音盤狂日録


3月31日(月): 

 

ヘスス・ロペス・コボス(指揮) シンシナティ響
ブルックナー;交響曲第8番(Telarc)
中古音盤屋の格安コーナーで、ブルックナー第8の未架蔵盤があったので、購入。
とにかくこの曲はどんな指揮者でも聴いておきたいところ。その中でブルックナーに適性を示す指揮者が発見できれば…と願っている。
EMIあたりに伴奏指揮者として便利使いされていたこの人も、当レーベルでは大きな曲を振っている。ブルックナーも何曲か録音しているようなので、ちょっとだけ期待してみたい。
1993年3月の録音、最も一般的なノヴァーク1890年版による。
 
コンスタンティン・シルヴェストリ(指揮) ウィーン・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番(新星堂)
某オークションでこのCDを見かけ、いつもどおり工藤さんのコメントを参照してみた。
ケレン味たっぷりの、個性的な演奏。ウィーン・フィルの個人技が堪能できる。細部の誇張などに好き嫌いは分かれるかもしれないが、曲の本質ははずしていない。一聴の価値ある録音だといえよう。
とのこと、では一聴してみんと、落札したもの。
ちょっと聴いてみたが、終楽章など猛烈なスピードである。面白そう。
 
ヴィリー・ボスコフスキー(指揮) BBCコンサート管
「ウィーンの音楽」(BBC Classics)
ボスコフスキーが1974年6月1日、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールに客演したときのライヴ録音。
オーケストラはBBCの軽音楽用の団体で、かつて発売されたときは気にも留めなかったのだが、昨年発売された許光俊 & 鈴木淳史『クラシックCD 名盤バトル』(洋泉社新書)で、許氏が「十分満足できる一枚」として、
洒落っけと愉悦と熱中がふんだんに盛り込まれている。『皇帝円舞曲』は楽しさウキウキという感じだし、『ウィーンの森の物語』は各部分がじつに鮮明に輝いている。
俄然、聴きたくなったのだが、見つからなくなっていた。
今日立ち寄った中古音盤屋の格安コーナーで発見、シメシメと購入したもの。
全14曲、必ずしもシュトラウスに偏らず、レハール;ワルツ「金と銀」スッペ;序曲「美しきガラテア」等を収録。
 
コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン
ブリテン;シンプル・シンフォニー & レスピーギ;リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲 ほか(LIVE NOTES)
萬有製薬による非売品のCDを某オークションで落札。どうしたことか、このシリーズが揃いつつある。6枚目になるだろうか。(^^;
今回のは1999年のもので、
ロッシーニ;弦楽ソナタ第1番
レスピーギ;レスピーギ;リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲(以上、6月11日、東京オペラシティ・コンサートホール)
ブリテン;シンプル・シンフォニー
廣瀬量平;朝のセレナーデ(以上、10月29日、愛知県芸術劇場)
を収録。
廣瀬作品は萬有製薬委嘱とのこと。
 
イーゴリ・オイストラフ(Vn) ヴァレンティン・ズーク(指揮) モスクワ響 ほか
エルガー;Vn協 & ブリテン;Vn協(OLYMPIA)
旧ソ連の演奏家によるイギリス音楽というのに興味を惹かれて某オークションで落札したもの。
標記の演奏者はエルガー作品のみ(1984年録音)。
ブリテンではボリス・グトニコフ(Vn) アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮) レニングラード・フィルが演奏している(1980年録音)。
 
ロバート・ショウ(指揮) アトランタ響・合唱団 ほか
フォーレ;レクイエム & デュリュフレ;レクイエム(Telarc)
デュリュフレ作品は蒐集しているところ。
何となく買いそびれていた「もう一人の合唱の神様」の録音(1985〜86年)を、中古音盤屋の格安コーナーで掘り出したもの。
 
トヌ・カリユステ(指揮) オランダ室内合唱団
マルタン;無伴奏二重合唱ミサ ほか(Q DISC)
先だってネットで調べものをしていたついでに行き当たったページで取り上げられていたCD。
マルタンの音楽は、愛惜佳曲書で取り上げた曲もあるように、概して好きなので、これも聴いてみたいと思い、Crotchetにオーダーしていたもの。
 
Various Artists
『武満徹全集 第3巻』(小学館)
武満徹全集の第2回発売分が音盤店に入荷したとの連絡があったので引き取る。
今回は映画音楽1、CD10枚組。

3月30日(日): 

 某オークションで落札したLPが届く。

デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) シャンゼリゼ劇場管 ほか
グノー;歌劇「ファウスト」(抜粋)(仏DUCRETET-THOMSON、LP)
アンゲルブレシュトの未架蔵盤、しかも仏デュクレテ・トムソンのオリジナル、落札せざるべからず。
片面のバレエ音楽(ロンドン・フィル)は、以前、WINGレーベルから復刻CDが出ていたが、カプリングの第1幕前奏曲・牢獄の情景・ワルツと合唱は、まったく未知の音源だったので、狂喜乱舞である。
 
ベルディーン・ステンベルク(Fl) ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn & 指揮) コンセルトヘボウ室内管 ほか
モーツァルト;Vn協第3番 ほか(日CANYON、LP)
今は指揮者として活躍しているが元来はコンセルトヘボウのコンサートマスターなどVn奏者として活動していたツヴェーデンの音盤を集めている。
出品中に手元の資料で調べてもよく判らないLPだったが、現品が届いてみると瞭然、イージーリスニング系の女性フルーティストと共演したものであった。
そのために『レコード芸術』等からは無視されたのであろう。
A面はFl独奏を中心、『魔笛』のアレンジ、Flと管弦楽のアンダンテ K.315Fl四重奏曲第1番の一部をFlと弦楽合奏にアレンジしたもの等が演奏されている。
B面は打って変わって、ツヴェーデンが独奏するVn協第3番。これは同じ音源のCDを購入したことがある。
上記Fl奏者の公式pageのディスコグラフィには、他にも共演盤が掲載されている。また蒐集対象が増えてしまった。(汗)
 
アンドレ・プレヴィン(P & 指揮) ウィーン・フィル
モーツァルト;P協第17・24番(蘭Philips、LP)
1984年4月の録音で、プレヴィンとウィーン・フィルの共演としてはごく初期のもの。
当時、まだまだ彼にはジャズ・映画音楽上がりとかアメリカ出身の色物系指揮者というイメージが強く、弾き振りでモーツァルトを録音するという、ウィーン・フィルとの親密さを窺わせる出来事に少々驚いた記憶がある。
デジタル収録で、CDでも発売されているが、最近あまり見かけないようなので、LPを落札してみた(第17番のみ「20世紀のピアニスト」シリーズに収録)。

 この間に入手したCD・LPの情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィステーンハンマル 作品表とディスコグラフィイッセルシュテット・ディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。
 また、イッセルシュテット・ディスコグラフィには、読者の方から頂戴した北ドイツ放送局自主製作盤(1971年)のデータも追加した。

 電網四方八通路に新規リンクを2件追加。どちらも非常に充実したWebpage。

 なお、3月20日付けの記事で、高関健(指揮) 大阪センチュリー響演奏会の感想を欠落させておりましたが、ようやく執筆できました。<(_ _)>


3月28日(金): 青柳いづみこ『翼のはえた指 評伝 安川加壽子』(白水社)を読了。
 一昨年に出版された原 智恵子の評伝と響き合う内容もあり、興味深く読めた。
 斉諧生的に特筆しておきたいのは、1938年11月16日、安川加壽子の正式パリ・デビューとなったデュオ・リサイタル(共演はジャクリーヌ・ウクラン(Vc))において、「最後にウクランとポール・パレーの『ソナタ』を合奏してプログラムをしめくくっている。」と記されている点である。

 某オークションで落札したCDが届く。

ブライデン・トムソン(指揮) BBCウェールズ響 ほか
ニルセン;交響曲第2番「四つの気質」 ほか(日本クラウン)
トムソンは好きな指揮者だが、このCDは買いそびれていた。国内盤ではあるが、今のうちに入手しておかねばと落札したもの。
1981年2月16日の収録。
ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮) ニュー・フィルハーモニア管によるニルセン;交響曲第5番(1971年2月26日)をカプリング。
 
アルフレッド・ウォーレンシュタイン(指揮) ロサンジェルス・フィル ほか
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」 ほか(NAXOS)
"NAXOS ヒストリカル"シリーズの新譜で、歌劇「ポーギーとベス」に関わるSP録音を集成したCD2枚組。
オリジナル・キャストによる録音や、ローレンス・ティベットポール・ロブソンといった往年の名歌手の歌唱、ヤシャ・ハイフェッツによるVn用編曲を収めている。
斉諧生にとっては、見つければ買うことにしている標記作品が収録されているので購入したもの。1944年8月9日の録音である。
 
ジョニー・グリーン(指揮) ハリウッド・ボウル響 ほか
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」 ほか(NAXOS)
こちらは "NAXOS ノスタルジア"シリーズの新譜で、"Gershwin and Friends" というタイトル。
オスカー・レヴァント(P)の短縮版ラプソディー・イン・ブルー(2種)・P協や、サミュエル・デュシュキン(Vn)、ヤシャ・ハイフェッツ(Vn)の独奏なども収録されている。
斉諧生にとっては、上記ウォーレンシュタイン盤同様、見つければ買うことにしている標記作品が収録されているので購入したもの。こちらは1951年8月4日、ロサンゼルスでの録音。
『レコード芸術』4月号「海外盤試聴記」で満津岡信育氏が紹介されており、「魅惑のリズム感と勢いがすばらしい!」とのこと、期待高し。
 
ジャン・ピエール・ランパル(Fl) 森正(指揮) 読売日響 ほか
尾高尚忠;Fl協 ほか(DENON)
尾高作品は愛聴しているが、そのきっかけになったのが、このランパルによる演奏。
1968年5月8日、杉並公会堂での録音で、かつてCDになったはずだが買いそびれ、ずっと古い廉価盤LPで聴いてきた。今回、CREST1000シリーズで再発されることを知り、発売を待ちこがれていたもの。
矢代秋雄;P協(中村紘子(P) 岩城宏之(指揮) NHK響、1968年録音)
吉松隆;Fg協「一角獣回路」(馬込勇(Fg) 小泉和裕(指揮) 京都市響、1993年録音)
をカプリング。
 
藤原真理(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(DENON)
かつてCD3枚組で発売された藤原さんのバッハ(1982〜84年録音)が、2枚組1,500円で再発された。
邦人演奏家によるバッハの無伴奏両作品は、できるかぎり手元に置きたいと思っており、これを機に購入。

3月27日(木): 

 

エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) リヨン国立管
ビゼー;交響曲 & 組曲「アルルの女」第1・2番(DENON)
某オークションで落札したもの。
クリヴィヌのフランス音楽、しかも好きなハ長調交響曲ゆえ、聴いておきたい。
1992年10月の録音。
 
ホーヴァル・ギムセ(P) ヤン・スティグメル(リーダー) クリスチャンサン室内管
ヒンデミット;「四つの気質」 & ブロッホ;合奏協奏曲第1・2番(INTIM MUSIK)
音盤屋のワゴン・セールを漁っていたら、北欧の注目Vn奏者、スティグメルのリーダー盤があった。曲目的にも比較的珍しくまた興味を惹くものだったので、購入。
ノルディックサウンド広島のWebpageによれば、「しっとりした情感のこもった緻密な演奏」とのこと、期待高し。
2000年4月録音の、まだそんなに古びていない盤。こういったものがワゴンに出てくるのは有り難いといえば有り難いが、どうも店頭在庫を圧縮するためのセールという趣なので、やがて棚が薄ら寒くなっていくのではなかろうか。困ったことだ…。

3月26日(水): 

 

コンスタンティン・クルカ(Vn) チー・ユン(Vn) アントニ・ヴィット(指揮) カトヴィツェ・ポーランド国立放送響
ペンデレツキ;Vn協第1・2番(NAXOS)
なんとチー・ユンの新譜がNAXOSから!
クルカの録音も集めておきたいので、Crotchetにオーダーしたもの。
2000年5月の録音で、クルカが1番、ユンが2番を独奏している。

3月24日(月): 

 

