音盤狂日録


11月30日(日): 

 

カジミシュ・コルト(指揮) ワルシャワ・フィル
R・シュトラウス;アルプス交響曲(CD ACCORD)
Merlin.com.plであれこれ検索していて見つけた1枚。
コルトは年初に聴いたベートーヴェンが素晴らしく、彼のドイツ音楽は他の曲も聴いてみたいと思い、オーダーしたもの。
1998年6月、ワルシャワでのライヴ。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org) エサ・ヘイッキラ(指揮) ポテンティア・シンフォニカ
サン・サーンス;交響曲第3番 & プーランク;Org協(MILS)
これはノルディックサウンド広島から届けていただいたCD。
「オルガンの魔術師」キヴィニエミの新譜とあらば、買わざるべからず。ましてプーランクは好きな曲ゆえ。
共演者についてはノルディックサウンド広島のWebpageに詳しいが、指揮者はラハティ響の第2Vn首席奏者、オーケストラは地元音楽大の学生オーケストラである。
録音は、交響曲が2001年3月、協奏曲が2000年11月、いずれもラハティ十字架教会にて。
 
オレグ・カエターニ(指揮) ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第7番(ARTS)
先だっての第5・6番に続く、第2弾。2000年12月、ミラノでのライヴ録音で、こちらの方が先に収録されていることになる。
ブックレットを開くと、カエターニは2005年からメルボルン響の首席指揮者・芸術監督に就任予定と書かれていた。
同響の公式Webpageには、その告知とインタビューが掲載されている。
誰があなたをクラシック音楽に導いたのですか?」という質問に、
誰しも、父親だろうと考えるでしょうけれど、正確には必ずしもそうではありません。私にとって、父は最初の指揮の教師でしたし、素晴らしい教師で、それはとても重要でした。でも、子供の私が音楽を発見したのは、ナディア・ブーランジェのおかげです。彼女は、私の人生の中で、最も重大で重要な人物です。私は彼女について学ぶことで、音楽家になろうと決心しました。彼女も太鼓判を押してくれましたし、彼女のおかげで音楽への愛を発見したのです。
と答えているのが興味深い。
リリース情報がありながら近所の音盤屋に入荷してこないので、アリアCDにオーダーしたら、入れ違いに店頭に並びだした(苦笑)。
 
マリウシュ・スモーリィ(指揮) シンフォニア・ヴァルソヴィア
ガーシュウィン;組曲「キャットフィッシュ・ロウ」 & バーンスタイン;シンフォニック・ダンス(「ウェストサイド物語」より) ほか(CD ACCORD)
これもMerlin.com.plで検索していて見つけたもの。
オンライン・カタログ上では「ポーギーとベス」とあったので、蒐集しているラッセル・ベネット編曲版ではと期待したのだが、残念ながら作曲者自編の方だった。
指揮者はポーランド・カトヴィツェ生れ、Vn奏者として活躍したのち、アメリカへ留学して指揮を学び、現在も北米のオーケストラを中心に演奏活動を行っているとのこと。
リバーサイド・シンフォニアの音楽監督を務めるほか、ヒューストン響で「レジデント・コンダクター」(准指揮者に近いポストか?)の地位にあるとのこと。
コープランド;組曲「ロデオ」をカプリング。
2001年3月、ワルシャワでの録音。アメリカ大使館の後援を受けたことが特筆大書されている。
 
ヴァッサ・プシホダ(Vn) ほか
ヴィニャフスキ;Vn協第2番 ほか(PODIUM)
PODIUMレーベルは、プシホダの覆刻盤を第8集までリリースしているが、そのうち第1集はLP末期に出たもの。
それが今回、CDとして再発され、しかも収録曲を追加しているというので、アリアCDにオーダーしたもの。
手元のLPと比較してみると、3曲、
ヴィニャフスキ;グノーの「ファウスト」の主題による幻想曲
同;スケルツォ・タランテラ
バッジーニ;妖精の踊り
が増えている。
標記協奏曲が1924年頃の録音とされているなど、概ねSP期の録音。中には音質的に少し厳しいものものある。
 
プラジャークQ マルク・コッペイ(Vc)
シューベルト;弦楽五重奏曲 ほか(PRAGA)
大好きなシューベルト作品の新録音、しかも中欧の団体によるものなので、暖かい音色とハーモニーで美しい歌を満喫できるのではないかと期待して、アリアCDにオーダーしたもの。
弦楽四重奏曲第7番をカプリング。
2002年9月・2003年1月にプラハで録音されている。
SACDとのハイブリッド・ディスク。
 
カイ・フォーグラー(Vn) 清水直子(Va) ヤン・フォーグラー(Vc)
シェーンベルク;弦楽三重奏曲 ほか(IPPNW)
ヤン・フォーグラーが加わっているライヴ盤、買わざるべからず。
一時期、店頭を賑わせたIPPNW、契約関係に変動でもあったのか、最近の新譜はほとんど見かけない。
この盤も、Web上でレビューを見かけたのに、出回った量がごく僅からしく、あちこちの店で捜しても発見できなかったので、アリアCDにオーダーしたもの。
2002年12月6日、ベルリン芸術大コンサート・ホールでの録音。
ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲第2番がカプリングされており、そちらの演奏者は
アンチェ・ヴァイトハース(Vn) ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc) パウル・リヴィニウス(P)
 
サラ・トルーベック(Vn) ヤン・オーケ・ヒッレルード(P) ほか
アウリン;4つの水彩画 ほか(nosag)
ノルディックサウンド広島のWebpageをあれこれ見ていると、愛惜佳曲書に掲げたアウリン作品の未架蔵盤を発見、オーダーしたもの。
このCD、本来はブー・アウレール(指揮) スヴェンスカ・ロステル室内合唱団による「スウェーデン・ラプソディ」と題されたリサイタル盤。
今年6月にスヴァンホルム・シンガーズのコンサートで聴いて、美しさにうたれたアルヴェーン;夕べも収められており、楽しみである。
1994年4月・1995年10月、ストックホルムほかでの録音。
 
オーレ・エドワルド・アントンセン(Trp) ヴォルフガング・プラッゲ(P)
プラッゲ;Trpソナタ ほか(2L)
これもノルディックサウンド広島から届けていただいたCD。
今月9日、びわ湖ホールで聴いたアントンセンのリサイタルで標記プラッゲ作品に感銘を受けた。
ぜひ音盤で聴き直したいと思い、捜しているとノルディックサウンド広島のWebpageで詳説されているのが見つかった。この記事は公開当時に目にしているはずなので、その時にやり過ごしていたのが残念。
アルバム・タイトルの「アルス・ノヴァ」は、音楽史上、14世紀のフランス音楽を指す。サブタイトルに「中世からのインスピレーション」とあり、プラッゲ(1960年、オスロ生れ)が中世・ルネサンスの音楽に素材を得た作品を3曲、標記ソナタのほか、SopとTrpのためのニダロスのセクエンツィア書、SopとPのための太陽の歌を収めている。
また、「アルス・ノヴァ」は、天文学では超新星を意味する。CDのジャケットは、それを意識したデザインになっているようだ。
2001年、オスロで収録された、優秀録音盤。
 
ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)
「クラシカル・アコーディオン編曲集」(NAXOS)
これもノルディックサウンド広島から。
アコーディオンの鬼才、ヴァユリネンの音盤は聴かざるべからず。
クープラン;葦バッハ(ブゾーニ編);シャコンヌモーツァルト;キラキラ星変奏曲ストラヴィンスキー;ペトルーシュカより「謝肉祭の日」など7曲を演奏している。
2002年3月の録音。
なお、現時点ではフィンランドNAXOSのローカルリリースの模様だが、何とか日本でも発売してもらいたいものである。
 
ハンス・ロスバウト(指揮) ベルリン・フィル
ハイドン;交響曲第45番「告別」(独ELECTROLA、LP)
ロスバウトの表芸は現代音楽だが、斉諧生としてはむしろ古典派音楽での生命感横溢した指揮ぶりを高く評価している。
特にハイドン;交響曲第92番「オックスフォード」(DGG)など素晴らしいものがあった。
同じベルリン・フィルを振った「告別」は、今年3月にCD覆刻されたものの、音質的に満足できるものではなかった。
モノラルの10インチ盤ではあるが、LPが国内通販業者のカタログに出ていたので購入。
いずれ、彼のページを作成・公開したいものである。
 
デーネシュ・コヴァーチュ(Vn) ミハーイ・ベッヒャー(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ全集(洪HUNGAROTON、LP)
ハンガリーの名ヴァイオリニスト、コヴァーチュは、先日購入したフェレンチクとのベートーヴェン;Vn協が佳かった。
同じベートーヴェンのソナタ全集5枚組が、国内通販業者のカタログに出ていたので購入したもの。
マルPが1976年になっているので、その頃の録音と思われる。
このヴァイオリニストにはバッハ;無伴奏の全曲LPがあり、ぜひ聴きたいものと願っている。

11月29日(土): 26日(水)の項に書いた『ムラヴィンスキー 楽屋の素顔』の著者西岡昌紀氏について、このページをお読みになった方からメールをいただいた。
 御指摘を受けて、少しWebを検索したところ、氏に『アウシュウィッツ「ガス室」の真実』(日新報道)という著書があり、また1995年に雑誌『マルコ・ポーロ』(文藝春秋)に「戦後世界史最大のタブー ナチ『ガス室』はなかった。」という記事を執筆して批判を浴び、その帰結として同誌が廃刊されたことがわかった。(『マルコ・ポーロ』廃刊事件は記憶していたが、問題となった記事の筆者には当時から関心がなかった。)
 『アウシュウィッツ〜』は手に取ったこともなく勿論内容についても承知しないので、「『ユダヤ人絶滅計画』と『ガス室』の実在には疑問が上がって当然」とする著者の主張について、その当否を断定することは、ここでは避けておきたい。
 しかしながら、『ムラヴィンスキー〜』巻末の略歴欄において、他の著作名は上げているにもかかわらず『アウシュウィッツ〜』に触れていないことは確認できるし、それについて胡散臭さを感じずにはいられないことは、明確に表明しておきたい。

