音盤狂日録


8月30日(木): 

 

ルドルフ・ケンペ(指揮)ミュンヘン・フィル、ブルックナー;交響曲第4・5番(SCRIBENDUM)
近頃ケンペの評価がとみに高いことに驚かされる。3年ほど前にPILZからCD化されたブルックナー2曲が新しく復刻されてリリースされた。
もちろんPILZ盤も架蔵しているが、Web上での情報によれば音質が向上しているとのこと、2枚で1,300円という価格も魅力的で、購入。
両者を聴き比べてみたが、PILZ盤では高音のきつさ(硬さ)が耳につくのに対し、今回の盤は、より自然な音質で、音場の拡がりも感じられる。「こだわり」のある向きには買い換えをお薦めしたいところだ。

8月27日(月): 

 東京出張(日帰り)のついでに買い物。

小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、チャイコフスキー;交響曲第4番(EXTON)
月初めに第3番を買ったばかりだが、早くも次の新譜が登場。コバケンの音盤は買わざるべからず。
実は先週金曜日にも見かけていたのだが、前作と混同して買わないでいたのだ。(汗)
前にも書いたことがあるが、EXTONのプロデューサー江崎友淑氏には個人ページがあり、掲示板にはしばしば江崎氏も書き込んでおられる。→ここを押して
ここの8月19日付けの書き込みに、
実は4番は2バージョンあるのです。ライヴを中心にした(ライヴ盤)とセッションを中心にした(セッション盤)。
 完成度は圧倒的にライヴ盤なのですが、小林マエストロの絶対の指示で、セッション盤をリリースする事になったのです。演奏はともかく、セッションの方が音が綺麗で、ライヴの方が実にライヴなのです。
 僕はライヴ盤を何とか商品化したかったのです。今後マエストロを何とか説得したいと思っているのですが・・・。」とある。(下線部は斉諧生)
一部文意不明瞭だが(意識的な韜晦であろう)、そのライヴ盤のリリースも期待したいものだ。
 
ハンス・フォンク(指揮)セントルイス響、ブルックナー;交響曲第7番(ARCH MEDIA)
オランダ出身のフォンクはEMIを中心に地道な録音活動を続けてきていたが、音楽監督を務めているセントルイス響の自主製作盤が5点ほどリリースされている。→ここを押して
前にオンラインで購入を試みたことがあるのだが、うまく行かなかったので諦めていたところ、輸入盤店に並んでいたので購入。
自主製作盤には目がない方だし、ベートーヴェンにも少し心が動いたのだが、これまでフォンクには、あまり感心したことがなかったので、曲として押さえておきたいブルックナーのみとした。
1997年4月18〜19日、本拠地パウエル・シンフォニー・ホールでのライヴ録音。
 
コリン・デイヴィス(指揮)ロンドン響、シベリウス;4つの伝説曲ほか(BMG)
デイヴィスのシベリウス再録音シリーズ第6弾は、「レミンカイネン」組曲を中心に、「ポヒョラの娘」「吟遊詩人」をカプリングした交響詩集。2000年1月の録音である。
期待しているシリーズなので、もちろん購入。このあたりも一度しっかり聴いて、シベリウスのベスト盤を選出しておきたいところだ(実現はいつになるやら…(汗))。
 
デヴィッド・グリマル(Vn) バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(TRANSART)
バッハの無伴奏の録音は、次々と出るのでとても全部にはつきあえないが、店頭で試聴した感じでは良さそうな演奏だったので購入。いわゆるモダン楽器によるものである。
ヴァイオリニストは1973年パリ生まれ、レジ・パスキエフィリップ・ヒルシュホルンらに学んだとのこと。使用楽器は1710年作のアントニオ・ストラディバリ。
1999年7〜8月のライヴ録音。熱狂的な拍手も収録されている。
リリース元は、前にプリュデルマシェベートーヴェン;Pソナタ全集を出したレーベル(というかマネジメント)。輸入代理店のWebpageもある。→ここを押して
 
木野雅之(Vn)江崎昌子(P) 「ナチュラリー」(EXTON)
ずっと買っている木野氏による小品集が出ていたので購入。
2001年1月の録音で、16曲を収録。
ドヴォルザーク(クライスラー編);ユモレスクといった有名曲も含まれているが、多くはかなり珍しいレパートリー。
グリンカ(バラキレフ編、アウアー再編);雲雀エンゲル(ジンバリスト編);海の貝殻など初めて名前を聞く曲も多い(前者はピアノ曲としてなら有名だが)。
シチェドリンシュニトケらの作品も収めており、単なるノスタルジー系でもなさそうである。
 
フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラ、ラモー;組曲「ナイス」・「ゾロアストル」(GLOSSA)
このコンビがPhilips時代からリリースを継続しているラモーの管弦楽曲、今回で5枚目になる。
1980年代の新鮮さ、勢いは影を潜めた感もあるが、なお聴き逃せない団体なので購入。
なお、来年、日本ツアーでベートーヴェン;交響曲チクルスが予定されているようだ。→ここを押して

8月25日(土): 

 MikrokosmosからSPが届いた。

パブロ・カザルス(指揮)ロンドン響、ブラームス;ハイドン変奏曲(米Victor、SP)
カザルスのSP録音が安く出ていたので購入。もちろん音源としてはLP・CDで架蔵済み。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)合奏団、ベルク;Vn、Pと13管楽器のための室内協奏曲(英Esquire、SP)
レイボヴィッツのSPは初めて。あるいは米Dial盤LPと別録音かと思ってオーダーしたが、同一音源の模様。

8月24日(金): 昨日帰国、午前中のみ出勤して、午後はもちろん(?)音盤屋廻り。盆休みの関係からか、あまり新入荷はなかった様子で一安心。

 

小澤征爾(指揮)サイトウ・キネン・オーケストラ、マーラー;交響曲第9番(Sony Classical)
去年の大晦日に松本で聴いた小澤&サイトウ・キネンのマーラー;第9がリリースされたので購入。個人的な記念として欠かせない。
なお、収録されているのは斉諧生が聴いた演奏ではなく、年が明けて1月2〜4日に東京文化会館で演奏されたときのもの。
 
井上道義(指揮)新日本フィル、マーラー;交響曲第9番(EXTON)
プロデューサーが「(小澤盤に)ワザと発売日を中てた」という井上&NJPのチクルス。→ここを押して
2000年6月9日、すみだトリフォニーホールでの実況録音である。井上氏のマーラー;第9はシカゴ響で振ったこともある曲、どういう表現を聴かせてくれるのか興味をもって購入。
なお、CDのタスキの文句を並べてみると面白い。
小澤盤;「小澤のエロスとマーラーのタナトスの神髄が眼前に示される。」
井上盤;「狂気とはかなくも美しい20世紀終焉の記録」
 
フェステティーチQ&ヴィーラント・クイケン(Vc) シューベルト;弦楽五重奏曲(ARCANA)
大好きな曲の新譜ゆえ、迷わず購入。
ハンガリーの古楽器アンサンブルとクイケン三兄弟の長兄による演奏、古楽器特有の和声美が聴けることを期待している。

8月21日(火): 今日はリリー・ブーランジェの誕生日に当たり、ヤマハのWebサイトの音楽日めくりで取り上げられている。

 (注) これを書いている8月25日現在では過去ログに移されている。→ここを押して

 また、先月御紹介いただいたことから御縁のできた『音楽現代』9月号に、「知られざるチェロの名曲・佳曲」という記事を執筆した。


8月18日(土): 出張先の北京で、友誼商店(国営の外国人向け土産物百貨店)に立ち寄る時間があり、隅の方のCD売場を覗く。
 VCDが多く並んでいるのに吃驚。旧ソ連系のバレエの映像ものが多い。
 お目当ては、中国のオーケストラが演奏したベートーヴェンとかの西洋クラシック音楽だったのだが、そういうものは無し。

 

盛中国(Vn)譚利華(指揮)中央楽団ほか、Vn協「梁山伯と祝英台」ほか(DoReMi)
日本では入手できそうにないものということで、当地の演奏家による中国クラシック音楽のCDを購入。
Vn協「梁山伯と祝英台」はNAXOSに西崎崇子盤もあり有名な曲。以前の中国にあった「集団製作」という考え方から作曲者名は表示されない。もっとも日本の資料では陳鋼何占豪の名前がクレジットされるようになっている。
ずっと「梁山泊」だと決め込んでいて、『水滸伝』に書かれている祝家荘との戦いを題材にした勇壮な曲なのだろうと思っていたのだが、恥ずかしや、大間違い。
数奇な出会いから恋に落ちた若い男女が、現世のしがらみに妨げられて結婚がかなわず、蝶と化して結ばれる…という、『ロミオとジュリエット』のごとき悲恋物語なのであった。→ここを押して
独奏者レオニード・コーガンに師事した中国では大御所的存在のヴァイオリニストだそうで、以前、キングから国内盤で中国の小品集が出ていた(ピアノは瀬田裕子)。その一部はこの盤の余白に収められている。
 
