音盤狂日録


深謝参拾萬件

 平成14年7月28日朝、トップページのアクセスカウンタが300,000件を超えました。これもひとえに皆様方の御愛顧の賜、心から感謝申し上げます。
 かつまた間もなく公開5周年を迎えますので、併せて賑々しく記念企画を展開すべきところではございますが、生憎と本業繁忙の折節、盆休み頃までお待ちいただきますようお願い申し上げます。

斉諧生    

8月31日(土): 茂木大輔『オーケストラ楽器別人間学』(新潮文庫)を読了。単行本は1996年に草思社から出ていたが、「文庫化にあたり、大幅な加筆、改訂をほどこした。」というので、あらためて買ったもの。
 なるほど色々手が加わっているが、とりわけ「有名人による架空オーケストラ」(性格別に楽器を配当したもの)は大幅に増補されている。そのラインナップは次のとおり。

下線付きは単行本・文庫版共通、(カッコ付き)は単行本のみで文庫版では削除、無印は文庫版で増補された人を示す。
 
指揮者
みのもんた
合唱指揮者
土井たか子
コンサートマスター
ビートたけし、松田聖子
第1Vn
志村けん(トップサイド)、明石家さんま、浜田幸一、(高岡早紀)
第2Vn
タモリ(首席)
Va
西田敏行(首席)、蛭子能収三浦百恵、西村雅彦、米倉涼子、久本雅美
Vc
筒井康隆(首席)、田中真紀子(首席)、橋爪功、高橋尚子
Cb
山崎努車寅次郎、(佐野史郎)
Hp
ユーミン
Fl
小泉今日子(首席)、(三浦友和(首席))
Ob
星飛雄馬、福田康夫(2番)、柳美里(イングリッシュ・ホルン)、(長塚京三)、(相楽晴子(2番))
Cl
山岡士朗、イチロー、(和久井映見)
バスCl
小泉純一郎
Fg
柄本明(首席)、水野美紀(首席)、アン・シャーリー
コントラFg
春風亭柳昇
サキソフォン
鈴木京香
Hrn
細川俊之(首席)、三谷幸喜(2番)、吾輩は猫である、(松村邦洋)
Trp
(野茂英雄(首席))、アンパンマン、西田ひかる
Trb
和田アキ子(首席)、浦島太郎
チューバ
(野村克也)
ユーフォニアム
藤原紀香
Timp
デューク東郷春風亭小朝、石原慎太郎
Perc
武田鉄矢、菊川怜(鍵盤系)、高倉健(シンバル)

 選定理由や席次の与え方(上表ではほとんど省略)が面白く興味深いが、それは書店でごらんください。

 

ヴィクトリア・ムローヴァ(指揮&Vn) 啓蒙時代管
モーツァルト;Vn協第1・3・4番(Philips)
ムローヴァが古楽器に持ち替えたという話題のモーツァルト、輸入盤が並んでいたので購入。
カデンツァは、オッターヴィオ・ダントーネアカデミア・ビザンティーナの手になる。
2001年7月、ロンドンでの録音。
 
ボザール・トリオ & キム・カシュカシアン(Va)
フォーレ;P四重奏曲第1番・P三重奏曲(Philips)
好きなVa奏者、カシュカシアンが加わった音盤が、中古格安で出ていたので購入。
1988年5月、スネープ・モルティングスでの録音で、トリオのメンバーが
メナヘム・プレスラー(P)
イシドア・コーエン(Vn)
ピーター・ウィリー(Vc)
という時期に当たる。

8月30日(金): 

 音盤屋を覗いて帰ってきたら、CDが届いていた。

オスカー・エスピナ・ルイス(Cl) 倉地恵子(P)
「バスク・ハート」(KOBALTONE)
スペイン出身で現在はアメリカを中心に活動しているCl奏者のリサイタル盤。
アリアーガ;主題と変奏「ハンガリー風」
を含んでおり、この夭折の作曲家の作品は聴いておきたいとオーダーしたもの。
元来はVnと通奏低音のための曲だが、ここではCl奏者自身の手になる編曲で演奏されている。
その他、
サン・サーンス;Clソナタ
ミヨー;ソナチネ op.100
ラヴェル;ソナタ(遺作)(VnソナタからCl奏者自身による編曲)
グリディ;エレジー
ゲイン;イリス
などを収録。
これはムジクケラー音楽事務所から届いたもの。このWebpageは、5周年&30万アクセス記念・CDプレゼントに御応募いただいた方から教えていただいた。
 
古澤巌(Vn) セルジオ&オダイル・アサド(G)
「ブラジルの風」(Sony)
古澤巌の未架蔵盤が中古格安で出ていたので購入。
ジョビンナザレなど、ブラジルのポピュラー音楽の名品佳品を14曲、集成したもの。
一部の曲では他の楽器が加わっているが、Flにマルク・グローウェルズ(公式Webpage)が顔を見せているのには驚いた。
2001年8月、ベルギー・ブリュッセルでの録音。

8月29日(木): 

 HMVから荷物が届いた。
 昨年10月、ネット通販界を震撼させ、ほぼ1日で終了したセット物半額セールで発注した13点のうち、最後の1点である(配送済み11点、絶版キャンセル1点)。
 実を申すと、オーダーが残っていることをすっかり忘れており、ずっと、安値で出ていたら買うつもりで、店頭やネット通販で気にしていた。危ない危ない(^^;。

ベルナルド・ハイティンク(指揮) コンセルトヘボウ管 ほか
「ライヴ 放送録音集成」(Q Disc)
CD14枚組に41曲を収録。
1曲で1枚を占めている大曲では、
ブルックナー;交響曲第7番(1972年10月14日)
マーラー;交響曲第6番(1968年11月7日)
があるが、正直申して、このあたり、彼がまだ若い頃の録音にはあまり期待していない。これに対して、
ショスタコーヴィッチ;交響曲第10番(1985年12月8日)
は、工藤さん
演奏の熱気がもの凄い。ライヴならではの瑕はあるものの、格調の高さと壮大さは比類なく、曲の隅々まで完璧に理解したという自信すら感じられる踏み込みの凄まじさに圧倒される。
と星5つの最高評価を与えておられる。これは楽しみ。
また、斉諧生好みの曲目には、
オネゲル;交響曲第5番(1967年2月19日)
ドビュッシー(エッシャー編);6つの古代碑銘(1993年12月3日)
ルーセル;バレエ音楽「蜘蛛の饗宴」(1974年9月21日)
プーランク;組曲「牝鹿」(1977年10月14日)
などがある。
更に楽しみなのは、協奏的作品で、
モーツァルト;P協第27番(クリフォード・カーゾン(P)、1972年12月22日)
フォーレ;Pと管弦楽のバラード(ロベール・カサドシュス(P)、1962年2月8日)
プロコフィエフ;P協第5番(ウラディミール・アシュケナージ(P)、1977年2月11日)
プロコフィエフ;Vn協第1番(ダヴィード・オイストラフ(Vn)、1972年10月8日)
バルトーク;P協第2番(ゲザ・アンダ(P)、1970年2月8日)
バルトーク;Vn協第2番(アイザック・スターン(Vn)、1968年10月3日)
といったあたり。
とりわけオイストラフのプロコフィエフには、中野雄氏が
作曲者に対する共感が曲の隅々にまで行き届いた完璧な名演
とのコメントを付されている(『クラシックCDの名盤 演奏家篇』文春新書)。
これを聴くことが、オーダーした最大の目的。
半額セールのおかげで税込み7,000円強、Berkshire Outletよりも安い。

 先日届いたCDの情報をブーランジェ・作品表とディスコグラフィに追加。


8月28日(水): 音盤屋で洋書を1冊、購入。

Bice Horszowski Costa 編
" Miecio − Remembrances of Mieczyslaw Horszowski "(Erga edizioni)
1993年、100歳(と11カ月)で没したピアニストについて、ビーチェ夫人が編んだ記録集である。
主な内容は、掲載順に
(1) 年表
(2) 母親の書簡;1898〜1908年、ウィーンで学んだり、神童として演奏旅行していた頃の記録
(3) 年代記;ピアニストの談話、日記等をもとにビーチェ夫人がまとめたもの
(4) 資料集;作曲目録、レパートリー、ディスコグラフィ、文献目録
全部で650頁近い大冊であるが、そのうち150頁ほどを(2)、350頁ほどを(3)が占める。
また、CDが1枚、付属しているが、その詳細は↓に記す。
ホルショフスキはカザルスの親友であり、その関連の記録が確認できるのではないかと期待して購入。
案の定、写真がたくさん掲載されており、その中にはカザルスが写っているものも多い。
表題の「ミエチオ」はピアニストの愛称。同様に夫人の名も正式にはベアトリーチェである。この2人が結婚したのは1981年7月12日。新郎89歳、新婦49歳、ともに初婚であった。
2人の人生行路については、昨年9月に亡くなった萩元晴彦氏@テレビマンユニオンが、『婦人公論』誌に『ホルショフスキーへの旅』という連載記事を執筆されたことがある(平成6〜7年)。
素晴らしい文章だったが、連載終了時に「単行本は近く小社より刊行の予定です。」とアナウンスされたにもかかわらず、いまだに日の目を見ないのは残念だ。

 

エリック・ハイドシェック(P) ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送響
モーツァルト;交響曲第40番・P協第22番(WEITBLICK)
ケーゲルの放送用録音の覆刻シリーズ第2弾が出ていたので購入。
クセモノ(?)同士の顔合わせが注目される協奏曲は1967年11月14日のライヴ(モノラル)。発売に向けてピアニスト自ら録音をチェックし、極めて満足できる出来栄え、生涯最良の演奏会の一つに数えられるであろう…とコメントしたという。
両端楽章のカデンツァが、ハイドシェックの自作というのも面白そうだ。
少し聴いた感じでは、極めて素直に美しいモーツァルトである。録音状態も、少しオーケストラが遠い感じはするが、良好なモノラル。
交響曲は1987年6月2日、ゲヴァントハウスでのライヴ録音(ステレオ)。
ケーゲルのト短調にはPILZ盤があったが、別の演奏。聴き比べてみたところ、今回の方が音の状態も良く、演奏にも精彩がある。
 
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) シンシナティ響
シベリウス;交響曲第2番 & トゥビン;交響曲第5番(Telarc)
待ちかねていた1枚が入荷したので購入。
シベリウス指揮者として期待している息子ヤルヴィが第2番を録音しただけでも嬉しいのに、そのカプリングがトゥビンとは!
トゥビンは1905年、エストニアに生まれた作曲家。ソ連の侵略に追われてスウェーデンに亡命、1982年、祖国の独立を見ることなくストックホルムで客死した。
父ヤルヴィが早くから熱心に紹介していたが(BISレーベルに録音多数)、実をいうと交響曲のCDを買うのは初めて。熱心なファンも多い作曲家なので、期待している。
なお、この10月に広島響が、トゥビンの交響曲第3番を日本初演することになっている。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送響 ほか
バルトーク;管弦楽のための協奏曲・「カンタータ・プロファーナ」(WEITBLICK)
ケーゲルの新発売音源その2。
この指揮者特有の、磨き上げた冷たい美しさが、「バルトークの闇」を表出し得ていることを期待したい。
音質も良好、最新録音並みとはいかないが、ライヴ録音としては水準をクリアしたもの。
「オケコン」は1971年3月16日、カンタータは1972年9月29日の収録。
 