 

高関健(指揮) 群馬響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第10番 ほか(fontec)
大阪センチュリー響を離任されて以来、高関氏の活躍に触れることが無くなったのは、どうにも寂しい。
先日、ふと思いついて、群馬響の公式Webpageを覗いてみると、このCDが目についた。
ショスタコーヴィッチといえば工藤さん
高関のしなやかで推進力のある爽やかな音楽作りは素晴らしい。しかしながら、オーケストラの力量不足が最後まで足を引っ張った格好。随所で感心するような響きは聴かれるものの、それが持続しない。惜しい。
とのコメント、高関を聴く意味では購入せざるべからずと、同響へオーダーしたもの。
fontecの公式Webpageのカタログからは落ちているので、あるいはここでしか入手できないのかもしれない。
吉松隆;朱鷺によせる哀歌をフィルアップ、独奏ピアノはクレジットされていない。井上道義は弾き振りで録音していたが、この盤ではピアノが舞台下手端に位置しているようなので、高関自身ではなかろう。
1994年5月26日、ウィーン・コンツェルトハウス大ホールでのライヴ録音、群馬響のヨーロッパ演奏旅行の記録である。
CDの帯には、同じ楽旅のライヴ盤として、漆原朝子(Vn)を帯同したバルトーク;Vn協第2番ドヴォルザーク;交響曲第8番という1枚も掲載されている。これも聴きたいものだ。
 
トマス・ツェートマイヤー(Vn) ハインツ・ホリガー(指揮) フィルハーモニア管 ほか
ベルク;Vn協 & ヤナーチェク;Vn協 ほか(TELDEC)
ツェートマイヤーのベルク録音を2枚、休日出勤の道すがら、中古音盤屋にて購入。
この人のヴァイオリンは、平成3年10月、京都市響定期に来演したときに聴いたことがある。
指揮は井上道義で、シベリウス;Vn協のいささか落ち着きの悪い演奏の後、アンコールに弾いたハルトマンの無伴奏曲が素晴らしかったことを記憶している。
彼は、こうした20世紀音楽で本領を発揮するのではないか、と思って買ったもの。
指揮者としてのホリガーも素晴らしい、との評を見かけたことがあり(この盤についてのものだったかどうか自信なし)、期待している。
1990年7月、オールドバラ・スネイプのモールティングスでの録音。
カプリングは、上記ハルトマン葬送協奏曲で、ツェートマイヤーがドイツ・カンマーフィルハーモニーを弾き振りしている。
こちらは1990年3月、フランクフルトでの録音。
 
トマス・ツェートマイヤー(Vn) オレグ・マイセンベルク(P) ハインツ・ホリガー(指揮) ヨーロッパ室内管
ベルク;室内協 & シェーンベルク;室内交響曲(TELDEC)
ツェートマイヤーのベルク、続く。
1989年6月、ウィーンでの録音。
 
パトリック・ガロワ(Fl) エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) プフォルツハイム南西ドイツ室内管
「黄金のフルート IV」(VICTOR)
クリヴィヌの落ち穂拾いで、中古盤を1枚購入。
1985年2月の録音で、まだ駆け出しの頃、姓も「クリヴィン」と表記されている。
この頃はガロワもアイドル扱い、ちと気恥ずかしくなるようなジャケット写真である。
収録曲は、ドヴォルザーク;ユモレスクショパン;子犬のワルツサティ;ジムノペディ第1番ラフマニノフ;ヴォカリーズ等々、ポピュラーなものばかりだが、ドヴォルザーク;アレグレット・グラツィオーソ(交響曲第8番より)とかスメタナ;モルダウ(もちろん編曲版)を含めているのが面白い。
また、この企画のための書き下ろし作品として廣瀬量平;午後のパストラルが収録されている。廣瀬氏としては珍しいくらいに、平明な題名だ(もちろん曲調も)。

11月28日(金): 

 

ロジャー・ノリントン(指揮) シュトゥットガルト放送響
ベートーヴェン;交響曲第3・4番(hänssler)
先日第5・6番を買ったノリントンのhänssler盤ベートーヴェン、全集が店頭に並び始めたが、さほど安くなく、箱も厚い。
ともかく安価で揃えようと、某オークションに出ていたものを落札。
2002年8月30日、シュトゥットガルト、ベートーヴェン・ザールでのライヴ録音。

 一昨日入手したCDの情報を、ペレーニ・ディスコグラフィに追加。


11月27日(木): 

 

矢部達哉(Vn) 若林顕(P)
「ソット・ヴォーチェ」(Sony Classical)
矢部氏のデビューCDが超々格安(!)で某オークションに出ており、ついつい、落札してしまった。
1996年1月の録音、収録曲は
ドビュッシー;Vnソナタ
ストラヴィンスキー;イタリア組曲
マスネ;タイスの瞑想曲
ラフマニノフ;ヴォカリーズ
など。
 
堤剛(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Sony Classical)
日本人チェリストによるバッハ;無伴奏として、おそらく第一に上げられるのが、この堤氏の再録音盤ではなかろうか(例;渡辺和彦『ヴァイオリン/チェロの名曲名演奏』音楽之友社)。
斉諧生いつものメジャー嫌いの性癖ゆえに敬遠していたが、気にはなっていたので、某オークションに安く出品されていたので落札したもの。
1990年12月〜91年5月まで、3回のセッションで各2曲ずつが録音されている。

11月26日(水): 本屋に立ち寄り音楽書のコーナーを覗くと、西岡昌紀『ムラヴィンスキー 楽屋の素顔』(リベルタ出版)という本が目に付いた。
 パラパラめくってみると、著者自身は医師を職としておられるが、先考が指揮者来日時の招聘元、新芸術家協会の社長であられたとのこと。直接見聞された、オリジナルな話題が掲載されているようなので、買ってみた。
 初来日時、演奏会以外はホテルから出ようとしなかったムラヴィンスキーが、何か見たいものはないかと尋ねられて、行った先が錦鯉の養殖場、30分ほども見つめ続けて満足げに帰った…等々、音楽や音楽以外のエピソードが、多数紹介されている。
 斉諧生的に注目したのは、同書123頁に、ムラヴィンスキーが終演後の楽屋で「今度、シベリウスの六番をやりたいんだ」と独りごちたとある部分。
 彼の峻厳透徹した音楽が、第6番でどのような成果を生んだか、ぜひ耳にしてみたかった。
 それにしても、1・2・5番といった派手目の曲には目もくれず、7番を録音し3番を指揮し6番に関心を示していたのだから、それだけでも彼の芸術は信じるに足る。 (金管のロシア風の吹奏が、斉諧生のシベリウス観と相容れないのは別にして。)

 

山田一雄(指揮) 新星日響 ほか
「創立20周年記念 新星日響名演集」(新星日響自主製作)
音盤というより、書籍『新星日本交響楽団20年史』(財団法人新星日本交響楽団、1990年)の附録CD。
楽団ゆかりの指揮者6人の演奏が収録されている。
目玉はヤマカズのレスピーギ;ローマの松(1989年7月9日、サントリー・ホール)。
ただし斉諧生にとっては、パスカル・ヴェロの指揮で2曲、
ラヴェル;マ・メール・ロワより「一寸法師」・「妖精の国」
フォーレ;レクイエムより「リベラ・メ」(以上1988年2月17日、サントリー・ホール)
が重要。
その他、
現田茂夫 シャブリエ;狂詩曲「スペイン」
オンドレイ・レナルト ヴェルディ;レクイエムより「リベラ・メ」
佐藤功太郎 モーツァルト;交響曲第41番第1楽章
外山雄三(指揮) 前橋汀子(Vn) 外山雄三;Vn協第1楽章
が収められている。
本体の「20年史」も、定期演奏会記録、各年ごとの楽員名簿等を含み、資料として貴重なもの。
巻頭には、山田一雄、常森寿子、宇野功芳ほかのメンバーによる座談会があり、グラビア・ページにはミクローシュ・ペレーニ師の写真が2枚も掲載されている。(1979年11月26日、第38回定期演奏会におけるサン・サーンス;Vc協第1番 & チャイコフスキー;ロココ変奏曲)
某オークションで落札したもの。
 
朝比奈隆(指揮) 大阪フィル ほか
マーラー;大地の歌(KING)
朝比奈氏は、ドイツ・オーストリアの交響曲の伝統を跡づけるという面で、マーラーを重視しつつも、ブルックナーとは異なり、全曲を指揮していたわけではない。
例えば、第1番は「歌のない歌曲」のようなもので演奏する気がしない、と広言していたし、逆に、第2・3・9番は高く評価していたようだ。
(こうした傾向で似ているのはクレンペラーで、第1番の終楽章は大嫌い、第5番のアダージェットはまるでサロン音楽、第6番は理解できない等々と語っている。)
「大地の歌」については2種の録音があり、これは1回目の録音(1984年10月19日、大阪フェスティバル・ホールでのライヴ)。
独唱は伊原直子林誠で、この2人は再録音(1995年11月11日、CANYON)でも歌っている。
この指揮者の、特に大フィルとの演奏については、1980年代の方が充実した音楽が聴けるのではないかと期待して、某オークションで落札したもの。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ヤーノシュ・フェレンチク ハンガリー国立管 ほか
R・シュトラウス;交響詩「ドン・キホーテ」 ほか(HUNGAROTON)
ペレーニ師とフェレンチクの「ドン・キホーテ」がCD化されているとは知らなかった。しかも国内盤仕様。
某オークションで発見、気合を入れて落札したもの(とはいえ、そう高価だったわけではない)。
 
