音盤狂日録


4月30日(火): ピーター・ブルック(高橋康也ほか訳)『殻を破る』(晶文社、1993年)を購入。
 これは、新刊『200CD "指揮者"聴き比べ!』(立風書房)のピエール・モントゥーの項で紹介されていたため。
 400頁ほどの本だが、モントゥーが登場するのは実質2頁弱(涙)。
 短い記事とはいえ、1953年、ブルックがメトロポリタン歌劇場で演出したグノー;歌劇「ファウスト」の指揮者にモントゥーを起用した時の姿が活写されている。

私はこの場を借りて、この独創的な精神の持ち主、偉大な音楽家にして理想的な同僚に敬意を表したい。『ファウスト』の最初のオーケストラ・リハーサルでの彼の挑発的な態度がいまでも目に浮かぶようだ。冒頭の和音を聞くが早いか指揮棒を置いて、驚いたと言わんばかりの表情でオーケストラに向かって「みなさん、もっと大きな音を出せないなんて……嘘ですよね」と言った。するとオーケストラは、私が聞いたこともないほどの激しい反撃で応じたのだった。

4月29日(祝): 

 

ジャン・フルネ(指揮)東京都響
デュカス;交響曲&R・シュトラウス;組曲「薔薇の騎士」(ALM)
フルネのディスク、買わざるべからず。曲目がデュカスとあれば尚更!
以前、DENONレーベルからオランダ放送フィルとの録音が出ていたが、現時点では入手困難らしい(困ったことだ)。今回の新録音に注目されたい。
「薔薇の騎士」組曲はフランス系指揮者に好まれるのだろうか? 先だってプレートル盤(hänssler)も出たところ。
現在、演奏旅行で北京にいる、このコンビの成果に期待したい。もっとも、「都響の談話室」あたりを見ていると、フルネはけっこう「意地悪爺さん」らしい。(苦笑)
 
戸田弥生(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(音楽之友社)
戸田さんのバッハは、昨年9月、実演で聴いた。強く歌い込む、情熱的な演奏が印象的だった。
彼女の全曲録音がリリースされることを知り、ぜひ聴いてみたいと思って購入。
ブックレット等に録音場所・年月日が記載されていないのは解せないが、彼女がこの録音にかけた切実な思いを執筆している。
 
篠崎和子(Hp)
Hp曲集(MEISTER MUSIC)
篠崎史子を母に持つ新進ハーピストのデビュー盤。
愛惜佳曲書に掲載した、デュセック;Hpソナタ ハ短調を演奏しているので買わざるべからず。
その他、フォーレ;即興曲・「塔の中の王妃」タイユフェールヒンデミットソナタといった定番曲に加え、ニーノ・ロータ;サラバンドとトッカータ(1945年)も収録。

4月28日(日): 

 

アンドレ・コステラネッツ(指揮)管弦楽団
J・シュトラウス;ワルツ集(Sony)
先日買った「究極のコレクション」におけるシュトラウス作品のコステラネッツ編曲が痛快なまでに面白く、10曲を収めたアルゼンチン・ソニー盤も買うことにした。
収録曲は、
「美しく青きドナウ」
「南国のバラ」
「ウィーンの森の物語」
「ジプシー男爵」のワルツ
「こうもり」のワルツ
「芸術家の生涯」
「春の声」
「皇帝円舞曲」
「ウィーン気質」
「千一夜物語」
(太字は「究極〜」に含まれていない曲)
『レコード芸術』「海外盤試聴記」での満津岡信育氏のコメント:
七度や九度などの音を付加したハーモニーがゴージャスに轟き、原曲にはない対旋律やハープのアルペッジョが鳴り響き、主旋律でさえオクターヴ上下したりするかと思えば、ドロップ・ツー(ポピュラー音楽でよく使うオープン・ヴォイシングの手法まで出現する
楽しみ楽しみ(^^)。

4月27日(土): ドイツの楽譜通販サイトMusiaにオーダーした楽譜の第2陣、ステーンハンマル;間奏曲(P独奏)、ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品(第2・3曲)の3点が到着。

 大量のCDが到着。1点を除きjpcから。
 ここは送料が1回当たり3,000円ほどするが、追加でオーダーすると同梱してくれるので安くなる場合もある。反面、入荷しないCDがあると、ずっと待たされるのが欠点。今回は、待ちくたびれて「入荷している分をすぐ送れ」と催促したもの。

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ベルリン放送響 ほか
ベルリオーズ;幻想交響曲&サティ;パラード(URANIA)
マルケヴィッチの放送録音とおぼしい新譜が出ていたのでオーダーしたもの。
現物を見ると、権利関係がちゃんとしているのか正規の音源なのか明記されておらず、少し怪しいようだ。本来そういう音盤は避けるのだが、マルケヴィッチのものゆえ買わざるべからず。
両曲とも指揮者得意の曲目。サティはケルン放送響の演奏とある。
いずれも1952年のモノラル録音。ベルリオーズはレンジが狭いようだが、歪み等は少なくて聴きやすい音質。サティは音に伸びがあり、年代を考えれば優秀録音か。
 
アルヴォ・ヴォルメル(指揮)ヘルシングボリ響 ほか
ステーンハンマル;劇音楽集(STERLING)
ステーンハンマル・ディスコグラフィの欠落を埋める新録音が登場!
ステーンハンマルは、晩年、劇音楽に興味を持ち、ヨェーテボリのロレンスベリ劇場で行われたいくつかの上演に付曲した。
このうちタゴール;チトラの音楽には数種類の録音があったが、それ以外の作品には、ほとんど音盤がない。
今回、シェークスピア「お気に召すまま」・「ロメオとジュリエット」ストリンドベリ「夢幻劇」への音楽が、いずれも斉諧生の知る限り初めて、音として届けられた。
「お気に召すまま」はステーンハンマルのオリジナル・スコアで全24曲中の14曲を、「ロメオとジュリエット」はルーセンベリが編曲した5曲からなる組曲版を、「夢幻劇」は、やはりルーセンベリによる演奏会用編曲を、それぞれ収録している。
 
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ザールブリュッケン放送響 ほか
スクロヴァチェフスキ;「パッサカリア・イマジナリア」・室内協奏曲・Cl協(Albany)
スクロヴァチェフスキが自作を演奏したもの。指揮者の作曲というのは聴きたくなるもので、ドラティの交響曲(BIS)なども架蔵している。
「パッサカリア〜」は、かつての手兵ミネソタ管から委嘱され1995年に作曲、翌年、大植英次の指揮で初演されたもの。
室内協奏曲は、セント・ポール室内管から創立35周年記念に委嘱されたもので1993年の作曲。前年に死去したオーケストラの創立者レオポルト・サイプの追悼曲でもあり悲歌的な色彩を帯びているという。
Cl協はミネソタ管の首席奏者ジョゼフ・ロンゴのために1981年に書かれ同年4月に初演された作品。この盤ではリチャード・ストルツマンが独奏している。
 
ロベール・カサドシュス(P)ジョージ・セル(指揮)クリーヴランド管
モーツァルト;P協集 ほか(Sony Classical)
このところソニーから出ているサドシュスの覆刻シリーズから。基本的な名盤なのだが、未架蔵だった。
彼のピアノもさることながら、セルのモーツァルトを聴いてみたいと思い、オーダーしたもの。
第18・21・22・23・26・27番Pソナタ第12・14・17番&幻想曲K.397をCD3枚に収めている。
第21番以外はオーケストラが「コロンビア響」と表記されているが、これはクリーヴランド管が契約か何かの都合で使った変名のはず。
 
ソロモン(P)ヘルベルト・メンゲス(指揮)フィルハーモニア管 ほか
モーツァルト;P協第15・23・24番(TESTAMENT)
ベートーヴェンの後期ソナタ等に名盤を遺したソロモンは、ずっと気になっているピアニスト。
買いそびれていたTESTAMENTレーベルのモーツァルトが安く出ていたのでオーダー。
第15番のみオットー・アッカーマンが指揮している。
1953〜55年のモノラル録音で、全盛期のフィルハーモニア管が聴けるのも楽しみ。
 
