音盤狂日録


11月29日(月): 

 

ジャン・ピエール・ランパル(Fl) ルネ・レイボヴィッツ(指揮) パリ・フィル
テレマン;組曲 イ短調(米Olympic、LP)
後年の再発盤、しかも御丁寧に4チャンネル・エンコードまで施して酷い音になっているものだが、レイボヴィッツの未架蔵音源がeBayに出品されていたので落札せざるべからず。
演奏自体は、今となっては時代錯誤かもしれないが、陰翳の濃い堂々たるものである。
ランパルは後にリステンパルトと再録音しており、この録音が再び日の目を見ることはないのかもしれない。
おそらく元来は1950年代初頭のモノラル録音で、いずれオリジナル盤を見つけたいものである。
カプリングはグルック;Fl協 ト長調、こちらはOCEANICレーベルのオリジナルLPを架蔵済み。

11月28日(日): 

 

内藤晃(P)
「第7回 珠玉のピアノコンサート」
Web上の知人、内藤さんが奈良で演奏会をなさるというので、お伺いした。
最初に知り合った頃はまだ中学2年生でいらっしゃったが、例えばジュリアス・カッチェンが大好きとか、音楽に関しては既に成熟した趣味を持っておられた。…というより、中2と聞いて驚愕、とても信じられなかった、というのが正直なところ。
彼のピアノは以前オフ会か何かで聴かせてもらったことがあるが、とてもきれいな音と素直で美しい音楽が印象に残っている。
それから数年、指揮にも手を染めて小林研一郎氏のセミナーを受講された、公開の場でピアノをされた等、活躍の御様子は伺っていたところ。
首都圏中心に活動しておられるので、なかなか最近の演奏を聴く機会に恵まれなかったのだが、今回、奈良のコンサートに出演されるというので、このチャンス逃すべからずと参上した。
 
今日の会場は、奈良市音声(おんじょう)館という施設。
興福寺界隈の観光地の南側、「ならまち」と通称される、古い街並みを残す地区の中に、目立たずに(景観を損なわないように)建っている。
「歌声による人づくり、街づくりを目指して」設立されたということで、コンサート会場というより、児童合唱団の練習場や、地元の生涯学習施設として機能しているようだ。
ホールといっても収容人員90、学校の教室程度の広さ。固定席ではなくフロアに椅子を並べる式、ステージの高さも15cm程度か。
問題はピアノで、ベビー・グランドというのか、鍵盤の幅と本体の奥行きがあまり変わらない、悪い喩えだが盥のような代物。
それでも手入れが行き届いておればともかく、妙な付帯音が聴こえたり、ppが出にくそうだったり、かなり状態の悪い楽器のようだった。これは非常に残念。
 
今日の曲目は、
モーツアルト;ピアノソナタ第11番「トルコ行進曲」 イ長調 K.331
ショパン;ワルツ 嬰ハ短調 op.64-2
ショパン;夜想曲 ホ長調 op.62-2
ショパン;舟歌 嬰ヘ長調 op.60
シューマン;幻想曲 ハ長調 op.17
というもの。
恥ずかしながら、モーツァルト以外はほとんど聴いたことがない。ショパンのワルツも聴き覚えがある、という程度。
 
まず、そのモーツァルトが素晴らしかった。
第1楽章の主題に付けられた、そこはかとないリタルダンドから立ち上る哀切な味わい!
続く6つの変奏は、演奏者がプログラムに執筆した「色とりどりの花のよう」という言葉そのもの、まさに花園を逍遙する趣。豊麗な色彩感を放った第1・2変奏に続いて短調に転じた第3変奏での寂寥感の深かったこと!
第3楽章の中間部を、吹き抜ける疾風のように駆け抜けた表現も素晴らしい。
 
唯一引っかかったのは、第1楽章の変奏でも折節にリタルダンドが用いられ、少し煩わしい感じを受けたこと。主題部分では新鮮だったのだが…。
 
馴染みのないショパンの各曲について云々することはできないが、弾き手の感興が率直に伝わって来ていることは確信できた。
 
シューマン作品は、演奏者の最愛の作品の一つとのこと。
これも初めて聴く曲だけにあれこれとは言いづらいが、第2楽章の沸き立つ喜びには胸が熱くなる思いがした。
帰宅してから音盤棚を引っかき回して見つけたイヴ・ナット盤(EMI)からは、そこまでの高まりが感じられなかったことを付言したい。
 
アンコールは十八番エルガー;愛の挨拶
これも、どこに出しても恥ずかしくない見事な演奏。
 
彼が着実に大きく成長しつつあることを実感できた演奏会だった。今後どのような道を歩んでいくのか非常に楽しみである。
 
なお光と風と夢にも、当日の感想が掲載されているので、ぜひ御参照を。

 

ジョナサン・ノット(指揮) バンベルク響
ブルックナー;交響曲第3番(TUDOR)
ブルックナーの第3交響曲のノヴァーク第1稿(1873年)の新録音。ワーグナーからの引用を最も豊富に含む版である。
LP時代には録音されることが非常に稀だったが、デジタル初期にインバル盤(TELDEC)が登場して以来、市民権を得た感じで、先だってもナガノ盤(HMF)がリリースされた。
ノットの名前は聞き覚えがあるが、実際に演奏を聴くのは初めて。
イギリス出身というから、ブルックナー演奏にフレッシュな味わいを吹き込むのか、それとも勘違いなブルックナーになってしまうのか、興味津々。
バンベルク響はヨッフムとの来日公演以来、好きなオーケストラなので、その面でも楽しみ。
2003年12月、バンベルクのヨーゼフ・カイルベルト・ザールでの録音。
デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮) リンツ・ブルックナー管
ブルックナー;交響曲第4番(ARTE NOVA)
上記ノット盤に続いてノヴァーク第1稿の新録音、こちらは第4番の1874年版である。
デイヴィス姓の指揮者はコリンアンドルーが著名なところだが、更にディーリアス;歌劇「村のロメオとユリア」録音で知られるメレディスが続き、そしてこのD.R.が数えられる。
もう二十数年前だが、斉諧生がけっこう熱心にFM放送のエア・チェックをしていた頃にしばしば登場していた(フリードリヒ・グルダか誰かと共演したベートーヴェン;P協全集か何かが記憶の隅にこびりついている)。
2002年からブルックナーの名を冠した団体の首席指揮者・音楽監督に就任しており、クルト・アイヒホルンほかによる全集(カメラータ・トウキョウ)以来のブルックナーに取り組む模様。
前記のFM放送では、かなり非正統的なドイツものを振る人だったという印象が残っているが、相当な歳月を経て、どのような音楽を聴かせてくれるのだろうか。
2003年9月16日、リンツ・ブルックナーハウスでのライヴ録音。
ヴィーラント・クイケン(Vc) ピート・クイケン(Cem)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)・Gambソナタ全集(ARCANA)
ヴィーラント・クイケン満を持してのバッハ;無伴奏録音というので話題になった3枚組。
今年夏頃に発売され、購入せねばと思っていると、1枚目にノイズが混入する不良があるという情報で、良品が出回るのを待っていたもの。待ったついでに年末向けの特価になっていたので、まず幸いか。
無伴奏組曲ではバロック・チェロではなく、モダン仕様のアマティ(とされるが偽物らしいという)と、子息フィリップ製作によるチェロ・ピッコロ(第6番のみ)を用いているところが、世人の驚愕を誘ったもの。
演奏内容は素晴らしいという情報なので、楽しみである。
それにしても、この曲集の、ちゃんと聴いていない盤が何セット溜まっていることだろう…。(嘆)
2001年9月及び2002年6〜7月の録音。