ミエチスラフ・ホルショフスキ(P) アレクサンダー・シュナイダー(指揮) プエルト・リコ・カザルス音楽祭管 ほか
ベートーヴェン;P協第4番 ほか(DYNAMIC)
上記" Miecio − Remembrances of Mieczyslaw Horszowski "付属CD。
期待以上の内容で、
1958年4月29日録音の標記協奏曲に加え、
バッハ;プレリュードとフーガ イ短調 BWV.894
ショパン;4つのマズルカ op.41(以上1977年12月2日、カーティス音楽院)
ショパン;夜想曲 op.15-2(1983年8月6日、フィレンツェ)
と、彼が作曲した歌曲を2曲、収録している。
音の状態はいずれも良好である。
最も年代が古い協奏曲も、少しレンジは狭いが、まずまず美しいステレオで、特に独奏に関しては不満はない。
 
ウラディミール・アシュケナージ(P) キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル ほか
ラフマニノフ;P協第2・3番(DECCA)
先だってラフマニノフ;Vcソナタ聴き比べの際、ハレル盤でのアシュケナージに一頭地を抜いた存在感があり、あらためて感心した。
斉諧生はこのピアニストの良い聴き手ではないのだが、ラフマニノフは聴いてみようと思い、まず最初期の録音を購入。
コンドラシンとの第2番は1963年9〜10月、アナトール・フィストゥラーリ(指揮) ロンドン響との第3番は同年3月の録音である。エンジニアは高名なケネス・ウィルキンソン

8月27日(火): 

 Maguelone.comCurtain CallからCDが届いた。後者はピッツバーグ響のオンライン・ストアである。

アンドレス・カルデネス(Vn) ルス・マンリケス(P)
「ここはすばらしい場所」(ARABESQUE)
ピッツバーグ響の自主製作盤でも出ていないかと捜していたところ、それはなかったのだが、リリー・ブーランジェ;「夜想曲」・「行列」を収めたVn小品集を見つけた。
独奏者はオーケストラのコンサートマスター→ここを押して。キューバ出身で、ジョゼフ・ジンゴールドに学んだ。1982年のチャイコフスキー国際コンクールに入賞したというから、ヴィクトリア・ムローヴァ加藤知子さん等と競ったわけである。
小品19曲を収めているが、ブーランジェ作品や、アルバム・タイトルとなったラフマニノフの歌曲(ハイフェッツによるVn編)など、渋い選曲。
1993年10月録音。
 
ジャン・マリー・トロテロー(Vc) ジェフリー・グライス(P)
ロパルツ;Vcソナタ第1番 ミゴ;対話第2番 ほか(INTEGRAL)
或る時ネットサーフしていてMaguelone.comに行き当たった。アーン作品集などをリリースしているレーベルだが、ディストリビューターとしても営業している模様で、オンライン販売している。
中にフランスの珍しいVc曲を収録したCDがあったのでオーダー。ミゴでは、標記の曲以外に3つの小品も入っている。
トロテローはオーヴェルニュ室内管の首席奏者で、音楽監督のジャン・ジャック・カントロフ等とのアンサンブルもCDが出ている。アルト・ノラスに師事したこともあるというので、何となく親近感をおぼえる(笑)。
ポピュラーなドビュッシー;Vcソナタをカプリング。
 
アンヌ・ペルラン(P)
デュカス;Pソナタ ほか(INTEGRAL)
これもCDは珍しい、デュカスの佳曲がカタログにあったので、P独奏曲は基本的には買わないのだが、例外としてオーダー。
演奏時間40分を超す大曲で、ユボー盤(ERATO)では43分29秒を要しているが、このディスクではなんと52分30秒に及ぶ。
独奏者のプロフィールがブックレットに掲載されているが簡単な記事で、ボルドーとヴェルサイユの音楽院を卒業したことと、30年近いキャリアを有していることくらいしか、具体的なことがわからない。
2001年11月の録音、「悲歌風前奏曲」・「はるかに聴こえる牧神の嘆き」をフィルアップ。
 
エッダ・エルレンドティル(P)
グリーグ;抒情小品集 & 組曲「ホルベアの時代から」(ERMA)
これまた例外として(笑)、買うことを許しているP独奏曲であるグリーグの2作品をカプリングしている盤があったのでオーダー。
独奏者の名前は原綴 Edda Erlendsdóttir、発音には自信なし。アイスランド・レイキャビク生れで、生地とパリの音楽院で学び、今はヴェルサイユの音楽院で教授職にあるという。
抒情小品集は17曲を収めている。1993年8月、リヨンでの録音。

8月26日(月): 

 音盤屋を覗いて帰ってきたら、Swedish Music ShopからCDが届いていた。

ヴァーツラフ・ノイマン(指揮) チェコ・フィル
マーラー;交響曲第9番(CANYON)
『レコード芸術』に「現代名盤鑑定団」なる頁がある。
どうも大手レーベル重点新譜の提灯記事の臭いがして、普段はあまり参考にしていないのだが、今月号で、この曲の音盤談義が行われている。
アバド新盤に始まり、ワルターバルビローリバーンスタインクレンペラージュリーニカラヤンブーレーズと並ぶ中では、ノイマンの名前が少々異色を放つ。
第6交響曲聴き比べでも、このコンビの秀演は印象に残ったので、気にかけていたところ、今日立ち寄った中古屋で格安盤を発見、シメシメと購入。
1995年8月21〜28日の録音、その直後、9月2日に指揮者が急逝したことは、よく知られている。間もなく祥月命日を迎えるときに入手することになったのも因縁か。
 
エヴァ・カーぺ(指揮) エーンシェデ室内合唱団 ほか
ラーション;「姿を変えた神」 ほか(nosag)
ラーション(瑞、1908〜1986)の代表作であるこの曲は、いつも買うようにしている。新録音を、少し遅くなったが、Swedish Music Shopにオーダーしたもの。
前にも引用したが、この曲については、大束省三『北欧音楽入門』(音楽之友社)に美しく紹介されている。
烈しく抵抗の歌を歌うのではなく、静けさのなかで人々の心を励ました。
 ギリシャ神話の世界の縁取りのなかで人間を復活させ、心の奥底にある一人の神を復活させている。
この平明清澄な佳曲が、もっと広く聴かれてほしい。
その他、ニューステット;主よ、私は讃えるオルソン;詩篇第120番リンドベリ;「美しく、おだやかな夕べの時」・「星の輝き」など小品6曲をカプリング。
 
ヤン・ルングレン(P) 
「プリゼンツ・ミリアム・アイーダ・アンド・フレデリク・クロンクヴィスト」(SITTEL)
スウェーデンの美音ピアニスト、ルングレンの新譜をSwedish Music Shopで見つけたのでオーダー。
いつものピアノ・トリオに女性ヴォーカルとアルト・サキソフォン(曲によりFl持ち替え)を加えて12曲を収録している。
なんでも、ルングレンが、スウェーデン・マルメのレストランで、この2人の演奏に接し、とっても上品なボサノバの曲で、パワフルなジャズ・フィーリングを披露しているのに吃驚したのだとか。
2001年11月23〜24日、コペンハーゲンでの録音。

8月24日(土): 

 BuywellFlute World OnlineからCDが届く。
 後者は初めて利用するところで、その名のとおりフルート音楽の専門。同種のサイトには日本でも村松フルートがあるが、更にディープな音盤を蔵しているようである。

スチュアート・チャレンダー(指揮) シドニー響 ほか
モーツァルト;交響曲第41番 & マーラー;交響曲第2番(ABC)
Buywellから届いたものは、すべてオーストラリアのレーベルABC Classicsの音盤。
これは1991年に早世した指揮者の追悼盤に興味を惹かれてオーダー。
チャレンダーは1947年タスマニア生れ、メルボルン大で学んだ後、ヨーロッパに留学し、ブリュックナー・リュッゲベルクフェラーラに師事、チェリビダッケにも多くを学んだとのこと。
1980年の帰国後は、オーストラリア・オペラなどで活躍、1987年にシドニー響の首席指揮者に就任し、1991年にエイズで死去するまで、目覚ましい音楽的成果を上げたという。
彼の任期はマッケラスデ・ワールトの間にあたるが、音楽之友社の出版物ではマッケラスの後任がデ・ワールトのように書かれており、気の毒なことに無視されている。
ボストン響シカゴ響に客演したこともあるそうなので、日本で名前が知られていないのは不思議だ。
マーラーブルックナーショスタコーヴィッチを得意とし、オーストラリア人作曲家の作品も熱心に取り上げるなど、同国楽壇の期待の星だったように、ライナーノートには記されている。
モーツァルトは1991年4月24日、マーラーは1990年6月30日・7月1日に、シドニー・オペラハウス・コンサートホールでライヴ録音されたもの。
このCDの収益は、チャレンダーの遺言により彼の名を冠して設立された基金に寄付され、シドニー響の指揮者育成事業に充てられるという。
 
ユベール・スダーン(指揮) メルボルン響
ブルックナー;交響曲第4番(ABC)
最近ブルックナー指揮者として注目されつつあるスダーンの録音を見つけたのでオーダー。もっとも『レコード芸術』9月号吉村渓氏が紹介しておられるので、情報としては古くなってしまった。
録音データは記されていないが、マルPは1986年と表示されている。ノヴァーク版使用。
岩城宏之が長く在任し、現在も桂冠指揮者の称号を持つオーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
ムハイ・タン(指揮) クイーンズランド響
ブルックナー;交響曲第7番(ABC)
ムハイ・タンのブルックナーは、これまで聴いたことがないのでオーダーしてみた。もっともブルックナーに限らず、この指揮者の音楽を聴くのはこれが初めて。
タンは1949年上海生れ、ミュンヘンで学び、1982年にカラヤンに認められて以来、キャリアを築いたとか。クイーンズランド響では、1991年から10年間、首席指揮者を務めた。
ジャケットには「ハース版」と明記されているが、第2楽章のクライマックスではシンバルとトライアングルが鳴っている(苦笑)。
1996年11月22〜23日、クイーンズランド芸術総合センター・コンサートホールでのライヴ録音。
なお、ブリスベンに本拠を置くオーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
サイモン・プレストン(Org) ニコラス・ブレイスウェイト(指揮) アデレード響
プーランク;Org協 ほか(ABC)
蒐集しているプーランク;Org協の未架蔵盤があったのでオーダー。
プレストンはDGGに小澤征爾(指揮) ボストン響とのCDがあったが(1991年録音)、これは1990年3月24〜30日に、アデレード・タウン・ホールで録音されたもの。
このホールは、1866年に開場し、1877年にオルガンが完成した、古い歴史を持つ美しい建築である。
1990年、建物の改修に合わせてオルガンが新造され(イギリス製)、プレストンがこけら落としの演奏を行ったというから、これはその記念盤であろうか。
ホールの内部やオルガンの姿は、ホールの公式Webpageのヴァーチャル・ツアーで見ることができる。→ここを押して
ギルマン;Orgと管弦楽のための交響曲第1番 op.42デュプレ;Org協 op.31をカプリング。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
クリスティーナ・ジェニングズ(Fl) ロドニー・ウォーターズ(P)
「ウィンター・スピリッツ」(自主製作)
あるときネットサーフをしていて、このFl奏者の公式Webpageを見つけ、自主製作盤が1枚あること、それにリリー・ブーランジェ;「春の朝に」が収録されていること、Flute World Onlineで入手できることを知り、オーダーしたもの。
盤そのものは普通のCDでCD−Rではないが、ジャケット等はプリンターで打ち出したものとおぼしい手作り風の、しかし美しい仕上がり。
ブーランジェ作品のほか、カプレ;夏の夜フーヴァー;ウィンター・スピリッツシャミナード;コンチェルティーノなど、四季にちなんだ音楽、女性作曲家の作品を集成した、趣味の良い選曲である。
2001年5月28〜30日、ミシガン大学ブリットン・ホールでの録音。
 