アンヌ・ガスティネル(Vc)ルイ・ラングレー(指揮)リエージュ・フィル ほか
シューマン;Vc協 ほか(Naive)
このチェリストは、最近CDをあれこれ見かけるので気になっていたのだが、『レコード芸術』「海外盤試聴記」で相場ひろ氏が、この盤を紹介しておられ、
やや細身の音色で全体の起伏よりも個々のフレーズのなかでの表情の微細な変化に焦点をあてて、シューマンがこめた抒情を丹念にすくいとっていく卓抜なアプローチ
という高評。これを機会に一度聴いてみようとオーダーしたもの。
クレール・デゼール(P)との共演で、同じ作曲家の幻想小曲集・民謡風の5つの小品・アダージョとアレグロをカプリング。
 
ミラ・ワン(Vn)ヤン・フォーグラー(Vc)ティエリー・フィッシャー(指揮)北ドイツ放送ハノーヴァー・フィル
サン・サーンス;Vc協第1番・Vn協第3番 ほか(Berlin Classics)
現役独墺系チェリストで最も注目・期待しているフォーグラーの新譜。どういう流通の問題か、この人の音盤はなかなか店頭に入ってこないのでオーダーしたもの。
奥さんとの相乗り盤で、標記のほかVn・Vcを独奏パートに持つミューズと詩人op.132をカプリング。
 
セーアン・エルベック(Vn)モーテン・モイェンセン(P)
フランク;Vnソナタ&ルクー;Vnソナタ(kontrapunkt)
ルクーの新録音を見つけたのでオーダーしたもの。
エルベックは1966年、モイェンセンは1965年の生れ。先日、トールス・スヴェイン(Vc)を加えたコペンハーゲン・トリオとして来日した。
kontrapunktに多数のソロ、デュオ、トリオの録音がある。
 
ヨゼフ・スーク(Vn)ヤン・パネンカ(P)
ヤナーチェク;Vnソナタ&ドビュッシー;Vnソナタ&プーランク;Vnソナタ ほか(Supraphon)
しばらく間があいたが、先頃から買っている渡辺和彦『ヴァイオリニスト33』の参考CD。
渡辺氏によると、ヤナーチェク(1958年モノラル録音)が、スークの初期の演奏スタイル〜「プシホダの再来」のごとき濃厚なチェコ民族派のスタイル〜をよくあらわしているという。
プシホダの名前を出されては聴かざるべからずと捜していたのだが、再発されたばかりなのに何故か店頭で見あたらず、オーダーしたもの。
カプリングのドビュッシーはヤナーチェクと同年、プーランクは1967年の録音。
 
エッカルト・ルンゲ(Vc)ジャック・アモン(P) ほか
"CONTRAPUNCTANGO"(ARS MUSICI)
以前、極端に遅くて重い異色の「グラン・タンゴ」のCDを聴いたデュオに、バッハピアソラを取り上げたCDがあり、興味を惹かれてオーダー。
バッハでは、Vcソナタ第3番「フーガの技法」第13番を収録、後者の"inversus"ではサキソフォン、バンドネオンとチェロで3つの声部を担当している。
ピアソラ作品は「恐怖」(ファイヴ・タンゴ・センセーション)フーガとミステリオ(ブエノスアイレスのマリア)プレリュードとフーガ9など、フーガや対位法の要素を取り入れたもの7曲を演奏している。アルバム・タイトルは、このあたりにちなんだものだろう。
 
リーゼ・ブシェ(P)
アンゲルブレシュト;子供部屋&ドビュッシー;「子供の領分」(ATMA)
アンゲルブレシュトの作品に新録音が出たので飛びついてオーダー。
元来は4手連弾のための作品だが、後に作曲者自身が独奏用に編曲した版に拠り、6巻すべてを演奏している。
なお、この1枚のみ国内の通販業者グッディーズから購入したもの。今年2月に同社のメールマガジンでリリースを知り、初めて聞くレーベルなので即刻オーダーをかけたのだが、店頭に出回る方が早かったようだ。(^^;
 
 
ヤーッコ・クーシスト(Vn)ペッカ・クーシスト(エレクトリック・Vn)オスモ・ヴァンスカ(指揮)ラハティ響 ほか
"MUSIC!"(BIS)
クーシスト兄弟とジャズのピアノ・トリオほかをフィーチャアしたポップス系のアルバム。
特に兄ヤーッコは管弦楽編曲も担当しており、彼のファンとしては買わざるべからず。

 この間購入したCDの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。


4月25日(木): 

 

ネルソン・フレイレ(P)ルドルフ・ケンペ(指揮)ミュンヘン・フィル
チャイコフスキー;P協第1番&ドヴォルザーク;セレナード(Sony Classical)
昨日、シューベルト他を一聴して覆刻の素晴らしさに驚嘆したケンペの遺産。ドヴォルザークは輸入盤CDを架蔵しているが、是非この音で聴きたいと思い、買い直し。
 
アンドレ・コステラネッツ(指揮)管弦楽団
「究極のコレクション」(Sony)
地下鉄を降りると「宇宙戦艦ヤマト」のテーマが鳴り響いている。音のする方へ足を向けると、普段は立ち寄らないジャズ&ポピュラー専門音盤店の前でエレクトーンのデモンストレーションをやっているのだった。
なぁんだと思ったものの、そのまま店に入って棚を物色していると、「ムード音楽コーナー」(あえて死語を使っている模様)に、これが並んでいた。
以前『レコード芸術』「海外盤試聴記」で満津岡信育氏が紹介され、こうした編曲物が好きな斉諧生ゆえ捜していた盤なので、千載一遇と購入。
オーストラリア・ソニーによる3枚組で、ウィンナ・ワルツ、オペラの管弦楽編曲、ミュージカル・ナンバー、そのほか無慮60曲を収める。
60年代半ば以降に録音されたリズム・セクション入りのポピュラー・ナンバーの平々凡々たる出来は、時代に取り残された老預言者(ママ)の姿を見るようで、少々哀しいものがある。
とのことだが(苦笑)、J・シュトラウス等は編曲の腕が冴えた楽しさ満載のコステラネッツ・サウンドなのだそうで、楽しみ。
 
ベドロス・パパジアン(指揮)ソフィア・アルメニア聖歌隊
「アルメニア正教会の礼拝」(KING)
キングの「世界宗教音楽ライブラリー」中の1巻。原盤はブルガリアGEGAレーベル。
好きな東方教会聖歌の中でも最も愛好するアルメニア教会のものゆえ、シリーズが店頭に並んだときから気になっていたのだが、ようやく購入。
ところが、いきなりオルガンが鳴り始めたので吃驚。解説によれば、19世紀に活躍したエクマリヤンなる作曲家の手になる典礼歌集『パタラグ』から22曲を採ったものとのこと。
この人はペテルブルクの音楽院で学び、バラキレフあたりと親しかったそうで、アルメニア古来の聖歌旋律を生かしながら、機能和声理論に基づく多声合唱曲に仕上げた曲集だという。ちょっとがっかり。
満足できるアルメニア教会聖歌の音盤は、OCORAレーベルのものくらいか。
 
ヤン・ルングレン(P) 
「シャレード」(M&I)
スウェーデンの美音ピアニスト、ルングレンの新譜が出ていたことを思いだし、↑のコステラネッツ盤と同じジャズ音盤店で購入。
前作「ロンリー・ワン」と同じく、デンマークのベーシスト(イエスパー・ルンゴー)、ドラマー(アレックス・リール)が共演している。
やはり前作同様、なかなか凝った選曲と美麗な紙製ジャケットの素敵なアルバム。国内盤のみ。

4月24日(水): 横田庄一郎『フルトヴェングラー 幻の東京公演』(朔北社)を読了。新聞の書評欄で紹介されていたもの。
 約350頁2,200円の書籍だが、内容はあまり濃くない。長いのは、調査経過をだらだら書いているのと(ほとんどが文献調査なので退屈)、フルトヴェングラーとナチス政治についての見解(独創的な観点は見られない)が縷々記されているから。
 1939年夏に17回の公演が予定されていたというフルトヴェングラー&ベルリン・フィルの東京演奏旅行計画(なんでもツェッペリン型飛行船で飛来する筈だったとか)については、企画に携わった日本側関係者に関する記事も含め、まとめてしまえば数十頁程度に収まったのではないか。
 面白そうな人物も姿を見せるので、調査を徹底すれば、東西楽壇秘話としても戦前期昭和史の一断片としても素晴らしい本になったろうに…少々残念。

 

