音盤狂日録


1月31日(水): 

 

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)BBCフィルほか、フランク;交響曲・交響的変奏曲ほか(CHANDOS)
かねて贔屓の指揮者、Y.P.トルトゥリエの新録音が出ていたので購入。
フランクはパレーモントゥーらが残した名盤で好きな曲、トルトゥリエ息子がどう捌いているか興味津々である。
交響的変奏曲のソリストは、このレーベルにラヴェル等を多数録音しているルイス・ロルティ
交響詩「アイオリスの人々」をフィルアップ、2000年1月マンチェスターでの録音。
 
タスミン・リトル(Vn)リチャード・ヒコックス(指揮)シティ・オヴ・ロンドン・シンフォニアほか、フィンジ;Vn協ほか(CHANDOS)
これもかねて贔屓のヴァイオリニスト、タスミン嬢の新録音が出ていたので購入。
フィンジの協奏作品はCl協とVc協が有名、Vn協があるとは知らなかった。
1925〜27年、フィンジ(1901年生れ、生誕100年である)20歳代半ばの作で、初演ののち作曲者によって封印され、1999年まで再演されなかったのだそうだ。当然、世界初録音である。
カプリングは、
歌曲集『かき消された歳月』(原題"In Years Defaced"、Ten独唱ジョン・マーク・エインズリー)
弦楽合奏のための前奏曲ロマンス(後者は佳曲として有名)。
 
ファン・カルロス・リベラ(キタローネ) バッハ;無伴奏Vc組曲第1〜3番(キタローネ編曲、Lindoro)
バッハの両無伴奏曲は、編曲されても十分に魅力的、ついつい買ってしまう。
これは大型のリュート、キタローネによる演奏。
店頭の試聴機にかかっていて、音楽の「揺らし」がなかなかチャーミングだったのでレジへ持っていくことに。
リヴェラはスペイン生まれ、セヴィリアの音楽院でギターを修めたあと、ホセ・ミゲル・モレノホプキンソン・スミスポール・オデットらにリュートを学んだとか。

1月28日(日): 

 金曜日の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。
 また、土曜日に届いた音盤の情報を、レイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


1月27日(土): 

 西宮市を本拠に活動するアマチュア・オーケストラかぶとやま交響楽団第24回定期演奏会@伊丹アイフォニック・ホールを聴く。
 このオーケストラには中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんが参加しておられ、この演奏会でもコンサートマスターを勤められた。

今日の曲目は
アリアーガ;歌劇「幸福な奴隷」序曲
ステーンハンマル;管弦楽のためのセレナード
シューマン;交響曲第4番
というもの。
指揮は団員で、中村晃之氏。
 
今回、ステーンハンマル、しかも「セレナード」を取り上げていただいて、随喜の涙。
プログラムに掲載された挨拶には
「皆様にあまり知られていない『良い曲』を一つは入れようという事で取り組んでおります」
とあるが、まことに有り難い。
 
そもそもこの団体は、
「第1Vnと第2Vnが左右に分かれる」、
「ホルン・セクション全員がウィンナ・タイプを吹く」、
「指揮者が左手に棒を持つ」、
等々、なかなかの「こだわり」集団なのだが、選曲にもそういうところが反映されているといえよう。
 
もっとも上記挨拶文に
『カルトやま』などといった印象を持たれる方が多いのも」
とあるのには爆笑してしまった。
 
アリアーガも好きな作曲家なのだが、事情あって入場が間に合わず、ロビーで聴く羽目に。(涙)
モニターから聴こえてきた音楽は、はつらつとしたリズムが印象的だっただけに残念。
 
さて、お目当てのステーンハンマル
第1楽章冒頭の軽やかさ、木管の清涼さなどに感心。
続くコンサートマスターのソロも強く輝かしい音で、しかしN響のときのような脂っこさがなく、これまた(いつものことながら)感心。
この楽章随一の聴きどころ、ヴィオラとチェロが、それぞれ四重奏になる抒情的なパッセージでは、音楽の美しさが十全に把握・表現されていた。
 
