音盤狂日録


12月30日(木): 

今日が今年最後の更新になります。一年間の御愛顧、まことに有り難うございました。皆様、よいお年をお迎え下さいませ。
新年の更新は、3日(月)以降になると思います。
 
昨年に引き続き「斉諧生音盤志」五大ニュースを選定。
 
(1) 『音楽現代』4月号の特集「北欧音楽の魅力」ステーンハンマルの記事を執筆。
大束省三先生、長谷川陽子さんらと名を並べる光栄、まさに一生の盛事に数えられよう。
なお、ステーンハンマルについては「ステーンハンマル友の会」が継続的なコンサートを開始するなど、彼の音楽の普及に向けた動きが強まっている。
来る2005年、7月に同会の主催によるオール・ステーンハンマル・コンサートが予定されており、日本における「ステーンハンマル元年」となることを期待したい。
 
(2) ルクー和波孝禧の頁を公開する。
ルクーについては、ヴァイオリン・ソナタのフルート用編曲のCDが登場、また巖本真理のSP録音が覆刻される等、有り難いリリースが相次いだ。
 
(3) 外来オーケストラ集中週間
5月19日(水)〜23日(日)の間に、シュターツカペレ・ドレスデンロッテルダム・フィルモスクワ放送響の来日公演を聴く。
これだけの密度で外国のオーケストラを聴くのは、1999年10月のラハティ響来日、2002年5月のウィーン旅行以来のこと。
しかもすべて異なる団体という点で、上記2回とは事情が違う。
ドレスデンの弦楽合奏の響き、オーケストラも聴衆も手の玉にとって踊らせるフェドセーエフの魔術も凄かったが、何よりもゲルギエフのもと、火の玉のようになったロッテルダム・フィルによる灼熱の鋼鉄塊の如きマーラー;交響曲第9番に圧倒された。
 
(4) 「音盤狂日録」をblogで運用
多くの同好サイトが移行される中、トラックバックやコメントの機能に惹かれてblogを導入することとした(MovableTypeによる)。
最初は好調だったが、このところ原因不詳のサーバー・エラーに悩まされている。
コメントの投稿等に際して御迷惑をおかけしているかもしれないが、当分の間はお許しを頂戴したい。
 
(5) 大阪府高槻市に転居
1月に転居して壁一面に3段スライド式のCD棚を整備、生涯これで足りるはずだったのに、既に溢れて家人の顰蹙を買っている。

昨日届いたCDの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィに掲載。

12月29日(水): 

 

アルヴィド・ヤンソンス(指揮) 東京響
シューベルト;交響曲第8番「未完成」 ほか(EMI)
すっかり「マリスの父」扱いになってしまっているアルヴィド・ヤンソンス、その実力を思い知ったのはレニングラード・フィルを指揮したショスタコーヴィッチ;交響曲第5番のCD(intaglio)。
以来、彼の音盤の蒐集を心がけているが、まもなく大阪でのライヴがCD化されるとのこと、誠に慶賀の至り。
当盤のオーケストラは、レニングラード・フィルとは比較にならないだろう1960年当時の東京響とはいえ、やはり聴いておかねば…と思っていたところ、東京響の公式Websiteで「完売」になってしまっている。
ありゃりゃ…と思っていたところ、今日立ち寄った音盤店頭に在庫があり、シメシメと購入したもの。
標記シューベルトは1960年11月11日、日比谷公会堂での収録。それ以外には
ウェーバー;歌劇「魔弾の射手」序曲(1960年11月29日、新宿コマ劇場)
デュカス;交響詩「魔法使いの弟子」(1960年12月14日、日比谷公会堂)
チャイコフスキー;交響的幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」(1960年10月27日、日比谷公会堂)
を収める。音質的には、いくぶん頼りない。
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響
ブルックナー;交響曲第4番(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響
ブルックナー;交響曲第5番(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響
ブルックナー;交響曲第7番 ほか(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響
ブルックナー;交響曲第8・9番(hänssler)
 
hänsslerレーベルのシューリヒト放送録音第2弾が入荷しており、まとめ買い。
収録年月日等は次のとおり(小林さんのディスコグラフィに依拠させていただいた)。
ブルックナー;交響曲第4番(1955年5月4日、Archiphon盤あり)
ブルックナー;交響曲第5番(1962年10月18日、正規音源初出)
ブルックナー;交響曲第7番(1953年3月6日、正規音源初出)
ブルックナー;交響曲第8番(1954年3月10日、初出)
ブルックナー;交響曲第9番(1951年11月2日、M & A盤あり)
ワーグナー;楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死(1950年4月29日)
比較盤のある2曲のうち、第4番はArchiphon盤と大差ないが、第9番は解像度が上がり改善が大きい。
その他も古いことは古いが、聴きづらさはなく、まずまずの音質で何より。
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響 ほか
マーラー;交響曲第2番(RELIEF)
 
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
マーラー;交響曲第9番(RELIEF)
今年5月に来日公演の会場販売で第6番を購入して以来、第1番第5番と買ってきたフェドセーエフのマーラー、リリース情報は承知していたが年内に店頭に並ぶとは思いがけない喜びだった。
第2番は2002年2月6〜12日、第9番は2002年12月5〜7日、それぞれモスクワ音楽院大ホールでのライヴ録音と記されている。
なお両曲ともCD1枚に収まっている(第2番は演奏時間79分40秒ほど)。
クリストフ・ケーニヒ(指揮) マルメ響 ほか
マルティンソン;「A.S.の追憶」 ほか(Daphne)
平成14年11月25日ネーメ・ヤルヴィ(指揮) ヨェーテボリ響の来日公演で披露された、マルティンソン作品がようやく録音された。
(部分的な録音はヤルヴィの伝記本"A Passionate Affair"の附録CDに含まれていたが。)
"DREAMS" というタイトルのCDで、同名の曲と「A.S.の追憶」、更に弦楽合奏のための「カリオペ」等、全部で4曲を収録している。
しばらく前にリリースされた時には見送っていたのだが、上記コンサートで「A.S.の追憶」をいたく気に入った家人の注文で、Swedish Music Shopにオーダーしたもの。
2004年6月(一部2003年12月)、マルメ・コンサート・ホールでの録音。
トビアス・リングボリ(Vn) アンデシュ・シールストレム(P)
シェーグレン;Vn作品全集 vol.1(CAPRICE)
上記マルティンソン盤と同時にSwedish Music Shopにオーダーしたもの。
ステーンハンマルシベリウス以外の北欧作曲家にはあまり深入りしないことにしているが、例外の一つが、このシェーグレンのヴァイオリン作品。
この人はステーンハンマルの作曲の師に当たり、やはり優れて美しい抒情味に特長がある。その新録音とあらば聴かざるべからず。
全3巻の発売が予定されているうち最初のもので、Vnソナタ第1・3番に加え、2つの幻想的小品op.272つの抒情的小品と歌曲からの編作1曲を収める。
2001年2・9月、スウェーデン放送第3スタジオで録音された。
モーリス・ジャンドロン(Vc) 井上直幸(P) ほか
シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ & ブラームス;Vcソナタ ほか(BMG)
2003年4月に急逝した井上氏の追悼盤抒情のピアニスト 井上直幸の芸術」と題してリリースされた4枚組CD。
ジャンドロンのシューベルトが聴きたかったのだが、定価では手が出しにくいと思っていたところ、某オークションに安価で出品されたので落札したもの。
シューベルトは1975年4月東京・世田谷区民会館、ブラームスは1976年4月埼玉・入間市民会館での録音。
その他、宮本文昭とのバッハ;ObソナタBWV.1020モーツァルト;ObソナタK.13(1974年8月)や、CD3枚分の独奏が収録されている。
ソロのレパートリーでは、
ベートーヴェン;Pソナタ第32番(1972年)
シューマン;子どもの情景・幻想曲(1975年)
シェーンベルク;P曲全集(1974年)
平尾貴四男;Pソナタ(1974年)
などが演奏されている。
カリン・インゲベック(Sop) アンデシュ・ラーション(Br) マッティ・ヒルヴォネン(P)
「北欧歌曲集」(INTIM MUSIK)
いつもいつも貴重な情報を提供してくださるat the end of the dayで、ステーンハンマル作品を含む歌曲集がINTIM MUSIKからリリースされたことを知り、Swedish Music Shopに出るのを待ちかね、レーベルのWebshopに直接オーダーしたもの。
ステーンハンマルは、次の5曲が歌われている。
「牧歌と警句」より2つの歌op.4の2曲
「逢い引きから帰ってきた女の子」・「夏至祭前夜にリボンを結ぶ女の子」(インゲベック)
歌曲集「歌と印象」op.26より3曲
「ブロンド嬢とブルネット嬢」・「幸福の国への旅」・「アラジンと魔法のランプ」(ラーション)
その他にはシベリウスグリーグペッタション・ベリエルラングストレムらの作品21曲が収められている。
2003年6月、ヨェーテボリの音楽学校オルガン・ホールでの録音。
ミシェル・ポルタル(Clほか) リシャール・ガリアーノ(アコーディオン)
「コンサーツ」(DREYFUS)
ガリアーノについては昨年ライヴ盤を奥座敷同人・2003年の5盤挙げたところ。
この人に注目しはじめた頃に、ポルタルとの共演盤「ブロウ・アップ」(DREYFUS)に出会い、すっかりノックアウトされてしまった。
おそらくそれ以来久々のデュオ・アルバムと思われるが、すべてライヴ収録というところがタイトルの由来なのだろう。
1998年10月29日のハンブルク(北ドイツ放送局スタジオ)、2001年8月19日のアントワープ(ミデルハイム・ジャズ・フェスティバル)、2003年5月5日のミラノ(アルチンボルド劇場)の3回のコンサートからの集成。
ピアソラ;「オブリビオン」・「リベルタンゴ」やポルタル、ガリアーノそれぞれの自作等、14曲が演奏されている。
なおポルタルは、クラリネットのほかバス・クラリネット、ソプラノ・サキソフォン、バンドネオンを持ち替えている。

12月28日(火): 

 

ゾルタン・コチシュ(P) イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
リスト;P協第1・2番 ほか(Philips)
コチシュの協奏曲もの、I.フィッシャーとブダペシュト祝祭管のものは、それぞれ蒐集を心がけているところ。その両者の共演盤ゆえ、入手せざるべからず。
某オークションで出品されているのを見つけ、落札したもの。
ドホナーニ;童謡の主題による変奏曲をカプリング。
1988年12月及び1989年3月の録音。
マッツ・ロンディン(Vc & 指揮) ヒュアレド室内管
シェーンベルク;「浄められた夜」 & ハイドン;Vc協第1番(ISIDOR)
 