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)日本フィル
ブラームス;交響曲第4番&ラヴェル;「ラ・ヴァルス」(EXTON、DVD)
マルケヴィッチが旧・日フィルに客演した演奏会のテレビ映像が覆刻された。まことに貴重な記録であり、リリース情報に接したときから半ば信じられない思いで発売日を待っていたもの。
ブラームスは1968年3月21日、ラヴェルは同年2月29日、ともに東京文化会館での収録。
音声は、以前、Kapelle(学研)ないしPlatzレーベルからCDが発売されており、ブラームスには同日演奏のヴェルディ;「ルイザ・ミラー」序曲がフィルアップされていた。
白黒画像で、時々、金管楽器が照明に光ってハレーションを起こすものの、全体には良好な画質・音質で、マルケヴィッチの鮮烈克明な指揮棒さばきや、獲物を狙う鷲のような姿勢と眼光の鋭さが、ヴィヴィッドに蘇っている。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)日本フィル
ストラヴィンスキー;春の祭典&ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲(EXTON、DVD)
↑同様、マルケヴィッチのテレビ映像覆刻。
ストラヴィンスキーは1968年2月29日、ラヴェルは1965年4月15日、ともに東京文化会館での収録。前者は上記「ラ・ヴァルス」と同日でCDになっていたが、後者は初出だろう。
マルケヴィッチの代名詞ともいえる「春の祭典」では、譜面台を置かず、長目の指揮棒を自在に操る姿に見とれる。腕の振りは大きいものの、脚はあまり動かさない様子で、禁欲的というか静的な指揮ぶりなのだが、曲が曲だけに眼光は一層鋭く、視聴していて金縛りにあう心地。
収録の古いラヴェルは、画質が比較的粗く、またモノラル音声なのが残念だ。
同じ日の演奏からはベルリオーズ;幻想交響曲サティ;パラードがCD化されていたが(ステレオ音声)、この2曲の映像は残っていなかったのだろうか。
ともあれ、このDVD2点は、まさに宝物。本当に嬉しい。
 
ルドルフ・ケンペ(指揮)ミュンヘン・フィル
シューベルト;交響曲第9番&R・シュトラウス;メタモルフォーゼン(Sony Classical)
ケンペの貴重な遺産がリリースされたので購入。
シューベルトは懐かしい。LP時代には、1,300円の廉価盤ながら知る人ぞ知る名演として愛聴されていたもので、音色と音楽の暖かさが印象に残っている。
また、R・シュトラウスは貴重な覆刻、国内ではLP未発売だったのではないかと思う。
オリジナルLPでカプリングされていたドヴォルザーク;セレナードは海外でCD化されているが、音質は比べものにならないほど今回の覆刻が優秀。ドヴォルザークも買い直さねば…!
 
小林研一郎(指揮)チェコ・フィル
チャイコフスキー;交響曲第4番(EXTON)
このところスタジオ録音に傾斜していたコバケンのライヴ盤が登場、買わざるべからず。
2001年3月1・2日、プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールでの収録。
並行してスタジオ録音された音源も発売済み。これについて指揮者は「ライヴとセッションの間に存在する心の揺れ、パッションなど、人間の置かれた状況の違いの中の特殊な変化を聴いてほしいと思います。」と語っている(ブックレット掲載のインタビュー)。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロイヤル・フィル
ムソルグスキー;禿山の一夜・展覧会の絵(BMG)
レイボヴィッツの国内盤が登場! もちろん購入。
特に「禿山〜」はレイボヴィッツの面目躍如たる怪録音(笑)、彼を語る上では外せない演奏だった(→ここを押して)。
R・コルサコフの編曲に自身の工夫と録音上の操作を加えたもので、左右に分かれた木琴が掛けあい、ウィンドマシーンが唸り、結尾が改変され不気味さを強調して終わる。爆演・怪演を好まれる向きには、ぜひとも耳にしていただきたい。
一方「展覧会の絵」は、(聴く限りでは)通常のラヴェル編曲版で、むしろあっさりしたストレートな演奏。
当時から優秀録音として高名な音盤で、CD化も成功しており、まったく古さを感じさせない。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)アントニ・ヴィット(指揮)ポーランド国立放送響 ほか
R・シュトラウス;交響詩「ドン・キホーテ」&ロマンス(ebs)
古楽器派以上に過激、刺激的なバッハ;無伴奏(WERGO)に接して以来、その録音を蒐集しているチェリスト、ベルガーの未架蔵盤をワゴン・セールで発見、シメシメと購入。
実力派ヴィットが振っているのも嬉しい。Va独奏は Zygmunt Jochemzyk、あるいはオーケストラの首席奏者か(ブックレットに紹介がない)。
なお、「ロマンス」ではアンドレイ・ストラシンスキが指揮している。1988年の録音。
 
ジェイムズ・ジャッド(指揮)ニュージーランド響
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」 ほか(NAXOS)
「愛惜佳曲書」掲載の交響的絵画「ポーギーとベス」の新譜を見つけたので購入。
定番「パリのアメリカ人」に加えて、ラッセル・ベネットがガーシュウィンのソングなどを材料に編曲した「ハリウッドのガーシュウィン」をカプリングしているのが珍しい。
 
リリー・クラウス(P)ピエール・モントゥー(指揮)ボストン響
モーツァルト;P協第12・18番(BMG)
クラウスの、というより斉諧生にとっては、モントゥーの貴重なモーツァルト録音がCDに覆刻されたので購入。
ライナーノートで宇野功芳師が
モントゥーの指揮もまことに強靱かつ健康的だ。両曲のどこをとっても、はち切れそうな活気と生命力があふれ、太陽の光のように明るく輝かしい。
と記しておられる。
1953年4月のモノラル録音だが、美しい音質。
 
村治佳織(G)ホアキン・ロドリーゴ室内管
ロドリーゴ;ある貴紳のための幻想曲 ほか(VICTOR)
村治嬢の新譜、買わざるべからず。初回限定ミニ写真集付き(苦笑)。
標記のほか、ロドリーゴによるギター独奏作品4曲を収録。そのうちファンダンゴは、本人の強い希望で再録音されたものとか。
作曲家の名を冠したオーケストラは、ロドリーゴの女婿にあたるヴァイオリニスト、アウグスティン・レオン・アラがコンサートマスター席から率いる。
第1Vnから順に5-4-3-3-1という小編成だが、色彩感など素晴らしい。
 
ラルフ・カーシュバウム(Vc)ロジャー・ヴィニョールス(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ第3番&ブラームス;Vcソナタ第2番&ドビュッシー;Vcソナタ(BBC Music Magazine)
BBC Music Magazineの付録CDである。
以前、バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べで非常に良かったカーシュバウムと、名手ヴィニョールスの共演ゆえ、雑誌ごと購入。
1996年5月26日、バース音楽祭でのライヴ録音とのこと。
なお、この2人の顔合わせでは、バーバー;Vcソナタのスタジオ録音もあった(Virgin)。
 

4月23日(火): 英国アマゾンから "Life with Glorious John" という本が届いた。著者は Evelyn Barbirolli、Ob奏者としても知られたバルビローリ未亡人である。
 パラパラと頁をめくってみた程度だが、二人それぞれの生い立ちから指揮者の没後までの回想録といった趣で、本文約200頁、附録約100頁(簡単なディスコグラフィなど)、写真16頁(軍服やエプロン姿のポートレートも)からなる。

 

川崎みゆき&喜多村知子(P) ほか
アンゲルブレシュト;子供部屋(抜粋) ほか(東音企画)
いつもお世話になっている知人から、「ふとしたところでアンゲルブレシュトの作品が録音されているのを見つけました」というメールを頂戴した。
『第26回 ピティナ・ピアノコンペティション 課題曲集第2巻』というタイトルのCD。収録曲詳細は→ここを押して
「デュオ初級B」というグレードに、アンゲルブレシュト;子供部屋のうち
「お父さん」「庭へ降りました」「塀の上のめんどり」「お茶目ちゃん」「私が幼い頃に」が含まれている。
商品の性格上、CD売場ではなく、楽譜・楽器売場に、同コンペティションの要項や課題曲の楽譜と並べて陳列してあった。

4月21日(日): 

 先日到着したLPの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィパレー・ディスコグラフィに追加。


4月18日(木): 