11月27日(土): 

 

ウェルナー・ヒンク(Vn) & 遠山慶子(P)
「モーツァルトに酔う午後」
今年1月から斉諧生の住む高槻市にウィーン・フィルのヒンクがやってくるというので、駅1つ隣の高槻現代劇場まで出かける。
公的助成が入っているのか、2,000円というから有り難い。
 
ここにはスタインウェイ・ピアノを備えた音楽用ホールもあるらしいが、「シャンソン・フェスティバル」か何かで塞がっており、「レセプションルーム」という、要するに宴会用の大部屋が会場になっていた。天井が低く、床は総カーペット貼り、さてはてどうなることやら…と心配。
幸い、早めに出かけたので前から2列目に席を取ることができ、独奏者から3m程度の距離で直接音を聴くことができた。
 
今日の曲目は、タイトルどおり
モーツァルト;Vnソナタ第30番 ニ長調 K.306
モーツァルト;Vnソナタ第24番 ハ長調 K.296
モーツァルト;Vnソナタ第28番 ホ短調 K.304
モーツァルト;Vnソナタ第40番 変ロ長調 K.454
と、オール・モーツァルト。
 
ヒンクの音色には、まろやかな木質感があり、ffからppまで柔らかな美音を保っている。特に重音の和声感が誠に美しく、これぞ文字通りの「フィル・ハーモニー」と感じ入った。
遠山さんのピアノも、実に典雅で美しい。おそらく古典調律だろう。一音々々から、暖かみを帯びた、そこはかとない哀しみが立ち上る。
 
前半の2曲はオペラのアリアを歌っているような雰囲気が愉しい。
それでもK.296アンダンテ楽章、ソット・ヴォーチェの弱音で歌われた音楽の、身に沁みたこと!
 
母の死を背景に持つというK.304でも、音楽は抑制され、古典の矩を越えた踏み外しは聴かれない。それでいて惻々とした悲しみを歌うのは、2人の音楽性の高さであろう。
 
K.454は、前半の曲と違って器楽的な発想が前面に出ているようだ。
やはり弱音が強調されたアンダンテ楽章での合奏の見事さ!
目に見える限りでは、ほとんど顔も向けることなく演奏しているのだが、音楽は緊密に結びつき、反応しあっている。
 
温かく幸福な、そして哀しい、モーツァルトの音楽に浸り堪能したコンサートだった。

 

エドゥアルド・ペロン(指揮) デトロイト聖母被昇天洞窟教会管
パレー;バレエ音楽「不安なアルテミス」・弦楽交響曲(GROTTO)
 
マリオン・タナウ(Vn) ナディーヌ・デルーリー(Vc) エドゥアルド・ペロン(P) ほか
パレー;Vnソナタ・Vcソナタ・弦楽四重奏曲(GROTTO)
いつもお世話になっているWOODMANさん@ユビュ王の食卓から、CD Babyというマイナー・レーベルや自主製作盤の委託販売を専門にしているオンライン・ショップで、パレーの作品集が販売されていると教えていただいた。
これは一大事とオーダー、1週間程度で配達された。
面白いことに、オーダーのプロセスでプラスティック・ケース付きか無しかを選択できるようになっている。無しの方が送料が安くつくので、そちらで頼んでみた。CDは窓付きの紙封筒に収められ、丁寧に梱包されているので問題なく届いた。
 
2枚とも、以前からパレーの作曲の紹介に熱心に取り組んでいるデトロイト聖母被昇天洞窟教会の主任司祭ペロン師が製作したもの。
師は、パレーの娘さん(2003年に逝去された)やお孫さんとも交渉して彼の書簡や資料を収集、その作品の校訂・演奏・録音に努力し、かつ詳細なブックレットを執筆している。まことにマニアの鏡のような人物といえよう。
 
バレエ音楽「不安なアルテミス Artémis troublée 」(1922年)は、舞踊家イダ・ルビンシテインのために書かれ、初演の美術と衣装はレオン・バクストが担当した。
ルビンシテインは、ラヴェルボレロを作曲させたことで知られているが、当時カリスマ的な声望を博していたダンサーである。またバクストはディアギレフバレエ・リュスで活躍したことで、あまりにも有名。
パレーとバクスト、ルビンシテインとの交渉については、ペロン師のライナーノートに詳説されているので、いずれ紹介してみたい。
弦楽交響曲(1944年)は、もう一枚に収録されている弦楽四重奏曲(1919年)を、第二次世界大戦末期に指揮活動ができなくなった余暇を利用して、Cbパートを付加し弦楽合奏用に編曲したもの。
前者は2003年2月16日、後者は同年3月2日にデトロイト聖母被昇天洞窟教会で録音された。
 