マッツ・ロンディン(Vc) ハンス・ポールソン(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ全集(ISIDOR)
北欧音楽MLで御教示いただいたCD。
ロンディンは1960年生れ、ベングトソンヘルメルソン等に学び、16歳のデビューから独奏活動を続け、現在は指揮者としても活動しているとのこと。
ヒュアレド(Huaröd)室内管は1996年にロンディンらがスウェーデン南部の小村に設立した団体で、北欧各地から腕利きの奏者が年に数回集合してコンサートを開くそうだ。
ハイドンとベートーヴェンが名演との評判をMLで拝見、ぜひ聴きたいとAltara Musicにオーダーしていたもの。
ハイドンが2000年11月、シェーンベルクが2001年2月、ベートーヴェンは2002年3月に録音されたもので、プロデューサーはHyperionやEMI等のレーベルで活躍するアンドルー・キーナーが務めている。
イェルク・デムス(P)
フランク;P作品集(PLATZ)
フランクの前奏曲、フーガと変奏 op.18は、原曲(Org)よりもヴェデルニコフによるピアノ演奏を愛聴している。
某オークションに当盤が出品されており、op.18が収められているほか、前奏曲、コラールとフーガ前奏曲、アリアと終曲といった有名曲に加え、小品19曲が演奏されている。
未知の佳品が見つからないかと期待して落札。
1985年、ウィーンでの録音(「前奏曲、アリアと終曲」のみ1970年、ミラノ)。

厚志の方から日本大学管の第25回定期演奏会(昭和58年6月21日)のプログラムを御寄贈いただいた。
この日の指揮者は宇野功芳師、曲目はベートーヴェン;交響曲第7番・序曲「コリオラン」
交響曲は翌年の第9番同様、近衛秀麿改訂版を基にした楽譜を用いたと記載されている。
これまで宇野功芳・実演記録で詳細不明としてきた演奏会の、貴重な記録。あらためて心からの謝意を表したい。
 
また、この間入手したCD・LPの情報を
ステーンハンマル・作品表とディスコグラフィ
リリー・ブーランジェ・作品表とディスコグラフィ
ルクー・作品表とディスコグラフィ
マルケヴィッチ・ディスコグラフィ
に掲載。
作曲家・演奏家 生没年対比年表に、2004年の物故者のデータを加える。

12月27日(月): 

ジル・アパップ(Vn & 指揮) シンフォニア・ヴァルソヴィア
モーツァルト;Vn協第3番
録り溜めていたケーブルTV(sky-A)の音楽番組を視聴。
アパップは、公式Webpageのトップページからして怪しげ(失礼!)なヴァイオリニスト。
以前、何枚かのCDを上記のWebpageから直接購入したことがある。
実はメニューインの弟子で、その縁でシンフォニア・ヴァルソヴィアとの共演が実現したとのこと。しかも製作はブリューノ・モンサンジョンという大立者。
本編が始まって、登場したアパップ、もちろん燕尾服等ではなく、多少ヒッピー(死語か)風の衣装を着ている。
もっとも演奏が始まってみると至極真っ当でリズムの立ったモーツァルト。緩徐楽章の味わいも佳い。
ふうん…でもこのまま終わってしまったら面白くないナァと思っていると、フィナーレのカデンツァで「怪しさ」が炸裂した。
音楽が即興の色合いを濃くしていくや、アパップが口笛でモーツァルトの主題を吹き始め、そのうちヴァイオリンをギターのように構えて爪弾きながら「吹き語り」。
更にフィドル風に弾きまくるかと思えば、濁声で歌い出すわ、Vc・Cbにリズムを弾かせてジャズ風のインプロヴィゼーションを始めるわ、インドの民族音楽に変容していくわ、やりたい放題。
それでもボウイングや音程は見事にコントロールされているのだから、偉いものである。
拍手喝采に応えてアンコール、なんと舞台の縁に腰掛けて弾きだした。これももちろん自作か即興の音楽だ。
う〜ん、この人のステージを生で聴いて(見て)みたい。どこかのオーケストラで呼んでくれないものか。
 
モーツァルト作品はCDも架蔵しているので見てみると、収録は2002年3月、ワルシャワで行われている。
どうやらこの際に録画と録音が行われたものらしい。ライヴ録音ではないので、別音源だろう。
CDを聴いてみると、やはり同様のカデンツァ。ただし、少し短いように思う。
やはり実演に接しなければ…(笑)。

 

マルコ・ユロネン(Vc) マルッティ・ラウティオ(P)
「フォーク・チェロ」(FINLANDIA)
ユロネンは今年2月に来日、長谷川陽子さんとデュオ・リサイタルを開いた。
残念ながら実演に接することはできなかったが、知人から好評を聞き、併せてこのCDを薦めていただいた。
一時はあちこちの店頭で見かけた盤だが、いざ欲しいとなると消えているのが世の常(だから見たときに買わないと、とは言い訳か)。
あちこち捜した末に、フィンランドの通販サイトFUGAでようやく発見、オーダーしていたもの。
収録曲は
マルティヌー;スロヴェニア変奏曲
コダーイ;Vcソナタop.4
ファリャ;スペイン民謡組曲
ラウティオ;フィンランド民謡編曲集
シチェドリン;カドリール
ピアソラ;ル・グラン・タンゴ
ユロネンは1966年生れ、エルッキ・ラウティオハインリヒ・シフに学び、タピオラ・シンフォニエッタフィンランド放送響の首席奏者を経て、ソロ活動を行っているとのこと。使用楽器はマッテオ・ゴフリラー。
1998年2月、フィンランド、ヤルヴェンパー・ホールでの録音。
ピニャ・ヤルヴィネン(Fl) カレヴィ・キヴィニエミ(Org)
「タンゴ」(SINIFONIA)
FUGAのWebsiteでは、「オルガンの魔術師」キヴィニエミのCDが多く取り扱われており、日本に入ってこない地元マイナー・レーベルのものも少なくない。
あれこれ物色してみて、Flとピアソラほかのタンゴを演奏したものが面白そうだとオーダー。
ピアソラ作品は「リベルタンゴ」など8曲、ビジョルド;エル・チョクロやフィンランドの作品等々、全部で16曲を演奏している。
中でもキヴィニエミの独奏によるピアソラ;コラールは曲想がオルガンに向いているとみえて、感動的。
録音データや使用楽器は明記されていないが、ブックレットの写真にはホールに設置された大型の楽器が写っている。
ヤルヴィネンは1979年生れ、ラハティとヘルシンキで学び、ピッコロとイングリッシュ・ホルンも良くするとのこと。キヴィニエミとは2003年以来、各地で共演を重ねているという。

12月26日(日): 

 

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル
シューベルト;交響曲第3・4番(DGG)
少し前に "Musik...Sprache der Welt" シリーズで出た紙ジャケットの盤。
1954年11〜12月にベルリンで録音された音源で、CDとしては第3番が昨年「オリジナル・マスターズ」の箱物で、第4番はもう少し前にベールヴァルドの交響曲とのカプリングで出ている。
新譜のときには単なるカプリング換えと思って買わずにいたが、先頃購入した『200CD ベルリン・フィル物語』(学研)に、リマスタリングされ音質が向上したという記事があり、確認する必要性を感じていた。
このところ店頭で見なくなっているので、今回、jpcにオーダーする中に含めたもの。
聴き比べてみると、なるほどずいぶん違う。買い直す値打ちはあるといえるだろう。邦貨900円程度の廉価盤でもあるし。
同じシリーズで幻想交響曲 ほかも出ており、そちらも次の機会に購入せねば。。。
クリストファー・ウォーレン・グリーン(指揮) ロイヤル・フィル
英国弦楽合奏曲集(Warner)
同趣向の音盤数多あれど、バターワース;青柳の堤が含まれており、買わざるべからざる1枚。
(バターワース作品は、厳密には弦楽合奏曲ではないが。)
その他の収録曲は、
RVW;タリスの主題による幻想曲
ブリテン;シンプル・シンフォニー
エルガー;弦楽セレナード
ホルスト;セント・ポール組曲
apexシリーズの廉価盤だが、レギュラー盤を見たことがない。
オーケストラの自主製作盤に同じものがあるので、おそらくこの音源をWarnerに売ったのだろう。
2002年5月、ワトフォード・コロシアムでの録音で、エンジニアは名手トニー・フォークナー
パトリック・ビスムート(Vn) アンサンブル・ラ・テンペスタ
ビーバー;ロザリオのソナタ(ZIG ZAG)
以前バッハ;無伴奏を聴いてその表現力に圧倒されたビスムート、偏愛の曲であるパッサカリアを含むビーバーの曲集(CD2枚組)をリリースしたとあらば聴かざるべからず。
なかなか国内店頭に並ばないのでjpcにオーダー。今回発注分の目玉である。
2003年4月、ヴェルサイユの聖ジュヌヴィエーヴ教会での録音。ちょっと暗騒音が耳に付くが、変にいじくり回していない証拠ということか。
ジェラール・プーレ(Vn) ブルーノ・リグット(P)
フランク;Vnソナタ & ドビュッシー;Vnソナタ ほか(SAPHIR)
毎春、京都フランス音楽アカデミーで名演を聴かせてくれるプーレの新録音、しかもフランク、ドビュッシーというフランス系楽曲とあらば聴かざるべからず。
なかなか国内店頭に並ばないのでjpcにオーダー。
2001年12月8日、パリの「アーシペル (L'Archipel) 」なるホールでのライヴ録音。拍手等も聞こえるが、やや狭くデッドな空間のような感じだ。
当日のアンコール、クライスラー;愛の悲しみラヴェル;ハバネラ形式の小品ラフマニノフ;ヴォカリーズをフィルアップしている。
ダヴィド・ゲリンガス(Vc) シュターツカペレ・ベルリン木管五重奏団 ほか
シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ & ムソルグスキー;「展覧会の絵」(Sony Classical)
アルペジオーネ・ソナタを独奏チェロと木管五重奏、コントラバスという編成に編曲したという珍品。以前からjpc等で見かけて気になっていたCDを、この機会にオーダーしたもの。
編曲者はヘリベルト・ブロイラー (Heribert Breuer)という人。ブックレットに多少の解説があるが、ドイツ語だけなので読むのが骨(汗)、詳しい事情はよくわからない。
なお、ゲリンガスには普通にピアノと演奏した録音もある(Es-Durレーベル、共演はタチアナ・シャッツ)。
カプリングの「展覧会〜」は木管五重奏と打楽器(「キエフの大門」のみ)による。こちらはヨアヒム・リンケルマン (Joachim Linckelmann)という人の手になる。
2002年6月、ベルリンでの録音。五重奏団には公式Webpageがある。
これもjpcから。
キャサリン・フーバー(Fl) ヴァージニア・イースキン(P) ほか
「フルートのために」(米Leonarda、LP)
女性作曲家専門レーベル、LeonardaのLP。
リリー・ブーランジェ;「夜想曲」・「春の朝に」を収録している。
音源としては以前CDで入手しているが、コンピレーションものだったので、オリジナルの形で架蔵できればと思っていた。
マイナーなレーベルだけに半ば諦めていたのだが、運良くeBayで見つけ落札したもの。
A面にルイーズ・ファランク;Fl三重奏曲を、B面にブーランジェ作品やタイユフェールらの小品を収めている。
録音データが明記されており、1979年9月27日、ニューヨークのエイブラハム・グッドマン・ハウスで収録されたことが判明。
一噌幸弘(能管) ほか
「東京ダルマガエル」(KING)
一時は幻の名盤になっていた一噌幸弘のデビューCD。
一昨年、ビクター伝統文化振興財団から再発され長年の渇を癒したが、ジャケットデザインやブックレットが一新され、物足りない思いであった(公式Webpage参照)。
初発のKING盤が某オークションに超安価で出品されており、落札したもの。
一噌自身による曲目解説文も倍ほど長く、再発盤で欠落してしまった山下洋輔坂田明渡辺香津美仙波清彦といったゲストのコメントも読むことができる。
更にマスタリングが違うらしく、KING盤は力強いが音の伸びに欠け(狭い空間に押し込められて鳴っている感じ)、ビクター盤は自然に響くが上品になってしまった。
まあ、一般にはビクター盤があれば十分だろう(^^;。
なお、公式Webpageのスケジュールによると、一噌氏は31日の「紅白歌合戦」に出演予定とのこと(藤あや子の伴奏らしい)。
宮下誠『迷走する音楽』(法律文化社)
HMVのWebsiteで許光俊氏が本書を紹介しており、興味を惹かれてbk1にオーダーしたのが昨日、速くも届いた。送料250円が必要だったが、その甲斐はあったのかもしれない。
許氏が「思わず絶句の奇書」と評しているが、なるほどなるほど凝りに凝った内容。
「長い曲」へのこだわりからマーラー;交響曲第3番28種聴き比べる(しかも配列は演奏時間の長い順)などということは小手調べ。
ティンパニを追究した章では、ウィーン・フィルの音盤17種、ドレスデン・シュターツカペレの音盤39種に、その響きを確かめる。
作品ではプフィッツナーヒンデミットのオペラ、演奏家ではクレンペラーケーゲルシュトルツェ(性格派テノール)といったあたりを採り上げる等、著者の嗜好はなかなか面白そうである。
全320頁、年末年始にじっくり読ませてもらうつもりだが、とりあえず入手報告まで。