エレノア・ローレンス(Fl) ジョゼフ・ゼイガー(P) ほか
「FlとPのための音楽」(Sound Dynamics Associates)
上記の経緯で見つけたFlute World Onlineを検索したところ、ブーランジェ;「春の朝に」を収録している、このCDを発見したのでオーダー。
届いた現物を見たところ、米MHS原盤をLPから「板起し」したCD−Rである。裏は青いし、レーベルは貼り付け、ジャケットもモノクロ・プリンターによる粗末なもの。
独奏者の公式Webpageを見つけた。→ここを押して
どうもずいぶん有名な人らしい。ブックレット所載のバイオによると、エルネスト・ドホナーニから「アリア」・「パッサカリア」 op.48を献呈されて初演したというから、ただものではない(両曲は、この盤に収録されている)。
その他、ルーセル;「笛吹き達」 op.27イベール;無伴奏Flのための小品などを収録。
なお、発売元の公式Webpageは→ここを押して。"LP to CD transfers"のページには、なかなか興味深い音源が並んでいる。
 
ローレル・ズッカー(Fl) サラ・カットラー(Hp)
「FlとHpのためのセレナード」(Cantilena)
Flute World Onlineを「アンゲルブレシュト」で検索したところ、このCDを発見したのでオーダー。これは普通のCDだった。
アンゲルブレシュト;「日時計」・「森の精たち」を演奏、そのほかホヴァネス;FlとHpのソナタパーシケッティ;セレナード第10番と小品10曲を収録している。
ズッカーは1955年生まれ、作曲もよくし(この盤にも自作小品を1曲、入れている)現在はカリフォルニア州立大学サクラメント校の教授とのこと。
2000年、ニューヨークでの録音。

 今日届いたCDの情報をブーランジェ・作品表とディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。


8月23日(金): 

 大阪・梅田の某百貨店で開催されている中古盤フェアに参戦。会場の熱気のわりにはめぼしい出品が無く、収穫は少なかった。

パワー・ビッグズ(Org) ユージン・オーマンディ(指揮) フィラデルフィア管 ほか
プーランク;Org協 ほか(米COLUMBIA、LP)
蒐集しているプーランク;Org協の未架蔵盤が安価で出ていたので購入。
横田さんオーマンディ・ディスコグラフィによれば、1962年10月7日録音、未CD化とのことである。
オルガニストをメインに据えたアルバムで、カプリングは
バーバー;トッカータ・フェスティーヴァ op.36(オーマンディ(指揮) フィラデルフィア管、プーランクと同日に録音)
R・シュトラウス;祝典前奏曲 op.61(レナード・バーンスタイン(指揮) ニューヨーク・フィル)
 
オルガ・イグレシアス(Sop) ミエチスラフ・ホルショフスキ(P) ほか
カザルス;6つの歌曲 ほか(米COLUMBIA、LP)
カザルス作品の音盤を見つけ、「作曲者の監修のもとに録音」というのに興味を惹かれて購入。
マールボロ音楽祭での上演をもとに録音されたもののようである。
同音楽祭の上演記録によれば、ソプラノ歌手が出演したのは1965年と1974年だけであり、作曲者は1973年に没しているので、1965年の録音であろうと推測される。ただし、この曲をホルショフスキと全曲演奏した記録はない。
メンデルスゾーン;6つの二重唱曲 op.63ドヴォルザーク;4つのモラヴィア二重唱曲 op.20をカプリングしているが、演奏者は異なる。
 
クリスティアン・ツァハリアス(P) フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn) タベア・ツィンマーマン(Va) ティルマン・ヴィック(Vc)
モーツァルト;P四重奏曲第1・2番(Pioneer、DVD)
これは新譜。録画は少し古く、1988年9月3〜4日、ルートヴィヒスブルク城音楽祭でのライヴである。
この顔触れで同じ曲をEMIからリリースしており、そちらは同年8月30日〜9月2日にケルンでスタジオ録音したというから、相次いで収録されたわけである。
もちろん目当てはFPZ、彼の演奏は買わざるべからず。
演奏からは、ライヴらしい熱気が感じられる。

8月21日(水): 

 音盤屋で国内盤新譜等を仕入れて帰ってくると、RomSkyからCDが届いていた。ここはルーマニア音楽専門、初めて利用するところだが、例によってユビュ王の食卓で御教示いただいたサイトである。

小林研一郎(指揮) チェコ・フィル
ブルックナー;交響曲第8番(EXTON)
今月最大の話題盤といえよう。
これまでブルックナーはまったく指揮してこなかったという小林が、チェコ・フィルで、いきなり(というのも変だが)第8番を録音した。
小林の音楽を評価する斉諧生だが、ブルックナーに不可欠な、ある種の透明感が再現されるのか、少しく不安がないではない。(汗)
その一方、オーケストラから渾然一体とした響きをひきだす指揮者であり、その点からは、上質のブルックナー演奏が期待できるかもしれない。
使用楽譜は、ハース版を基本にノヴァーク版を加味した独自のバージョンという。
ところで、チェコ・フィルのホーム・グラウンドである「ルドルフィヌム」は、ヴルタヴァ(モルダウ)川の河畔に建っており、このところの中東欧の洪水で被害を受けていないか、案じられる。
同じく被災地であるドレスデンでは、シュターツカペレが冠水した模様が痛々しい。→ここを押して
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響
チャイコフスキー;交響曲第4番(CANYON)
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響
チャイコフスキー;交響曲第5番(CANYON)
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響
チャイコフスキー;交響曲第6番(CANYON)
鶴首待望されていたスヴェトラーノフのチャイコフスキー;交響曲全集の1990年東京ライヴ・チクルスが、追悼盤として復活した。
その「爆演」ぶりがスヴェトラーノフ・ファンによって熱く語られており(例えば、もちろん→ここを押して)、斉諧生も長く聴いてみたいと思っていた演奏である。
とりあえず後期3曲を購入した。
第4番が1990年5月24日、第5番が6月3日、第6番が5月21日、前2者がサントリー・ホール、後者がオーチャード・ホールでのライヴ録音。
今回、リマスタリングによって音質も向上しているという。大いに期待したい。
なお、ブックレットに「演奏中にきこえる連続音は、指揮者スヴェトラーノフ氏愛用の譜面台にとりつけた、送風機によるものです。」と注意書きされているのが頬笑ましい(もちろん→ここを押して)。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル
ビゼー;組曲「アルルの女」第1・2番(Berlin Classics)
これまた鶴首待望していた音盤の復活である。
まさしくマーラーの音楽と聴きまがう、第1組曲のアダージェットに接するとき、ケーゲルの指揮芸術を真に畏怖し、ひれ伏す。
やれ「狂気の指揮者」だの「ケーゲルの○○を聴くと自殺したくなる危険性がある」だの、横行する妄言ゆえにケーゲルを敬遠している人がもしおられるのであれば、まずこの楽章に耳を傾けていただきたい。
かつて Ars Vivendi というレーベルから発売されていたが、中古で購入した斉諧生架蔵盤はプレス・ミスで終りの方のトラックが再生できなかった。
今回、ようやく完全品を入手できて本当に嬉しい。
1986年9月10日及び1987年3月2〜5日の録音。
 
サイトウ・キネン・チェンバープレーヤーズ
バッハ;ブランデンブルク協奏曲(全曲)(KING)
ブランデンブルク協は、なるべく揃えておこうと思っている曲、しかも演奏者は名手揃い、買わざるべからず。
リコーダーと音楽監督にワルター・ファン・ハウヴェを迎え、安芸晶子(Vn)、今井信子(Va)、工藤重典(Fl)、水野信行(Hrn)、野平一郎(Cem)といった顔触れである。
惹句に曰く「モダン奏法の合理性とバロック奏法のニュアンスを見事に融合させた世界最高水準のアンサンブル云々」。
ハウヴェ自身は、ライナーノートで次のように述べている。
バロック時代に即した演奏をするために、ピリオド楽器に依存する必要はない。(中略)ピリオド楽器はバロック時代の演奏スタイルに最後の仕上げを施すものなのである。とはいえピリオド楽器でなくとも、すばらしい音楽を楽しむことは可能だ。
第2番ではTrpの代わりにHrnを用い、第3番第2楽章にはCemの短いカデンツァを置いている。
2001年9月3〜5日、松本での録音。
なお、ブックレット中、ハウヴェの記事に "http://www.blockfluit.org/" というURLが記載されているが、正しくはhttp://www.blokfluit.org/であろうと思われる。
 
シェルバン・ルプー(Vn) ヴァレンティン・ゲオルギウ(P) ほか
エネスコ;Vnソナタ第2・3番 ほか(ELECTRECORD)
これと次の1点がRomSkyから。
斉諧生にとってルーマニアの音楽といえば、まずエネスコ、それもVnソナタ第3番を挙げたい。
その曲の未架蔵盤を見つけたので、オーダーしたもの。
CD2枚組に、標記2曲とVnと管弦楽のためのルーマニア奇想曲組曲「子供の印象」op.28を収める。
前者ではクリスティアン・マンデール(指揮) ブカレスト・ジョルジュ・エネスコ・フィルが付けている。
独奏者はもちろんルーマニア生れ、ブカレスト音楽院からロンドン・ギルドホール音楽学校で学び、現在はアメリカを中心に活動、イリノイ大でヴァイオリン科の教授を務めているとのこと。→ここを押して
 
ステファン・ルハ(Vn) エミル・シモン(指揮) クルージュ・ナポカ・フィル ほか
ポルムベスク;作品集(ELECTRECORD)
もちろん例の「望郷のバラード」の作曲者の作品集。CD冒頭に、同曲の管弦楽伴奏版(テオドール・ロガルスキ編曲)を置く。
この夏、本業でルーマニア人青年と接する機会があったのだが、彼がルーマニア紹介のビデオを上映した際、そのBGMとして付けたのが、まずこの「バラード」であり、次にエネスコ;ルーマニア狂詩曲であった。
また別なルーマニア人にエネスコの名前を出すと、「彼はパリへ行っちゃったからねぇ」という反応。
さすれば彼の国の人々にとってはポルムベスクこそが「国民的作曲家」なのかもしれない。
バラードのほか、ルーマニア狂詩曲(原曲はP独奏、ここではコンスタンティン・ボベスクによる管弦楽版)、オペレッタ「新月」、P小品4曲を収める。
演奏者、録音状態とも多岐にわたるが、「バラード」の独奏や録音は優れている。
なお、レーベルの公式Webpageは→ここを押して

8月20日(火): 大阪の楽譜店に立ち寄る。
 棚をあれこれ物色すると、手元に置いておきたいものが種々、目に入ってくる。とはいえ、もとより実際の演奏に用いるわけでもなく、あまり高価なものは買えない。

グリーグ;Vcソナタ(Peters)
アウリン;4つの水彩画(Abraham Lundquist)
アウリンは愛惜佳曲書に掲げた曲ゆえ入手できて嬉しい。しかも安価。

8月18日(日): 

 久々に聴き比べ。今回は、

ラフマニノフ;Vcソナタ
を。
この曲については、平成10年4月に、いちど聴き比べをしたことがある(26日の項)。
その時に取り上げたのは、次の5枚。
ポール・トルトゥリエ(Vc) アルド・チッコリーニ(P)(英EMI、LP)
アルト・ノラス(Vc) エーロ・ヘイノネン(P)(FINLANDIA)
リン・ハレル(Vc) ウラディミール・アシュケナージ(P)(DECCA)
ヨーヨー・マ(Vc) エマニュエル・アックス(P)(SonyClassical)
長谷川陽子(Vc) 野平一郎(P)(VICTOR)
 
現在、手許にある同曲のCDは17種。とてもすべてというわけにはいかないので、第3楽章だけを聴いて、次の6枚を抜き出した。
原則として前回取り上げたものは除外したが、長谷川陽子盤だけは捨てがたく(笑)、再度聴くことにした。
 
