音盤狂日録


4月30日(土)

 

エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) フィルハーモニア管
モーツァルト;交響曲第36・38番(DENON)
クリヴィヌの録音を集めていく中で、ずっと見つからなかった「リンツ」「プラハ」のCDが、eBayに出品されたので落札したもの。
あまり好まないアメリカ盤だが、やむを得ない。
1988年11月、ロンドンの聖ユダ教会での録音。
アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド・ナショナル管
ニルセン;交響曲第4番 ほか(CHANDOS)
ギブソンの未架蔵盤が、eBayで上記クリヴィヌと同じ出品者から出ており、これ幸いと落札したもの。
1979年、グラスゴーのシティ・ホールにおける録音で、同じ作曲者の「フェロー諸島への幻想の旅」「パンとシリンクス」、またシベリウス;「森の精」・「エン・サガ」をカプリングしている。
シベリウス作品は1977年録音で、既に別なかたちで架蔵しているもの。
アナログ録音なので、本来はLP(おそらく英RCA)で聴きたいところだ。

4月29日(祝)

 

クラウス・テンシュテット(指揮) ロンドン・フィル
ワーグナー;管弦楽曲集(LPO自主製作)
休日出勤の用務先から音盤店へ。種々、新譜が出ていて取捨選択に困窮するが、テンシュテットのライヴ、しかもワーグナーというので聴かざるべからずと購入。
1988年5月6日、ロイヤル・フェスティバル・ホールでの録音で、曲目は収録順に
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
歌劇「リエンツィ」序曲
楽劇「神々の黄昏」より「夜明けとジークフリートのラインへの旅」
楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」
楽劇「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「タンホイザー」ヴェーヌスベルクの音楽
ロンドン・フィルの音色感が軽いのではなかろうかと多少心配だが、それ以上にテンシュテットの燃焼が聴けるものと期待している。
シモン・ゴールトベルク(Vn) アルトゥール・バルサム(P)
ブラームス;Vnソナタ第1〜3番(TESTAMENT)
TESTAMENTレーベルの覆刻攻勢、内容的にはほとんどが欲しいものなのだが、量が多すぎて既に白旗を掲げている。
ヴァイオリンだけでもシェリングボベスコが買わない(買えない)ままになっている。
ゴールトベルクのブラームスは米DECCA原盤の筈で、国内盤LPで覆刻されたものも架蔵しているのだが、CDで出たからには買わざるべからず。
古今東西のヴァイオリニスト数多ある中、唯一人しか聴くことを許されぬとしたら、この人を選ぶのではないだろうか。斉諧生にとってゴールトベルクは、そういう地位を占めている(正規録音が少なく曲目が限られるのは困るのだが)。
1953年5月、ニューヨークでの録音。
浦川宜也(Vn) 室坂京子(P)
「グァルネリ & ガヴォー」(ONZOW Labo)
これはアリアCDさんから届けていただいた、マイナー・レーベルのCD(製造は日本コロンビア)。
浦川さんのCDは聴きたいと思ってオーダーしたものだが、かなり特殊な意図で作られたもののようだ。
録音は1998年1月17日とかなり遡り、会場は横浜港内の大型ヨットのキャビン(接近する船のエンジン音でNGになった曲目もあったとか)。
使用楽器が、ヴァイオリンは「エクス・ジャン・ベッカー」の称を有するグァルネリ・デル・ジェズ、ピアノは1932年製のフランス・ガヴォー(ジャケットに写真があるが、真っ赤な塗装が施されている)。
名手の演奏で、銘器の美音を愉しもうというサロン・コンサートのライヴである。
解説に「その夜の素晴らしい感激と至福の時間を言葉や文字でなく実際の音として音楽好きの仲間に届けたいというオーディオマニア的発想から作られた実験的なCDです。」とあるのは、アメリカ、ヒューズエアクラフト社のSRS(音場復元システム)技術を採用し、真空管式マイクが録った音を、通常のミキサーを使用せずに収録したものだという。
通常のミキシングによるトラックも付加され、聴き比べられるようになっているが、たしかに後者の音はデッドで薄っぺら。SRSによる音色の方が豊麗である。
もっとも、それは会場の音響が貧しいせいではなかろうか、ホールの選択やマスタリング技術によって通常の録音でも達成できているものではないか、という気がしないでもない。
演奏されているのは、ドヴォルザーク;Vnソナチネウィーン奇想曲など、クライスラー愛奏曲集といった趣のある8曲と矢代秋雄;セレナーデ
ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ウィーン響 ほか
ブルックナー;交響曲第7番 ほか(蘭Philips、LP)
このところ蒐集しているオッテルロー(思ったよりも音盤になった録音が多そうだ(汗))、ブルックナーがArs Antiqua(今月からMikrokosmosに合併)のカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
2枚組で、第4面に録音が少ない序曲 ト短調をカプリングしている。
使用楽譜については明記されていないのが残念。また録音データも不詳、現物はモノラル盤である。
ジャケットが、昔のスケッチブック(死語?)のような螺旋綴じになっているのが面白い。
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) デンマーク国立管
ニルセン;交響曲第4番・交響詩「サガの夢」(英DGG、LP)
マルケヴィッチの比較的限られたレパートリーに北欧系の楽曲がいくつか含まれているのは面白い。
従来廉価盤レーベルでしか架蔵していなかったニルセンがArs Antiquaのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
本来はドイツ・プレス盤が欲しいところだが、現品は英国プレス。まあやむを得まい。
1966年の録音。
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ベルリン・フィル
ハイドン;交響曲第94番(日TELEFUNKEN、SP)
イッセルシュテットの未CD化音源のSPが某オークションに出品されていたので落札したもの。
SP3枚組で、ちゃんとアルバムに入っている。表面はハイドンの、裏面は指揮者の肖像画という丁寧な造りである。「交響曲第6番」という番号付けが面白い。

4月28日(木)

ジョン・カルショー著(山崎浩太郎訳)『レコードはまっすぐに』(学研)
英DECCAの名プロデューサー、カルショウの自伝。まさしく待望の翻訳であり、クラシック音楽ファンの宝としか言いようのない、まさしく待望の翻訳である。
原著の出版は1981年、前年に急逝したカルショウの遺著となったものであった。
かつて半年だけ存在した雑誌『音楽通信』(ステレオサウンド社、編集長は黒田恭一氏)に抄訳が連載され、1950〜60年代の楽壇の裏事情、面白いことこの上ない内容であった。
同誌が短命に終わったため、ごく一部しか読むことができず、以来、ぜひ全体を読みたいと念願してきた。
数年前にWeb通販でオーストラリアの古書店から原書を入手し、長年の渇きを癒したものの、英文を読む余裕がなく、いつか時間ができたとき(退職後?)の楽しみにしておこうと考えていたのである。
それが、前にレジナルド・グッドールの評伝を出版された、演奏史譚家・山崎氏による達意の訳文で出版された。
500頁を超える労作ゆえ、まだ読み切れていないが、とにかくクラシック音楽に関心のある方には絶対に有用有益な書物ゆえ、是非是非、手に取られるよう、お薦めしたい。

 