12月25日(土): 

リリー・ブーランジェに関連したWebpageを発見。
Fondation Internationale Nadia et Lili Boulanger
 
パリに本部を置く「ナディア & リリー・ブーランジェ国際財団」のWebpage。
フランス語だけなのでちゃんと読めないのだが(汗)、バレンボイムやデュティユ、ペンデレツキらが理事会に名を連ねている様子で、ピアノと声楽のコンクールを開催するのが主要な事業らしい。
アーカイヴ的な情報量はないが、最新情報が極めて有用。
 
(1) リリー・ブーランジェの伝記がフランスで出版された。→fnac
これまでレオニー・ローゼンスティールによる評伝 "The Life and Works of LILI BOULANGER" が唯一のまとまった著作だった。
ようやく本国で伝記が出版されることになったのは慶賀の至り。
早速オーダーしてみたが、クリスマス休暇で当分は届かないと見込まれるのが残念。…もっとも手にしたところでフランス語では読めないのだが(自滅)。
 
(2) マルク・ミンコフスキカンタータ「ファウストとヘレネ」を上演する。
2005年1月27日、パリ・バスティーユ・オペラ座にて。
管弦楽はパリ国立オペラ座管、独唱者はMarcus Haddock(Ten)、Laurent Naouri(Br)、Patricia Bardon(M-S)。
その他にはフォーレ;劇音楽「ペレアスとメリザンド」ショーソン;交響曲という曲目である。
半年前にわかっていたら渡仏を計画したかもしれない…といったところで資金も休暇もない(残念!)。
せめてネットラジオで中継か放送がないものか。
 
また、NadiaBoulanger.orgというWebpageも見つけた。
姉ナディアの没後25年に当たる2004年に米コロラド大学で開かれた記念シンポジウムを機に開設されたとおぼしいWebpage。
彼女に学んだアメリカ人作曲家の一覧表があったりする。

 

ジェイムズ・デプリースト(指揮) オレゴン響
シベリウス;交響曲第2・7番(Delos)
来年4月から東京都響の常任指揮者に就任が予定されているデプリーストが、シベリウスを録音した。
もともと実力派として知られていた人で、ヘルシンキ・フィル等との共演経験もあり、しかも第7番とあらば買わざるべからず…と思っていたのだが、なぜかいっこうに店頭で見かけない。
しびれを切らせてレーベルから直接購入したもの。オーダーから1週間で届いた。
アメリカの通販サイトは概して2週間くらいかかるので、ちょっと吃驚。送料を含めても予想される店頭価格とたいして違わない。
第2番は2002年9月21〜23日にオレゴン州ポートランドのアーレーン・シュニッツァー・コンサートホールでのライヴ録音、第7番は2003年6月10日に同州ニューバーグのジョージ・フォックス大バウマン講堂で収録されたもの。
なお、ファン・サイトがあるので参照していただければと思う。
ジル・コリャール(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(EMEC)
アリアCDさんから届いたCD。
コリャールは1967年ジュネーヴ生まれ、ピリオド楽器・モダン楽器の両刀遣いだそうな。どういうバッハが聴けるか楽しみにオーダーしたもの。
このCDでは1732年製アントニオ・ストラディヴァリを使用と記載されている。CDにはそれ以上書かれていないが、レーベルの公式Webpageには "using an historical instrument" (原文ママ)とある。
2003年8月、スペイン、パレンシア地方オルモス・デ・オヘイダの教会で録音されたもの。残響が盛大に入っている(^^;。
ルイス・クラレット(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Verso)
これもアリアCDさんから届いたCD。
クラレットは、スペイン内戦を逃れてアンドラ(ピレネー山中の小国)に亡命したカタロニア人家庭に生れ、その際パブロ・カザルスが名付け親に立ったとのこと。
彼の生年は1951年というから、カザルスがプラドで音楽祭を始めて2年目に当たる(この年はペルピニャン音楽祭ということになるが)。
以前からHMFやVALOISレーベルに盛んに録音していたが(バッハもVALOISに全曲盤があった)、あまり注目してこなかった。
今回スペインのマイナーレーベルに再録音を果たし、どういうバッハが聴けるか楽しみにオーダーしたもの。
2002年9月及び2003年5月に、フランス・ナルボンヌ地方のフォンフロワド修道院で録音された。使用楽器は1993年製 Etienne Vatelot とある。

12月24日(金): 

 

ゾルタン・コチシュ(P) ほか
バッハ;フーガの技法(Philips)
コチシュの指揮盤、独奏盤を集めている中で、当CD(2枚組)の存在を知る。
この曲集は以前ヴァルヒャ(Org)盤でその玄遠に、リステンパルト(管弦楽)盤でその愉悦に触れた。
ごく一部を除きピアノ1台で演奏されたとき、どのような様相を示すのか、非常に興味を覚えた。
あちこちで捜していたが、ようやく某オークションへの出品を落札できた。
1984年8〜9月、ブダペシュト・リスト音楽院での録音。
「対位法19」のみ、フェレンツ・ラドシュが第2Pで加わる。
なお、楽曲の配列順序等については諸説あるところだが、当盤はグレゴリー・バトラーの研究成果を採用し、未完フーガを曲集の途中に置き、4つのカノンは一括して末尾に据えている。

12月23日(祝): 

 

ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ハーグ・フィル ほか
フランク;交響詩「プシシェ」(全曲)(米EPIC、LP)
好きな曲の一つ「プシシェ」、合唱入りの全曲盤の録音は珍しい。
eBayに出品されているのを見つけ、落札したもの。
もちろんオリジナルは蘭Philipsであろう。当盤はモノラルだが、もしかしたら原盤はステレオ録音かもしれない。
Webで少し調べてみたところ、蘭PhilipsのDutch Mastersシリーズで、フランクの交響曲と「プシシェ」をカプリングしたCDが出ている(出ていた)ようだ。
同一音源か、全曲収録しているのかどうか等は不詳だが、また見つけたいものである。
ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc) パーヴェル・ギリロフ(P)
ドビュッシー;Vcソナタ & ストラヴィンスキー;イタリア組曲 ほか(独AULOS、LP)
先だってバッハ;無伴奏を入手したペルガメンシチコフ、彼が遺した録音のうちCDでは見たことがない(と思う)ものがeBayに出品されていたので落札したもの。
録音は1985年、ジャケットの演奏者のポートレートもまだまだ若々しい。
標記2曲以外に、
ドビュッシー;ミンストレル(前奏曲集より)
ラヴェル;ハバネラ形式の小品
ヤナーチェク;おとぎ話
を演奏している。

12月22日(水): 

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮) NHK響
シューベルト;交響曲第8番「未完成」 & シューマン;交響曲第4番(KING)
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) NHK響
ブラームス;交響曲第4番 ほか(KING)
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) NHK響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番 ほか(KING)
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) NHK響
ムソルグスキー(ラヴェル編);組曲「展覧会の絵」 ほか(KING)
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) NHK響 ほか
ブラームス;ドイツ・レクイエム(KING)
ケーゲルがN響に客演した際のライヴ録音5点が一挙発売、@2,500円は厳しいが、買いそろえざるべからず。
1980年と1983年の、それぞれ9月に計14回の演奏会を開き(同一プロの反復含む)、うち9曲がCD化された。
1980年には東京にいたから、聴きに行くこともできたはず、まったく悔やまれる。
もっとも当時はほとんど評判もたたなかったし、それ以上に金欠だったから(汗)、しかたなかったのだが。
ブックレットには両者の全公演記録が掲載されており、下記に示す。
太字はCDに収録されている演奏、会場は特記なければNHKホール。
1980年9月12日
ウェーバー;歌劇「魔弾の射手」序曲
R・シュトラウス;最後の4つの歌
マーラー;交響曲第4番(以上チェレスティーナ・カサピエトラ(Sop))
1980年9月13日
(同上)
 