ハンス・ロスバウト(指揮) ベルリン・フィル ほか
ハイドン;交響曲第45番 ほか(新星堂)
ロスバウトに注目するきっかけになったのはハイドン;交響曲第92番のDGG盤CDだった。
その後調べる中で、BPOを指揮した「告別」がEMIにあることを知ったが、LPはなかなか見つからない。
ようやく新星堂のベルリン・フィル復刻シリーズに含まれることになり、発売を待ちかねて購入。
1958年11月15〜19日の録音、ステレオである。残念ながら復刻状態はあまり芳しくなく、やや歪みが感じられ、音の鮮度も高くない。
レオポルト・ストコフスキーストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」・「ペトルーシュカ」をカプリング。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
ブルックナー;交響曲第8番(Altus)
先日来ドヴォルザーク;「新世界」ワーグナー;管弦楽曲集がリリースされている、マタチッチの1975年来日時のライヴ録音。
掉尾を飾って、いまや伝説化しているブルックナーが登場したからには買わざるべからず。
宇野功芳師曰く
スケルツォ以下はまことに彫りの深い、意味深い名演となった。(中略)音楽に浸るのではなく、暴風雨に巻き込まれて、身も心も粉々にされるような、世にも珍しい凄絶なブルックナーであるが、それにもかかわらず、熱烈なブルックナー讃美者をも強い感動に包み込んでしまった点に、ぼくはマタチッチのずば抜けた実力を確認したのであった。」(『音楽には神も悪魔もいる』芸術現代社)
1975年11月26日、NHKホール。
 
アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮) サンクト・ペテルブルク響
チャイコフスキー;交響曲第5番 ほか(Sony Classical)
先だって購入したドビュッシー & ラヴェルのCDが、思いの外に良かったドミトリエフ。
ほかに音盤はないかと探していたところ、某オークションに出品されたものを入手。
劇音楽「雪娘」(3曲抜粋)をフィルアップ、1993年6月の録音。
 
カメラータ・ベルン
ブリテン;弦楽合奏作品集(DENON)
EasySeekをあれこれ検索していて出くわした盤。
カメラータ・ベルンは好きな団体だしブリテンのシンプル・シンフォニーフランク・ブリッジ変奏曲は集めている曲なので、新譜のときに見逃していたのが不思議なくらい、迂闊を恥じつつオーダーしたもの。
1990年4月の録音、更にプレリュードとフーガ op.29をフィルアップ。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ベルリン・ドイツ歌劇場管 ほか
「伝説のワーグナー歌手たち」(TELDEC)
イッセルシュテットのSP録音落ち穂拾い。
一昨年に発売されたCD2枚組で、第二次世界大戦前にドイツで活躍したワーグナー歌手たちの録音を集成したもの。
そのうちイッセルシュテットは、ヒルデ・コネツニ(Sop)との『タンホイザー』より「おごそかなこの広間よ」の1曲約3分のみ(涙)。
1937年1月18日の録音。
 
ティエリ・エスケシュ(Org) ケンブリッジ・ヴォイシズ
「モーリス・デュリュフレを讃えて」(CALLIOPE)
中古音盤堂奥座敷2002年の5盤浮月斎さんが第1席に挙げられたCDを聴いてみようとMDTにオーダーしたもの。
デュリュフレ(1902年生れ)の生誕100年の記念企画で、組曲 op.5モテット(それに基づくエスケシュの即興演奏が加えられる)等を収録している。
作曲者ゆかりのサン・テツィエンヌ・デュ・モン教会における録音(2002年7月)。
 
ボリス・ベルキン(Vn) キリル・コンドラシン(指揮) ロンドン・フィル ほか
プロコフィエフ;Vn協第1・2番(英DECCA、LP)
蒐集しているプロコフィエフの第1番、ベルキン旧盤の英盤LPをArs Antiquaから購入。
ベルキンの同曲は、以前、井上道義(指揮) 京都市響との超絶名演に接したことがあり(平成3(1991)年5月28日、京都会館第1ホール)、CDでは2回目の録音(マイケル・スターン(指揮) チューリヒ・トーンハレ管、DENON)も出ていた。
既に国内盤LPは持っているが、英盤で架蔵しておきたくオーダーしたもの。
第1番は1981年1月、第2番は1982年1月の収録。デジタル録音なのだが、CDでは見たことがないように思う。どうだったろうか?
なお、コンドラシンは1981年3月7日に急逝したため、第2番ではルドルフ・バルシャイに代わっている。
 
クララ・ハスキル(P) イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) コンセール・ラムルー管
ショパン;P協第2番 & ファリャ;スペインの庭の夜(仏Philips、LP)
世に隠れもない名盤だが、何をうっかりしていたのか未架蔵のままになっていた(ファリャはCDあり)。
仏再発盤がArs Antiquaに安く出ていたのでオーダーしたもの。
なお、ショパンについては「アルフレッド・コルトーによる管弦楽改訂」と注記されている。
 
フローラン・シュミット・トリオ
フローラン・シュミット;P三重奏によるソナチネ曲 ほか(仏cybelia、LP)
近代フランスの中でも好きな作曲家フローラン・シュミット。彼の音盤は耳にしておきたい。
LP末期にけっこうあちこちで見かけながら買いそびれていたcybelia盤がArs Antiquaに出ていたのでオーダー。
標記の三重奏曲は、4楽章編成ながら全演奏時間10分ほどの小規模なもの。
同じ作曲家の悲歌(VcとP)、ルーセル;P三重奏曲をカプリング。
 
ニッラ・ピエルー(Vn) ユージン・デ・カンク(P)
アウリン;四つの水彩画 ほか(瑞OPUS3、LP)
愛惜佳曲書に掲げたアウリン作品の未架蔵盤をArs Antiquaで見つけ、オーダーしたもの。
ピエルーはスウェーデン出身、9歳で学校オーケストラのコンサートミストレスを務め、13歳でストックホルム・フィルと共演したという。
ブリュッセルでアンドレ・ジェルトレルに学び、現在はオランダ・マーストリヒトの音楽院の教授職にある…とライナーノートに記されている。
1980年1月、その音楽院での録音。
スーク;四つの小品ブラームス;スケルツォをカプリング。
 
クリストフ・ヘンケル(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第6番 & コダーイ;無伴奏Vcソナタ(独EMI、LP)
実力派チェリストの一人、ヘンケルの初期録音(1981年頃)。ジャケット端に"The new generasion of artists"と英独仏語で記されている。
標記2作品の組合せという渋い選曲に心惹かれてArs Antiquaにオーダーしたもの。
ヘンケルは後にLyrinxレーベルにバッハの全曲録音を行っているようだが、そちらは未架蔵。
 
ウルバン・グラーペ(P)
ステーンハンマル;3つの幻想曲より第1曲(瑞Polydor、LP)
ステーンハンマル全録音蒐集の一環として、Ars Antiquaにオーダーしたもの。
ピアニストの名前は原綴 "Urban Grape"、あまりスウェーデン人らしくない名前だが、1951年ストックホルム生れというから「アーバン・グレープ」と読むわけにもゆかないだろう。
残念ながらステーンハンマルは1曲5分だけで、それ以外には、ヴィークルンド;3つの間奏曲ルーセンベリ;即興曲等を演奏している。
1977年12月の録音。
 
ベルニース・ブラムソン(Sop) ロジャー・ランドル(P) ほか
リリー・ブーランジェ;歌曲集「空のひらけたところ」(抜粋) & 「夜想曲」 ほか(米GEMINI HALL、LP)
「女性の作品 Woman's Work」というタイトルの付いたLP2枚組。
パラディスルイーズ・ファランクファニー・メンデルスゾーン・ヘンゼルクララ・シューマンシャミナードタイユフェールといった定番どころをはじめ、計18人の作品26曲を収めている。
ブーランジェ作品では、「空のひらけたところ」から4曲と、Vnによる「夜想曲」を収録している。後者の演奏は、ヤナギタ・マサコ(Vn) マイケル・メイ(P)
録音データは明記されていないが、マルP & Cは1975年になっている。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ソヴィエト国立響 ほか
ヴェルディ;レクイエム(仏Philips、LP)
マルケヴィッチの同曲は、国内廉価盤LPしか架蔵していないので、もう少し状態のいい盤をと思い、Ars Antiquaにオーダーしたもの。
残念ながら、届いたものは架蔵品と同じような擬似ステレオによる再発盤だった。
 
『新八犬伝 芳流閣の決斗 〜劇場版〜』(NHKソフトウェア、DVD)
1月に『NHK人形劇クロニクルシリーズ第4巻 辻村ジュサブローの世界〜新八犬伝〜』(NHKソフトウェア)が出たが、それを40分の劇場用映画に仕立てたもののDVD化。
昭和50(1975)年3月、東宝系列で公開され、併映は『メカゴジラの逆襲』であったそうな。
ボーナストラックで、人形師辻村寿三郎大槻ケンヂの対談が収められているが、それによれば、TV放送とは別に、東宝の砧スタジオで撮影されたという。
予算を節約するため、わずか3日ほどで、NGを極力出さずに撮りあげられたため、辻村氏は仕上がりに不満だったようだ。
発端の伏姫・八房のエピソードから、前半の山場となった犬塚信乃犬飼現八の決闘あたりまで、物語のおおよそ3分の1ほど(?)を、わずか40分にダイジェストしている。
ボリュームとしては大いに食い足りないが、かつてのファンにとっては貴重な上にも貴重なもの。
なお、「第一部」とされているが、「第二部」以降は製作されていない。

3月23日(日): 外出のついでに書店に立ち寄ると、新刊のムック
 『クラシックCD エッセンシャル・ガイド150 指揮者編』(学研)
というのを見つけ、購入。
蓋しカザルスアンゲルブレシュトパレーイッセルシュテットマルケヴィッチといった列伝所載の指揮者が扱われているなればなり。


3月22日(土): 

 某オークション等で落札したCDが届く。

パーヴォ・ベリルンド(指揮) ロイヤル・フィル ほか
ヴォーン・ウィリアムズ;交響曲第4番 ほか(EMI)
ベリルンドにRVWの録音があるとは迂闊なことに知らなかった。特に第4番は、第二次世界大戦を前にした不安と闘争を音化したと言われ、9つの交響曲のうち最も聴き応えがあると思っている曲なので、ぜひ聴いてみたいと思い落札。
やや非力な当時の手兵ボーンマス響ではなく、ロイヤル・フィルとの顔合わせというところにも期待したい。
1979年10月29〜30日の録音。
序曲「雀蜂」
タリスの主題による幻想曲(以上コンスタンティン・シルヴェストリ(指揮) ボーンマス響)
Ob協(ジョン・ウィリアムズ(Ob) ベリルンド(指揮) ボーンマス響)
をカプリング。
 
テルイェ・ミッケルセン(指揮) ラトヴィア国立響
スヴェンセン;管弦楽曲集(LA VERGNE)
ミッケルセンのスヴェンセンは、交響曲第1・2番を架蔵しているが、同時に発売された管弦楽曲集は買いそびれており、某オークションで見つけたのを機に入手したもの。
「パリの謝肉祭」
「ゾラハイダ」
祝典ポロネーズ
「ノルウェーの芸術家の謝肉祭」
序曲「ロミオとジュリエット」
葬送アンダンテ
を収録。1998年9月の録音。

 昨日届いたCD・LPの情報を、イッセルシュテット・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィペレーニ・ディスコグラフィに追加。

 一昨日の演奏会のデータを、演奏会出没表に追加。


3月21日(祝): 某オークションで落札した楽譜(スタディ・スコア)が届く。
 サン・サーンス;Vn協第3番(Durand)
 

 休日ゆえ、↑に加えて、あれこれ荷物が届く。

ジョス・ファン・インマゼール(指揮) オーケストラ・アニマ・エテルナ
シューベルト;交響曲第5番・劇音楽「ロザムンデ」(抜粋)(Channel Classics)
最近はチャイコフスキーまで手を広げて注目されているインマゼールの指揮盤としては初期のものになるチャンネル・クラシックスからのシューベルト。
いつぞや中古音盤堂奥座敷で彼の未完成ほかを取り上げて以来、ずっと気になっていたのだが、今回、EasySeekに安く出ていたので購入。
1992年の録音だが、これは何かの箱物をバラしたものらしく、ブックレットが付属しておらず、二つ折り・内側白紙の曲目リストが入っているだけ。(;_;)
 
マリス・ヤンソンス(指揮) オスロ・フィル
バルトーク;管弦楽のための協奏曲 & 弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽(EMI)
オケコン+弦チェレのカプリングとあらば聴かざるべからずなのだが、どうしたことか買いそびれていたヤンソンス盤が、EasySeekに安く出ていたので購入。
1990年1月、オスロでの録音。
 
マリー・シューブレ(Vn) ルカ・プファッフ(指揮) モンテ・カルロ・フィル
シベリウス;Vn協 ほか(ARION)
たしかデビュー盤が、いきなりショスタコーヴィッチ;Vn協第1・2番(付けはジェイムズ・デプリースト(指揮) モンテ・カルロ・フィル)という重量級プログラムで驚かせた、シューブレのシベリウス。
1996年9月の録音で、出たときから気になってはいたのだが買いそびれていたところ、EasySeekに安く出ていたので購入。
Vnと管弦楽のための2つの小品 op.77と、「レミンカイネンとサーリの乙女たち」(「レミンカイネン」組曲より第1番)をカプリング。
 