ポール・シュトラウス(指揮) リエージュ管 ほか
フランク;交響詩「プシュケ」 ほか(EMI)
LP時代、プシュケ(プシシェ)の全曲盤で、確か唯一国内盤で出ていたP.シュトラウス盤。
好きな曲だがCDでは未架蔵であったところ、某オークションで安く出品されていたので落札したもの。
アルド・チッコリーニ(P)を加えての交響的変奏曲をカプリング。
1974年の録音。
 
ヴァッサ・プシホダ(Vn) エニオ・ジェレッリ(指揮) RAIトリノ放送響 ほか
「CETRAレコーディングズ、1956-57」(WARNER FONIT)
チェコの鬼才ヴァイオリニスト、プシホダの覆刻盤が出るというので楽しみにしていたところ、帰りに立ち寄った音盤屋の店頭に出ていたので購入。
第一次世界大戦後、ドイツを中心に活躍していたプシホダは、1930年、アルマ・ロゼーと結婚する。彼女もヴァイオリニストで、父はウィーン・フィルのコンサートマスター、アルノルト・ロゼー、従ってマーラーの姪に当たる。
1935年、2人は離婚した。夫婦の間で何があったのかは他者の容喙しうるところではないが、世間はプシホダがナチスの人種政策に屈した(又は、おもねった)と考えたようだ。
その後、アルマはゲシュタポに逮捕されてアウシュヴィッツの強制収容所へ送られ、そこで女性オーケストラを指揮してドイツ将兵を慰めることで生き長らえるが、戦争末期に急逝した。毒殺とも言われている。
こうした経緯のゆえに、戦後ドイツに居づらくなったプシホダは、イタリアを主な活動の舞台とするようになった。そこは、まだ無名時代の彼が、米塩の資を得るためにレストランやダンス・ホールで演奏していた土地であり、ある時、そうした店のひとつにやってきたトスカニーニに見いだされてキャリアを開いた国であったから。
このCD3枚組は1956〜57年にCETRA社が録音した5枚のLPを覆刻したものである。
ヨアヒム・ハルトナックは名著『20世紀の名ヴァイオリニスト』(白水社)で、
(プシホダの)衰えは非常に早くはじまった。それゆえ、彼の一九五〇年代のLPレコードへの吹き込み−すべてイタリアで吹き込まれたもの−は、このヴァイオリニストの能力を証拠立てるものとしては不適当である。
と記しているが、それでも聴かないわけにはいかない。
収録された曲目は、
バッハ;2Vn協 BWV1043
モーツァルト;Vn協第3・4番
ヴィターリ;シャコンヌ(レスピーギによる弦楽合奏伴奏版)
タルティーニ;悪魔のトリル(ヴュータンによる弦楽三重奏伴奏版)
ヴィオッティ;2Vnによる協奏交響曲第1番
と、パガニーニドヴォルザーク自作ほかの小品8曲である。
音質は、もう一息、生々しければと思うが、ともかくきれいなモノラルである。
 
ナイジェル・ケネディ(Vn) オッコ・カム(指揮) ロンドン・フィル
チャイコフスキー;Vn協 & ショーソン;詩曲(EMI)
ケネディがパンク化(笑)する前の録音(1985年4月)。
チャイコフスキーもさることながら、ショーソンの抒情に期待している。
某オークションで落札したもの。
 
ナターリャ・シャホスカヤ(Vc) レフ・マルキス(指揮) 室内管 ほか
ボッケリーニ;Vc協 & シューマン;Vc協 ほか(TALENTS RUSSIA)
ロストロポーヴィッチの高弟にしてヴィーダー・アサートンの先生に当たる、シャホスカヤ。
録音が少ない人だと思っていたところ、某オークションに当盤が出品されたので落札したもの。
ボッケリーニ作品は勿論有名な変ロ長調の曲で、1973年録音。シューマンは1976年録音とのこと。
更にチャイコフスキー;ロココ変奏曲をカプリングしており、こちらはキリル・コンドラシン(指揮) モスクワ・フィルの付け。これは1963年の録音で、音質的には劣る。
Webであれこれ検索したのだが、彼女のソロは、これと前に入手したショスタコーヴィッチ;Vc協第1番(BBC CLASSICS)くらいしか、音盤がないようだ。
 
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(M-S) ほか
「スウェーデンのクリスマス」(DGG)
原題 "Home for Christmas" 、国内盤は「北欧のクリスマス」というタイトルで発売されたようだが、フォン・オッターの故郷ということで考えれば、「スウェーデン〜」とする方が適切ではなかろうか。
彼女自身が選曲したというクリスマス歌曲集で、「聖しこの夜」「オー・ホーリィ・ナイト」「ホワイト・クリスマス」といった定番から、フォーレブリテンの歌曲、更にはスウェーデンでのみ親しまれているのだろうものまで、20曲を収録している。
ほとんど曲ごとに伴奏の編成が異なり、ヤコブ・リンドベリのテオルボ1挺によるものから、民族音楽バンド、あるいは金管アンサンブル、またシンセサイザーが加わるものまで出てくるが、全体にシンプルでインティメイトなサウンドで、まことに心安らぐ音楽ばかりである。
録音風景や歌手のスナップ写真で彩られた60頁ほどのブックレットも美しく、珠玉のような音盤といえよう。
1998年11・12月及び1999年5月、ストックホルムでの録音。
某オークションで落札したもの。

11月25日(火): 

 

オッリ・ムストネン(P)
バッハ;平均律クラヴィーア曲集第1巻より & ショスタコーヴィッチ;24の前奏曲とフーガより(Ondine)
ムストネンの「タコバッハサンド」こと、バッハとショスタコーヴィッチを2〜3曲づつ交互に配列するという驚天動地の企画、1998年に第1巻が発売されて以来5年、ようやく第2巻がリリースされた。
両作品から各12曲、調性を基礎に独自の配列で収録しており、第1巻と合わせて各24曲が揃ったことになる。
前回はBMGレーベルだったが、今回はOndineレーベルから。
レーベルの公式Webpageから購入したもので、オーダーから7日間で到着した。送料を加算しても、日本での店頭価格と大差なく、時間を考えるとメリットの方が大きいと思っている。
2002年12月の録音。

 この間入手したCD・LPの情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィパレー・ディスコグラフィシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。


11月24日(休): コリン・ハンプトン(瀧川郁久訳)『チェリストの物語』(春秋社)を読む。
 主にモノラル期に活躍したグリラー四重奏団のチェロ奏者による回想録で、1996年に没した著者が、1986年に遺した録音テープから原稿をまとめたものとのこと。
 さほどの分量・内容はなく定価2,200円は少し割高に感じられるが(汗)、斉諧生的には、カザルスに関する回想が重要。
 著者はカザルスと25年間に及ぶ親交があり、彼からトリル奏法のコツを教わったことが繰り返し語られている。そして、カザルスの最期について、次のように記録する。

 最後の発作のあと、彼はプエルトリコのサンフアンにある病院に入院し、たしか二週間ほど昏睡状態が続いた。聡明で美しいマルティータは、意識が戻ったら聴かせようと、ブラームスの交響曲第四番のテープをいつでも再生できるよう準備していた。
 ようやく意識が戻ったので、彼女はイヤホンをつけさせてテープを再生した。するとカザルスは指揮を始めた。そしてそのまま息をひきとったのである。

 彼の最期の音楽がバッハではなかったとは意外の感もあるが、もしかしたら、自演のブラームスだったのかもしれない。
 …であれば、ぜひCD化してもらいたい、と考えてしまうのは音盤狂の業であろう(自嘲)。

 

クラウディオ・アラウ(P) ジュリアードQ ほか
フランク;P五重奏曲 ほか(DOREMI)
全盛期のジュリアードQによるフランク! 聴かざるべからず!!
1963年12月19日、アメリカ議会図書館クーリッジ講堂でのライヴ録音である。
この日は、最初にベートーヴェン;弦楽四重奏曲第12番よりアダージョが、前月22日に暗殺されたケネディ大統領の追悼に捧げられ、そのあと標記フランク作品、休憩を挟んでシューベルト;五重奏曲「鱒」が演奏された(後者のCbはジュリアス・レヴィーン)。
CD2枚組のもう1枚には、
モーツァルト;P三重奏曲第5番 K.548
ドヴォルザーク;P五重奏曲第2番 op.81
が収められている。こちらは1964年12月12日のライヴ録音で、モーツァルトのVnパートはイシドア・コーエンが担当している。
 
サイモン・スタンデイジ(Vn) シャレフ・アド・エル(Cem) トマス・フリッチュ(Gamb)
バッハ;Vnソナタ全集(ram)
バロック・ヴァイオリンの名手として知られるスタンデイジによるバッハの通奏低音付きソナタ。こういう音盤があったとは気づいていなかった。1999年11月の録音という。
著名なわりにはあまり蒐めていない人だが、この曲集ゆえ聴いておきたいと思い購入。
通常、ヴァイオリンとチェンバロで演奏されるが、ここではヴィオラ・ダ・ガンバを加えて通奏低音を補強している。
 