第2楽章「カンツォネッタ」では、冒頭のクラリネットが、まことに見事なソロを聴かせた。
全体に管楽器は非常に出来が良かったと思う。
第3楽章「スケルツォ」中間部で行進曲風の楽想を導くホルンのファンファーレはpppの指定、ウィンナ・ホルンでのコントロールを内心危ぶんだが、なんのなんの、見事に美しかった。
そのあとの盛り上がりも素晴らしく、まことに血湧き肉躍る感あり。このあたりが「かぶ響」の真骨頂だろう。
 
全曲の白眉第4楽章「ノットゥルノ」も良かったが、弦楽器の弱奏の安定感・歌い込みに今一歩のところもあった。
このあたりが解決されれば、第5楽章「フィナーレ」の冗長感も、演奏の力で救うことができるのではなかろうか。
 
ともかく、曲の魅力を的確に把握・表現された好演で、本当に感心してしまった。
収容人員500ほどのホールを埋めた当夜の聴衆には、確実にステーンハンマルの良さが伝わったことと思う。
 
シューマンも同様の好演。
管楽器は相変わらず上出来、なかんづくホルン・パートが絶好調で、ウィンナの音の魅力が満開。すばらしい響きだった。
音楽も実に快調、若いシューマンの意気を歌い上げた。
注文を付けるとすれば、全体に「縦乗り」系の音楽に傾斜した感があった点。
第2楽章など、もっと息長い音楽の太い流れがほしかったところだ。これは指揮者の音楽性から来るものかもしれないが。。。
 
いつもどおり、アンコールは無し。
 
なお、ステーンハンマル作品の演奏ということで、北欧音楽MLのメンバー9人(同伴者含む)が参集、
演奏会の前後には、オフ・ミーティングで盛り上がった。(^^)

 朝方、Ars AntiquaからLPが届く。また、オフ会の前に音盤店に立ち寄る。

オイゲン・ヨッフム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第5番(Philips)
同曲のベスト盤に推す評者もいる、1964年5月30・31日、オットボイレン・ベネディクト会修道院でのライヴ録音。
かつて"Legendary Classics"シリーズで復刻されており(マルP1989年)、久しく廃盤となっていたもの。
リマスタリングされて発売されたことをAn die Musikさんの今月18日の記事で知り、捜していたのだが、なぜか京都の店頭では見当たらず、大阪の音盤店で発見、ただちに購入したもの。
少し聴き比べてみたが、新盤の方が明らかに優れている。旧盤では除去されていた会場ノイズもはっきり聴き取れるなど、全体に音の鮮度が高い。
 
小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、チャイコフスキー;交響曲第6番「悲愴」ほか(EXTON)
斉諧生は聴き損ねたのだが、昨年、素晴らしい実演を聴かせたというコバケンの「悲愴」が出たので購入。
2000年10月19・20日、プラハでの収録。終楽章を「アンダンテ」指定としているのが珍しい。
フィルアップは自作のパッサカリア
作曲科出身の彼が、昨年の日本・オランダ修好400年記念に委嘱されたものだそうだ。オランダのオーケストラとも深い関係があるところを見込まれたものだろう。
彼の作品の録音は、たしかHUNGAROTONにVn協のCDがあったと思う。自演でなかったので買わなかったが、その後まったく見かけないので、惜しいことをした。
 