グァルネリQ バーナード・グリーンハウス(Vc)
シューベルト;弦楽五重奏曲(Philips)
見れば買っているシューベルト作品の未架蔵盤、買いそびれていたものが、EasySeekに安く出ていたので購入。
1990年6月、ニューヨークでの録音。
 
ローマ・フォーレQ
フォーレ;P四重奏曲第1・2番(CLAVES)
以前、中古音盤堂奥座敷フォーレ;P五重奏曲の聴き比べを行った際、CHEZ PIERREという素晴らしいWebpageに出会った。
フォーレを愛されるWebmasterが星5つで推薦されているのが、この団体の演奏
フェデリコ・アゴスティーニ(Vn)ら、一時期のイ・ムジチ合奏団の主力メンバーからなる。ピアノはモーリーン・ジョーンズ
以前、五重奏のディスクを購入したが、今回、四重奏のCDがEasySeekに安く出ていたので購入。
 
ヴェーグQ
バルトーク;弦楽四重奏曲第3〜6番(EMI)
以前、タワーレコードの企画で復刻されたヴェーグQのモノラル録音(1954年)。全3巻のうち、第2・3巻だけだが、EasySeekに安く出ていたので購入。
これも中古音盤堂奥座敷バルトーク;弦楽四重奏曲第4番の聴き比べを行った際(ログは未公開)、比較試聴盤のリストに挙がっていたが、既に品切れで臍を噛んだもの。
 
「シベリウスの遺産」(FINLANDIA)
これはノルディックサウンド広島から届けていただいたもの。
かなり以前に出た2枚組、既出音源の寄せ集め、曲によっては一つの楽章だけを取りだしての収録というので、正直申して、無視していたCD。(^^;
ところが、先日、ひょんなことから、ハンス・シュミット・イッセルシュテットの音源が含まれているという情報に接した。
SP時代、独テレフンケンに録音した、アウリッキ・ラウタヴァーラというソプラノ歌手(1906〜1990)の伴奏で、「逢い引きから帰ってきた女の子」「三月の雪の上のダイアモンド」の2曲である。
これは入手せざるべからずとオーダー。
そういえば、イッセルシュテット・ディスコグラフィレハールの項に、彼女の名前があった。
Webを検索してみると、グリーグキルピネンの音源もあるらしい。これは探さねば…。
 
クリストファー・ウォーレン・グリーン(指揮) ヨンショーピング・シンフォニエッタ ほか
ラーション;「姿を変えた神」 ほか(INTIM MUSIC)
ラーション(瑞、1908〜1986)の代表作であるこの曲の新譜、しかも英語歌唱による初録音が出たというので、ノルディックサウンド広島にオーダーしたもの。
何度も引用しているが、この曲については、大束省三『北欧音楽入門』(音楽之友社)に美しく紹介されている。
烈しく抵抗の歌を歌うのではなく、静けさのなかで人々の心を励ました。
 ギリシャ神話の世界の縁取りのなかで人間を復活させ、心の奥底にある一人の神を復活させている。
その他、同じ作曲家の劇音楽「冬物語」小セレナード田園組曲をカプリング。
ウォーレン・グリーンは、CHANDOSにドヴォルザーク;セレナード op.22 & 44の佳演を愛惜佳曲書に掲げた指揮者であり、大いに期待したい。
なお、この盤や曲目の詳細は、ノルディックサウンド広島ニューズレターに掲載されている。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) シンフォニー・オブ・ジ・エア
ベートーヴェン;交響曲第3番(独DGG、LP)
マルケヴィッチの「英雄」は、第1楽章コーダでTrpが第1主題を吹くところの扱いが、独特なことで知られている。
後年の再発廉価盤や、かつてCD化された国内盤は架蔵しているが、DGG盤LPは入手困難であった。
先だって、CLASSICUSという東京の音盤店のWebpageで見つけ、オーダーしたもの。
1956年12月〜57年1月、ニューヨークでのモノラル録音。
マルケヴィッチは晩年、東京都響の定期演奏会でこの曲を演奏しているが、N響とのチャイコフスキーのように、CD化されないものであろうか。(嘆)
 
ヴァーツラフ・スメターチェク(指揮) 日本フィル
ドヴォルザーク;交響曲第9番(日本フィル自主製作、LP)
長年の探求盤が手に入って狂喜乱舞。某オークションでの掘り出し物である。
1973年11月30日、東京文化会館大ホールにおける第256回定期演奏会のライヴ録音で、かねて宇野功芳師が絶讃しておられた演奏。
『音楽には神も悪魔もいる』(芸術現代社)の中で、当日の印象が次のように書かれている。
ぼくはこの『新世界』に完全にしびれた。ティンパニや金管の効果を最大限に生かしながら少しも粗っぽくならず、細部まで緻密に整えてゆく指揮法の妙は固唾をのませるほどで、第一楽章第二主題の再現における、淋しさの漂うようなそこはかとないテンポの落し具合、フィナーレの随所に見られる名人芸的なアゴーギグは、スメターチェックの超一流であることを物語っていた
ライヴLPがあるらしいことは知っていたが、自主製作盤ゆえ、いまさら手に取ることはほぼ叶うまじと諦め、同時期(1974年)のプラハ放送響とのライヴ盤CD(PRAGA)で渇を癒していた。
最近、知人の御厚意で音だけは聴かせていただいたことがあるが、こうしてオリジナルの音盤が入手できたのは幸運の至り。
盤の状態も非常に良い。ジャケット内側の解説が天地逆に張られているのは、まあ御愛嬌というところか。
 
ジャン・フランソワ・パイヤール(指揮) パイヤール室内管
オネゲル;交響曲第2番 & フローラン・シュミット;「ジャニアナ」 ほか(仏ERATO、LP)
パイヤールにフローラン・シュミット作品の録音があることは、最近CDでリリースされたので知っていたが、おそらくオリジナルであろうLPが某オークションに出品されたので落札したもの。
好きなオネゲルの第2番やルーセル;弦楽合奏のためのシンフォニエッタがカプリングされていて喜ばしい。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ゾルタン・コチシュ(P)
バッハ(コダーイ編);3つのコラール前奏曲 & ドビュッシー;Vcソナタ・小組曲 ほか(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニ師の未架蔵LPを、先だって上記CLASSICUSで見つけ、オーダーしたもの。
CDでは架蔵しているが(HCD31140)、師の音盤は全点蒐集が目標であり、入手できて大変嬉しい。
収録曲は、標記3曲とバルトーク;狂詩曲第1番で、CDに入っているフォーレ;エレジーコダーイ;ソナチネ見当たらない。未知のLPがあるのだろうか、非常に気になる。
 
マックス・ローレンツ(Ten) ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) ベルリン国立歌劇場管
ワーグナー;歌劇「タンホイザー」より「ローマ語り」(英TELEFUNKEN、LP)
イッセルシュテットの未架蔵音源を某オークションで落札。
独TELEFUNKENへのSP録音の復刻で、まだCD化されていないのではないか。ローレンツは著名なワーグナー歌手であり、復活してもおかしくない音源だと思うが…。
アルバムのタイトルは「バイロイト 1936」で、収録曲の大半はハインツ・ティーチェン(指揮) バイロイト音楽祭管の演奏。こちらは、同じタイトルでCD化されていたはずである。

3月20日(木): 

 大阪センチュリー交響楽団第83回定期演奏会@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。指揮は高関 健

今日の曲目は
ブリテン;P協(独奏;小山実稚恵)
ベルリオーズ;幻想交響曲
というもの。
 
ブリテンの協奏曲を実演で聴くのは珍しい。
CDでも、メジャー・レーベルではリヒテル & 作曲者盤(DECCA)、アンスネス & P.ヤルヴィ盤(EMI)くらいではないか。
ピアノを打楽器的に扱う面(第1楽章)、皮肉なワルツ(第2楽章)や、どこか薄寒い行進曲(第4楽章)など、ちょっと、ショスタコーヴィッチとの親近性を感じる。
アンスネス盤は、まさにそういうカプリング(ショスタコーヴィッチの第1番ほか)。
 
なかなか面白い曲で、曲想の自在な変転は応接にいとまなく、聴いていて飽きない。
実演はもちろん録音さえ珍しいというのが解せないくらいだ。
技巧的にはけっこう難しいものを要求されるわりに、ロマンティックなメロディを纏綿と歌い抜くとかヴィルトゥオジティの花火を派手に打ち上げるといった場面は乏しい。大向こう受けしそうにないのが、演奏機会が少ない理由だろうか。
小山さんは大変な力演、フォルテを叩きつけるような音型から弱音の繊細な歌まで、間然とするところない再現ぶり。演奏後には、熱烈な拍手が贈られていた。
高関の指揮も、リズムをがっちり踏みしめ、細部をゆるがせにしないもの。充実した音楽が現出されていた。
オーケストラも立派で、第2楽章冒頭のVaソロの味わいなど素晴らしい。
 
ベルリオーズは、室内管編成のセンチュリー管にとって相当大規模な曲ということになる。
楽器編成と配置は次のとおり。
弦は第1Vnから順に11-8-6-6-4、Vnは対向配置、Vcを下手側、Cbを第1Vnの後方に置く。
木管はFl2(2番はPicc持替え)、Ob2(1番はバンダ掛け持ち、2番はE-hrn持替え)、Cl2(1番は小Cl持替え)、Fg4。
金管はHrn4、Trp2、コルネット2、Trb3、チューバ2。木管群をはさんで下手側にHrn、上手側前列にTrp・コルネット、後列にTrb・チューバ。
Hpは2(作曲者の指定は4以上だが、実例は滅多にない)。中央右寄り、木管とTrp・Trbの間に位置。
Timpほか打楽器は総勢5。うち1はバンダ(鐘)なので、第3楽章終結では舞台上の4人全員がTimpを叩いた。
 
いつもながら高関氏が指揮するときのセンチュリー響は素晴らしい。実際の人数以上によく鳴っており、しかも、美感を失わない。
第1楽章冒頭、弱音器を付けた弦合奏が、たおやかな、霞を引くような美しいppだったのに、まず圧倒されたし、また、楽章終結の和音も非常に美しかった。
指揮者の耳の良さ、楽員同士が聴きあう態度の徹底していることを窺わせる。
第3楽章でも、羊飼の笛を吹くイングリッシュ・ホルンの艶やかな音色が美しい。
 
ただし、先日の小林研一郎のベートーヴェン同様、ティンパニの覇気のなさには失望。打撃一発で音楽を劇変させる意気込みに欠けるのでは…?と思わざるをえない。
また、最近、Vcの音がおとなしすぎる傾きが見られるが、今日も同じ。グッと突き上げてくる低音がほしいところだ(Cbからは出ているのだが)。
 
第4・5楽章は、ゆっくりめのテンポで堂々たる音楽を構築。金管の吹奏など、満堂を圧していた。
聴く前には、明るく軽快な雰囲気で興奮を沸き立てるような演奏ではないか…と考えていた。センチュリー響の編成からすれば、そうなるのでは…と予想したのだが、実際には正反対。
曲の前半でも、踏み外しのない、端正な造型が目立った。ちょっと物足りなさを感じる瞬間なきにしもあらずだったが、それには深い理由があったようだ。
 
演奏会終了後に気づいたのだが、大阪センチュリー響楽員のページに、高関氏のインタビューが掲載されており、それによると、端正な造型や第4・5楽章のテンポは、当時の演奏スタイルや作曲者の指示を重視したことから来たものという。
高関氏のインタビューから抜粋する。
当時の演奏スタイルというものを考えたとき、やはりその時代の音楽としては現在あまりにもロマンティックに演奏されすぎている気がするんです。
テンポもベートーヴェンのようにちゃんと指定があるにもかかわらずあんまり守られていないんです。
みんな速く演奏してきて、伝統的な演奏ありますよね、例えばピエール・モントゥー、シャルル・ミュンシュ、マルケヴィッチなどの演奏を聴いてみるとみんな速く演奏しています。
ベルリオーズの書いた奇想天外なオーケストレーションも含めて原典に忠実なテンポを再現してみたいと思っています。
 
なるほど、そういうことだったのか、高関氏らしい…と思うけれども、斉諧生としては、あのテンポから生まれるべきスケールの大きさは、センチュリー響という器を超えてしまっているという思いを禁じ得ない。
ともあれ、あれだけの音楽をやってのけるのだから、やはり高関氏の実力には凄いものがある。ベルリン・フィルなりバイエルン放送響なり、ヨーロッパの第一級のオーケストラで、ぜひ聴いてみたいものだ。
 