ザビーネ・ザイフェルト(Fl) 渡辺由美子(P)
ボニス;Flソナタ ほか(ALM)
「フランス女性作曲家 メル・ボニスに捧ぐ」というアルバム・タイトルを見て、ピンと来た。
…きっと、リリー・ブーランジェ作品を収録しているに違いない!
案に相違せず、夜想曲春の朝にが含まれていた。(^^)
ボニスは、1858年生れ・1937年没。パリ音楽院でギローに作曲を学び、ピアノ曲を中心に室内楽曲、歌曲、合唱曲、管弦楽曲等を遺しているという。
このCDには彼女のFlとPのための作品全曲〜といっても標記ソナタと小品4曲にすぎないが〜を収め、更にブーランジェとシャミナードという同時代の女性作曲家2人、またゴーベールドビュッシーフォーレの作品を演奏している。
Fl奏者はベルリン生れ、1989年から日本に住み、コンサート・放送・録音・教育に活躍しているとのこと。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮) パリ・フィル ほか
オッフェンバック;喜歌劇「地獄のオルフェウス」(Regis)
なぜかレイボヴィッツのオペレッタ録音が続けざまに廉価盤CDで覆刻された。
先だっては「美しきエレーヌ」が、そして今回の「地獄のオルフェウス(天国と地獄)」。
ブックレットに録音年が「1951年」と示されており、これまでディスコグラフィで空白にしていた項目を埋めることができるのは喜ばしい。
音質の方はやや古めかしく、強奏に歪みがみられる。
CD2枚組の余白には、ユシー・ビョーリン(ユッシ・ビョルリンク)マギー・テイトローレンス・ティベットら往年の名歌手による、12のアリア(もちろんオッフェンバック作品)が収められている。
 
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) BBCフィル ほか
フォーレ;レクイエム・ラシーヌの雅歌 ほか(CHANDOS)
期待する指揮者の1人、トルトゥリエがフォーレのレクイエムを録音してくれた。しかも愛惜佳曲書に掲げた「ラシーヌの雅歌」をフィルアップしてくれている。
誠に嬉しい限り、録音情報に接して以来、リリースを待ちかねていたがようやく店頭に並んでいたので、即購入。
合唱はバーミンガム市響合唱団、合唱指揮はサイモン・ハルシー
フィルアップはもう2曲あり、パヴァーヌ「ヴィーナスの誕生」が演奏されている。
2003年2月、マンチェスターでの録音。

11月22日(土): 

 

ユッシ・ヤラス(指揮) アイスランド響
レイフス;サガ交響曲(アイスランドITM、LP)
ヤラスの未架蔵音源がArs Antiquaのカタログにあったのでオーダーしたもの。
ヨウン・レイフス(1899〜1968)は、20世紀アイスランドで最も重要な作曲家とされる人。
交響曲第1番ともされる「サガ・シンフォニー」は、近年、ヴァンスカ盤(BIS)が出たが、そもそも初演(1950年、ヘルシンキ)をヤラスが指揮したという。
1975年9月、レイキャビクでの録音。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル
ムソルグスキー(ラヴェル編);展覧会の絵(独DGG、LP)
英廉価盤しか架蔵していなかった、マルケヴィッチの「展覧会」旧盤、10インチLPがArs Antiquaのカタログに安価で出ていたのでオーダーしたもの。たぶん初出の形ではないかと思う。
1953年2月、ベルリン、イエズス・クリストゥス教会での録音。
 
ポール・パレー(指揮) デトロイト響
「フランス序曲集」(米Mercury、LP)
パレーのステレオ盤中、未架蔵だった序曲集が安価でArs Antiquaに出ていたのでオーダーしたもの。
エロール;「ザンパ」
オーベール;「王冠のダイアモンド」
トーマ;「ミニヨン」・「レーモン」
ボワエルデュー;「白衣の貴婦人」
アダン;「我もし王者なりせば」
の各曲を収録している。
パレーのLPとしては格安だったのだが、なるほどカタログの説明どおり、盤面にプレス時に発生した凸が多数発生している。ちょっと残念。
 
ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn & 指揮) コンセルトヘボウ室内管 ほか
バッハ;Vn & Ob協 & チャイコフスキー;「フィレンツェの思い出」 ほか(蘭VERENIGDE SPAARBANK、LP)
このところ蒐集しているツヴェーデンの音盤で未架蔵のものがArs Antiquaに出ていたのでオーダーしたもの。
どうもアムステルダムの銀行による自主製作盤のようなのだが、オランダ語が読めないので来歴がわからない(汗)。
ハン・デ・フリース(Ob)と共演してのバッハと、チャイコフスキー作品のほか、19世紀オランダの作曲家とおぼしいファン・ブレー(原綴 "van Bree" )の弦楽のためのアレグロを収録。
1986年12月の録音。
 
ライナー・クスマウル(Vn) ロルフ・ユングハンス(Fp)
モーツァルト;Vnソナタ K.454 & K.526(独TOCCATA、LP)
ベルリン・フィルのコンサートマスターを退任した後も名声赫々、トッパン・ホールでは、「ライナー・クスマウル・プロジェクト」と銘打ったシリーズも開催されている。
彼の中音域が充実した暖かい音色は好きなのだが、音盤は数多く、なかなか全部集めるというわけにもいかない。
今回、Ars Antiquaのカタログに好きなK.526が出ていたのでオーダーしたもの。
1980年頃の録音。
使用楽器は複製ではなく、オリジナルの古楽器で(ちょっと変な言い方だが)、ヴァイオリンは1794年にニュルンベルク、フォルテピアノは1795年頃のウィーン製とのこと。
 
ジャン・ルイ・ジル(Org)
「オルガンによるフランスのノエル」(仏EMI、LP)
昨日のヴィエルヌに続き、浮月斎大人「レコード芸術」誌で紹介しておられた音盤。
溢れんばかりの生命力に満ちており、力強い輝きと可憐さを併せ持つ表情豊かな演奏が愉しめる。
と、また、管風琴音盤百選でも
剛毅とさえ言える溢れんばかりの清澄な生命力、そして格調高い輝きに満ちており、オルガンの古典演奏における至福の喜びとは何かを教えてくれる1枚である。
と絶讃しておられる。
御紹介の音盤中、最も聴きたいと思ったものだが、CD化されていないとのことで諦めかけていたところ、Ars Antiquaに在庫があるのを見つけ、オーダーしたもの。
コレットダカンバルバストルらによる作品を収録している。
録音データが明記されていないが、マルPは1973年となっている。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響 ほか
ベートーヴェン;歌劇「フィデリオ」(米Gramophone、LP)
Ars Antiquaのカタログに、イッセルシュテットの「フィデリオ」全曲盤というのが掲載されていたのでオーダー。
ところが届いた現物には、演奏者名が明記されていない。ただ "National Opera Singers and Orchestra" 、"Recorded in Europe" とあるのみ。
カタログに記されている独唱者名と1948年というデータからすると、ディスコグラフィにデータを掲げた抜粋盤CDと同じ音源のようである。
LP2枚組で、第4面には「レオノーレ」序曲第1・2番が収録されており、おそらく「全曲」ではないと思うが、詳細は未確認。
箱や盤の造りも粗雑で、現状も芳しくないが、音は意外にしっかりしており、正規に発売されれば高く評価されるかもしれない。

11月21日(金): 

 

グィド・カンテルリ(指揮) NBC響
「NBC放送録音集」(TESTAMENT)
カンテルリが遺した放送用録音が、TESTAMENTレーベルから大量に覆刻されつつある。
既にCD4枚組が2巻、発売されており、近日中に第3巻が出るという。
これはその第1巻に当たるもので、1949年12月下旬〜1950年1月半ばの約3週間に行われた4回の放送を、各CD1枚に収めている。
主要な曲目は、
チャイコフスキー;交響曲第4番(1949年12月24日)
ハイドン;交響曲第94番「驚愕」
ストラヴィンスキー;組曲「夜鶯の歌」(以上12月31日)
モーツァルト;交響曲第29番
ヒンデミット;交響曲「画家マティス」(以上1月7日)
ベートーヴェン;交響曲第7番(1月14日)
見れば買う曲であるヒンデミットや、彼のスタジオ録音(フィルハーモニア管)を同曲ベスト盤に数えているモーツァルトなど、強く心惹かれるセットである。
4枚組というので買いそびれていたのだが、今回、某オークションに安く出ていたので落札したもの。
 
アルバロ・カッスート(指揮) アルガルベ管
アリアーガ;交響曲 & セイシャス;シンフォニア ほか(NAXOS)
以下はJPCから届いたもの。
愛惜佳曲書に掲げたアリアーガ作品の新譜がNAXOSから出るという。
このレーベルはローカルリリースだと国内盤が出ない虞があるので、取り急ぎオーダーしたもの。
もっとも↑は杞憂で、国内リリースもされているようだ。
指揮者はポルトガル生れ、1960年代にブーレーズ等に作曲を学び、のち指揮に転じて、カラヤンラインスドルフに師事、アメリカ響ストコフスキーの副指揮者を勤めたのを振り出しに、欧米の各種オーケストラを渡り歩き、1986年から生国に活動の本拠を移したようだ。
オーケストラは、2002年、ポルトガル南岸地方に創設されたばかりの若い団体で、楽員は31名、2管編成とのこと。
少し聴いた範囲では、とても出来立てとは思えない優れた合奏体。NAXOSでは、今後、このオーケストラでスペインやポルトガルの音楽を録音していく予定という。
標記2曲以外に、アリアーガ;序曲「幸福な奴隷」ほか3曲を収める。
2002年9月、アルガルベ地方ファロ市での録音。
 