(various artists)
「日本の洋楽 1923〜1944」(ローム・ミュージック・ファンデーション)
この5枚組を手にすることができる日が来るとは…!
京都の音楽愛好家(本業は呉服商)・杉浦雅太郎氏(1906〜45)が蒐集した5,000枚近いコレクションから、日本人作品・日本人演奏家・日本で活躍した外国人演奏家の音源を精選したもの。
2002年、やはり京都のローム・ミュージック・ファンデーションが製作し、全国の音楽大学・図書館等に寄贈したのみで一般販売されなかった、垂涎のセットである。
地元の図書館には収蔵されていることは確認できたのだが、貸出不可で(試聴だけ)、涙をのんだことも。
今回、某オークションに出品されているのを発見、多少の競争を経たものの、あまり高くない価格で落札できたのは幸運だった。
収録曲の詳細は財団の公式Webpageを参照されたいが、斉諧生的に注目したいのは
伊福部昭;交響譚詩(山田和男(指揮) 東京響)
ピツェッティ;交響曲 イ調(ガエタノ・コメリ(指揮) 紀元二千六百年奉祝交響楽団
ヴェレツシュ;交響曲(橋本國彦(指揮) 紀元二千六百年奉祝交響楽団)
といった曲目や、
巌本眞理(Vn) 斎藤秀雄(指揮)
諏訪根自子(Vn) 上田仁(P)
アレクサンダー・モギレフスキー(Vn) レオニード・クロイツァー(P)
といった演奏者たちである。
この記事を執筆しながらモギレフスキーとクロイツァーのベートーヴェン;Vnソナタ第5番を聴いているが、ヴァイオリンもピアノも実にみごとな演奏で、市販されないのが誠に惜しまれる。
トマス・ダウスゴー(指揮) デンマーク国立放送響
ベールヴァルド;交響曲第1・2番 ほか(CHANDOS)
本業で必要な書籍を買いに大型書店に行く用があり、そのついでに(実際には先に)隣の音盤店へ。
期待の指揮者ダウスゴーの新譜、しかもベールヴァルドということで、迷わず購入。
「シンフォニア・セリューズ」「シンフォニア・カプリシェーズ」に加え、佳曲ノルウェーのアルプスの思い出をフィルアップしている。
2003年5月・2004年5月、コペンハーゲンのデンマーク放送コンサート・ホールでの録音。
アリス・アデル(P)
ドビュッシー;P作品集(ERATO)
某オークションを見ていたら、アデルのドビュッシーが出品されていた。
収録曲に「聖セバスチャンの殉教」からのピアノ曲というのが含まれていて吃驚、そんな編曲があるとは知らなんだ。この曲は、ぜひ聴きたい。
その盤は残念ながら競り負けたのだが、調べてみたらamazon.comに在庫があり、再発の別ジャケットながら、オークションより安く買えそうなのでオーダーしたもの。
その他、「映像」第1・2集「版画」に加え、「ハイドンを讃えて」などの小品を演奏している。
録音データが当盤には明記されていないが、1991年録音の筈。
ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ハーグ・フィル
ベートーヴェン;交響曲第8番 & シューベルト;交響曲第8番「未完成」(蘭Philips、LP)
このところ蒐集しているオッテルロー、好きなベートーヴェンの8番がeBayに出品されたので落札してみた。
"fontana" レーベルなので再発の可能性が高そうである。オリジナルのカプリングかどうか不明だが、もし最初からこの第8番同士の組合せだとすれば面白い(ありそうで、ほかに見たことがない)。
録音データは不明、 "full stereo" と銘打たれているが、聴感上は擬似ステレオのような気がする。
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) 管弦楽団
ビゼー;組曲「アルルの女」第2番(仏Pathé、SP)
アンゲルブレシュトのSPがeBayに出品されており、CDにはなっているのだが、やはり架蔵しておきたいと落札したもの。
SP2枚4面に各々パストラール、間奏曲、メヌエット、ファランドールを収録。
注目すべきはパストラールのサキソフォン独奏者が VIARD とクレジットされていること。
日本製の覆刻CDには「マルセル・ミュール」と表記されているが、音色等からみて間違いとされており、モーリス・ヴィオールではないかと御教示いただいたことがある。
アンゲルブレシュト・ディスコグラフィには「SPには表記が無いそうで」と伝聞のまま書いていたが、これではっきりした。

4月27日(水)

 

クリスチャン・フェラス(Vn) ヨーゼフ・カイルベルト(指揮) フランス国立放送管 ほか
ベートーヴェン;Vn協 ほか(Disques Montaigne)
Disques Montaigneレーベルの歴史的録音のシリーズは、アンゲルブレシュトモントゥーシューリヒトなど、貴重かつ優れた演奏内容のものが多く、レーベルの活動停止がまことに惜しまれる。
もちろん多くの音源は別なレーベルから再発売されているようで、その点では問題ないのだが、初発時の丁寧な造り、特に演奏家のポートレートなどを満載したブックレットの貴重さは、代え難いものがある。
その中で、未架蔵だったフェラスのベートーヴェン集が某オークションに出品されていたので落札したもの。
標記カイルベルトとの協奏曲は1967年5月30日、シャンゼリゼ劇場でのライヴ録音(ステレオ)。
更に、いつものパートナーピエール・バルビゼとの協演で、Vnソナタ第1・7・9番(1・7番は1962年8月13日、9番は1961年5月24日、いずれもモノラル)を収録した2枚組である。
音質は極上、この点でもDisques Montaigneの諸盤は素晴らしい。
ゲイリー・ホフマン(Vc) ジャン・フィリップ・コラール(P)
ショパン;Vcソナタ & ラフマニノフ;Vcソナタ(EMI)
ラフマニノフ作品の未架蔵録音が某オークションに安価で出品されており、聴いてみたいと落札したもの。
1993年2月、パリの聖マルセル福音教会における録音。

4月24日(日)

 

カレル・シェイナ(指揮) プラハ国立歌劇場管 ほか
マーラー;大地の歌(SBB)
昨年、国内盤CDでスメタナ;わが祖国マーラー;交響曲第4番が覆刻され、再発見されている指揮者シェイナ。
気にはなっているのだが曲目的に今ひとつ食指が動かなかったところ、ユビュ王の食卓へのコメントで「大地」が出ていることを知り、CD Music.czにオーダーしたもの。
独唱者の一人、ベノ・ブラフト(Ten)の遺産を発売するレーベルからのリリース第1号とのこと。
アルト独唱はマルタ・クラーソヴァー、歌唱はチェコ語による。
1960年5月29日、プラハの聖ヴィート大聖堂でのライヴ録音。モノラル収録だが、放送局保存テープからの覆刻で、音質的には問題ない(独唱をクローズアップしすぎではあるが)。
ヤーノシュ・ローラ(リーダー) フランツ・リスト室内管
「パッヘルベルのカノン/アルビノーニのアダージョ」(TELDEC)
リスト室内管の未架蔵盤が某オークションに安価で出品されていたので落札。
表題作のほかボッケリーニのメヌエットバッハ;G線上のアリアヘンデルのラルゴグルック;精霊の踊りハイドンのセレナード等々、バロック〜古典派名曲選。
録音データは明記されていないが、マルPは1984年。
ペトル・ヴロンスキー(指揮) ヤナーチェク・フィル
スメタナ;わが祖国(JFO)
ヴロンスキーの名前を知ったのは福島章恭氏の著書であったが、氏はこのコンビの実演を聴かれ、
深みと潤いと渋い光沢のある弦といい、憂いのある木管といい、その実力と魅力は、演奏ずれしたチェコ・フィルの比ではなかった。(略)スメタナ《わが祖国》など、そこに滲む郷土愛と誇りの高さに圧倒された。
と書いておられる。
その「わが祖国」がオーケストラの自主製作盤として発売され、上記CD Music.czに掲載されていたのでオーダーしてみた。
録音データは明記されていないが、2004年頃の製作と思われる。
なお、同じ組み合わせでヤナーチェク;グラゴル・ミサ、違う指揮者とドヴォルザーク;スラヴ舞曲も出ていたのだが、それはまた後日に…。

音盤狂昔録平成17年3月分を追加。

4月23日(土)

 

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ベルリン・フィル
モーツァルト;歌劇「魔笛」序曲(日TELEFUNKEN、SP)
イッセルシュテットの未架蔵SPが某オークションに出品されていたので落札したもの。
たしかまだ覆刻されていない音源のはずである。

4月22日(金)

 