ケント・ナガノ(指揮)ベルリン・フィルほか、メシアン;トゥーランガリラ交響曲(TELDEC)
ピエール・ローラン・エマールを独奏ピアノに迎えたトゥーランガリラが発売されたので購入。この人のピアノは、実演やリゲティあるいは幼子イエズスに注ぐ20のまなざしのCDで素晴らしいことを確認済み。
ジャケット裏にどうして俵万智さんの写真が…?と思ったら、オンド・マルトノのドミニク・キムという人だった。(笑)
ソウル生まれ、イヴォンヌ・ロリオらにピアノを学び、1983年のオペラ「アシジの聖フランチェスコ」以来、メシアンの作品に深く関わってきたとのこと。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ放送響、ベートーヴェン;「ウェリントンの勝利」ほか(米OCEANIC、LP)
先週日曜日に英盤が届いたばかりの「戦争交響曲」、今度はオリジナルの米盤が入手できた。
序曲「シュテファン王」
11のウイーン舞曲
をカプリング。LP初期としては珍しいレパートリーだったのだろう。
 
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)アラム・バドロシアン(指揮)ベルグラード響、チャイコフスキー;Vn協(英ORYX、LP)
戦後ヨーロッパでVn曲の初演を一手に引き受けてきたガヴリーロフ教授のチャイコフスキー。
こういう現代音楽の名手は、古典を演奏しても上手い(面白い)ので、ディスコグラフィで録音の存在を知って以来、捜していたもの。
録音データは記載されていないが、音は古め。レーベルには「ステレオ」と表示されているが、モノラルっぽい。擬似ステレオかもしれない。

1月26日(金): 

 京都市交響楽団第431回定期演奏会(指揮:ウーヴェ・ムント)@京都コンサート・ホールを聴く。
 今日も3階LDブロックの1列目に座席を取る。
 当日券でも買えるところが有り難いが、入りが少々寂しく、6割程度だったのは残念。

今日のプログラムは
アッカー;交響曲第3番(世界初演)
ブルックナー;交響曲第4番
というもの。
 
ムントのブルックナーは聴き逃せない。
京響初登場の第8番(1998年1月)、昨年3月の第7番、いずれも素晴らしかった。
今日の不入りは、「世界初演」にビビった人が多かったということだろうか…?
 
アッカーは1940年生まれのドイツの作曲家、ミュンヘン音楽大の教授職にあるとのこと。
プログラムには
我々の先輩たちの偉大な交響曲の伝統の真髄と、彼自身の同時代の美的観念との統合を型造ろうと試みている
とある。
 
実際、聴きやすい響きではあった。
ただ、一言でいうなら、「前へ進まないショスタコーヴィッチ」。
 
第1楽章など、分厚い弦合奏にシロフォンが絡むあたり、ショスタコーヴィッチを連想させるのだが、リズムに乏しく、暗鬱な印象だけが残っている。
全4楽章で約40分の大作、それなりに書けているのだろうとは思うが、斉諧生としてはすっかり退屈してしまった。
 
メインのブルックナーは、もちろん立派な出来、いつもの京響を思えば十分満足のいくものだった。
弦合奏の音程も良く、まとまった響きが美しい。特にヴィオラ・パートは、かつてない出来映えを示した。
管楽器も、ホルン独奏(野田篁一)は安定した巧さ(第4楽章冒頭のみ少しミスがあって残念)、フルート(清水信貴)は冴えたソロを聴かせ、クラリネット(サルヴァドーレ・レーニ)の柔らかい音色も美しさのかぎり。
 
ただ、前2回のことを思うと、響きの練り上げに不足するものを感じた。
全合奏のフォルティシモが少し濁るというか、溶け合わないというか、いくぶんトゲのある音になっていたのである。
 
そのために、「ここぞ…!」というところでブルックナーを聴く快感が爆発してくれない。
これはムントが音量を抑え気味にまとめたことから来るのかもしれない。ティンパニなど、もっと痛快に叩いてほしかったし、チェロ・パートも、もっとグングンと突き上げてほしかった。
トランペットの鳴りが悪いのはこのオーケストラの通弊で、ホルンやトロンボーンの上に燦然と虹をかけてほしいところが、不発に終わってしまう。
 
疑われるのは、上記の新作初演との関係。
40分もの新作に時間を取られて、ブルックナーの方は練習不足だったのではないか?
 