Vnソナタ(1908年)は、パレーがパリ音楽院に在学していた時期、22歳の作品で、知人のVn奏者エレーヌ・ジュルダン・モランジュに捧げられた。(彼女はラヴェル;Vnソナタの被献呈者としても有名)。
ただし、初演は1920年まで待たねばならず、演奏者もジュルダン・モランジュではなかった。
かのヘンリク・シェリングは、この作品を何度も演奏し、あまりよく知られていないことを残念がっていたという。
Vcソナタ(1921年)は、親友のVc奏者ジェラール・ヘキング Gérard Hekking のために書かれ、ヘキングによって初演された(ピアノは作曲者)。この人はアムステルダム・コンセルトヘボウ管の首席奏者やパリ音楽院の教授を務めている。
この曲は1920〜30年代、フランスでよく演奏されたという。
弦楽四重奏曲(1919年)は、第一次世界大戦に従軍したパレーが、ドイツ軍の捕虜となりダルムシュタットの収容所に囚われていた間に、構想された作品。リュシアン・カペーに献呈されたが、初演は上記のヘキング等が行っている。
後年、弦楽合奏用に編曲されたことは上述のとおり。
 
独奏者のうち、タナウはルーマニア生れ、1989年の革命の混乱からアメリカに渡り、1995年からはデトロイト響第2Vn奏者に加わっている。
デルーリーはフランス生れ、パリ音楽院でナヴァラに学び、のちイェール大でパリゾに就いた。1983年以来、ミシガン歌劇場管の首席奏者を務めている。
ポール・パレー(指揮) デトロイト響
ベートーヴェン;交響曲第1・2番(英Mercury、LP)
このところパレーのMercury@英EMIプレスをeBayで揃えるプロジェクトが進行中(笑)。
当録音は、パレーを集め始めてしばらくした頃、東京出張の折りに神保町の輸入盤LP専門店で米盤を買い求めた。
接客態度の横柄さと値付けの高さで悪名が轟いていた店で(最近広告を見ないがどうしているのだろう)、前者はともかく(そう悪くはなかった)、確かに高価だった。
今回、送料を含めても通常のCD1枚程度の価格で英盤を購入でき、非常に嬉しい。音質的にも米盤を上回っている。
このベートーヴェンは、なぜかCD化されていないが、特に第1番が非常な名演。終楽章ではパレーが「エイ! エイ!」と気合を入れている声まで聞こえている。
広く聴かれれば彼のドイツ系楽曲演奏に関する評価が一変すると信じる名盤だけに、ぜひぜひCD化してもらいたいものである。
1959年1月の録音。
小石忠男『続・世界の指揮者』(音楽之友社)
演奏会の帰り道、通りがかった古本屋で購入。
初版1975年の古いものだが、指揮者18人を扱った中に、ハンス・シュミット・イッセルシュテットが含まれているのである。
以前から〜クラシックを聴きだした1980年頃から〜気になってはいたのだが、買いそびれていたものが格安で入手でき、喜ばしい。
その他、トスカニーニストコフスキーアンセルメフルトヴェングラー、あるいはメータアバドマゼールブーレーズらを掲載している。

11月26日(金): 

 

トーマス・ツェートマイヤー(Vn) アムステルダム・バッハ・ゾリステン
バッハ;Vn協集 ほか(KRUPP)
某オークションにツェートマイヤーの珍しい(非売品?)音盤が出品されており、格安だったこともあって落札したもの。
クルップは有名なドイツの鉄鋼会社、そのゲストハウスらしい "Villa Hügel" で1994年3月25日に開かれたコンサートの曲目を収録している。
ただし、録音そのものは同年3月1日にアムステルダムの教会で行われたとの記載がある。ジャケットやブックレットには "Live" と表記されているので、ややこしい。
演奏されている曲目は、
バッハ;Vn協第1番 BWV1041
バッハ;Vn協第2番 BWV1042
バッハ;Vn協 ニ短調 BWV1052
バッハ;Vn協 ト短調 BWV1056
ヨハン・ベルンハルト・バッハ;序曲 ト短調 (バッハの又従兄弟)
ヘンデル;合奏協奏曲 作品3-2・4

11月25日(木): 

 

クリスティアン・ツァハリアス(P)
モーツァルト;Pソナタ全集(EMI)
このところ気になっているピアニスト、ツァハリアスがEMI時代に録音した箱物3点のうち、モーツァルトのソナタ集(CD5枚組)が未架蔵だった。
今日立ち寄った音盤屋に仏EMIがリリースした廉価盤ボックスが格安で並んでいた。このシリーズはデザインが非常に安っぽいので食指が動かず、何とか初出時のものを入手したいとオークション等で網を張ってきたのだが、あまりの安さに根負け、レジへ持っていくことにした。
さっそく、打楽器を持ち出しているという第11番第3楽章「トルコ行進曲」を聴いてみるが、ずいぶん地味な音色のシンバルが控えめに鳴っているだけだったので、ちょっと拍子抜け(笑)。
1984年6〜1985年10月、ドイツ・ノイマルクトで録音された。

11月22日(月): 

 

内藤彰(指揮) 東京ニュー・シティ・フィル
ブルックナー;交響曲第8番(DELTA)
この曲の第3楽章アダージョの異稿(1888年頃の筆写譜、ウィーン国立図書館所蔵)による世界初演のライヴ録音である(2004年9月4日、東京芸術劇場)。
資料的な価値のみならず、演奏の質もたいへん高かったとの評を聞いており、CD化されるというので是非耳にしたいと考えていたところ、京都の音盤店にも入荷していたので購入。
この記事を書きながら、そのアダージョを聴いているが、なるほどノヴァーク第1稿(1887年)にも第2稿(1890年)とも異なる。
特にクライマックス直前では、まったく新しい音楽を聴くことができ、たいへん愉しい。
指揮者もオーケストラも実は初耳の演奏者だが、ブライトコップ新版によるベートーヴェン;交響曲全曲演奏等の活動を行っているとのこと。
ライヴ録音にありがちな音像の遠さが残念だが(少し線の細い音楽に聴こえる)、「朝比奈、ヴァント以来、最美のブルックナー演奏」という謳い文句も、あながち大げさではない優れたものだけに、広く聴かれることを望みたい。
なお、アダージョ以外の楽章は通常用いられるノヴァーク第2稿による。
アルトゥール・グリュミオー(Vn) ヴァルター・クリーン(P)
モーツァルト;Vnソナタ集(Philips)
CD4枚組に主要なソナタ15曲と変奏曲1曲を収めたセットが中古音盤屋に格安で出ていたので購入。
ハスキルとの有名な録音の陰に隠れてあまり高く評価されない演奏で、実際これまで買いそびれていたのだが、一度きちんと押さえておきたいと気に懸けていたもの。
1981〜83年、スイス、ラ・ショー・ド・フォンで録音された。
久保陽子(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲) (自主製作)
斎藤秀雄門下の優れたVn奏者の一人、久保陽子がCDの自主製作を始めたというニュースは気になっていた。
第1作の小品集は買いそびれたままになっているが、第2弾のバッハ;無伴奏全曲を店頭で見てしまったからには買わざるべからず。
1739年製グァルネリ・デル・ジェズを用いているとのこと。
2004年1〜6月、水戸芸術館コンサート・ホールATMでの録音。
シプリアン・カツァリス(P)
モーツァルト;交響曲第40番・歌劇「魔笛」(抜粋) ほか(PIANO21)
先だってWebをうろうろしていて、このピアニストのファン・ページ「ものごっついピアニスト シプリアン・カツァリス」を見つけた。
それが意識下にあったのか、店頭の試聴機に入っている当盤を手に取ったところ、「魔笛」の独奏ピアノ編曲が含まれていることに気づいた。
このオペラについてはアレンジものも愛聴しているところ、試聴してみた感じも悪くなく、是非々々と購入したもの。
「私は鳥刺し」から「恋人か女房が」まで11曲、編曲者はジョルジュ・マティアス(9曲)とビゼー(2曲)。
交響曲はフンメル編、更に「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」歌劇「後宮からの逃走」より序曲とアリアを収録している。
2004年1月、ベルギー、シャトー・ド・ドゥーランでの録音。