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響
ハイドン;交響曲第81番&ブラームス;交響曲第1番(WEITBLICK)
ケーゲルの放送録音覆刻の新シリーズが並んでいたので購入。
ハイドンは1986年9月30日、ブラームスは1973年3月27日録音とある。
音質はいずれも良好。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響
ヤナーチェク;シンフォニエッタ&ドヴォルザーク;交響曲第9番(WEITBLICK)
収録日は、ヤナーチェクが1972年9月29日、ドヴォルザークは1967年11月14日(モノラル)。
ヤナーチェクはまずまず良好な音だが、ドヴォルザークはやや古めかしく過多なエコーが煩わしい感じ。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響
ストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」&バレエ音楽「春の祭典」 ほか(WEITBLICK)
ケーゲルのストラヴィンスキー録音は、「プルチネッラ」・「カード遊び」やピアノと管弦楽の作品集
「火の鳥」が1969年4月1日、「春の祭典」が1977年4月19日の収録。悪い音ではないが、さすがに大編成管弦楽の音を収録しきれていない。
「バレエの情景」(1986年9月30日)をフィルアップ。こちらは美しい。
 
ハインツ・レークナー(指揮)ベルリン放送響
デュカス;「魔法使いの弟子」&ミヨー;「世界の創造」 ほか(Berlin Classics)
先頃急逝したレークナーの代表盤の一つがBerlin ClassicsからCD化されたので購入。
標記2曲以外には、初出LPどおり、次の3曲を収録。
エネスコ;ルーマニア狂詩曲第1番
サン・サーンス;「死の舞踏」
ファリャ;「火祭りの踊り」
もっとも調べてみると国内盤(徳間)では夙にCD化されており、しかも架蔵済み(汗)。
聴き比べてみると、このレーベルの通弊で少し派手めのきつい音作り。徳間盤の方がアナログ優秀録音の雰囲気を良く伝えている。
 
ヴァーツラフ・フデチェク(Vn)ペトル・アダメツ(P)
ドヴォルザーク;Vn作品集(Supraphon)
フデチェクの新録音(2001年2月)で、ドヴォルザークの作品集が出ていた。
若い頃(1970年代)にはチェコの俊秀、スークの後継者として騒がれた人だが、近頃はパッとしない。
ちょっと迷ったが、現在の彼の実力を確認してみたいと思い購入。
有名なソナチネ4つのロマンティックな小品など6曲を演奏している。

4月16日(火): 

 

ゲルハルト・ボッセ(指揮)アンサンブル
ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a ほか(アフィニス文化財団)
JT(日本たばこ)系のアフィニス文化財団が開催している「アフィニス夏の音楽祭」の記録CD。財団のWebpageから「CDプレゼント」に申し込んで頂戴したもの。
これまで作製されたCDのリストを見ていると、蒐集しているop.110aを含むものがあったので、アンケート・フォームから送信したのだが、届いてみれば指揮がボッセ氏。これは儲け物だった。
R・シュトラウス(ハーゼンエール編);もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル(五重奏版)
モーツァルト;セレナード第10番「グラン・パルティータ」(第1・3・6・7楽章抜粋)
をカプリング。
なお、アンサンブルは国内のプロ・オーケストラから参加したメンバーと講師陣からなり、上記モーツァルトではインゴ・ゴリツキ(Ob)、ダグ・イェンセン(Fg)らが加わっている。
 
ポール・パレー(指揮)デトロイト響
ドビュッシー;交響詩「海」・「イベリア」(英Mercury、LP)
パレーの英プレス盤LPがMikrokosmosに比較的安価で出ていたのでオーダー。
斉諧生は、正直申して、レーベルの紋様やジャケット・デザインからプレスの時期を判定することについては詳しくない。マーキュリーについては、その連関が米プレス盤では複雑怪奇だと聞きかじったこと、知り合いのレコード店主が「私は英プレス盤しか集めていません」と漏らされたことを記憶しているのみ。
オーダーしたときは、LPでは廉価再発盤しか架蔵していないと思いこんでいたが、ちゃんと棚を調べたら米盤があった(汗)。
それでも、音的には今回の英盤の方が優れているようなので、胸を撫で下ろした。
 
ポール・パレー(指揮)デトロイト響
シャブリエ;管弦楽曲集(英Mercury、LP)
これも安価でMikrokosmosに出ていたパレーの英プレス盤。このあたり、国内の中古LP取扱店では相当高価な値付けなので買わずに来ていたので、シメシメとオーダー。
なお、こちらは間違いなく未架蔵(苦笑)。
 
「第7回国際チャイコフスキー・コンクール Vn部門 第1巻」(露MELODYA、LP)
1982年のチャイコフスキー・コンクールの記録盤。
加藤知子ヴィクトリア・ムローヴァらの名前に興味を覚えてMikrokosmosにオーダーしたもの。
加藤さんはサラサーテ;カルメン幻想曲、ムローヴァはフレンニコフ;舞曲&パガニーニ;「ネル・コル・ピウ」変奏曲を弾いている。
そのほかセルゲイ・スタドレルステファニー・チェイスといった、聞き覚えのある名前も見える。
 
ユッシ・ビョルリンク(Ten)ニルス・グレヴィリウス(指揮)ストックホルム歌劇場管
スウェーデン歌曲集(独RCA、LP)
ビョルリンクがステーンハンマル;スヴァーリエを歌ったLPをMikrokosmosで見つけたのでオーダー。
もちろんCDでは架蔵しているが、ステーンハンマルならLPでも持っておきたい。
なお、ビョルリンクの「スヴァーリエ」は2種の音盤が残っているが、これは新しい方(1957年録音)。

4月15日(月): 

 

カール・リステンパルト(指揮)ザール室内管 ほか
モーツァルト;戴冠式ミサ・ヴェスペレK.339(Accord)
このあいだから、購入し始めている福島章恭『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)での推奨盤。
ひとえにシュティッヒ・ランダルの『ラウダーテ・ドミヌム』が聴けるためである。この敬虔な美しさを超える歌唱を私は知らない。
とのこと、愛惜佳曲書に掲げる曲ゆえ、ぜひ聴きたいと購入。
同書には入手困難とあるが、幸い中古盤屋で発見できた。

4月14日(日): 

 昨日到着したLPの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


4月13日(土): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮)シカゴ響 ほか
ドヴォルザーク;交響曲第8番&ブリテン;シンフォニア・ダ・レクイエム ほか(CSO自主製作)
このところお世話になりっぱなしのWOODMANさんのWebpageで、シカゴ響の新しい自主製作盤がリリースされたことを御教示いただいたので、さっそくオーダーしたもの。実質3日間で到着。
CD2枚組の収録曲を録音年順に並べ直すと、
ウォルトン;「ベルシャザールの饗宴」(1952年3月30日)
ドヴォルザーク;交響曲第8番
ワーグナー;「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死(以上1966年12月8日)
モーツァルト;フリーメーソンの葬送音楽(1980年3月15日)
自作;管弦楽のためのシーケンス(1980年11月9日)
ブリテン;シンフォニア・ダ・レクイエム
ラヴェル;クープランの墓(以上1983年11月3・4日)
最も古いウォルトンも含め、いずれも優秀な音質。
 
ピエール・ドゥカン(指揮&Vn)ボルドー・アキテーヌ合奏団 ほか
モーツァルト;ディヴェルティメントK.136・コンチェルトーネK.190 ほか(FORLANE)
Alapage.comを検索していて、ふとドゥカンの指揮盤があることに気がついた。
パリ音楽院の名教授として知られ、フォーレシューマンの名演を残した人ゆえ、きっと素晴らしい音楽を聴けるものと期待してオーダー。
標記2曲のほか、
Ob協 K.314(独奏はジャン・ルイ・カペツァリ)
セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」
を収録。
なおK.190の独奏Vnはドゥカン自身とローラン・ドガレイユ
 
ジャン・フランソワ・ヴェルディエ(Cl)フランソワ・サヴィエ・ロート(指揮)ジャン・ヴィエナ・アンサンブル
R・シュトラウス;Cl&Fg二重協 ほか(QUANTUM)
かねてバソン(フランス式ファゴット)という楽器に関心を持っているのだが、このページを御覧の方から、楽器店アトリエ・アルファのWebpageを教えていただいた。
もちろん吹けない楽器を買うわけでもないのだが、あちこち見ていると、このCDが掲載されていた→ここを押して
R・シュトラウス作品は見れば買うようにしている曲ゆえ、Alapage.comにオーダーしてみたもの。
ルトスワフスキ;ダンス・プレリュード
コープランド;Cl協
ニルセン;小組曲
をカプリング。
なお例によってフランス語は不得手、指揮者の名前(François-Xavier Roth)と団体名(Ensemble Jean Wiéner)のカタカナ表記には自信がない。
 