当間修一(指揮) シンフォニア・コレギウムOSAKA
ベートーヴェン;交響曲第1・3番(OCM)
職場の歓送迎会の直前、会場近くの音盤屋へ行くと、試聴機に見慣れないCDが入っていた。
当間氏率いる大阪コレギウム・ムジクムの器楽部隊、シンフォニア・コレギウムOSAKA(旧称アンサンブル・シュッツの方が馴染み深いが)によるベートーヴェンの交響曲である。
古楽や現代日本人合唱曲の演奏で知られる団体なので、多少不安はあったが、ざっと飛ばし聴きした範囲では悪く無さそう。
また自主製作盤ゆえ買えるときに買っておかないと、という思いもあり、購入してみた。
ブックレットによると、このアンサンブルによるベートーヴェン演奏は13年間の実績があり、既に交響曲全曲演奏を果たしているとのこと。2回目のチクルスに入る記念に、過去のライヴ音源をCD化したという。
第1番は2004年5月、第3番は2003年11月、いずれも大阪・いずみホールでの録音。
イヴァン・シフォロー(Vc)
コダーイ;無伴奏Vcソナタ & カサド;無伴奏Vc組曲 他(Maguelone)
標記2曲に関心があるのはもちろんだが、トルトゥリエ大師匠の作品「私のシルク " Mon Cirque " 」の世界初録音とは黙過すべからず、購入したもの。
全8曲からなり、各曲1〜3分で総計15分程度の組曲である。
シフォローはパリ音楽院でナヴァラに学び、1987年以来、リヨン高等音楽院で教職にあるとのこと。
2003年2月、リムーザンでの録音。
ヤーノシュ・バリント(Fl) ゾルタン・コチシュ(P)
フランク;Vnソナタ(Fl版) & ドヴォルザーク;Vnソナチネ(Fl版) ほか(HUNGAROTON)
上記当間盤と並んで試聴機に入っていた盤。
バリントの名前はリリー・ブーランジェ;夜想曲を含む小品集(CAPRICCIO)で、また、ハンガリー国立フィルの首席奏者として知っていた。
同フィルの音楽監督であるコチシュのピアノでVn作品からの編曲を演奏している。
フランク(ロベール・カサドシュス編曲)はやはりヴァイオリンで聴きたいのだが、クライスラー「インディアン・ラメント」として演奏した第2楽章を含むドヴォルザーク作品(アラン・マリオン編曲)には大いに興味を惹かれた。
軽く試聴してみたところ、太めの音色が実に心地よく、是非々々とレジへ持参。
カプリングはシューベルト;「しぼめる花」の主題による変奏曲、2003年12月の録音。

4月21日(木)

 

小林武史(Vn) 野平一郎(P) ほか
マニャール;Vnソナタ & ヤナーチェク;Vnソナタ ほか(LIVE NOTES)
デュメイによるフランクとのカプリング盤(EMI)で聴いて以来、マニャールのソナタは見れば買うようにしている曲。
もっとも当盤は発売からずいぶん経つ(汗)。国内盤フルプライスの価格に手を出しにくかったのだが、今日立ち寄った音盤店で半額のワゴン・セールに入っており、よくぞ巡り逢ったとレジへ持参したもの。
協演が名手野平氏というのも心強い。またヤナーチェク作品ではスークのパートナーとして見知っていたヨゼフ・ハーラが参加している。
マニャールは2000年1月すみだトリフォニー・ホール、ヤナーチェクは2002年3月横浜リリス・ホールでの録音。
ニコラス・チュマチェンコ
バッハ;無伴奏Vnソナタ(全3曲)(EDELWEISS)
労作T.S.さんのWebpageを拝見して以来、ずっと捜してきたチュマチェンコのバッハのうち、ソナタ集をようやく某オークションで発見。
ドキドキしながら入札したが意外にあっさりと非常な安価で落札できて喜んでいる。
1988年、ヴェネツィアでの録音。
なお、T.S.さんの評価は
全体的に速めのテンポできびきびしており,非常に引き締まった印象を受ける好演です。 歯切れ良い奏法も印象的で,重音なども重音であることを感じさせない切れの良さがあります。
等とのこと、大いに期待したい。
ミルトン・トーマス(Va)
バッハ;無伴奏Vc組曲(Va版、全曲)(LIVE NOTES)
上記小林盤同様、半額ワゴン・セールでの収穫品。
ミルトン・トーマスといえば、カザルスと協演を重ねたVa奏者であり、ずっと気になっていた演奏なので嬉しい限り。
1992年11月白根桃源文化会館、1993年2月信州国際音楽村ホールでの録音。飯田裕という方の新作楽器を使用しているとのこと。

4月20日(水)

 

モーリス・アッソン(Vn) バリー・ワーズワース(指揮) BBCコンサート管
ショーソン;詩曲 ほか(BBC music magazine)
贔屓の実力派ヴァイオリニストの一人、アッソンの音源をeBayで発見。ワーズワースも好きな指揮者なのでなお嬉しい。
ショーソン以外にはベルリオーズ;謝肉祭序曲デュカス;魔法使いの弟子ドビュッシー;牧神の午後への前奏曲ラヴェル;「ラ・ヴァルス」・「ボレロ」を収録。
1991年11月、ブライトン(「ラ・ヴァルス」のみ同年8月、オールドバラ)でのライヴ録音。
エルマー・オリヴェイラ(Vn) ロバート・マクドナルド(P)
プロコフィエフ;Vnソナタ第1・2番 ほか(VOX)
上記アッソン同様、贔屓の実力派ヴァイオリニストの一人、オリヴェイラの未架蔵盤をeBayで見つけたので落札。
カプリングは5つのメロディ op.35bis、録音データは明記されていないが、マルPが1991年のオリジナル・デジタル録音。

4月19日(火)

 

ヨーゼフ・クリップス(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管
モーツァルト;交響曲第32・38・40番(Philips)
クリップスとコンセルトヘボウのモーツァルトは、もう20年近く前、ふと中古音盤屋の店頭で試聴して気に入って以来、愛聴してきたのだが、CDでは一部の曲しか架蔵していなかった。
昨年、工藤さんが32番や38番の演奏を絶讃されている記事を拝読し、これはCDでも揃えておきたいと思っているのだが、既に入手難となっており、蒐集が進捗せずに困っていた。
先日、一連の録音の中で最も聴きたかった当盤が楽天フリマへの出品を察知して急ぎオーダー、確保したもの。
1972年6月(第40番)、同年11月(第38番)、1973年6月(第32番)、アムステルダム・コンセルトヘボウで録音された。
なお、クリップスのモーツァルトについては福島章恭『交響曲CD 絶対の名盤』
モーツァルトの宝石箱だ。どこをとっても最高の音楽、最高の教養が溢れている。
と書いておられる。
マルクス・ボッシュ(指揮) アーヘン響
ブルックナー;交響曲第7番(COVIELLO)
昨年4月に第8番を購入したボッシュとアーヘン響のブルックナー、第7番がリリースされるという情報は早くから聞いていた。
通販でオーダーしようかと考えていたが機会を得ず、今日久しぶりに立ち寄った音盤屋に並んでいたので購入。
2004年5月31日、前作同様、アーヘン市の聖ニコラウス教会でのライヴ録音。
使用楽譜については明記されていないのは残念。
なお、同内容のDVDオーディオ(5.1ch)ディスクが附属している。
内田光子(P) クルト・ザンデルリンク(指揮) バイエルン放送響
ベートーヴェン;P協第5番 ほか(Philips)
この2人のベートーヴェンは第1〜4番の2枚は発売と同時に購入したのだが、最後に出た「皇帝」は買いそびれたままになっていた。
父ザンデルリンク晩年の演奏は聴き逃すわけにはいかないと、これもずっと気になっていたところ、楽天フリマに安価で出品されたのを見つけたので購入したもの。
フィルアップは創作主題による32の変奏曲 ハ短調
1998年11月、ヘルクレス・ザールでの録音。
マーク・スタインバーグ(Vn) 内田光子(P)
モーツァルト;Vnソナタ集(Philips)
このところ音楽雑誌等に内田さんのインタビューが掲載される機会が多いのだが、必ずと言っていいほど「モーツァルトを弾くのならこの人と、最初の10秒で思いました。」等と、スタインバーグのことを絶讃しておられる。
またいち早くClassical CD Information & Reviewsさんにレビューが掲載され、
その精妙な音のコントロールと,ややクールで聡明さを感じるフレージングの見事さに驚嘆してしまいましたし,デュオとしての呼吸も絶妙で,
等と讃辞を贈っておられる。
これはやはり聴いてみたいと思い、音盤屋店頭で購入したもの。
収録曲は、ハ長調 K.303ホ短調 K.304ヘ長調 K.377イ長調 K.526の4曲。
2004年6〜7月、イギリス・スネイプのモールティングスで録音された。
タチアナ・ヴァシリエヴァ(Vc)
コダーイ;無伴奏Vcソナタ & カサド;無伴奏Vc組曲 ほか(ACCORD)
近年稀に見る逸材と評価の高いチェリスト、ヴァシリエヴァのCDは、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタを収めた1枚など気になっていたのだが、ようやく無伴奏曲集を購入。
標記の名曲2作のほかイザイ;無伴奏Vcソナタチェレプニン;無伴奏Vc組曲をカプリングしている。
2005年1月、パリ、ボン・セクール教会での録音。
リシャール・ガリアーノ(アコーディオン) ほか
「ルビー・マイ・ディア」(DREYFUS)
先日新聞を見ていてCD評の欄にガリアーノの新譜というのが紹介されていて吃驚。
これは買わねば!と思っていたところ、今日立ち寄った音盤屋に在庫があり、しかもポイントが貯まっていた分で交換できたので有り難し。
協演はクラレンス・ペン(ドラムス)とラリー・グレナディア(ベース)、いずれも斉諧生には未知の名だがジャズの方では有名なのだろうか。
収録曲はセロニアス・モンクの標題曲やサティ;グノシェンヌ第1番、ガリアーノの自作など。
2004年1月1日、イタリア・オルヴィエートでのライヴ録音。