カザルス四重奏団
アリアーガ;弦楽四重奏曲全集(HMF)
これもアリアーガの新録音。
いち早くJPCにオーダーしたのだが、郵送されている間に国内の音盤屋にも入荷したようだ。
1997年、マドリッドのソフィア王妃音楽大学で結成された、まだ若い奏者達による団体で、ここ数年、ヨーロッパ各地の室内楽コンクールで高い成績を収めているとのこと。
少し聴いた範囲では、なかなかに美しい音で、演奏も立派。
2003年5月、スペインでの録音。
 
マリア・イザベル・シーワース(G) ほか
ヒナステラ;室内楽曲全集第5巻(ASV)
ヒナステラのギター・ソナタが佳いと聞き、JPCで検索したところ、既に何枚かを架蔵しているASVの全集に収録されているものが見つかったのでオーダーしたもの。
ソプラノ・Fl・Vn・Hp・打楽器による「ツクマン(Tucuman)の歌」、無伴奏Vcによるプネーニャ第2番、Flと弦楽四重奏による「プナ平原の印象」など、様々な編成による作品9曲を収める。
 
ジェームズ・エーネス(Vn) ミラ・ワン(Vn) 清水直子(Va) ヤン・フォーグラー(Vc) ルイス・ロルティ(P)
シューマン;P五重奏曲 & フォーレ;P五重奏曲第2番(Sony Classical)
ドイツ系Vc奏者の中で最も期待しているフォーグラーの新譜が出たというのでオーダーしたもの。
彼が主宰するモーリッツブルク音楽祭において、2003年夏に録音されたとのこと。
特にフォーレは、以前、中古音盤堂奥座敷で採り上げて以来、愛好して已まない曲ゆえ、大歓迎である。
なお、モーリッツブルクはドレスデンから北西15kmほど、湖岸の美しい古城で知られ、この音楽祭もその城館を会場に開かれている。
 
オリヴィエ・ラトリ(Org)
ヴィエルヌ;幻想小曲集(BNL)
『レコード芸術』誌の9・10月号に浮月斎大人が登場され、フランスのオルガン音楽について「語りおろし」ておられた。
2月合計で57枚の音盤が紹介された中で、最も気になったのがP五重奏曲等を愛聴しているヴィエルヌ。
オルガンのための交響曲が有名だが、大人によれば「冗長な半音階で聴き手に無用の忍耐を強いる」、むしろ、この曲集がヴィエルヌらしい魅力溢れる作品とのこと。
御推奨のラトリ盤をJPCにオーダーしたもの。
1998年4月、パリのノートルダム大聖堂で録音された2枚組。

11月20日(木): 

 

ポール・トルトゥリエ(Vc) アンタル・ドラティ(指揮) BBC響 ほか
シューマン;Vc協 & ヒンデミット;Vc協(BBC LEGENDS)
このところ新譜目白押しのBBC LEGENDSレーベル、興味を惹かれるものが多いのだが、なかなか全部は買い切れない。
とはいえトルトゥリエのライヴとあらば、買わざるべからず。
ドラティが付けているのはシューマンのみ、ヒンデミットはエドワード・ダウンズ(指揮) ニュー・フィルハーモニア管による。
ライナーノートにヤン・パスカル・トルトゥリエが先考の想い出を寄稿している。
シューマンは1962年11月11日、ヒンデミットは1967年12月8日、いずれもBBCスタジオでのモノラル録音。
ヒンデミット作品を採り上げたマスタークラスの録音13分強をフィルアップしており、トルトゥリエの力強い声を聴くことができる。
 
トリエステ・トリオ
シューベルト;P三重奏曲第1番 & ノットゥルノ(NUOVA ERA)
知名度こそ低いものの、名人と称えてしかるべきチェリスト、アメデオ・バルドヴィーノ
彼のバッハ;無伴奏組曲集(fontec)は是非聴かれてほしいが、音盤としては、むしろ、この三重奏団でのものが多いと思われる。
DGG専属だったと思っていたら、イタリアのマイナー・レーベルに遺しているのを中古音盤屋で発見、直ちに購入。
1989年9月20〜22日に録音されたものという。
 
藤田容子(Vn & Va) 雄倉恵子(P) ほか
シューベルト;幻想曲 & アルペジオーネ・ソナタ ほか(AEOLUS)
これは某オークションで落札したもの。
標記2作品はいずれも偏愛の曲、入手せざるべからず。
実は疾うに架蔵しているつもりだったのだが、出品されているのを見かけ、念のためチェックしてみたところ、勘違いであることがわかった(汗)。
エルガー;愛の挨拶コレッリ;ラ・フォリアタナー;カプリッチョをフィルアップ。
なお、コレッリ作品で安田謙一郎(Vc)が通奏低音に参加している。
1991年4月、石橋メモリアル・ホールでの録音。
 
チョン・キョンファ(Vn) チョン・ミュンフン(P)
ブラームス;Vnソナタ第3番 & グリーグ;Vnソナタ第3番 ほか(Wo Music)
時々某オークションで見かけるチョン姉弟のライヴ盤。
音源の正統性に疑問が残るのと、いつも結構な値が付くのとで、入手せずにいたところ、中古音盤屋で格安のものを発見、とにもかくにも購入してみた。
中味はCD-Rではなく通常のCDだったが、音質はやや頼りない。
ヴィヴァルディ;Vnソナタ イ長調ラフマニノフ;2つの小品・ヴォカリーズクライスラー;スペインのセレナードをフィルアップ。
ヴォカリーズとクライスラーはアンコールで、曲名を告げるヴァイオリニストの声も収められている。
1993年8月16日、ソウル・アート・センターでの録音とのこと。
 
ヴィクトリア・ムローヴァ(Vn) ブルーノ・カニーノ(P)
ストラヴィンスキー;ディヴェルティメント & ラヴェル;Vnソナタ ほか(Philips)
昨年初めに出版された渡辺和彦『ヴァイオリニスト33』(河出書房新社)で、ムローヴァの「もっとも成功したアルバムのひとつ」と紹介されていたCD。
ピアノが贔屓のカニーノということもあって、ずっと捜していたのだが、意外に見つからないもので、困っていた。
ほとんど諦めかけていたのだが、今日ふと立ち寄った中古音盤屋の棚に、さり気なく並んでいたので吃驚、直ちに購入。
標記2曲のほかプロコフィエフ;Vnソナタ第2番をカプリング。
1989年4月、ロンドンでの録音。
 
ライナー・キュッヒル(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(PLATZ)
近頃としては珍しく国内盤新譜を即購入(苦笑)。
言わずと知れたウィーン・フィルのコンサートマスターが、どんなバッハを演奏するのだろうか、興味津々。
2003年4月、ウィーンでの録音。教会かどこか、ずいぶん残響の多い会場である。
 
木野雅之(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタ第1〜3番(EXTON)
先日パルティータ集を買った木野氏のバッハ、今月の新譜でソナタ集が出ていた。さっさと購入してしまうことにする。
録音は、パルティータ集と同じ2003年6月10〜12日、秩父ミューズ・パーク。
 
ホセ・ファン・ダム(Br) ジャン・クロード・カサドシュス(指揮) 国立リル管
マーラー;「亡き子をしのぶ歌」 ほか(FORLANE)
贔屓の指揮者の1人JCCの未架蔵盤、中古音盤屋で格安のものを見つけ、購入。
収録曲は、
子供の不思議な角笛より「死んだ鼓手」・「少年鼓手」
リュッケルトの詩による5つの歌(以上7曲は、1905年に一括して「7つの歌」として出版されている。)
亡き子をしのぶ歌
録音は、1986年4・11月。

11月17日(月): 

 

若杉弘(指揮) 東京都響 ほか
マーラー;大地の歌(fontec)
少しずつ中古盤で集めている若杉氏のマーラー全集、「大地〜」が某オークションに安く出ていたので落札。
氏の同曲は、たしか京都市響で聴いたことがある。まだ京都会館で定期演奏会を開いていた頃だから、昭和60年前後ではなかったか。
これは1991年10月18日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
独唱は、伊原直子田代誠による。

11月16日(日): 

 

カルロス・クライバー(指揮) バイエルン国立管
ベートーヴェン;交響曲第6番(Orfeo)
実に久しぶりにクライバーの正規盤(本人が発売を承諾したもの)が出たというので、早速買ってみる。
既にネット上に賛否両方の評が登場しているようだ。
聴いてみて残念なのは、音質に問題があること。特に弦合奏の音色がガサガサしている。
何でもオーケストラが保存していたテープの劣化が激しく、CDは指揮者の息子さん用に作製されたカセットテープからマスタリングされたという。
彼の演奏は、聴けるだけでも有り難いとせねばならないが、これではチト情けない。
1983年11月7日、バイエルン国立歌劇場での録音。
 
武久源造(指揮 & Cem) コンヴェルスム・ムジクム
バッハ;ヨハネ受難曲(ALM)
買いそびれていた武久さんの指揮盤が、音盤屋の15%引きコーナーに並んでいたので、シメシメと購入。
いつもどおり浩瀚なライナーノートを自分で執筆しておられ、特に声楽の編成をめぐる論争について、詳しい。
結果としては、福音史家とイエズスを各1人、合唱は各声部2人ずつ、計10人という編成で歌われている。
2001年4月11日及び7月8日、トッパン・ホールでの録音。4月の分は、受難節中のライヴ、
心底を強く揺り動かされ、私は演奏の最中に激しい落涙をどうすることもできなかった。
という。

11月15日(土): 

 