テディ・パパヴラミ(Vn)ムザ・ルバカイト(P)
ブラームス;Vnソナタ全集(LYRINX)
先日バッハ;無伴奏全曲を入手したパパヴラミ、他の曲も聴きたくなり、Alapage.comにオーダー。
LYRINXは趣味の良いレーベルなので、このブラームスにも期待がもてる。
共演のルバカイト(原綴Mûza Rubackyté、読みは自信ない)はリトアニア出身、モスクワでフリエールダヴィドヴィチらに学んだとのこと。
1995年12月、マルセイユでの録音。
 
テディ・パパヴラミ(Vn)
パガニーニ;奇想曲(全曲)(Pan Classics)
上記ブラームス同様、Alapage.comにオーダーしたもの。
パパヴラミはデビュー盤(HMF)でも数曲を録音しており、全曲盤の出来栄えにも期待したい。
1997年録音。
 
レジ・パスキエ(Vn)
パガニーニ;奇想曲(全曲)(Valois)
先日のフランス音楽アカデミーのコンサートで不在が惜しまれたパスキエのCDを検索したところ、この盤がヒットした。
彼の名人芸と色気が、この曲集なら映えるはずと思いオーダー。
1991年の録音。
 
青木 調(Vn)鷲宮美幸(P) ほか
吉田隆子;Vnソナタ ほか(日本の作曲・21世紀へのあゆみ」実行委員会)
今年1月27日の項で、リリー・ブーランジェの紹介者として著書を挙げた吉田の作品を聴いてみたいと思い、アリアCDにオーダーしたもの。
Vnソナタは1952年の作曲で、完成したものとしては彼女の最後の作品となった。モチーフは代表作ともいえる舞台音楽「火山灰地」から採っており、さかのぼれば日本民謡に由来するという。
独奏者は奇しくも−と言わずに何としよう−一昨年12月23日ステーンハンマル作品を取り上げたコンサートを聴いた青木調さん。
1998年9月30日、紀尾井ホールで開かれた演奏会のライヴ録音で、当日のテーマは「民族派といわれた人々」。
早坂文雄;弦楽四重奏曲
清瀬保二;弦楽四重奏曲(以上ニューアーツQ)
松平頼則;Pソナチネ(高橋アキ)
をカプリング。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロンドン・フィル
オッフェンバック(ロザンタール編);「パリの歓び」(米URANIA、LP)
レイボヴィッツの未架蔵盤をMikrokosmosのカタログで見つけたのでオーダー。音源としては架蔵しているが英SAGA盤のため、オリジナルのURANIA盤を捜していたもの。
音の生々しさや自然な伸びで、英盤を少し上回るようだ。これは良い買い物だった。
なお、ジャケットが美女の全身ポートレート、"Leslie Caron"とキャプションがあり、調べてみると、1950年代にアメリカで人気のあった女優とのこと。
フランス生れの元バレリーナというから、この曲のジャケットにはまことに相応しかったろう。
なお、レスリー・キャロンについては(→ここを押して、→ここを押して、→ここを押して)
 
イェフディ・メニューイン(指揮)バース音楽祭管 ほか
ブリテン;フランク・ブリッジ変奏曲 ほか(英EMI、LP)
このところベスト盤探求中のフランク・ブリッジ変奏曲のメニューイン指揮盤をMikrokosmosで見つけたのでオーダー。
1960年代前半の録音らしく、ジャケット写真のメニューインもまだまだ若々しい。
コレッリ;合奏協奏曲op.6-2
ティペット;コレッリの主題による協奏的幻想曲をカプリング。
後者は作曲者自身が指揮している。
 
アーヴェ・テレフセン(Vn)フランス・ヘルメルソン(Vc)ハンス・ポルソン(P)
フォーレ;P三重奏曲&ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲(瑞BIS、LP)
テレフセンの未架蔵盤で、しかも昨秋、実演に接して好きになったショスタコーヴィッチ;Pトリオ。これは聴かざるべからずとMikrokosmosにオーダーしたもの。
1975年4月、BISレーベルが発足してまもない頃の録音で、BIS-25LPという番号がついている。
 
エルッキ・ラウティオ(Vc)間宮芳生(P) ほか
ファリャ;スペイン民謡組曲&間宮芳生;Japanilainen Kansanlaulu ほか(瑞Bluedisc、LP)
フィンランド楽壇の重鎮ラウティオのライヴ音源をMikrokosmosのカタログで見つけたのでオーダー。
間宮作品の邦題は未詳、民族的な素材による4分半ほどの小品である。
カプリングは、
新井淑子&エリ・ゴレン(Vn)エルッキ・ラウティオ(指揮)クフモ室内管
バッハ;2Vn協
ラルフ・ゴトゥーニ&エドヴァルド・アウエル(P)
ブラームス;ワルツop.39(抜粋)
1977年7月31日〜8月1日、クフモ室内楽音楽祭での録音。
 
ミルセア・サウレスコ(vn)ヤーノシュ・ソリュオム(P) ほか
アルヴェーン;Vnソナタ・歌曲集(瑞EMI、LP)
アルヴェーンのVnソナタ(op.1)に興味を惹かれてMikrokosmosにオーダーしたもの。
小林さんの北欧のクラシック音楽によれば、
全体として、後のアルヴェーンらしさや構成感には欠けるが、淡いロマンティシズムを感じる曲である。
とのこと(→ここを押して)、期待できそうである。
B面の歌曲集(6曲)はマルゴット・レディン(M-S)ヤン・エイロン(P)による。
 
ヨゼフ・スーク(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(独EMI、LP)
この曲集の音盤史を振り返るときに欠かせないスークの録音をLPで聴きたいと捜していたところ、Mikrokosmosのカタログに安価で出ていたのでオーダー。
米プレス盤が来ると困るなぁと思っていたのだが、独盤だったので胸を撫で下ろした(オリジナルは英盤のようだが)。
 
ホーカン・ハーゲゴード(Br)トマス・シュバク(P)
ステーンハンマル;「フローレスとブランセフロール」 ほか(瑞EMI、LP)
ステーンハンマルの未架蔵音源をMikrokosmosにオーダー。
8分強のバラードで、本来は管弦楽伴奏。1975年4月24日の録音で、ハーゲゴードは1993年に、やはりピアノと再録音している(BMG)。
LP両面で12曲を歌っており、ステーンハンマルは1曲だけで、他はシグルド・フォン・コックらのスウェーデン歌曲とシューベルト、ブラームス、R・シュトラウスといったドイツ歌曲。

4月12日(金): 

 

尾高忠明(指揮)読売日響 ほか
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番 ほか(BMG)
一昨日の項に書いた「バーゲン品3枚以上70%オフ」セールを再訪。
これは国内盤も出た尾高さんのショスタコーヴィッチ、架蔵済みかも…と迷って買わなかったのだが、帰宅して調べてみるとまだだったので、今日は購入。
工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページによると、
全ての音符が大切にされ、非常に丁寧な仕上がりとなっている。やみくもな熱狂とは無縁だが、堅実に楽譜を読み込んだ上での共感に満ちた演奏に好感が持てる。
とのこと(→ここを押して)、聴かざるべからずと思っていたものである。
日本の詩による6つのロマンスをフィルアップ(Ten独唱はマーク・タッカー)。
1996年6月3〜6日、鎌倉芸術館での録音。
 
レオポルト・ストコフスキー(指揮)シカゴ響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第6番&ハチャトゥリアン;交響曲第3番 ほか(BMG)
これも「70%オフ」セール品。
一般には派手好きなイメージのあるストコフスキーだが、第6番という地味な、しかし内容のある曲を録音したところに注目して購入。シカゴ響との共演も興味深い。
例によって工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページによると、
オーケストラの高い機能を生かした、洗練された佳演。時々大胆な表情も散見されるものの、基本的には注意深くコントロールされたオーソドックスな演奏。
とのこと(→ここを押して)。実に真っ当な音楽家なのである。
ショスタコーヴィッチ;組曲「黄金時代」をフィルアップ。こちらについての工藤さんのコメントは、
非常に安定した演奏。技術的にも申し分ないし、解釈もしっかりとツボを押えている。ただ、上品過ぎるところが物足りない。
とのこと(→ここを押して)。
 
フランス・ヘルメルソン(Vc)ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮)ロシア国立響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第12番・Vc協第2番(CHANDOS)
これも「70%オフ」セール品。
好きなチェリストの一人であるヘルメルソンの演奏なので気になっていたのだが、第2番の方は今ひとつ好きではないので買いそびれていたもの(第1番交響曲第15番とのカプリングで架蔵済み)。バーゲン価格なので購入に踏み切った。
ただし、工藤さんの評価はあまり高くないようだ(交響曲は→ここを押して、Vc協は→ここを押して)。
 