なお、今回が、高関氏の常任指揮者としての最後の演奏会。離任は誠に残念だが、ぜひ、今後も客演を続けていただきたい。
終演後、退場する人の波から、「(高関氏の在任期間は)黄金時代だったねえ」等の声がチラホラ聞こえた。むべなるかな。

 あれこれ某オークション等で落札したCDが届く。

高関健(指揮) 早稲田大学響
チャイコフスキー;幻想序曲「ロメオとジュリエット」 & レスピーギ;交響詩「ローマの松」 ほか(DGG)
今日のコンサートでもそうだったが、斉諧生は高関氏に注目している。
これは氏のデビュー盤となった録音で、1986年2月22・23日、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音である。
ブックレットによれば、このとき早稲田大学響は43日間にわたり5カ国20都市を訪れる欧州演奏旅行の途次にあった。
ベルリンでの演奏会は、標記2曲に加え、武満徹;オーケストラのための「星・島」(スター・アイル)ハイドン;Vc協(独奏はオットマール・ボルヴィツキー@ベルリン・フィル)、アンコールとして外山雄三;ラプソディなど3曲が演奏された。
このCDには武満・外山作品がフィルアップされている。武満作品は1982年の早大創立100周年記念の委嘱作、これが欧州初演であったという。
 
ギュンター・ヴァント(指揮) 北ドイツ放送響 ほか
バッハ;Vn協 & ハイドン;Ob協 ほか(NDR自主製作)
ヴァントと北ドイツ放送響のライヴ録音。収録日等は、
バッハ;Vn協第1番 BWV1041(ローラント・グロイター(Vn)、1992年3月15〜17日)
ハイドン;Ob協(パウルス・ファン・デア・メルヴェ(Ob)、1992年1月12〜14日)
モーツァルト;セレナータ・ノットゥルナ K239(1990年10月1〜2日)
独奏者はオーケストラの楽員か。
ヴァントのバッハ、ハイドンは比較的珍しい録音であり、聴いておきたい。
 
コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン
芥川也寸志;弦楽のためのトリプティク & エルガー;弦楽セレナード & ドヴォルザーク;弦楽セレナード ほか(LIVE NOTES)
萬有製薬による非売品のCDを落札。どうしたことか、このシリーズが徐々に揃いつつある。(^^;
別に製薬会社に関心があるわけではないが(笑)、標記3曲は、いずれも魅力的な曲目であり、入手せざるべからず。
モーツァルト;ディヴェルティメント K136をカプリング。
1997年10月17日、札幌コンサートホールでのライヴ録音。
 
コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン
グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」 ほか(LIVE NOTES)
↑と同じシリーズを、別な出品者から落札。蒐集しているグリーグ作品の未架蔵盤ゆえ、やはり入手せざるべからず。
モーツァルト;「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」シューベルト;交響曲第5番ほかをカプリング。
2001年6月22日、横浜みなとみらいホールでの演奏会と、2001年10月12日、長崎ブリックホールでの演奏会での録音からなるようだが、曲ごとの収録日は記載されていない。

3月19日(水): 

 

ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
ワーグナー;管弦楽曲集(Altus)
リリース情報に接して以来、待望していたマタチッチのワーグナーが、いよいよ店頭に並んだので購入。
1975年12月4日、NHKホールでのライヴ録音である。
「パルジファル」より第1幕への前奏曲・聖金曜日の音楽
「ジークフリート」より森のささやき
「神々の黄昏」より、指揮者自編の組曲
を収録している。
ライナーノートによれば、当日の演目には「リエンツィ」序曲ヴェーゼンドンク・リーダーも含まれていたとのこと。これらも、ぜひぜひ復刻してもらいたいものだ。
音質は、いつもどおり、非常に優秀なもの。
 
ダニール・シャフラン(Vc) アントン・ギンズブルク(P) ほか
ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(TRITON)
シャフランの復刻シリーズの続編が出ており、気になっていたが、モノラル録音というので、音質が懸念されて買い控えていた。
今日立ち寄った音盤屋の試聴機に入っており、同時発売のドヴォルザーク;Vc協は心配したとおり貧相な音だったが、こちらはステレオに聴き紛う立派な音だったので、購入に踏み切った。
ブックレットに掲載された、ギンズブルクへのインタビューも興味深い内容を含んでいる。
1977年、モスクワでのライヴ録音。
ユーリ・テミルカーノフ(指揮) モスクワ・フィルとのショスタコーヴィッチ;Vc協第2番(録音;1970年)をカプリング。
 
矢部達哉(Vn) 横山幸雄(P)
フランク;Vnソナタ & フォーレ;Vnソナタ第1番 ほか(Sony)
曲目的にも興味を惹かれる矢部氏のCDが、安価で某オークションに出ていたので落札したもの。
フォーレ;夢のあとにドビュッシー;美しい夕暮れをフィルアップ。
1997年7月の録音。

3月18日(火): 

 

マンリーコ・パドヴァーニ(Vn) ボリス・ペルノー(指揮) サンクト・ペテルブルク国立アカデミー管
ブラームス;Vn協 & プロコフィエフ;Vn協第1番(WIEDISCON)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんで、WIEDISCONというレーベル & 通販サイトが紹介されていた。
カタログを眺めたところ、蒐集している曲の一つプロコフィエフがあったので、オーダー。1週間も経たないうちに届いた。
ヴァイオリニストはイタリアの家系だがチューリヒ生まれ、ヴィンタートゥールの音楽院やヘルマン・クレバースのマスタークラスで学び、1992年にデビューしたとのこと。生年は明らかではないが、写真を見たところ30歳前後か?
ブラームスでは1715年製のストラディヴァリ "Aurea" なる銘器を使用しているとブックレットに注記されている。
指揮者もスイス出身で、1966年生れ。ボストン(タングルウッド)やウィーン、ザルツブルク等で学び、ヨーロッパやイスラエル等のオーケストラを振ってきた人らしい。
オーケストラの名称は、"Akademische Staatskapelle St.Petersburg"と表記されているが、ドミトリエフのオーケストラなのか類似の名称の別団体なのか、不詳。
録音は1996年2〜3月、サンクト・ペテルブルクにて。
 
マンリーコ・パドヴァーニ(Vn) 堀由紀子(P)
プーランク;Vnソナタ & オネゲル;Vnソナタ ほか(WIEDISCON)
上記同様、WIEDISCONにオーダーしたもの。
標記2曲とドビュッシー;Vnソナタヤナーチェク;Vnソナタという、渋い選曲に心惹かれた。
ピアニストは1956年大阪生れ、安川加壽子門下で、1983年にDENONが製作した「現代日本ピアノ音楽の諸相1973−」という3枚組LPに参加している(全12曲中2曲を演奏)。1986年以来、スイス在住とのこと。
1997年5月・11月、スイス・ルガーノでの録音。
 
アンサンブル・ウィーン ほか
シューベルト;弦楽五重奏曲(KOCH)
行きつけの音盤屋のワゴン・セールで掘り出したもの。
見れば買っているシューベルト作品、しかもウィーン・フィルのメンバーを中心とするアンサンブルゆえ、ぜひ聴いてみたい。
この曲の「刷り込み」、好きになるきっかけになった演奏が、ウィリー・ボスコフスキー率いるウィーン・フィルハーモニーQのLPだったのである。
第1Vnはパウル・グッゲンベルガーフォルカーさんが「なんともいい"味"があるのよ、このおっさんのヴァイオリンには」と評する御仁ゆえ、期待も高まるというものである。
いま気がついたのだが(^^;、このアンサンブル、Vn+Vn+Va+Cbという編成なのである(椅子がいらず、酒場で「流し」ができる組合せ)!
イヴ・サヴァリィというVc奏者が加わっているのだが、彼が第1Vcを担当し、Cbのヨーゼフ・ニーダーマイヤー(@ミュンヘン・フィル)が第2Vcのパートを楽譜どおりのピッチで演奏しているとのこと。
1996年6月、ウィーン・ゾフィエンザールの録音。
 
レジ・パスキエ(Vn) クレール・デゼール(P) チューリヒ・カサルQ ほか
ショーソン;Vn、Pと弦楽四重奏のための協奏曲 ほか(WIEDISCON)
これもWIEDISCONから。カタログに蒐集している標記ショーソン作品があったのでオーダーしたもの。
パスキエの録音がこんなところにあるとは、また驚きである。
カプリングはメンデルスゾーン;八重奏曲で、こちらはバイエルン・カンマーフィルハーモニー団員の演奏による。
ともに1995年のライヴ録音。
 
パブロ・カザルス(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(OPUS KURA)
『レコード芸術』4月号で山崎浩太郎氏が紹介しておられる「オーパス蔵」レーベルの新譜。
眼前にカザルスが動き、弓のしなるさまが見えるかのような生々しさと迫力に、ひたすら圧倒された。この演奏の真価を初めて知った。
とのこと。
最近、SPの復刻に関しては、同じ音源が色々な会社から復刻されるので、少々ウンザリ気味、買い直しは控えていたのだが、そこまで違うのならと、購入してみた。
従来の架蔵盤はEMI References盤(CHS7610272)、比較してみると、なるほど雲泥の差。
EMI盤は甲高い感じのする薄っぺらな、いかにも太古レコードという音色だが、「オーパス蔵」盤は「生きたボディ」のある音になっている。
 
ゲオルク・ファウスト(Vc) ロジャー・ヴィニョールス(P)
「鳥の歌」(FUNHOUSE)
某オークションで落札したチェロ小品集。
ファンハウス社のCDは、BMGとの合併で、もう店頭で見ないし、ヴィニョールスの伴奏名人ぶりを聴けるのも楽しみである。
アルバム・タイトルのカタロニア民謡をはじめ、ラフマニノフ;ヴォカリーズファリャ(マレシャル編);6つのスペイン民謡ガーシュウィン(三枝成彰編);アイ・ラヴ・ユー、ポーギー等、9曲を収録。

3月15日(土): 

 大阪センチュリー交響楽団@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。指揮は小林研一郎

今日の曲目は
シベリウス;交響詩「フィンランディア」
ラフマニノフ;P協第2番
ベートーヴェン;交響曲第7番
というもの。
小林とセンチュリーのベートーヴェンは、以前、第3番を聴いたことがあり(平成7年6月)、実に雄渾な「英雄」だった。それが忘れられず、今回、第7番でも同様の名演をと、期待して参じた。
 
「フィンランディア」冒頭、金管の分厚い和音に圧倒される。
その後は、リズムがやや重苦しく、木管のコラールも「清澄の極み」とは行かない。このあたりは、CDでも同様だった。
もちろん終結は盛り上がり、ブラボーの声もさかん。
 
ラフマニノフの独奏は仲道祐子
序奏での深々とした強靱な音には感心したものの、あとはオーケストラに埋もれがちになり、スケールの小さい音楽になってしまった。ロシア的な情緒も薄い。
オーケストラは堂々たる、ずっしりした響きで良かったが…。
 
休憩後、お目当てのベートーヴェン;第7交響曲
大阪センチュリー響は、第1Vnから順に12-10-8-6-5。Hrnのみ重複させて4本、残りは2管の編成。
 
第1楽章序奏、弓を一杯に使った弦合奏の和音が心地よく響く。主部を導くFlも、いつもながら美しい音色。
間然とするところない音楽が進行し、コーダで、指揮者の指示に応じて膨れあがるCbの響きが凄まじい。
第2楽章、盛り上がりで木管が埋もれてしまったのは残念。
ここでは金管・木管・弦の三者の絡みがくっきり聴こえてこそ面白い、と思うのだが。
第3楽章では、トリオのクライマックスでTrpが、コクとカロリーがたっぷりした、見事なffを響かせた。
コバケンも左手指で「マル」を作って示すほど。
トリオ再現のあと、弦合奏がpppに沈んだところの静謐さも特筆したい。こういうあたりが小林研一郎の真骨頂だと思う。
第4楽章は、終演後に指揮者が語ったとおり、「はじけるような」音楽。
 
ただ、全体としては、この曲の良い演奏に出会ったときの、どうしようもない興奮、「手の舞い足の踏むところを知らず」状態を味わうことはできなかった。
ちょっと気になったのは、Timpの表情のなさ。正確に叩いてはいるのだが、「意味」が感じられない。「熱」を打ち出さない。
木管、特にObあたりに、もう少し性格的な「強さ」がほしいとも感じる。美しく柔らかい音色なのだが、ベートーヴェンの音楽では物足りなさが残った。
 
