音盤狂日録


12月30日(火): 今日が今年最終の更新になります。一年間の御愛顧、まことに有り難うございました。皆様、よいお年をお迎え下さいませ。

試みに「斉諧生音盤志」五大ニュースを選定しました。
(1) ペレーニのページ『レコード芸術』誌で紹介され、多くのメールや御支援を頂戴する。
(2) ステーンハンマル;ピアノ協奏曲第2番のSP盤の入手に成功。感慨深し。
(3) ネットオークションでの取引を始め、収穫も多いが出費もかさむ。
(4) ラハティ響大阪公演(10月5日)に陶酔するも、「クッレルヴォ」公演は聴き逃し、一生の悔いを残す。
(5) 指揮者・宇野功芳のページを公開したが、今のところ反響ゼロ。

 

和波孝禧(Vn) 土屋美寧子(P) ほか
フランク;Vnソナタ・P五重奏曲(ART UNION)
先日、ふと和波さんの公式Webpageを読みに行くと、新譜の発売情報が掲載されていた。
フランクのソナタはもちろんヴァイオリニストの一枚看板の如き名曲、その上、見れば買う曲・P五重奏曲をカプリング!
これは買わざるべからず、近隣の音盤店では入手しにくいレーベルゆえ、山野楽器のオンライン・ショップへオーダーしたもの。ここは2,000円以上送料無料なので、利用しやすい。
五重奏では、田島高宏(Vn)、松実健太(Va)、林詩乃(Vc)といった、若手奏者が共演している。
2003年6月、府中の森芸術劇場ウィーンホールでの録音。
 
アレクサンドル・ルーディン(Vc) ウラディミール・スカナーヴィ(P) ほか
ラフマニノフ;Vcソナタ ほか(A & E)
来年1月下旬、奈良県大和郡山市でミラーズ・フェスティバルが開催される。
斉諧生的には、イザベル・ファウストシューベルト;幻想曲フォーレ;Vnソナタ第2番を演奏するというだけで「行かざるべからず」。
この音楽祭に招かれているチェリストが、当盤のルーディン。
気になっていたところ、某オークションに好きなラフマニノフのソナタが出品されたので落札したもの。
VcとPの小品東洋の踊りロマンスを演奏するほか、ピアノの前に座って幻想的な絵画(2台ピアノのための組曲第1番)を弾き、指揮台に立ってロマンスとスケルツォ(未完の弦楽四重奏曲(1889)より、作曲者による管弦楽編曲)を振っている。
1990年10月、モスクワでの録音。当時、真っ赤な箱で包装されてテイチクから発売されていた国内盤である。

12月29日(月): 

 

秋津智承(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(自主製作)
昨日、24日の項に記した辻井淳氏の情報をWebで検索していて、ヤマハ広島店のWebpageに行き当たった。
「地元活躍アーティストCDコーナー」というページをチェックすると、果たして一般には販売されていないらしい音盤も並んでいる。
中に、大阪フィルの秋津氏のバッハがあり、これはこれは!とメールで問い合わせると、折り返し電話がかかってきて、カード決済で通信販売していただけるとのこと。
今日、そのCD3枚組が早くも届いた。
2001年2・9月、2002年5月と3回のセッションで2曲ずつを録音したもの。
最初のセッションのみホテル日航福岡チャペル・プリエール、残りは広島県吉和村(現・廿日市市吉和)魅惑の里「ふれあいホール」での録音。
前者は結婚式場だが本格的なパイプオルガンを備えてコンサートにも使えるとのこと。ともに残響豊かな(ちょっと豊かすぎる?)会場である。
なお、チェリストがブックレットに執筆した文章によれば、2回目のセッションの初日が9月11日、その夜に同時多発テロのニュースに接することになった。
翌日、サラバンドから収録を始めた第6番は、自ずから鎮魂歌の趣を呈したという。

12月28日(日): 

 

「ミネソタ管100周年記念名演集」(自主製作)
このところ、あちらこちらのオーケストラが実況録音・放送録音の蔵出し自主製作盤を発売してくれる。
一時期「自主製作盤には目がない」と称して買い集めていたが、こう沢山になると、何でもかんでもというわけにいかない。
当セット(12枚組)については、
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
ブルックナー;交響曲第3番(2001年10月5日)
クラウス・テンシュテット(指揮)
ベートーヴェン;交響曲第6番 & グリンカ;序曲「ルスランとリュドミラ」(1989年11月10日・1981年1月16日)
を聴き逃すわけにいかず、オーダーしたもの。
特にスクロヴァチェフスキとこのオーケストラのブルックナーと言えば、第9番の超名盤(Reference Recordings)があり、これ1曲だけでも買わざるべからずである。
それ以外にも、
ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)
メンデルスゾーン;交響曲第3番「スコットランド」(1941年12月6日)
大植英次(指揮)
チャイコフスキー;交響曲第5番(1997年11月28日)
レナード・スラトキン(指揮) ほか
ショスタコーヴィッチ;交響曲第14番「死者の歌」(1987年4月3日)
オスモ・ヴァンスカ(指揮)(現・音楽監督)
グリーグ;組曲「ペール・ギュント」(抜粋)(2002年10月18日)
シャルル・デュトワ(指揮)
ラヴェル;組曲「マ・メール・ロワ」(2003年1月10日)
といった指揮者・曲目には期待したい。
更にユージン・オーマンディアンタル・ドラティネヴィル・マリナーエド・デ・ワールトら、錚々たる歴代音楽監督の音源が収録されている。
分厚い(144頁)ブックレットが附属しており、ディスコグラフィも掲載されている。
先月初めにミネソタ管公式WebpageからリンクされていたPublic Radio Music Sourceでオーダー、本人確認の書類をファクシミリで送信したりバックオーダーになったり時間がかかっているうちに、既にタワーレコードの店頭に並んでいる。しかも、そちらの方が少し安い(滅)。
 
宇野功芳(指揮) アンサンブル・フィオレッティ
「日本抒情名歌名作選II」(MUSIKLEBEN)
これはアリアCDから。
出るという話は前から聞いていて、どうしたのかと思っているうちに、マネジメントMUSIKLEBENのWebpageで見つけたときには「在庫切れ」とされており、嘆いていたもの。
宇野師お得意の戦前の童謡・歌謡曲、戦時歌謡、戦後のヒット曲23曲を歌っている(曲目詳細はディスコグラフィを参照されたい)。
2001年3月11日、石橋メモリアルホールでのライヴ録音。
さて、上記マネジメントのWebpageによれば、第3集が発売されているとのこと。また入手せねば…。