ダニイール・シャフラン(Vc) ヤコブ・フリエール(P)(YEDANG、1956年12月6日)
リヒテルが「独特の響きを備えたすぐれたチェリスト」(ブルーノ・モンサンジョン『リヒテル』筑摩書房、2000年)と評したシャフラン。
ヴィブラートを深く利かせた、力強く、重心の低い音色が、ロシアの風土を思わせる。音楽もまた、まことに強靱で、かつ、歌に満ちている。
彼の歌心が最もよく示されるのは、第2楽章中間部や第3楽章。後者の中間あたり、チェロがヘ音を反復して変ホ音まで降下する印象的な部分の直後、三連符で動いていくところも、歌いに歌い抜く。これでこそラフマニノフのロマンティシズムが顕現するといえるだろう。
ピアノも極めて表現的で、ロシア・ピアニズムの精華を垣間見る思いがする。チェロの力強さと拮抗して、バランスも良い。
残念なのは、音の状態が良くないこと。YEDANG盤ではテープの劣化かイコライジングの酷さのために(おそらくその両方)、聴いていて少し辛いものがある。第2楽章以降は、LPで試聴した。
以前、REVELATIONレーベルやMULTISONICレーベルでも出たことがあるそうだが、そちらはどうだったのだろうか。
 
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(Vc) アレクサンデル・デデューヒン(P)(DGG、1958年)
↑のシャフランを「完全につぶしてしまった」(リヒテル、上掲書)というロストロポーヴィッチの録音。
シャフラン同様に、力強いチェロが朗々と歌う趣。
こうした、無理なく、どこまでも伸びてゆくような雄大な音楽は、やはり作曲家と民族的・音楽的背景を同一にしている強みとしか考えようがない。
ただ、CDで聴く限り、音色の面で斉諧生の好みから外れる。彼の特徴でもある、少し詰まったような、鼻にかかったような、重心の高さが出ている。言い換えれば、少し華やかな音色で、彼の音楽と軌を一にするものである。
また、ピアノが伴奏めいているのが弱い。第2・4楽章などでの掛け合いの面白さや迫力が失われてしまった。
それにしても、シャフランといいロストロポーヴィッチといい、録音時点では30歳そこそこ。彼らの天才をあらためて認識させられる。
あるいは、彼らが再録音しなかったことを考えあわせると、この曲を弾きこなすことの至難さが知れるというものであろうか。
 
長谷川陽子(Vc) 野平一郎(P)(VICTOR、1993年1月25〜27日)
基本的には前回と同じ感想を持った。
第1楽章冒頭の思い入れ、第1主題のフレッシュな快活さ、ライヴ的な高揚感。
第2楽章主部のリズミックな動機のピリッとした利かせ方、この楽章の中間部や第3楽章の大きな歌。第4楽章の主題提示は少し急ぎすぎの感があるが。
ピアノも上手く、少し引き気味の位置で、良いバランスを取っている。
聴いていて大変に心地よく、「いい音楽を聴いた…」という満足感が残る。彼女の真摯さ、清々しさに心を動かされる。
ただ、シャフランロストロポーヴィッチを聴いたあとでは、この「心地よさ」に、どこか内向きというか、閉じたローカルな世界の中での充足感を嗅ぎ取ってしまう。
それは日本の風土がしからしむるというよりも、技術的な余裕が少ないところで音楽を創っていることからもたらされるものではなかろうか。
録音から10年近く、今の、将来の彼女の芸術に期待したい。
 
トルルス・モルク(Vc) ジャン・イヴ・ティボーデ(P)(Virgin、1994年6月9〜11日)
これに対して、ありあまる技術を存分に駆使して、壮大な世界に飛翔しているのがモルクである。
鳥肌が立つほど美しく、かつ見事なまでに安定したピアニッシモから、朗々たるフォルティッシモまで、音量の幅が他のチェリストとは一桁か二桁か違う感じである。
(今回、6枚に漏れたCDには、マイクを思いっきり近づけて、無理矢理ピアノと音量バランスを取ろうとしたことが明白なチェリストもいた。)
アレグロの楽節でも楽譜の強弱指定や表情記号に敏感に反応しながら(それだけ、スピードに対応できる技術があるということだ)、ラフマニノフのロマンティシズムを濃密に音化してゆく。
この点、「チェロのフィッシャー・ディースカウ」と呼べるかもしれない。
ヴィブラートはシャフラン以上に深く、音の伸びもロストロポーヴィッチを凌駕する(これは録音の問題もあるかもしれないが)。技術的制約から完全に解き放たれた感がある。
残念なのはピアノで、モルクとはスケール、方向性等々、段違いに聴き劣りがすると言わざるを得ない。
チェロだけとればまさに理想的、彼をタイムマシンで拉致して作曲者と共演させてみたい。
 
アンヌ・ガスティネル(Vc) ピエール・ローラン・エマール(P)(VALOIS、1993年1月)
上記4人に比べるとスケールの小ささは否めないが、深みのある音色は美しく、丁寧に弾いた演奏で好感が持てる。これだけ聴いたならば、きっと満足しただろうチェロである。
この盤で特筆すべきはエマールのピアノ。明晰な響きと小気味よいリズムが特徴的で、音楽の主導権は彼が握っているようだ。少し上がり目の位置で、上手くバランスを取っている。
 
ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc) イモージェン・クーパー(P)(BMG、2001年8月17〜20日)
寂びのきいた音色が好もしいアサートンだが、音の伸びが足りず、音楽の大きさが出ないのが残念。演奏全体としても、優しいが力強さに欠ける。
例えば、第1楽章第1主題は、通常、颯爽と英雄的に奏される。
譜面上では "espressivo e tranquillo" の指定があり、彼女はこれを生かそうとしたのか、抑制した弾き方をとっているのだが、却ってもたつく印象を与える結果になってしまった。
クーパーは、弱音のキラキラした美しさはピカイチだが、強奏時に音が濁ってしまうのは、ラフマニノフ演奏として大きなマイナスだ。
ちょっと否定的なコメントになったが、17種の中から選抜したものなので、十分高い水準にあることは申し添えておきたい。

8月17日(土): お約束しておりました記念企画として、「斉諧生音盤志」5周年&30万アクセス記念・CDプレゼントを実施いたします。奮って御応募ください。


8月14日(水): 本業は今日から3日間、夏休み。土日と合わせて5連休ということになる。

 フランス・アマゾンからCDが、MikrokosmosからLPが届く。

ガブリエル・タッキーノ(P) アテネウム・エネスコQ
ヴィエルヌ;P五重奏曲・弦楽四重奏曲(Pierre Verany)
ヴィエルヌの五重奏曲は、その奥深い情趣を好むこと久しく、音盤は見れば買うようにしている。未架蔵盤に気づいたので、オーダーしたもの。
タッキーノはLP時代にEMIからサティなどが出ていた、懐かしい名前。四重奏団はルーマニア出身で、シャーンドル・ヴェーグにも師事した団体とか。
1999年9月の録音。
 
ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc) ほか
ハイデュ;「L'Ecclesiaste」(BMG)
御贔屓のチェリスト、アサートンの未架蔵盤をオーダー。正体がよくわからず、これまで入手を控えていたのだが、そろそろ揃えたくなってきた(笑)。
ブックレットの記事がフランス語だけなので、やはりよく判らぬのだが、『旧約聖書』中の「伝道の書」にちなむ楽曲であろうか?
Vc独奏と3本のVcによるアンサンブルに、朗読(Sami Frey、男声)が絡む12章からなる音楽(演奏時間約68分)。
作曲者は1932年ブダペシュト生れ、パリを経て現在はエルサレム在住とのこと。
 
アンジェル・デュボー(Vn) アラン・マリオン(Fl)
モーツァルト;オペラ編曲集(ANALEKTA)
「魔笛」蒐集の一環としてオーダー。
1792年に出版された2本のVn又はFlのための編曲譜を、VnとFlで演奏したもの。同種楽器の重奏より面白い響きになるようだ。
「魔笛」は12曲、約28分。
そのほか「後宮からの逃走」「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」を演奏している。いずれも2本のFlのための編曲譜に基づく。
ヴァイオリニストは1962年カナダ生れ、モントリオール音楽院卒業後、ジュリアード音楽院やルーマニア・ブカレストで学び、1986年には東京フィルに客演したとのこと。公式Webpageは→ここを押して
フルーティストは有名な人だが、1998年8月に亡くなったと、先ほど別なことを調べているときに、ふと情報を見つけた。この盤は1996年3月の録音である。
 
バーバラ・アレン & ナンシー・アレン(Hp) ほか
アンゲルブレシュト;子供部屋(抜粋)(ARABESQUE)
フランス・アマゾンを検索していて引っ掛かったCD。"Music to My Ears"と題されたオムニバスで、「すべての年齢の子どものための音楽コレクション」と副題が付いている。
演奏者が多岐に渡るのでコンピレーションもののように見えるが、マルPが1997年一本の上、障害児のための募金活動と結びついた企画とも表示されているので、オリジナルのアルバムかもしれない。
アンゲルブレシュト作品は、第1巻から「お父さん」・「ミドリネズミ」の2曲を収録。2台のハープという編成での演奏は初めて耳にするもの。
そのほかダウランドからチック・コリアまで、またピアノ独奏から金管五重奏や合唱まで、全22曲を収めている。
 
ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮) カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク
ハイドン;交響曲第8・22・24番(独Intercord、LP)
パウムガルトナーの未架蔵盤がMikrokosmosに出ていたのでオーダー。
彼のモーツァルト演奏と同様に、生気と愉悦感に満ちたハイドンを期待している。
ステレオ録音だが年代不詳、この盤自体は1980年頃に発売されたもののようだ。
 
ハインツ・レークナー(指揮) ベルリン放送響
ワーグナー;前奏曲集 & R・シュトラウス;組曲「薔薇の騎士」(独ETERNA、LP)
レークナーの名盤のLPがカタログに出ていたのでオーダー。
夙に宇野功芳師が推奨しておられる演奏で、もちろんCDでは架蔵済みだ。
ワーグナー作品は、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕「ラインの黄金」「トリスタンとイゾルデ」の各前奏曲を収録している。
1977年、ベルリン・キリスト教会での録音。
 
マンフレート・シェルツァー(Vn) ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル
ベルク;Vn協 & ハルトマン;葬送協(独ETERNA、LP)
ケーゲルのベルク;Vn協は2種の録音があり、これは新しい方(1980年録音)。
CDではブリテン;戦争レクイエムとのカプリングで出ており架蔵しているが、アナログ末期の録音ゆえ是非LPで聴きたかったもの。
同時期に作曲されたハルトマン作品と組み合わされているのは、筋の通った選曲だろう(ベルク;1935年、ハルトマン;1939年)。
 
アルチュール・グリュミオー(Vn) ディノラ・ヴァルシ(P)
ルクー;Vnソナタ ほか(蘭Philips、LP)
斉諧生にとって、ルクーのVnソナタは、このグリュミオー新盤が聴き始めで、いわゆる「刷り込み」になった演奏。国内廉価盤LPだった。
CD覆刻されたものも架蔵しているが、やはり輸入盤LPで聴きたかったところ、久しぶりにカタログに出ていたのでオーダー、目出度く入手できた。
イザイ;こどもの夢ヴュータン;バラードとポロネーズをフィルアップ。
1973年12月、スイスでの録音。
 
アンシ・カルトゥッネン(Vc) トゥイヤ・ハッキラ(P)
ショパン;序奏と華麗なポロネーズ & シベリウス;マリンコニア & ドビュッシー;Vcソナタ ほか(芬FUGA、LP)
このコンビではベートーヴェン;Vcソナタ全集のCDがなかなか良かったが、選曲の面白いLPが出ていたのでオーダー。
まずシベリウス作品は是非聴きたいし、現代作品をよく演奏するチェリストだけにドビュッシーにも惹かれる。
更にウェーベルン;Vcソナタ・3つの小品(op.15)ルトスワフスキ;グレイヴをカプリング。
ルトスワフスキ作品は1981年作曲、録音が1983年8月だから、演奏者の現代作品に対する意気込みをうかがうことができる。
 