ジュリアン・ブリーム(G)
ブリテン;ノクターナル & 武満徹;すべては薄明のなかで(EMI)
先々月17日山下和仁盤の購入記事を書いたブリテンの名作「ノクターナル」。
作曲に深く関わり、献呈され、初演したブリームの演奏で是非聴きたいと、この盤と旧盤(BMG)を探し回ったところ、amazon.deのMarketplaceで見つけた。
すぐオーダーしたのだが、ほとんど2月かかって到着(苦笑)。まあ、送料は安かったが…。
標記2曲のほか、マルタン;4つの小品ブローウェル;ソナタルトスワフスキ;民謡をカプリングしている。特にマルタンは好きな作曲家なので期待高し。
1992年9〜10月の録音。

11月14日(金): 

 

クラウス・テンシュテット(指揮) ロンドン・フィル ほか
ベートーヴェン;交響曲第9番「合唱」(BBC LEGENDS)
発売以来、Syuzo.comClassical CD Information & Reviewsなどで高く評価されているテンシュテットの「第九」をようやく購入。
上記のレビューでは、
自らの持てる技量の粋を尽くした集大成的名演であり,世に数え切れないほど存在するこの作品の録音の中にあっても,演奏の練達度,解釈の説得力,表現内容の高さのいずれの面においても類い希なレベルに達した,掛け値なしにトップランクの名演
・・・第1楽章から、熱いものがこみ上げてくるのは小生だけか? これだけ、感動と興奮をもたらす第9を聞いたことがあるか?(略) 第1楽章から夢中で第9を追い込み、感動的な演奏を繰り広げてゆくテンシュテットの姿とその想いを想像するだけで、小生は熱くなってしまう。冷静には聞いていられない第9が、圧倒的な感動で押し寄せてくる。
とのこと、聴く前から否応なく期待が高まるというものだ。
1985年9月13日のロイヤル・アルバート・ホール、所謂「プロムス」でのライヴ録音である。
 
井上道義(指揮) 新日フィル
マーラー;交響曲第6番(EXTON)
井上氏のマーラー;第6は、1988年録音のロイヤル・フィル盤があり、この曲の聴き比べの際に、時間が許せば採り上げたい個性的な演奏として印象に残っている。
2000年3月9日、すみだトリフォニー・ホールでのチクルスの一環としてライヴ録音された演奏が発売され、これも是非聴かねばと思っていた。
ただ当分品切の心配もない国内盤新譜2枚組ゆえ、後回しにしていたところ、幸い某オークションに安く出品され落札したもの。
たしか、このコンサートで用いられたハンマーは、指揮者自作ということではなかったか。
 
リチャード・ヒコックス(指揮) ロンドン響 ほか
RVW;交響曲第4番 ほか(CHANDOS)
先だってプレヴィン盤を買ったばかりの第4番、最新録音のヒコックス盤が某オークションに安く出品されていたので落札したもの。
ミサ曲 ト短調戦時に歌われるべき6つの合唱曲をカプリング。後者は世界初録音とのこと。
 
木野雅之(Vn)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第1〜3番(EXTON)
EXTONレーベルからは久保田巧さんのソナタ第1〜3番が出たばかりだが、今度はパルティータを木野さんで出してきた。
この人についても音盤が出るたびに買ってきている。上記テンシュテット盤で音盤店のポイントが満点になり、それで交換したもの。
2003年6月10〜12日、秩父ミューズ・パークでの録音。同時にソナタ第1〜3番も収録されたとライナーノートにあり、リリースが待たれる。
SACDハイブリッド盤。

11月13日(木): 

 

エド・デ・ワールト(指揮) オランダ放送フィル
マーラー;交響曲第6番(BMG)
一時期、安価で話題になったワールトのマーラー全集、好きな曲だけ、ポチポチと買い揃えており、3番と9番が架蔵済み。
その次に好きな第6番が某オークションに出品されていたのでオーダーしたもの。
1994年3月19日、コンセルトヘボウで録音された2枚組。

11月11日(火): 

 

アンヘル・フイドブロ(指揮) バラドリッド・アコーディオン・グループ
ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110 ほか(TAÑIDOS)
久しぶりに音盤屋が開いている時間に退勤できたので、乗換駅近くの店を冷やかしたところ、ワゴン・セールの中に妙なCDを発見。
ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第8番のアコーディオン合奏編曲版で、"op.110b"などと記されているが、もちろん正式な番号ではない。
同種楽器のアンサンブルであれば、それなりにまとまった響きが得られているだろうし、このような一般向きでない曲を敢えて録音するからには、自信と気合のこもった演奏を期待できるのではないだろうかと、レジへ持っていった。
調べてみると、工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページにも記載されていないので、やはり珍品か。
編曲は指揮者(原綴"Angel Huidobro"、片仮名表記はいい加減なもの)による。ライナーノートも指揮者自撰、アンサンブルの連絡先電話番号まで記されており、あるいはプロモーション用に製作されたものか。
ジャケット裏には指揮者と12人の奏者が写っているが、音を聴くかぎり、12台が鳴っている感じはしない。
アルビノーニ;アダージョビゼー;組曲「アルルの女」ミヤスコフ;ウクライナ舞曲をカプリング。
録音データが明記されていないが、マルPは1997年とされている。

11月9日(日): 

 オーレ・エドワルド・アントンセン & ファッサン・ラスロ デュオ・リサイタルを聴く。
 アントンセンの実演は、3年前にシンフォニー・ホールでウェイン・マーシャルとの共演を聴き、エスプレッシーヴォの極みを示したガーシュウィン;サマータイムの超名演に、腰が抜ける思いをした。
 あの感動を再び…と願って足を運んだ先は、びわ湖ホール
 何とも残念なのは、わずか300席ほどの小ホールでの公演、しかも、それでも客席の入りは半分ほどであったこと。(涙)

曲目詳細は演奏会出没表を御覧いただきたい。
まず1曲目のヴィヴィアーニ作品からして、気品高い音色が仄かな哀しみに裏打ちされ、第一級の音楽が、そこに在った。
斉諧生の席は、前から4列目の中央。ほとんど「直撃」される位置だったのだが、まったく「うるささ」を感じない。
 
エネスコ作品からは陰の濃い劇性が、グリーグの旋律には胸一杯の懐かしさを聴くことができた。
 
とにかく、この人の音色の多彩さ、美しさ、優しさ、柔らかさには、舌を巻くほかない。
トランペット=喧しい、という図式とは、まったくの正反対。雄壮に吹き抜く場面でさえ、うるさくならないのである。
 
日頃は聴くことのないTrpの現代作品も数曲が演奏されたが、中ではプラッジ(Plagge、プラッゲとも)という現代ノルウェーの作曲家(1960年生)のソナタが面白かった。
現代的ながらプレーンな書法から緊張感に満ちた音楽が紡ぎ出されてゆく…と聴いていると、最後に弱音器を付けたトランペットが、静謐なコラールを奏で、非常に印象的に曲を閉じる。
この曲は是非CDでも聴いてみたいと思ったら、ちゃんとノルディックサウンド広島のWebpageに特筆されていた。
終結の旋律は、ルネサンス期の名曲「インスブルックよ、さらば」とのこと。
 
プログラムに「即興演奏」と書かれていたところで、アントンセンのソロかと思ったら、ピアニストもステージに現れたので、驚いた。
蓋を開ければ、クラシカルな技法による即興ではなく、ジャズのインプロヴィゼーション。
ラスロはオルガンが専門で即興がきく上、ジャズや現代音楽にも積極的に取り組んでいるそうだ。
「枯葉」「雪の降る町を」「A列車で行こう」の3曲が、あるいは哀しく、あるいは寂しく、そして楽しく演奏された。
 
アンコールも、「あんたがたどこさ」によるセッション。
冒頭、アントンセンが、ピアノの中にロング・トーンを吹き込むと、微細な響きが残るのが、面白かった。
 
まことに素晴らしい音楽に満たされた演奏会であったのに、入りが寂しかったのは本当に勿体ない。アントンセンが、また来るときには、是非、足をお運びいただきたいと願うものである。

 

倉田澄子(Vc) 野平一郎(P)
フォーレ;Vcソナタ第1番 & フランク;Vcソナタ ほか(fontec)
斎藤秀雄の、トルトゥリエの高弟として著名な演奏者による「フランスへの想い」と題したアルバム。
標記の両名曲もさることながら、楽しみなのは、トルトゥリエの手になる小品2曲(エレジーピシュネット)を収録していること。
更にクープラン;演奏会用小品集ラヴェル;ハバネラ形式の小品をカプリング。
2003年3月、同じプログラムのリサイタルの後に録音されたという。
 
花岡和生(Rec) ほか
「ディヴィジョン・リコーダー」(TROUT)
曲・演奏・録音・装幀のすべてが美しく、いつも楽しみな花岡氏のプライヴェート・レーベルの新譜が出るというので、待ちかねて購入。
1706年にイギリスで出版された曲集から17曲を収めている。
テオルボ(金子浩)、ヴィオラ・ダ・ガンバ(福沢宏)が静かに繰り返す低声部の上を、リコーダーが変奏を展開してゆくという形の楽曲ばかりとのこと。
2002年12月・2003年3月の録音。

 昨日・今日の演奏会の情報を演奏会出没表に追加。


11月8日(土): 

 長谷川陽子・チェロ・リサイタル神戸学院大学「グリーン・フェスティバル」を聴きに行く。
 長谷川さんは、ここの「レジデント・アーティスト」の一人として、定期的に来演されており、昨年秋から5回にわたって、自選された10曲のVcソナタを演奏されるという、その2回目。