 今日届いたCDの情報を宇野功芳・ディスコグラフィに掲載。


12月27日(土): 

 

イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
ストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」・バレエ音楽「ペトルーシュカ」(Hungaroton)
Philipsレーベルへのバルトーク録音等で注目しはじめたI.フィッシャーとブダペシュト祝祭管のコンビだが、ある時、ブラームス;ハンガリー舞曲集の新録音(Philips、1998年)と旧録音(Hungaroton、1985年)を聴き比べて唖然とした。
旧録音の方が、遙かに精彩を帯びた音楽なのである。
以来、彼らのHungaroton録音も欠かさず入手するように努めている。今回、某オークションでストラヴィンスキーを見つけて落札したもの。
1988年の録音で、「火の鳥」は1919年版、「ペトルーシュカ」は1947年版。
輸入盤に帯をつけ国内盤仕様で流通していた商品だが、当時はまったく注目されていなかった。LPで出たマーラー;交響曲第1番など、評はサッパリというよりバッサリだったように記憶している。
 
クラウディオ・シモーネ(指揮) ヴェネツィア合奏団
シェーンベルク;「浄められた夜」・組曲(ERATO)
シモーネのシェーンベルク!
もの珍しいというだけでは買わないようにしてはいるのだが、これは…これは…やっぱり聴いてみたい!!と、某オークションで落札したもの。
「浄められた夜」は弦楽六重奏編成、マルコ・フォルナチアーリ佐々木一樹(ともにVn)らの面々による。
1984年6月、イタリア・コンタリーニ宮での録音。ミシェル・ガルサンヨランタ・スクラという、当時のエラートの名スタッフが手がけている。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) パガニーニ・アンサンブル
「煙が目にしみる」(DENON)
カントロフの未架蔵盤を某オークションで落札したもの。
1983年の録音で、昔から見かけてはいたのだが、ポピュラー音楽の編曲集ということで買いそびれていた。
標記ジェローム・カーン作品や、「行かないで」(ジャック・ブレル)といったスタンダード・ナンバー、あるいはバッハ;アリア(管弦楽組曲第3番より)、パガニーニ;ラ・カンパネラビゼー(サラサーテ編);カルメン幻想曲といったクラシック作品を演奏している。
Vn3、Va・Vc各1、Cb2という編成で、佐藤允彦ウラディミール・メンデルスゾーン(Vaも弾いている)等の編曲による。

12月26日(金): 

 

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) ウィーン響 ほか
ベートーヴェン;交響曲第1・3番(部分) ほか(自主製作)
某オークションで妙なCDが出品されていた。
「ウィーン響100周年記念」という文字がレーベル面に入っており、何か雑誌の販促品として製作された模様なのだが、はっきりした記述がない。
ともあれ、フェドセーエフのベートーヴェンは正規録音も乏しく、貴重なので落札した。
ベートーヴェン;交響曲第1番第4楽章
ベートーヴェン;交響曲第3番第2楽章
収録年月日等不詳。
それ以外には、次のような音源が収録されている。
ルドルフ・シュトライヒャー(指揮)
J.シュトラウス;ラデツキー行進曲、J.シュトラウスII;序曲「こうもり」・「美しく青きドナウ」、E.シュトラウス;ポルカ「テープは切られた」
マルティン・ジークハルト(指揮)
J.シュトラウスII;山賊のギャロップ
ジャスミンカ・スタンチュール(P) ホルスト・シュタイン(指揮)
メンデルスゾーン;P協第3楽章

12月25日(木): 

 

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第9番・交響組曲「カテリーナ・イズマイロヴァ」(CANYON)
キャニオン・レーベルでのフェドセーエフのショスタコーヴィッチ、第1・15番は架蔵済み、先だって第5・6番を入手したところだが、引き続いて第9番ほかを某オークションで落札。
「カテリーナ・イズマイロヴァ」は、オペラの見せ場やアリアを作曲家バスネルが歌のパートを器楽に置き換えて管弦楽編曲したもので、1995年12月6日のニューヨークにおける世界初演を、フェドセーエフとモスクワ放送響が行った。CDでは、これが世界初録音。
いつも引用させていただく工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページでは、
リズム感も素晴らしく模範的な演奏ともいえようが、全体に生真面目な感じが強いのが少し残念。終楽章最後の追い込みは、いかにもフェドセーエフらしい音楽。」(交響曲)
特に第2曲の怒涛の舞曲は、このコンビの実力が十二分に発揮された名演といえよう。次いで第4曲がなかなか聴かせる。」(「カテリーナ・イズマイロヴァ」)
と評されている。
1996年4月、モスクワでの録音。
それにしても、このシリーズが未完に終わったのは惜しまれる。

12月24日(水): 

 

辻井淳(Vn) 藤井由美(P)
Vn小品集vol.5(イソダ)
斉諧生が京都市響の定期演奏会によく通っていた頃、コンサートマスターとしてほとんど孤軍奮闘しておられたのが辻井さん。
今は神戸女学院大で教鞭を執られるほか、各地のオーケストラに客員コンサートマスターとして出演しておられるようだ。
この人のヴァイオリンには、独特の気品と懐かしさがあり、既出の小品集4作とバッハ;無伴奏を架蔵している。
『レコード芸術』誌でリリースを知り、店頭で捜してたが見当たらず、音盤店に注文して待つこと数か月、ようやく購入できた。
メンデルスゾーン;歌の翼にアルベニス;セビリャーナスブロッホ;ニーグンサラサーテ;序奏とタランテララヴェル;ツィガーヌエルガー;気まぐれな女等、12曲を収めている。
2002年8月、滋賀県高島町ガリバー・ホールでの録音。

12月23日(祝): 

 

カトリーヌ・クルトワ(Vn) カトリーヌ・コラール(P)
フランク;Vnソナタ & ルクー;Vnソナタ(仏ERATO、LP)
ルクーの音盤については手に入るかぎり蒐集し耳にしたいと念願している。
かねてWeb上の知人から薦められて聴いているピアニスト、カトリーヌ・コラールにルクーの録音があると教えていただいて以来、長年、捜していた。
通販業者のカタログ等で見つけては取り逃がすこと二度三度、ようやく某オークションで落札することに成功。
1979年3月、パリで録音されたもの。

 作曲家・演奏家 生没年対比年表の情報を更新。

 一昨日購入したCDの情報をシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィに掲載。


12月22日(月): 