客席からは熱烈なブラボーが飛んでいたので、まあ、こちらのコンディションも悪かったということかもしれないが…。
 
アンコールには、ブラームス;ハンガリー舞曲第1番
(「ダニー・ボーイ」以外を聴くのは久しぶりかも。)
更に、指揮者が特にオーケストラに了解を求めて、ベートーヴェン第4楽章終結(約60小節分)を、もう一度。

 JPCから荷物が届いた。ここは、以前、梱包のお粗末さが難だったが、最近は改善されたようだ。

ジャン・レイサム・ケーニック(指揮) ストラスブール・フィル
フランク;交響曲・「プシシェ」(抜粋)(AVIE)
交響曲も好きな作品だが、「プシシェ」は比較的録音の珍しい佳曲、見逃せないと以前から目をつけていた盤をオーダー。
既に『レコード芸術』2002年9月号「海外盤試聴記」で紹介されているが、それによれば
非常に純度の高い感情の高揚を美しく描きあげる
とのこと、期待したい。
2001年7月、ストラスブールでの録音。
なお、この指揮者についてはレイボヴィッツ小伝で妙な引き合いに出しているが(笑)、1953年イギリス生れ、フランスとデンマークとポーランドの血を引くという。
ピアニストとしてキャリアを始め、1997/98年のシーズンから、このオーケストラの音楽監督のポストにある。
 
オレグ・マルシェフ(P) ハンヌ・リントゥ(指揮) ヘルシングボリ響
ショスタコーヴィッチ;P協第1・2番 ほか(Danacord)
見れば買い集めている曲、第1番のP協の新譜ゆえオーダーしたもの。
Trp独奏はヤン・カールソン、特記されていないのでオーケストラのメンバーであろうか。
24の前奏曲 op.34をカプリング。
2002年7〜8月、ヘルシングボリでの録音。
 
カメラータ・リジー・グシュタート
チャイコフスキー;「フィレンツェの思い出」 ほか(CLAVES)
このところあれこれ買っている「フィレンツェ〜」、ロシア室内楽ファン倶楽部さんの「マイ・ベスト」をオーダーしたもの。
弦楽六重奏編成で、第1Vnはもちろん主宰者アルベルト・リジー、Vaは古澤巌とよく組んでいたポール・コレッティ
カプリング曲は渋いところばかりで、
ブロッホ;「ユダヤの生活から」第1番
アッテルベリ;組曲第3番 op.19-1
プッチーニ;「菊」
ワーグナー;「夢」(ヴェーゼンドンク歌曲集より)
1985年6月の録音。
 
マリー・ハリンク(Vc) ローマン・コフマン(指揮) ベルギー国立管
ジョンゲン;Vc協 ほか(Cypres)
このところ気になっている作曲家、ジョンゲンのCDを2点オーダー。
2002年7月録音の新譜で、Vc協に興味を惹かれる。ソリストは前にHMFからのリサイタル盤を買ったことがあるハリンク。
交響詩「アルデンヌの印象」2つのワロン民謡のノエルによる幻想曲をカプリング。
なお、指揮者はキエフで学んだ人で、ベルギー国立管にもしばしば客演し、2003年8月からはマルク・スーストロの跡を襲ってボン市の音楽総監督に就任する予定とのこと。
 
アンサンブル・アルペ
ジョンゲン;FlとHpのための室内楽曲集(Cypres)
ジョンゲンその2。
この盤については『レコード芸術』2003年3月号「海外盤試聴記」に紹介がある。
特に5声のコンセール op.71(Fl、Hp、Vn、Va、Vc)について
のびやかな旋律と明るく新鮮な和声が、趣味の良い憂愁と感覚的な歓びを交錯させていく。
と評されている。
その他、
アダージョ op.22-1(Vn、Va)
緩やかな踊り op.56(Fl、Hp)
デュオ・ソナタ op.109(Vn、Vc)
2つの小品 op.80(Fl、Hp、Vc)
を収録(2002年3月録音)。
演奏団体は、上記Vc協で独奏していたマリー・ハリンクのほか、アルド・ベルテン(Fl)、ソフィー・ハリンク(Hp)、グドルン・ヴェルカンプ(Vn)、ディードリック・スイ(Va)といった、ベルギーやフランスで活動しているメンバーから成る。
 
ダニエル・ゲーデ(Vn) シュエス・リウ(P)
「真空管だけによるヴァイオリン」(TACET)
ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めたこともあるゲーデのソロ・アルバムがリリースされたので購入。
タイトルは、TACETレーベルらしい録音機器へのこだわりから来たもので、ノイマンのU47という真空管式のマイクをはじめ、マイクの電源ユニットから何から、半導体を用いない機械で揃えたということである。
収録曲も凝ったもので、シチェドリン;アルベニスのスタイルでクライスラー;ヴィヴァルディのスタイルによる協奏曲ヘルメスベルガー(子);ロマンツェ op.43-2など、珍しいもの。
もちろん、チャイコフスキー;メロディエルガー;愛のあいさつマスネ;タイスの瞑想曲といった有名小品も含まれている。
ピアニストは中国・西安出身、ベルリンで学んだ人で、原綴 "Xuesu Liu" 。姓は「劉」だろうが、名前の方は漢字が当てられない。(汗)
クライスラー作品では弦楽合奏、ヘルメスベルガー作品では3人のVn奏者と共演している。2002年フランクフルトでの録音。
 
エレアノール・フレーリヒ(Fg)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1番(Fg版) ほか(EXTRAPLATTE)
先だって、『クラシック輸入盤パーフェクト・ガイド』(音楽之友社)を読み返していて、蒐集しているバッハ;無伴奏のアレンジものに気づいてオーダー。
ウィーンで活動する作曲家"Yuki Morimoto"(森本恭正)のプロデュースによるCDで、バッハと森本作品Fgのためのパルティータの各楽章を交互に演奏している。
1995年ウィーンでの録音。収録時間は約38分で、少々物足りない。
なお、演奏者はリンツ・ブルックナー管グラーツ歌劇場管等で吹いていた(現在は在籍していない)とのこと。
 
オーレ・エドヴァルド・アントンセン(Trp) ウェイン・マーシャル(Org)
TrpとOrgの有名小品集(EMI)
平成12(2000)年10月に実演を聴いて感動したアントンセンとマーシャルのコンビ。
EMIに録音したアルバムがバジェット・プライスでJPCに出ていたのでオーダー。届いた現品は別に廉価盤でもないので、一種の値引きセールだったのだろうか。
収録曲は多種多様で、バッハ;主よ、人の望みの喜びよクラーク;トランペット・ヴォランタリー等のバロックものから、グリーグ;過ぎ去りし春ラフマニノフ;ヴォカリーズといったロマンティック、オルセンリンドベリといった現代曲に及ぶ。
1992年10月の録音。
 
ピエール・アモイヤル(Vn) アンヌ・ケフェレック(P)
フォーレ;Vnソナタ第1・2番(仏ERATO、LP)
アモイヤルのLPは集めるようにしているところ、国内盤しかなかったフォーレ;Vnソナタの輸入盤を某オークションで見つけ、落札したもの。
1978年4月の録音。

 今日の演奏会のデータを、演奏会出没表に追加。


3月14日(金): 

 

トロン・セーヴェルー(Vn) アイナル・ロッティンゲン(P)
「HIKA」(SIMAX)
退勤の道すがら、電車の時間までの間に立ち寄った音盤屋でワゴン・セールをしていた中に、かねて注目していたCDがあった。
グリーグ;Vnソナタ第3番
ドビュッシー;Vnソナタ
メシアン;主題と変奏
クラム;4つの夜想曲
武満徹;悲歌(HIKA)
という収録曲の渋さ! (選曲の詳細についてはノルディックサウンド広島のニューズレターを参照されたい。)
とりわけノルウェーのVn奏者が演奏するグリーグ作品というのに心惹かれていたのだが、何やかやで買いそびれていたもの。今回はバーゲン価格ゆえ迷わず購入。
 
ダン・ラウリン(Rec) パルナッスス・アヴェニュー
「コレッリと仲間たち」(BIS)
好きなリコーダー奏者、ラウリンの新譜が出ていたので購入。
">Corelli & Co<" という洒落たタイトルが付いているが、コレッリのほかサンマルティーニヴェラチーニマルチェッロら、18世紀前半を中心に活躍した作曲家7人の作品を集めている。
「パルナッスス〜」は、ニュー・イングランドのアムハースト音楽祭で出会った4人の古楽演奏家が結成し、サンフランシスコを本拠として活動しているグループ。ラウリンの他、チェンバロ、テオルボ、チェロの奏者から成る。
2001年11月、カリフォルニアでの録音。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org) ユハニ・ヌンミネン(指揮) ヤラス・チェンバー ほか
クーラ;「炎を見つめて」(JJCD)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんで、FUGAというフィンランドの通販サイトが紹介されていた。
あれこれ検索してみて、「オルガンの魔術師」キヴィニエミ絡みのCD4枚をオーダー。10日ほどで到着した。
これは、フィンランドの作曲家クーラの作品を、弦楽合奏又はオルガン独奏に編曲して演奏した音盤。
歌曲からアレンジした表題曲のほか、有名な結婚行進曲(ピアノ曲)など14曲を収める。
指揮者は19442年トゥルク生れ、トゥルク・フィル等のVn奏者として活動した後、指揮者に転じ、長くポリ・シンフォニエッタを率いていたとのこと。
 
マリウス・ヤルヴィ(Vc) カレヴィ・キヴィニエミ(Org)
Vc小品集(Martti Forsius)
独奏者は1981年、エストニアのタリン生れ、ネーメ・ヤルヴィの甥に当たり、父親もVc奏者という音楽一族の出身。生地やラハティの音楽学校で学んだとか。
フォーレ;エレジーラフマニノフ;ヴォカリーズヤルネフェルト;子守歌メシアン;イエズスの永遠性についての讃歌など、オルガンとの共演に向きそうな小品12曲を演奏している。
キヴィニエミがオルガニストを務めるラハティの聖十字架教会において、2000年頃に録音されたもの。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org)
ワーグナー;Org編曲集(MILS)
やはり「魔術師」キヴィニエミには、こういう、おどろおどろのものを演奏してもらわねば。(笑)
行進曲序奏と巡礼の合唱エリーザベトの祈り(以上「タンホイザー」)、第3幕の序曲と結婚行進曲(「ローエングリン」)、第3幕への前奏曲(「マイスタージンガー」)、「ヴァルキューレの騎行」「聖金曜日の音楽」を収録している。
2000年9月及び2001年6月に、トゥルク大聖堂での録音。
版元でCDが品切れ中とのことで、CD−Rとカラーコピーのブックレットで製作されたものが送られてきた。(^^;
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org)
ルネサンス舞曲集(fuga)
こちらはドイツ・シュマルカルデンのヴィルヘルムスブルク城教会に設置されているダニエル・メイヤーによる1589年製のオルガンを用いた、小規模なルネサンス舞曲集。
スザートノイジドラーアテニャン等の作品十数曲を演奏している。
録音は1998年6月。

3月13日(木): 

 

ガリー・ベルティーニ(指揮) ケルン放送響
マーラー;交響曲第7番(EMI)
ベルティーニのマーラー全集で、唯一、未架蔵だった第7番を某オークションで見つけて落札したもの。
この全集の演奏は、音楽の剛毅さ、管弦楽の美しい仕上がり、しかも内側にはマーラーに共感する心の炎が熾っているという、斉諧生好みのもの。ようやく全曲を揃えられて嬉しいかぎりである。
たしか日本で企画されたものと思うが、そのせいか輸入盤はずっと入手しにくい状態が続いており、本家西ドイツ放送局のWebshopでも一部の曲しか販売されていない。
少し前に第1〜5番が仏EMIから廉価盤で出たが、残りも同様にリリースしてもらいたいもの。
 
前橋汀子(Vn) 東誠三(P)
「アンダルシアのロマンス」(Sony)
前橋さんは必ずしも好きな奏者ではないが、前に実演を聴いたときに、小品の巧さ、聴かせ上手に感心した。
Sonyから全6枚の小品集をリリースしておられるが、国内盤フルプライスではちょっと手を出しかねていたところ、未架蔵の第3集が安価でEasySeekに出ていたので購入。(^^)
斉諧生好みのヴィターリ;シャコンヌをはじめ、珍しいヴェツェイ;悲しきワルツなど20曲を収録。
1999年2月、アクトシティ浜松コンサート・ホールでの録音。
 
加藤知子(Vn) 江口玲(P)
「オペラ座の夜」(DENON)
注目しているヴァイオリニスト、加藤さんの未架蔵盤が、安価でEasySeekに出ていたので購入。(^^)
ガーシュウィン;サマータイムサラサーテ;カルメン幻想曲などオペラの名旋律を編んだ作品11曲を収録。
1996年11月、秩父ミューズパークでの録音。