11月20日(土): 

水曜に購入したCDの情報をシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。

11月19日(金): 

 このところblogが重くなっていたのと、サーバーの使用容量が窮屈になってきていたので、レンタルサーバーをWebARENA Suite2に切り替えることにし、今日付けでDNSサーバーの設定を変更しました。
 もちろんブックマーク等の変更は不要ですし、旧サーバー(WebARENA Suite)もしばらく有効なので、メール等も間違いなく届きます。
 blogも含めてデータを移行させたのですが、もし、リンク切れ等の不具合がありましたら、御一報くださるようお願い申し上げます。

 

ゾルタン・コチシュ(P) イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
ラヴェル;P協・左手P協 ほか(Philips)
フィッシャーとブダペシュト祝祭管の音盤は聴き逃せないと思っているところ、未架蔵盤があることに気がついた。
ピアノがコチシュとあらば尚更で、是非々々と捜していたところ、某オークションに出品されたので落札したもの。
ドビュッシー;Pと管弦楽の幻想曲をカプリングしている。
1995年6月・1996年1月にブダペシュトでの録音。
桐山建志(Vn) 大塚直哉(Cem)
バッハ;Vn作品集 Vol.3(ALM)
桐山さんの公式Webpageで新譜情報をチェックしてみると、全5巻から成るというバッハ;Vn作品集の第3巻が出ているのに気がつき、直販を申し込んだもの。
直販だと、店頭発売より1か月半ほど早く、定価から約5%割引、送料・振込手数料は先方が負担と、非常な好条件である。
(あまり宣伝しない方がいいのかもしれない、と不安になるくらいだ。)
今回の収録曲は、
同じホ長調Vnソナタ第3番無伴奏Vnパルティータ第3番を並べ、
無伴奏Vc組曲第5番のリュート用編曲である組曲 ト短調 BWV995をCemで演奏している。
ブックレットの曲目解説(大塚氏)では、バッハの自筆譜が鍵盤楽器用の大譜表に書かれていることが指摘されており、おそらくそこから発想されたものか。
更にFlソナタ ロ短調の初期稿に当たるソナタ ト短調 BWV1030aの上声部パートをVn用に再構築したものが演奏されている。
まことに充実した内容であり、残る2巻の発売が待ち遠しい。
2003年9月及び2004年8月に山梨県・牧丘町民文化ホールで録音されたもの。
ゾルタン・コチシュ(P)
モーツァルト;Pソナタ第11・14番 ほか(HUNGAROTON)
コチシュのモーツァルト;P協は愛聴しているところ、独奏盤が某オークションに安価で出品されていたので落札したもの。
幻想曲 ハ短調をカプリングしている。
1978〜80年のアナログ録音。

11月18日(木): 

 

アンドラーシュ・シフ(P) ブルーノ・カニーノ(P) ほか
バルトーク;2台Pと打楽器のソナタ ほか(DECCA)
先だってコチシュ(P) ほかによる同曲のCD(HUNGAROTON)を購入した際、この盤のことを記した。
アマディンダ・パーカッション・グループのディスコグラフィに掲載されている録音で、メンバーのゾルタン・ラチゾルタン・ヴァツィが参加している。
アマディンダの音盤は蒐集したいと捜していたところ、eBayに出品されているのを見つけて落札したもの。
1993年9月、ザルツブルク・モーツァルテウム大ホールでの収録。
当時シフを中心として開催されていたモント湖音楽祭に絡めて録音されたものらしい(モント湖はザルツブルク近郊の観光地)。
彼と塩川悠子によるバルトーク;Vnソナタ第1番
ロラン・フェニヴェシュ & ハンス・ハインツ・シュネーベルガー(Vn)による44のVn二重奏曲より10曲
をカプリングしている。

11月17日(水): 

 

