を担当しているのも心強い。
 
クイケン・ファミリー、ドビュッシー;室内楽曲集(ARCANA)
クイケン3兄弟と子供たち(たぶん)によるドビュッシー。ネット上でも少し話題が出ており、京都の店頭に並ぶのを待っていた。早速購入。
弦楽四重奏曲
シランクス
Vcソナタ
Fl・Va・Hpソナタ
Vnソナタ
を収録。
使用楽器はもちろん19世紀末から20世紀初頭のものがほとんどで、ピアノは1894年の、ハープは1926年の、それぞれエラール製。バルトルドは1910年頃のフルートを吹いている。
 
ピエール・アモイヤル(Vn)フレデリック・チュウ(P)グリーグ;Vnソナタ集(HMF)
あちこちのレーベルを彷徨うヴァイオリニスト、アモイヤルのHMFでの第2弾、グリーグが入荷していたので購入。この人の録音は集めているのだ。
ブックレット表紙の、ムンクによる乙女の後ろ姿の絵が印象的。
 
ミリアム・フリード(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(LYRINX)
懐かしい名前が新譜の棚にあり、曲もバッハ。レーベルは信頼するLyrinxゆえ、とても捨て置けずに買ってきた。
ヴァイオリニストはルーマニア生まれのイスラエル育ち、アメリカでアイヴァン・ガラミアンジョゼフ・ギンゴールドといった名教師に学んだ。パガニーニ・コンクール、エリザベス・コンクールの優勝者として有名になり、DGGから何枚かLPが出ていた。
その後、CD期に入って突如FINLANDIAからシベリウスの協奏曲を出したあと、またしばらく姿が見えなくなっていたもの。
しかし、この曲集の未聴盤も増えたなァ…。
 
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(M-S)ベングト・フォルスベリ(P)ほか、「フランス歌曲集」(DGG)
ショーソン;果てしなき歌が聴きたくなり、CD屋の棚を捜したところ、好きなオッターの盤が見つかった。
この曲をはじめ、弦楽器や管楽器を伴奏に加えた歌曲を集めたもの(編曲含む)。
弦楽にはニルス・エリク・スパルフ(Vn)マッツ・リドストレム(Vc)といった北欧の腕利きの名前が見え、期待高し。
収録曲はショーソンの他、
ラヴェル;マラルメの3つの詩
マルタン;3つのクリスマスの歌
ドラージュ;4つのインドの歌
サン・サーンス;見えない笛
プーランク;黒人狂詩曲
フォーレ;歌曲集「優しい歌」(弦楽四重奏を加えた作曲者自身による改訂版)

4月3日(月): 

 新年度に入って職場で異動があり(斉諧生はそのまま)、今夕は歓送迎会。その前にちょっと音盤屋に立ち寄る。

アンドルー・マンツェ(Vn)リチャード・エガー(Cem)ヤープ・テア・リンデン(Gamba)バッハ;Vnソナタ集ほか(HMF)
古楽派ヴァイオリニストでは寺神戸亮と双璧をなすマンツェのバッハ、これは買い逃せない。
また、収録曲が凝っている。
通常、第1〜6番とされるBWV1014〜19が収められるのだが、まず、BWV1019は、現行版のみならず初稿と改訂稿が再現できるよう別トラック4つを加えている。
更に、偽作ともされるBWV1021・23・24を加え、話題のトッカータとフーガ・ニ短調BWV565のヴァイオリン独奏版(マンツェ自編)をフィルアップ。
この、バッハのオルガン曲で最も有名な作品…というより、あらゆるクラシック音楽の中で知名度ではベスト3に入るだろう作品には、その書法から、失われたヴァイオリン曲からの編曲ではないか、という説があるのだ。

4月2日(日): 

 家で音盤三昧するのは久しぶり。

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ザールブリュッケン放送響、ブルックナー;交響曲第4番(Arte Nova)
好調のスクロヴァチェフスキのブルックナー・シリーズ、今回も期待どおりの素晴らしい出来。
じっくりしたテンポ、弦合奏の立体感、清澄な木管、金管の重厚な和音、模範的と言っていいブルックナー演奏である。
特に、通常埋もれがちな木管やヴィオラの音型を、ちゃんと聴かせて、見事に生かしている。
同曲CD中、ベスト・ワンを争うものと言っていいだろう。価格を考慮すれば、第一に薦められる。
使用楽譜はノヴァーク版のようだ。
ただし、第1楽章325小節のティンパニ追加や第4楽章76小節でのシンバル追加など、改訂版を取り入れている部分も見られた。
オーケストラの音に、もう少し厚み・暖かみがあると、更に良かったのだが。
これはたぶん録音の問題で、Arte Novaのブルックナー・シリーズを通じて言えることだ。
 
ピエール・ブーレーズ(指揮)クリーヴランド管、マーラー;交響曲第4番(DGG)
最近、気に入っているブーレーズのマーラー、最新の(といっても発売からはずいぶん経つが)第4番を聴く。
これまで聴いた第6・9番同様、「あく」を洗い流したマーラー演奏で、非常に気に入った。
第1楽章冒頭のリタルダンドもさほど粘らず、そこかしこにあるポルタメント指定も無視はしないが非常に控えめに弾かせる。
第3楽章27小節以下など、ワルターあたりとは全く別な音楽の感がある。
 こうした傾向は、近年のサロネン盤やラトル盤にも共通している。
 従来、ワルターの録音が、マーラー演奏に大きな影響を与えてきたとされるが、そろそろ、脱却しつつあるということだろう。
 もっとも斉諧生的には、徹底的に濃厚なメンゲルベルク盤も忘れることはできないが。
 