4月18日(月)

 

パウル・ザッヒャー(指揮) オックスフォード・オーケストラ・ダ・カメラ
バルトーク;バルトーク;弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽 & ディヴェルティメント ほか(自主製作)
1995年9月20日、ロンドン・クイーン・エリザベス・ホールでのライヴ録音による2枚組である。
この年はバルトーク没後50年に当たり、イギリスの団体がスイスからザッヒャーを招き、彼がバルトークに委嘱した作品を振ってもらうという企画を立てたようだ。
更に2台Pと打楽器のソナタがカプリングされており、3曲それぞれに10分弱でザッヒャーの解説(ナレーション)が付いている。
ザッヒャーのバルトーク演奏は聴き逃せないと思い、eBayで落札したもの。
もっとも聴いてみると、この団体の演奏力、ちょっと怪しい(汗)。
エドガー・メイヤー(Cb)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1・2・5番(Cb版)(Sony Classical)
バッハの無伴奏Vc組曲をコントラバスで演奏する音盤はゲーリー・カーをはじめ何点か出ているが、総じて音程が気になって音楽に入っていけないので買い控えてきた。
eBayに出品されていた当盤も見送ろうと思ったのだが、ジャケットを飾っている楽器のオブジェが非常に面白く(公式Webpage参照)、ついつい落札してしまった(^^;。
もっともWebで検索してみると演奏の評判も上乗のようなので、期待している。とりわけ、深々とした音楽の第5番に。
2000年1月、マサチューセッツ州ウスターのメカニックス・ホールでの録音。

4月16日(土)

「演奏史譚」家山崎浩太郎氏が公式Webpage「はんぶる」を開設された。
日記のほか、山崎氏のライフワークである1960年について、以前HMVのフリーペーパーに連載された「ウィーン/六〇」『レコード芸術』誌に掲載されたライヴ歳時記が、公開されている。
現在まだ一部に留まっているが、毎月、更新されていく予定とのこと。
主要なコンテンツは、縦書表示を実現するため、gif画像でアップロードするというこだわりようが凄い。
ぜひ順調な更新と新情報の提供を期待したい。
なお、今月下旬、山崎氏の翻訳により、音盤史上、最も重要な人物の一人であるジョン・カルショーの回想録『レコードはまっすぐに』が刊行される予定である。
長年、日本語版の出現を鶴首していた著作であり、一人でも多くの方が手に取られるよう、願ってやまない。

 

カリーン・アダム(Vn) ヴァルター・ヴェラー(指揮) バーゼル響
メンデルスゾーン;Vn協 ほか(カメラータ・トウキョウ)
アダムのCDは、ずっと聴いてきているが、買いそびれていたメンデルスゾーンが某オークションに安価に出ていたので落札したもの。
付けがヴェラーというので吃驚。ブックレットの記事によれば、アダムの恩師の女婿に当たる縁から協演が実現しているとのこと。
ドリスと組んでのVn & P協 ニ短調をカプリングしている。
Vn協は1996年10月、Vn & P協は1994年1月(ライヴ)、バーゼルのシュタットカジノ大ホールでの録音。
クリストフ・ブーリエ(Vn) ミクローシュ・シェーン(P)
Vn小品集(REM)
昨年12月8日に実演を聴いたブーリエ、その際のロビー販売で買わなかった小品集が、安価で某オークションに出品されており、この値段ならばと落札。
収録作品は10曲、モンティ;チャルダッシュフバイ;ヘイレ・カティパガニーニ;ロッシーニの「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲ヴュータン;アメリカの思い出バーンスタイン;アメリカ(ウェスト・サイド物語より)といった比較的有名なものから、エルンスト;ハンガリーの旋律 op.22、バグダサリアン;狂詩曲(原綴 Bagdassarian)、ポリアキン;カナリアなどよくわからないもの(汗)まで。
録音は1994年。
藤森亮一(Vc) カール・アンドレアス・コリー(P)
「メディテーション」(LIVE NOTES)
中古やオークションで少しずつ買っている藤森さんの音盤が某オークションに出品されていたので落札。
表題のマスネ;「タイス」の瞑想曲をはじめ、シューベルト;アヴェ・マリアモーツァルト;アヴェ・ヴェルム・コルプスバッハの小品など14曲を収録している。
1999年7月、茨城県・岩井市民音楽ホールでの録音。

4月14日(木)

 

ヘレーナ・ドーセ(Sop) エヴァ・パタキ(P) ほか
「北欧の音楽」(POLAR)
某オークションステーンハンマル;薔薇に(「『牧歌と警句』からの5つの歌」op.8より)を含むCDが出品されていたので落札。
2枚のCDから再編集した盤らしく、マッツ・リリエフォシュ(指揮) 王立スウェーデン室内管によるラーション;田園組曲ニルセン;小組曲シベリウス;トゥオネラの白鳥などが組み込まれている。
ドーセの歌曲は1983年10月、管弦楽曲は1985年6〜7月にストックホルムで録音された。

4月13日(水)

 

アーロン・ロザンド(Vn) ジョン・コヴェッリ(P)
「ハイフェッツ編曲集」(VOX)
音盤を蒐集しているアメリカの実力派ヴァイオリニスト、ロザンドの未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札。
ハイフェッツの編曲による小品、無慮24曲が収録されており、ガーシュウィン;サマータイムポンセ;エストレリータのようなアメリカ系楽曲や、ブラームス;瞑想メトネル;おとぎ話 op.21-9、トゥリーナ;闘牛士の祈りといった曲も含まれている。
録音データは明記されていないが、マルPは1990年。
小林研一郎(指揮) 東京響 ほか
小杉太一郎;カンタータ「大いなる故郷石巻」(石巻芸術協会、LP)
某オークションに妙なLPが出品されたので即落札。コバケンの音盤、架蔵せざるべからず。
1973年、石巻市の市制施行40周年記念として作られた作品で、同年11月4日、石巻市民会館で収録された非売品LPである。
独唱は伊藤京子友竹正則、ナレーションには山内明が参加している。
作詞・構成は石巻芸術協会事務局長、作曲は石巻出身で映画音楽を中心に活動した人、合唱はもちろん地元のボランティア400人という構成。
偉いところは、初演即終演とならず、この曲がその後も節目節目に演奏されつづけていること(石巻市民響演奏会記録参照。)。
最近では一昨年の市制施行70周年に「合唱、舞踊、管弦楽の三部門がそろった完成形」として上演されたという(地元紙の記事)。