ダニイール・シャフラン(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1・3番(蘇MELODIYA、LP)
先ごろ出たラフマニノフショスタコーヴィッチのソナタ集(YEDANG)が好評を呼ぶなど、再評価が進んでいるシャフラン。
彼のバッハを聴いておこうと思っていたところ、標記LPが安価で出ていたのでオーダー。ぼちぼちバラで揃えていくつもりだ。
MELODIYA盤には珍しく、厚手コート紙に演奏家のポートレートが全面カラー印刷されたジャケットである。
 
ラルス・ルース(P)
ステーンハンマル;「晩夏の夜」 ほか(瑞CAPRICE、LP)
ステーンハンマル全録音蒐集プロジェクトの一環。今年春にMUZA盤で同じ音源を入手しているが、粗悪な盤だったので、オリジナルのCAPRICE盤を入手できて嬉しい限り。
モーツァルト;Pソナタ第17番 K.570のほかリストヒンデミットエークルンドの小品を収録。
1970年11月の録音で、ピアニストのデビュー盤だったそうである。
 
エリク・エリクソン(指揮) スウェーデン放送合唱団
レーガー;合唱曲集 ほか(瑞POLAR、LP)
合唱の神様エリクソンの録音、聴かざるべからずとオーダー。
レーガー作品は"Vater Unser""Mein Odem ist schwach"を収録、更にヴェルディ;"Pater Noster"をフィルアップ。
レーガー作品が1973年11月28日、ヴェルディは1975年3月19日の録音とある。

 今日届いたCD・LPの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。


8月13日(火): 

 

堀米ゆず子(Vn) アンドルー・リットン(指揮) イギリス室内管
バッハ;Vn協第1・2番 ほか(Sony Classical)
堀米さんがエリーザベト国際コンクールで優勝したのは、ちょうどクラシック音楽にのめり込みだした頃だったので、非常に印象深い。
昨日、中古屋で見かけ、彼女の音盤はすべて架蔵しているつもりだったので買わずに帰ったのだが、確認してみると見当たらず、今日、出直して購入。
1985年11月の録音だから、コンクールから5年後ということになる。
指揮者も、まだ駆け出しの頃だったと見えて、ブックレット記載のバイオにも「近年は、ワシントンのナショナル交響楽団で、ロストロポーヴィッチのアシスタント・コンダクターをつとめている。」とのみ紹介されている。
無伴奏Vnパルティータ第3番をカプリング。
彼女はその後、同曲集のソナタ第1〜3番を1枚物でリリースしている。
 
クリスティアーナ・ペゴラロ(P)
ピアソラ;タンゴ集(DIVA)
ネット上の知人から、この人のリベルタンゴ(実演)が途轍もなく格好いい演奏だったと教えていただき、ずっと聴きたいと思っていた。
実質的には自主製作盤なので、なかなか入手できなかったところ、先日、公式Webpageでオンライン決済できるようになったことに気づき(PayPal利用)、オーダーしたもの。送料と併せて24ドルだった。
すべてピアニスト自身による編曲で、アディオス・ノニーノ天使三部作オブリヴィオンロコへのバラードなど計18曲を演奏している。
上記Webpageでは、そのほかレクオーナ作品集やライヴ盤も発売されている。
 
ヘスース・アランバリ(指揮) マドリード・コンサート管
アリアーガ;交響曲 ほか(日ワーナー・パイオニア、LP)
愛惜佳曲書に掲げたアリアーガ作品の未架蔵盤LPを中古盤屋で見つけたので購入。
国内盤LPの発売は1983年だったが、スペイン・ヒスパボックス音源で、かなり古い録音だったと記憶している。そもそも指揮者は1960年に没しているとのこと(ライナーノートによる)。
当時の評も芳しくなく、これまで買いそびれてきたもの。
九重奏曲序曲「幸福な奴隷たち」をフィルアップ。
 
クラシコQ
アリアーガ;弦楽四重奏曲第1・2番(日ワーナー・パイオニア、LP)
上記交響曲と同じく、買いそびれていたアリアーガの未架蔵盤を見つけたので購入。
これまた同様に1983年発売だが、録音は1960年頃。
なお、ジャケット等では団体名を「スペイン国立放送弦楽四重奏団」と表記しているが、正式名称は標記のものとのこと。

8月12日(月): 

 

エーリヒ・ベルゲル(指揮) トランシルヴァニア・フィル
ブラームス;交響曲全集(BMC)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんで御教示いただいたCD。
なによりベルゲルの解釈が良い感じです。最近多いピリオド楽器系のアクセントの強い演奏とは対極的な柔らかなアーティキュレーションが特徴的。」とのこと、ぜひ聴いてみたい。
ネット通販での入手を考えていたのだが、それよりも先に音盤店に入荷したので購入。もっとも値付けは高めのようだ。
ベルゲルは1930年、ルーマニアのトランシルヴァニアに生まれ、同地方のクルージュの音楽学校で指揮、作曲、オルガンを学ぶ。1959年にトランシルヴァニア・フィルの指揮者になったとたん逮捕され(宗教音楽を好んで演奏したことで共産政権に睨まれたという)、ようやく1965年に復帰した。
1971年にカラヤンの助けでルーマニアを離れ、ベルリン・フィルをはじめ各地のオーケストラを指揮。1989年からはブダペシュト・フィルの首席指揮者、ハンガリー国立歌劇場の常任客演指揮者となった。BMCはハンガリーのレーベルだが、そのあたりの縁だろう。日本にもたびたび客演して、読売日響やN響を指揮した。
1998年5月3日に死去したそうが、日本では報じられなかったのではなかろうか。
1994年にブカレストで録音、CD3枚に交響曲4曲のみを収める。
 
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) BBCフィル
ムソルグスキー(ラヴェル編);「展覧会の絵」 ほか(BBC Music Magazine)
トルトゥリエのライヴを収めたBBC Music Magazine付録CDが中古音盤屋に出ていたので購入。ラヴェルに秀でた人なので、「展覧会」も是非聴いてみたい。
リムスキー・コルサコフ;スペイン奇想曲・「金鶏」より「序奏」「結婚行進曲」をフィルアップ。
1993年12月14日、マンチェスター・新放送会館コンサートホールでの録音。
 
バリー・ワーズワース(指揮) BBCコンサート管
「インストゥルメンタル・オペラ・アリア」(Philips)
Argoレーベルに素晴らしいRVWの管弦楽曲集があるワーズワース、ずっと気になっている指揮者なのだが、中古音盤屋で1枚見つけたので購入。
BBCのポップス・オーケストラを指揮しての「歌のないオペラ」。オペラを聴かないわりには、けっこうこの手の音盤は好きである(笑)。
全17曲のうちプッチーニが10曲を占め、もちろん「誰も寝てはならぬ」「星は光りぬ」「歌に生き、恋に生き」「ある晴れた日に」などが含まれている。
編曲者は様々だが、ジョフリー・アレクサンダーという人が主になっているようだ。
1997年6月のロンドン録音、国内盤。
 
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn) レオポルト・ハーガー(指揮) バーデンバーデン南西ドイツ放送響
シューマン;Vc協(Vn編曲版) ほか(AMATI)
中古音盤屋の店頭で、「ああ、一頃、よく見かけたCDだなぁ…」と手に取ると、なんと演奏者にガヴリーロフ教授の名。
これを見落としていたとは迂闊、なんたる不覚…と購入したもの。
このVn編曲版は、1987年にヨアヒムの遺品の中から発見された。録音は翌1988年に行われている。
ブルックナー;序曲 ト短調シュポーア;交響曲第3番をカプリング。
 
ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn) アリソン・エルドリッジ(Vc) ほか
「ロマンティック・デュエット」(BMG)
ツヴェーデンの未架蔵盤を中古音盤屋で発見、直ちに購入。このヴァイオリニストに、こんな軟派な録音があったとは…(笑)。
ヴェルディ;「ラ・トラヴィアータ」プッチーニ;「ジャンニ・スキッキ」・「ラ・ボエーム」・「トゥーランドット」等からアリア・重唱の編曲15曲を演奏、うち重奏7曲、Vn独奏4曲、Vc独奏4曲。
付けはアラン・フランシス(指揮) エンスヘデ・ネーデルラント響。オーケストラの公式Webpageは→ここを押して。少し見づらい造りなので、御注意を。
1996年8月、オランダ・エンスヘデでの録音。
 
ヴェラ・ベス(Vn) ゲオルゲ・ピーターソン(Cl) アンナー・ビルスマ(Vc) ラインベルト・デ・レーウ(P)
メシアン;世の終わりのための四重奏曲(蘭Philips、LP)
中古音盤屋のLPコーナーでビルスマの未架蔵盤、珍しい現代作品録音を掘り出したので購入。
特にVcとPによる第5曲イエズスの永遠性への讃歌でどんなソロを聴かせてくれるか、興味津々。
Cl奏者は当時ロッテルダム・フィルの首席奏者であった人とのこと。
1977年10月、オランダ・ハーレムのルター教会での収録。

8月10日(土): 

 Alapage.comcdmusic.czからCDが届いた。後者は初めて利用するチェコの通販サイト。

ペトル・ヴロンスキー(指揮) チェコ室内フィル
ベートーヴェン;交響曲第4・5番(GZ)
この指揮者については福島章恭『モーツァルトをCDで究める』118頁に「純粋に音楽性を比較するなら、アシュケナージの数百倍上のヴロンスキー」と紹介されており、半分眉唾ながら(笑)、関心を持った。
そこで取り上げられていたのはモーツァルト;セレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だったが、cdmusic.czでは見つからず、代わりにこの盤をオーダーしたもの。
ブックレット掲載のバイオによれば、ヴロンスキーは元来ヴァイオリニストだったが指揮を志すようになり、1971年のブザンソン・コンクール、1973年のベルリン・カラヤン・コンクールで成功を収め、ブルノ国立フィルなどチェコ国内でキャリアを重ねてきたとのこと。
またオーケストラは、チェコの民主化後に生まれた新しい団体の一つで、ベルリン・フィルハーモニックはじめ各地で演奏している…とあるが、実態がもう一つよくわからない。公式Webpageも捜してみたが見つからない。
2000年11月、ルドルフィヌムでの録音。
 
クリスチャン・アルミンク(指揮) ヤナーチェク・フィル ほか
シューベルト;交響曲第8番「未完成」・アルペジオーネ・ソナタ ほか(ROSA)
来年から新日本フィルの音楽監督に就任予定のアルミンクのCDをcdmusic.czで発見、お手並み拝見と買ってみることにした。1996年12月録音というから、あるいはデビュー盤か。
また、アルペジオーネ・ソナタの弦楽合奏伴奏版というのにも興味を惹かれる。Heinrich Klug という人の編曲というが、詳しいことはわからない。
こちらの独奏はブルーノ・ヴァインマイスターという、ソムリエみたいな姓を名乗る、ザルツブルク生まれの若いチェリスト。ハインリヒ・シフヴォルフガング・ベッチャーらに学んだとのこと。
イタリア風序曲 ハ長調D.591をフィルアップ。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
ヒネク・ファルカチ(指揮) アルチ・ボエミ
グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」 ほか(GZ)
cdmusic.czをあれこれ検索していると、グリーグ作品の未架蔵盤が出てきたのでオーダー。
そのほか
パーセル(ウォーロック編);弦楽のためのファンタジア集
モーツァルト;アダージョとフーガ ハ短調
ロッシーニ;弦楽ソナタ第2番
を収める。
指揮者は1954年生れ、チェロと指揮を学び、スーク室内管を創設、1984年のブザンソン・コンクールで第2位となったそうである。ヨゼフ・スークの伴奏盤(カール・シュターミッツ;協奏交響曲ほか)が国内でも出ていた。1993年に、この弦楽アンサンブルを創設して活躍中とのこと。
1994年3月、プラハでの録音。
 