3月12日(水): 

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル
ベートーヴェン;交響曲第5番 ほか(Altus)
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル
ベートーヴェン;交響曲第6番・序曲「エグモント」(Altus)
ケーゲル最後の来日、手兵ドレスデン・フィルを帯同しての来日公演のライヴ録音がリリースされた。彼の芸術を高く評価し、その死を哀惜する者として買わざるべからず。
1989年10月18日、サントリー・ホールでのコンサートの全曲目を2枚に分けて収めており、第5番の方にはアンコール曲バッハ;アリアをフィルアップしている。
それにしても、当時、彼らの来日は、まったくといっていいほど話題にならなかった。おまQさんによる来日記録によれば、地元京都にも来演していたのに、斉諧生自身、気にも留めていなかったことを白状せねばならない。
同じく放送記録にある数々の演奏も、CDとして発売されないものだろうか。
 
ギュンター・ヴァント(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管
ベートーヴェン;交響曲第2番 ほか(TESTAMENT)
 
ギュンター・ヴァント(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管
ベートーヴェン;交響曲第4・5番(TESTAMENT)
 
ギュンター・ヴァント(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管
ベートーヴェン;交響曲第1・7番(TESTAMENT)
 
ギュンター・ヴァント(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管 ほか
ベートーヴェン;交響曲第9番(TESTAMENT)
ヴァントはケルン時代にクラブ・フランセ(のちミュジディスク)レーベル等に大量の録音を遺している。一部は既にEMIやAccordからCD化されており、ハイドンバルトークなどは斉諧生も架蔵している。
先だって、TESTAMENTレーベルがベートーヴェンを大量に復刻してくれたが、財布の都合もあって見送っていたところ(苦笑)、大部分が某オークションに安く出品されたので落札したもの。
第2番の盤に、序曲「コリオラン」・「エグモント」・「レオノーレ」第3番をカプリングしている。
録音データを簡単に転記すると、
第1番…1956年5月22日(モノラル)
第2番…1954年9月22日(モノラル)
第4番…1956年6月7日(モノラル)
第5番…1956年12月(ステレオ)
第7番…1957年(ステレオ)
第9番…1955年10月10日(モノラル)
序曲集…1961年12月28日(ステレオ)
となる。
 
桐山建志(Vn) 大塚直哉(Cem)
バッハ;Vn作品集 Vol.1(ALM)
バロックVnの名手、桐山建志氏の新譜が出ていたので購入。
桐山さんのバッハは、昨年夏に武久源造氏とBWV1014〜16ほかが出たばかりだが、新たに全5巻のシリーズで出し直すらしい。
ライナーノートによると、Vnソナタ6曲、無伴奏Vnソナタとパルティータ6曲、それらのチェンバロ又はリュート編曲版等を、「ひとつの大きなまとまりの中でとらえてみる」計画であるという。
バッハにおける弦楽器作品と鍵盤楽器作品の親近関係(相互の編曲など)や、チェンバロ付きソナタと無伴奏ソナタ・パルティータとのペア関係に、注目されているようだ。
この第1巻も、
ト短調無伴奏Vnソナタ第1番 BWV1001ト長調Vnソナタ第6番 BWV1019を対にして収録し、
更にVnソナタ BWV1023と、有名なシャコンヌ BWV1004よりのチェンバロ編曲をカプリングする
という興味深い構成になっている。
続巻にも期待したい。
 
ナタン・ミルシテイン(Vn) アルトゥール・バルサム(P) ルドルフ・フィルクスニー(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ第5・8・9番(EMI)
ミルシテインが1950年代後半、Capitolレーベルに録音した音源である。
当時の謳い文句 "Full Dimensional Sound" を再び冠した復刻CDのシリーズで、買い漏らしていたものを某オークションで落札した。
第5番はフィルクスニーとの共演で1958年12月のステレオ録音、第8・9番がバルサムとの1957年12月〜58年1月のモノラル録音。
実をいうと、ミルシテインのCapitol音源のうち室内楽・器楽曲については、アメリカより早く、1992年に東芝EMIが12枚組でCD化しており、それも架蔵している。
リマスタリング効果に期待したのだが、斉諧生としては、東芝EMIの生々しい音を好む。FDSシリーズの方は、綺麗で柔らかい音だが、少し弱々しい感じ。
 
アーロン・ロザンド(Vn) ヒュー・スン(P)
シマノフスキ;Vn作品集 ほか(ARTEK)
アメリカの実力派、ロザンドの新譜が出ていたので購入。このレーベルは、同じくアメリカの実力派であるエルマー・オリヴェイラの個人(?)レーベルと思っていたので、ちょっと意外。
2001年5月、フィラデルフィアのカーティス音楽院(ロザンドが教職にある)での録音で、彼の父祖の地ポーランドの作曲家の作品を集めている。
すなわち、
シマノフスキ夜想曲とタランテラ3つの神話ロマンスロクサーナの歌
ヴィニャフスキ;モスクワの思い出ほか2曲
ショパン;夜想曲のVn編を4曲(よく演奏されるミルシテイン編の遺作と、op.9-2、27-2、37-1)
を収録している。
 
小林研一郎(指揮) 東京響 ほか
石桁真礼生;管弦楽選集(fontec)
小林さんの録音は全部集めたいと思っているのだが、作曲の師・石桁真礼生の作品を演奏したCDは、定価ではちょっと手を出しかねていたところ、安価でEasySeekに出ていたので購入。(^^)
収録曲は、
交響曲(嬰ヘとハを基音とする)
交響的黙示(瀬山詠子(Sop))
協奏的黙示(海野義雄(Vn))
1989年3月29日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
 
武久源造(Org)
「ロマンティック 月」(KING)
武久さんのCDは、ずっと買ってきており、この即興演奏録音の存在は、かねて承知していた。
また、これは、管風琴音盤百選に参加しておられ、自身でもパイプオルガンと音楽を公開しておられる大林徳吾郎氏が製作された、白石キューブのオルガンによる音盤としても、興味を持っていたもの。
三枝成彰プロデュースとか、「月からの電磁波を可聴音に変換したもの」等の惹句に、二の足を踏んでいたのだが、これまた安価でEasySeekに出ていたので購入してみた。

3月11日(火): 

 某オークション落札品が届く。

花房晴美(P) 高関健(指揮) 新日本フィル
チャイコフスキー;P協第1番 & リスト;P協第1番(fontec)
オークションをあれこれ検索していて、花房さんの名前が懐かしく(斉諧生がクラシックを聴き始めた約20年前、若手のピアニストとして非常に活躍しておられた)、ふと商品の画像を見ると "KEN TAKASEKI conductor" という名前が目に入った。
高関氏に、こういう録音があるとは知らなかった。1995年4月録音・7月発売なので、さほど古くないものなのに。(恥)
氏の足跡は、過去・将来ともフォローしておきたく、落札したもの。

3月9日(日): 

 昨日入手したDVD・LPの情報を、カザルス・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。


3月8日(土): 古書店から
 柴田南雄 ほか『日本の音をつくる』(朝日新聞社)
が届く。
 昭和51(1976)年に『アサヒグラフ』誌に連載された、和楽器製作の職人を紹介する企画が単行本にまとめられる際、特に柴田先生の文章を加えたとのこと。
 現物を見て気づいたのだが、先生の文章自体は、架蔵済みの『日本の音を聴く』(青土社)に収録されているものと同一。(苦笑)
 まあ、尾崎一郎氏の手になる写真がいずれも素晴らしいものなので、満足することとしよう。
 
 また、Sheet Music Plusから、楽譜が届いた。
 チャイコフスキー;フィレンツェの思い出

 

ボロディンQ ゲンリフ・タラリャン(Va) ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(Vc)
チャイコフスキー;弦楽四重奏曲全集(CHANDOS)
先日来、気に入って、↑で書いたように譜面も取り寄せた、チャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
先だって、ボロディンQの1980年録音を入手したところ、第1Vnがデュビンスキーの時代の旧録音も聴きたくなり、MDTにオーダーしたもの。
録音年月は記載がないが、「フィレンツェ〜」は1965年録音らしい。弦楽四重奏(第1〜3番のほか変ロ長調の断章を収録)も、おそらくその頃のものか。
もちろん旧メロディア音源。
 
アンタル・サライ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番 ほか(BMC)
東欧系の渋いレーベルBMCの新譜で、若いヴァイオリニストの無伴奏アルバムが出ていた。
Webで試聴してみたところ、なかなか佳さそうだったのでMDTにオーダーしたもの。
バッハ以外の収録曲は、
クライスラー;レシタティーヴォとスケルツォ
イザイ;無伴奏Vnソナタ第3番
ペトローヴィチ;狂詩曲第1番
サライは1981年生れ、ブダペシュト音楽アカデミーでペーター・コムローシュ(バルトークQ)に学び、進んでティボール・ヴァルガジョルジ・パウクらのマスターコースに参加、今はニューヨークでピンカス・ズッカーマンに教えを受けているとのこと。
 
ジャンヌ・ドゥメシュ(Org)
フランク;Org作品集(FESTIVO)
中古音盤堂奥座敷同人・浮月斎大人も参加しておられる管風琴音盤百選を過日、拝見していたら、入門用オルガン名盤十選なるページがあり、この2枚組CDが紹介されていた。
数あるフランクのイチオシ名盤。(略)決して表現的な濃さはないが、フランクに纏わりつきがちな靄が一掃され、音楽も無駄を語ることがない。
とのこと。
フランクのOrg作品は前奏曲、フーガと変奏愛惜佳曲書に掲げており、聴き逃すべからず。
あちこちの通販サイトを見てみたが入手難のようで、結局、Organ Historical Societyにオーダーしたもの。初めて利用したが、きっちりした対応であった。
1959年7月、パリ・マドレーヌ教会のカヴァイエ・コル・オルガンによる録音。
 
パブロ・カザルス(指揮) マールボロ音楽祭管 ほか
モーツァルト;交響曲第35〜41番(米COLUMBIA、LP)
演奏自体は有名なもの。
第38・39番について、輸入盤LPでは架蔵していないので探していた。たしかセットでしか出なかったという話を聞いたことがある。
先日)、某オークションに出品されたので落札したもの。ただし、アナログ末期のブラウン・レーベルなので、再発物ではなかろうか。
 
エミール・チャカロフ(指揮) レニングラード・フィル
ブルックナー;交響曲第4番(蘇MELODYA、LP)
これも某オークションから。
早世したチャカロフ(1948〜91、ブルガリア)に、ブルックナー録音があったとは吃驚。
彼の音盤はデュメイとのメンデルスゾーン & チャイコフスキー(EMI)や、クレーメルベートーヴェン & シューベルト(DGG)くらいしか知らなかった。
実は凄い指揮者だったという情報もあり(例えばフランス国立管団員の談話)、大曲の演奏記録ならばぜひ聴いてみたいと落札したもの。
レニングラード・フィルのブルックナーというのも珍しかろう。興味津々。
録音データは記載されていないが、マルC1978年という表記も見える。
そうだとすれば、カラヤン・コンクール入賞(1971年)のしばらく後ということになり、上記談話にいう「あまりにもてはやされるもんで、勉強しなくなっちゃった」頃のものなのかもしれない。(汗)
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) ケース・バケルス(指揮) オランダ室内管 ほか
バッハ;二重協・三重協(日DENON、LP)
カントロフの未架蔵盤を某オークションで落札。
Fl、Vn & Cem協 BWV1040Vn & Ob協 BWV1060をカプリングしている。
後者のみ、Ob奏者の関連で、先に日本ダブルリードからCD化されていた(「モーリス・ブルグの美学」)。
前者の独奏者は、アンドラーシュ・アドリヤン(Fl)とユゲット・ドレフュス
1981年6月29日〜7月2日、アムステルダムでの録音。こういうデジタル初期のものは、意外にCD化されていないので困る。
 
ロニー・ロゴフ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタ第1・3番(日CBS Sony、LP)
タスキのコピーに曰く、「"祈りのヴァイオリン" 音楽の殉教徒ロゴフが、そこに見たものは何か。
ロゴフは、1977年、チェリビダッケの来日に同行してベルク;Vn協を演奏して以来、「チェリビダッケの秘蔵っ子」という肩書で知られていた。
1980年の来日時にはバッハ;無伴奏Vnパルティータ第1・2番を同レーベルに録音し、そちらの方はシュトックハウゼンとの組合せも含めて話題になったことが記憶に残っている(1981年3月発売)。
ところが、こちらはトンと憶えていない。残りの2曲は録音しなかったのではないか。
いまやロゴフの名前を知っている人も少なくなったのだろう、某オークションであっさりと落札できた。
1981年10月、ロゴフの来日時に日本(入間市民会館)で録音されたもの。
ストラヴィンスキー;エレジーをフィルアップ。Va用の曲を5度高く移調して演奏しているとのこと。
 