なお、珍しくNHKのTVカメラが入っていた。
放送予定は2月16日(金)午前8時5分からとのこと。

1月22日(月): 

 

ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)ミュンヘン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」(THARA)
Syuzo's Homepage「クナを聞く」のページで、
「音楽に内在するスケールと、胸を打つ響きがこれほどあからさまに演奏された例を他には知らない。
(中略)ベートーヴェンの高貴で、孤独で、悲劇的な精神の有り様が、正にそこに生み出されるように明らかにされて行く。」
と絶讃されていた盤。
「クナの『英雄』に名演あり」…と、長く気にしていたのだが、同曲異演はもちろん、同演異盤も多くて、いざ店頭で見たときに頭が混乱して、買わずにきてしまった。
京都の某音盤店でTHARAを多数揃えた20%オフ・セールが始まり、上記Webpageで、この1953年12月17日録音のミュンヘン・フィル盤と再確認して購入したもの。
それにしてもSyuzo's Homepage「〜を聞く」のシリーズは、同曲異演・同演異盤が整理されていて貴重、しかも息長く続けておられる点、まことに偉いと思う。
 
ジェイムズ・オドンネル(指揮)ウェストミンスター大聖堂合唱団ほか、デュリュフレ;レクイエムほか
これもSyuzo's Homepageでお薦めになっていた盤。
この曲は以前から愛好してきて、あれこれ集めているが、Hyperionレーベルにはマチュー・ベスト盤もあって、何となく買いそびれてきた。
これまで聴いた中ではグラーデン盤(BIS)を最上としてきたが、
このまま天国に召されるような幸福感と優しさに充ちている。
との評言に心惹かれて購入。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ザグレブ・フィル、ハイドン;交響曲第103番&シューベルト;交響曲第2番(ZPO自主製作)
マタチッチとザグレブ・フィルのライヴ録音盤は、全7点がディスコグラフィに掲載されている。
一昨年、↑のページで見つけたときにオーケストラにメールを出して、そのうち3点を頒けていただいた。
「オーケストラのPR用に少部数作成した非売品」とのことだったので、残りは諦めていたところ、昨年4月になって輸入盤取扱店の広告に掲載され、即座にオーダー。
ところが一向に入荷しない。再び諦めかけていたのだが、ようやく連絡があったので、引き取ってきた。
音質はいずれも優秀。
 
「太鼓連打」はウィーン響とのライヴ録音も出ていたが(Orfeo)、シューベルトは初めてだろう。
両曲とも1979年10月26日、ザグレブ"Vatroslav Lisinski"コンサート・ホールでの収録。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ザグレブ・フィル、モーツァルト;交響曲第25番・第40番ほか(ZPO自主製作)
マタチッチのモーツァルトは話にも聞いたことがない。このシリーズ7点の中で最も欲しかった盤である。
大小ト短調交響曲に「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をフィルアップした、素晴らしいラインナップ。
1971年2月26日、ザグレブ"Istra"コンサート・ホールでの収録。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ザグレブ・フィル、ブラームス;ドイツ・レクイエム(ZPO自主製作)
マタチッチのドイツ・レクイエムと聞いただけで、呼吸の深い、悠然深沈たる名演であろうと想像してしまう。これも楽しみだった1枚。
1976年6月4日、ザグレブ"Vatroslav Lisinski"コンサート・ホールでの収録。
歌唱はザグレブ放送合唱団、ソリスト2人はいずれもユーゴの未知の名前。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ザグレブ・フィル、ヤナーチェク;シンフォニエッタ&グラゴル・ミサ(ZPO自主製作)
これはちょっと意外なレパートリー。まあ隣国だから不思議ではないのかもしれないが。
1979年12月19日、ザグレブ"Vatroslav Lisinski"コンサート・ホールでの収録。
歌唱は↑同様、ザグレブ放送合唱団とユーゴらしい名前の3人のソリスト。