アーヴェ・テレフセン(P)テオドール・クチャル(指揮)ウクライナ国立響、P協「梁山伯と祝英台」&P協「黄河」(DoReMi)
上記「梁山伯と祝英台」のピアノ編曲と、小澤盤やオーマンディ盤でも有名な「黄河」をカプリングしたもの。
実は、独奏者の名前が「北欧のオイストラフ」と綽名されるヴァイオリニストと同姓同名、ひょっとして"Piano"は誤植で彼のヴァイオリンが聴けるのでは…と期待して買ったのだが、大外れ。(笑)
なお、両盤とも1枚38元(邦貨約570円)であった。

8月11日(土): 本業の関係で、明日から23日(木)まで海外に出張します。しばらく更新できませんが、御了解ください。m(_ _)m

 MikrokosmosからLPが届いた。

クルト・ザンデルリンク(指揮)ベルリン響、ショスタコーヴィッチ;交響曲第15番(独ETERNA、LP)
この謎めいた響きの曲は大好き。ハイティンク盤(DECCA)が刷り込みだが、ザンデルリンクのショスタコーヴィッチ演奏も聴き逃せない。
彼の旧録音は国内盤LPを架蔵していたが、輸入盤(レーベル色が緑なので少し驚いた。普通は黒)が安く出ていたので購入。
 
リディア・モルドコヴィッチ(Vn)クルト・ザンデルリンク(指揮)フィルハーモニア管、ブラームス;Vn協(英RCA、LP)
英CHANDOSレーベルで幅広い録音活動をしているモルドコヴィッチに、こういうレコードがあるとは知らなかった。
…という以上に、ザンデルリンクのブラームス録音は見逃せないので購入。
1979年2月の収録。
 
サカリ・オラモ(Vn)マルクス・レヘティネン(指揮)ヘルシンキ大学響、シベリウス;Vn協ほか(芬FUGA、LP)
指揮者としてシベリウス全集をリリースし始めているオラモがヴァイオリニストとして活動していた頃の録音。こういう妙なシベリウスものは見逃せないので購入。
裏面にはフィンランディア組曲「ベルシャザールの饗宴」を収める。1987年10月の録音。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)ほか、ベートーヴェン;弦楽三重奏曲第4番ほか(芬KUHMO、LP)
カントロフの未架蔵音源を見つけたのでオーダー。
1985年、フィンランド・クフモ室内楽音楽祭での録音、ウラディミール・メンデルスゾーン(Va)、ゲイリー・ホフマン(Vc)が共演している。
カプリングはシューベルト;歌曲「岩の上の乙女」マーラー;P四重奏曲(未完)で、演奏者は様々、カントロフは入っていない。
 
アニ・カヴァフィアン(Vn)アイダ・カヴァフィアン(Vn&Va)ほか、モーツァルト;二重奏曲&モシュコフスキ;組曲ほか(米Nonsuch、LP)
好きなヴァイオリニストの一人、アイダ・カヴァフィアンの未架蔵盤を見つけたのでオーダー。
どちらかというと姉のアニ(日本語だと紛らわしい(笑))のアルバムなのだろうか、フィルアップのサラサーテ;ナヴァラを除いて、姉が第1Vnを弾いている。
モシュコフスキとサラサーテではジョナサン・フェルドマン(P)が共演。
1985年のデジタル録音なので、CDでも出ている可能性大。
 
ダニイール・シャフラン(Vc)ヤコブ・フリエール(P) ラフマニノフ;Vcソナタ(蘇MELODIYA、LP)
積年探求の演奏が、ようやく入手できた。万歳。
畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが同曲のベストに推される演奏(→ここを押して)、何度かオーダーをかけたのだがいつも売り切れていた。
原則的には買わない10インチ盤だが、この場合やむを得ない。1950年代のモノラル録音だが音に力があり、チェロとピアノの分離もよく、美しい。
 
ペーター・アンダース(Ten)ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)ベルリン・ドイツ・オペラ管、モーツァルト;オペラ・アリア集(独TELEFUNKEN、LP)
シュミット・イッセルシュテットの未架蔵盤をオーダーしたもの。
これも10インチ盤、「後宮からの逃走」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」から1曲づつ歌っている。
オーケストラ名からすると、あるいは第2次世界大戦末期の録音であろうか?