4月12日(火)

 

クリストファー・リンドン・ギー(指揮) オーストラリア室内管
レスピーギ;組曲「古代舞曲とアリア」第1〜3番・「鳥」(OMEGA)
レスピーギの「古代舞曲とアリア」第3組曲は、第3楽章シチリアーナがFMのクラシック番組の後テーマに使われていたことから馴染みになり、見かけるとついつい買ってしまう。
先日もeBayに未架蔵の全曲盤が出品されていたので落札してしまった。
指揮者はマルケヴィッチ作品をMARCO POLOレーベルに録音していた人である。
録音年月は明記されていないがマルPは1988年、録音場所はシドニーのA.B.Cスタジオとのこと。
レオニード・ゴロコフ(Vc) アレクサンドル・メルニコフ(P)
プロコフィエフ;Vcソナタ & ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(Supraphon)
ゴロコフのショスタコーヴィッチ作品は、昨秋、ASVレーベルから出た最新録音盤を買ったところだが、これは1995年11月に録音された旧録音。工藤さんのディスコグラフィによれば、1988年にも録音しているというから、よほど執心している曲なのだろう。
工藤さんの評には、
作品の抒情的な側面を大事にした、落ち着いた演奏。(略)幻想的な雰囲気を強調しすぎているようにも感じられ、好き嫌いは分かれるかもしれない。
とある。
標記2曲のほか、ストラヴィンスキー;イタリア組曲をカプリング。

4月11日(月)

 

ジュリアン・ロイド・ウェッバー(Vc) ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) イギリス室内管
サン・サーンス;Vc協第1番 & オネゲル;Vc協 ほか(Philips)
eBayを眺めていたら、トルトゥリエの未架蔵盤、しかもフランス系のVc作品を収録したCDが出品されていたので慌てて落札したもの。Philipsレーベルでの仕事も珍しい。
標記2曲のほか、フォーレ;エレジーダンディ;歌(世界初録音)、サン・サーンス;アレグロ・アパッショナートをフィルアップ。
1990年2月、ロンドンでの録音。
ビヴァリー・シルズ(Sop) ユッシ・ヤラス(指揮) ウィーン国立歌劇場管 ほか
「ベッリーニとドニゼッティのヒロインたち」(UNIVERSAL)
長く歌劇場で活動したヤラスにビヴァリー・シルズのアリア集があるという情報は承知していたが、CD化されていたとは気づいていなかった。
eBayへの出品を発見し、是非にと落札したもの。
録音は1968年、ウィーンのモーツァルト・ホールとある(どこだろう?)。管弦楽は、おそらくフォルクスオーパーの団体。
カジミシュ・コルト(指揮) ワルシャワ・フィル
ベートーヴェン;交響曲第8番・序曲「コリオラン」(波MUZA、LP)
以下のLPはMikrokosmosから届いたもの。
コルトとワルシャワ・フィルのベートーヴェン全集は、2003年の5盤に掲げた。
これは、録音データ不詳ながら、それよりも前に録音されたと思われるLP(おそらくライヴ)。
彼らのベートーヴェンは聴き逃せないとオーダーしたもの。
ボイド・ニール(指揮) ボイド・ニール管
「ボイド・ニールの遺産 第1巻」(加DISCOPAEDIA、LP)
バロック系小編成アンサンブルの草分けの一つ、ボイド・ニール管がSP時代に英DECCAへ録音した音源を、1980年代中頃に覆刻したLP。
何といってもルクー;弦楽のためのアダージョを含んでいるところが貴重、全音源蒐集プロジェクトの一環としてオーダー。
1939年3月6日に収録されたと記されており、斉諧生の知るかぎり、同曲の録音中、最も古いものである。
そのほか、バーバー;弦楽のためのアダージョフィンジ;カンタータ「クリスマス」などを収録している。
実は、ルクーのSPがeBayに出品されていたのだが、うっかりしていて終了間際のチェックを怠り、最後の20秒で横から攫われてしまった。
誠に口惜しく、他日の出会いを期したい。
ヴィクトル・シモン(Vc) ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響 ほか
ボッケリーニ;Vc協 ほか(露MELODYA、LP)
フェドセーエフと彼の信任厚い首席Vc奏者シモンの共演盤がカタログにあったのでオーダーしたもの。
1979年の録音で、当時のこととてグリュッツマッヒャー編曲版に拠っている。
B面には、モスクワ放送響のチェロ・パートをシモンが弾き振りしたヴィラ・ロボス;バッキアーナス・ブラジレイラス第1番をカプリング。
これを書きながら聴いているが、痛快(!)な演奏である。
ヴィクトル・トレチャコフ(Vn)
ベートーヴェン;Vnソナタ第3番 & シューベルト;Vnソナタ(羅ELECTRECORD、LP)
トレチャコフのライヴ録音は聴き逃せないと思いオーダーしたもの。
1985年9月20日、ルーマニア・ブカレストで開催されたジョルジュ・エネスコ国際音楽祭における収録である。
ラヴェル;ツィガーヌをフィルアップ。
なお、ジャケットは音楽祭の統一デザインで、レーベルにはピアニストの記載がない(^^;。
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)
「練習曲・模範演奏集」(独schwann、LP)
ガヴリーロフ教授の音盤、聴き逃すべからずとオーダーしたもの。
エチュードと名の付く作品が、ドントクロイツェルロードヴュータンヴィニャフスキマルティヌーらを取り混ぜて、両面に22曲、収録されている。
録音データは明記されていないが、マルPは1978年。
ペーター・ツァバ(Vn) ゾルタン・コチシュ(P)
クライスラー;Vn小品集(洪HUNGAROTON、LP)
最近はフィンランドやフランスで指揮者として活動しているツァバが、1981年11月に故国ハンガリーで録音したクライスラー作品集。
コチシュのピアノともども聴いておきたいとオーダーしたもの。
巻頭にクライスラー;クープランのスタイルによる「才たけた貴婦人」を置き、ラフマニノフ;雛菊など編曲も含めて、計18曲を収録。
アルト・ノラス(Vc) マルケッタ・ヴァルヴェ(Cem)
ヴィヴァルディ;Vcソナタ集(芬FINLANDIA、LP)
ノラス師匠の音盤のうち、未架蔵を嘆いていたヴィヴァルディ作品集がカタログに出ていたのでオーダー、ようやく確保できた。
1977年3月、ヘルシンキの「騎士の間」で録音された、とある。
通常演奏される6曲を収録。

4月10日(日)

 

4月1日の記事に書いた人事異動の影響で、いくら時間があっても足りない状況ではあるのだが、これだけは聴きに行かずばなるまい。
宇野功芳(指揮) 大阪フィル
「宇野功芳の "すごすぎる" 世界」
会場はザ・シンフォニー・ホール。
超満員とはいかないが、ほとんど満席に近い状態。
司会者が「新幹線で来た人〜」と呼びかけるとワラワラと拍手が起こり、さすがにと頷かされた。
何といっても宇野師が8年ぶりでプロのオーケストラを指揮する機会なのである。
また大阪では5年前にアンサンブルSAKURAを指揮して以来、もちろん大阪フィルとは初めての顔合わせ。
客席を眺めた感じでは、いかにもコアなマニアという人よりも、長年クラシックを聴き宇野師の評論も目にしてきたという雰囲気の年配の方が多かった。
とはいえ若いカップルや子ども連れも散見され、多少心配に…(笑)。
 
入口で渡されたプログラムを開けて吃驚、
客演コンサートミストレス 佐藤慶子
とのこと。
佐藤さんは、かつて宇野師が10回にわたって開いた「オーケストラ・リサイタル」で、今は亡き新星日響のコンサートミストレスを務めていた奏者。
おそらく大フィル側のローテーションの問題ではなく、指揮者の要望で招かれたものと推測される。
それでなくてもハラハラする宇野師の指揮で、客演するオーケストラを率いなければならないのだから、御辛苦は想像に余りある。
 