1980年9月18日
シューベルト;交響曲第8番「未完成」
モーツァルト;コンサートアリア(K.369、K.505)(チェレスティーナ・カサピエトラ(Sop))
ムソルグスキー(ラヴェル編);組曲「展覧会の絵」
 
1980年9月19日
(同上)
 
1980年9月20日
シューベルト;交響曲第8番「未完成」
シベリウス;Vn協(堀米ゆず子(Vn))
ムソルグスキー(ラヴェル編);組曲「展覧会の絵」
 
1980年9月26日
ワーグナー;楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
ベートーヴェン;P協第4番(イングリッド・ヘブラー(P))
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番
 
1980年9月27日
(同上)
 
1980年9月28日(埼玉県東松山文化会館)
シューベルト;交響曲第8番「未完成」
モーツァルト;P協第26番(藤村祐子(P))
ムソルグスキー(ラヴェル編);組曲「展覧会の絵」
 
1983年9月21日
ストラヴィンスキー;サーカス・ポルカ
シューマン;P協(アレクサンダー・イェナー(P))
シューマン;交響曲第4番
 
1983年9月22日
(同上)
 
1983年9月28日
ブラームス;ドイツ・レクイエム
 
1983年9月29日
(同上)
 
1983年9月30日
ワーグナー;舞台神聖祝典劇「パルジファル」第1幕前奏曲
プーランク;2台P協(ラベック姉妹(P))
ブラームス;交響曲第4番
 
1983年10月1日
(同上)
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
ブラームス;交響曲第1番(Altus)
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
ブルックナー;交響曲第7番(Altus)
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
スメタナ;交響詩「わが祖国」(Altus)
上記ケーゲルのシリーズだけでも厳しいのに、マタチッチのライヴまで出てこられると、堪ったものではないのだが、やはり買いそろえざるべからず。
音盤店のポイント2倍期間だったのがせめてもの救いだ(苦笑)。
マタチッチはN響の名誉指揮者の一人であり、客演回数も数多い。既に何枚かがCD化されているが、今回は1960年代後半のもの。
ブラームスは1967年1月28日(NHKホール)、ブルックナーが1969年5月9日(東京厚生年金会館)、スメタナが1968年9月12日(東京文化会館)の、それぞれNHKによる実況録音。もちろん音質的には問題ない。
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) フィルハーモニア管
レスピーギ;「ローマの噴水」・「ローマの松」・「ローマの祭」(CHANDOS)
トルトゥリエの未架蔵盤が某オークションに安価で出品されていたので落札。
1991年4月、ロンドンでの録音。
本名徹次(指揮) 日本フィル
芥川也寸志;管弦楽作品集(KING)
弦楽合奏曲の中でも好きな一品トリプティークが入っているので、以前から聴きたいと思っていたのだが、国内盤フルプライスに手が伸びかねていたところ、某オークションに出品されていたので落札。
舞踊組曲「蜘蛛の糸」交響管弦楽のための音楽「赤穂浪士」のテーマをカプリングしている。
最後の作品は、長谷川一夫主演によるNHK大河ドラマのための音楽。板ムチの響きと半音階的な主題の執拗な反復が印象的、歴代テーマ曲の中で最もポピュラーなものであろう。
1998年8月、IMAホールでの録音。
オリヴィエ・シャルリエ(Vn) ハンス・グラーフ(指揮) 国立ボルドー・アキテーヌ管
デュティユー;Vn協「夢の木」 ほか(ARTE NOVA)
好きなVn奏者の一人、シャルリエの新録音がリリースされていたので購入。
彼は、この曲を前にヤン・パスカル・トルトゥリエとも録音していた(CHANDOS)。
また、このレーベルのデュティユ・シリーズでは、ジャン・ギアン・ケラスVc協を録音していた。
「ジャン・カソーによる2つのソネット」「瞬間の神秘 Mystère de l'Instant 」等をカプリング。
2004年3月、ボルドーのサル・フランクリンでの録音。
アントニオ・ヤニグロ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(MCA)
往年の名匠ヤニグロのバッハは以前から聴いてみたいと念願していたところ、ようやくeBayで覆刻CD2枚組を見つけ、落札したもの。
ウェストミンスター原盤で、データの記載がないが、1950年代中頃のモノラル録音か。

12月21日(火): 

 

ベルアルテ・アンサンブル
モーツァルト;弦楽三重奏曲 K.563 ほか(PANTHEON)
団体名だけ見れば陳腐かつ正体不明だが、メンバーはといえば
ズザンネ・ラウテンバッハー(Vn)
ウルリヒ・コッホ(Va)
マルティン・オステルターク(Vc)
という一騎当千の強者揃い。
実は、以前アリアCDの記事で、この名称を見かけたことがある。
eBayに出品されていたのでチェックしてみたところ、やはりラウテンバッハー他の演奏であると判明、曲もK.563ということで、ぜひ聴いてみたいと落札したもの。
木質感のある温かい音色のVn、またVaとの和声感が非常に良く、聴いていて惚れ惚れする。
1985年にシュトゥットガルトで録音されたとあるが、ADD表示なのは年代を考えると少し腑に落ちない(移行期ではあるのだが)。
アダージョとフーガ K.404aから第2・4・5・6番をカプリング。
セルゲイ・アジジアン(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタ集(CLASSICO)
一昨日中古音盤店でパルティータ集を見つけたアジジアン、少し聴いた感じではなかなか良い。
これは是非T.S.さんが「磨きがかかっており,充実度が高い」と書いておられるソナタ集も聴かざるべからずと思い、下記のCDと併せてノルディックサウンド広島にオーダーしたもの。
2001〜02年、コペンハーゲンでの録音。
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565のVn編曲版(イ短調)をフィルアップ。ジャケットには「世界初録音」と記すが、マンゼ盤(HMF)が2000年に発売されており疑問である。
漆原朝子(Vn) ゲルハルト・ゲレートシュレーガー(P)
バルトーク;Vnソナタ第1・2番 & ヤナーチェク;Vnソナタ(FUNHOUSE)
 
漆原朝子(Vn) ベリー・スナイダー(P)
「アヴェ・マリア」(FUNHOUSE)
漆原姉妹の妹・朝子も、姉と同様(あるいはもしかしたら姉以上に)、実力のあるVn奏者(もしかしたら最近は啓子さんの方が目立たなくなっているのかもしれないが)。
某オークションに最近店頭で見かけなくなったFUNHOUSE盤が2点、中古格安で出ていたので購入。
バルトーク他のソナタは、当レーベルへの移籍(専属)第1弾のリリースだった。
もう1枚は小品集で、
エルガー;「朝の歌」「愛の挨拶」「ラ・カプリシューズ」
シベリウス;マズルカ(op.81-1)、ロマンス(op.78-2)
といったあたりが入っているのは嬉しいところ。
ソナタ集は1994年2月、小品集は1995年1月の録音。
ユーディット・ファイファー(P)
「女性作曲家ピアノ作品集」(Dreyer-Gaido)
ノルディックサウンド広島の新着情報を見ていたら、ドイツのマイナーレーベルDreyer-Gaidoのカタログが掲載されていた。
何気なく眺めていると、標記タイトルCDが目に入り、「!」と思って仔細に見ると、やはりリリー・ブーランジェの作品が収録されている。慌ててメールを書き、在庫を確保していただいたもの。
すなわち「古い庭で」・「明るい庭で」・「行列」の3曲を収める。
ブーランジェ以外では、定番ファニー・ヘンゼル(・メンデルスゾーン)クララ・シューマンシャミナードタイユフェールの他、マリアンネ・マルティネスヨーゼファ・フォン・アウアーハンマーエレナ・フィルソヴァドロテー・エーベルハルトといった知らない作曲家(最後の2人は1950年代生れ)の作品を含む。
2001年8月、ドイツ・ゲルメルスハイムでの録音。
various artists
「フーズム城音楽祭 − 稀少ピアノ作品集」(Danacord)
北ドイツ、デンマークに隣接した地方の港町フーズムの古城で開かれるピアノ・マニア向け(失礼)音楽祭、アムランも常連らしい。
そのライヴ録音集にステーンハンマルが1曲(!)含まれていると聞いてノルディックサウンド広島にオーダーしたもの。
フレードリク・ウッレーンというスウェーデンのピアニストが、「晩夏の夜」第5曲を弾いているのである。
彼の演奏はその他にスクリャービンソラブジの曲が収録されている。
あとはプーランク;ナゼールの夜会や、フロラン・シュミットヴェルディヴィラ・ロボスグリンカからまったく知らない名前まで、様々な曲が何人かの奏者の演奏で収められている。
2003年8月16〜23日の録音と記されているが、ジャケット裏にウッレーンが拍手に応えている写真が掲載されており、それには8月21日の日付が入っているので、ステーンハンマル作品は、おそらくその日に収録されたのだろう。

12月19日(日): 

 