 昨日買いそびれた中古盤があったので(未架蔵かどうか自信がなかった)、今日、退勤後に出直すことにした。ところが、同じビル内の別な中古音盤屋に吸い込まれてしまい、またあれこれと購入(汗)。

アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮) スタヴァンゲル響
セーヴェルー;交響曲第6番 & 組曲「ペール・ギュント」第1・2番 ほか(BIS)
吸い込まれた先は、期間限定の特別セールということで、店内の棚のほとんどがクラシック。
「ちょっと特殊な趣味」(店の方曰く)のコレクターから大量に買い取ったとのことで、CHANDOSやBIS、INTIM MUSIKなどマイナー・レーベルで、北欧や英国の音楽が、たくさん並んでいた。
その中から、前にドビュッシーラヴェルが良かったドミトリエフとスタヴァンゲル響のものを購入。
交響曲第6番は「悲しみの交響曲 Sinfonia Dolorosa」の題名を持つ、12分ほどの短い曲。第二次大戦中、ナチス・ドイツに占領されたノルウェーで、殺害された友人に捧げられた作品という。
他に管弦楽小品2曲をフィルアップ。
1995年11月の録音。
 
セルゲイ・ハチャトゥリアン(Vn) エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) シンフォニア・ヴァルソヴィア
シベリウス;Vn協 & ハチャトゥリアン;Vn協(naive)
2000年、第8回シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝したハチャトゥリアンが、そのシベリウスを録音するというので、発売を待っていた新譜。
指揮がクリヴィヌという点も、斉諧生にとっては「買い」である。
ヴァイオリニストは、姓が示すようにアルメニア出身、1985年生れというからコンクール優勝時には15歳、当盤録音(2003年7月)時点で18歳。今年9月には東京フィル定期に登場した。
当初、作曲家の孫という噂もあったが、どうやら血縁関係はないらしい。
 
スティーヴン・イッサーリス(Vc) アンドルー・リットン(指揮) ロンドン・フィル
プロコフィエフ;Vc小協奏曲 & カバレフスキー;Vc協第2番 ほか(Virgin)
ずっと注目しているチェリストの一人、イッサーリスの未架蔵盤を中古盤で見つけたので購入。
1988〜89年録音、まだ日本で紹介され始めたばかりの頃である。
メインはカバレフスキー作品で、ダニイール・シャフランのために書かれ、彼が初演した。
プロコフィエフは、晩年の未完作をカバレフスキーとロストロポーヴィッチが補筆完成させたもの。ただし、カデンツァはオッリ・ムストネン作のものに差し換え、管弦楽法も細部を変更して演奏しているとのこと。
プロコフィエフ;無伴奏Vcソナタ(ブロックによる補筆完成版)をフィルアップ。
 
エリーザベト・レオンスカヤ(P) ボロディンQ
ショスタコーヴィッチ;P五重奏曲・P三重奏曲第2番(TELDEC)
聴かねばと思っていた名演盤が、中古格安で出ていたので購入。
以前、長谷川陽子さんらのコンサートで接したことからP三重奏曲が好きになり、工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページで調べると、この盤について、
繊細すぎるほどに抒情的な演奏。曲に対する激しい共感と共に、甘く優しい歌に満たされている。曲の持つ巨大で圧倒的な力よりも、描かれている人間の姿が等身大かつ比類ない芸術性を持って表出されているように聴こえる。
また五重奏曲についても
耽美的なまでに抒情的な演奏。全ての旋律が美しく歌い込まれ、どんな瞬間にも決して激することはない。これほどまでに落ち着いた第3楽章は珍しい。第2楽章での深い味わいにも不足せず、特に第5楽章の開放感は素晴らしい。
と、いずれも星4つ半の高評。
1995年4月、ベルリンでの録音。
ボロディンQは、第1Vnがミハイル・コペルマンの時代である。
 
ヴァッサ・プシホダ(Vn) ほか
名演集(グリーンドア)
先日、さるオフ会で「SPに関して、これまで自分が聴いた中では、クリストファ野澤氏のところの音が最も素晴らしい」というお話を伺った。
その野澤氏のコレクション・監修で、銘器クレデンザが再生した音をCD化したシリーズ。かねて気になっていたところ、上記ハチャトゥリアン盤を買って音盤店のポイントが満点になり、それを利用して購入したもの。
プシホダ(当盤では「プルジホダ」と表記)の覆刻CDは、他のレーベルから何点か出ており、いくつかの音源は重複しているが、
音質的には一長一短があるが、楽器の音の力強さに関しては、グリーンドア盤が一頭地を抜いている。やや硬い響きになるところが残念だが、これは元のSPの盤質に起因するものかもしれない。
ともあれ、CD2枚の計21曲には他で聴けない曲目もあり、貴重な覆刻である。
 
加藤知子(Vn)
イザイ;無伴奏Vnソナタ全集(DENON)
かねて注目のヴァイオリニストの一人、加藤さんの未架蔵盤を中古音盤店で見つけたので購入。
この曲集、LP時代には、変な曲ばかり録音していたソ連の若手ヴァイオリニスト(クレーメルとかクレメルとか言った)の盤しかなかったが(和波孝禧盤は当時から入手困難)、ある時期、日本のVn奏者のCDが続々と出た。
四方恭子清水高師千住真理子和波孝禧(新録音)…。
ちょっと食傷気味で、この盤は買いそびれていたが(汗)、その後、実演等で加藤さんの音楽に接するようになり、入手せねばと思っていたもの。
1995年7月、岡谷カノラ・ホールでの録音。

12月21日(日): 

 

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響 ほか
ベートーヴェン;交響曲第9番「合唱」(TAHRA)
イッセルシュテットの未発表スタジオ録音という「第九」がリリースされたので購入。
1951年12月の収録というから、北ドイツ放送響(厳密には「北西ドイツ〜」と言った頃である)の結成後、まだ数年しか経たない頃に当たる。
ビルギット・ニルソン(Sop)、ルートヴィヒ・ウェーバー(Bs)といった重量級独唱者にも期待したい。
ややくぐもった響きで、雑音やテープ劣化のような感じもあるが、聴きやすい音質で鑑賞に不足はない。
 
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮) ソヴィエト国立文化省響
ブルックナー;交響曲第7番(VICTOR)
ロジェストヴェンスキーのブルックナーを中古音盤屋で発見。
ちょっと怖いもの見たさの面もあるが、MELODYA音源は今後の入手に不安があり、今のうちにと購入。
1985年の録音で、ハース版使用とのこと。ノヴァーク版が流布する中、敢えてこの版を使う人には作曲家への愛着が感じられるものだが、彼の場合はどうだろう?
 