レジ・パスキエ(Vn) ピエール・バルトロメー(指揮) リェージュ・フィル ほか
モーツァルト;Vn協第1〜5番・協奏交響曲(naive)
既に国内でも店頭に並び始めているが、バジェット・プライスの2枚組。
パスキエの録音はなるべく聴いておきたい。第5番と協奏交響曲を組み合わせた1枚のみ架蔵しているが、安価でもあり(Alapage.comでは15ユーロほど)、購入。
K.364のVa独奏は、勿論ブルーノ・パスキエ
なお、レーベルの公式Webpageは→ここを押して
 
アブデル・ラハマン・エル・バシャ(P) マルク・スーストロ(指揮) ロワール・フィル
ラヴェル;P協・左手P協(FORLANE)
Alapage.comでスーストロのフランス音楽を捜していると、エル・バシャとのラヴェルが見つかった。
このピアニストについては、Web上で高い評価も見受けるので(例えば→ここを押して)、いちど聴いてみようと購入。
1984年録音の旧譜の廉価再発(13ユーロほど)。かつて国内盤も出ていた(キャニオン)。
 
ラデク・バボラク(Hrn) ペトル・ヴロンスキー(指揮) チェコ室内フィル
プント;Hrn協第5番 & ハイドン;Hrn協第2番 & ロゼッティ;Hrn協 ほか(GZ)
2003年からベルリン・フィルの首席Hrn奏者に就任予定のラデク・バボラク、国内レーベルからも「初ソロCD」と銘打った盤が出たようだが、この盤は2001年3月録音。こちらこそ「初ソロCD」ではなかろうか。
彼の吹奏にはサイトウ・キネン・オケの実演で舌を巻いているので、ぜひ聴いてみたいとcdmusic.czにオーダー。
ミヒャエル・ハイドン;ロマンス 変イ長調モーツァルト;ロンド K.371をフィルアップ。
 
永冨和子(P) ベルリンQ
フランク;P五重奏曲 & ラヴェル;弦楽四重奏曲(徳間)
フランクの五重奏の未架蔵盤が中古格安で出ていたので購入。前々から見かけてはいたが国内盤レギュラープライスに少し怯んで買いそびれていたもの。
フランクは、1995年12月6日、浜離宮朝日ホールでのライヴ録音。ラヴェルは同年11月28日、武蔵野市民文化会館小ホールでの、やはりライヴ。
 
イザベル・モレッティ(Hp) パリジQ ほか
ラヴェル;序奏とアレグロ & クラ;五重奏曲 ほか(VALOIS)
あんぐらCD博物館というWebpageがあり、近代の比較的知られない作曲家についての情報が充実しているので、よく参考にさせてもらっている。
ここのラヴェルの名曲・名演の頁で「この曲の決定版といえる素晴らしい演奏」と賞讃されていたので、Alapage.comにオーダーしたもの。
標記以外にパスカル・モラゲス(Cl)ら名手を擁しているのも魅力的だし、「圧倒的緊密度で聴き手を飽きさせず,豊かで斬新なイマジネーションに満ちています」というクラ作品も楽しみ(→ここを押して)。
更に
ドビュッシー;神聖な舞曲と世俗的な舞曲(室内楽編曲版)
カプレ;「赤死病の仮面」による幻想的な物語
をカプリング。
 
マリー・ハリンク(Vc) セドリック・ティベルギアン(P)
グリーグ;Vcソナタ & シューマン;民謡風の5つの小品 ほか(HMF)
HMFレーベルの"Les Nouveaux Musiciens"の1枚。このシリーズはなかなか聴き応えのある演奏家を紹介してくれており、チェックしておきたい。
また、グリーグ作品は録音が比較的少ないこともあり、Alapage.comにオーダー。
ハリンクはベルギー出身でブリュッセル王立音楽院を卒業、更にシュタルケルグートマンに就いて学んだ。25歳で母校の教授に任じられ、ベルギーやオランダを中心に、既に相当なキャリアを重ねている様子である。1717年製ゴフリラー使用とのこと。
シューマンは、標記曲以外にアダージョとアレグロ op.70幻想小曲集 op.73を演奏している。
2001年11月パリ録音。
なお、読者諸兄の御参考に、ジャケット写真は→ここを押して。また、公式ポートレートは→ここを押して
 
ステファニー・マリー・デガン(Vn)
ビーバー;パッサカリア & バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番 & パガニーニ;奇想曲第5・15・24番 ほか(Intrada)
ある通販サイトで、ちょっと目を惹くジャケット写真のCDがあった。
それだけのことなら決して買わないのだが(笑)、ビーバー作品は有名なロザリオのソナタの終曲、ビオンディ盤(OPUS111)以来好きな曲である。
更にバッハ、パガニーニを経てイザイ;無伴奏Vnソナタ第3・6番タンギー;短いソナタ(2000年)までを収録、この年代幅の広さは近頃珍しく、相当意欲的な人と見た。
デガンはカーン生れ、パリ高等音楽院を卒業、古楽器をパトリック・ビスムートに、またフィリップ・ヒルシュホーンシュロモ・ミンツヘルマン・クレバースらに学んだとのこと。
このCDでもビーバーとバッハではバロックVnを、パガニーニ以降は普通のVnを用いている。
これはAlapage.comから。
 
アーダルベルト・スコチッチ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(BOHEMIA MUSIC)
cdmusic.czで見つけたバッハ;無伴奏を購入。この曲集の全曲盤は買わずにいられなくなってきた。
どこかで聞いたような名前のチェリスト…と思ったら、元ウィーン・フィル団員で、よくゲルハルト・ヘッツェルと組んで室内楽をやっていた人である。
1998年頃の録音、1698年製ゴフリラー使用とのこと。
なお、調べているうちにこんなWebpageを見つけた。
 
ジャック・ヴァンドヴィーユ(Ob) ウィリアム・クリスティ(Cem、Org) レジス・パスキエ(Vn) ほか
「オーボエの芸術」(ARION)
Alapage.comでパスキエの録音を捜しているうちに面白そうなCDを見かけたのでオーダー。
ジェミニアーニテレマンバッハ(BWV.1020)、ドヴィエンヌらの室内楽作品を収録。1979年の録音である。
ヴァンドヴィーユについての詳細は不明だが、1959年ジュネーヴ・コンクールの第1位をハインツ・ホリガーと分け合った人だという。

8月8日(木): 当「斉諧生音盤志」は、今日で公開5周年を迎えました。長いような短いような5年間で、音盤史的にも自分史的にも数々の出来事があり、多少の感慨なしとしません。
 特に近頃は週末にまとめて更新するのが精々、お恥ずかしくはありますが、ともかくも継続できているのは、折節に皆様方からの励ましを頂戴できたからこそでありましょう。
 記念企画は、↑のとおり、いま暫くお待ちを願いますが、引き続き御愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

 

キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第3・5番(BMG)
 
キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第8番(BMG)
 
キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第6・10番(BMG)
 
キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第11番(BMG)
またまたコンドラシンのショスタコーヴィッチがバーゲンプライスで並んでいたので、この機会に揃えておこうと4点すべてを購入。
工藤さんの評言、以下のごとし。
(第3番)
速めの引き締まったテンポ、アクの強い管楽器の響き、このコンビならではの魅力に満ちた演奏。(中略)後半の合唱に関しては非の打ち所がない。こうでなくっちゃ。」(★4つ半)
(第5番)
オーソドックスな解釈とモスクワ楽派の野生的な響きは十分に魅力的なものの、どこか音に魂が入りきっていないような白々しさが残る。」(★4つ)
(第6番)
厳しいながらもどこか野暮ったさを滲ませた独特のスピード感が、この作品の本質を図らずも描き出している。」(★4つ半)
(第8番)
異様なカロリーに満ちた演奏。終始凶暴な音響に圧倒され続ける。(中略)個性を存分に発揮しながらも素直にスコアに立ち向かっている姿勢が素晴らしい。」(★4つ半)
(第10番)
早目のテンポで、アクの強い音色をどんどん押し付けてくるローカル色の強い演奏。技術的にもしっかりしているし、個性的な演奏として高く評価できる。」(★4つ半)
(第11番)
やや早目のテンポで颯爽かつグイグイと押していくスタイルには、素直に昂揚させられる。特に第4楽章の仕上がりが立派。」(★4つ半)
 
キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィル
ラフマニノフ;交響的舞曲・「鐘」(BMG)
上記ショスタコーヴィッチ同様、コンドラシンの名盤がバーゲンプライスで並んでいたので購入。
この曲・この演奏については、夙に畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが紹介しておられ(→ここを押して)、かねて一度耳にしたいと考えていた。
地の底から湧き出るような力強い弦の刻む勇壮なリズム感と、管楽器の迫力を伴った美しい響きが絶妙な素晴らしい演奏です。
とのこと、期待高し。
 
ジャン・ジョフロワ(マリンバ)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第1〜3番(skarbo)
 
ジャン・ジョフロワ(マリンバ)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1・3・5番(skarbo)
 
ジャン・ジョフロワ(マリンバ)
バッハ;無伴奏Vc組曲第2・4・6番(skarbo)
バッハの両無伴奏曲集については編曲ものも蒐集の対象、特に全曲録音は買わざるべからず。
この分だと無伴奏Vnソナタ集も出ているのではないかと推測して店員さんに訊ねてみたが、リリースされていないとの返事だった。
独奏者の経歴等については、例えばこのページを参照されたい。
彼がティンパニ奏者を務めていた団体「アンサンブル・オーケストラ・ド・パリ」は、もちろんパリ管とは別な団体。公式Webpageは→ここを押して

8月6日(火): 

 

ピンカス・ズーカーマン(Vn) ラファエル・クーベリック(指揮) バイエルン放送響
チャイコフスキー;交響曲第4番・Vn協(audite)
auditeレーベルによるクーベリックのライヴ・シリーズ、今度はチャイコフスキーが出てきた。まあ、放送局には、おそらく大量のテープが残っているのだろうが…。
2曲とも1969年4月24日のヘルクレスザールでのライヴ録音。大熱演だという交響曲もさることながら、むしろ若き日のズーカーマンに期待して購入。
ヴァイオリニストは1948年生まれだから、当時21歳。
ライナーノートによれば、ミルシテイン急病のため、マネージメント(コロンビア・アーティスツ)の推薦で出演が決まり、センセーショナルなドイツ・デビューを飾ったのだとか。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc) アウアーQ ほか
セーレーシ;作品集(HUNGAROTON)
ペレーニ師の新譜が並んでいたので購入。もっとも演奏時間は9分弱…。
セーレーシは1921年生れ、リゲティクルタークと同世代ながら、ハンガリーに留まったのと、コダーイやバルトークの作品校訂・出版等の音楽学的な領域に精力を注いだため、作曲家としては知られなかったという。
ここでペレーニ師が演奏しているのは、「パッサカリア〜アハティオ・マーテーの追憶に〜」というVc独奏と弦楽四重奏のための曲。
1997年、作曲家の幼馴染みだった医師マーテーが亡くなり、その悲しみに触発されて書き上げた作品とのこと。1998年6月の初演も標記の組み合わせで行われた。
その他協奏曲第3番「トリスティア」(ペーテル・ガジュダ(指揮) フランツ・リスト室内管)などを収録。
 