8月10日(金): 

 

高関健(指揮)大阪センチュリー響、ベートーヴェン;交響曲第2・5番(LIVE NOTES)
新ベーレンライター版によりライヴ録音で完成されるという、このコンビの全集第2弾。
2001年4月6日、いずみホールでの収録とあるので、第1弾(第1・3番)から、ちょうど1年後ということになる。
ずいぶんゆっくりしたペースだが、第3弾(第4・6番)の録音は先月初めに行われたらしいので、少しはペースが上がるのだろうか。→ここを押して
ところが、このオーケストラも経営母体の大阪府の財政危機のあおりで、東京都響以上に公的補助が削減されるらしい。そういう政策の当否はともかく、今のうちに買っておかないとどうなるかわからないと思い、購入。
 
ミラン・ホルヴァート(指揮)ザグレブ・フィル、ブルックナー;交響曲第8番(ザグレブ・フィル自主製作)
ホルヴァートのことを「キオスクのフルトヴェングラー」と呼んだのは誰だったか…。
1919年生まれだから、この演奏が録音された2000年1月28日には80歳だったことになる。晩年の演奏というのはとかく気になる上に、曲も曲。
しかもついつい買いたくなるオーケストラの自主製作盤ということで、購入。
なお、ザグレブ・フィルの自主製作CDについては、オーケストラの公式Webpageを参照。→ここを押して
 
ヤープ・シュレーダー(Vn)ヘルガ・インゴウルフスドウィッティル(Cem) バッハ;Vnソナタ全集(AC Classics)
ホグウッドの盟友として音盤史上画期的なモーツァルト全集をリードしたシュレーダー。彼のバッハ録音は聴き逃せないと購入。2枚組ながら1枚分の価格だったのも有り難い。
チェンバロのインゴウルフスドウィッティルはアイスランドの出身、レイキャビクを中心に活動し、夏にはアイスランド南部のスカゥルホルトで音楽祭を開催しているとのこと。
これは、そのスカゥルホルト教会で、1999年夏に録音されたとある。
Webを検索してみたら、そこを訪れた方のページを見つけた。→ここを押して

8月9日(木): 

 

フリードリヒ・グルダ(P)ルドルフ・ケンペ(指揮)ミュンヘン・フィル、モーツァルト;P協第27番&ドヴォルザーク;交響曲第8番ほか(SCRIBENDUM)
ケンペの稀少録音の復刻が続いている。
これは1972年11月29日、デュッセルドルフでのライヴ録音。
時の西ドイツ大統領夫人の名を冠した慈善基金のためのチャリティ・コンサートだったそうで、輸入盤LPは2枚組で、国内盤LP(テイチク)はバラ2枚で発売されていた。
斉諧生は国内盤のドヴォルザークのみ架蔵しているが、ライナーノートを宇野功芳師が執筆しておられ、
煮ても焼いても喰えぬケンペでさえ、実演では燃える。(中略)
 これほどスコアの意味するところのものを理解し、内容を彫り深く描き尽くすと同時に、
 全体の響きと造型を充実し切ったものにし得たのは、さすがドイツ人ケンペの実力といえよう。
と絶讃。
また宇野師の論敵(?)故・福永陽一郎氏も1980年に執筆された文章で、交響曲の名曲名盤を10枚選ばれた折りに、このドヴォルザークを、セル&クリーヴランド「ジュピター」フルトヴェングラー&ウィーン「英雄」ワルター&ニューヨーク「未完成」ミュンシュ&パリ「幻想」などとともに、「人類の財産ともいえる『芸術』であり、これを所有する時代に生きている人間すべての『しあわせ』の証拠である」レコードとして挙げておられる。
ワーグナー;楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲をフィルアップ。
 