EMIによる北ドイツ放送局音源のCD化、第2期分が店頭に並んだというので馳せ参じる。
セルテンシュテットも気になるが、とりあえず立伝の指揮者2人、シュミット・イッセルシュテットとマルケヴィッチ、合わせて6枚を購入。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
チャイコフスキー;交響曲第4・5・6番(EMI)
第5・6番はモノラル期にスタジオ録音があったが、初来日時の曲目に含まれていた第4番は初の音盤なので嬉しい限り。
第4番は1967年1月16日(モノラル)、第5番は1970年11月1日(ステレオ)、第6番は1965年5月23・24日(モノラル)の、それぞれライヴ録音(会場はすべてハンブルク・ムジークハレ)。
いずれも多少の古さは感じるものの良好な音質で有り難いが、第4番が2枚にまたがっているのは有り難くない。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
ドヴォルザーク;交響曲第7・9番(EMI)
両曲ともモノラル期(1953年)にスタジオ録音があったが、後年のライヴ録音が良好なステレオでリリースされたことは嬉しい限り。
第7番は1970年6月8日、第9番は1969年2月10日、いずれもハンブルク・ムジークハレで収録された。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
ワーグナー;交響曲・管弦楽曲集(EMI)
最も愛する作曲家はモーツァルトというイッセルシュテットだが、ワーグナーでも重量感のある音楽づくりが素晴らしい。
CDでは一部のSP録音やライヴが覆刻されているだけだが、モノラル期のLPには『指環』抜粋盤もあった。
今回、CD2枚組にたっぷり収録されているのは嬉しい限り。
珍しい曲目では、
交響曲 ハ長調 (1962年8月27〜31日、モノラル、NDR第10スタジオ)
序曲「ファウスト」 (1971年6月30日〜7月2日、ステレオ、NDR第10スタジオ)
が入っているし、有名曲では
歌劇「タンホイザー」序曲 (1967年9月20〜22日、ステレオ、NDR第10スタジオ)
歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲・第3幕前奏曲 (1972年9月27〜29日、ステレオ、ハンブルク・ムジークハレ)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲 (1967年9月20〜22日、NDR第10スタジオ)
楽劇「マイスタージンガー」第1幕前奏曲・第3幕前奏曲 (1952年5月6日、モノラル、ハンブルク・ムジークハレ)
楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」(1961年9月12〜16日、モノラル、NDR第10スタジオ)
楽劇「パルジファル」第1幕前奏曲(1961年10月24〜26日、モノラル、NDR第10スタジオ)
いずれもスタジオ収録で、最も古い「マイスタージンガー」も弦合奏は少しザラッとしているが全体には良好、その他の曲は問題なく優秀な音質である。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響 ほか
ベートーヴェン;P協第1・4番(EMI)
ベートーヴェンのP協といえば、バックハウスと共演したDECCA録音が有名だが、これらはいずれもハンブルク・ムジークハレでのライヴ録音で、
第1番はクリストフ・エッシェンバッハ(1968年1月22日、ステレオ)
第4番はニキタ・マガロフ(1963年10月20〜21日、モノラル)
が独奏を担当している。
音質は良好、このシリーズには珍しく高域よりの明るい音色である。
 
ニキタ・マガロフ(P) ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
リスト;P協第2番 & チャイコフスキー;P協第1番(EMI)
上記ベートーヴェンにも名が見えるマガロフとの共演盤。どちらの曲も初の音盤となるので嬉しい限り。
マガロフはロシア生まれ、斉諧生はシゲティの女婿として記憶しているが、一般にはリパッティの後任としてジュネーヴ音楽院の教授となり、アルゲリッチはじめ多くの優秀なピアニストを育てたことで有名であろう。
リストは1961年09月12〜16日のスタジオ収録(モノラル、NDR第10スタジオ)、チャイコフスキーは1959年11月30日のライヴ録音(モノラル、ハンブルク・ムジークハレ)。
音質はいずれも良好。
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) 北ドイツ放送響
ドビュッシー;交響詩「海」 & ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲 ほか(EMI)
ラヴェルは以前、"Great Conductors of the 20th Century"のシリーズででているが、他はいずれも初出音源なので嬉しい限り。
もっとも、どの曲にもスタジオ録音があるあたりがマルケヴィッチで、サティ;パラードなど4種めの音盤である(苦笑)。
ドビュッシーは1971年2月15日、ラヴェルとサティは1960年2月15日、ルーセルは1965年2月20日、いずれもハンブルク・ムジークハレにおけるライヴ録音で、ドビュッシーだけがステレオ。
音質はいずれも良好、ラヴェルとサティはモノラルとは思えないくらい鮮やかなもの。
野坂惠子(箏) ほか
伊福部昭;交響譚詩 ほか(カメラータ・トウキョウ)
先だって特撮/怪獣オタク系サイトを覗いていると、伊福部昭米寿記念演奏会(2002年5月19日、紀尾井ホール)の記事が目にとまった。
演奏会では石井真木(指揮) 新響「土俗的三連画」「シンフォニア・タプカーラ」を奏でたというが、それはさておき。
終演後に隣接のホテルで催された「米寿を祝う会」の席上、交響譚詩の2面箏版が演奏され、圧倒的な感銘を受けたとのこと。
斉諧生は確かに血湧き肉躍る「SF交響ファンタジー第1番」も大好きなのだが(苦笑)、伊福部作品の中でも最も普遍性の高い傑作は「交響譚詩」ではないかと思っている(愛惜佳曲書参照)。
その異版とあっては聴かざるべからずと捜してみると当盤の存在が判明、店頭では見当たらないので山野楽器にオーダーしたもの(2,500円以上送料無料なので助かる)。
正式な曲名は「二十五絃箏甲乙奏合 交響譚詩」野坂の委嘱によって書かれ、2001年11月5日に津田ホールで録音(ライヴ?)されたもの。
低二十五絃箏は小宮瑞代が担当している。
その他、
肥後一郎;二十五絃箏独奏のための咒言歌
高橋悠治;「橋をわたって」・「さむしろ」
加古隆;「水底の風」・「エンプティー・トランス」
を収録。

11月15日(月): 

 

マキシム・フェドトフ(Vn) アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指揮) ロシア国立響
ショスタコーヴィッチ;Vn協第1・2番(TRITON)
eBayに出品されていたショスタコーヴィッチのCDについて、例によって工藤さんのレビューをチェックしてみると、
第1番
大変しっかりとした出来。(略)しかし、第1楽章の瞑想や第3楽章の慟哭が今一つ表現しきれていないのが惜しい。
と今ひとつだったが、第2番
非常に立派な演奏。技術的には全く安心して聴くことができるし、フェドトフの音色もこの曲によく合っている。この曲の美しさが素直に表現されているのが大変好ましい。
と高い評価。
これは聴かざるべからずと落札したもの。
日本盤の逆輸入(?)になるのかと思っていたが、米プレスでブックレットにも日本語の頁はない。
1995年12月、モスクワ音楽院大ホールでの録音。
ニコラス・チュマチェンコ(Vn) ダニエル・レヴィ(P)
グリーグ;Vnソナタ第1〜3番(EDELWEISS)
日本での知名度はあまり高くないが、紛う方なき実力派ヴァイオリニストの一人、チュマチェンコの未架蔵盤がeBayに出品されていたので落札したもの。
1990年、ヴェネツィアでの録音。
ヤン・ダーメン(Vn) エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(指揮) ロンドン・フィル
シベリウス;Vn協(英DECCA、LP)
あまり見かけない(CD化されていないように思う)シベリウス;Vn協のLPがeBayに出品されていた。
ベイヌムのシベリウスには「エン・サガ」・「タピオラ」の名盤があり(伊東さんのレビュー参照のこと)、Vn協の管弦楽パートもぜひ聴いてみたいと落札したもの。
ヴァイオリニストは1940年代後半〜50年代後半にアムステルダム・コンセルトヘボウ管のコンサートマスターを務めていた人とのこと。
これでオーケストラがコンセルトヘボウでないのは不思議でならない。何か契約上の問題でもあったのだろうか?
おそらく1950年頃のモノラル録音。
なお、ダーメンのシベリウスには、モントゥーの指揮でコンセルトヘボウが付けたライヴ盤(Audiophile)があった。
先日、ふと読み返した『手塚治虫 マンガ音楽館』(ちくま文庫)に、「0次元の丘」という短編が収録されている。
臨死体験や転生、前世の記憶を採り上げ、併せてベトナム戦争を告発した作品である。巻末のデータによると『少年サンデー』1968年3月30日号掲載とのこと。
興味深いのは、登場する子どもたちが前世の記憶を甦らせる鍵になっているのが、「エドアルド・フォン・ベルヌ」なる指揮者が録音したシベリウス;「トゥオネラの白鳥」のLP。
手塚治虫はピアノをよく弾き、執筆中もチャイコフスキーあたりのLPをかけっぱなしにしていたという。
もしかしたら、ベイヌム指揮のシベリウスを聴きながら、この作品の想を練ったのかもしれない…などと考えている。