ピエール・モントゥー(指揮)ロンドン響 ほか
ワーグナー;「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲・ジークフリート牧歌 ほか(BBC LEGEND)
大好きな指揮者、モントゥーのライヴ盤が新しく出ていたので購入。
収録曲と録音年月日は、
ワーグナー;「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲(ロンドン響、1963年5月29日)
同;ジークフリート牧歌(ロイヤル・フィル、1960年11月18日)
ドビュッシー;イベリア
ストラヴィンスキー;詩篇交響曲(以上BBC響・同合唱団、1961年10月18日)
ファリャ;「三角帽子」抜粋(ロンドン響、1961年12月15日)
いずれも楽しみだが、特に注目したいのはスタジオ録音のない「マイスタージンガー」、ストラヴィンスキー、ファリャ。
 
アンドルー・デイヴィス(指揮)BBC響
ディーリアス;管弦楽曲集(TELDEC)
これも「70%オフ」セール品。
なるべく手元に置いておきたいディーリアスの楽曲、レギュラー価格では食指が動かなかったが、今回は文句なく購入。
「パリ:大都会の歌」・「夏の庭にて」・「ブリッグの定期市:イギリス狂詩曲」といった比較的規模の大きい曲に加え、
「楽園への道」(歌劇「村のロメオとジュリエット」から)「春初めてのカッコウを聴いて」・「河の上の夏の夜」という愛惜佳曲を収録。
 
レナード・スラトキン(指揮)ロンドン・フィル
ブリテン;シンフォニア・ダ・レクイエム ほか(BMG)
これも「70%オフ」セール品。
標記の異形な交響曲は、かねて注目しているところ、更に「青少年のための管弦楽入門」・「4つの海の間奏曲」といった有名曲に加え、愛惜佳曲に掲げたパーセル(ブリテン編);シャコンヌまで収録。
これでバーゲン価格なのだから買わざるべからず。
 
ララ・セント・ジョン(Vn)ニューヨーク・バッハ・アンサンブル ほか
バッハ;Vn協集・無伴奏Vnソナタ第1番(Ancalagon)
かつてセミ・ヌードのポートレートをジャケットに掲げたバッハ;無伴奏曲集や痛快なまでにポルタメントを駆使した小品集「ジプシー」をリリースして注目されたヴァイオリニスト、セント・ジョン。
一昨年に来日してベルク;Vn協を演奏したのだが(パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)東響ここを押して)、聴きに行けなくて悔しい思いをしたばかり。
↓でもお世話になったWOODMANさんのWebpageで、彼女の公式Webpageを御教示いただいた。
さっそく閲覧、オンライン・ショップで新譜を買い求めたところ、わずか6日で到着したもの。
協奏曲はBWV.1041・1042・1043を収録、1043での第2Vnは弟スコット・セント・ジョン(英語では"brother"だが、写真を見る限りでは若そうだ)。
ブックレットが冊子ではなく折り畳み式、広げると裏面が彼女のセクシー・ピンナップ(死語か?)という仕掛けになっている。
ただし、演奏は至極真っ当なものゆえ、誤解なさらぬよう(苦笑)。

4月11日(木): 

 

マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)サンフランシスコ響
マーラー;交響曲第6番(SFSO自主製作)
いつもお世話になっているWOODMANさんのWebpageユビュ王の食卓で御教示いただいたCD。
定価26ドル弱だが、サンフランシスコ響のオンラインショップでは送料が72ドル以上かかるというので(絶句)、上記Webpageの掲示板を中心とした共同購入に加えていただいた。お世話になりました <(_ _)>。
ティルソン・トーマスのマーラーではロンドン響との第3番が良かったので、第6番でも期待したいところ(第7番は未架蔵)。
2001年9月12〜15日のライヴ録音で、SACDとのハイブリッド盤。そちらのフォーマットで聴いた方が本領が発揮できるのだろうが、ハードの購入には、まだ踏み切れない。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響 ほか
マーラー;大地の歌(audite)
auditeからリリースされているクーベリックのマーラー・ライヴは聴き逃せない。ついに「大地の歌」が登場したので購入。
ヴァルデマール・クメント(Ten)とジャネット・ベイカー(A)が歌っている。
1970年2月27日、ヘルクレス・ザールでの録音。音質は極めて優秀。
残っているのは第4・8・10番の3曲。全集が揃うのだろうか?

4月10日(水): 

 

アイオナ・ブラウン(指揮&Vn)ノルウェー室内管
ベートーヴェン;交響曲第1番 ほか(naim)
北欧音楽MLで、イギリスのオーディオ・メーカーnaim audioがCDも製作していることを教えていただき、そのオンライン・ショップで面白そうなものをオーダーしてみた。
グリーグ;2つの悲しい旋律&2つのノルウェーの旋律
ティペット;コレッリの主題による協奏的幻想曲
をカプリング、1994年8月、有名なソールズベリー大聖堂でのライヴ録音。
なお、オーダーから、わずか4日で到着。送料も2ポンド(400円弱)と格安であった。
 
アルベルト・リジー(Vn)イェフディ・メニューイン(指揮)カメラータ・リジー・グシュタート ほか
バッハ;Vn協集(Arcobaleno)
メニューイン晩年の指揮盤を見つけたので購入。彼をはじめ弦の名匠が振ったものには独特の暖かい音楽があるので聴き逃せない。
オーソドックスにBWV.1041・1042・1043の3曲を収録、1043での第2Vnはゾフィア・ロイターという1971年ドレスデン生れの女性。
録音年月日は明記されていないがマルPは1999年、メニューイン追悼盤の模様。
 
アルトゥール・シュナーベル(P)イサイ・ドブロウェン(指揮)フィルハーモニア管 ほか
ベートーヴェン;P協第3・4番(TESTAMENT)
ベートーヴェン;P協第2・5番(TESTAMENT)
京都の某外資系音盤店で「バーゲン品3枚以上70%オフ」のセールを行っており、該当商品のうち以前から気になっていたものを数点購入。
シュナーベルのベートーヴェンは、それこそSP時代から決定盤として著名なもの。それだけにマイナー演奏家好みの斉諧生としては、かえって買いそびれていたのだが、今回は@500円程度なので購入に踏み切った。
1946〜47年の録音、第5番のみアルチェオ・ガリエラの指揮。
 
ヴィリー・ボスコフスキー(Vn)リリー・クラウス(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ全集(EMI&新星堂)
3枚組定価4,500円のものだが、上記70%offセールにて購入。
ヴァイオリニスト・ピアニストともに興味を惹かれる人で、かねて店頭で見かけては思案していたもの。セール品中に発見して欣喜雀躍。
讃仰者の多いクラウスがピアノを弾いているわりには話題にならないのが不思議だ。ボスコフスキーにウィンナ・ワルツのイメージが濃くて損をしているのだろうか。
1955年のモノラル録音。
 
ユヴァル・ヤロン(Vn)ジェレミー・デンク(P)
タルティーニ;悪魔のトリル ほか(naim)
これもnaim audioオンライン・ショップから。
ヴァイオリニストの名前は、FINLANDIAレーベルからシベリウス;Vn小品集の録音が出ているので知っていた。
ヤロンはイスラエル生まれ、シェリングの薦めでアメリカに渡り、ジョゼフ・ジンゴールドに学んだ。1975年のシベリウス・コンクールで第1位に輝いて以来、ソリストとして活躍、現在はインディアナ大で教授を務めるとのこと。
標記のほか
ロカテッリ;Vnソナタ ハ短調&ニ長調
ヴィヴァルディ(レスピーギ編);Vnソナタ ニ長調
グルック(クライスラー);精霊の踊り
を収録。1996年8月、インディアナ大学アウアー・ホールでの録音。

4月9日(火): 

 