さて、今日の曲目は
モーツアルト;歌劇「フィガロの結婚」序曲
同;交響曲第40番
ベートーヴェン;交響曲第5番
というもの。
お得意の曲目ではあるが、斉諧生としては今ひとつ期待しかねるプログラム。過去の実演ではあまり感心したことがない。
むしろワーグナーブルックナーの方が聴きたいのだが、まあ仕方ないだろう。
 
なお、オーケストラの編成は、弦がモーツァルトでは14-12-9-8-6、ベートーヴェンでは16-14-12-10-8、管は2管編成でHrnのみ4人だったか。
 
さて、「フィガロ」序曲が始まって驚いた。
あまり遅くない!
もちろん通常のテンポよりは遅いのだが、かつてのお化けでも出そうな物々しい遅さではなく、まず音楽がもたれない程度で収まっている。
とはいえ弦の細かい音型がくっきりしないのは、やはりオーケストラが不慣れなせいか。
もっとも75小節からの全合奏での和音や101小節からのFgソロの部分で大減速するのはいつもどおり。
コーダ直前の弱奏でも減速、ここは夕暮れの雰囲気が醸し出され、なかなか佳かった。
コーダも意外に速く、クレンペラー盤でくっきり聴こえる木管の下降音型がはっきりしなかったが、終結では案の定ティンパニが最強打、胸のすく思い。
司会者が言うには、リハーサル初日に「『春の祭典』のように叩いてください!」という指示があったそうな(笑)。
 
1曲目のあと司会者が出てきて、ひとくさりやりとりがあったのだがそれは↓にまとめることとして、交響曲第40番
例によって主題3小節目の上行音型にポルタメント、ただしディミヌエンド付きなので、あまり煩わしくない。
すこし音楽がすっきりしたのかなと思ったが、10小節目からの経過句では相変わらずの大減速。
これ以降、「ロマンティック」(指揮者談)どころか、めまぐるしくくらいの加速・減速で、音楽の流れに乗ることができなかった。
211小節の頭に、ワルターばりのルフトパウゼを入れるのもいつもどおり。
もっともかなり「タメ」が入ってしまい、あまりスマートなパウゼにならなかったが。
 
続く第2楽章は、遅めのテンポで始まった冒頭、Va→第2Vn→第1Vnと受け渡される動機にディミヌエンドが付され、非常にはかなげな響きがして、これは気に入った。
17小節でFlが入ってからはテンポが上がり、普通の音楽になってしまって残念。
53小節(展開部)冒頭は陰の濃いpからクレッシェンドし、地の底から湧き上がってくるようなデモーニッシュな感じがして、さすがと思わされた。
 
どうなるかと思った後半2楽章は、硬いリズムに終始したメヌエット、普通の速さでほぼ押し通した終楽章と、見るべきものがなかった。
終楽章の展開部冒頭もあっさり通り過ぎたのにはガッカリ。
 
さてメインのベートーヴェン
いつも問題になる第1楽章冒頭の主題は、完全にコンサートミストレスのタイミングで入っている。フェルマータはもちろん長目。
もっとも主部に入ると結構早めのテンポでサクサク進んでゆく…と思いきや、やはり第2主題は遅く粘る。
提示部の繰り返しあり。
展開部に入ってCbのピツィカートの強調や196小節からの減速など、なかなか面白い。
再現部でのObソロ、かなり遅いテンポで吹いているわりには無表情。
指揮者は棒を下ろしているのだが、奏者の自発性は無さそうな感じ。
(そうそう、宇野師は久しぶりに指揮棒を使っていたのである。)
コーダではやはりティンパニが「春の祭典」ばりに大活躍、479小節・481小節のフェルマータを思いっきり伸ばして締めくくり。
 
低弦の素晴らしい響きで始まった第2楽章は、モーツァルト同様、全曲の白眉か。
39小節以下で弱音と遅いテンポで粘ったのも聴き応えあり、105小節以下では弦を抑えて木管の煌めきを聴かせた。
 
これもモーツァルト同様、第3楽章はあっさり目に通過。
移行部ではかなり粘った上、最後は更にリタルダンドしてティンパニを最強打させた…のだが、肝心のフィナーレ冒頭が腰砕け気味。
26小節以下、ホルンが幅の広い英雄的な主題(推移主題)を吹き流すところ、ティンパニの刻みで強拍にアクセントを付けさせたのは効果的だった。
こちらは提示部を繰り返さず。
展開部113小節以下でトロンボーンの動機を強調したのは、他にも例はあるが、面白し。
コーダではやはりティンパニが最強打、最終小節では後半のトレモロで音量を上げさせたのには思わず笑ってしまった。
カーテンコールでも単独で起立させたのはティンパニのみ。
 
アンコールは十八番「ハイドンのセレナード」
これは絶品。第1Vnは、おそらくコンサートミストレスが絞ったのだろうと思うが、見事に美しい弱音を聴かせてくれた。
妙に思い入れがないのが却って幸いして、実にすっきりした表情。
もちろんポルタメントは付いているのだが。
かつて新星日響でも聴いているが、もしかしたら最上の出来栄えではないかと思う。
 
以上、やや分析的な書き方になってしまったので、全体的な印象を書いておきたい。
テンポの動きが激しく、音楽の流れを分断してしまっている。
思い入れ(思いつき?)のあるところで部分的に減速して粘るのは良いとしても、そのあとすぐ巡航速度に復帰してしまうので、とってつけたような変動になってしまう。
遅くするならするで、指揮者もオーケストラも、それだけのエネルギーを投じてほしいのだが、どうも「お約束」にしか聞こえない。
 
指揮者の動作を見ていても、かつてのような没入ぶりを感じさせたのはベートーヴェンの第1楽章後半くらい。
あとは淡々とした振りで、テンポだけを操作する印象を受ける。宇野師が賞揚する「命を賭けた遊び」の境地にはほど遠い感じだ。
 
『レコード芸術』での筆鋒同様、宇野師の音楽も鈍ってしまったのだろうか。
今一度、生の火花を散らすような、本当の「凄すぎる世界」を聴かせていただきたいと切に願う。
なお、補助マイクも多数立っており、司会者もライヴCDの発売が予定されていると述べていたことを付け加えておく。
司会者と宇野師の会話及び「生演奏で聴き比べ」の顛末は以下の如し。
 
(1曲目と2曲目の間)
「3日前に大阪入り、朝比奈隆氏の墓参をして、助けてくださるように祈った。」
「モーツァルトとブルックナーでは、今はモーツァルトの方が好きである。理由は『チャーミング』。」
「いちばんロマンティックな曲として、第40番を選んだ。」
 
聴き比べは、40番第1楽章の冒頭約40小節を「普通のテンポ、スタイル」で演奏し、あとは本番。
 
(休憩後)
「ベートーヴェンで一番やりがいがあるのは『第九』」
 
第9番スケルツォの第2主題で、原典版・ワーグナー版(Hrnが主題を補強)・ワインガルトナー版(Trpが主題に加わる)の3種を聴き比べ。
 
「『第九』4楽章の最後は大爆発。それに対して1〜3楽章の終結は疑問形だと考えている。」
 
第9番第1楽章の終結、約35小節程度を、普通のスタイルと「宇野版」で聴き比べ。

 

various artists
ドビュッシー;管弦楽曲名演集(andante)
終演後、久しぶりに音盤屋に立ち寄ると、andanteレーベルからアンゲルブレシュトの初CD化音源を含む4枚組セットが出ていたので買わざるべからず。
なぜか上記公式Webpageに詳細が掲載されていないが、六国峠さんが輸入業者が付けた明細を引用してくださっている。
アンゲルブレシュトについては、「夜想曲」のSP音源(1932〜34年録音)が含まれている。
オーケストラ名がドビュッシー音楽祭大管弦楽団となっており、おそらく昨年11月に入手した米COLUMBIA盤SPと同一の演奏と思われる。