パガニーニ・アンサンブル
「ウエスト・サイド・ストーリー」(DENON)
何の因果か、師走の日曜日に本業の会議が入り、京都市内の某会館へ。
真っ直ぐ帰るのもつまらないと思い、普段の巡回コースからは方角の違う音盤屋まで少し歩く。国内盤だけの店だが、少し中古を置いているのである。
音盤の神様が少し微笑んでくださったのか、掘り出し物があった。
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)、ウラディミール・メンデルスゾーン(Va)、藤原真理(Vc)他からなるアンサンブル(Vn3、Va1、Vc1、Cb2、P1 という編成)。
カントロフの音盤は蒐集せざるべからず、と購入。
ちょうど去年の12月に、この団体による「煙が目にしみる」というアルバムを某オークションで入手したが、その続編に当たるようだ。
標記バーンスタイン作品のほか、クライスラーポッパーボッテジーニ、あるいはミシェル・ルグランチャールズ・ミンガス等の曲を、佐藤允彦やVaのメンデルスゾーン等の編曲で演奏している。
1986年9月、アムステルダムでの録音。
セルゲイ・アジジアン(Vn)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ集(CLASSICO)
いつも参考にさせていただいているT.S.さんの頁のコメントを拝読して是非聴きたくなった盤。
力強く,速めのテンポで淀みのない曲運びが小気味よく, 量感たっぷりにスーッと美しく伸びる響きに魅了される快演です。 時折みせる完璧な重音の響きにはゾクゾクさせられます。 重厚で密度感高く,鋭く切り込んでくるフーガなど, 多声部のところを分けて弾いているのに,それぞれの声部が渾然一体となって響いてきます。 圧巻としか言いようがありません。 バッハはきっとこういう響きを聴かせたかったに違いない,なんて,わかったようなことを思わせます(笑)。
先週木曜日(12月16日)付けの更新でこのコメントを拝見し、これは聴かねば…と考えていたところ、上記音盤店の中古コーナーで発見、これ幸いと購入したもの。
アジジアンは、その名のとおりアルメニア出身、エレバンの音楽学校からレニングラード国立音楽院へ進み、レニングラード・フィルに在籍(1984〜1993年)したのち、コペンハーゲン・フィル(シェラン響とも)のコンサートマスターを務めている。
1996〜97年、コペンハーゲンでの録音。
マリサ・ボリーニ(P) ルドルフ・アルベルト(指揮) ミュンヘン放送管
ピツェッティ;P協「盛夏の歌」(仏fy、LP)
ピツェッティは20世紀イタリアの作曲家、グレゴリオ聖歌を取り入れた美しいレクイエムや、メニューインが録音したVnソナタで知られる。
この曲のことは、鈴木康之・矢口正巳『無名名曲鑑賞会』(文化書房博文社)で知った。
あたり一面草花の萌え立つような南国の自然の喜びとそれが過ぎ去っていく寂しさ、といった情景がこの作者特有の透明な叙情性をもって心象的に見事な迄に表出されている。
この曲は以前MARCO POLOレーベルからCDが出たが、やはり上掲書で採り上げられているボリーニ盤LPで聴きたいと願っていたところ、Ars Antiquaのカタログに出たのでオーダーしたもの。
鈴木・矢口著の出版が1994年6月だから、10年目でようやく念願を果たしたわけだ(苦笑)。
全3楽章で約40分、1曲でLPの両面を費やしている。
ピアニストについてはライナーノートにも紹介が無く不詳。録音データは明記されていないが、マルPは1981年。
フェニックスQ
アリアーガ;弦楽四重奏曲全集(米Golden Crest、LP)
「スペインのモーツァルト」ことアリアーガ(1806〜26)が残した弦楽四重奏の全集盤。
夭折したため作品は少ないが独特の哀感・抒情美に富み、代表作交響曲愛惜佳曲書に掲げた。
それに次ぐのが弦楽四重奏曲で、これも見つければ購入しているところ、Ars Antiquaのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
LP2枚組で、四重奏曲第1〜3番に加え、作曲者が15歳の時に書いたという主題と変奏を収録している。
録音データ等が明記されていないのだが、ステレオ初期のものではなかろうか。だとすれば、全3曲の音盤としては非常に早いものということになる。
四重奏団はニューヨークで活動している演奏者の集まりのようだ。デイヴィッド・サクソン(第1Vn)、フレッド・マンセラ(第2Vn)、ラルフ・ハーシュ(Va)、モーリス・バイアルキン(Vc)という名前と略歴が、ライナーノートに掲載されている。
それによると、サクソンとバイアルキンは、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空隊のグレン・ミラー・バンドに所属していたとのこと。非常に興味深い。

12月18日(土): 

この間入手したLP、DVDの情報を
アンゲルブレシュト・ディスコグラフィ
マルケヴィッチ・ディスコグラフィ
に掲載。

 

ギュンター・ヘルビヒ(指揮) 日本フィル
ブルックナー;交響曲第8番(日本フィル自主製作)
某オークションに妙なCDが出品されていた。
2001年6月1日サントリー・ホールでのライヴ録音で、日本フィルの2002年度定期会員に配布されたものとのこと。
ブルックナーの第8交響曲、それもドイツ系指揮者の演奏となると是非聴きたいと思い落札。
ヘルビヒはLP時代にハイドンの録音が知られており、最近ベートーヴェンやマーラーのCDはあったが、ブルックナーは初めてではないか。
また、昨年、ドレスデン・フィルと来日した折りにベートーヴェン;交響曲第3番ほかの実演を聴いているが、悠揚迫らない音楽が印象に残っている。
曲が「英雄」ではちょっと欲求不満が残ったが、ブルックナーならばまた違うかもしれないと期待したい。
アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド・ナショナル管 ほか
ストラヴィンスキー;交響曲集(CHANDOS)
ギブソンは好きな指揮者の一人、未架蔵のストラヴィンスキーが某オークションに出品されていたので落札してみた。
交響曲 変ホ長調交響曲 ハ調3楽章の交響曲と、クーセヴィツキー夫人の追憶に捧げられた頌歌 Ode を、CD2枚組に収録している。
1981年8〜9月、グラスゴーでの録音。
パトリック・コーエン(Fp) クリストフ・コワン(指揮) リモージュ・バロック・アンサンブル
モーツァルト;P協第20・21番(ASTREE)
福島章恭氏の著書『モーツァルトをCDで究める』(毎日新聞社)に紹介されて以来、気になっていたディスク。曰く、
空前の名演である。(略)コーエンのフォルテピアノは、表現力が大きく、音量の弱さを一切思わせない。まるでバッハ《ブランデンブルク協奏曲第5番》を思わせる効果など、新たな発見も用意されている。
最近店頭では見かけなくなったレーベルだが、某オークションに安価で出品されていたので、落札したもの。
指揮者のコワンはむしろチェリストとして知られている人、オーケストラはあまり名前を聞かない団体だが、コワンと一緒にモザイクQで活動しているエーリヒ・へーバルトがコンサートマスターを務めている。
1996年4月、メッツ・アーセナルでのライヴ録音。
ピーター・ドノホー(P) マーク・エルダー(指揮) BBC響 ほか
ブゾーニ;P協(EMI)
演奏時間七十数分を要し終楽章では男声合唱を動員する怪作として有名なブゾーニ作品、未だかつて聴いたことはないが、確かどこかでどなたかが薦めておられた(頼りない話だ(^^;)ドノホー盤が某オークションに出ていたので落札してみた。
1988年8月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(プロムス)でのライヴ録音。
マックス・ロスタル(Vn) ほか
ビーバー;パッサカリア ほか(SYMPOSIUM)
ロスタル教授の未架蔵盤、好きな曲の一つビーバーのパッサカリアが含まれているので是非聴きたいと、某オークションで落札したもの。
その他の収録曲は、
タルティーニ;Vn協 ト短調
ベートーヴェン;ロマンス第1・2番(以上ヴァルター・ゲール(指揮) ヴィンタートゥール響)
バッハ;Vnソナタ ホ短調 BWV1023(フランク・ペレグ(Cem) アントニオ・トゥサ(Vc))
タルティーニ(クライスラー編);悪魔のトリル(カロル・シュレター(P))
「悪魔のトリル」は1923年頃のSP、その他は1950年代初期のLP(コンサートホール)からの板起し。SYMPOSIUMレーベルの覆刻は、いつもどおり素晴らしい出来栄え。
アルト・ノラス(Vc) オッコ・カム(指揮) フィンランディア・シンフォニエッタ ほか
サッリネン;室内音楽第3番・無伴奏Vcソナタ ほか(FINLANDIA)
某オークションを見ていると、ノラス師匠の未架蔵音源が出品されていたので息が止まるほど驚いた。
FINLANDIAの初期CDは、レーベルがWarner傘下に入って以来、入手の見込みがなくなっているので、何が何でも落札せねばと意気込んで入札したところ、競争相手もなく落札できた(苦笑)。
室内音楽第3番は1986年の作品、ドン・ファンキホーテの夜の踊りの標題を持つ。
ノラスの委嘱によって書かれ、1986年6月、彼が主宰するナーンタリ音楽祭で初演された(アシュケナージ(指揮) イギリス室内管)。
また、無伴奏Vcソナタは1971年の作品。
なお、交響曲第5番「ワシントン・モザイク」(1985〜87年)をカプリング、というかCDのつくりとしてはこれがメインで、管弦楽はヘルシンキ・フィルが担当している。
1985年10月にロストロポーヴィッチ(指揮) ワシントン・ナショナル響が初演、2年後に改訂されたとのこと。
1987年12月〜1988年9月の録音。
アルス・ノヴァ金管五重奏団 ほか
「金管楽器と打楽器」(仏ERATO、LP)
eBayを見ていると、アンゲルブレシュトの作品が含まれているというLPが出ていたので、これは必聴盤と落札したもの。
A面は主にルネサンス期の作品、B面が20世紀の作品を収録しており、アンゲルブレシュトの曲は3分程度の短いもの。
「戦争から帰ってきた300人の兵士たち」という民謡に基づく合唱曲を、金管合奏で演奏している。
アルス・ノヴァ金管五重奏団は、ジョルジュ・バルボトゥ(Hrn)らフランス系の奏者からなる団体。曲によってはタイトルどおりシルヴィオ・グァルダ(打楽器)が加わる。
録音データは明記されていないが、1970年代半ばのものか。

12月17日(金): 

 

フリードリヒ・ヴィルヘルム・シュヌアー(P)
シューマン;幻想曲 ほか(MEISTER MUSIC)
先日、内藤晃さんの演奏会で聴いて感銘を受けたシューマン作品。
プログラムに内藤さんが推薦盤として挙げておられたシュヌアー盤を聴いてみたいと思っていたところ、某オークションに安価で出品されていたので落札。
1996年7月12日、府中の森芸術劇場ウィーン・ホールでのライヴ録音で、幻想曲ないし幻想曲風の4作品で構成されている。
ベートーヴェン;Pソナタ第14番「月光」
シューマン;幻想曲 op.17
ショパン;幻想曲 op.47
リスト;「ダンテを読んで」
執筆しながらシューマンを聴いているが、なるほど内藤さんの演奏を思い出させる明るさ・熱っぽさがある。

12月16日(木): 

 