カレル・アンチェル(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管 ほか
ハイドン;交響曲第104番&ブラームス;交響曲第2番 ほか(TAHRA)
アンチェルのライヴ録音新譜がTAHRAから出ていた。彼のドイツ音楽は聴き逃したくないので購入。
ハイドンは1970年7月6日収録で、管弦楽は「放送フィル」とのみ表記されているが、解説の文脈からするとオランダ放送フィルということになろうか。音質は優秀。
ブラームスには、チェコ・フィルとのスタジオ録音もあったが、これは1969年2月26日のライヴ。コンセルトヘボウ管との演奏だけに期待したいが、高域に歪みがあり、やや聴きづらい音質が残念。
もう1枚はチェコ・フィルとのライヴで、
スメタナ;『わが祖国』より「ボヘミアの森と草原から」・「ターボル」・「ヴラニーク」
スメタナ;『売られた花嫁』序曲(以上1959年9月21日、ウェリントン)
ヴォジーシェク;交響曲 ニ短調(1966年6月26日、ストラスブール)
を収録。いずれも音質は問題なく、特にヴォジーシェクは美しいもの。
 
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管 ほか
ブラームス;交響曲第4番&ラフマニノフ;交響曲第2番 ほか(IMG)
『20世紀の大指揮者』シリーズの2枚組、標記ブラームス(初CD化)が名演であるとの情報を得たので購入。
2枚目のメインであるラフマニノフ(1973年録音)もオーマンディ十八番の一つ、人によっては同曲のベストに挙げる名演なので、買って損はあるまい。
フィルアップの
R・シュトラウス;ドン・ファン(1959年6月21日ライヴ、バイエルン放送響)
ウェーベルン;夏風の中で
なども楽しみである。

4月8日(月): 

 

ヤシャ・ハイフェッツ(Vn)トーマス・ビーチャム(指揮)ロイヤル・フィル ほか
モーツァルト;Vn協第4番 ほか(DUTTON)
先日来、新刊福島章恭『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)を読んでいる。
そこでの推奨盤のうち、気になったものを捜していたところ、これが店頭にあったので購入。
ビーチャムとの共演による旧盤が、ヨーロッパの香りにあふれた雰囲気のある名演である。ハイフェッツも、市川雷蔵のような色気と切れ味のある演奏を披露してくれている。
と★5つの満点が与えられている。ハイフェッツ自作のカデンツァが聴きものとのこと。
マルコム・サージェント(指揮)ロンドン響との
ヴュータン;Vn協第5番
ウィリアム・スタインバーグ(指揮)RCAビクター管との
ブルッフ;スコットランド幻想曲をカプリング。
3曲とも1947年の録音。
ブルッフは、Pearlからも覆刻されているが、そちらはサーフェスノイズを残したふくらみのある音質。DUTTON盤は、きれいな音だ。
 
ロベール・カサドシュス(P)エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管
ベートーヴェン;P協第1・4番(Sony Classical)
カサドシュスの覆刻シリーズが並んでいた中で、ベイヌム&コンセルトヘボウが聴ける1枚を購入。このコンビの音楽は聴き逃したくない。
1959年3月のステレオ録音。やや高域のきつい音質だが、響きは明快。
 
ペトル・メシュエレウル(Vn)スタニスラフ・ボグニア(P)
モーツァルト;Vnソナタ選集(Calliope)
これも福島章恭『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)の推奨盤から。
実に懐かしい響きのするヴァイオリンで、これほど郷愁に誘われる演奏は稀だ。
と★4つ半の高点が与えられている。
メシュエレウルはターリヒ四重奏団の第1Vn奏者とのこと。
全16曲の4枚組も出ているが、とりあえずサンプラー的な1枚が店頭にあったので、試しに購入。K.302・K.304・K.379・K.526の4曲を収める。
なお、福島著では1983・85年録音とされているが、CDには1972年録音ADDとの表示がある。
 
トヌ・カリユステ(指揮)エストニア・フィルハーモニー室内合唱団 ほか
モーツァルト;ヴェスペレK.339 ほか(CARUS)
福島氏推奨盤を捜していたときに、愛惜佳曲書に掲げた「ラウダーテ・ドミヌム」を含むK.339の未架蔵盤を見つけたので購入。
カリユステは、合唱団の頂点スウェーデン放送合唱団を指揮していた人なので、別団体とはいえ、至純のモーツァルトが聴けるのではないかと期待している。
ヴェスペレK.321・リタニアK.195をカプリング。

4月7日(日): 

 長く懸案になっていたブラームス;3つの間奏曲 op.117の諸盤を聴き比べ。本来なら3曲セットのはずなのだが、時間がないので、まず第2曲 変ロ短調から。
 なお、同曲の楽譜はThe Sheet Music Archiveからダウンロードした。

以下、録音年順に配列する。
 
イヴ・ナット(EMI)
1955年10月録音(第2番のみ1938年6月の旧録音もある)。
ピアノの音が非常にまろやかな柔らかいもの。録音年代の問題ではないだろう(アンドレ・シャルランの手になる)。もしかしたらフランスの銘器なのかもしれない。
その音に似つかわしくインティメイトに始まるあたりは好もしいのだが、主部再現からコーダにかけて盛り上げるところで混濁するのが残念。
 
グレン・グールド(日Sony、LP)
1960年9月録音。
グールドのリリカルな面が美しくあらわれた演奏。
きれいな音で感情の振幅を大きくとって音楽を紡いでゆくが、過度にわたることはない。
例えば中間部では大きくテンポを落とすが、"legato espress. e sostenuto" の部分で響きが威嚇的になるのを注意深く避けている。また、主部再現の終わりでも盛り上がりを形成しつつも "rf" 指定の部分は巧みに柔らかく処理している。
奏者によっては厳つくなりがちなコーダ("Piu Adagio"以下)でも、テンポを落として音量を抑制し、余情を聴かせる部分として扱っているのが好ましい。
 
ヴィルヘルム・ケンプ(DGG)
1963年12月録音。
LP時代からの有名盤、「渋み」「訥々とした中の老巧な味わい」などと評されてきた。
テンポは恐ろしく速く、ジャケットの表示では3分57秒(他盤では5分前後)。
音楽の起伏を抑えに抑え(フォルテやクレッシェンドの指定も無視)、細部もザラッとした手触りのまま、淡々と弾いているのだが、ちょっとした節回しなどに味がある。このあたりが人気を博した所以であろう。
斉諧生的にも好ましい1枚であった。
 
ジュリアス・カッチェン(DECCA)
1962〜65年に録音されたピアノ曲全集の一。
美しく見事にコントロールされた柔らかい音で、夢幻的な雰囲気のある音楽。
例えば、冒頭、主題提示が繰り返されるときのソフトなタッチは、優しさの限りを尽くす。それが一瞬のうちに過ぎ去るはかなさこそ音楽の真実。
テンポの揺れも絶妙、中間部の終わりから主部再現にかけて、微妙な「ため」が琴線をかきむしる。
このリリシズムは、後述のルプーを上回るものだろう。ピアニストは1926年生れだから、30歳代後半にこれだけの芸術を実現していたことになる。42歳での早世が誠に惜しまれる。
 
ラドゥ・ルプー(DECCA)
1970年11月録音。
ルプーにとってDECCAへの初録音となったものらしい。「千人に一人のリリシスト」というキャッチフレーズで売り出された頃だろう。
柔らかめの音で強弱や緩急の波をつけてゆく。これはこれで良いが、カッチェンやグールドに比べると一歩を譲るのではないか。
コーダでは思い入れが先行しすぎて音の流れが損なわれていると感じられた。
 
アナトリー・ヴェデルニコフ(DENON)
1975年録音。
ピアノがしっかりと、かつ、美しく鳴っている。音楽とピアノの響きが見事にコントロールされ、完璧な姿をとっているように思える。
残念なのはコーダが遅く重いこと。斉諧生の好みからは外れるのだが、あるいはピアニストには、もっと大きな「何か」が見えていたのかもしれない。
 
ディミトリ・アレクセーエフ(EMI)
1976年7月録音。
教科書的な模範演奏だが、特段の味わいには欠ける。
 
ヴァレリー・アファナシェフ(DENON)
1992年3月録音。
細身の美しい音でレースのように編み上げられた音楽。
中間部後半、"dolce" 指定以下をノン・レガートで奏するのが極めて美しい。
ただ、グールドあたりに比べて、何か、欠けているもの、足りないものがあるような気がする。抒情の深さ、真実味であろうか。
 
エディット・ピヒト・アクセンフェルト(CAMERATA)
1996年8月、草津国際音楽祭におけるコンサートをライヴ収録したもの。
一音一音が慈しむように弾かれており、実演ではきっと感動的だったろうが、録音で聴く限りでは、ミスタッチや指の回りにくいところが耳について、ちょっと苦しいものがある。
終演直後にライヴ録音のCD化を提案したプロデューサーに、本人がスタジオ録音を希望したというのも肯ける。間もなくピヒト・アクセンフェルトが病床に臥し、そのまま長逝したために実現しなかったのが惜しまれよう。
 