1月21日(日): 

 MikrokosmosからLPが届いた。

ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ放送響、ベートーヴェン;「ウェリントンの勝利」ほか(英SAGA、LP)
レイボヴィッツの未架蔵音源がカタログにあったのでオーダー。
オリジナルは米Oceanicレーベルのはずだが、とりあえず入手できて嬉しい。
レーベル面には初出1961年と記されているが、出てくる音はモノラル(擬似ステレオ?)である。
他の指揮者によるベルリオーズ;葬送と勝利の交響曲をカプリング(というか、ジャケットなどはそちらがメインの扱い)。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ放送響、ルーセル;「蜘蛛の饗宴」・「砂の精」(英LONDON、LP)
レイボヴィッツの未架蔵音源…と思ってオーダーしたのだが、既に米ESOTERIC盤で架蔵している曲であった。
もっとも製盤は見劣りするものだったので、英プレスの質に期待。
またESOTERIC盤ではオーケストラが「パリ・フィル」となっていたが、この盤では標記のとおり。いずれにせよ非常設の団体だろうとは思うが…。
 
ロジェ・デゾルミエール(指揮)チェコ・フィルほか、ドビュッシー;交響詩「海」ほか(チェコSupraphon、LP)
フランス音楽ファンに評価が高いデゾルミエール、彼に「海」の録音があることは耳にしており、安価でカタログに出ていたのでオーダーしてみた。
届いてた現物はモノラル盤だが、ステレオ盤は存在するのだろうか?
カプリングはコンスタンティン・シルヴェストリ(指揮)チェコ・フィル、ラヴェル;スペイン狂詩曲
 
エリク・テン・ベルク(P)ハンス・ロスバウト(指揮)バーデン・バーデン南西ドイツ放送響、レーガー;P協(独ELECTROLA、LP)
ロスバウトの録音はすべて蒐集したいと思っているが、未架蔵盤がカタログに出ていたのでオーダー。
後期ロマン派の味わい濃厚なレーガーと、モダニスト・ロスバウトの音楽が、どうかみ合うのか興味津々。
 
ウト・ウギ(Vn)ピエナルキソ・マジ(P) Vn名曲集(伊RCA、LP)
イタリアの美音家、ウト・ウギの名曲集。録音データは記されていないがマルPは1979年。
モーツァルト(クライスラー編);ロンド(ハフナー・セレナードより)
ブラームス;ハンガリー舞曲第17・20番
パガニーニ;ロンド(Vn協第2番より)
サラサーテ;ツィゴイネルワイゼン
ドヴォルザーク;4つの小品
等を収録。
アナログ盤で彼の音色を愉しもうとオーダーしたもの。
 
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)ジャン・ユボー(P)ほか、ドビュッシー;Vnソナタほか(仏ERATO、LP)
フランスの名手、シャルリエは先だっても新星日響の演奏会に出演、好評を博した模様。
斉諧生は残念ながら彼の実演に接したことはないが、音盤はずっと集めている。
仏ERATOからはヴィエルヌピエルネなどのフランス近代のVnソナタのCDが出ているが、ドビュッシーの録音があるとは知らなかったので急いでオーダーしたもの。
3つのソナタ等の室内楽曲を集成したアルバムで、Vnソナタのほかには
Fl・Va・Hpソナタ 工藤重典(Fl)ジェラール・コセ(Va)マリエル・ノールマン(Hp)
Vcソナタ イヴァン・シフォロー(Vc) ジャン・ユボー(P)
神聖な舞曲と世俗的な舞曲 マリエル・ノールマン(Hp)ヴィオッティQほか
が収録されている。
1983年のデジタル録音で、調べてみたところ、国内盤LP・CDとも発売されているのだが、ぜんぜん気づいていなかった。(^^;
同じレーベルの、ランパルトルトゥリエラスキーヌらによる大名盤の陰に隠れてしまっているようだ。
 