宮沢明子(P) 荒谷俊治(指揮) 名古屋フィル
モーツァルト;P協第23・26番(日AUDIO LAB、LP)
その昔、宇野功芳師が絶讃しておられた宮沢女史の協奏曲録音を中古盤屋で掘り出した。
最近でこそ言及されないが、例えば1982年発行の『レコード芸術別冊 名曲名盤500 ベスト・レコードはこれだ!!』では、第26番をヘブラークラウスに次ぐ第3席に挙げておられた。
CDでは架蔵済みだが(クラウンレコード)、菅野沖彦氏の手になる録音ゆえ、ぜひ、オリジナルのLPで聴きたかったもの。
1974年1月11日、名古屋市民会館での収録。
 
アメデオ・バルドヴィーノ(Vc) フェルナンド・プレヴィターリ(指揮) プロ・アルテ管
ハイドン;Vc協ニ長調 & ボッケリーニ;Vc協変ロ長調(英EMI、LP)
晩年に録音したバッハ;無伴奏Vc組曲(fontec)に感心しているバルドヴィーノの数少ない独奏盤を、中古音盤屋の箱から掘り出した。値段も格安、驚喜して購入。
ハイドンは現在では「第2番」として知られている曲、またボッケリーニはグリュッツマッヒャー編曲版に拠っている。
なお、このチェリストについては "GUT & GATTO" さんのWebpageに詳しい。→ここを押して
 
シセル・シルシェブー(Vo) ほか
「心のままに」(Pioneer)
映画「タイタニック」の音楽で有名になったノルウェーの国民的歌手シセルによる4枚目(国内盤では2枚目)のアルバム(1994年)を購入。この人の声は本当に美しい。
ノルウェー国内で知らぬ者のなかった彼女は、この年に行われたリレハンメル冬季五輪の公式テーマ曲の歌唱で一躍、世界に知られるようになった。
この盤には、その"Fire in Your Heart"(英・諾両方のヴァージョン)や、開会式で歌い上げたオリンピック讃歌が収められている。
もっとも収録曲の大半は、北欧の古い民謡や讃美歌にポップス風のアレンジを加えたもの。数年間の慎重な準備を経た自信作とのことである。
Pioneer盤は最近入手が難しいそうだが、中古格安で見つけることができた。
 

 ペレーニ・ディスコグラフィに、最近届いたクルターク作品のCDの情報と、読者の方からいただいた情報を追加。ボッケリーニ;Vcソナタシューマン;5つの民謡風小品のLPを入手されたそうである。正直申して羨ましい限り。

 最近届いたCDの情報を、リリー・ブーランジェ 作品とディスコグラフィに追加。

 音盤狂昔録平成14年7月分を追加。


8月3日(土): 夕方から大阪へ出かけたついでに、楽譜(スタディ・スコア)を1点購入。

ショパン & グラズノフ;ショピニアーナ(シルフィード)(M.P.Belaieff)
ふと目をやったグラズノフのコーナーで見つけて驚いた。
ショパンのピアノ曲にグラズノフがオーケストレーションを施した曲集で、愛惜佳曲書に掲げた軍隊ポロネーズを含んでいる。
全5曲からなり、第1曲が上記ポロネーズ(op.40-1)、第2曲;夜想曲(op.15-1)、第3曲;マズルカ(op.50-3)、第4曲;ワルツ(0p.64-2)、第5曲;タランテラ(op.43)という構成。

 週日、留守の間に届いていた荷物が、次々と再配達される。いつものjpc、初めてのQualiton、そして久しぶりのBerkshire。また、外出のついでに音盤屋へ。

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響 ほか
モーツァルト;交響曲第31・35番 & レーガー;ロマンティック組曲・ベックリンによる4つの音詩 ほか(SCRIBENDUM)
イッセルシュテットの遺産のうち、入手しづらくなっていたものがCD化されたので購入。
特に、珍しく手兵以外のオーケストラ、バンベルク響を指揮したモーツァルト(1972年録音)は初CD化ではなかろうか。
レーガーは、以前ACANTAレーベルからCDが出ていたが、入手困難だったそうである。音質も改善されており、歓迎したい再覆刻だ。
CD2枚組で、更に有名なジネット・ヌヴーとのブラームス;Vn協ライヴ(1948年5月3日)を収録している。
この音源は色々なレーベルから出ており、音質の優劣談義が盛んだが、今回のものが決定盤とはいかないようだ。これに関しては、STILレーベルのLPを入手し損ねたのが、斉諧生痛恨の極みである。
なお、HMV限定で先行発売されている模様。
 
デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮) ボン・ベートヴェンハレ管
ベートーヴェン;交響曲第3番 ほか(MUSIC MASTERS)
豪快な音楽づくりが印象に残っているD.R.デイヴィス。
彼の「エロイカ」、これは聴いてみたいとBerkshireにオーダー。
ジャケットに"The First Recording Based on the New Critical Edition"と謳われているが、いわゆる新ベーレンライター版ではなく、ボン・ベートーヴェンハウスによる新全集版(刊行;ヘンレ社)のことである。
「コリオラン」序曲をフィルアップ。
 
ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ハーグ・フィル ほか
ベルリオーズ;幻想交響曲 ほか(DECCA)
先月、LPを入手したオッテルロー&ハーグ・フィルの幻想、大阪・心斎橋の音盤店でCDを見つけた。前に捜した時には無かったはずなのだが、うっかり見逃したのかその後に入荷したのか…? まあ、探求盤が出てくるときは、こういうものである。
少々迷ったが、LPが(オリジナルではなく)イタリア盤だったことも考えて、購入に踏み切る。
アンタル・ドラティ(指揮) コンセルトヘボウ管による「ファウストの劫罰」(抜粋)をフィルアップ。
 
ミヒャエル・ギーレン(指揮) 南西ドイツ放送響 ほか
マーラー;交響曲第8番 & シェーンベルク;「ヤコブの梯子」(hänssler)
ギーレンの新譜をjpcから購入。
正直申して、まともに聴き通した記憶がない苦手な曲だが、彼のマーラーは買わざるべからず。
以前フランクフルト歌劇場管 ほかを指揮したCDがあったが(Sony Classical)、あちらは1981年8月28日のライヴ、今度のは1998年12月8〜18日の録音。
 
フェリシティ・ロット(Sop) アルマン・ジョルダン(指揮) スイス・ロマンド管
「パリのワルツ、ウィーンのワルツ」(fnac)
シュトラウス一家レハールオッフェンバックなどのワルツ、ポルカや歌、計17曲を収めたCD。
1994年1月10日、ジュネーヴ・ヴィクトリア・ホールでのライヴ録音で、収録曲は「こうもり」序曲「金と銀」「美しきヘレネ」序曲等々。
楽しめそうなディスクなのでオーダーしてみた。
これはBerkshireから。
 
アルマン・ジョルダン(指揮) パリ室内アンサンブル
ワーグナー;ジークフリート牧歌 & R・シュトラウス;「カプリッチオ」より六重奏曲 & シェーンベルク;「浄められた夜」(六重奏版)(GALLO)
ジョルダンのドイツ音楽は珍しい。ERATOにシューマン;交響曲全集、fnacレーベルにマーラー;交響曲第3番があったくらいか。
フランス系音楽家が演奏するワーグナー、R・シュトラウス、シェーンベルクというのに興味を惹かれてオーダー。
「ジークフリート牧歌」は、1パート1人、計13人で演奏している。
これはBerkshireから。
 
エイドリアン・サンシャイン(指揮) カメラータ・トランシルヴァニカ
シェーンベルク;「浄められた夜」 & ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a(BMC)
BMCの公式Webpageを見ていたら、蒐集しているショスタコーヴィッチ作品の音盤を見つけた。
日本に代理店もあるのだが、確実な入手先を捜したところ、アメリカでの代理店であるQualitonにオンライン・オーダーしたもの。
指揮者は(たぶん)アメリカ生れ、モントゥークレツキバーンスタインに師事、ロンドンやサンフランシスコで室内管弦楽団の音楽監督を歴任しているという。
オーケストラは、当初、ルーマニア・トランシルバニア地方の Marsvásárhely という町で1966年に創設されたが、ルーマニアの政治情勢のためにブダペシュトへ移住した音楽家によって、1989年、ブダペシュトで再結成された団体であるとのこと。
なお、op.110aは、最も一般的なバルシャイ編曲版によっている。
 
アルマン・ジョルダン(指揮) スイス・ロマンド管
リムスキー・コルサコフ;交響組曲「シェヘラザード」 ほか(ARIA)
入手難と噂を聞くARIA(FNAC)レーベルのうち、気になったものをBerkshireにオーダー。
たしかジャン・ジャック・カントロフがゲスト・コンサートマスターで独奏していた…と思ってカートに入れたのだが、これは思い違い。実際にはロベール・ツィマンスキーだった。
もちろんジョルダンとスイス・ロマンドの録音なら聴く価値は十分にあるから、問題ない。
「ロシアの復活祭」序曲をフィルアップ。
 
ボー・ホルテン(指揮) オーゼンセ響 ほか
ニルセン;コンモティオ ほか(Danacord)
これは北欧音楽MLで話題になったCD。
とりわけ標記の「コンモティオ」について、「ニルセンのもう一つの交響曲」、「シベリウスの第7番に比肩できる高みに到達している」との評があり、ぜひ聴いてみたいとjpcにオーダーしたもの。
ニルセンの作品を、この指揮者が管弦楽編曲して集成した音盤で、元来はオルガン曲である「コンモティオ」のほか、7つの初期歌曲Vnソナタ第2番が扱われている。
このあたりについては、ノルディックサウンド広島のWebpageに詳しい。→ここを押して
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
マリオ・ブルネロ(Vc) カルロ・デ・マルティーニ(指揮) クァルテットーネ室内管 ほか
ボッケリーニ;Vc協・Vc五重奏曲 ほか(Amadeus)
ブルネロは、去る7月26日(金)に「東京の夏」音楽祭紀尾井ホールアファナシェフルクーアルペジオーネ・ソナタを演奏した。
演奏者も曲目も、是非聴きたかったのだが、休暇を取れる目処がついてからマネジメントに電話すると、既に全席完売。キャンセル待ちのリストに載せてもらったが、遂に吉報は訪れず。
人づてに名演であったとの評判を聞いて、切歯扼腕している。
そのブルネロのCDで、GUT & GATTO さんのディスコグラフィで羨ましく拝見していた未架蔵盤が、Berkshireに出ていたのでオーダー。
彼は、CD3枚組のうち協奏曲と五重奏曲の各1枚に出演している(残り1枚は声楽曲とシンフォニア)。
協奏曲は変ホ長調 G.474ニ長調 G.476ハ長調 G.573の3曲、五重奏曲はニ長調 G.189ト短調 G.196ホ長調 G.275変ホ長調 G.304の4曲を収録。
1993年11〜12月の録音。
 
パウル・バドゥラ・スコダ(指揮&P) プラハ室内管
モーツァルト;P協第23・25番(VALOIS)
福島章恭『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)での推奨盤である。
第23番について「緩徐楽章の美しさにおいて忘れ難い演奏である。」とのこと、Berkshireで見つけたのを機にオーダー。
 
ジェフリー・ブライアント(Hrn) トマス・ダウスゴー(指揮) ロイヤル・フィル
モーツァルト;Hrn協全集(Centurion)
作曲家なり演奏家なり、いったん気になり始めると、あちこちの通販サイトで検索してはオーダーしたくなる性癖が止まらない(苦笑)。
勿論、最近のダウスゴー蒐集の一環として購入したもの。
1994年10月録音だから、キャリアのかなり初期、まだ小澤のアシスタントをしていた頃のものということになる。
これはjpcから。
 