ホアキン・アチュカロ(ensayo)
1998年7月録音。
飛び抜けて明るい、透明な音。きらめくアルペジオ。そこから立ち上る「明るい哀しみ」。
これで中間部前半やコーダに「陰」が感じられれば、一段と素晴らしかっただろう。
 
一、二を除いて名演・好演揃いだが、あえて絞ればカッチェングールドが双璧、ケンプヴェデルニコフが落とせない特色を持つ、というところだろうか。

4月6日(土): 

 通販業者からLPが届いた。

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)北ドイツ放送響
ハイドン;交響曲第102番&ヒンデミット;交響曲「画家マティス」(独NDR自主製作、LP)
イッセルシュテットの未架蔵音源を購入。
放送局の友の会か何かへの頒布用と思われる、地味な統一ジャケット。これまでにも何点か入手したことがあり、おそらくかなりの音源が残っていると思われる。
両曲ともスタジオ録音はなく、特にハイドンは得意のレパートリーだけに期待したい。米Capitol盤LPで聴ける「驚愕」など素晴らしかった。
1967年のステレオ録音。

 音盤狂昔録平成14年3月分を追加。

 この間の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。


4月4日(木): 

 

「ザールブリュッケン放送響の60年」(RSO自主製作)
WWWをうろうろしていて、ふとザールブリュッケン放送響の公式Webpageに立ち寄ったところ、同放送局のオンライン・ショップで自主製作盤を売り出しているのに気がついた。→ここを押して
ハンス・ツェンダーチョン・ミュンフンマルチェロ・ヴィオッティといった歴代常任指揮者の顔ぶれに惹かれて買い求める。
…のはずが、なぜかブラウザ(サーバー?)との相性が悪く、オンラインでは購入できず、WOODMANさんの掲示板で助けを求めたところ、さる方の御厚意でお頒けいただくことができた。改めて謝意を記したい。<(_ _)>
CD3枚組に全17人(曲)を収録したサンプラー仕立て、煩を厭わずすべて挙げれば、
アルベルト・ユング ワーグナー;「タンホイザー」序曲 (初代常任(1937〜44)、1938年12月15日録音)
フランツ・レハール 自作;「ジプシーの恋」序曲 (1939年6月28日)
カール・リステンパルト モーツァルト;セレナータ・ノットゥルナ (室内管常任(1953〜67)、1960年9月7日)
ルドルフ・ミヒル ハチャトゥリアン;「ガイーヌ」(抜粋) (2代常任(1946〜71)、1964年5月22日)
レオポルト・ストコフスキー バッハ(指揮者編);パッサカリアとフーガBWV582(1969年7月18日)
アントニオ・ヤニグロ リゲティ;Ramifications (室内管常任(1968〜72)、1970年11月14日)
ミヒャエル・ギーレン マーラー;交響曲第5番第2楽章 (1971年2月12日)
ヴォルフガング・フォルトナー バッハ(ウェーベルン編);リチェルカーレ (1971年3月23日)
ブルーノ・マデルナ ラヴェル;ラ・ヴァルス (1972年4月7日)
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ 自作;交響曲第1番第3楽章 (1976年3月13日)
ジュゼッペ・シノポリ チャイコフスキー;交響曲第6番第3楽章 (1978年4月6日)
ハンス・ツェンダー ドビュッシー;遊戯 (3代常任(1971〜84)、1984年2月26日)
チョン・ミュンフン プロコフィエフ;「ロメオとジュリエット」(抜粋) (4代常任(1984〜89)、1987年9月13日)
マウリツィオ・カーゲル 自作;Szenario (1988年11月14日)
マルチェロ・ヴィオッティ バルトーク;管弦楽のための協奏曲第4・5楽章 (5代常任(1991〜95)、1991年4月14日)
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ ブルックナー;交響曲第7番第3楽章 (1991年9月20日、CDとは別音源)
マイケル・スターン ベートーヴェン;交響曲第3番第1楽章 (6代常任(1996〜99)、1997年2月7日)
なお、3枚組に分厚いブックレット(初演記録やディスコグラフィ含む)が付属して10.3ユーロ(邦貨約1,200円)という安さ!

4月2日(火): 

 毎春、京都で行われている京都フランス音楽アカデミーの講師連中によるコンサート、コンセルヴァトワールの巨匠たち京都コンサートホール(小)を聴きに行く。

シューベルト;弦楽四重奏曲断章(第12番)
ラファエル・オレグ(Vn)森悠子(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレ(Vc)
オレグの音が硬質・細身、このシリーズの常連プーレパスキエに比べて、落ちると言わざるを得ない。シューベルトの歌に溺れるに至らず。
冒頭、照明器具か何かに起因する超高域の共振音が聞こえ、耳障りだった。オレグもしきりに気にしていたが、数分程度で止まったのは何より。
 
サン・サーンス;「見えない笛」&カプレ;「おいで、見えない笛のため息が…」・「聴け、わが心」&マルタン;3つのクリスマスの歌
アンヌ・マリー・ロッド(Sop)フィリップ・ベルノルド(Fl)ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)
Flの助奏が付く歌曲をシリーズで。こうした珍しい作品が聴けるのも、このコンサートの美質だ。
ロッドの細いがよく透る美声で、美しいフランス語が楽しめた。
ベルノルドもランパル系の美音、またプリュデルマシェの柔らかいタッチも美しく、馴染みのない曲ばかりながら、とても楽しめた。
 
武満徹;ヴォイス
フィリップ・ベルノルド(Fl)
尺八風のイディオムがFlの特殊奏法と良く調和しているのに驚嘆。
 
ラヴェル;ラ・ヴァルス(2台ピアノ)
ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)フセイン・セルメット(P)
以前のシリーズで、この2人のスペイン狂詩曲(4手)が演奏されたことがあり、それも見事だったが、今回も素晴らしい出来栄え。
詩的なタッチと切れのいいリズムが、完璧と思えるアンサンブルに映えていた。
強奏時に音が硬くなるのが気になったが、あるいは楽器の問題か。
 
ブリテン;幻想曲
ジャン・ルイ・カペツァリ(Ob)ラファエル・オレグ(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレール(Vc)フセイン・セルメット(P)
オレグのVnには、シューベルト同様、不満が残る。
Va・Vcは上手いのだが、旋律の歌わせ方や和音の取り方に、どうも違和感あり。英仏の音感覚の差か。
カペツァリのObも、フランス系と思えぬ太めの音色。これは好みの問題だろうが、斉諧生的には残念。
 
フォーレ;P五重奏曲第2番
ドミニック・メルレ(P)ジェラール・プーレ&森悠子(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレ(Vc)
今日は、この曲を目当てに入場料を払ったようなもの。実演で聴ける機会は貴重だろう。
プーレが入ったとたん、弦楽合奏の音色が一変。まろやかな音色と和声に陶然となる。
フォーレ晩年の室内楽というと「枯淡」「晦渋」が通り相場だが、非常に疑問。
第1楽章の熱っぽさ、嵐のような第2楽章、第3楽章の陶酔感と終楽章の高揚。
素直に聴けば、実に美しい、官能的な曲である。この季節にぴったりの萌えるような音楽だ。
今日の演奏では、特に第2楽章の速さが印象的。最初は少し驚いたが、聴き進むにつれて納得のいく音楽となった。
プーレのみならず、他の弦楽3人も上手い。メルレのピアノは、バランスといい出入りの呼吸といい、アンサンブル的には素晴らしいのだが、どうも音自体に詩情が乏しい。これも楽器の問題だろうか?
 
アンコール等は、なし。

4月1日(月): 

 

ジュリアーノ・カルミニョーラ(Vn)アンドレア・マルコン(Cem)
バッハ;Vnソナタ全集(Sony Classical)
最近、古楽器派Vn奏者の中で世評の高いカルミニョーラ、従来ヴィヴァルディ録音が多く敬遠していたが、バッハに進出したので興味を惹かれた。
店頭で試聴してみたところ、切れ味よく気品ある音楽らしい雰囲気なので購入に踏み切った。
もっとも試聴機の劣悪な音質ゆえ「美しい誤解」でないことを願いたい。それにしても、どうしてあんな音なのだろう? まさか、高音質で聴かせてアラが見えると大変、なんて「配慮」ではあるまい。

平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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