11月14日(日): 

 

コンチェルト・ケルン
メンデルスゾーン;弦楽のための交響曲(全集)(TELDEC)
以前、宮城谷昌光 『クラシック 私だけの名曲 1001曲』(新潮社)を読んでいて気になった盤。
コンチェルト・ケルンの全集を聴いて、すごい、と唸った。そうとしかいいようがない。なみの迫力ではない。これをしのぐ盤は、あと三十年はでないであろう。
3枚組のうち1枚だけは架蔵していたので、全集盤を買い直すか残り2枚を買い足すか思い迷っていた。
今日、本業の用務先のすぐ近くに中古音盤屋があり、約束の時間まで5分ほど(汗)余裕があったので立ち寄ったところ、格安で並んでいたので急ぎレジへ持っていったもの。
1994年7月、1995年11月、1996年3月にケルンで録音された。

11月13日(土): 

 

アレクサンドル・ルーディン(Vc & 指揮) ムジカ・ヴィヴァ室内管 ほか
チャイコフスキー;弦楽セレナード・ロココ変奏曲 ほか(LE CHANT DU MONDE)
このところ蒐集しているロシアの実力派チェリスト、ルーディン氏の音盤をアリアCDさんにオーダーしていたもの。
標記セレナードはルーディン氏の指揮、あとはロココ変奏曲と「アンダンテ・カンタービレ」奇想的小品 (Pezzo capriccioso)夜想曲でVcを演奏している(指揮はニコライ・アレクセーエフという人)。
1992年11月及び1993年6月(セレナードのみ)、モスクワで録音された。
実際には3枚組で、残りは
マルク・ゴレンスタイン(指揮) ロシア響
幻想序曲「ロメオとジュリエット」・「テンペスト」・「ハムレット」
イリヤ・グルベルト(Vn) ヴァレリー・シナイスキー(指揮) モスクワ・フィル
Vn協・憂鬱なセレナード ほか
アレクサンドル・ルーディン(Vc) ヴィクトル・ギンズブルク(P) ムジカ・ヴィヴァ室内管 ほか
ミヤスコフスキー;Vc協・Vcソナタ第1・2番(CELLO CLASSICS)
アリアCDさんにオーダーしていたルーディン氏の音盤、その2。
ミヤスコフスキーのVc作品はあまりポピュラーではなかったが、ここ数年トルルス・モルクマイスキーらがメジャー・レーベルからリリースしている。
ロシア風情緒纏綿の音楽ゆえ、地元ルーディン氏の独奏で味わってみたい。
なお、アンドレイ・ゴロヴィンなる人が協奏曲の指揮を執っている。
録音は3曲ばらばらで、1981年(ソナタ第1番)、1984年(ソナタ第2番)、2003年(Vc協)。
イザベル・ファウスト(Vn) ペーター・ルンデル(指揮) バイエルン放送響
フェルドマン;「Vnと管弦楽」・「コプトの光」(col legno)
上記ルーディン氏の音盤と同じくアリアCDさんにオーダーしていたもの。
ファウストの音盤も、聴き逃せない。思えば両人とも今年1月に大和郡山市のミラーズ・フェスティバルで実演に接したのだから、同じ日に届くのも奇縁か。
「Vnと管弦楽」は1979年の作品、約50分。「コプトの光」は1985年の25分ほどの作品で、前にギーレン盤もあった。
録音は前者が2001年2月2日、後者は2002年11月15日、ともにミュンヘン・ヘルクレスザールでのライヴ録音。
ナッシュ・アンサンブル
フォーレ;P五重奏曲第2番・Vnソナタ第1番 ほか(crd)
中古音盤堂奥座敷で採り上げて以来、愛好して已まない作品となったハ短調の五重奏曲。
未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
メンバーはマルシア・クレイフォード(Vn)、エリザベス・レイトン(Vn) ロジャー・チェイス(Va)、クリストファー・ヴァン・カンペン(Vc)、イアン・ブラウン(P)。
Vnソナタはクレイフォードとブラウンが演奏しており、更に組曲「ドリー」(2台)をカプリングしている。
録音年月が明記されていないが、マルPは2001年となっている。

11月12日(金): 

 

飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィル
シューマン;交響曲第4番 & ブルックナー;交響曲第6番(fontec)
飯守さんのブルックナーは聴き逃せないと思いつつ、国内盤新譜ということで先送りしていた第6番を、音盤店のポイントが貯まったのを機に入手。
この記事を書きながらアダージョ楽章を聴いているが、弦合奏がやや非力ながらも清澄なブルックナーで好ましい。早く実演に接したいものだ。
しばしば関西フィルに来演しておられるのだが、その日に限って本業の都合が悪かったりして、まだ一度も聴けていない。
シューマンは2003年3月7日(東京芸術劇場)、ブルックナーは同年1月9日(東京文化会館)でのライヴ録音。
CD2枚組でレギュラー1枚分の価格なのは有り難い。

11月11日(木): 

 