スチュアート・ベッドフォード(指揮) ロンドン響
シンフォニア・ダ・レクイエム ほか(Collins)
見れば買っている曲の一つ、シンフォニア・ダ・レクイエムの未架蔵盤を中古音盤屋で見つけたので購入。
ベッドフォードは作曲家の晩年に助手のようなことをしていた人なので、期待したい。
交響組曲「グロリアーナ」4つの海の間奏曲とパッサカリア(歌劇「ピーター・グライムズ」より)をカプリング。
1989年、ロンドンでの録音。
 
マーティン・ジョーンズ(P) ウィリアム・ボートン(指揮) イギリス響
ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a & P協第1・2番(Nimbus)
op.110aとP協第1番、いずれも見れば買っている曲。その未架蔵盤を中古音盤屋で購入。
もっとも工藤さんによれば、
平凡な演奏。」(op.110a)、「“ただ弾いただけ”の見本のような演奏。」(P協第1番)
と、辛口のコメントである(苦笑)。
1990年11月の録音。
 
新イタリア合奏団
グリーグ;弦楽合奏曲集(DENON)
これも見れば買う曲、組曲「ホルベアの時代から」の未架蔵盤を中古音盤屋で発見したので購入。
2つのノルウェーの旋律は一般的な選曲だが、弦楽四重奏曲の弦楽合奏版というのは珍しかろう。
とはいえイタリアの団体のグリーグ、元気すぎやしないか、ちょっと心配ではある。
1999年10月、コンタリーニ宮での録音。
 
アラン・ムニエ(Vc) ジャン・ユボー(P) ほか
ヴィエルヌ;Vcソナタ ほか(LE CHANT DU MONDE)
先日、宮城谷昌光 『クラシック 私だけの名曲 1001曲』を読んでいて、ヴィエルヌ作品の未架蔵盤の情報を発見した。
佳曲ながら録音の少ない作品、かつ、一流の奏者による演奏ゆえ、ぜひ聴きたいと思ったのだが、現在入手が難しくなっているレーベルなので、ほとんど諦めていた。
それを思いがけず中古音盤屋で発見、小躍りして購入。
フランスの作曲家による珍しいソナタを3曲カプリングした盤で、ヴィエルヌの他に
ラロ;Vcソナタ
エティエンヌ・ペクラール(Vc) ドミニク・ポンティ(P)
マニャール;Vcソナタ
ローラン・ピドゥー(Vc) ジャン・クロード・ペネティエ(P)
を収録しており、そちらも楽しみである。
1986年11〜12月と1987年3月、ラジオ・フランスによる録音。
 
矢部達哉(Vn) 長谷川陽子(Vc) 宮本文昭(Ob) 岩代太郎(指揮) 東京都響
岩代太郎;交響組曲「川、いつか海へ」(Sony)
総合テレビでは今日から放送が始まっているNHKのテレビ放送50年記念ドラマの音楽を収録した盤。長谷川さん御参加とあらば買わざるべからず。
作曲者の公式Webpageによれば、「東京都交響楽団の全面的なご協力により、久々のフルオーケストラ作品となりました。」とのこと。
彼女のソロは、交響組曲(全7楽章、約48分)のうち第6楽章 "Adagio Elegiaco" (約10分半)で、たっぷり披露されている。
最後に収められた4分半ほどのトラックは、ドラマのテーマ音楽であろうか。

12月19日(金): 

 

コンセルトヘボウ管 ほか
「放送用ライヴ録音集成 vol.2 1950〜1960」(Q DISC)
全6巻の発売が予告されているコンセルトヘボウ・シリーズの第2巻が発売された。今回もCD14枚組の大物、タイトルどおり1950年代の音源を収録している。
曲目の詳細は他に譲るが、斉諧生として注目するのは、次のようなもの。
ヨーゼフ・クリップス(指揮)
ベートーヴェン;交響曲第7番(1952年5月24日)
 
ラファエル・クーベリック(指揮)
ブルックナー;交響曲第3番(1954年1月28日)
ラフマニノフ;P協第2番(独奏ジュリアス・カッチェン、1951年6月3日)
 
エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム(指揮)
マーラー;交響曲第3番(1957年7月14日)
 
ピエール・モントゥー(指揮)
ワーグナー;ジークフリート牧歌(1953年2月19日)
ラヴェル;ダフニスとクロエ(1955年6月23日)
ブラームス;Vn協(独奏ナタン・ミルシテイン、1950年10月12日)
ラヴェルはKINGやAudiophileから、ブラームスはTAHRAやAudiophileから出ていたが、ワーグナーは初出ではないか。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)
シェーンベルク;管弦楽のための変奏曲(1958年6月26日)
ウェーベルン;管弦楽のための6つの小品 op.6(1959年7月2日)
 
アルトゥール・グリュミオー(Vn) ジョージ・セル(指揮)
ショーソン;詩曲(1957年11月28日)
 
その他、クレンペラーストコフスキーら、興味深い音源が満載、買わざるべからず。
 
クラウディオ・アバド(指揮) ウィーン・フィル
ブルックナー;交響曲第4番(DGG)
1990年10月の録音、ずいぶん前のもの。アバドというだけで食わず嫌い、買わずにいた。
ところが、ブルックナーを愛好されるWeb上の知人が、「はじめてブルックナーにはまった演奏」と書いておられるので、う〜ん、これはいちど聴いてみないと…と思い、気に懸けていたところ、某オークションに安価で出品されたものがあり、落札してみた。
 
ダイアナ湯川(Vn) グラント・ルウェリン(指揮) ロイヤル・フィル
サン・サーンス;Vn協第3番 ほか(BMG)
音楽よりも父親のことが話題になったVn奏者はさておき、バターワースの名盤(DECCA)があるルウェリンが指揮していることに気づいて、いつかは入手せねば…と思っていた音盤。
ついでがあって久しぶりに立ち寄った中古音盤屋に未開封品が格安で並んでいたので購入したもの。
序奏とロンド・カプリチオーソハバネラという定番の組合せ。
2001年4月、ロンドンでの録音。
 