これまでにない表現に感銘を受けたのが第2楽章。
遅めのテンポで、落ち着いた音楽として演奏され、狂騒的に奏されることが多い変則調弦のヴァイオリン・ソロも、実に美しく(!)響く。
マーラー・ファンには噴飯物かもしれないが、斉諧生的には、これまでに聴いたこの楽章の演奏の中でベストに数えたい
静けさに満ちた第3楽章や、ソプラノ独唱が巧い第4楽章も良い。
もっとも、斉諧生的には、歌唱はもっと小さなバランスで録音してもらいたかったところだ。
また全曲を通じて、管楽器のソロが、音色といい表現といい、見事に息づいていることに感心した。このあたり、日本のオーケストラが、まだまだ及ばないところだ。
 
ウラディスラフ・ツァルネッキ(指揮)プフォルツハイム南西ドイツ室内管、ガーデ;弦楽のためのノヴェレッテ(ebs)
小人数のアンサンブルのわりに、合奏の音程に幅がある。あまり磨き上げていない感じ。
その分、楽しさ・愉快さが醸し出されている…と言えるかもしれないが、北欧の清澄、憂愁には乏しく、この曲を聴くためには、あまりお薦めできないと思う。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)アンドレイ・ストラシンスキ(指揮)ポーランド国立放送管、エルガー;Vc協(ebs)
冒頭の重音から、物凄い力の入りようである。エルガーといえば高雅な憂愁だが、それよりずっとずっと重い嘆きの音楽だ。
第2楽章の疾走は鮮やかだが(技巧的にも)、音楽は全然明るくならない。第3楽章が、これだけ遅い演奏も珍しいだろう。
独奏チェロに輪をかけて、管弦楽が重くて暗い。第4楽章の真ん中あたりに、独奏と弦合奏がユニゾンになる、実にカッコイイところがあるのだが、冴えないことおびただしい。
ユニークといえばユニークなエルガーだが、曇り空ばかりで青空がないのは、ちょっと違うだろう…という気がした。
 
村治佳織(G)山下一史(指揮)新日本フィル、ロドリーゴ;アランフェス協奏曲(Victor)
期待の新譜を聴く。
冒頭から、リズムがよく弾んだ独奏。ニュアンスにも富み、実にイキがいい。
ギターはかなりオンマイクで録音されており、弦の余韻まで、手に取るように聴こえ、彼女の美音をじっくり味わえる。
第2楽章ではカデンツァが聴きもので、突っかかっていくような勢いのある前半、中間のレジェッロは、ハープのように繊細で美しい。
技巧的にも全く危なげなく、自信をもって、自分の音楽を奏でていると聴こえる。数あるこの曲のCDの中で、十分、存在意義を主張できる独奏だ。
 
問題は管弦楽。
オーケストラの総奏が入ってくるたびに、貧相な響きにげっそりしてしまう。
表現意欲はあるようだし、ソロには上手いものもあるのだが(第1楽章のチェロ等)…。
フォルテの音が硬くて響きも薄く、音程もアンサンブルも怪しい。
第3楽章後半で管合奏とギターになるところなど、いったい何を感じているのだろうかと疑ってしまう色彩感の無さ。
独奏をピックアップした録音の加減もあるだろうから、オーケストラには多少気の毒ではあるのだが。もっともっと頑張ってほしいものだ。
 
ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)ルクー;Vnソナタ(ARION)
一昨日のコンサートで接したプーレを、CDで聴いてみる。
冒頭、主題に付されたポルタメントがちょっと煩わしいが、あとは、この人らしい、しっかりした弾き方。
このCDに聴く中低音の美しさは、天下一品だろう。
高音も細身の音だが、これはこれで美しく、音程の癖(いかにもフランス派だ)も、曲想にふさわしく気にならない。
第2楽章の速めのテンポが少し気になるが、第3楽章の高揚は、一昨日のP四重奏を思い出させる。
ピアノの録音バランスも良く、十分ものを言っていて、曲を堪能できた。
 
ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)「ディエス・イレ」(MILS)
ラフマニノフ;ヴォカリーズの歌心と哀感、スカルラッティ;ロ短調ソナタの消え入るようなはかなさ、いずれも素晴らしい弱音の美。
小型オルガンを思わせるボエルマン;ゴシック組曲も楽しい。
ゾロタルヨフ;ソナタ第3番では、憑かれたように疾走する音の中から"Dies Irae"のモチーフが浮かび上がる終楽章が印象的。
やはり凄い演奏家だと思う。昨年の来日公演を聴き逃したのが悔やまれる。
なお、彼が最近FINLANDIAから出したピアソラ・アルバムが、北欧クラシックCDで取り上げられている。

4月1日(土): 

 昨日の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 水曜に届いた音盤の情報を、ステンハンマル 作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。
 例年なら、斉諧生自序の音盤購入枚数を更新する日に当たっているが、先日のハードディスク・クラッシュで統計が失われてしまった。もちろん当「音盤狂日録」で数え直せばよいのだが、それにはもうちょっと時間をいただきたい。


平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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