今回はロシアもの特集ということで、
プロコフィエフ;Vcソナタ
ラフマニノフ;Vcソナタ
をメインに、
チャイコフスキー;アンダンテ・カンタービレ
プロコフィエフ;行進曲(「3つのオレンジへの恋」より)
を中に挟むという取り合わせ。
ピアノは寺嶋陸也氏。
 
長谷川さんの演奏は、音程・音色・ボウイング、すべてに安定しており、特に腰の入った歌い込みがロシア音楽の粘っこさに合致して、非常に素晴らしい音楽となっていた。
 
とりわけ良かったのがラフマニノフで、第1楽章の序奏の大きく深い呼吸に、まず心を打たれた。
主部に入っても、曲が手の内に入っているというのか、また、気分も乗っていらっしゃったのか、自在な歌い回しが聴き手の「つぼ」を衝く。
斉諧生の耳には、寺嶋氏のピアノの響きは多少雑然と聴こえたが、音楽の作り方やチェロと掛け合うイキに関しては、さすがの練達ぶりを示された。
中でも第4楽章の白熱した盛り上がりは最高。
 
チャイコフスキー作品も、同様に歌心に満ちた節回しと朗々とした音色、心に沁みた。
 
口惜しいのは、会場へ赴く途中で用足しを入れたところ、思いの外に時間を取り、開演に数分遅れてしまって、プロコフィエフのソナタをロビーで聴く羽目になったこと。
貧弱なスピーカーから流れてくるステージの音は、やはり上乗の出来映えを窺わせ、まだレコーディングのない曲目だけに、聴き逃したことが悔やまれてならない。
 
アンコールにはスクリャービン;ロマンスショスタコーヴィッチ;Vcソナタより第2楽章
後者はラフマニノフの終楽章同様、一気呵成の勢いに乗った、躍動し生命感のある見事な音楽。全曲を是非聴いてみたい。
 
もう1曲、鳥の歌が演奏されたが、これには少し注釈が必要。
ここのコンサートの通例で、休憩時間中に演奏者への質問を募り、再開後にインタビューするコーナーがある。
その中に、この曲をアンコールに求める声があったとのこと。
司会者からは「ポピュラー小品でも、プロの演奏家は、さらわずには客に聴かせないもの。この種のリクエストには応じられません」という説明だった。
ところが、最後になって、演奏者側から「即興ということで御理解いただけるなら…」と、伴奏譜無しで(!)弾かれることに。
このカタロニア民謡でも熱のこもった歌い込みが素晴らしかったが、斉諧生の好みとしては、天空高く舞いあがった鳥が「平和!」とさえずるには、もっと力を抜いた「軽み」が必要ではないかと感じられた。

11月7日(金): 

 

アンドレ・プレヴィン(指揮) ロンドン響
RVW;交響曲第3・4番(BMG)
ヴォーン・ウィリアムズの交響曲の中では、第4番がもっとも聴き応えのある作品ではないかと思っている。
プレヴィン若き日の録音が、某オークションに安価で出品されていたので落札したもの。

11月6日(木): 

 

ポール・トルトゥリエ(指揮 & Vc) スコットランド室内管
バッハ;管弦楽組曲第3番 ほか(EMI)
父トルトゥリエは、指揮盤を4点、遺している。
これは、そのうち未架蔵であったバロック管弦楽曲集。
1976年、グラスゴーで録音されたもので、標記バッハ以外に、フランソワ・クープラン(ウーブラドゥー編);コンセール第8番同(バゼレール編);演奏会用小品集を収める。
後者は、原編曲どおり、独奏Vcと弦楽四重奏による演奏である(通常、弦楽パートをピアノに置き換えて演奏されることが多い)。
長年、追い求めていたものだけに、某オークションに超安価で出品されているのを見つけたときは眉に唾して、思い切った価格で応札したところ、幸運にも開始価格のまま落札できた。

11月3日(月): 

 

鈴木秀美(指揮、Vc) オーケストラ・リベラ・クラシカ
ハイドン;交響曲第23・46番・Vc協第2番(TDK)
3か月に1度のペースで演奏会を開き、そのライヴ録音を次の演奏会で販売するというサイクルで活動するこの団体の、第6回のコンサートがCDになった。順調に推移しているのは同慶の至り。
いつも彼らの音楽は生気懍懍、今回も期待して購入。
2003年7月4日、浜離宮朝日ホールでのライヴで、アンコールのヴァンハル;交響曲ホ短調より第2楽章をフィルアップ。
 
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮) ザールブリュッケン放送響
ベルリオーズ;幻想交響曲 ほか(OEHMS)
去る10月29日、大阪フェスティバル・ホールで、彼らの来日公演がありブルックナー;交響曲第8番が演奏された。
演奏者といい曲といい、参ぜざるべからざるコンサートであったのだが、折悪しく本業の超繁忙期に当たり、遂に叶わなかったのは痛惜の極み。
さて、「ミスターS」の「幻想」にはロンドン響を指揮したCHANDOS盤があり、彼の音盤の中でもベスト5に入るであろう見事な出来だった。
今回の録音にも期待したい。
愛の情景(劇的交響曲「ロミオとジュリエット」第2部より)をカプリング。
交響曲は2002年11月、「ロミオ〜」は2003年6月の録音。
 
ダヴィード・オイストラフ(Vn) ほか
「太陽の窓」(NVC、DVD)
オイストラフの生涯を、演奏映像と、イーゴリ・オイストラフロストロポーヴィッチクレーメル等のインタビューで構成したドキュメンタリー。
かねて視たかったところ、廉価(3,800円)で期間限定発売されたというので購入に踏み切った。
監督はブリュノ・モンサンジョン

11月2日(日): 

 Berkshire Record Outletから荷物が届く。欠品もなく、またケースがカットされているのは11点中2点のみと、ここも随分使いやすくなってきた。なお、このほど開設5周年を迎えられたAn die Musikさんで、店舗の様子が紹介されている。

ロジャー・ノリントン(指揮) シュトゥットガルト放送響
ベートーヴェン;交響曲第5・6番(hänssler)
数年前、ネット通販に手を染めはじめた頃と違って、バークシャーでもかなり新しい盤が手に入るようになった。
もちろん、どんなレーベルでもというわけにはいかないが、今回のオーダー時に検索していて、サカリ・オラモシベリウス(ERATO)が何点か見つかったのには驚いた。
ノリントンのhänssler盤も、店頭に並んだのは今年だったか。バラで揃えると嵩張るし、割安な箱物の全集でも出れば買おうかと思って控えていたのだが、店頭価格の半分程度だったので、オーダーした。もっと早く気づいていたら、他の曲も入手できたかもしれない。
2002年9月3日、シュトゥットガルト、ベートーヴェン・ザールでのライヴ録音。
 
ロジャー・ノリントン(指揮) シュトゥットガルト放送響
シューベルト;交響曲第9番 ほか(hänssler)
ノリントン、続く。
新譜の時期に、ネット上で熱烈な讃辞を拝読して、ずっと気になっていたもの。その記事を捜しているのだが、どうしても見つからない。残念。
序曲「魔法の竪琴」(=「ロザムンデ」序曲)をフィルアップ。
交響曲は2001年7月18〜20日、序曲は2002年5月3日にベートーヴェン・ザールで録音されたもの。
 
ハンス・フォンク(指揮) ハーグ・レジデンティ管
ブルックナー;交響曲第6番(Vanguard)
昔からよく店頭やワゴン・セールで見かけていた盤だが、フォンクにはあまり感心したことがなかったので手を出さずに来たが、ともかくもブルックナーは色々な指揮者で聴いてみようとオーダーした。
録音年月は明記されていないが、1980年代中頃のものか。
なお、フォンクのブルックナーには、セントルイス響を指揮した第7番(1997年録音、セントルイス響自主製作)があった。
 
レイフ・セーゲルスタム(指揮) デンマーク国立放送響
マーラー;交響曲第7・9番(CHANDOS)
セーゲルスタムは、最近のシベリウス演奏(実演・音盤とも)に感心しており、1990年代に遡って集めてみようと考えている。
当盤は、1991年9月(第9番)・11月(第7番)、コペンハーゲンのデンマーク放送コンサート・ホールで録音されたもの。
CD3枚組に2曲を収めて6ドル弱という徳用。
 
マレク・ヤノフスキ(指揮) フランス放送フィル ほか
ショーソン;交響曲 ほか(Virgin)
見れば買い集めているショーソン作品の未架蔵盤をオーダー。
1997年1月の録音。
2枚組の廉価盤で、
イェフディ・メニューイン(指揮) ロイヤル・フィル
ベルリオーズ;幻想交響曲・序曲「ローマの謝肉祭」
ユッカ・ペッカ・サラステ(指揮) スコットランド室内管
ビゼー;交響曲第1番
をカプリング。
オリジナルのヤノフスキ盤が、どういうカプリングだったのかが知りたくなったのだが、レーベルのオンライン・カタログオーケストラの公式Webpageで検索しても出てこない。気になる気になる…。
 
ジェイムズ・デプリースト(指揮)ヘルシンキ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第10番 ほか(Delos)
近年、東京都響をはじめ、日本のオーケストラへの客演が多いデプリースト、ショスタコーヴィッチ作品には定評があるところで、来年2月にも、この曲を都響で指揮するようだ。
かねて工藤さんのWebpageで
決して派手ではないが、すみずみまで丁寧に磨き込まれた秀演。オーケストラに無理をさせず、しかしながら引き締めるべきところはきちんと押えた演奏は、スケール大きな歌心に満ちた音楽を実現している。特に和声の扱いは秀逸で、勢いだけではない確かな譜読みを窺わせる。息詰るような緊張感はないが、単に壮麗なだけではない充実した仕上がり。
と、星4つ半の高い評価を拝見して、気になっていた。
今回、5ドル弱で出ていたのでオーダーしたもの。
オーケストラもヘルシンキ・フィル、期待したい。
1990年4月の録音で、有名な祝典序曲をフィルアップ。
 