マリア・ジョアン・ピリス(P) エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) ヨーロッパ室内管
ショパン;P協第1番 ほか(DGG)
このCDも、指揮者クリヴィヌの音盤蒐集の一環として、かねて入手を心懸けていたところ、上記中古音盤屋にて格安の美品輸入盤が出ており、購入したもの。
もっとも、畏友かとちぇんこさんが「ピリスのショパンは一陣の風。心の灯火をふっと揺らして去ってゆく。」と謳っておられるピアニストを「さておき」とは言いづらいが。
幻想曲 op.49幻想即興曲 op.66子守歌 op.57をフィルアップ。
協奏曲は1997年4月、パリにおける録音。
 
デーネシュ・コヴァーチュ(Vn) ほか
テレマン;パリ四重奏曲集(HUNGAROTON)
先日来、蒐集を心懸けているハンガリーの名ヴァイオリニスト、コヴァーチュのCDを思いがけず中古音盤屋で発見、即購入。
パリ四重奏曲は12曲を数えるが、そのうち第1・3〜5番の4曲を、Fl・Vc・Gamb・Cemとのアンサンブルで演奏している。
マルP1988年とあるが、初出かCD再発か、詳らかでない。
 
樋口隆一(指揮) 明治学院バッハ・アカデミー
バッハ;マタイ受難曲(明治学院サービス)
新バッハ全集の校訂等、音楽学者・バッハ研究家として有名な樋口氏が指揮も手がけているとは知らず、音盤屋の店頭で見つけて吃驚した。
ブックレットの略歴記事によれば、1994年以来、バッハのカンタータ等を振っておられるらしい。
楽員には有田正広(Fl)、渡邊順生(Cem)等、立派な顔触れが並んでおり、かねて蒐集の作品ゆえ買わざるべからず。
今回の上演(2002年3月30日、明治学院チャペルにおけるライヴ録音)に当たっては、通常用いられるバッハ自筆総譜に基づくエディションではなく、作曲者の女婿アルトニコルの筆写総譜として伝えられた、1727年の初演ないし1729年の再演の際の初期稿を採用したとのこと。
通用版と初期稿は、第1部の壮大な終結合唱「人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」が無く、簡素で短い四声のコラールが置かれている点で大きく異なる。
編成上も通奏低音が1群しかない上、更に上演に際して会場の狭さのために管楽器も1群にまとめられたとのことである。
なお、発売元のWebpageによれば、最近、ロ短調ミサも発売されたらしい。

12月18日(木): 

 

アーロン・ロザンド(Vn) ヒュー・スン(P)
ブラームス;Vnソナタ第1〜3番(VOX)
この実力派ヴァイオリニストの録音は見れば買っている…はずが、某オークションに出品されていたこの盤は架蔵していなかったため、慌てて落札したもの。
1992年1月、フィラデルフィアでの録音。

12月17日(水): 

 

パーヴォ・ベリルンド(指揮) ストックホルム・フィル
ラフマニノフ;交響曲第3番・幻想曲「岩」(BMG)
ベリルンド(ベルグルンド)という指揮者も不思議な人で、あれっというようなレパートリーを単発で録音している。
先日入手したRVW;交響曲第4番が好例、ラフマニノフもポピュラーな第2番ではなく第3番というところが彼らしい。
某オークションに出品されたのを見かけ、オーケストラがスウェーデンの団体というのも気に入って、落札したもの。
1988年6月、ストックホルムでの録音。
そういえば、ベリルンドのラフマニノフ録音にはP協第3番もあった。独奏はレイフ・オーヴェ・アンスネス(Virgin)。
 
ハンヌ・ノルヤネン(指揮) ヴァーサ市立管
クーラ;管弦楽曲集(FUGA)
帰宅すると、郵便受けに外国便が入っていた。クッション付きの封筒で、CDが入っている様子。
はて、今、こういう商品が届くようなオーダーはしていないはずだが…と開封してみれば、ヴァーサ市立管からのクリスマス・カードと、このCDが出てきた。
そういえば、ちょうど去年の12月に、このオーケストラにメールを出して自主製作盤2点を頒けてもらったが、その返礼にクリスマス・カードとCDを送ったことがある。
それで今年もカードを、ということになり、ちょうど新しいCDも出たところだから、と同封してくれたのではなかろうか。
北欧の人情の篤さ、かくの如し。
偶々、北欧各国の風土と生活を体験から紹介する武田龍夫『白夜に谺(こだま)する夏至祭の歓喜』(中公文庫)を読んでいるところだが、同書の端々からも、それは伝わってくる。
この早世の作曲家による数少ないオリジナルの管弦楽曲のうち
南オストロボスニア組曲第1番 op.9(5曲)
南オストロボスニア組曲第2番 op.20(2曲の抜粋)
と、
クリスマスの歌 op.22-1(原曲はVnとP、作曲者自編)
結婚行進曲 op.3b-2(原曲はP独奏、ユッシ・ヤラス編)
など他の曲種からの編曲8作品を収録している。

12月16日(火): 

 

トヨタ・フィルハーモニック・マスター・プレイヤーズ・ベルリン
モーツァルト;交響曲第40番 & バッハ;ブランデンブルク協第3番 ほか(トヨタ自動車自主製作)
名称どおり、トヨタ自動車が創立60周年記念に編成した臨時オーケストラによる録音。
ブランデンブルク6曲中、最も好きな第3番をめあてに某オークションで落札したもの。
指揮者抜きとは言っても、ベルリンの腕利き連中ゆえ、演奏の成果に期待できるのではないか。
総勢26名、斉諧生の知っている名前では、ギュンター・パッシン(Ob)やライナー・ツェペリッツ(Cb)といったあたりが参加している。
またチェンバロには合唱指揮で有名なハンス・マルティン・シュナイトが座っているのが目を惹く。バッハの第2楽章で素晴らしいカデンツァを披露しており、唸らされた。
てっきりライヴ盤と思いこんでいたのだがそうではなく、ベルリンでスタジオ収録されているところが豪儀だ(1997年1月)。
ハイドン;交響曲第47番をカプリング。
 
モーリス・ジャンドロン(Vc) 遠山慶子(P)
ラロ;Vcソナタ & ショパン;Vcソナタ ほか(CAMERATA)
ジャンドロンのカメラータ録音は、以前、ショパン;Vc作品集として出た盤を架蔵している。
再発された折りにラロ作品が追加されたのだが、そのために買い直すのも業腹だと見送っていたところ、某オークションで安く出品されたので落札してみた。
もともとショパンの次にフォーレ;Vc作品集を録音したいというプロデューサーの要望に、チェリストが当時録音のなかったラロを提案、フォーレの第2ソナタとのカプリングが計画された。
1985年にラロを録音し、翌年にフォーレを収録する予定だったところ、ジャンドロンの健康状態が悪化し、企画が中断したまま、1991年、彼が亡くなってしまったとのこと。
標記2曲のほか、ショパンの残るチェロ作品、序奏と華麗なポロネーズ「悪魔のロベール」の主題による大二重奏曲をカプリング。