モーリス・ジャンドロン(Vc) バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(米Philips、LP)
このところバッハの無伴奏曲集を集め直しているが、チェロの方で気になっていたジャンドロン盤が安価でカタログに出ていたのでオーダー。
彼はカザルスの高弟であり、LP時代から「美しい音と流麗な表現が新鮮」等と代表盤の一に数えられていたので、ぜひ聴いてみたいと考えていたからである。
ところが困ったことに届いたものは米プレスの再発廉価盤。これは買い直さねば…。

1月19日(金): 

 

オイゲン・ヨッフム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管ほか、マーラー;大地の歌(DGG)
DGGのリマスタリング、"THE ORIGINALS"シリーズの新譜が出ていた。
1963年録音、LPでも目にしていたが、さて聴いたことがあったかどうか…?
やはりヨッフムというとブルックナー指揮者というイメージで、ブルックナー指揮者が振るマーラーは敬遠してきたのである。
とはいえ、この曲の比較的早期のレコーディングという点で貴重。
またコンセルトヘボウ管のマーラーはメンゲルベルクベイヌムの演奏で素晴らしいものがあり、やはり聴いてみたいと購入。
そういえば、この時期のコンセルトヘボウ管がPhilips以外のレーベルに録音しているのも珍しい。
独唱はナン・メリマン(M-S)、エルンスト・ヘフリガー(Ten)。
 
ピエール・ブーレーズ(指揮)ウィーン・フィルほか、マーラー;大地の歌(DGG)
期せずして↑と同レーベルの同曲盤である。
もちろん国内盤は発売済みだが、輸入盤が並ぶまで待っていたもの。
ブーレーズのマーラーは第9番などが素晴らしく(激情型の演奏ではないけれど)、これもぜひ聴きたいと購入。
このシリーズではオーケストラが曲によって変更されているが、「大地の歌」にウィーン・フィルを起用したのは、初演以来の演奏伝統を買ってのことであろうか?
ワルターの新旧両盤での「味」は、今の楽員には伝わっていないような気もするが、まあ、先入主なしに聴いてみよう。
独唱はヴィオレッタ・ウルマーナ(M-S)、ミヒャエル・シャーデ(Ten)。1999年10月の録音。
これで全集には第2・3・8番を残すのみとなった。第3番は来月ウィーン・フィルとのコンサートがあるそうなので、あるいは録音の上、遠からず発売されるのであろうか。
 
チョン・キョンファ(Vn)セント・ルークス室内管、ヴィヴァルディ;Vn協集「四季」(EMI)
まもなく国内盤も出るチョン・キョンファの「四季」。
最初見かけたときは彼女の資質とは懸け離れたレパートリーのように思い、ちょっと手を出しかねたのだが、某MLでヴァイオリン音楽に造詣の深いあたりから賞讃の声が届いてきたので、購入に踏み切った。
フィルアップ無しで収録時間41分強、これを潔いとするか勿体ないとするか…。
2000年9月、ニューヨークでの録音。
 
ラルフ・カークパトリック(クラヴィコード)バッハ;平均律クラヴィーア曲集第2巻(ARCHIV)
これも"The Originals"シリーズの新譜。
カークパトリックのクラヴィコード(チェンバロより小型で発音機構も単純な楽器)による「平均律」の第2巻。
昨年3月に第1巻を買っているので、続巻も買わざるべからず。
もっとも、そのとき「たしか第2巻は録音されなかったように思う。」などと書いてしまったので、ちょっと吃驚&恥ずかしいのだが。
第1巻は1959年録音、これは1967年と少し間があいている。
 