マーク・ルボツキー(Vn) アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
ベートーヴェン;Vn協 ほか(GLOBE)
これも前に北欧音楽MLで話題になったCDが、jpcにあったのでオーダーしたもの。
ルボツキーはブリテン;Vn協の録音(DECCA)で知られるロシアのベテランだが、シュニトケ作品の演奏でも有名なのだそうで、ここでも彼のカデンツァを用いている。
シュニトケのカデンツァといえばクレーメルマリナーと共演したPhilips盤で演奏して有名になったが、ライナーノートによると、約20年前にルボツキーのために書かれたものだという。
ヴォルメルはエストニア出身、1962年生れの俊英とのこと。先だってステーンハンマル;劇音楽集(STERLING)を買っているが、ポピュラーな曲では初めて。
1996年3月、エストニア・タリンでの録音。
 
マーク・ルボツキー(Vn) アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
チャイコフスキー;Vn協 &アレンスキー;Vn協 ほか(GLOBE)
ルボツキーとヴォルメルの録音、続く。こちらはロシアのVn協奏作品集で、Berkshireにオーダーしたもの。
アレンスキー作品(1891年)及びリムスキー・コルサコフ;ロシアの主題による演奏会用幻想曲(1866〜67年)は、世界初CDという。
 
ナターリャ・グートマン(Vc) キリル・コンドラシン(指揮) モスクワ放送響 ほか
ショスタコーヴィッチ;Vc協第1・2番 ほか(LIVE CLASSICS)
工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページを読み返していたところ、Vc協第1番のページで、この盤に★5つの最高評価が与えられていることに気がついた。
文字通り心技体の全てが最高の状態でこそなし得た名演。表面的な美感に溺れることなく、全身全霊を傾けて楽譜の底から音楽を掴み出しているような壮絶さに心を打たれる。コンドラーシンの伴奏も極めて凄絶。(以下略)
また、第2番についても★4つ半の高い評価。こちらはドミトリー・キタエンコ(指揮)モスクワ・フィルの付け。
気迫に満ちた秀演。極めてスケールが大きく骨太の音楽は、表面的な美感を犠牲にしてでも作品の本質を抉り出そうとしているかのよう。
これは聴かざるべからずと、jpcにオーダーしたもの。
第1番は1976年6月21日、第2番は1986年11月11日、ともにモスクワでのライヴ録音、シュニトケ;Vcと7楽器の対話をフィルアップ。
 
パウル・バドゥラ・スコダ(P) フェスティーチQ
モーツァルト;P四重奏曲第1・2番 & 弦楽四重奏曲第20〜23番(ARCANA)
これも福島章恭『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)での推奨盤、古楽器を用いた演奏である。
(P四重奏)
戦慄の名演である。これほど、聴き手の心の深くに潜入し、大暴れする演奏も稀だ。(中略)これをモーツァルト演奏の神髄と呼ばずに何と呼ぼう。
(弦楽四重奏)
こんなに繊細で、ニュアンス豊かなモーツァルトは例がない。
あちこち捜していたのだが見つからず諦めかけていたところ、Berkshireにあり、CD3枚組がレギュラー盤1枚分の値段。狂喜してオーダー。
どうでもいいことだが、ブックレットの裏表紙、メンバーの一人が「一番」と大書したTシャツを着ている(笑)。
 
ジェラール・プーレ(Vn) クリストフ・ヘンケル(Vc) パスカル・ドワイヨン(P)
ベートーヴェン;P三重奏曲第1・7番(ARION)
Berkshireであれこれ検索していて見つけた盤。
プーレもパスキエ同様、フランス音楽アカデミーで実演に接して感銘を受けたヴァイオリニストであり、他の2人も気になる奏者なので、オーダーしてみた。
1992年10月、フォンテヴォーなる12世紀以来の修道院での録音。
 
ジュリアーノ・カルミニョーラ(Vn) マリオ・ブルネロ(Vc) ほか
ブラームス;弦楽六重奏曲第1・2番(ERMITAGE)
これもGUT & GATTO さんのディスコグラフィで拝見していたブルネロの未架蔵盤、Berkshireにオーダーしたもの。
1992年4月6日、ボローニャ・テアトロ・コムナーレでのライヴ録音。
 
ニュージャージー室内楽協会
マルタン;P五重奏曲& ダンディ;組曲 ほか(PREMIER)
先だってCASCAVELLE盤を買って気に入ったマルタン作品の、「世界初録音」というCD(1993年頃録音)がBerkshireに出ていたのでオーダー。
ダンディ作品は、Fl・Vn・Va・Vc・Hp という編成。
更にデュリュフレ;前奏曲、レシタティフと変奏曲 op.3(Fl・Va・P)、プーランク;六重奏曲(Pと管楽五重奏)をカプリング。
 
桐山建志(Vn) 武久源造(Cem) ほか
バッハ;Vnソナタ第1〜3番 ほか(ALM)
先日、ネットサーフの折りにふと桐山さんの公式Webpageで新譜CDの情報を発見(→ここを押して)。Web上では6月末から先行発売されていたというので臍を噛んだ。
間もなく一般発売になるというのでオンライン・オーダーは諦め、店頭で捜していたところ、今日になって見つけたので購入した。
曲によって低音声部にチェロ(諸岡範澄)とラウテンヴェルク(ガット弦を張ったチェンバロ、山川節子)を加え、拡がりを出しているのが特長。
また、有名なトッカータとフーガ BWV.565の無伴奏Vn版(編曲は武久氏)をフィルアップ。
これはアンドルー・マンツェも試みていた。音楽の書き方からして、ヴァイオリン曲をオルガンに移したという説が有力なのだそうである。
演奏者による充実したライナーノートには、いつもながら感心。
アルバムのタイトルは「ヴァイオリン音楽の領域 vol.1」となっており、継続したリリースが期待できそうだ。
当面、残る第4〜6番の早期発売を望みたい。
 
レジ・パスキエ(Vn) エマニュエル・ストロセール(P)
フォーレ;Vnソナタ第1・2番 & ドビュッシー;Vnソナタ(assai)
一昨年3月のフランス音楽アカデミーで実演に接して、その音の強さに感心したパスキエ。
録音も多く、少しづつ集めているのだが、フォーレとドビュッシーの新譜がjpcで見つかったのでオーダー。
このレーベル、フランス音楽ファンにとっては要注目であろう。ジャケット・デザインも秀逸、この盤では(なぜか)草創期の飛行機の写真を掲載している。
2001年9月の録音。
 
ペーター・ツァバ(Vn) アルト・サトゥカンガス(P)
エネスコ;Vnソナタ第2・3番(Ondine)
ずっと気になっている曲、エネスコの第3ソナタ。
目につき次第、入手しているのだが、買いそびれていた盤がBerkshireに出ていたのでオーダー。
いつも「架蔵済みでは?」という気がして見送ってきたが、今回は、ちゃんと確認(苦笑)。
ツァバはハンガリー人だが、生地はルーマニアのトランシルヴァニア。ブカレストで学んだというから、正統を伝えるということになろうか。
1991年9月、ヤルヴェンパーでの録音。
 
ラファエル・オレグ(Vn) ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc)
コダーイ;Vn&Vcソナタ & マルティヌー;Vn&Vcソナタ第1・2番(VALOIS)
好きなチェリスト、アサートンのCDのうち、これまでどこの通販サイトでも品切れだった1枚をBerkshireで見つけたのでオーダー。こういうことがあるので、「Berkshire詣で」は止められない(苦笑)。
1994年2月の録音。
 
アンヌ・ガスティネル(Vc) フランソワ・フレデリク・ギー(P)
ブラームス;Vcソナタ第1・2番(VALOIS)
以前、シューマンラフマニノフのCDを買ったガスティネルのブラームスがBerkshireに出ていたのでオーダー。5ドル99セントと格安。
1998年8月の録音。カザルスの愛器、1733年製ゴフリラーを用いているとのこと。
 
ゲイリー・ホフマン(Vc) フィリップ・ビアンコーニ(P)
ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ & プロコフィエフ;Vcソナタ ほか(Le Chant du Monde)
LP時代には録音が珍しかったショスタコーヴィッチのVcソナタも、いまや買い切れないくらいリリースされている。
店頭でよく見るのだが買いそびれてきた当盤がBerkshireに出ていたのでオーダー。
ホフマンはヴァンクーヴァー出身、15歳でロンドンのウィグモア・ホールにデビュー、22歳でインディアナ大学・音楽学部の最年少教授に任ぜられたという。
かつてレナード・ローズが所有していたニコロ・アマティの楽器を用いる。
小品ショスタコーヴィッチ;Vcのためのモデラートプロコフィエフ;バラード(op.15)・アダージョ(op.97bis)をフィルアップ。
  
マヌエラ・ヴィースラー(Fl) ローランド・ポンティネン(P)
プロコフィエフ;Flソナタ & タクタキシュヴィリ;Flソナタ ほか(BIS)
6月末、ジャン・フェランディスエミール・ナウモフの演奏会で聴いたタクタキシュヴィリ作品の録音を捜したところ、数点が見つかった。
国内盤もあったのだが、曲目の面で、現代ロシア作品で筋を通したヴィースラー盤をjpcにオーダーしてみた。
標記2曲のほか、デニソフ(1929〜)、アミロフ(1922〜1984)の作品を収録。
独奏者はウィーン出身、ゴールウェイニコレに学び、アイスランドやスウェーデンで活動していたとのこと。
 
セルゲイ・イストミン(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(ANALEKTA)
Berkshireでバッハ;無伴奏の未架蔵盤を見つけたので、ついついオーダー。
イストミンはモスクワ音楽院出身、アメリカでヴィオラ・ダ・ガンバを学び、ターフェルムジークにVc奏者として所属するなど、古楽器奏者として活躍しているとのこと。
ここでもバロック・チェロを使用し、第6番は5弦のチェロ・ピッコロで演奏している。
 
ダニエル・ミュラー・ショット(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(GLISSANDO)
先日、フランクほかのEMI盤(2001年9月録音)を購入したミュラー・ショットのバッハ;無伴奏があったので、Qualitonにオーダーしてみた。
EMI盤に先立つこと約1年、2000年8月の録音である。この年はバッハ没後250年に当たり、その記念で無伴奏Vc組曲のリサイタルをパリ、コペンハーゲン、ワシントン等で行ったとのこと。
なお、ブックレットに彼の公式WebpageのURLが掲載されていた。→ここを押して
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ほか
クルターク;作品集(HUNGAROTON)
QualitonはHUNGAROTONの代理店でもあることから、ペレーニ師の未架蔵CDを捜したところ、これが見つかったのでオーダー。
師が演奏しているのは「ジェラール・ド・ネルヴァル」という1分20秒の曲だけ、しかもLPでは架蔵しているのだが…(苦笑)。
 
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮) ロンドン響 ほか
リリー・ブーランジェ;詩篇第24・129・130番・「仏教徒の古い祈り」 ほか(DGG)
6月30日の項でリリース情報を書いた、ガーディナーのリリー・ブーランジェ録音。jpcにオーダーしたところ、いち早く届いたので嬉しい限り。(^^)
詩篇第24番を聴いてみたが、合唱(もちろん手兵モンテヴェルディ合唱団)の巧さでは同曲異盤中ピカイチではなかろうか。オーケストラのスカッとした響きも美しい。
マルケヴィッチ盤ほどの「熱」はないが、メジャー・レーベルから出たスタンダードな名演として、リリーの芸術の普及に役立ってくれるだろう。
とにかく1人でも多くの人に聴いていただきたい。
また、ガーディナーには、「ピエ・イェズ」「兵士の埋葬のために」、更には「ファウストとヘレネ」の録音も望みたい。
ストラヴィンスキー;詩篇交響曲をカプリング。
 

8月1日(木): 楽譜2点を購入。

矢代秋雄;交響曲(音楽之友社)
以前から大判のスコアが出ていたがなかなか入手できなかった。このほどスタディ・スコアとして出版されたので幸運を喜ぶ。
伊福部昭;交響譚詩(音楽之友社)
こちらは少し以前から出ていたもの。

平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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