ジェイムズ・デプリースト(指揮)ヘルシンキ・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第11番「1905年」(Delos)
デプリーストのショスタコーヴィッチ、もう1点あったのでオーダー。
こちらも工藤さんのWebpageでは
ゆったりとしたテンポで、決して刺激的な音響に溺れることなく、丁寧にスケール大きな音楽を奏でている。オーケストラの響きはいかなる箇所でも澄んでおり、力任せになることがない。猛烈な演奏を嗜好する向きには物足りないだろうが、実に格調の高い立派な演奏である。
と、星4つ半の評価。
こちらは1988年5月の録音。
 
ジェイムズ・デプリースト(指揮)モンテ・カルロ・フィル
フォーレ;組曲「ペレアスとメリザンド」・組曲「マスクとベルガマスク」 ほか(KOCH)
バークシャーのカタログを「デプリースト」で検索していたら、大好きなフォーレの組曲が出てきたので、オーダーせざるべからず。
ダンディ;想い出("Souvenirs")をカプリング。
あまり名前を聞かない曲だが、1905年に亡くした最愛の妻への追憶をこめた作品(1907年)とのこと。
1994年6月(ダンディ)と1995年6月(フォーレ)の録音、前者は名技師トニー・フォークナーが手がけている。
 
ジャクリーヌ・エイマール(P) ギュンター・ケール(Vn) ほか
フォーレ;P四重奏曲・P五重奏曲全集(VOX)
上のデプリースト盤とはフォーレつながりになる(苦笑)。
フランス系ピアノ五重奏は全体に好きな曲種。中でもこの作曲家の第2番は、以前、中古音盤堂奥座敷で取り上げて以来、見れば買うようにしている。
比較的録音が珍しい作品なのだが、VOX盤があるとは知らなかった。1970年の録音とあるから、もっと存在が知られていてもよい筈だが。
演奏者は、標記2人のほか、ヴェルナー・ノイハウス(Vn)、エーリヒ・ジッヒャーマン(Va)、ベルンハルト・ブラウンホルツ(Vc)。
 
マッツ・リドストレム(Vc) ベンクト・フォシュベリ(P)
ピエルネ;Vcソナタ & ケクラン;Vcソナタ ほか(Hyperion)
フランスの知られざるチェロ・ソナタを収録しており、新譜で出た時から注目していた音盤。
店頭でも何度も手にとり、レジへ持っていこうかどうしようか考えたのだが、フルプライスでは少しもったいないような気がして、その都度、元へ戻していた。
今回、アウトレット価格で入手できて嬉しい限り。
ケクランのVc小品集「ブルターニュの歌」をカプリングしている。
1997年7月の録音。
 
カーター・ブレイ(Vc) クリストファー・オライリー(P)
「ル・グラン・タンゴ」(HELICON)
南米系のチェロ作品を集成したアルバム。
標題どおりピアソラ;「エスクアロ」・「ニ調のミロンガ」・「グランタンゴ」が演奏されているのは勿論、ミヨー;「ブラジルの郷愁」から4曲、ポンセ;エストレリータといった有名曲が収められている。
斉諧生的に最も重要なのは、ヒナステラ;Vcソナタ・パンペアーナ第2番が入っていること。
なお、チェリストはニューヨーク・フィルの首席奏者
1996年10月録音。

 昨日届いたLPの情報をマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加、パレー・ディスコグラフィの画像を交換。

 また、音盤狂昔録平成15年10月分を追加。


11月1日(土): 

 

石丸寛(指揮) 九大フィル
ブラームス;交響曲第4番(九大フィル自主製作)
先日来、石丸氏のブラームス;第4が、東京響盤・九州響盤の2種類、架蔵盤に加わったところ、知人から九大フィル盤の存在をお教えいただき、その上、御厚意で下賜いただいたもの。
九大フィルは1909年に創設され、1924年にはベートーヴェン;交響曲第9番の日本人による初演を果たした歴史ある団体とのこと。
石丸氏とは、1947年12月に戦後最初の定期演奏会で共演して以来の長い関係があり、当盤は没後3年の追悼に、非売品として製作されたもの。
1988年6月14日、福岡サンパレスにおける第140回定期演奏会のライヴ録音で、この日は他にレスピーギ;ローマの松などが演奏されたようだ。
録音状態はあまり良好ではないが、演奏に満ちている熱気や、その中から立ち上る「人生の秋」の風情からは、紛れもないブラームスの声が聴こえてくる感がある。
 
チャールズ・グローヴズ(指揮) ロイヤル・フィル
エルガー;弦楽セレナード ほか(RPO)
グローヴズに入れ込むきっかけになった名演名盤。
従来架蔵していたのは再発廉価盤で、ジャケットが実につまらない。
チャールズ卿の莞爾とした温容が印象的だった、初発時のジャケットが忘れられず、ずっと気に懸けていたところ、某オークションで出品されていたので落札。
録音は1989年9月、グローヴズ75歳の記念盤だったとのこと。
ブリテン;フランク・ブリッジ変奏曲RVW;タリス幻想曲ティペット;コレッリ幻想曲をカプリング。
 
エーリヒ・ベルゲル(指揮) ブダペシュト・フィル
ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」(洪KR、LP)
いつぞやブラームス;交響曲全集のCD(BMC)を購入した、名匠ベルゲルに「英雄」の録音があるという情報をWebで見つけ、ずっと気になっていたところ、Mikrokosmosのカタログに出たのでオーダーしたもの。
ハンガリー語は読めないので正確にはわからないのだが、どうも1991年1月15日のライヴ収録…というようなことが書いてあるようだ。
聴衆ノイズも聴こえるので、ライヴ盤であることは確かだろう。
レーベルの詳細は不明、あるいはオーケストラの自主製作盤かもしれない。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) シンフォニー・オヴ・ジ・エアー
ブラームス;交響曲第1番(独DGG、LP)
マルケヴィッチの音盤のうち、LPでは架蔵していなかったブラームス;第1交響曲が某オークションに出品されていたので落札したもの。
1956年12月にニューヨークで収録された音源だが、この盤自体は1960年代初期の製造らしいものなので、オリジナルではないだろう。
 
ルイ・フーレスティエ(指揮) チェント・ソリ管 ほか
フランク;交響曲・交響的変奏曲(仏Le Club Français du Disque、LP)
往年のフランスの名匠の一人とされるフーレスティエ、フランクが安くMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
変奏曲のピアニストは "Jean Micault" という人。
 
ポール・パレー(指揮) デトロイト響
リムスキー・コルサコフ;交響曲第2番 ほか(米Mercury、LP)
パレーとデトロイト響の初期の録音で、架蔵盤はジャケットが水損しているなど状態が悪いので、少し良いものにできればと某オークションで落札したもの。
 
フェリックス・スラトキン(指揮) ハリウッド・ボウル響
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」 ほか(米Capitol、LP)
父スラトキンの「ポーギー〜」は、以前、CD(UNESCO CLASSICS)で入手しているが、LPが安くMikrokosmosのカタログに出たのでオーダーしたもの。
カプリングが名作モートン・グールド;ラテン・アメリカ小交響曲というのも嬉しいところ。
 
ロバート・マン(Vn) イェヒム・ブロンフマン(P)
モーツァルト;Vnソナタ集(米MHS、LP)
演奏者の顔触れがちょっと強面かもしれないが(笑)、ともかく20世紀後半の演奏史に欠かせない人物ゆえ、どういうモーツァルトを弾くのか、興味津々でMikrokosmosにオーダーしたもの。
1983年12月、ニューヨーク、メトロポリタン美術館の講堂でデジタル録音されたもの。
K.301・302・376・379・454・526の6曲をLP2枚に収めている。
ジャケット隅にはCDでも発売されている旨の記載があるが、斉諧生は見たことがないように思う。
 
リリアナ・イサカーゼ(Vn) ディミトリ・アレクセイエフ(P) ほか
ブラームス;Vnソナタ全集 ほか(露MELODYA、LP)
斉諧生が勝手に「グルジアのローラ・ボベスコ」と決めつけている(笑)、イサカーゼのブラームスがMikrokosmosのカタログに出たのでオーダーしたもの。
第1〜3番のソナタと、P三重奏曲第1番をLP2枚に収めている。
トリオのチェロがカリーネ・ゲオルギアンなのは嬉しいところ。
1980年の録音らしい。
 
カイ・ラウルセン(Vn) エイヴィンド・メラー(P)
ニルセン;Vnソナタ第2番 ほか(米Washington、LP)
ニルセンのVn曲は、LP時代には(今でも?)珍しいレパートリーだった。
ラウルセンは、danacordレーベルにCD10枚組の「デンマークVn協奏曲集」を録音している人ゆえ、演奏内容に期待できるのではと思い、Mikrokosmosにオーダーしたもの。
前奏曲、主題と変奏(op.48)、前奏曲とプレスト(op.52)をカプリング。
残念ながら、このレーベルがオリジナルではない模様で、しかもステレオ音源のモノラル盤であった。音質は良好。
名録音技師ピーター・ヴィルモースがプロデュースしたというから、オリジナルのステレオ盤は、さぞ素晴らしい再生音がするのではなかろうか。
いつか入手したいものである。

平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。

平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。

平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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