なお、この手の慈善コンサート・ライヴといえば、
クラウディオ・アラウ(P)レナード・バーンスタイン(指揮)バイエルン放送響
ベートーヴェン;「レオノーレ」序曲第3番、P協第4番、交響曲第5番
(1976年10月17日、アムネスティ・インターナショナル特別演奏会)
というのがDGGから出ていたが、これもそろそろCD化されないものであろうか。

8月8日(水): 「斉諧生音盤志」が公開4周年を迎えました。ひとえに皆様日頃の御愛顧と御激励の賜であります。今後とも幾久しく御愛顧を頂戴できますよう、乞い願い上げ奉ります。 <(_ _)>

 公開4周年記念企画として、愛惜佳曲書を久しぶりに増補改訂。
 新しい曲(19曲)には  を、推薦盤を入れ替えるなどした曲(5曲)には  を付している。


8月5日(日): 

 先日入手した音盤の情報を、アンゲルブレシュト・ディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


8月3日(金): リチャード・オズボーン『ヘルベルト・フォン・カラヤン』(木村博江訳、白水社)を買う。上下2巻で1,170頁、6,800円(税別)という大部なもの。
 斉諧生的に興味があったのは、かねて「イーゴリ・マルケヴィッチは、カラヤンにライヴァル視され、彼の策謀で徹底的に干しあげられた」との噂があり、その真偽なり根拠なりを確かめることだったが、索引から調べられる範囲では、何も出てこなかった。また、同様の被害にあったというサヴァリッシュなど、索引に項目すらない。
 とはいえ、フィルハーモニア管との録音活動など、非常に豊富な情報量がありそうなので、楽しみに読みたい。

 

ヨーゼフ・カイルベルト(指揮)バイエルン放送響、モーツァルト;交響曲第40番&ブラームス;交響曲第2番(Orfeo)
カイルベルトやコンヴィチュニーといったあたりまで手を伸ばすとキリがなさそうなので、ドイツのカペルマイスター系指揮者の蒐集対象はシュミット・イッセルシュテットくらいに絞っている。
そんなわけで昨日は購入を見送ったのだが、クラシック招き猫で絶讃のスレッドが立っているので、買ってみることにした。
1966年12月8日、ヘルクレス・ザールでのライヴ録音。音質は良好なステレオ。
 
オイゲン・ヨッフム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第7番&モーツァルト;交響曲第33番(Altus)
1986年9月17日、昭和女子大人見記念講堂でのライヴ録音。
このツアーはヨッフムの最後の来日となったもの。その前の来日(1982年)でのバンベルク響との交響曲第8番や、EMIからリリースされた交響曲全集で一挙に名声を上げており、期待の公演だった。
斉諧生も9月26日に大阪フェスティバル・ホールで聴いている。そのときの前プロはワーグナー;「トリスタン」前奏曲と愛の死、メインは同じブルックナー。
実をいうと、バンベルクとの第8番に比べると、いくぶん弛みが感じられ、高齢ゆえの衰えか…という感想を抱いた。
とはいえこれは、それから9日前の録音ゆえ、あるいは疲れが出る前の好調な演奏が聴けるかもしれない。期待と追憶をこめて購入。
 
アレクサンダー・ギブソン(指揮)ロンドン響、シベリウス;交響曲第5番・組曲「カレリア」ほか(DECCA)
「スコットランドの巨匠」アレクサンダー・ギブソンのシベリウス録音を聴き逃すことはできない。彼についてはANJINGさんのWebpageに思い入れをこめた紹介がある。→ここを押して
1959年2月の録音で、名エンジニアとして知られたケネス・ウィルキンソンが担当したもの。元来は当時DECCAと提携していた米RCAからリリースされており、超優秀録音としてオリジナルのLPは非常な高値で取り引きされている(らしい)。
ギブソンは、この曲を3回録音しており、これは最初の録音。2回目はEMI(CFP)から、3回目はCHANDOSから出ており、ともにCD化されている。
同じく優秀録音として有名なアルバム"Witches Brew"から全6曲中4曲を引き抜いてフィルアップしている。こちらはロンドン新響の演奏。
 