4月9日(土)

 

リザ・マリー・ランドグラーフ(Vn) トビアス・コッホ(P)
シューマン;Vn作品全集 ほか(GENUIN)
先月、ユビュ王の食卓さんで紹介されていたCD3枚組。
シューマンのファン、ピリオド楽器のファンの方はすべからく買うべし、です。
の "殺し文句" に降参してレーベルの公式Webpageからオーダーしていたもの。
支払いはPayPal経由、なかなか到着しなかったのでメールで問い合わせたところ、数日で到着(コンピュータがクラッシュした影響とのお詫びであった)。
収録曲は
CD1;Vnでも演奏可とされている作品
幻想小曲集(原曲Cl)、アダージョとアレグロ(Hrn)、民謡ふうの5つの小品(Vc)、3つのロマンス(Ob)、おとぎの絵本(Va)
CD2;Vnソナタ第1〜3番
CD3;編曲など
F.A.Eソナタ幻想曲 op.131バッハ(シューマン編);シャコンヌパガニーニ(シューマン編);奇想曲第10番クララ・シューマン;3つのロマンスダヴィド;ロマンツェヨアヒム;ロマンツェ
となっている。
Vnは1847年トリノ製、PはCD1ではコンラート・グラーフ(ウィーン、1821〜22年)、CD2ではエラール(パリ、1839年)、CD3ではクレムス(デュッセルドルフ、1850年)を使用。
ランドグラーフは豊田耕児ヘルマン・クレバースフランコ・グッリ等に学び、モダン・バロック両方の楽器を良くしてオランダを中心に活動している模様。
コッホとのデュオの公式Webpageがある。
2004年4〜5月にケルンほかで録音されたもので、100頁を超えるブックレットが附属している。
アレクサンダー・ベイリー(Vc) ジェイムズ・リズニー(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ全集(GENUIN)
上記シューマンをオーダーする機会に、気になっていたベートーヴェンも発注。
2002年11月9日、ブレーメン音楽大学(Hochschule für Musik)でのライヴ録音。全5曲を1日で演奏している模様。
チェリストの公式Webpageによれば、この年の9〜12月に11回の全曲演奏会を開いており、これはそのうち9回目の記録に当たる。
なおピアニストは、先日購入の記事を掲載したビョルンソンで演奏していた人。
ロバン・クラヴルール(Vc) ボリス・ネデルチェフ(P)
デュパルク;Vcソナタ & プーランク;Vcソナタ ほか(DIM)
eBayに珍しいデュパルク作品の世界初録音盤が出ていたので落札したもの。
もっともあんぐらCD博物館さんによれば、演奏内容は後続のクレティアン盤(Daphénéo)に一歩も二歩も譲るようだが…(苦笑)。
クラヴルールは1950年パリ生れ、同地の音楽院でナヴァラに学び、ブーレーズアンサンブル・アンテルコンタンポランパリ・オペラ座管アンサンブル2E2Mなどに在籍してきたとのこと。
1987年4月、ロングヴィルでの録音。

4月8日(金)

 

カレル・シェイナ(指揮) チェコ・フィル ほか
マルティヌー;二重協奏曲 ほか(Supraphon)
愛惜佳曲書に掲げたマルティヌーのピアノ、ティンパニと2つの弦楽合奏のための二重協奏曲にシェイナ盤があることは承知していたが入手しそびれていたところ、某オークションに出品されていたので落札したもの。
P独奏にはヤン・パネンカがクレジットされている。1958年9月、プラハ・ルドルフィヌムでのステレオ録音。
同じ演奏者の組み合わせで、マルティヌー;交響曲第3番ドヴォルザーク;組曲 op.98bをカプリングしている。
シェイナについては従来日本では無名に近い存在であったが、昨年発売されたドヴォルザークマーラーの国内盤CDには高い評価が与えられている。
当盤も、作曲された時代の緊張感・不安感を如実に反映した見事な演奏で、聴き応え十分。ぜひこれから聴き進めていきたい指揮者だ。

4月7日(木)

 

マルセル・デュプレ(Org) ポール・パレー(指揮) デトロイト響
サン・サーンス;交響曲第3番「オルガン付き」(英Mercury、LP)
このところ蒐集を心がけているパレーの英プレス盤LP、名盤として知られるサン・サーンスがeBayに比較的安価で出ていたので落札したもの。
先日読了した福島章恭『交響曲CD 絶対の名盤』では
パレー盤を聴くときほど、サン・サーンスの作曲技術と教養の豊かさをヒシヒシと感じることはない(略)サン・サーンスの熟達の筆致とパレーの冴え渡る技の両方に興奮させられること請け合いだ。
と絶讃されている。
1957年10月、デトロイト・フォード会館での録音。
アルヴェ・テレフセン(Vn) フランス・ヘルメルソン(Vc) ハンス・ポールソン(P)
ドビュッシー;Vnソナタ・Vcソナタ ほか(瑞BIS、LP)
テレフセンの未架蔵盤、CDが出ているかもしれないが、BIS初期のアナログ録音ゆえ是非LPで架蔵したかったところ、eBayに出品されているのを見つけ、落札したもの。
Vcソナタをヘルメルソンが弾いているのも魅力的。
そのほかシランクス白と黒でフランソワ・ヴィヨンによる3つのバラードをカプリングしている。
1975年4〜9月、スウェーデン・ナッカほかでの録音。
なおテレフセンは来月下旬に来日が予定されているが(スケジュール等)、聴きに行けるかどうか微妙な状況である。

4月6日(水)

 

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) アルスター管
ドビュッシー;バレエ音楽「おもちゃ箱」 & ラヴェル;バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(CHANDOS)
トルトゥリエがCHANDOSに録音したドビュッシーとラヴェルは全部架蔵しているつもりだったが、某オークションに出品された当盤を見て「おもちゃ箱」がまだだったことに気づき、落札したもの。
元来は当盤のように両者の作品の組合せでリリースされたのだが、評判が悪かったのか、ドビュッシーだけ、ラヴェルだけに編集されて再発された。
架蔵盤には両方が混在しているために、ちゃんと把握できていなかったのである(反省)。
1988年10月、アイルランド・ベルファストのアルスター・ホールでの録音。
なお、「おもちゃ箱」についてはフルネのインタビューがある。

4月4日(月)

季刊『考える人』2005年春号(新潮社)
所用あって書店に立ち寄ると、平積みになった新着雑誌の表紙に特集「クラシック音楽と本さえあれば」と記されているのが目についた。
ぱらぱらと見て面白そうだったので購入。
安岡章太郎が「ウェスタン・エレクトリック社の真空管を搭載したアンプ」とクォードのスピーカーでキーシンを聴いていたり、中島義道が街を歩くときヘッドフォンでカラヤン「ローエングリン」を聴いて騒音を除けているとか、なかなか面白い。
「作家に聞く『ベスト・クラシックCD』」のセレクションが意外に常識的だったり(意外でもないか)、「音楽家に聞く『好きな本3冊』」大野和士「枕草子」堀米ゆず子さんが「菜の花の沖」を挙げているなど、興味を惹かれる。
ただし、そういう興味だけからすると、定価1,400円はちょっと高い。

4月3日(日)

 