ボー・スコウフス(Br) ミカエル・ションヴァント(指揮) デンマーク国立響
「海辺の歌 − スカンディナヴィアの旅」(CHANDOS)
ステーンハンマル作品の新録音が出るというので心待ちにしていたCD。ようやく店頭に並んだので飛びついて購入。
「フローレスとブランセフロール」 op.3
「イタカ」 op.21
が含まれている。ともに録音が比較的少ない曲なので嬉しい(特に「イタカ」はこれが3種め)。
その他、ニルセングリーグランゲ・ミュラーらの作品を収録している。
2003年6月、コペンハーゲンのデンマーク放送コンサートホールでの録音。
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) CBC響 ほか
ベートーヴェン;交響曲第6番「田園」 & ブラームス;交響曲第4番 ほか(VAI、DVD)
マルケヴィッチの指揮映像がが出るというので心待ちにしていたDVD。ようやく店頭に並んだので飛びついて購入。
2回のプログラムが1枚に収録されている。
前半は1959年2月5日の放映分で、
ロッシーニ;歌劇「チェレネントラ」序曲
モーツァルト;歌劇「牧人の王」より「あのひとを僕は愛そう、心変わりはすまい」
モーツァルト;歌劇「フィガロの結婚」より「恋人よ、早くここへ」
モーツァルト;歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より「お願い、許して恋人よ」(以上独唱イルムガルト・ゼーフリート)
ベートーヴェン;交響曲第6番「田園」
後半は1957年2月7日分で、
ブラームス;アルト・ラプソディ(独唱モーリン・フォレスター)
ブラームス;交響曲第4番
ともに白黒で画質はあまりよろしくない。前半はスタジオ収録で少し明るいがオーケストラの配置が変だし(中央に花道(?)が空いている)、後半はホールでの収録のようだが画面が非常に暗い。
とはいえ交響曲は両方とも十八番、特にブラームスは日本フィルとのDVDもあり(EXTON)、見比べるのも一興かもしれない。

12月15日(水): 

ガラス製のチェロが完成したというニュースを見て吃驚。
またそれを弾いているのが長谷川陽子さんで二度吃驚。
重量感があって弾いているとイスがずりずりと後ろに下がってしまうこともありますが
と、ユーモアを含めたコメントが彼女らしい。

 

近藤理子(P) ブリュッセルQ
フォーレ;P五重奏曲第2番 ほか(ART UNION)
中古音盤堂奥座敷で採り上げて以来、愛好して已まない作品の未架蔵盤が、某オークションに出品されていたので落札。
ピアニストは札幌出身、15歳で渡欧して研鑽を積み、桐朋学園大を卒業したとのこと。また四重奏団はベルギーの団体で、第2Vnの志田とみ子は、鈴木鎮一門下からブリュッセル音楽院に留学してグリュミオーに学んだという。
モーツァルト;P四重奏曲第1番 ト短調をカプリングしている。
1992年10月24日、札幌のザ・ルーテルホールにおけるライヴ録音。
おそらく会場マイクによる収録で、左右の拡がりがほとんどなく、ピアノの音像が拡散しがち。ほとんど自主製作盤に近い性質のCDであろう。

12月14日(火): 

 

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) エストニア国立響
ペルト;交響曲第3番 ほか(Virgin)
パーヴォの録音も聴き逃せない、いずれ入手せねばと思っていたCDが、EasySeekに安く出ていたのを購入。
作曲家、指揮者、管弦楽がすべてエストニアという組み合わせも心惹かれるものがある。
標記以外にスンマ三聖誦フラトレスシルアンの歌フェスティーナ・レンテベンジャミン・ブリテンへの追悼歌を収録。
2000年6月、エストニア・タリンで録音された。
アルバン・ゲルハルト(Vc) リナ・ドクシンスキー(P)
ピアソラ;ル・グラン・タンゴ & カサド;愛の言葉 ほか(EMI)
このところ成長株のVc奏者として注目しているゲルハルト、たしかこのCDが文字どおりデビュー盤だったはず(EMIの "DEBUT" というシリーズなのである)。
一時はどこの輸入音盤店でも見かけたものだが、気がついて探し始めた頃には姿を消していて臍を噛んだ。ようやくEasySeekで見つけてオーダーしたもの。
標記作品をはじめ、ファリャ(マレシャル編);スペイン舞曲ラヴェル(カステルヌオーヴォ・テデスコ編);道化師の朝の歌等々、ラテン系の小品17曲を収録している。
1998年2月、イギリス・ハートフォードシャーでの録音。

12月13日(月): 

 

ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(hänssler)
買いそびれていたペルガメンシチコフのバッハが某オークションに出品されていたので落札したもの。
ロシア出身ということでマイスキーの陰に隠れがち、録音にも恵まれなかった人だが、亡くなったとなると聴いておかねばという気になるのは、少々残酷かもしれない…。
1998年4〜6月、ハイデルベルクで録音された。
ペーター・ブルンス(Vc) ログリット・イシャイ(P)
シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ & シューマン;5つの民謡風小品 ほか(hänssler)
大好きなアルペジオーネ・ソナタの未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
細身の音色で伸びやかに歌うブルンスのチェロが美しい。彼の使用する楽器は、以前カザルスが所有していたカルロ・トノーニ(1730年製)だそうな。
カプリングのシューマン作品は、標記以外に幻想小曲集 op.73バッハ;無伴奏Vc組曲第3番(シューマンがピアノ伴奏を書き加えた版)。
後者は珍しいレパートリーだが(無伴奏VnソナタとパルティータのP伴奏版はカントロフほか複数の録音がある)、Vn曲以上に蛇足を加えた感が強い(^^;。
2003年6月、バーデンバーデンのハンス・ロスバウト・スタジオでの録音。
宇野功芳(企画編集)
『フルトヴェングラー 没後50周年記念』(学研)
斉諧生は(今のところ)フルトヴェングラーの讃仰者ではないが、宇野師の著作ということで購入、読了。
名だたるフルトヴェングラー・ファン、フルトヴェングラー研究者が名を連ねておられるが、基本的にはあまり新奇又は有用な情報は含まれていない。
丸山真男宇野功芳『フルトヴェングラーの名盤』に施した書き込みの翻刻というのは、見方によっては貴重だが、う〜ん、そこまでしなくても…と思ってしまう。
唯一面白かったのは、作曲家佐藤眞と宇野師の対談。
トスカニーニを評価する佐藤氏は、「バイロイトの第九」(1951年)を俎上に、「拙演に近い」「オケが下手」等、辛口の発言を連発する。
また、佐藤氏の楽曲分析に関する指摘も興味深い。

12月12日(日): 

アドレス・バーやブックマーク・メニューに小さなアイコンが表示されるWebpageがある。
どうしたらああなるのか、ずっと不思議で、個人のサイトでアイコンの出てくるところが羨ましかったのだが、ひょんなことからその方法を調べることができた。
サーバーのエラーログを見ていたら、favicon.icoがない、というエラーが頻発していたのだ。
 
要するに、32ピクセル四方のアイコン・ファイルを作って、サーバーのルート・ディレクトリに置いてやればよいのである。
使用したアイコン作成ソフトはKH IconStudio2001
 
トップページのタイトル画像から「斉」の部分を切り取ってみたが、どんなものであろうか。
それよりも「盤」だ、いや「狂」ではないか、という声が聞こえてくるような気がする(苦笑)。

このところ滞っていたデータ系の更新を実施。
音盤狂昔録平成16年11月分を追加。
この間に聴いた演奏会の情報を演奏会出没表に掲載。
11月28日(日)に聴いた内藤晃さんの演奏会の感想を、遅ればせながら執筆。
更に、この間入手したLPの情報を、
アンゲルブレシュト・ディスコグラフィ
レイボヴィッツ・ディスコグラフィ
ペレーニ・ディスコグラフィ
に追加。

12月11日(土): 

 

トーマス・ファイ(指揮) ハイデルベルク響
ハイドン;交響曲第34・39・40・50番(hänssler)
イギリスの通販サイトHancock & Monksから中古盤カタログ更新のメールが来たので新着盤をチェック、興味を惹かれたもの3点をオーダー。約1週間で到着したことになる。
一般にはあまり知名度がないようだが、ピリオド系演奏に詳しい人たちからは高く評価されているファイとハイデルベルク響のハイドン(例えば安田和信氏のコラム@HMVや、トラックバック先のSEEDS ON WHITESNOWを参照)。
先に第94・104番を入手していたが、その後4枚の交響曲録音が出ているうち、中期の作品4曲を収めたものが上記のカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
収録曲はあまりポピュラーではないものばかりだが、実に鮮やか、痛快な演奏。このコンビ、来日しないものか…。
2001年7月及び2003年1月の録音。
http://seeds.whitesnow.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/40
イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
ラフマニノフ;交響曲第2番・ヴォカリーズ(CHANNEL CLASSICS)
イヴァン・フィッシャーとブダペシュト祝祭管の音盤は聴かざるべからず。
SACDハイブリッド盤で、店頭ではやや高い値付けなので買いそびれたが、アリアCDさんのセールで安くなっていたので購入。
レーベルがCHANNEL CLASSICSになったということは、Philipsはお払い箱になってしまったのだろうか。勿体ない…。
次はチャイコフスキー;交響曲第4番のリリースが予定されているというが、ぜひこのコンビでベートーヴェンブラームスの交響曲全集を録音してもらいたいものである。
2003年10月、ブダペシュトのイタリアン・インスティチュートで録音。
イェルク・ペーター・ヴァイグレ(指揮) ドイツ連邦青少年管
ショスタコーヴィッチ;交響曲第15番 ほか(ARS MUSICI)
第15番はショスタコーヴィッチの交響曲の中で偏愛する曲、緩徐楽章が持つ寂寥感は心に迫る。
未架蔵盤がHancock & Monksのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
オーケストラは録音当時10代後半から20代初めのメンバーからなる。名称は原綴 "Bundesjugendorchester" 、日本での記述ゆえ「ドイツ」を加えた。
ヒンデミット;弦楽合奏と金管のための演奏会用音楽 op.50をカプリング
1999年4月、ゾーリンゲン・コンツェルトハウスでの録音。
カトリーン・ショルツ(Vn & 指揮) ベルリン室内管
ハイドン;Vn協第1・3・4番(Berlin Classics)
中欧風のヴァイオリンが好ましいショルツの未架蔵盤がHancock & Monksのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
もっとも一般的なハ長調(第1番)・イ長調(第3番)・ト長調(第4番)の3曲を収録している。
2003年6〜7月、ベルリンのイエズス・クリストゥス教会での録音。
彼女は来年2月(といっても、もう再来月のことだ)、来日公演があり、斉諧生の地元高槻現代劇場ゲルハルト・ボッセ(指揮) 大阪センチュリー響と共演する予定になっている。
ボッセさんの指揮ともども聴かざるべからず、チケット入手済み。
ポール・パレー(指揮) デトロイト響
ドヴォルザーク;交響曲第9番「新世界より」(英Mercury、LP)
このところ進行中のパレーのMercury@英EMIプレスをeBayで揃えるプロジェクトが、だんだん加速してきた(苦笑)。
彼の「新世界」(ジャケットは当時の習慣で「第5番」と記されている)は、斉諧生にとって同曲ベストスリーには数えたい名演。
米盤LPで架蔵しているが、偏心している(穴が正しく中央に開いていない)欠点があり、英プレスの良品が入手できて嬉しい限り。
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) ロンドン・フィル
ベルリオーズ;管弦楽曲集(仏DUCRETET THOMSON、LP)
アンゲルブレシュトの未架蔵LPがeBayに安く出品されていたので落札したもの。
序曲「ローマの謝肉祭」『ファウストの劫罰』より「ラコッツィ行進曲」「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」を収録している(10インチ盤)
TESTAMENTレーベルからCD覆刻されており架蔵しているが、LPは初めて。初出時のオリジナル盤かどうか自信ないが、それでも嬉しいことである。