クリスチャン・フェラス(Vn)ピエール・バルビゼ(P)ほか、ドビュッシー;Vnソナタ&フォーレ;Vnソナタ第2番ほか(DECCA)
ルクー;Vnソナタの名演で再発見して以来、フェラスのCDは買わざるべからず。
1953年録音のモノラルLP2枚分の音源を収めたもので、上記ソナタ2曲で1枚。
残り1枚は、ショーソン;詩曲ラヴェル;ツィガーヌオネゲル;無伴奏Vnソナタという組合せ。特にオネゲルは珍しい曲なので、注目している。
なお、ショーソンとラヴェルの付けはジョルジュ・セバスチャン(指揮)ベルギー国立管
 
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;カンタータ全集第14巻(BIS)
ずっと買い続けているBCJのカンタータ全集の新譜を購入。
今回は第48番第89番第109番第148番を収めている。
曲目についてはVIVA! BCJに詳しい。→ここを押して
 
ヴァルター・ヌスバウム(指揮)スコラ・ハイデルベルクほか、「夜−百合のように白く」(BIS)
無伴奏合唱によるレイボヴィッツ;2つの配列(ウィリアム・ブレイクの詩による) op.71を収めており、彼の音盤蒐集の一環として購入。演奏時間わずか3分10秒であるが、致し方ない。(苦笑)
そのほか、シェルシシェーンベルクウェーベルンクセナキスリゲティらの作品を収録。

8月2日(木): 

 

小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、チャイコフスキー;交響曲第3番
チェコ・フィルを起用してのチャイコフスキー;交響曲全集の再録音シリーズの第3弾が出たので購入。ライヴ録音ではなく、2001年2月21〜23日、プラハ・ルドルフィヌムでのスタジオ録音。
彼のCDは近頃ずいぶん多くなったが、買い逃せない。一時、新聞等で「60歳になったら指揮活動から引退する」と伝えられたのだが、それも沙汰やみになったようで、ファンとしては慶祝の至り。
なお、ライナーノートを久しぶりに宇野功芳師が執筆しておられる。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、ブルックナー;交響曲第9番&ヘンデル;合奏協奏曲(Orfeo)
Orfeoの新譜が並んでいた。ライヴ録音は聴き逃せないと思っているクーベリックを3点、購入。
彼のブルックナーはSony Classicalへの第3・4番も良かったし、この9番にも期待したい。また、ヘンデルも今どき大編成で演奏するのは珍しく、興味津々。
1985年6月6日、ヘルクレス・ザールでの録音で、もちろん音質は至極良好。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、ドヴォルザーク;交響曲第6番&ヤナーチェク;シンフォニエッタ(Orfeo)
得意にしたドヴォルザークとヤナーチェクの組合せ、これまた買わざるべからず。特に前者は録音も比較的少ない曲であり、名演を期待したい。
1981年10月16日、やはりヘルクレス・ザールでの録音。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽・管弦楽のための協奏曲(Orfeo)
バルトークは集めている曲でもあり、これまたこれまた買わざるべからず。
スタジオ録音ではシカゴ響時代に前者、ボストン響時代に後者が出ているが、1980年前後の円熟期の芸域に期待したい。
前者が1981年5月8日、後者が1978年3月30日、ともにヘルクレス・ザールでの録音。
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)フランス国立放送管ほか、ドビュッシー;牧神の午後への前奏曲・夜想曲ほか(TESTAMENT)
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)フランス国立放送管ほか、ドビュッシー;交響詩「海」・管弦楽のための「映像」ほか(TESTAMENT)
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)フランス国立放送管ほか、ドビュッシー;神秘劇「聖セバスチャンの殉教」ほか(TESTAMENT)
アンゲルブレシュトが仏デュクレテ・トムソンに録音したドビュッシーのほとんどが、TESTAMENTから復刻された。発売情報が伝えられてから鶴首していた待望のリリースであり、万歳三唱して購入。
これらは、LP末期に東芝EMIからまとまって発売され(後にCD化)、この指揮者の名声の基を築いた名盤にもかかわらず、長く入手困難となっていた。
ライナーノートには録音の経緯なども記されており、
(1) 従来「シャンゼリゼ劇場管」とされてきた演奏団体について、実体はフランス国立放送管であり、契約上の理由で別名となったこと
(2) 録音場所・年月日のデータが明らかになり、「映像」は「イベリア」が先行して録音・発売され、後に「ジーグ」と「春のロンド」が追加されて完成したこと
(3) 元来ピアノ伴奏である「家のない子供たちのクリスマス」の管弦楽編曲が指揮者自身の手になるものであること
等、貴重な事実が判明した。
残念なのはカンタータ「放蕩息子」が割愛されたことだが、まだ残っているフォーレラヴェルなどとあわせて復刻されることを期待したい。
曲目の詳細等は、アンゲルブレシュト・ディスコグラフィを参照されたい。
 