ジュリアス・ルーデル(指揮) ウィーン・フォルクスオーパー響
J・シュトラウス;管弦楽曲集(VSOW自主製作)
これはアリアCDさんから届いたもの。
いつも大手音盤店では入手の困難なCDを紹介してくださるお店だが、これもオーケストラの自主製作盤とのこと。
「2004年、サントリー・ホールでのライヴ録音」と書かれているので、おそらく同年1月1〜3日に催されたニューイヤー・コンサートで収録された音源と思われる。
指揮者は1921年ウィーン生れ、1938年17歳でアメリカに移民したというから、おそらくオーストリアを併合したナチス・ドイツの迫害から逃れたのであろう。
その後、ニューヨーク・シティ・オペラバッファロー・フィルなどアメリカを中心に活動してきた人だが、雀百まで何とやら、「古き佳き維納」の香りを漂わす音楽はウィーンの楽員達さえも魅了しつくしたそうだ。
アリアCDさんの紹介記事では、
今回ウィーン・フォルクスオーパー響は、この演奏会があまりにすばらしかったのでCD製作を思いついたという。(中略)
 今回のCDは彼らがお金を出し合って製作したもの。ただ製作したはいいものの、販売ルートがなくて現段階ではコンサート会場でしか売られていないという。
とある。
収録曲は、「こうもり」序曲「ジプシー男爵」序曲ワルツ「ウィーンの森の物語」ワルツ「美しく青きドナウ」ラデツキー行進曲ほか。
なお、ウィーン・フォルクスオーパー響は、公式Webpageによれば、1978年、フォルクスオーパー所属楽員の有志によって結成された、交響曲・管弦楽曲を演奏するための団体ということである。

4月2日(土)

福島章恭『交響曲CD 絶対の名盤』(毎日新聞社)
昨日の記事に書いた職種の変化で、当面必要な書籍の買い出しに出かける。
もっともいったん書店に足を踏み入れたからにはクラシック関係の書棚を点検せざるべからず(笑)。
そうしたところ、福島章恭氏の新著が平積みになっていたので是非ともと購入。
五十年後、百年後に聴かれつづけるべき、『永遠の名盤探しの旅』」を試み、『一時の流行や外面のスタイルにとらわれず、深く心に響く『本物の演奏』を追い求める」ことを自ら課した、と序文に記しておられる。
同一の演奏であっても、国内盤CDや輸入盤CD、あるいはオリジナル盤LP等々、マスタリングやプレスの違いを追究、音質の差に言及しておられるので、蒐集には非常に役立つ。
分量的にも300頁近く、著者渾身の一書と言えよう。是非々々、手に取られることをお薦めしたい。
 
斉諧生的には、パレーレイボヴィッツシュミット・イッセルシュテットという「斉諧生音盤志」に立伝した指揮者、あるいはマークモントゥーシューリヒトクナッパーツブッシュといった憧憬の指揮者に多くの紙幅が割かれており、非常に悦ばしい。
パレーではシューマンベルリオーズフランクサン・サーンス、レイボヴィッツではベートーヴェンが採り上げられている。
 
一方、アンセルメハイドンベートーヴェンコリン・デイヴィスベートーヴェンなど、一般の評者が顧みない演奏にも光をあてておられるところ、非常に興味を惹かれる。
 
…これでまた、蒐集リストが伸びてしまった(汗)。

 

オイゲン・ヨッフム(指揮) バンベルク響
モーツァルト;交響曲第41番 ほか(Orfeo)
1982年9月、ヨッフムがバンベルク響とともに来日、ブルックナー;交響曲第8番の名演を聴かせてからまもなく、同じ組み合わせでモーツァルトの「三大交響曲」が発売された。
まだLP時代のことで、2枚組に3曲が収録されていた。この盤のリリースが、それまでマイナーな印象だったOrfeoレーベルのイメージを一新したように記憶している。
その後CDで出直したのを、なぜかずっと買いそびれていて、非常に気になっていた。
某オークションで安価に出品されたので、ようやく購入。
フィルアップはフリーメーソンの葬送音楽、1982年3・11月の録音である。
残り2曲も、いずれ入手せねば…。
ホルスト・シュタイン(指揮) バンベルク響
ブルックナー;交響曲第4番(EURODISC)
N響のOb奏者茂木大輔氏の著書『オーケストラは素敵だ』(音楽之友社)の一節「レコーディング、こんな『NG』に誰がした」で、バンベルク響の客演奏者として、シュタインとブルックナー;交響曲第4番を録音したときの挿話が大きく取り上げられている。
Obに危険箇所があるフィナーレのコーダを、他のパートのNGも含め、8回(!)録り直したときの恐怖が語られ、当日の作業時間が残り2分というところでOKが出て、目出度く楽員は夏休みに入り、茂木氏は在欧生活に終止符を打つ、というお話。
ぜひこの演奏を聴かねば…と思っていたところ、ようやく某オークションで入手できた。
国内盤では最近も出ているのだが、独EURODISC盤を捜していたため時間がかかったのである(茂木著の出版が1993年9月、12年間を要したことになる)。
ところがひとつ問題が発生した。
茂木氏は録音予定日を「7月9日から明日の13日まで」と明記しており、著者略歴には「1990年に帰国」と書かれているので、上記挿話は1990年7月12日のことになるが、ジャケットには「1987年10月」と記されているのである。
CDのデータが間違っているのか、茂木氏が参加したのは別な録音なのか、真相は如何?
フランチェスコ・ダヴァロス(指揮) フィルハーモニア管 ほか
ワーグナー;「ニーベルングの指環」抜粋(ASV)
1990年代初め頃、「大富豪が金に飽かせてオーケストラを借り切って録音してみたら、たちまち評判に」という、いかにもバブル期らしい噂の流れたダヴァロス。
(噂はもちろん出鱈目で、フェラーラやチェリビダッケらに学んだプロフェッショナルの音楽家である。)
彼が得意としたワーグナーにはCD4枚分の録音があったが、バラバラに収められていた「指環」の楽曲を1枚に編集し直した再発盤がこれ。
順に、「ワルキューレの騎行」「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」「森のささやき」「ジークフリートのラインへの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」「ブリュンヒルデの自己犠牲」を収めている。
後半3曲は架蔵しているが、残りは未架蔵であったところ、某オークションに安価で出品されていたので落札したもの。
1985年3月から1987年10月にかけて録音されている。
ヴァーノン・ハンドリー(指揮) アルスター管
グリーグ;組曲「ペール・ギュント」第1番 ほか(CHANDOS)
以前は等閑視していたが、このところエルガーやディーリアスの録音を注目しているハンドリー。
未架蔵のグリーグ作品集を某オークションで見つけたので落札したもの。
標記のほか、2つの悲しい旋律組曲「十字軍の戦士シグール」交響的舞曲第1〜4番を収録。
中でも「2つの悲しい旋律」は大好きな作品なので、楽しみである。
1986年8月、ベルファストでの録音。
セシリア・ツァン(Vc) ジャン・ルイ・アグノー(P)
Vc小曲集(cybelia)
某オークションへの出品を眺めていたら、ナディア・ブーランジェ;3つの小品第1番を含むCDがあり、これは聴かねばと落札したもの。
ブックレット中、ピアニストの経歴にナディアに学んだという一項があり、あるいはその関係からの選曲であろうか。
そのほか、サン・サーンス;白鳥フォーレ;エレジーエルガー;愛の挨拶など、計11曲を収録している。
セシリア・ツァンは中国系の両親のもとパリに生まれ、子供時代にはヨーヨー・マと一緒にチェロを学んだという。
パリ音楽院でナヴァラに就き、各種コンクールに入賞、パリで活動した後1991年から渡米してロサンジェルスに住み、ロングビーチ響首席奏者などを務めている。
当盤は1989年4月の録音。

4月1日(金)

今日付けで本業の人事異動があり、職場・職種ともに大きく変わることになりました。
本来のポジションへの復帰ですので悦ばしいことなのですが、当分、多忙を極めることになりそうです。
更新の頻度・量に影響を及ぼすこと必至と思われますが、何とぞ御理解くださるよう、お願い申し上げます。
<(_ _)>
今日はフランス音楽アカデミー・スペシャルコンサートルクー;モルト・アダージョアーン;P五重奏曲を聴く予定だったが、元の職場の歓送迎会が行われたために、行くことができなかった(泣)。
ゆりしーず覚え書きさんによると、なかなか良かった様子、非常に残念である。

平成16年8月15日(日): 「提琴列伝」に和波孝禧を掲載。
平成16年1月4日(日): 「作曲世家」にルクー・ディスコグラフィを追加。
平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。
平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。
平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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