カール・リヒター(指揮)ミュンヘン・バッハ管ほか、バッハ;マタイ受難曲(ARCHIV)
天下の名盤、リヒターのマタイ旧盤(1958年録音)が"The Originals"シリーズで登場。
もちろんCDでも架蔵済み(1991年発売の国内盤)、ちょっと迷ったが、リマスタリングの成果に期待したいのと、ポイント・カードが満点になった値引きが使えるのとで、買うことにした。
ちょっと聴き比べてみたのだが、今回の盤の方が音がクリア、まずまず買い換えの価値はあろう(マストとまでは思わないが)。

1月16日(火): 

 ようやく新譜の入荷が始まったようだ。

インゴ・メッツマッハー(指揮)ハンブルグ国立フィル、「20世紀音楽は怖くない」Vol.2(EMI)
原タイトルは"Who is afraid of 20th century music?"
昨年、第1巻が出たメッツマッハー流ニューイヤー・イヴ・コンサート・ライヴの第2巻ということになる。
2000年12月31日、ハンブルク・ムジークハレでの収録。何とも素早い発売だ。
前回同様、20世紀音楽のポピュラーなところからコアなところ、新作同様のものまで15曲を演奏している。
煩を厭わず列挙すると、
ガーシュウィン;キューバ序曲
アダムス;「ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン」
ファリャ;「火祭りの踊り」『恋は魔術師』より
武満徹;「グリーン」
ドーハティ;「デジ」
コルンゴルト;軍隊行進曲
アンタイル;「群島」
オネゲル;「パシフィック231」
ストラヴィンスキー;「花火」
ラヴェル;「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ショスタコーヴィッチ;「モスクワを通過する旅」喜歌劇『モスクワよ、チェリョームシキよ』より
モソロフ;「鉄工場」
コープランド;「ホー・ダウン」『ロデオ』より
プロコフィエフ;ガヴォット『シンデレラ』より
バーンスタイン;マンボ『ウェストサイド物語』より
このラインナップに興味をそそられて購入。武満なんて、どんな響きになっているのだろう???
 
エマニュエル・パユ(Fl)ベルリン・バロック・ゾリステン、バッハ;ブランデンブルク協第5番ほか(EMI)
フルートの貴公子、パユによるバッハ作品集。標記のほか
トリオ・ソナタ ト長調 BWV1038
無伴奏Flパルティータ
管弦楽組曲第2番
を収録。
ブランデンブルクは集めている曲だし、共演がライナー・クスマウル(Vn)というのにも心惹かれて購入。
そのほかにも、ヴォルフラム・クリスト(Va)、ゲオルク・ファウスト(Vc)、クラウス・シュトール(Cb)、クリスティーネ・ショルンスハイム(Cem)といった面々が参加している。

1月14日(日): 年末年始の休日の影響か新譜の入荷も見られず、しかもこの週末は音盤屋もない温泉地へ職場の親睦旅行。
 その行きがけに書店で野上照代 『天気待ち 監督・黒澤明とともに(文藝春秋)を購入。
 いわゆる「黒澤組」スタッフの苦心談、裏話は面白く、何冊か架蔵しているが、これも期待以上。2日分のつもりが往路の車内だけで読み上げてしまった。
 著者は長く黒澤映画の記録係(撮影を網羅的に記録し、特に撮影されたフィルムが編集作業に使えるように整理・指示する担当)を務めた方。撮影現場では監督のセクレタリーといった立場におられたようだ。
 クラシック音楽ファンにとって興味深いのは、武満徹佐藤勝が黒澤監督と衝突した現場の証言。
 特に映画『乱』のダビング(音楽やセリフ、効果音等の録音ををミックスダウンして上映用フィルムを完成させる作業)のスタジオで、武満徹が「キレ」たシーンはすごい。

 この時、武満さんは、ついに立ち上がった。
「黒澤さん! 僕の音楽を切ってもハっても結構です。お好きなように使って下さい。でも、タイトルから僕の名前をけずってほしい。それだけです! 僕はもう、やめる。帰ります!」