12月14日(日): 太田愛人 『野村胡堂・あらえびすとその時代』(教文館)を読了。
 銭形平次の著者としてだけではなく、報知新聞(戦前は一般紙)の社会部長・学芸部長として、またレコード評論家・あらえびすとして、あるいは彼の家族愛・郷土愛(盛岡)、「己がために財寶(たから)を天に積め」(マタイ、6-20)そのものの陰徳など、野村長一(おさかず)の生涯を多面的に描いた、約580頁の大作である。
 とりわけ、「月末のレコード屋の払いは殆ど例外なく月給の額を超えた」というレコード収集(戦前期だけでSP2万枚に及んだとのこと)と、そのコレクションが東京都教育研究所を経て故郷・岩手県紫波町に建設された野村胡堂・あらえびす記念館へ収められる経緯について詳しい。「趣味の領域をはるかに越える胡堂の情熱が綿密に描かれていて、日本のクラシック音楽受容の絶好の側面史にもなっている。」(読売新聞)と評される所以である。
 音盤のみならず、東海道五十三次を舞台とした小説執筆をきっかけに広重の浮世絵を買い集め、時代考証のために武鑑(江戸時代の武家人名録)を集めはじめると忽ち数百冊に及ぶなど、蒐集道の大先達として仰ぎ見たい人物である。
 もっとも、三百八十余編に及んだ銭形平次捕物控の莫大な印税収入は、斉諧生に望み得ないものだ(嘆)。

 

イェフディ・メニューイン(指揮) リトゥアニア室内管 ほか
ヘンデル;「メサイア」(apex)
演奏会帰りに音盤屋の棚をつらつら眺めていると、見覚えのないメニューイン指揮盤が並んでいた。
彼の指揮には心暖まるのが常、また「メサイア」は前記のあらえびす野村胡堂の愛聴曲という因縁もあり、購入することにした。
合唱はカウナス国立合唱団、管弦楽ともどもリトゥアニアの団体というところにも期待したい。
1996年、ラインガウ音楽祭でのライヴ録音。収録日が記載されていないが、メニューイン80歳の誕生日記念とあるので、4月22日前後ということになろうか。

12月12日(金): 

 

伊藤恵(P) ジャン・フルネ(指揮) 東京都響
ブラームス;P協第2番 & ラヴェル;P協(fontec)
名匠フルネの新譜、しかもラヴェルとあっては買わざるべからず。もっとも発売は先月21日だったが(苦笑)。
フルネの同曲録音はモノラル期の1954年、ジャン・ドワイヤンとの共演盤以来だそうな。
今回の演奏は、他盤に比して所要時間が長いところが特徴的とのこと、試みに第2楽章を聴いてみたが、なるほどゆったりした大きなフレーズ感が、極めて心地よい。
また、ブラームス作品でのスケール感にも期待したい。
録音は、ラヴェルが2002年4月13日(サントリー・ホール)、ブラームスが2001年6月20日(東京芸術劇場)。

12月9日(火): 

 

サルヴァトーレ・アッカルド(Vn) シャルル・デュトワ(指揮) ロンドン・フィル
パガニーニ;Vn協全集(DGG)
LP時代以来ずっと気に懸かっていた、アッカルドのパガニーニ全集。
ヴァイオリン音楽ファンとして聴かざるべからざるセット(CDでは3枚組)なのだが、曲の書法の薄さを思い浮かべると割高感があり(苦笑)、買いそびれてきた。
偶々某オークションで安い出品があり、積年の想いを晴らすことができた。
1974・75年の録音。
今は昔、デュトワは、この手の伴奏指揮者としてのみイメージされていた。
 
ジョセフ・ジョンゲン・アンサンブル
ジョンゲン;P四重奏曲・P三重奏曲(Cypres)
ジョンゲンは今年が没後50年に当たるが、年末近くなって新譜がリリースされた。標記両曲とも録音の珍しい作品であり、大いに歓迎したい。
四重奏曲は1902年の、三重奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラという珍しい編成)は1907年、30歳前後の作曲者の手になるもの。
2003年5月、ブリュッセルでの録音。

12月8日(月): 某オークションにてカザルス来日公演パンフレットを入手。
 1961年4月11・14日、弟子平井丈一郎の帰朝公演に同行して、東京交響楽団を指揮した折りのものである。
 曲目等は「指揮者としてのカザルス」に掲載したとおりで、さして目新しい情報が含まれていないのは残念だが…。
 40年以上前のものだが、あまり古びていないのは幸い。

 上記カザルス来日公演パンフレットの画像を「指揮者としてのカザルス」に掲載。

 また、音盤狂昔録平成15年11月分を追加。


12月6日(土): ステーンハンマルの作品が演奏されるコンサート「スウェーデン音楽の調べ」の情報を頂戴した。
 3年前にもステーンハンマル作品を採り上げておられるピアニスト 和田 記代さん等によるもので、ピアノ協奏曲第2番が2台ピアノ版で演奏され、また、「晩夏の夜」や他のスウェーデン作曲家の歌曲が上演される予定。
 来年2月21日と27日の2回公演となっており、詳細を別ページに掲げることにした。
 今から2月が楽しみである。(^^)

 

ヤン・クレンツ(指揮) シンフォニア・ヴァルソヴィア
モーツァルト;交響曲第40番 & ベートーヴェン;交響曲第4番 ほか(CD ACCORD)
先だってMerlin.com.plにオーダーした際、3週間たっても入荷しないのでキャンセルした盤が、Musicweb.ukで販売されていたので直ちに発注(支払いはPeyPal利用)。
1週間ほどで入荷したが、Merlin.com.plよりは高めで、1枚当たり送料込み9ポンド(邦貨約1,700円強)。
クレンツは、Philipsレーベルにシェリンググリュミオーの伴奏盤があるが、知る人ぞ知るポーランドの名匠という噂を耳にして、ちょっと気になっていた。
先日、上に書いたようにMerlin.com.plで見つけ、その実力を確認してみたいとオーダーしたもの。
1926年生れというから既に77歳、まだ健在のようで、一昨年にはポーランド国立放送響を率いて来日公演も行っていたらしい。
最近は、作曲に重点を置いて活動しているとのこと、このCDにも自分で管弦楽編曲した
バッハ;「フーガの技法」よりフーガ第1・9番
が収録されている。
バッハは1993年1月、モーツァルトが1991年11月、ベートーヴェンが1992年10月、それぞれポーランド放送局S1スタジオでのライヴ録音。
 