12月10日(金): 

 

カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響
ベートーヴェン;交響曲第7番 & シューマン;交響曲第2番(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響 ほか
ベートーヴェン;交響曲第9番 ほか(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響 ほか
ブラームス;交響曲第2番 ほか(hänssler)
 
カール・シューリヒト(指揮) シュトゥットガルト放送響 ほか
ブラームス;ドイツ・レクイエム(hänssler)
 
相変わらず本業が超多忙状態ながら、少しは音盤屋に足を踏み入れないと、たまったものではないと(苦笑)、久しぶりに覗いてみる。
以前リリース情報があった、hänsslerレーベルのシューリヒト放送録音第1弾が入荷しており、まとめ買い。
収録曲と年月日等は次のとおり(小林さんのディスコグラフィに依拠させていただいた)。
ベートーヴェン;交響曲第7番(1952年10月24日、正規音源としては初出)
ベートーヴェン;交響曲第9番(1961年9月13日、初出か)
ベートーヴェン;序曲「コリオラン」(1952年9月25日、正規音源としては初出)
シューマン;交響曲第2番(1959年10月31日、正規音源としては初出)
ブラームス;交響曲第2番(1966年3月16日、ステレオ、Archiphon盤あり)
ブラームス;運命の歌(1954年1月25日、初出か)
ブラームス;ネニエ(1954年1月26日、正規音源としては初出)
ブラームス;ドイツ・レクイエム(1959年11月4〜7日、Archiphon盤あり)
概して音質は優秀、1952年の2曲は少し古びているが、それでも鑑賞には支障がない。
既出盤と重複する2曲は、Archiphon盤の方が好み。hänssler盤の方が鮮明だが(特に交響曲では歴然)、全体の響きとしてはArchiphon盤がまとまっていると思う。
第2弾ではブルックナーの諸交響曲の新発売が予告されており、非常に楽しみである。
モーリス・ジャンドロン(指揮) 読売日響
モーツァルト;交響曲第29・38番(BMG)
タワーレコード限定で覆刻されたシリーズから、ジャンドロンの指揮盤を購入。
チェリストとして名高い人だが、群馬響とのブラームス;交響曲第4番(カメラータ・トウキョウ)など素晴らしかったので、モーツァルトは是非聴いてみたい。
1976年の録音。
ジャケットやライナーノートが簡素というか貧相なので少し残念。初出LPのジャケットを覆刻してほしかったところだが、コスト面ないし著作権面で無理なのかもしれない。
エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管
バルトーク;弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽 ほか(RETROSPECTIVE)
以前、Sony系の音源をCD覆刻していたRETROSPECTIVEレーベルから、今度はPhilips系の音源が登場した。
ベイヌムやオッテルローなど面白そうなものが並んでいたが、蒐集している標記バルトーク作品を含む1枚だけを購入。
1955年12月のモノラル録音だが、音質的には見事なもの。演奏も引き締まっていて、あらためて優れた指揮者だったと感じる。
その他、ブラームス;ハイドン変奏曲(1958年9月、ステレオ)とコダーイ;組曲「ハーリ・ヤーノシュ」(1956年4月、モノラル)を収録している。
リナルド・アレッサンドリーニ(指揮) コンチェルト・イタリアーノ
モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(naïve)
最愛の曲の一つ、モンテヴェルディ作品の新録音、もちろん買わざるべからず。
合唱を用いず、12人のソリスト級の歌手を集めたアンサンブルの歌唱による、というのがアレッサンドリーニのポイントらしい。
なるほどどの曲からも圧倒的な声を聴くことができる。
嬉しいことにマニフィカトは両方のバージョンを収録してくれている。
2004年4月、ローマのファルネーゼ宮で録音された。

12月8日(水): 

 

昨日は大阪でジャン・ギアン・ケラスが無伴奏リサイタルを開いたはずなのだが、このところ本業が忙しく、とても行く余裕がなかった。
今日はたまたまエアポケットが生じたので、職場近くのホールアルティへ出かけることができた。
クリストフ・ブーリエ(Vn) 阿部裕之(P) ほか
「フランスからの響き……」
ブーリエの名は、ルクー;VnソナタのCDがあるので知っていたが、来日は今回が初めてとのこと。
1965年生れ(そんなに若い人とは知らなかった)、パリ音楽院出身で、1984年のロン・ティボー国際コンクールでグランプリを得、現在はソリスト、室内管の指導者、教職等、多方面で活動中とのこと。公式Webpageがある。
 
今日の曲目は
タルティーニ;悪魔のトリル
サン・サーンス;アンダルシア奇想曲
ラヴェル;Vnソナタ
パガニーニ;「こんなに胸騒ぎが」による変奏曲
ハチャトゥリアン;組曲「ガイーヌ」(レジ・ブーリエによる2VnとP編曲)
というもの。
ハチャトゥリアンでは台湾出身・京都在住の何信宜(Vn)が共演。
この人が今回のブーリエの来日をアレンジしたらしく、彼女は休憩後にイザイ;無伴奏Vnソナタ第5番を独奏した。
 
ブーリエは、タルティーニの冒頭を弾いただけで、音が自然に淡愁の色を帯びる、優れた弦楽奏者であることを示した。
いくぶん音量が小さめかもしれないが。
こういう古典曲は、あまりごてごてと表現されても困るもので、ほとんど音色で勝負することになる。その点では文句のない、耳の御馳走。
…と思っていたら、カデンツァは左手のピツィカートを駆使する技巧的なもの。誰の作かは知らないが、ちょっと首を傾げる。
 
サン・サーンス作品は、もう一つ魅力に乏しい。曲自体の問題もあるが、奏者も速いパッセージで音がうわずる傾向があり、高音の音程も斉諧生の好みから外れる感じ。
 
メカニカルな面での完璧さや何でもバリバリ弾いてしまう強さには欠けるところのある人かもしれないが、伸びやかに歌う場面では、ひたすら美しい音に魅了される。
フランス系奏者で音が詰まりがちになるG線(いちばん低い弦)でも、隣のD線と同じ音色が美しく響くのである。
したがってラヴェルが非常な美演となり、今宵のハイライト。
第2楽章での主題の歌い方など、ちょっと崩し気味のリズムやポルタメントの掛け方が何とも小粋。
無窮動の第3楽章ではピアノとの駆け引きも愉しい。阿部も冴えた音楽を聴かせた。
 
休憩後のパガニーニでは堂に入った「芸」を聴かせてもらった感じ。
アクロバティックなフレーズでは鮮やかに、歌うところでは美音をたっぷり小節(こぶし)を利かせて。
 
実兄の編曲によるハチャトゥリアン、民族的な旋律をゆったり歌わせ、「レスギンカ」「剣の舞」ではアクションたっぷりの熱演(弓の毛を何本も切っていた)。
ただ、あまり手の込んだ編曲ではなく、Vnを2本使うことの意味もわかりにくかった。
とはいえ客席は大沸き、アンコールは「ガイーヌ」の6曲から。
最初に「レスギンカ」、続いて「剣の舞」、それでも拍手が止まずにもう1曲を繰り出してようやく終演。
 
共演の何信宜さんはよく弾ける人で、イザイも手堅くこなしていたが、何か足りない。
音そのものの魅力、音楽から放射してくる輝き、曲の隅々まで確信が行き渡っている説得力、そういったものがまだ備わっていないように感じた。

 

クリストフ・ブーリエ(Vn) ヴァルジャン・コージアン(指揮) モンテカルロ・フィル
サン・サーンス;Vn協第3番 & シベリウス;Vn協(REM)
上記コンサートの当日券を買って入場してみると、案の定、ロビーでブーリエのCD・DVDを販売していた。
パガニーニ;奇想曲(全曲)を収録するDVDには非常に気になったのだが、PAL方式のみというので涙を呑んだ。
CDは7種ほどもあったろうか、架蔵済みのルクー等と、曲目的にもう一つだった小品集を除いて3枚を購入。
当盤は1988年録音、フランス系Vn奏者のサン・サーンスは、ぜひ聴いてみたいところ。
また、指揮者がコージアンというのが興味を惹く。
姓からするとアルメニア系と思われるが、1935年レバノン・ベイルート生れ。パリやフィラデルフィアでヴァイオリンを学び、ハイフェッツにも師事した。
ロサンジェルス・フィルのアシスタント・コンサートマスターを経て指揮者に転じ、LP最末期に、幻想交響曲の45回転盤(2枚組)を発表、たしか長岡鉄男氏が注目したはずである。
1984年からサンタ・バーバラ響の音楽監督を務めていたが、1993年4月に同地で没した。
同響の公式Webpageでは、彼が独奏Vnを兼ねたヴィヴァルディ;四季(自主製作)を販売しており、気にならないではないが、この曲ではちょっとオーダーをが躊躇う(^^;。
クリストフ・ブーリエ(Vn) ミクローシュ・シェーン(P)
ドビュッシー;Vnソナタ & ラヴェル;Vnソナタ ほか(REM)
フランス系奏者のドビュッシーとラヴェルなので聴いてみたいと思い購入。実演でもラヴェルは白眉の出来栄えだった。
フィルアップにラヴェル;ツィガーヌメシアン;主題と変奏
注目すべきはツィガーヌで作曲者の指定通り「リュテアル」を用いていることで、世界初録音だったという(1990年1月)。
リュテアルは、ピアノを改造してツィンバロンに近い音色を出す楽器で、1924年に発明された。当盤ではエラールのベビー・グランド・ピアノ(1900年頃)を基に復元したものを使用している。
その他の曲でも、1921年製エラールを演奏しているというから、かなり楽器にこだわって製作されたCDである。
クリストフ・ブーリエ(Vn) ミクローシュ・シェーン(P) ほか
ハチャトゥリアン;Vnソナタ・無伴奏Vnソナタ ほか(REM)
今日のステージでも「ガイーヌ」を採り上げ、Vn協も録音しているなど(架蔵済み)、どうもブーリエは、このアルメニアの巨匠が好きなようだ。
協奏曲はグリュミオーが「絶対弾かない」と言明していたから、フランス系奏者には縁遠い音楽かと思っていたが、そうでもないらしい。
それだけ思い入れのある作曲家ならば聴きどころがあるのではないか、また、聴いたことのない曲も入っており新たな発見が得られるのではないかと思い購入。
Vnソナタは1932年の、無伴奏ソナタは1975年の作品で、後者はヴィクトル・ピカイゼンが初演し彼に献呈された、作曲者最後のVn曲とのこと。
更にCl三重奏曲(1932年作曲、Cl独奏ドミニク・ヴィダル)と小品2曲を収めている。
1996年録音。