ジェームズ・エーネス(Vn) ジャナンドレア・ノセダ(指揮) BBCフィル
ダラピッコラ;「タルティーニアーナ」 ほか(CHANDOS)
最近評判の指揮者の新譜だが、それよりもエーネスの独奏と、オペラ;「囚われ人」がきっかけで好きになったダラピッコラを聴きたいと思い、購入。
エーネスも最近このレーベルから何枚かリリースしているようで、それらもいずれ入手せねば…。
標記作品は題名どおりタルティーニの作品から主題を採ったもの(1951年)。例えばストラヴィンスキー;プルチネッラのような擬古的作風で、セルゲイ・クーセヴィツキー夫妻の追憶に捧げられた。
その他、
ピッコラ・ムジカ・ノットゥルナ管弦楽のための変奏曲管弦楽のための2つの小品バレエ音楽「マルシア」による交響的断章を収録。いずれも1950年前後の作曲である。
2004年4月、マンチェスターでの録音。
レオニード・ゴロコフ(Vc) ニコライ・デミデンコ(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ & ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(ASV)
この2曲をカプリングした音盤を見ると、どうしても買わずにはいられない(苦笑)。
ゴロコフは以前シューベルト;幻想曲をチェロで演奏したCDがあったが、実はあまり強い印象を受けなかった。
出身地ロシア(今はイギリス国籍らしいが)のレパートリーで面目一新してほしいところ。
シュニトケ(シャフラン編);古い様式による組曲をフィルアップ、2004年2月にサセックス・プルバラで録音されたもの。

11月10日(水): 

 

デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) ドビュッシー音楽祭管
ドビュッシー;夜想曲 ほか(米COLUMBIA、SP)
アンゲルブレシュトの未架蔵音源がeBayに出品されていたので気負って応札、目出度く入手したもの。
録音データ不詳、オーケストラの名称も怪しく、もしかしたらLPで出た音源のSP版というおそれが無くもないが、SP4枚の最終面に
ドビュッシー;「聖セバスチャンの殉教」よりファンファーレ
デュカス;「ラ・ペリ」よりファンファーレ
が入っているので、おそらくSPオリジナルと推測している。
本来なら聴き比べて判断すべきところだが、SPの再生にはカートリッジの付け替えなど手間と時間がかかるので、申し訳ないが他日の宿題とさせていただきたい。

11月9日(火): 

 

宇野功芳(指揮) 日本大学管 ほか
ベートーヴェン;交響曲第9番「合唱」(自主製作)
宇野師指揮盤中、未架蔵の大物、長年捜してきた日大オーケストラとの「合唱」を、遂に入手。
1984年12月14日、練馬文化センターでのライヴ録音で、近衛秀麿による改訂版を用いたことでも話題になった。
解説によれば、必ずしも近衛版そのままではなく、
やりすぎと思われる一面があり、指揮者・宇野功芳の意向により、ティンパニー、ピッコロを原譜通りに演奏いたしました。
とのことである。また、それに続けて、
テンポの変化、音の強弱等に、これまでの『第九』では聞くことのできない部分がありますが、これも近衛版とは関係なく宇野功芳独自の解釈によるものです。新しい解釈による重厚なオーケストラの響きをお楽しみください。
とあるのが微苦笑を誘う。
某オークションで落札したもの。出品者は当日の演奏会を聴かれた方らしく、プログラムやチケットが添付されていた。
今日届いたCDの情報を宇野功芳・ディスコグラフィ宇野功芳・実演記録に追加。

11月8日(月): 

今日の日本経済新聞(朝刊)に、小林研一郎氏が登場。
『"火中の栗"日フィル音楽監督就任/想像超す実態 悔悟やまず』
というショッキングな見出しで、
フタを開けてみると実態は予想を超えて悪かった。2002年度の年間事業収入が12億円なのに、累積赤字は3億円強に膨らんでいた。
いまだに同じ曲を何度も指揮することに少々、卑屈な思いを感じ、事務局には僕の登場回数を減らしてくれ、とお願いする始末だ。
電話で辞意を伝えようとしては思いとどまり、受話器を置き直す毎日だ。
と、愚痴っぽい。
囲み記事のタイトルが「私の苦笑い」とあるから冗談半分ということなのかもしれないし、脇に編集委員・池田卓夫氏のフォロー記事(「辞意を漏らす裏に、熱い思いが溢れる。楽員の生活が双肩にかかっているとの親方意識は誰より強い人なのだ。」との趣意)もある。
とはいえ、組織のトップに立つ人が一般紙に発表する文章としては疑問を感じずにはいられない。談話をまとめた池田記者は配慮不足の謗りを免れないのではないか。

 

セシリア・シリアクス(Vn) ハンヌ・コイヴラ(指揮) ヴェステロス・シンフォニエッタ
シベリウス;6つのユモレスク & ステーンハンマル;2つのセンチメンタル・ロマンス ほか(INTIM MUSIK)
日々更新を楽しみに拝読しているat the end of the dayでリリースを知ったCD。
シリアクスの新譜が出るという話は耳にしていたが(ノルディックサウンド広島)、ステーンハンマルが含まれているとは望外の喜び、居ても立ってもいられずレーベルの公式Webpageからオンラインでオーダーしたもの。
Ondineレーベルのように数日でとは行かなかったが、約10日で到着。
収録曲は標記2曲のほか、
ニルセン;ロマンス op.2(Ob作品からの編曲)
スヴェンセン;ロマンス
ネルソン;踊りと歌
ネルソンは1965年アメリカ・メリーランド生れ、1992年以来スウェーデンで活動しており、この曲はヴェステロス・シンフォニエッタからの委嘱作品とのこと。
オーケストラは1883年創立、スウェーデンでも古い団体という。約30人の楽員からなる室内管で、同時代作品の演奏にも熱心に取り組み、毎年最低1曲は新作を委嘱するのだそうな。
2004年1月及び5月、ヴェステロス・コンサートホールでの録音。
ミシェル・コルボ(指揮) ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(Warner)
コルボの旧録音に当たる、このバッハ以前の音楽のうちで最も偉大な作品(と信じる)を世に知らしめた名盤が、ようやくCD化された(少なくとも輸入盤では初めての筈)。
斉諧生がこの曲を聴きたいと思ったのは宇野功芳師の著作によってであったが、宇野師が引用していたのが菅野浩和;『神の歌 人の歌』(帰徳書房)
菅野氏が絶讃していたのがこの演奏で、
何の予備知識もなく、一聴して忽ち心を奪われたのがコルボの『夕べの祈り』である。
しばらくの間は、寝ても覚めてもこの曲のどこかの部分が耳に鳴り、この曲以外のどんな音楽も虚ろにしか響かない日々が、来る日も来る日も続いた。
コルボが1980年代初めにデジタル再録音をリリースしたこともあって、この1966年録音盤は入手が難しくなり、古い国内盤を中古で入手しただけだったが、ようやく輸入盤CDを買い求めることができた。
"apex"シリーズ、2枚組で1,000円強というのも有り難い。
今日届いたCDの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィに追加。