ジョルジュ・プレートル(指揮) ウィーン響
ベルリオーズ;幻想交響曲(TELDEC)
この盤が新譜で発売された時には、フランス人指揮者がベルリオーズを録音するのに、ウィーンのオーケストラを使ったというのでちょっと驚いたことを記憶している(1986年9月)。
案の定、本場志向の強かった当時の音盤評には受けが悪く、その後、国内盤では再発されていないようだ。
正直申せば、斉諧生も長く等閑視してきたが、このところプレートルを再評価してきており、某オークションに当盤が出品されたので落札したもの。
ブックレット表紙にアンリ・ルソー「夢」を用いているのも、それまでのTELDECらしくなく、衝撃的だった。
1985年11月の録音、輸入盤に日本語解説と帯(CD初期特有のラミネート製)を付けた品。
 
コンスタンティン・クルカ(Vn) カジミシュ・コルト(指揮) ワルシャワ・フィル
カルウォーヴィチ;交響的三部作「永遠の歌」・Vn協 ほか(CD ACCORD)
上記クレンツ盤を捜してMusicweb.ukのカタログを見ていたら、クルカのカルウォーヴィチに目が留まった。
このVn協も佳曲なので、とっくに架蔵しているはず…と思って捜してみたら、思いの外、未架蔵であったのでオーダーしたもの。
管弦楽曲の代表作、「永遠の歌」と交響詩「オシフィエンチム家のスタニスワフとアンナ」をカプリング。
1999年10・11月、ワルシャワでの録音。
 
ゾルタン・コチシュ(P)
ワーグナー;P編曲集(Philips)
ラーンキコチシュシフがハンガリーの若手ピアニスト三羽烏と唱えられたのは、もう20年以上も前のこと。
いまや指揮者としての活動の方が有名になりつつあるコチシュだが、このディスク、その後の彼の方向性を早くに示していたのかもしれない。
録音は1980年9月(ロンドン)、まさしく「三羽烏」当時のものである。
「ローエングリン」よりエルザの大聖堂への入場(リスト編)
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲(コチシュ編)
「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲(コチシュ編)
同より愛の死(リスト編)
「パルジファル」より祝典行進曲(リスト編)
を収録。
「マイスタージンガー」は、グールドもピアノで弾いていたが、部分的に多重録音して対位法的な動きを再現していた。
そのあたり、コチシュがどう処理してるのか、興味津々。
 
ベルナルド・ハイティンク(指揮) フランス国立管 ほか
ドビュッシー;歌劇「ペレアスとメリザンド」(naive)
アンゲルブレシュトの十八番でもあった、この美しいオペラは、なるべく購入するようにしている。
発売されたときには、指揮者とオーケストラ、レーベルの組合せに少し驚いた当盤、メリザンドがアンネ・ゾフィー・フォン・オッターということもあり、非常に興味を惹かれたのだが、3枚組の価格のこともあって買いそびれていた。
今回、某オークションに安く出品されたので落札したもの。
2000年3月14・16日、シャンゼリゼ劇場でのライヴ録音。
 
茂木大輔(指揮) ほか
「オーケストラ人間的楽器学 Vol.1」(LIBRO)
茂木氏が企画・指揮・解説した「オーケストラ人間的楽器学コンサート」シリーズのライヴCDを某オークションで落札。
これで8点中、7点が揃ったことになる。あと1つ!
第1夜は、「大は小を兼ねる?」と題され、前半がPicc菅原潤、後半はCb吉田秀と、いずれもN響のメンバーが出演している。
1998年1月29日、三鷹市芸術文化センターでの収録。

 ステーンハンマルの作品が演奏されるコンサート情報を掲載。


12月5日(金): 

 

朝比奈隆(指揮) 大阪フィル
ブルックナー;交響曲第5番(Tokyo FM)
1973年7月24日、東京文化会館で行われた朝比奈・大フィルの第12回東京定期演奏会の、伝説的ライヴ録音。
夙に宇野功芳師が絶讃しており、例えば『モーツァルトとブルックナー』(帰徳書房)でも
果して体が熱くなるような名演であった。朝比奈には珍しく、第一楽章の冒頭からして燃え立っており、(略)特筆すべきはフィナーレの緊張力の一貫と、それ以上にスケルツォの遅いテンポであったろう。ブルックナー指定のテンポの変化にこだわらず、堂々たる雄大な造型の裡に、音楽の本質を浮かび上がらせていた。
と高い評価を与えている。
音質も、ちょっと響きがこもった感じだが、70年代初期の放送録音としては優秀なもので、不足はない。
 
ヴァーノン・ハンドリー(指揮) ロイヤル・リヴァプール・フィル
RVW;田園交響曲・交響曲第4番 ほか(CFP)
先ごろバックスの交響曲全集(CHANDOS)をリリースして話題のハンドリー、少し前のRVW録音が安価で中古音盤店に出ていたので購入。
特に第4番はRVW9曲の交響曲中、最も充実した作品ではないかと思っているので、この指揮者がどう表現しているのか、期待している。
イギリス民謡組曲をフィルアップ。1923年に王立陸軍音楽学校の軍楽隊のために書かれた作品を、翌年、ゴードン・ジェイコブが管弦楽編曲したものとのこと。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) 藤原真理(Vc)
ラヴェル;VnとVcのソナタ & コダーイ;VnとVcの二重奏曲(DENON)
京都・新京極通と寺町通に挟まれた路地裏に小さな音盤店がある。
昔気質の親爺さんが独りで店番をしていて、外資系大型店が進出するまでは、それなりに賑わった店だったが、最近まったく足を向けなくなってしまった。
ひょっとしたら年単位の久しぶりで、ドアを開けてみた(そもそも自動ドアですらない)。
意外に(と言ったら失礼か)新譜もたくさん並んでいたが、クラシックの在庫は随分減ったし、中古盤LP・CDも、出入りがなくなったのか、埃がたまったような品しかない。
実は、廃盤になったような国内盤のデッドストックが店晒しになっているのではないかと期待していたのだが、帯の色が褪せたような古いものは廉価盤のシリーズものばかり。
落胆して、店を出ようとしたときに、ふと目に留まったのがこの盤。
カントロフの音盤は見れば買うようにしているのだが、これは未架蔵のままだった。
曲目のマイナーさ、2曲で44分という盛りの悪さ、再発は期待薄だろうと、邂逅に内心驚喜しながら、素知らぬ顔で親爺さんに差し出して、定価2,500円分の紙幣硬貨を用意する。
特徴のある声で「2,200円」と言われて少し吃驚、そうそう、この現金割引が店の売りだったと思い出し、500円玉を引っ込めて100円2枚を渡す。
1985年4月4〜12日、バリオ・ホール(東京)での録音。