エドウィン・フィッシャー(P&指揮)ヨーゼフ・クリップス(指揮)フィルハーモニア管、モーツァルト;P協第20・25番ほか(TESTAMENT)
フィッシャーのモーツァルトは以前Pearlレーベルからも復刻されたが、今回はTESTAMENTから。彼のモーツァルトの「深さ」は、あるいは空前絶後ではないか。
第20番(弾き振り)は重複しているが、第25番(クリップス指揮)はPearl盤に含まれていなかったので有り難い。前者は1954年、後者は1947年の録音。いずれもカデンツァは自作のもの。
フェルスター;アリエッテ・ヴァリエなる小品の独奏(5分程度)をフィルアップ。
 
ヤシャ・ハイフェッツ(Vn)ピエール・モントゥー(指揮)サンフランシスコ響ほか、ショーソン;詩曲ほか(TESTAMENT)
ハイフェッツの未発表録音集というふれこみで、メインはワルター・ジュスキント(指揮)フィルハーモニア管とのラロ;スペイン交響曲ベートーヴェン;2つのロマンスだろうが、斉諧生的にはモントゥーが重要。(^^;
1945年12月17日、サンフランシスコのオペラハウスでの録音。
ライナーノートによると、米RCAによって収録されたが演奏上の傷があって発売されず、再録音(1952年、アイズラー・ソロモン指揮)が流通することになった、とのこと。
なお、ラロとベートーヴェンは1950年6月の録音。

8月1日(水): 

 CD-ROMが1枚届いた。

『マールボロ音楽祭 コンサートプログラム集成 最初の50年』(Marlboro Music、CD-ROM)
1951年に創設されたマールボロ音楽祭の50周年記念事業として作成されたCD-ROM。書籍の形でも製作されているそうだが、3巻本になるというのでCD-ROMをオーダーしたもの。
現物は裏が青いCD-Rで、ジャケットやレーベルはCD-Rキットで作ったような感じ、ブックレットはカラーコピーと、手づくりの雰囲気が漂っている。(笑)
その中味は31MBに及ぶ巨大なPDFファイル、なんと1,676頁!
このため、斉諧生のやや古いノートPCでは非常に重い(CD-Rドライブの速度が遅いのだろう)。ハードディスクに落としたところ、快適に動き出した。
 
主な内容は、
  (1) 50年間の全コンサート・プログラム
  (2) 曲名索引 作曲者別 (標準演奏時間つき)
  (3) 曲名索引 楽器編成別 (同上)
  (4) 演奏者名索引
  (5) ディスコグラフィ
など。
 
コンテンツとしては昨年10月に入手した古書“MARLBORO MUSIC 1951―1975“と同じで、カザルスの指揮記録やペレーニの演奏記録などに付け加えられるものはなさそうだ。
とはいえデジタル・メディアで参照できるようになったのは慶賀の至り。
 
また1976年以降の記録が加わり、例えば、
諏訪内晶子嬢が参加したのは1997年のみ。5回のコンサートに登場し、そのうち7月20日のコンサートではヒラリー・ハーンドヴォルザーク;テルツェット op.74で共演している」
…などということがわかったりする。(^^)
 
残念なのは、ディスコグラフィのデータが、例えば
 JOSEPH HAYDN (1732〜1809)
  Symphony No.94 in G Major, "Surprise"
    Marlboro Orchestra conducted by Pablo Casals
      [Out of Print]
と、非常に簡単なこと。せめて録音年月日くらいは入れてもらいたかった。
 
3月末に公式Webpageで情報を見つけ、メールで問い合わせた上、FAXでオーダーしたのだが、何やかやで刊行が7月末まで遅れたらしい。
売価29.95ドル+送料17ドル、邦貨約5,800円。

 音盤狂昔録平成13年7月分を追加。


平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。

平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。

平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


音盤狂昔録へ戻る

トップページへ戻る

斉諧生に御意見・御感想をお寄せください