アルヴィド・ヤンソンス(指揮) ラトヴィア放送響 ほか
モーツァルト;レクイエム(蘇MELODYA、LP)
父ヤンソンスの名は早くから知っていたが(マリスは、もともと「アルヴィドの息子」として語られたのである)、彼の実力を思い知ったのはレニングラード・フィルを指揮したショスタコーヴィッチ;交響曲第5番だった(intaglioレーベル。この音源が正規発売されんことを!)。
それ以来、MELODYAのLPを中心に彼の演奏を集めているところ、某オークションで見つけたので落札したもの。
故郷ラトヴィアの団体を振っているのは珍しい。歌唱もラトヴィア国立アカデミー合唱団、北欧のコーラスは概して優秀なので期待したい。
録音データ未詳だが、ジャケット隅に「1978」の文字があるので、その年の録音だろうか。指揮者は1984年に70歳で没しており、晩年の演奏ということになる。

3月7日(金): 退勤後に大阪へ。楽譜店で以下を購入。
 ハイドン;Vc協第2番 ニ長調
 コダーイ;Vcソナタ op.4
 ドビュッシー(コチシュ編);小組曲(VcとPのための版)

 

エーリヒ・ベルゲル(指揮) トランシルヴァニア・フィル
ワーグナー;序曲「タンホイザー」 & ブラームス;交響曲第1番 ほか(SIPARIO DISCHI)
某Webmasterの御厚意で共同購入させていただいたもの。
ミュンヘン音楽ゼミナールなる音楽学校(?)が製作した2枚組CDで、1995年11月24日、ヘルクレス・ザールでのライヴ録音とある。
ベルゲルの貴重な遺産、しかもライヴということで期待して購入。
レオンハルト・ヴェスターマイヤーという1976年ミュンヘン生れのピアニスト(上記ゼミナール出身者らしい)が独奏するシューマン;P協をカプリング。
なお、ベルゲルのブラームスは、前年のスタジオ録音盤全集(BMC)もある。
 
レオンハルト・ヴェスターマイヤー(P) エミール・シモン(指揮) トランシルヴァニア・フィル
シューマン;交響曲第1番 & チャイコフスキー;P協第1番(SIPARIO DISCHI)
来歴は↑の盤と同じ。ベルゲルの指揮かと予想していたのだが、外れてしまった。
シモンは、1936年生れ、1960年以来、トランシルヴァニア・フィルの首席指揮者を務めているという。1964年、ブザンソン音楽コンクールで1位を獲得、パリでナディア・ブーランジェマニュエル・ロザンタール、ストックホルムでチェリビダッケに師事したとか。
1994年5月6日、ヘルクレス・ザールでのライヴ録音。
 
ピエール・ブーレーズ(指揮) ウィーン・フィル ほか
マーラー;交響曲第3番(DGG)
ブーレーズによるマーラー・シリーズは、「マーラーくささ」というか、濃い表情付けを回避した演奏ではあるが、構造の明晰さやオーケストラの音楽性の発露が素晴らしく、期待している。
国内盤先行発売だったため、輸入盤を待っていたところ、ようやく店頭に出たので勇躍購入。
全集完成へ向け、残るは第2・8番となった。
 
ジャック・ティボー(Vn) ヴィクトル・デザルツェンス(指揮) ローザンヌ室内管 ほか
ベートーヴェン;Vn協 ほか(TAHRA)
ティボーの貴重な録音が登場、買わざるべからず。
標記ベートーヴェンは1950年11月9日のライヴ録音。音質的には、音に力はないが、歪みやノイズはなく、聴きやすい。
その他の収録曲は、
モーツァルト;Vn協第4番(エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管、1949年12月28日)
音がやや細く、ときに雑音(アセテート盤のサーフェスノイズ?)が耳につくが、年代を考えれば十分満足できる音質。
ラロ;スペイン交響曲(ヴィンフリート・ツィリッヒ(指揮) ヘッセン放送響、1951年3月7日)
オーケストラの音に少し歪みが乗っているが、パワーはあり、独奏に関しては問題なく生々しい音が聴ける。
フランク;Vnソナタ(ジャン・ラフォルグ(P)、1952年12月21日)
ちょっとこもったような、ややレンジの狭さを感じさせる音色だが、しっかりした音で、歪みや雑音はなく、立派に鑑賞に堪えるもの。
ティボーは1880年生れだから、70歳前後の演奏記録ということになる。
なお、早くもClassical CD Information & Reviewsさんがレビューを掲載しておられる。
 
加藤恕彦(Fl) ほか
「加藤恕彦の芸術」(EMI)
加藤は1937年生れ、林リリ子に学び、パリ音楽院に留学、ランパルウーヴラドゥーらに師事した。
1961年、モンテ・カルロ国立歌劇場管の首席奏者に採用され、将来を嘱望されたが、1963年8月、モンブラン山中で遭難死した。
没後30年、ジネット・ヌヴー協会ジャポンの企画により、遺されたライヴ録音・放送用録音が、3枚組のCDに集成された。
アンタル・ドラティ(指揮)バッハ;管弦楽組曲第2番ルイ・フレモー(指揮)モーツァルト;Fl協第1番といった注目すべき音源が含まれており(オーケストラはいずれもモンテ・カルロ国立歌劇場管)、発売当時から気になってはいたのだが、フルプライス3枚組の価格ゆえ諦めていた。
中古音盤屋で格安の盤を掘り出したので、ようやく購入。
半分ほどは1962年12月17日、パリのサル・ド・エコール・ノルマルで行われたリサイタルでのライヴ録音(北川正(P))。モノラルながらリアルで優秀な音質。
協奏曲の方は、残念ながら少し年代を感じさせる音。
 
ポール・マクリーシュ(指揮) ガブリエル・プレイヤーズ ほか
バッハ;マタイ受難曲(Archiv)
マタイとあらば買わずにはいられない。
驚いたことにCD2枚組、別にカットがあるわけでもなさそうだ(収録時間は2枚とも80分を超える)。
ブックレットを見てまた吃驚、8人のソリストがソロもコーラスも歌うらしい。
いったいどのようなことになるのか、興味を惹かれるというか、結果が怖いというか。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) フランス国立放送管 ほか
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1番 ほか(EMI、DVD)
EMIの "classic archive" シリーズの新譜が並んでいた。どれも魅力的な顔触れだが、まずマルケヴィッチは買わないわけにいかない。
1960年代のモノクロ映像で、
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1番(1963年6月15日)
ワーグナー;「タンホイザー」序曲・「トリスタンとイゾルデ」序曲と愛の死(1968年9月15日、ブザンソン音楽祭ライヴ)
ストラヴィンスキー;詩篇交響曲(1967年6月14日)
を収録。
ショスタコーヴィッチはスタジオ(かなり薄汚い部屋だ)での、ワーグナーとストラヴィンスキーはホールでの収録。
なお、詩篇交響曲には Disques Montaigne レーベルから同年同月21日のライヴ録音が出ている。データを見比べてみたところ、オーケストラ名が違うのに気がついた。
DVDでは "Orchestre Philharmonique et Choeurs de l'ORTF" (フランス国立放送フィル)、CDでは "Orchestre National de France" (フランス国立管、ただし1967年時点では、まだ「フランス国立放送管」のはず)となっている。
わずか1週間のうちに違うオーケストラで同じ曲目を演奏したとは思えない。どちらかが間違っているのか、同一の団体で表記方法が違うだけの問題なのか、何とも判断に苦しむ。
ボーナス映像として、「イーゴリ1世」ストラヴィンスキー(指揮) ニュー・フィルハーモニア管による組曲「火の鳥」を収録(1965年9月14日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)。
 
アンドレ・クリュイタンス(指揮) フランス国立放送管 ほか
ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲 & ムソルグスキー(ラヴェル編);展覧会の絵 ほか(EMI、DVD)
EMIの "classic archive" シリーズからもう1枚だけ、前にバイロイトのドキュメンタリーで、実にエレガントなリハーサル風景を見たクリュイタンスを購入。
標記のラヴェル作(編)品は1960年8月13日、↑マルケヴィッチのショスタコーヴィッチと同じスタジオ(やはり薄汚い)での収録。
エミール・ギレリス(P)を迎えたチャイコフスキー;P協第1番(1959年6月19日)をカプリング。これはシャンゼリゼ劇場でのライヴ収録ということだが、画質は少し劣る。
ギレリスの独奏でプロコフィエフ;Pソナタ第3番をボーナス映像として収める(1959年2月19日、ロンドン)。
 
レオポルト・ストコフスキー(指揮) デンマーク放送響
ニルセン;交響曲第2番「四つの気質」(丁POCO、LP)
中古音盤屋で購入したもの。
ストコフスキーなら何でも集めているわけではないが、ニルセンを振っているということになると見逃せない。
1967年8月4日のライヴ録音で、モノラル収録ながら、優秀な音質。
余白にインタビュー音声(13分半ほど)が入っている。
なお、調べてみると、先だってIMGレーベルから『20世紀の大指揮者』シリーズでCD化された音源のようだ。そちらを買った人がLPを売り払ったのかもしれない。(苦笑)
 
ワルシャワ五重奏団 ほか
フランク;P五重奏曲 ほか(日コンサート・ホール、LP)
中古音盤屋であれこれ漁っていると、フランク作品の未架蔵盤を見つけた。
原産地主義の斉諧生としては、こうした国内盤は好まないが、コンサート・ホール・レーベルとなるとオリジナルを見つけるのは難しい面がある。
全録音蒐集を心願とする曲の一つだけに、とりあえず購入せざるべからず。録音時期等は未詳。
演奏団体の第1Vnはブロニスワフ・ギンペル、廉価盤LPでしばしば名前を見かけた人である。ポーランド出身、アメリカの市民権を得て、南北アメリカで活躍したという。
第2Vn・Va・Vc奏者は未知の名前だが、ピアニストがウワディスワフ・シュピルマン
例の映画『戦場のピアニスト』のモデルになった人物である(!)。
シュピルマンの公式(?)サイトワルシャワ五重奏団のページもあるが、この盤に相当するデータは記載されていないようだ。
また、Sonyから「シュピルマン:オリジナル・レコーディング」というCDも出ているが、フランクは収録されていない。
カプリングはドビュッシー;Vcソナタ、演奏者はアルド・パリゾ(Vc) レスター・テイラー(P)
どうでもよいことだが、ジャケットに、
コレクターズ・シリーズは500枚のみの限定頒布で、当レコードはNO.565です。」(「565」はスタンプ)
と記されているのが可笑しい。
 
イスマエル・フェルナンデス・デ・ラ・クエスタ神父(指揮) シロスの聖ドミンゴ修道院聖歌隊
モサラベのミサ ほか(独Archiv、LP)
合唱指揮者・作曲家として知られる菅野浩和氏に『神の歌 人の歌』(帰徳書房)という著書がある。
グレゴリオ聖歌からテレマン、バッハ、ヘンデルまで、いわゆる音楽史ジャンルの名曲佳曲を紹介されたものだが、かねて愛読している。まだ手に入るのだろうか?
その中のモサラベ聖歌の項に曰く、
実に神秘的で、深遠な聖歌だ。(略)このようにしみじみと、心の深奥部に滲みこんでくる音楽としては他に何があろうか。
モサラベ聖歌とは、6・7世紀頃のスペインの典礼音楽が、その後イスラム支配下にあったために他のキリスト教会音楽の影響を受けずに残存したもの。
スペインのHISPAVOXレーベルから出たCDを愛惜佳曲書で紹介しているが、この盤は演奏者は共通だが、別な音源。
CDにもなっているようだが、輸入盤LPが格安で中古音盤屋に出ており、購入。

3月6日(木): 

 某オークション落札品が届く。

ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) レオポルト・ハーガー(指揮) オーヴェルニュ室内管
モーツァルト;セレナード ニ長調 K.185 & K.204(DENON)
数年間、途絶えていた「カントロフのモーツァルト全集を中古かバーゲンで揃えるプロジェクト」が復活。(笑)
出品を見たとき、正直いって、「あれ、まだ続きがあったの?」という気分だった。ちゃんと調べれば簡単に判ることではあるが…。
手持ちはこれで7枚目になるが、タイトルには「Vol.8」とあるので、プロジェクトは継続しなければ。(苦笑)
 