11月7日(日): 

 

ユベール・スダーン(指揮) ザルツブルク・モーツァルテウム管
ブルックナー;交響曲第9番(自主製作)
2002年5月2日のライヴ録音というが、非常に安定した演奏(もちろん完璧というわけではないが)。
外連のない正統的なブルックナー演奏で、安心して身を浸すことができた。
スケルツォの弾み具合などまことに愉しく、こういうブルックナーが日常的に聴ければどれほど仕合わせであろうか。
ただ、上記スケルツォの「怖さ」であるとか、両端楽章の弱奏部での浄福感、どこかこの世のものならざる雰囲気といった、特別な要素には乏しいかと思われる。
レイフ・オーヴェ・アンスネス(P & 指揮) ノルウェー室内管
モーツァルト;P協第18番(EMI)
まず何より管弦楽部の雄弁さに驚かされる。
ピリオド・アプローチを取り入れているのだが、フレージングの細部までアンスネスの意図が徹底されているようだ。
いつも愛読させていただいているTags of edmundが指摘しておられるように、第2楽章の中間部での陰の濃い表情には肺腑を抉られる思いがした。
もちろん独奏ピアノも彫りの深い表情付け。第18番K.456は、モーツァルトのピアノ協奏曲の中では比較的採り上げられる頻度の低い曲だが、これほどの演奏だと他の曲にまったく聴き劣りしない。
アンスネスの炯眼と音楽性に、あらためて感心させられた。
なお、EMIの公式サイトでリハーサル風景やインタビューを収録したビデオを見ることができる。
http://edmund.exblog.jp/tb/1268070
ヘニング・クラゲルード(Vn) ビャルテ・エンゲセット(指揮) ボーンマス響
シベリウス;Vn協(NAXOS)
期待どおりの素晴らしいシベリウス。清潔感のある音色による歌いこみが美しい。
腕自慢の奏者がテンポを上げてアグレッシブに弾くようなところでも落ち着いて構え、ここぞというところでテンポを落とし真摯な思い入れを聴かせてくれる。
とりわけ第3楽章では速めのテンポと切れのいいリズム感が実に見事。この爽快さは他盤からは聴くことができないものだろう。
惜しむらくは管弦楽の響きが冴えないこと。おそらく録音(又はホール)のせいだと思うが、明晰さや拡がりに欠け、もやもやとすっきりしない。
クラゲルードのヴァイオリンも強奏時の音色には彫琢の余地がありそうなので、他日、もっと良い条件での再録音を期待したい。

11月3日(祝): 

 

ミヒャエル・ギーレン(指揮) 南西ドイツ放送響
ブルックナー;交響曲第8番 ほか(hänssler)
以前INTERCORDレーベルからCDがリリースされた架蔵済み音源だが、hänsslerから出たものはリマスタリングで音質が改善されているという話だったので、買い換えを考えていた。
アリアCDさんのセールで格安になっていたのを機にオーダーしたもの。
なるほど、多少音像が鮮明になり、音に力がある。買い直した甲斐があった。
1990年12月、バーデンバーデンのハンス・ロスバウト・スタジオでの録音。
フェルドマン;「コプトの光」(1997年12月録音)をフィルアップ。
小林研一郎(指揮) 日本フィル ほか
「管弦楽名曲集 III」(日本フィル自主製作)
小林研一郎のライヴ音源が日フィル自主製作盤で発売されたので聴かざるべからず。
会場販売を当て込んで作ったような名曲集で、ホルスト;「木星」(ジェイムズ・ロッホラン)やエルガー;行進曲「威風堂々」第1番(オッコ・カム)、チャイコフスキー;弦楽セレナード(渡邉暁雄)といったポピュラー作品を収めている。
コバケンではグリンカ;歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(1998年4月26日)、マスカーニ;歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(2001年3月10日)、ラヴェル;ボレロ(2003年1月12日)の3曲。
これもアリアCDさんから。
ミクローシュ・ペレーニ(Vc) アルバート・サイモン(指揮) リスト音楽院管
ヴィヴァルディ;Vc協集(Hungaroton)
ペレーニ師のLP録音のうち未CD化だったものが1点、覆刻されたのでアリアCDさんから購入した。
変ホ長調 RV408ト長調 RV413ロ短調 RV4242Vc協 ト短調 RV531を収録。
1976年6〜7月にブダペシュトで録音されたもの(今回ようやく録音データが明確になった)。

11月2日(火): 

 

マリス・ヤンソンス(指揮) バイエルン放送響
シベリウス;交響曲第1番 ほか(Sony Classical)
バイエルン放送響の首席指揮者に転じたヤンソンス、以前オスロ・フィルと何曲か録音していたシベリウスを、新しい手兵と再録音したので購入。
ワーグナーあるいはチャイコフスキーの影響の強いこの曲ならば、ドイツのオーケストラでも違和感がないのではないか。
ブリテン;青少年のための管弦楽入門ウェーベルン;夏風の中でをカプリングしている。
シベリウスは2004年4月(ヘルクレス・ザール)、ブリテンは2003年10月、ウェーベルンは2004年6月(いずれもガスタイク)での録音。

11月1日(月): 

 

江藤俊哉(Vn) ウラディミール・ソコロフ(P)
タルティーニ;Vnソナタ「悪魔のトリル」 ほか(米DECCA、LP)
江藤氏のデビュー録音というバロック作品集がeBayに出品されていたので落札してみた。
標記のほかタルティーニ;Vnソナタ「見捨てられたディド」ヴィヴァルディ;Vnソナタ イ長調コレッリ;Vnソナタ ハ長調を演奏している。
録音データは明記されていないが、江藤氏の在米期間は1948〜1961年、レコードの作りからするとその終わり頃のものではなかろうか。
ジャケット写真の姿の若いこと!
当盤はモノラルだが、ステレオ盤が存在するようだ(残念)。

平成16年8月15日(日): 「提琴列伝」に和波孝禧を掲載。
平成16年1月4日(日): 「作曲世家」にルクー・ディスコグラフィを追加。
平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。
平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。
平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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