 たしかに作曲家には気の毒なくらいの経緯があるのだが、こうなるまでと、ここから先については、書店で御確認くださいませ。


1月8日(祝): このところ更新が滞り気味で申し訳ありません。<m(_ _)m>
 この3連休も、転居後の片付け等に忙殺されておりまして、ようやく、音盤を収めた段ボール箱のほとんどを開梱いたしました。もっとも「箱から出して棚に並べただけ」で、整理は全く出来ておりませんが…。(汗)


1月3日(水): 正月休み最後の日は、普段お世話になっているKna parc MLのオフミーティング。
メンバーのお宅にお邪魔しての、SPあり、LPあり、CDあり、ワインあり(笑)の歓談に時を過ごさせていただいた。
ここでいつも感心するのは、SPの音の良さ。上出来の復刻CDでさえ、SPそのものに入っている音の7〜8割か、それ以下ではないか。
再生システムを備えたいものだが(蓄音機ではなく、78回転可能なプレーヤー+SP用カートリッジ)、先立つものは何とやら…(涙)。

 

オットー・クレンペラー(指揮)ニュー・フィルハーモニア管ほか、ブルックナー;交響曲第6番ほか(ARKADIA)
上記オフ会で拝領したCD。
1961年3月21日、BBC録音とある。この年なら、オーケストラの名称は「フィルハーモニア管」のはずだが(改称は1964年)、イタリアの怪しいレーベル故だろうか…。
ケルン放送響とのR・シュトラウス;交響詩「ドン・ファン」(1956年2月27日録音)をフィルアップ。
 
ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)ミネアポリス響、マーラー;交響曲第1番ほか(Sony Classical)
これも上記オフ会で拝領。
ミトロプーロスが得意にしたマーラー、これは聴き逃せない。
ミネアポリス響は現在のミネソタ管(改称は1968年)、オーマンディ(1931〜36年)、ミトロプーロス1937〜49年)、ドラティ(1949〜60年)、スクロヴァチェフスキ(1960〜79年)と続く実力派時代。
1940年11月の録音だが、MASTERWORKS HERITAGEシリーズの丁寧な復刻に期待したい。
ラフマニノフ;交響詩「死の島」(1945年2月録音)をフィルアップ。
 
ティム・ヒュー(Vc、指揮)ノーザン・シンフォニエッタ、ホフマン;Vc協集(NAXOS)
これは帰りがけに音盤店で購入。
レオポルト・ホフマンは1738年生・1793年没、ウィーンで活躍した音楽家。ハイドンやモーツァルトと同時期の人である。
年末にお目にかかった愛好家の方から、「ハイドンのチェロ協奏曲より優れた作品ですよ!」とのお薦めをいただき、捜していたもの。
ソリストはHyperionとNAXOSの2度にわたってブリテン;無伴奏Vc組曲の全曲を録音した手練れ、悪くはないはず…と買い求めた。
ニ長調とハ長調が各2曲、計4曲を収録、録音は1996年。
ざっと聴いてみたが、成る程成る程、見事な音楽。ハイドンが5回演奏されるうち1回をホフマンに割いても十分以上に価値があろう。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ティボール・ヴェーネル(P)コダーイ;Vcソナタ&ショパン;Vcソナタほか(洪Qualiton、LP)
先年、モノラル盤を入手したが、今回、ステレオ盤が通販業者のカタログに出ており、入手したもの。
1965年の録音ゆえ、ステレオ音源のはずと捜していたものである。
この年ペレーニは17歳、ジャケット装画の演奏者も紅顔の美少年。
シューマン;アダージョとアレグロをカプリング。

1月1日(祝): 昨年の正月はバッハ;無伴奏Vc組曲の聴き比べに没頭していたが、今年は信州の澄んだ空気と北アルプス連峰の眺望を味わう。
 市役所で所用を果たし、筋向かいの松本城址(無料開放)で高名な天守閣の姿を間近に拝見。昼過ぎには当地を離れた。


平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。


平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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