フレデリク・プラッシー(Vn) クリストフ・シモネ(P)
モーツァルト;Vnソナタ集(BNL)
かねてから期待している美音のフランス系若手ヴァイオリニスト、プラッシー
全部買い揃えないうちにBNLが入手困難なレーベルになってしまって口惜しい思いをしていたのだが、未架蔵盤の一つがオークションに出品されていたので落札。
K.301K.304K.378K.454の4曲を収録。
それにしても、どこか、彼の録音を活発にリリースしてくれるレーベルはないものか。既出の、例えばブラームス;Vn協での出来からして、きっと大成すると思うのだが…。
 
吉原すみれ(Perc) 藤舎推峰(笛)
柴田南雄;紅葉襲 ほか(Sony)
柴田南雄先生の著作・作品については、できることならすべて集めたいと思っているところ、未架蔵盤がオークションに出品されたので落札した。
吉原すみれさんは、ちょうど斉諧生の学生時代に頭角を現されたと記憶する。当時、東京文化会館小ホールでのリサイタルで、武満徹;雨の樹ほかを聴いたこともある。
その日はたしか、カメラータ東京の井阪紘氏が司会のような役割で、「各種の打楽器を大量に持っているものだから、嫁に行くのが難しくて…(笑)」などと喋っておられたのを記憶しているが、20年以上も前のことだから、どこまで正確か、定かではない。
閑話休題。
標記の作品は、1987年、当盤の録音(同年10月)のために書かれたもの。
高橋鮎生;春にゆるやかに舞う(1987年)、即興演奏;ハーフ・ムーンをカプリング。

3月5日(水): 

 某オークション落札品が届く。

ペーター・ホフマン(Ten) ロンドン響 ほか
「モニュメンツ」(CBS SONY)
数年前、書店の軒先で叩き売られていた中古CDのワゴンから掘り出したクリスマス・アルバムの、ワーグナー・パスティシュに大爆笑して以来、隠れ(てもいないか)ファンになった、ホフマンのポピュラー・アルバムがオークションに出品されていた。
ホルスト;快楽の神(木星)プッチーニ;星はきらめきベートーヴェン;歓喜の歌バーンスタイン;サムウェア等の収録曲に期待しつつ落札。
いずれも原曲どおりではなく、ポップス風のアレンジが施されており、jpcでも Pop のページで検索してこないと、このアルバムは出てこない。

3月4日(火): 

 しばらく本業多忙だったため、久しぶりに音盤屋へ。やはり散財してしまった…。(汗)

エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響
ブルックナー;交響曲第8番(SCRIBENDUM)
はやしさんのスヴェトラーノフ・ページ
ブ厚い弦の重量感ある密度の高さとロシアン・ブラスのパワーあふれる壮麗な爆発。この曲の最高演奏!
と謳われ、幻の「名盤」となっていたブルックナー;第8が再発されたので買ってきた。
この曲のCDは見逃せないということもあるが、「怖いもの見たさ」の部分も否定できない。(^^;
もっとも、フィナーレの冒頭あたりをちょっと聴いてみた感じでは、確かに金管のバランスが強い感じはあるが、音楽のつくりとしては別に変なことをしているわけではないように思う。
そうはいっても、同曲異演のベストを争うほどの、ブルックナー演奏への適性は認められないが…(ただし、摘み聴きした範囲では、と留保しておく)。
1890年ノヴァーク第2稿と表記されている。
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響
レスピーギ;ローマ三部作(SCRIBENDUM)
これまたはやしさんのスヴェトラーノフ・ページ
巨大な牛の歩みのようなムチャクチャなスローテンポ、白熊の腹鼓のような大太鼓の重いリズム。オーボエがペッ、ペッと変な音を出し、オケが異常なほどのフルパワーで響き渡る力技でヘヴィに押し切るその演奏はまさに大爆笑もの。
と謳われ、オークションで異常な高値をつけたとか、噂のみ高かった幻の「珍盤」である。
機会あれば一聴してみたいと思っていたところ、再発されたので購入。
1980年2月20日、モスクワ音楽院大ホールでのライヴ録音。
 
ペトリ・サカリ(指揮) アイスランド響
シベリウス;交響詩「エン・サガ」・「タピオラ」 ほか(NAXOS)
このコンビのシベリウス・チクルスは、交響曲全集や「レミンカイネン」組曲が出ていたが、久しぶりに新譜が出たので購入。
2000年6月の録音で、標記2曲以外に「ポヒョラの娘」「大洋女神」「吟遊詩人」をカプリング。
 
マリオ・ブルネロ(指揮) オーケストラ・ダルキ・イタリアーナ
「フィルム」(VICTOR)
その音盤を蒐集しているVc奏者、ブルネロの新録音が出ていたので購入。国内盤レギュラープライス3枚は財布に痛いが…(苦)。
これは映画音楽に関係した作品を5曲カプリングしたもので、収録順に
バーバー;弦楽のためのアダージョ(『プラトーン』など)
武満徹;ノスタルジア(タルコフスキー監督)
ナイマン;トリスティング・フィールズ(『数に溺れて』)
ヤナーチェク;弦楽四重奏曲第1番(弦楽合奏版)(『存在の耐えられない軽さ』)
マーラー;交響曲第5番第4楽章(『ヴェニスに死す』など)
このCDでは、ブルネロは指揮に専念しているようだ。
 
マリオ・ブルネロ(指揮、Vc) オーケストラ・ダルキ・イタリアーナ
「イタリア」(VICTOR)
ブルネロの新譜続く。
イタリアの作曲家の作品を4曲収めている。収録順に、
レスピーギ;「リュートのための古代舞曲とアリア」第3組曲
ヴィヴァルディ;2Vc協(独奏;マリオ・ブルネロジョヴァンニ・ソッリマ)
ソッリマ;チェロよ歌え!(独奏;ブルネロソッリマ)
マリピエロ;弦楽四重奏曲第1番(弦楽合奏版)
なお、オーケストラには日本人名も見える(Vn;チアキ・カンダ、Vc;アヤ・シムラ)。
 
マリオ・ブルネロ(指揮、Vc) オーケストラ・ダルキ・イタリアーナ
「古典」(VICTOR)
この盤でようやく本格的なブルネロの独奏が聴ける。
ハイドン;Vc協第1番 ハ長調
が、それ。
更に古典派の弦楽四重奏曲の合奏版を2曲収めている。
ハイドン;弦楽四重奏曲第74番「騎士」
ベートーヴェン;「大フーガ」
なお、これら3枚の録音に当たっては「セシウム・クロック・カッティング」という新技術が採用されたとあり、「演奏者のニュアンスが伝わり、音場の中の気配のような音にならない情報すら描写されるように感じられ云々」という能書きが付されている。
斉諧生のオーディオ装置がそれを再現し得ているかどうか極めて疑問だが、弦楽合奏の音色の清澄さは特筆しておきたい。
 
レオシュ・チェピツキー(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(MULTISONIC)
店頭でバッハ;無伴奏の新譜を見つけた。
まったく未知の演奏者、しかもレーベルが旧東欧系の音源を芳しからぬ音質でCD化してきたところなので、買わない方がいいかもしれないと、少し迷ったが、思い切って購入。やはりこの曲集は、なるべく聴いておきたい。
演奏者はウィハン四重奏団の第1Vn奏者とのこと。個人としても団体としても各種コンクールにしばしば入賞しているそうだ。
2002年プラハでの録音。
この記事を書くためにWebを検索していて、この曲集に関する大規模な聴き比べページを見つけた。これは凄い。
 
ヤン・フォーグラー(Vc) ルイス・ロルティ(P)
メンデルスゾーン;Vcソナタ第1・2番 ほか(Berlin Classics)
独墺系チェリストの期待株としてまず指を屈したい人、フォーグラーの新譜をMDTのカタログで見つけたのでオーダーしたもの。
協奏的変奏曲 op.17無言歌 op.109をフィルアップしている。
2002年10月、ベルリンでの録音。
以前、CHANDOSで活動していたロルティが顔を出しているのが注意を惹く。
またお詫びを一つ。
これまで、この人についてしばしば「シュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者」と紹介してきたのだが、オーケストラは1997年に辞めて、現在はニューヨークを拠点として、ソロ活動に専念しているとのこと。
彼のファン・ページなどをちゃんと読めばそう書いてあり、不注意としか言いようがない。伏して御寛恕を乞う次第。<(_ _)>

3月3日(月): 

 某オークション落札品が届く。

コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン
レスピーギ;「リュートのための古代舞曲とアリア」第3組曲 & チャイコフスキー;弦楽セレナード ほか(LIVE NOTES)
萬有製薬による非売品のCDがオークションに出ていた。
同じ企画では、以前、1994年と1996年のライヴを架蔵しており、今回の1995年ライヴも揃えておかねばという気分になって(苦笑)、落札したもの。
標記2曲以外に、モーツァルト;ディヴェルティメント K.137山本直純;「荒城の月」によるメタモルフォーゼをカプリング。
後者は委嘱作品の初演とのこと。
モーツァルトとレスピーギは1995年6月13日、東京・サントリーホールでの、チャイコフスキーと山本は同年10月31日、仙台・イズミティ21での収録。
例によって岩淵龍太郎大先生をはじめ、大谷康子田中千香士辻井淳藤原浜雄等々、見知っている名前が並ぶ(五十音順)。

3月2日(日): 

 

ゾルタン・コチシュ(P) イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
バルトーク;P協全集(Philips)
1984〜87年録音、ブダペシュト祝祭管がPhilipsにデビューした頃のリリースだったと記憶する。
第1番 & 「弦チェレ」が、『レコード芸術』誌上で宇野功芳師の推薦となったことから購入し、その後、第2番 & ラプソディも購入していた。
残る第3番 & スケルツォで揃うのにと思っていたが、廃盤にでもなったか、見つからなくなってしまった。
先日、某オークションで全集盤を発見、落札したもの。
 
エドゥアルド・ペロン(指揮) デトロイト聖母被昇天洞窟教会管・合唱団 ほか
パレー;オラトリオ「クリスマス・パストラル」・「ジャンヌ・ダルク」(Grotto)
これと↓の2枚は、当ページの読者の方から情報を頂戴した音盤。伏して感謝の意を表したい。
ピアノ、作曲、指揮のプロフェッショナルな教育を受けたデトロイト聖母被昇天洞窟教会(カトリック)の司祭エドゥアルド・ペロン師は、同教会でオーケストラ付きのミサ曲を上演するほか、ポール・パレーが作曲した音楽の演奏・録音・出版に努力しておられるとのこと。
このディスクには、オラトリオを2曲、収めている。
「クリスマス・パストラル」は、もちろんキリスト降誕の物語。預言、受胎告知、降誕、東方三博士の礼拝までを、簡素なメロディで歌う。
1904年、パレーがまだパリ音楽院の学生だった頃に、「小さな屋根裏部屋で一晩のうちに書き上げた」作品という(ブックレットに引用された、作曲者から娘モニクに宛てた書簡による)。
原曲は独唱、ユニゾンの合唱とピアノ伴奏という編成だったところ、ペロン師が独唱と混声合唱、オルガンと管弦楽に書き改め、2000年12月24日に初演したとか。
「ジャンヌ・ダルク」は、1911年にローマ大賞を受賞した直後に書かれたもので、1913年5月30日にルーアン大聖堂で初演された。
ルーアンはジャンヌ・ダルクが1431年に処刑された街として知られているが、パレーはこの近くの港町で生まれ、最初の音楽教育をルーアン大聖堂の附属学校で受けた。そうした縁から、この曲や、のち1931年に「ジャンヌ・ダルク没後500年記念のミサ」を作ることになったものだろう。
いずれも世界初録音。
 
エドアルド・ペロン(指揮、P) デトロイト聖母被昇天洞窟教会管・合唱団 ほか
パレー;歌曲全集(Grotto)
CD2枚組に管弦楽伴奏の独唱曲13、管弦楽伴奏の合唱曲3、P伴奏の歌曲15、Org伴奏の宗教的歌曲2と、Vnと管弦楽のための「夜想曲」を収める。作曲年代は、ほとんどが1910年を挟む前後数年間に集中している。
「夜想曲」は、VnとPのための3つの小品の1曲で、アンリ・ムートンという人が管弦楽編曲したもの。
なお、管弦楽伴奏の歌曲のうち7つについては、CarthageneレーベルのLPに自作自演があった。
 
上記2点は、レーベルにメールで注文した。カード決済可。

 音盤狂昔録平成15年2月分を追加。

 今日届いたCDの情報を含め、パレー以外の演奏者によるパレー作品の音盤の情報をパレー・ディスコグラフィに追加。


3月1日(土): 日本の古本屋等の古書店サイトで検索した中から、次の2点が届く。
 柴田南雄『音楽は何を表現するか』(青土社)
 ポール・マイヤーズ『死のアリア』(創元推理文庫)


平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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