12月7日(火): 

 

チャールズ・ナイディック(Cl) レナード・ホカンソン(P)
シューマン;Vnソナタ第1・2番(Cl編) ほか(Sony Classical)
シューマンの第2Vnソナタは偏愛の曲だが、それをClで吹いたCDが出ていたとは知らなかった。
某オークションで見かけて入札したものの競り負けてしまい、米Amazonの "Marketplace" でオーダーしたもの。送料を含めてもはるかに安く買えたので幸運だった。
第3楽章の美しく哀しい旋律は、Clで吹いても情感溢れるものがあるのではないか、と期待している。
1991年2月、カナダ・キッチェナーでの録音、編曲はCl奏者自身によるとのこと。
3つのロマンス op.94(原曲はOb)をカプリング。

12月5日(日): 

 

アッティラ・ボザイ(Rec) エステル・ペレーニ(Vn) シャーンドル・パップ(va) ミクローシュ・ペレーニ(Vc)
ボザイ;即興第2番 ほか(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニ師の未架蔵LPがeBayに出品されていたので落札。
CDでは架蔵しているのだが、1978年のアナログ録音でもあり、オリジナルのLPで入手できて嬉しい。
もっとも演奏の方は、アルバム一覧の頁でコメントしたように、師のチェロを聴くとは言い難いものだが。
標記の作品(約14分)以外に弦楽四重奏曲第2番「水車小屋」を収録しているが、いずれも師は加わっていない。
後者は管楽合奏と打楽器、オルガンという合奏体のための作品だが、指揮者がペーター・エトヴェシュという点に目を惹かれる。

12月4日(土): 

 

ソフィア・セーデルベリ・エーベルハード(指揮) スヴァンホルム・シンガーズ
昨年6月に来日公演を聴き感激したスヴァンホルム・シンガーズが、地元の高槻現代劇場に出演するとあっては足を運ばざるべからず。
今日は、先週のヒンクと異なり、まともな音楽ホール。
約500人規模、地下3階に位置するのが珍しいが、周囲の騒音(国道171号線や阪急電車が近い)を避けるためか。適度な残響と癖のない響きで、まずまず良いホールであった。
 
ほぼ満席の盛況だったが、これは地元の児童合唱団、男声合唱団とのジョイントというスタイルを採ったためであろう。
最初の30分ほどは、そちらの歌唱にお付き合い。まあ集客戦術だから嘆いても仕方がないが、「唱歌メドレー」「最上川舟歌」程度の選曲は情けなし。もうちょっと意地のあるところを聴かせてほしかった。
 
スヴァンホルム・シンガーズのプログラムも、基本的にクリスマス特集。
これも客集めのためであろうが、ちょっと残念。
 
それでも休憩までの5曲は、基本的には20世紀北欧作曲家の作品を歌い、気を吐いた。
「ディンドン、空高く」(これのみ伝統的キャロル)
ヌードクヴィスト;クリスマス、輝くクリスマス
トルミス;ヴェプサの冬
トルミス;クリスマスがやってくる
マンテュヤルヴィ;擬似ヨイクNT
2曲目での柔らかく美しいハーモニーで、既に聴衆の心を奪った感じ。
3曲目、バラライカの音型を模した「ティン、ティン…」の歌い交わしなど、本当に高いレベルだからこその面白さを聴かせてくれた。
昨年同様、低音の安定したピッチと軽やかな音の伸びは言語に絶し、柔らかい弱音から鋼のような強奏までまったく濁らずまったく歪まず、音楽の美とはこの響きであると結論づけたくなる。
マンテュヤルヴィ作品は民俗的な発声を取り入れた楽しい曲で、歌唱も高揚し、満堂拍手喝采。
 
休憩後の前半4曲は、古いキャロル系の作品。
「来たれ、エマヌエル」(フランス古謡)
「全ての民よ、この日を喜び歌え」(ピエ・カンツィオーネス)
「新しいクリスマス」(フランス古謡)
「今日キリスト生まれたまえり」(グレゴリオ聖歌)
どれも素晴らしかったが、白眉は「全ての民よ〜」。やはり北欧の曲集が合っているのか。
素朴な旋律の中から、救い主の誕生への感謝と喜びが、静かに湧き上がってくる、感動的な歌声。
 
最後は「アメリカのクリスマスを歌います」というアナウンスで(日本語が達者な団員がいるのである)、
「ホワイト・クリスマス」
「サンタが街にやってくる」
「マリアの御子」
「星に願いを」
「レット・イット・スノウ」
「星に願いを」以外は、ヨエル・ベクセリウスという人(指揮者の幼なじみらしい)の編曲による。いずれも愉しく美しい演奏だった。
唯一、団員の編曲による「星に願いを」は、ほとんど独唱、他は和声付けという仕立てだったが、このソロがまた甘く美しい歌声で、弱音の美しいハーモニーで曲が閉じられると、斉諧生の後方から女性の溜息が聞こえてきた。
 
締めくくりに、蛇足ながら地元団体と合同で「紅葉」「赤とんぼ」の2曲。
 
これで終わりか、寂しいな…と思っていると、指揮者が団員を呼び集めて、アンコール。
メンバー4人が前列に並んだので、「あ、去年の演奏会ではこの態勢で『いい湯だな』だった!」と思い出した。
同じネタでは今ひとつかも、という考えが頭の隅をよぎった瞬間、コーラスで前奏が始まると客席からどよめき!
歌い出されたのは「世界にひとつだけの花」!!
ソロの4人がまた、暗譜かつ違和感のまったくない歌いっぷりで、舌を巻いた。もちろん拍手大喝采。
 
更に、団員が客席へ降りて両側に並び、指揮者が向き直って、歌い上げたのは「シェナンドー」(この曲では最初のソロを指揮者が歌う)。
これは昨年のプログラムに含まれており、歌唱の完成度ではそちらが上だったように思うが、それでもなお静かな感動を呼ぶ。
 
とにかくとにかく、この団体が、もっと知られ、もっと聴かれ、その本領を十二分に発揮できるプログラムで演奏会が開ける日が来ますように…!
来年夏にも来日公演の予定があるようなので、楽しみに待ちたい。

 

ソフィア・セーデルベリ・エーベルハード(指揮) スヴァンホルム・シンガーズ
「聖しこの夜」(MUSIKLEBEN)
上記演奏会の会場で販売していたCD。
2004年9月の録音というから、あるいはこのツアーに向けた仕上げを兼ねてのセッションだったのかもしれない。
ヌードクヴィスト;クリスマス、輝くクリスマス
トルミス;ヴェプサの冬
トルミス;クリスマスがやってくる
「来たれ、エマヌエル」(フランス古謡)
「全ての民よ、この日を喜び歌え」(ピエ・カンツィオーネス)
「新しいクリスマス」(フランス古謡)
「今日キリスト生まれたまえり」(グレゴリオ聖歌)
は、今日の演奏曲目と重なっている。
とはいえアメリカ系の曲目は皆無、「聖しこの夜」レーガー;「マリアの子守歌」は入っているが、あとは北欧系の作品ばかり。
シベリウス;クリスマス讃歌
ラウタヴァーラ;2つのプレリュード
ニルセン;不思議な言葉
ラフマニノフ;「晩祷」より3曲
など、全部で20曲を収めている。

12月2日(木): 

 

五嶋みどり(Vn) クラウディオ・アバド(指揮) ベルリン・フィル
チャイコフスキー;Vn協 & ショスタコーヴィッチ;Vn協第1番(Sony Classical)
五嶋みどりの音盤は聴かざるべからずと思いつつ、いつでも買えるだろう、あわよくば中古格安で、と思っていたCD。
それというのもショスタコーヴィッチ作品について工藤さんの評は、
確かに技術的には極上の演奏。(略)しかし、鳴っている音楽はショスタコーヴィチとは全くの別物。
とのこと、あまり積極的に入手したいとは思えなかったのである。
意外に中古音盤屋等には出回らず(それだけ売れなかったということか)、ようやく某オークションで安価な出品を見つけたので落札したもの。
チャイコフスキーは1995年3月、ショスタコーヴィッチは1997年12月、それぞれベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音。
エリーザベト・ホイナツカ(Cem) ベルナール・デグロープ(指揮) アンサンブル・エアヴァルトゥング
ファリャ;Cem協 ほか(ADDA)
見れば買っている曲の一つ、ファリャ作品の未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
現代作品を得意とするCem奏者(という珍しい存在の)ホイナツカの独奏に興味を惹かれる。
カプリングもクリストバル・ハルフテルら、現存の作曲家による作品ばかり。
1990年6月、パリのノートルダム・ドゥ・リバン教会での録音。
指揮者の姓は原綴 "Desgraupes" 、片仮名表記に自信がない。

平成16年8月15日(日): 「提琴列伝」に和波孝禧を掲載。
平成16年1月4日(日): 「作曲世家」にルクー・ディスコグラフィを追加。
平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。
平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。
平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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