12月4日(木): 

 

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5・6番(CANYON)
フェドセーエフのCANYON録音は、新譜の時には、ほとんど買いそびれてしまったのだが、当盤の2曲に関する工藤さんのコメントを読むに至って、俄然、聴きたくなった。曰く、
(第5番)「実に落ち着いた、人間臭いショスタコーヴィチ像を提示している素晴らしい演奏。(略)第3楽章に象徴される木管楽器と弦楽器の美しい音色と抒情溢れる歌である。ムラヴィーンスキイの人を拒絶するような厳しさとは対極にある慈愛に満ちた音楽が、鮮烈な印象を残す。」(星5つの満点)
(第6番)「テンポ自体は若干遅くなっているのだが、密度が非常に高いので退屈することがない。第1楽章の雄弁さは特に素晴らしい。何と大きなスケールの音楽なのであろうか。各奏者の名技も堪能できる。そして、オーケストラの響きの美しいこと!個人的にはもっと早いテンポを望みたい第2楽章も、全ての音符が丁寧に弾き込まれており、このテンポでなければならないという強い説得力を感じる。」(星4つ半)
1997年4月、モスクワでの録音。
某オークションで落札したもの。
 
高橋美智子(Perc)
「驚異のコントラバス・マリンバ」(Sony)
解説によると、世界に1台しかない、超低音まで出せる楽器。「木製のティンパニと考えてもよいかもしれない」。
超弩級の重低音が聴けるということで、オーディオ・マニアの世界で著名なディスクであり、某オークションでは出品されるごとに熾烈な争奪戦が起こっている。
実は、斉諧生的には柴田南雄;カドリールを収録している点で入手せざるべからざる音盤だったのだが、上記のような事情で、なかなか落札できなかった。
ふと、EasySeekで検索してみると、思いの外、安価な盤が出てきたので購入したもの。
1988年2月、石橋メモリアル・ホールでの録音。

12月1日(月): 

 

カール・シューリヒト(指揮) ウィーン・フィル
シューベルト;交響曲第5番 & ブラームス;交響曲第4番(Altus)
シューリヒト最晩年のウィーン・フィルとのライヴ録音(1965年4月24日、ウィーン楽友協会大ホール)がリリースされた。
シューリヒトの放送録音は、Archiphonレーベルが発掘してくれていたが、最近は活動が止まったのか、正規音源の新発売が途絶え、寂しい思いをしていた。
それだけに、今回、Altusレーベルがオーストリア放送協会所蔵のテープを覆刻した新譜を、心から歓迎したい。
音質は良好なモノラルだが、録音年を考えたときに、もう少し豊麗な音色で聴ければ…と望蜀の嘆。
 
パトリック・ガロワ(Fl & 指揮) カタリーナ・アンドレアソン(指揮) スウェーデン室内管 ほか
モーツァルト;Fl協集(NAXOS)
ガロワのモーツァルトは、アイドル時代のVICTOR盤をクリヴィヌが指揮している関係で買い揃えたばかり。
今回、新録音(2002年8月)をNAXOSからリリースするに当たり、ダウスゴー(指揮)によるベートーヴェンが素晴らしかったスウェーデン室内管を起用していること、かなり自在に振る舞った演奏であるらしいことに期待して、購入。
Fl協第1・2番と、Fl & Hp協を収録している。
後者のHp独奏はファブリス・ピエールという人が担当しているが、ピエール・ジャメの弟子であると同時に、指揮も学び、1980年にはブーレーズによってアンサンブル・アンテルコンタンポランの副指揮者に採用されたとのこと。
なお、ガロワとアンドレアソンの両方が指揮者としてクレジットされているのが不思議だが、後者はスウェーデン室内管のコンサートミストレスというから、その席からオーケストラをリードしているのだろうか。
 
クリスチャン・フェラス(Vn) ピエール・バルビゼ(P)
ブラームス;Vnソナタ第3番 & バルトーク;Vnソナタ第2番 ほか(INA)
INAの新譜でフェラスが出ていた。
このレーベル、一時期よりは入手しやすくなったものの、買い逃すと後が怖いので、とにかく購入しておく。
標記2曲は1960年9月19日の録音で、音質も良好、フェラス独特の音色が満喫できる。
1954年3月5日録音のデルヴァンクール;ダンスリー(抜粋)パガニーニ;Vn協第1番(ピアノ伴奏版)をカプリングしているが、こちらは少し聴きづらい音。特にピアノの強奏が大きく歪む。
ブックレットは非常に充実したもので、フェラスのディスコグラフィも掲載されている。
 
ヤン・ルングレン(P) ほか
「Svenska Landskap」(SITTEL)
先日、大阪の音盤店でジャズの棚をチェックしていると、斉諧生御贔屓のジャズ・ピアニスト、ルングレンの新譜「Landscapes」が出ているのに気がついた。
直ちにレジへ…と思ったのだが、これが悪名高きCCCD盤。
EMIやVirginのように、本国のローカル・リリースならば通常のCDかもしれないと思い、帰宅してからレーベル公式WebpageからSkivhugget.seへ飛んで、オーダーしたもの。
届いた品は、タイトルやブックレットすべてスウェーデン語という、まさしく現地発売分だったのだが、これもやはりCCCDだったのは痛惜のかぎり。
名アルバム「Swedish Standards」同様、スウェーデンの民謡を多く取り上げており、斉諧生の愛聴盤になりそうな予感がする。
なお、スウェーデン語盤英語盤でCD番号が違っており、曲の収録順も異なっているようだ。
 
Various Artists
『武満徹全集 第4巻』(小学館)
武満徹全集の第4回発売分が音盤店に入荷したとの連絡があったので引き取ってくる。
今回は映画音楽2、CD11枚組。

平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。

平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。

平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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